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2016年12月05日

2016年7-9月のモジュール出荷量で、日本企業は「住宅」で約9割を維持、非住宅「発電事業」も40%に上昇

太陽光発電協会が11月24日に、2016年度2Q2016/7-9)の太陽電池出荷量データを発表していました[1]。

今回はその中から、「モジュールの国内出荷量において、日本企業が占める割合」を、当ブログで以前に計算していた過去年度の数値と合わせて、表にしてみました。


モジュールの国内出荷量に占める日本企業の割合

※数値は当ブログ管理人が計算。
また、項目に空きがあるのはご容赦ください。

総出荷量用途別
住宅非住宅非住宅の内訳
発電事業
(500kW以上)
一般事業
(500kW未満)
2014年度 1Q90%62%77%49%
2Q91%65%72%59%
3Q93%59%41%90%
4Q91%61%50%73%
2015年度 1Q89%60%44%78%
2Q87%50%37%71%
2016年度 1Q88%44%28%76%
2Q55%88%47%40%66%


住宅用でのシェアは僅かに低下しているものの、90%に非常に近い水準はキープされており、国内メーカー・ブランドの強さを、海外メーカーが殆ど切り崩せていないことが伺えます。

この点はやはり、屋根設置の設備は「住宅の一部」であることから、馴染みのある国内企業に対する信頼感が、決め手になっているものと想像します。


また今回は、「非住宅」でも国内企業のシェアが(1Qよりも)少し上昇しているのが、非常に意外でした。

「一般事業」では低下しているものの、出荷量自体が大きい「発電事業」で1Qより10ポイント以上も増えたことが、「非住宅」全体での割合アップに繋がったようです。

設置量(モジュール枚数)の多い「発電事業」では、価格面で優位な海外メーカーがシェアを伸ばしてきた筈ですが、今回(2016年7-9月に)市場にいったい何が起こったのかは、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1]日本における太陽電池出荷量2016年度第2四半期(報道発表資料)(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h282q.pdf

※関連記事:

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2016年11月28日

NEDOと日清紡メカトロニクスが「熱電ハイブリッド太陽電池モジュール」を開発、発電効率+集熱効率は78%

NEDO日清紡メカトロニクス社が2016年11月24日に、

  • 発電効率+集熱効率が高い熱電ハイブリッド太陽電池モジュールを開発し、静岡県内で実証試験を開始した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


ハイブリッドモジュール

構造
  • 太陽電池パネル
    シリコン単結晶型(セル36枚)で両面ガラス構造、出力160W。
  • 集熱部
    上記パネルの裏面に、「特殊カーボンブラック添加エラストマー材料」で包み込んだ架橋ポリエチレン管(40m)を配置している。
    このエラストマー材料は、「オレフィンゴム」(自動車の外装部品などに用いられている)に、特殊な微細カーボン粉を添加しており、波長変換機能を持つ。
    これにより太陽光の赤外線を、水に吸収されやすい遠赤外線に変換する。
エネルギーの利用効率 太陽光発電と太陽熱利用の合計78.0%。
  • 太陽電池の変換効率15.5
  • 太陽熱の集熱効率62.5
    (※市販の温水器の集熱効率は、約40〜50%)

実証実験

目的 発電・集熱システムとしての、発電効率・集熱効率・信頼性を検証する。
実施場所 静岡県掛川市の「大東温泉シートピア
モジュールの設置枚数 140
温水の供給ライン
  • 水道水を既設温水設備に供給するライン:
    モジュール112枚に通水し、昇温する。
  • 温泉水を足湯施設に供給するライン:
    モジュール28枚に通水して、セ氏40度以上に上げる。
実施期間 2017年2月まで

太陽熱利用と太陽電池モジュールを一体化する試みは、これまで私が知る限りでも国内外で多くの事例がありました。(※関連記事参照)

にも関わらず、本格的な実用化に至ったケースはまだ見聞きしていませんが、一見良いアイディアに見えても、モジュール重量や設備の構造などの点で、実用化・製品化のハードルが想像以上に高い、ということかもしれません。

その中で今回の開発品については、まず集熱効率の高さが際立っており、合計で8割弱という(太陽電池モジュール単体では現状不可能な)エネルギー利用効率には、強いインパクトがあります。

そして実証試験の場所は、湯を日常的に使う「温泉施設」[3][4]であり、更に(屋根・屋上設置ではなく)地上設置であることから、現実的な用途を志向していることも感じられます。

そのぶん、用途(導入場所)がかなり限定されることも考えられますが、まずは今回の実証試験による検証で、実用化への道筋が見えることを、期待したいものです。


※参照資料:
[1]高効率熱電ハイブリッド太陽電池モジュールの実証試験を開始(NEDO)
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100676.html
[2]弊社は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究で、発電と温水が作れるハイブリッド太陽電池モジュールを開発し、静岡県掛川市の大東温泉シートピアにて実証試験を開始しました。(日清紡メカトロニクス社)
https://www.nisshinbo-mechatronics.co.jp/news/pdf/1503_1_ja.pdf
[3]大東温泉シートピア(掛川市)
http://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/kankou/spot/onsen/seatopia.html
[4]大東温泉シートピア
http://seatopia.info/

※関連記事:

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インドの太陽電池モジュール輸入額(2014年度・2015年度)において、中国製品が7〜8割以上を占める

「NNA ASIA」の記事(2016年11月23日付)[1]で、インドにおける太陽電池モジュール輸入額が報じられていました。

主な数字は次の通り。


太陽電池モジュールの輸入額

※カッコ内は、輸入総額に占める割合。

2014年4月
〜2015年3月
2015年4月
〜2016年3月
輸入総額23億4000万米ドル
うち中国製品6億334万ドル(7割以上)19億6000万ドル(84%)

インドはモディ政権になってから太陽光発電の導入目標を大きく引き上げましたが、中国製品の輸入額の伸びから、モジュール需要自体が急拡大していることが伺えます。

しかし一方でインド政府は、「Make in India」キャンペーンも展開

そして中国製モジュールに対しては、国内メディアによる強い非難記事の掲載が起こっており、風当たりが相当に強いイメージがあったので、輸入モジュールのうち7〜8割を占めているという今回の数字は意外でした。

もっとも、その非難報道(2015年1月)自体の中で既に、「中国製の劣悪製品」の市場シェアは60〜70%と書かれています。

そして中国メーカーは、その後も厳しいコストダウン競争を続けていることから、高い価格競争力によりインド市場でシェアを維持または拡大していても、不思議ではないと思われます。

また、結晶シリコン型太陽電池モジュールは(残念ながら)ほぼコモディティ化していると考えられることから、今回の数字は、(たとえ一部で反感を買っていたとしても)結局は価格の安さが物を言う、という現実を示しているようにも感じられます。


※参照資料:
[1]太陽光発電設備の輸入、中国製が8割占有(NNA ASIA)
http://www.nna.jp/articles/show/1537933

※関連記事:

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2016年11月21日

関西電力がモルディブ共和国「ディフシ・ソーラーアイス・プロジェクト」の設備を完工、太陽光発電+製氷機で出力安定化を狙う

関西電力2016年11月15日に、

  • モルディブ共和国で進めてきた「ディフシ・ソーラーアイス・プロジェクト」で、太陽光発電設備などの工事が完了した。
と発表していました[1]。

設備の概要は次の通り。


設置場所ディフシ島(人口約1200人、最大電力は300kW程度)
太陽光発電設備 出力40kW(10kW×4ユニット)
※既設のディーゼル発電機系統に連系している。
出力変動への対策 製氷機を併せて設置しており、太陽光発電の発電電力が増えた際には、その電力を製氷に用いる。
(※氷は、島の主要産業である漁業で必要とされる)
工事の期間2015年11月〜2016年11月6日
11月14日に譲渡式を行った。
保守・運用などモルディブ国が行う。
ただし当初5年間は、関西電力が運転状況のモニタリングを行う。
(設備の健全性、電力系統の安定化などを確認するため)

製氷そのものではありませんが、再エネ発電の出力安定化対策として、余剰電力を冷凍用倉庫に回して「エネルギーを蓄える」という試みは、私が知る限りでは

との事例がありました。

特にクックスハーフェン市での取り組みは、太陽光発電やコジェネとも組み合わせて継続されているようで[3][4]、電力需給の安定化に一定の成果を挙げていることが伺えます。

今回のモルディブにおける設備も、地域の主要産業(漁業)と密接な関わりを持っていくようなので、単なる発電設備に留まらず、地域密着型のインフラとして有効に機能し受け入れられていくことを、強く期待したいところです。


※参照資料:
[1]モルディブ共和国における太陽光発電プロジェクト「ディフシ・ソーラーアイス・プロジェクト」に伴う同国への設備の譲渡について(関西電力)
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2016/1115_1j.html
[2]独クックスハーフェン市で、風力発電の出力均衡に、魚の冷凍倉庫を活用する実験が実施中(「風力発電のニュース記事を読む」2010年04月11日の記事)
http://windpower-info.sblo.jp/article/54752683.html
[3]風力発電と冷蔵倉庫を組み合わせた仮想発電所(日経ビジネスonline)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130909/253159/
[4]VPP(Virtual Power Plant)で実現する電力の需給管理(日本ユニシス、p14・15)
http://www.unisys.co.jp/tec_info/tr123/12302.pdf

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 発展途上国での導入

2016年11月14日

ネクストエナジー社の新モジュール「NER660M275A(4)-LS」は重量半減と強度維持を両立、背面補強バーが標準仕様

ネクストエナジー・アンド・リソース社が2016年11月2日に、

  • 強度などを従来製品と同等に維持しつつ、重量を半減した太陽電池モジュールの新製品「NER660M275A(4)-LS
を発表していました[1]。

主な特徴は次の通り。


重量を半減 ガラスの厚さを従来製品の1/4にすることで、モジュール重量を10.5kg(自社従来製品の約1/2)とした。
耐荷重を維持 モジュール背面の補強バーを標準仕様とすることで、従来製品と同等の機械的耐加重(積雪荷重5400Paなど)を実現している。
その他の耐久性も維持
  • PID耐性
  • 火災安全性Cクラス
も、従来製品と同等。

現物の写真が掲載されていないのは残念ですが、背面の「補強バー」については、既存製品の紹介ページ[2]内に説明があります。

それによると、補強バーを備えた場合の耐風・耐積雪は10000Paと、通常仕様(5400Pa)から大きく高まっており、この補強バーが今回の新製品の耐加重維持に決定的な役割を果たしていることが、推測されます。

その一方で、ガラスを薄くしている点については、例えばカラスが石を落とした場合にどうなるのか、というのがちょっと心配です。


とはいえ思い返すと3年前に、神奈川県の太陽光発電普及の取組みにおいて、産業用設備(工場、倉庫など)の屋根設置ではモジュール重量が大きなネックになっていることが、判明していました。

神奈川県はその後薄膜型の普及促進に取り組みましたが、他方で一般的な結晶シリコン型においても

と、「重量を半減」したモジュールが、複数の企業などから発表されてきました。

今回のネクストエナジー社の新モジュールも、同様に重さが半分の製品であり、屋根設置の可能性を広げる軽量化した結晶シリコン型モジュールは、今後も(頻度は高くないとしても)様々なメーカーから発表が続いていくものと予想します。


※参照資料:
[1]軽量太陽電池モジュールを発売(ネクストエナジー社)
http://www.nextenergy.jp/info/2016/info20161101.php
[2]太陽電池モジュール(同上)
http://www.nextenergy.jp/service/solar_panel.php

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 他の国内メーカー

Looop社が計30年(FIT20年+独自10年)の電力買取サービス「Looop FIT」を開始、21年目以降は最低7円/kWh〜

Looop社が2016年11月10日に、

  • 所定の条件を満たすことで、太陽光発電設備の発電電力を30年間(通常FITの20年間+自社独自の10年間)買い取る独自サービス「Looop FITループフィット)」の提供を開始した。
と発表していました[1][2]。

サービスの概要は次の通り。


背景・目的

  • 産業用太陽光発電設備を設置済み・または検討中の方においては、FITの買取期間(20年)以降の電力買取に対する不安が存在している。
    今回の新サービスは、この不安への対策として開始する。
  • またLooop社では、FITの買取期間の終了後も、太陽光発電所の継続使用を促し、発電所の放置・廃棄を減らしたい狙いもある。
  • Looop社は既に
    • 太陽光発電に関するトータルなサービス(部材の開発〜発電所の保守管理)
    • 電力小売事業
    と、幅広いサービスを手がけており、これを今回の「Looop FIT」に生かしている。

サービスの内容・条件

  • 買取期間・価格:全量買取。
    期間買取価格
    当初の20年間 通常(国)のFITと同じ価格
    (※仮に制度の価格変更があった場合、本サービスに連動して適用される)
    その後10年間 7円/kWh
  • 条件
    • Looop社の太陽電池モジュール「NEXTOUGH」を用いる、新設の太陽光発電設備を契約すること。
      ※このモジュールには、30年間のリニア出力保証が用意されている。
    • Looop社のO&Mサービス「まもるーぷ」を、最低3年間契約すること。
      初年度費用(低圧タイプの場合23万円(税別)、高圧タイプは68万円〜)は無料になる。
  • 提供地域:沖縄電力管内以外。
  • Looop社倒産時の対応
    Looop社が期間内に倒産した場合は、本サービスの利用者自身が、他の電気事業者と協議して電力買取を契約する必要がある。

計30年という買取期間は、独自モジュール「NEXTOUGH」の出力保証年数と同じであり、自社オリジナル製品の特徴を生かしつつ、幅広いサービスを関連させて提供することで、他社との差別化・顧客の囲い込みを図る狙いがあるものと推測します。


それはともかく、21年め以降の最低額7円/kWhは、今年度(2016年度)のFITでの買取価格(非住宅24円/kWh)の1/3以下であり、正直その落差には驚きました。

しかし考えてみると、これは(最も早くて)現在から「21年後」(2037年)の買取価格であり、その頃までには太陽光発電設備における初期費用・運営費用の低減が劇的に進み、7円/kWhでも発電事業の採算が十分取れる環境になる・・・という見通しを含んでいるものと想像します。
(もっともこのことについては、20年後に実際にどうなっているかは当然判りませんが)

また、当初20年間は国のFITと同額なので、これまでの太陽光発電事業と同じく、その期間内(20年)に採算が取れるよう事業計画を組むことができれば、残りの10年間での収益には、さほど拘る必要が無いのかもしれません。


もう一点、申し込みが義務付けられているO&Mサービス「まもるーぷ」は、年間料金が結構な金額です。

ざっくり単純化して低圧設備が50kW、買取価格を2016年度の24円/kWhとすると、年間の売電額の見込みは、50[kW] × 1000[h] × 24[円/kWh] = 120万円。

そして「まもるーぷ」低圧タイプの2年目以降の料金(16万円)は、その約13%に相当しており、その負担の大きさから、サービス利用に当っては合理性を十分に検討する必要があると考えます。

(※これは「Looop FIT」のシステムを批判するものではありません。
  管理人には、同種のサービスの料金の相場や、他サービスとの内容・質の違い等は全く判りません。)


※参照資料:
[1]新サービス「Looop FIT」リリースのご案内(Looop社)
https://looop.co.jp/info/2016/20161110_1/
[2]Looop FIT(同上)
https://looop.co.jp/product/looopfit/

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ソーラーフロンティア社がホンダ「スマート水素ステーション」実証実験用にCISモジュールを提供、高圧水電解システム「Power Creator」の電源用

ソーラーフロンティア社が2016年11月9日に、

  • 本田技研工業の「スマート水素ステーション(SHS)」実証実験の電源用として、自社のCIS薄膜太陽電池モジュールを提供した。
と発表していました[1]。

実証実験の概要は次の通り。


  • 目的、使用機器
    太陽光発電の電力で水素を製造する「70MPa スマート水素ステーション」の運用効果を実証する。
    具体的には
    • 「70MPa SHS」
    • 燃料電池自動車「CLARITY FUEL CELL」
    • 可搬型外部給電器「Power Exporter 9000」
    を組み合わせて運用し、
    • 実際の都市環境におけるCO2削減効果
    • 緊急時における移動可能な発電設備としての実用性
    を検証する。
  • 太陽電池モジュールの提供量:計20kW
  • 太陽電池の用途
    SHSに用いられている高圧水電解システム「Power Creator」の電源として使用する。
    ※この「Power Creator」は、再エネ電力と水だけから、短時間で高圧水素ガスを製造・供給できる。
     また小型パッケージ化されており、運搬・設置の自由度が高い。
  • 実施場所:東京都江東区青海
  • 開始日:2016年10月24日

ホンダといえば、かつて子会社「ホンダソルテック」で(CIS型とほぼ同タイプという)CIGS型太陽電池モジュールを手がけていましたが、市場の競争激化から2013年10月に撤退

その後もホンダは水素活用の技術開発を続け、そこに今回ソーラーフロンティア社のCISモジュールを採用することになった、ということにはある種の感慨を感じます。

それはさておき、ソーラーフロンティア社のモジュールは南米の自然保護運動におけるプラスチック油化装置の電源にも採用されており、系統連係する(売電する)発電設備だけでなく、独立電源における有効性も少しづつ認められてきている、ということなのかもしれません。

また、ホンダ社のサイトに掲載されている「スマート水素ステーション」の仕様は充填圧力35MPa[2]なので、今回の実証実験に用いられている「70MPa SHS」は、性能を高めた新しいタイプと推測されます。

蓄電池の低コスト化が期待したほど進まない中で、再エネ電力の別の有効利用方法として、ホンダ社のSHSや燃料電池自動車を含めて、水素利用技術が一刻も早く十分な実用化(低コスト化、安全性の確保)に達することを、強く願いたいところです。


※参照資料:
[1]ソーラーフロンティア、CIS薄膜太陽電池を 本田技研工業の「スマート水素ステーション」実証実験に提供(社)
http://www.solar-frontier.com/jpn/news/2016/C059784.html
[2]SHSの特徴(ホンダ社)
http://www.honda.co.jp/shs/feature.html

2016年11月07日

シャープ、パナソニック、京セラの太陽電池関連事業は、2016年度2Qも厳しい状況が継続

シャープパナソニック京セラの各社が10月31日〜11月1日に、2016年度2Q累計業績(2016/4-9)を発表していました[1]〜[5]。

今回も前回(2016年度1Q)と同様に、太陽電池・太陽光発電に関係するデータや記載を抜き出してみました。


シャープ

  • 「エネルギーソリューション」セグメントの業績
    売上高522億円(前年同期比33.6%
    セグメント利益48億円の赤字(前年同期は26億円の赤字)
  • 太陽電池関連の状況
    • 海外での売上高は、アジアでのEPC事業などにより増加
    • しかし日本国内で、太陽電池の販売が減少した。
    • セグメント利益は改善を図ったものの、1Qに計上した買付契約評価引当金(44億円)が響き赤字となった。

パナソニック

  • 「エコソリューションズ」セグメントの業績
    売上高7259億円(前年同期比5%
    セグメント利益209億円(同37%
  • 太陽電池関連の状況
    • 住宅用太陽光発電システム事業では、日本国内における
      ・市場の縮小
      ・価格下落、競争激化
      の影響が大きかった。
    • ソーラー事業は今年度(2016年度)の残りは
      ・国内:新製品投入によるシェア拡大
      ・海外:トルコ、インド、北米などでの拡販
      に取り組む方針。

京セラ

  • 「ファインセラミック応用品関連事業」セグメントの業績
    売上高約979億円(前年同期比13.8%
    セグメント利益約57億円(同29.5%
  • 太陽電池関連の状況
    • ソーラーエネルギー事業は、販売価格の下落などにより売上が減少した。
    • 米国で、ソーラーエネルギー事業の売上が減少。

太陽電池・太陽光発電を含むセグメントの2Q業績は、1Qに続いて軒並み減収減益。

そして太陽電池事業についても、需要減少・価格下落など市場の厳しい状況は続いており、3社とも明るい材料が著しく乏しい印象です。

ただ最近では、例えば

と、厳しい事業環境の中でも、自社の強みを生かして活路を見出そうという姿勢・方針が伺えます。

海外ではパネル価格の下落が著しい中で、中国メーカーの成長が際立つ状況。

また日本国内では、太陽光発電の新たな普及支援策が全く講じられず、冬の時代は続きそうですが、その中で国内メーカーが生き残るためにどのような方策を打ち出していくのか、という点は強く注目していきたいと思います。


※参照資料:
[1]平成29年3月期 第2四半期 決算短信(シャープ社)
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/pdf/2017/3/1703_2q_tanshin.pdf
[2]プレゼンテーション資料(ノート付き)(同上)
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/pdf/2017/3/1703_2pre_nt.pdf
[3]2016年度 第2四半期 連結決算概要(パナソニック)
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2016/10/jn161031-1/jn161031-1.html
[4]説明会資料(ノート付き)(同上)
http://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/2016_2q/2q_financial_results_note_j.pdf
[5]2017年3月期 第2四半期 決算短信(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/rt161031.pdf

※関連記事:

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2016年10月31日

Trina Solar社がp型多結晶シリコン太陽電池モジュールで変換効率19.86%、カネカ社はヘテロ接合モジュールで24.37%を達成

Trina Solar社とカネカ社が2016年10月に各々、結晶シリコン型モジュールモジュール変換効率を更新したことを、発表していました[1][2]。

概要は次の通り。


Trina Solar社(2016/10/18発表)

太陽電池の種類p型の多結晶シリコン型(「Honey Plus」モジュール)
セルは156×78mm2120枚使用。
モジュール変換効率19.86%
開口部(1.514m2)での数値。
ドイツの「Fraunhofer ISE CalLab」で認定された。
用いた技術(一部)
  • 独自開発の多結晶シリコンウエハー(少数キャリアの寿命が長い)
  • half-cell interconnection
  • PERC(passivated emitter and rear cell)技術
  • 高効率な光捕捉

カネカ社(2016/10/27発表)

太陽電池の種類ヘテロ接合バックコンタクト型
モジュール変換効率24.37%
産総研で測定した数値。
測定時のマスクの開口部面積は1万3177cm2
用いた技術(一部)
  • ヘテロ接合バックコンタクト型セル(108枚使用)
  • セル間の配線技術(モジュール内の抵抗損失を低減)
  • 光の収集効率を高める技術

Trina社のほうは既に実用化しているタイプのモジュールにおける記録、カネカ社のほうは研究開発段階のモジュールでの記録と、2社で条件はかなり異なっています。

しかし、成熟した方式と見られている結晶シリコン型(HIT型を含む)において、近い時期に変換効率の記録更新が相次いで発表されたのは、偶然かもしれませんが非常に興味深いことであり、結晶シリコン型の可能性が尽きていないことを感じます。

また面白いのは、両方ともセルを通常(正方形)の半分にしたかたちで、モジュールに用いていると見受けられる点です。

実際にTrina社のセル枚数は120枚、カネカ社のセル枚数は108枚と多く、またカネカ社のプレスリリース[2]の掲載写真からは、短冊形の細長いセルを12枚×9枚並べていることが推測されます。

この方式が、結晶シリコン型での変換効率向上において一般的な手法となっていくのかは、今後注目していきたいところです。


※参照資料:
[1]Trina Solar Announces New World Record of 19.86% Aperture Efficiency for "Honey Plus" Multicrystalline Silicon Solar Module(Trina Solar社)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2212445
[2]結晶シリコン太陽電池モジュールで世界最高変換効率24.37%を達成(カネカ)
http://www.kaneka.co.jp/service/news/161027

※関連記事:

シャープが椅子型「ソーラー充電スタンド」を開発、人工衛星などに使われる高高率な化合物型太陽電池モジュールを搭載

※2016/10/31 9:31 記事タイトルと記事内の企業名に誤りがあったため修正しました。
不手際を深くお詫び申し上げます。


シャープ社が2016年10月26日に、

  • 高効率の化合物太陽電池(人工衛星などに使用)を用いる椅子型の「ソーラー充電スタンド」を開発した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


  • 主な特徴
    椅子に太陽電池モジュール・蓄電池・USBポートを搭載している。
    • 屋外(テラス席など)に設置して発電し、蓄電池に蓄電。
      利用者は椅子に座ってコーヒー等を飲みつつ、スマートフォン等を充電できる。
    • 蓄電池により、日照時間が少ない場合でも充電可能になる。
    • 椅子型のため、移動が簡単に行える。
  • 搭載機器
    • 太陽電池モジュール:化合物型(変換効率約30%)
      椅子の背もたれの裏側に設置している。
    • 蓄電池:座面の下に搭載している。
    • USBポート:座面の後ろ端に搭載。
  • 実際の導入
    公益財団法人東京都環境公社の「シティチャージ普及促進事業」に採用されており、都内のコーヒーショップ3店舗に、2016年10月下旬から設置されていく予定。

シャープは今年5月に化合物3接合型モジュールの地上用途での展開方針を発表しており、今回の椅子型スタンドはその第一号と思われますが、宇宙用で使われるタイプの太陽電池が、身近な日用品である椅子と組み合わせられたところに、強いインパクトを感じます。

椅子の座面は、太陽光発電による充電を考慮した可動式(角度を変えられる)と見受けられますが、人が座っている際には太陽電池側がオーバーハング(地面を向く)になるので、発電能力は落ちるはず。

太陽電池モジュールのサイズも大きくは無く、太陽光発電の環境としては厳しいはずですが、高性能な化合物型の採用は、その条件を克服するためなのかもしれません。

また、同じ「シティチャージ普及促進事業」で先に採用されたソーラー充電スタンドは、後に販売価格250万円で発表されましたが、今回の化合物型を用いた椅子型は、市販する場合いったいどのぐらいの価格になるのか、興味を惹かれるところです。


※参照資料:
[1]高効率な化合物太陽電池でスマートフォンを充電できる椅子型「ソーラー充電スタンド」を開発(シャープ社)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/161026-a.html
[2]スターバックスに新型シティチャージを設置します(クール・ネット東京)
https://www.tokyo-co2down.jp/page.jsp?id=6989

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