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2022年11月02日

シャープ社の屋内光発電デバイス「LC-LH」は、発電効率がアモルファスシリコン太陽電池の2倍、また液晶工場での生産が可能

シャープ社が2022年10月17日に、

  • 同社の屋内光発電デバイスLC-LH(Liquid and Crystal Light Harvesting)」が、「CEATEC AWARD 2022」の「経済産業大臣賞」を受賞した。

と発表していました[1]。

その中から「LC-LH」の概要をまとめてみました。


構造
  • 色素増感太陽電池
  • 液晶ディスプレイ技術
を組み合わせている。
特徴
  • 高い発電効率:
    一般的なアモルファスシリコン太陽電池(時計、電卓などに使用)の、2(照度500ルクスの屋内環境下)。
想定用途の例
  • 電子棚札やビーコン
  • ヘルスケアや環境関連のセンサ
  • 各種リモコンやモバイルバッテリー
  • 使い捨て電池からの置き換え(廃棄物の低減)
生産
  • 2023年度に開始予定(液晶工場の設備を活用)


単純に考えて、同じ環境下・使用条件下で発電電力が従来の2倍になる、ということであれば、小型機器用の太陽電池として、極めて大きい性能アップだと思います。

[3]に掲載されているCEATECでの写真を見ると、消費電力が少ないE-Ink使用のデバイスとはいえ、それほど大きくない「LC-LH」一つで、結構大きいディスプレイ(電子書籍端末ぐらい?)や、複数個のスーパー用棚札が動作しており、発電能力の高さが伺えます。

また生産については、液晶ディスプレイの工場・設備でそのまま行え、生産コストの大幅なダウンが見込まれる[2][3]とのことで、液晶におけるシャープの強みが、太陽電池デバイスの生産に直接的に生かされる、というのが非常に意外でした。

いっぽう太陽電池が色素増感型なので、耐久性や寿命がどの程度なのか、という点が気になりますが、直射日光や風雨・風雪に晒されない屋内専用ということであれば、十分実用に足る、ということかもしれません。

個人的には非常に久しぶりに、日本の太陽電池メーカーによる(海外をリードするような)先進的な技術・製品を見せられた思いがするので、生産開始後には是非とも広く普及し、利用・活用が進んでほしいものです。


※参照・参考資料:
[1]屋内光発電デバイス『LC-LH』が「CEATEC AWARD 2022」の『経済産業大臣賞』を受賞(シャープ社、2022/10/17)
https://corporate.jp.sharp/news/221017-a.html
[2]CEATEC AWARD 2022 総務大臣賞・経済産業大臣賞・デジタル大臣賞・部門賞 決定(CEATEC、同上)
https://www.ceatec.com/ja/news/info_detail.html?id=35
[3]液晶の強みを活かしたシャープの新技術のCEATECで見た(週刊アスキー、2022/10/18)
https://weekly.ascii.jp/elem/000/004/109/4109286/

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2022年09月26日

ネクストエナジー社のソーラーカーポート「Dulight」「TM2 Dulight」が「飛び火認定(DR認定)」を取得、建築確認申請を簡素化

ネクストエナジー社が2022年9月16日に、

  • 屋根材に両面発電の太陽電池モジュールを採用しているカーポート商品 「Dulight」「TM2 Dulight」で、飛び火認定DR認定)を取得した。

と発表していました[1]。

その主な内容をまとめてみました。


<背景>

  • 「Dulight」「TM2 Dulight」は、販売開始から約2年が経ち、
    • 住宅
    • 工場
    • 病院
    • 空港
    などでの需要を得ている。
  • 建築基準法では、建物が密集した地域の建築物に、一定の耐火性能を要求している。
    このためソーラーカーポートにおいては、建築確認申請の際、耐火特性に対する説明に、時間と手間がかかっていた。
  • ネクストエナジーは上記の申請手続きを効率化するため、昨年(2021年)に、カーポートのDR認定を取得していた。
    今回は更に、今後のモジュールの大型化も見据えて、飛び火認定(DR認定)を取得した。
  • 今回のDR認定取得により、建築基準法上の
    • 防火地域
    • 準防火地域
    • 第22条指定地域
    において、建築確認申請の簡素化が可能になった。

<その他>

DR認定の対象 カーポートの屋根材
(モジュール単体での認定では無い。)
認定の取得年月日 2022年8月25日


「飛び火認定」や「指定地域」については全く知らなかったので、検索してみたところ、下記の解説が見つかりました。

飛び火認定 [2]より引用。
「屋上防水に関連する建築資材は、隣家で発生した家事による延焼を防ぐ観点から、火の粉が飛んできた場合にも一定時間耐えうる 「飛び火」についての技術的基準が規定されています」
法22条区域 [3]より引用。
  • 「建物の屋根を不燃材料で造り、または葺かなければならない区域」
  • 「不燃材料は、加熱開始後20分以上のあいだ、燃焼しない、防火上有害な変型・溶融・き裂その他の損傷を生じない、避難上有害な煙・ガスを発生しないという要件を満たす材料」
  • 「防火地域・準防火地域についても、別途の規定に基づき、法22条区域と同様の制限が適用される」

個人的にはこれまで漠然と、「太陽電池モジュールはかなり燃えやすいのでは?」というイメージを持っていました。

そのため、飛んできた火の粉への耐久性能はまだしも、炎で直接焙られた場合に太陽電池モジュールがどれだけ耐えられるものなのか?(=モジュールは「不燃材料」に認められ得るのか?)という疑問が湧きました。

そこで、東京消防庁が2014年に発表していた「PVモジュール燃焼実験」の結果[4]を見返したところ、最も条件(火の強さ、加熱時間の長さ)が厳しい「大火災」でも、可燃物(バックシート、封止材)の燃焼が終わると、横方向への延焼は起こっていませんでした。

加えてこの燃焼実験は、通常の太陽電池モジュール(裏面がバックシート)を用いたものであり、カーポート「Dulight」「TM2 Dulight」に用いられている両面発電型モジュール(裏面もガラス)では、更に格段に燃え難いことが想像されます。

また[4]では、太陽電池モジュール自体から発火する可能性は小さいことにも言及されており、火災に対する太陽電池モジュールのこれらの一般的な特性が、「Dulight」「TM2 Dulight」が認定された耐火性能にも繋がっているのでは、と考えます。

ともかく、「太陽電池モジュールは非常に燃えやすい」という私のイメージは、間違いだったようです。
(火災時の消火活動で水などをかけた際の、感電の危険性と混同していた模様)


※参照・参考資料:
[1]屋根材一体型カーポート「Dulight」「TM2 Dulight」の飛び火認定(DR認定)を取得(ネクストエナジー社、2022/9/16)
https://www.nextenergy.jp/information/220916/
[2]飛び火認定番号とは何でしょうか?(アーキヤマデ社)
https://www.a-yamade.co.jp/support/qa/detail/138
[3]法22条区域(建築基準法22条指定区域)(三井住友トラスト不動産)
https://smtrc.jp/useful/glossary/detail/n/3905
[4]太陽光発電設備に係る防火安全対策の検討結果 第5章〜第6章(東京消防庁)
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-yobouka/sun/repo_03.pdf
(※「https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-yobouka/sun/index.html」内。)

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 火災

2022年06月14日

シャープ社の住宅向け新モジュール「NU-375KH」は、セル大型化とマルチワイヤ技術で出力375W、また「スマートラック ジャイロック」採用で設置できる屋根材を拡大

シャープ社が2022年5月25日に、

  • 切妻屋根に適した住宅用太陽電池モジュール「NU-375KH
を発表していました[1][2]。

その中から、個人的に興味を持った特徴・仕様をまとめてみました。


シャープの
住宅向けモジュール
で最大規模
  • 太陽電池セルの大型化と、
    • バスバー電極の本数増加(電気抵抗の低減)
    • 円形の電極断面形状
    により(マルチワイヤ技術)、モジュール出力を約14%増(従来機種比)。
高島社の架台
スマートラック
 ジャイロック

を標準採用
  • シャープ社の住宅用モジュールで初採用。
    これまで採用していたDC立平架台と合わせて、設置可能な屋根材の種類が広がった。
出力、サイズ等
  • セルの種類:単結晶シリコン
  • 公称最大出力:375W
  • 質量:21.5kg
  • 外形寸法:幅1755mm×奥行1038mm×高さ40mm


シャープ社の住宅用モジュールでは、約9か月前(2021年8月)の「BLACKSOLAR ZERO」[3]以来となるプレスリリースでした。

ただ9本バスバーについては、その「BLACKSOLAR ZERO」で既に見受けられます。

またハーフセル技術(同じく「BLACKSOLAR ZERO」で採用済み)も、今回の「NU-375KH」の画像から用いられていることが見受けられますが、プレスリリースや製品紹介ページ[2]で全く言及がありません。

シャープ社製住宅用モジュールにおける、これら2技術の採用発表は、「BLACKSOLAR ZERO」の前の(2021年3月発表の)「NU-259AM」「NU-259HM」が最初だったと思いますが、もはや当たり前の技術になっている、ということかと思われます。

また、セルの大型化を含めて、海外メーカーが先行してきた技術に、シャープ社もきっちり追いついている、ということかもしれません。


また「スマートラック ジャイロック」については、シャープ社はなく他社の技術ですが、製品紹介サイト[4]の内容(実際の作業手順など)が非常に詳しくて興味深く、また説得力を感じます。


※参照・参考資料:
[1]設置面積の大きい切妻屋根に適した大型・高出力モデル 住宅用単結晶太陽電池モジュールを発売(シャープ社、2022/5/25)
https://corporate.jp.sharp/news/220525-a.html
[2]太陽電池モジュール NU-375KH(同上)
https://jp.sharp/sunvista/solar/module/375kh/
[3]住宅用太陽電池モジュール「BLACKSOLAR ZERO」4機種を発売(同上、2021/8/20)
https://corporate.jp.sharp/news/210820-a.html
[4]スマートラック ジャイロック(高島社)
http://www.smartrack.jp/

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2022年06月07日

オランダの住宅用太陽光発電(12kWp、屋根5面に設置)が、Tigo energy社の製品により、発電電力量を約30%増加

もう2ヶ月ほど前になってしまいますが、Tigo energy社が2022年4月8日に、

  • 自社製品の導入により、住宅用太陽光発電の発電電力量を30%増加できた事例

を発表していました[1]。

設備などの概要は次の通り。


<太陽光発電設備>

パネルの設置場所 オランダの北ホラント州の住宅屋根
向きが異なる5面に設置。
 各面が1アレイで、パネルの枚数も異なる
設置者 「NL HDG Energie Advies」のエネルギーコンサルタントの方。
(住宅所有者であり、設計・設置も自身で担当)
発電容量 12.1kWp

<導入したTigo社の製品と機能>

  • タイゴTS4-A-Oオプティマイザー
  • クラウド・コネクト・アドバンスト(CCA)データロガー
  • タイゴ・アクセス・ポイント(TAP)アンテナ
を組み合わせており、
  • 緊急遮断
  • モジュールレベルの発電状況の可視化
  • 回収エネルギーの最適化
を実現している。

<発電の実績>

  • 2018年に設置し、その後2年間で5MWhを発電した。
    うち1.5MWhが、TS4-A-Oオプティマイザーにより得られたもの。


[1]の写真ではっきり見て取れるのは、屋根の4面ですが、そのうち3面は日本の寄棟屋根のような形です。(パネルを設置しているのは、南と東・西の面でしょうか?)

また1面は、陸屋根のような場所で、これが最もパネルの設置枚数が多いようです。

ともかく、確かにパネルの設置枚数や方角(陸屋根と寄棟屋根では角度も)は、屋根面によって大きく異なっており、素人目に考えても、システム全体での発電電力量の(時間経過に伴う)変化は、かなり複雑なものになっていそうです。

これだけ挑戦的に思える設備を設計・設置したのは、エネルギーコンサルタントという職業の能力を生かしての意欲的な試み、ということかと想像します。


発電電力量が3割増しとのことですが、よく記事[1]を読むと、それは例えばTigo社製品を導入しない状態での実際の発電実績と比較してのものなのか、明記は残念ながらされておりません。

ただ仮に、通常の発電量予想の数値との比較、ということであっても、30%増は極めて大きなメリットだと思われます。


これだけ顕著な恩恵が、どのような太陽光発電設備でも得られるものなのかどうかは判りませんが、特殊な条件やシステム構成であるほど、Tigo社の製品のようなモジュールレベルでの制御システムは高い効果を発揮する、ということなのかもしれません。

太陽光発電システムの設置可能性を広げる、という意味で、興味深い事例だと考えます。


※参照・参考資料:
[1]タイゴエナジー、オランダの住宅用太陽光発電システムで発電量を30%増加させる(ビジネスワイヤ、2022/4/6)
https://www.businesswire.com/news/home/20220406005037/ja
[2]北ホラント州(ウィキペディア)
[3]NL Energie Advies
https://nlenergieadvies.nl/
[4]TS4-A-O(Tigo energy社)
https://ja.tigoenergy.com/product/ts4-a-o
[5]TAP(同上)
https://ja.tigoenergy.com/product/tigo-access-point
[6]CCA(同上)
https://ja.tigoenergy.com/product/cloud-connect-advanced

2022年01月29日

米Sunpower社は2021年4Qに住宅向け事業が急拡大、買収などで販売可能性を拡げ、受注残は過去最大

Sunpower社が2022年1月20日に、2021年第4四半期の暫定結果を発表していました[1]。

今回はその中から、住宅向け市場に関する情報を抜き出してみました。
具体的には下記の通り。


  • Sunpower社は同四半期に、
    • 事業の買収
    • 顧客獲得マーケティング
    • 設備の設置範囲の拡大
    を通して、新しい市場により深く拡大した。
  • その結果同社は、同四半期にサービス可能市場における世帯数33%増加した。
    一戸建て住宅は1330万戸増加し、機会の合計は5330万戸となった。
  • 住宅需要の強さは続いており、2022年に入ってSunPower社の受注残は、同社史上で最大となっている。
    レトロフィット顧客が約1万3000新築顧客のパイプラインが6万6000


データの対象となる地域は記述されていませんが、Sunpower社が昨年(2020年)発表していたMaxeon Solarとの分社計画の内容から、北米市場(米国とカナダ)における数字と考えられます。

カナダは判りませんが、米国については2020年の総世帯数が1億2680万[2]なので、住宅向けのサービス可能市場における合計機会5330万戸という数字は、北米全体でみても、結構な割合を占めているものと想像します。

Sunpower社は昨年10月に、米Blue Raven Solar社の買収を発表しており[3]、これにより米国北西部や中部大西洋岸地域など、これまでSunpower社の浸透が少なかった地域での販売が、かなり強化された模様です。
具体的には、Blue Raven社は14の州で同社の販売・設置の90%以上を行っている一方で、同地域でのSunPower社の売上は同社全体の約5%に留まっていたとのことで、買収による事業強化の効果の大きさが想像されます。

とは言え、米国での新築住宅着工件数は2021年10月に152万件[4]であり、これをSunpower社の新築顧客の現在のパイプラインの規模(6万6000件)と比較すると、販売拡大の余地は相当に大きいものと推測します。

加えて今回の発表では、(上記には書き出しませんでしたが)住宅事業に投資を集中するべく、CIS事業の売却を追求しているとも述べられており、上述のデータと合わせて、住宅向けに注力するSunpower社の姿勢を、強く感じました。


※参照・参考資料:
[1]SunPower Announces Preliminary Fourth Quarter 2021 Results(Sunpower社、2022/1/20)
https://newsroom.sunpower.com/2022-01-20-SunPower-Announces-Preliminary-Fourth-Quarter-2021-Results
[2]2020年米国勢調査分析、過去10年で世帯数の伸び鈍化、米シンクタンク調査(JETRO、2021/10/15)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/10/875dbaa97e4a5614.html
[3]SunPower Acquires Blue Raven Solar, One of the Fastest Growing Residential Solar Providers in the U.S.(Sunpower社、2021/10/5)
https://newsroom.sunpower.com/2021-10-05-SunPower-Acquires-Blue-Raven-Solar,-One-of-the-Fastest-Growing-Residential-Solar-Providers-in-the-U-S
[4]米住宅着工・許可件数(21年10月)…着工件数は前月から減少、市場予想も下回る一方、許可件数は前月、市場予想を上回る(幻冬舎 Goled Online、2022/1/28)
https://gentosha-go.com/articles/-/38872

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2021年10月18日

ソーラーフロンティア社がCIS薄膜型の汎用太陽電池パネルの生産終了を決定、「次世代型システムインテグレーター」への転換を図る

出光興産が2021年10月12日に、

  • 子会社ソーラーフロンティアにおける「事業構造改革

を発表していました[1]。

その主な内容・方針は次の通り。


<「次世代型システムインテグレーター」への転換>

熾烈な価格競争に陥っている汎用太陽電池パネルの研究・製造に投入している経営資源を、独自性が発揮できる成長分野にシフトする。

発電システム設計
・EPC事業
日本国内でのメガソーラーの適地が不足する中で、従来は太陽光発電設備を設置できなかった場所を開拓するべく、機器・システム・工法の開発を進める。
O&M事業、
発電所評価・リパワリング事業、
太陽電池パネルリサイクル事業
太陽電池パネルの品質評価結晶シリコン系も含む)により蓄積したデータや分析・解析能力を活用し、太陽光発電所をより長寿命化できる
  • O&M
  • 発電所評価
  • リパワリング
等のサービスを開発し提供していく。
また、2024年度には太陽電池パネルのリサイクル事業を開始できるよう、
  • マテリアルの用途開発
  • 必要な許認可の手続き
  • ビジネスモデルの開発
に取り組む。
エネルギーマネジメントシステム事業 太陽光発電をより安定的に使用可能とするべく、
  • オンサイト・オフサイトでの、自家消費用途の太陽光発電システムの開発
  • コーポレートPPA契約による電力供給
  • 太陽光発電設備と電力需要に、更にEVや蓄電池などを組み合わせるシステムの開発
  • 発電量と需要予測の精度向上
等に、既に取り組んでいる。
結晶型太陽電池パネルのOEM調達 汎用型CIS薄膜太陽電池の自社生産体制から、結晶シリコン系太陽電池のOEM調達に移行する。
これに伴い、宮崎県・国富工場におけるCIS薄膜太陽電池の生産を、20226月末を目途に終了する。
(※同工場は今後、次世代型システムインテグレーターに転換していく上での中核的拠点とする)
次世代太陽電池の研究開発 CIS薄膜太陽電池の研究開発を、「出光興産次世代技術研究所」に集約。
CIS型の高付加価値化を目指し、
  • CISの「高放射線耐性」を活かせる宇宙空間用途
  • 電動自動車や通信用ドローン等の移動体への搭載が期待される、タンデム型太陽電池への活用
等の研究開発を進める。


中国メーカーが主導してきた太陽電池パネルの急激な価格低下は、他国のメーカーにおいては強烈な圧力となり、2017年には老舗・独SolarWorld社の経営破綻も起こりました。

日本メーカーについても、近年の業績発表での(太陽電池事業に関する)言及の乏しさから、厳しい状況が想像されてはいましたが、独自技術でCIS薄膜型を手掛けてきたソーラーフロンティア社がその生産終了を正式発表したことには、やはり強く驚かされ、また極めて残念だと感じざるを得ません。

ただ最近はちょうど、太陽電池の素材の主流であるシリコンについて、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働による生産の疑いが出ており、その結果としてシリコン価格・ひいては太陽電池パネルの急激な価格上昇が起こっているとのこと。(例えば[2][3])

そんな状況があるので、シリコンを使わずに済むCIS薄膜型の汎用太陽電池パネルが、いつか復活する可能性もあるのでは・・・と想像しますが、果たしてどうでしょうか。


※参照・参考資料:
[1]ソーラーフロンティア株式会社の事業構造改革について(ソーラーフロンティア社、2021/10/12)
https://www.solar-frontier.com/jpn/news/2021-1012-press.html
[2]ウイグルの強制労働疑惑、太陽光パネル関連工場でも浮上 ⇒ 京セラなど国内3社の対応は?(ハフポスト、2021/7/1)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_60da8a30e4b04decb353f1c4
[3]ウイグル問題、太陽光発電に影 パネル主原料5倍に高騰(日本経済新聞、2021/7/4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC21EG30R20C21A5000000/

2021年04月30日

分散型の屋上設置向けに、Jinko Solar社が「Tiger Pro 415W」、JA Solar社が「DeepBlue 3.0 Light」の各新モジュールを発表、いずれも最高出力415W・外形約1.7m×1.1m

  • Jinko Solar
  • JA Solar

が各々、2021年3月26日

  • 分散型太陽光発電向けの太陽電池モジュールの新機種

を発表していました[1][2]。

それらの概要は次の通り。


<Jinko Solar社の「Tiger Pro 415W」>

出力 415W
(182mm角セルを54枚使用)
外形サイズ 1.71.1m
(人の身長、腕の長さ、屋根のサイズ等を考慮している)
その他の特徴
  • 安全性と信頼性:
    モジュール材料のアップグレードと、プロセス設計の最適化を実施。
    耐積雪荷重に優れ、高い積雪荷重や風圧力の地域にも適用できる。
  • 保証:
    15年の製品保証と、25年の出力保証を用意。

<JA Solar社の「DeepBlue 3.0 Light」>

出力 最大415W
外形サイズ、重量[3][4] 1722mm×1134mm×30mm21.5kg
※前年に出荷開始の「DeepBlue 3.0」は、出力550Wで2279mm×1124mm、28.6kg[4]。
認証 TUV SUDにより「IEC 61215」「IEC 61730」の認証を受けている。
その他の特徴 2020年10月に出荷開始した「DeepBlue 3.0」モジュールにおける
  • 182mm×182mmウエハー
  • 新世代のPERC技術「PERCIUM+」
  • Gaドープのシリコンウエハー
等の利点を継承しつつ、商業用・住宅用屋上設置システム向けに、
  • リーズナブルなサイズと重量、リーズナブルな電気的パラメータ
というマインドで設計。
  • より大きい設置容量
  • より低いBOSコスト
  • より高い投資収益率
を提供できるよう考慮している。


最高出力は同じ、外形サイズも奇しくも(?)ほぼ同等ですが、屋上や屋根への設置用として(設置コスト等も含めて)考慮した結果、現状では異なるメーカーでも似た回答(仕様)に到達した、ということかもしれません。

ちょうど今回の製品発表と同時期に、Trina Solar社とCanadian Solar社が600W超の新モジュールについて発表していましたが、Canadian社の製品は外形サイズが約2.4m×1.3m、重さは30s台〜約40kgという大型でした。
それと比べると、今回のJinko社とJA社の製品は確かに、格段にコンパクトです。

またJA社の先行機種「DeepBlue 3.0」と今回の「Light」の間でも、大きさ・重量にかなりの違いがあり、更に他を思い返すと、3月発表のシャープ社の住宅向け新モジュールでは、更にサイズが抑えられていました(259Wで約1.3m×1.1mm、10kg台半ば)。

また、やはり最近Trina Solar社が発表したリリース[5]でも、分散型発電向けとして、「小型で高出力」なモジュールが強調されています。

これらの状況からは、ひとくちに同じ「太陽電池モジュール」と言っても、用途に応じてかなり鋭く最適化が進んでいる感を受け、非常に興味深く感じるところです。


※参照・参考資料:
[1]新製品発表|ジンコソーラーTiger Pro415 Wモジュール、分散型太陽光発電事業に(Jinko Solar社、2021/3/26)
https://www.jinkosolar.com/jp/site/newsdetail/1504
[2]JA Solar Launches DeepBlue 3.0 Light Tailored for Distributed Solar PV Market(JA Solar社、2021/3/26)
https://www.jasolar.com.cn/index.php?m=content&c=index&a=show&catid=399&id=93
[3]JA Solar unveils 415 W solar module with 21.3% efficiency(pv magazine、2021/3/29)
https://www.pv-magazine.com/2021/03/29/ja-solar-unveils-415-w-solar-module-with-21-3-efficiency/
[4]JA Solar’s 415-Watt Solar Panel For Residential Installations Unveiled(Solarquotes blog、2021/4/2)
https://www.solarquotes.com.au/blog/ja-solar-deepblue-mb1940/
[5][Q&A] トリナ・ソーラー製 Vertex分散型モジュールについて(Trina Solar社、2021/4/18)
https://www.trinasolar.com/jp/resources/newsroom/mon-04192021-1141

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2021年04月29日

Trina Solar社が670Wの「Vertex」モジュール、Canadian Solar社が最大665Wの「HiKu7」・同655Wの「BiHiKu7」を、各々量産開始

  • Trina Solar
  • Canadian Solar

2021年3月〜4月に各々、

  • 出力600W超の太陽電池モジュール製品の量産を開始した。

と発表していました[1][2]。

今回はそれらの発表から、各製品の主な仕様・特徴をまとめてみました。


<Trina Solar社「Vertex」モジュールの最新機種>

モジュール1枚の出力 670W
外形サイズや重量 記述無し。
特徴
  • 認証:
    テュフラインランドの各種信頼性評価を合格し、IEC認証を取得している。
  • 210mmセルを採用:
    他の同セル採用モジュールと同じく、
    • ダメージレスカッティング(non-destructive cutting)
    • 高密度実装
    • マルチバスバー(MBB)
    等の技術を用い、信頼性と性能を高めている。
  • 機械的強度も確保:
    フレーム設計の最適化と適切な部材選定により、モジュール面積が拡大しても変形を抑える。
    これにダメージレスカッティングも加わることで、機械的強度は業界標準の正圧5400Pa、負圧2400Paに準拠している。
  • 輸送設置・施工の効率化にも配慮:
    新しい梱包方法により、コンテナへの効率的な積載を実現。
    また、
    • モジュール開梱用の補助ツール
    • 自動設置重機(※開発中)
    も提供する。
発売時期 記述無し。
(※既に量産体制に入っている


<Canadian Solar社の「HiKu7」と「BiHiKu7」>

シリーズ名 「HiKu7」[3] 「BiHiKu7」[4]
出力 640〜665W 635〜655W
外形サイズ 2384mm×1303mm×35mm
重さ 34.4s 39.4s
特徴
  • 認証:
    VDEにより、IEC61215とIEC61730が認証されている。
  • 210mmセルを採用:
    産業用・事業用の発電設備において、LCOEやBOS等のコスト削減に寄与する。
  • 独自技術による性能向上:
    独自のセル技術やモジュール設計(hetero-type ribbon含む)により、セル間の隙間を50%以上削減。
    また「Canadian Solar Advanced Regeneration 」(CSAR) により、光や高温による劣化(LeTID)を低減した。
発売時期 既に量産を開始
2021年4月には、最初の生産分の提供が行われる。

つい昨年(2020年)には出力500W超のモジュールの発表が多くのメーカーから行われていましたが、今回は600W超の製品について、少なくとも2社から既に量産開始が明言されており、モジュール1枚あたりの高出力化の進展の速さを、強く感じます。

ただ出力がここまで高まると、モジュール1枚の大きさや重さも果たしてどの程度まで増すのか、というのが気になります。

「Vertex」670Wシリーズと「HiKu7」「BiHiKu7」は、同じ210mmセルを用い、出力も近いことから、大きさ・重量もほぼ同程度かと思われます。
その「HiKu7」「BiHiKu7」は、大きさが約2.4m×1.3m、重さに至っては30s台半ば〜約40kgであり、架台への設置作業における(モジュール1枚あたりの)負担は、かなり大きそうです。

ただし一方では、モジュールの設置枚数を減らせるので、トータルでみると設置にかかる負担は減る、という見通しだと思われますが、ともかく現状ではやはり、最先端の高出力製品といっても、あくまで大規模設備や産業用設備向け(非住宅用)に限る、ということかもしれません。


※参照・参考資料:
[1]トリナ・ソーラー モジュール変換効率21.6%の670W Vertexモジュールを発表(Trina Solar社、2021/3/15)
https://www.trinasolar.com/jp/resources/newsroom/mon-03152021-1624
[2]Canadian Solar Starts Mass Production of 210 mm Large Cell Modules of up to 665 W(Canadian Solar社、2021/4/12)
http://investors.canadiansolar.com/news-releases/news-release-details/canadian-solar-starts-mass-production-210-mm-large-cell-modules
[3]HiKu7 Mono PERC(Canadian Solar社)
https://static.csisolar.com/wp-content/uploads/2020/10/19095023/Canadian_Solar-Datasheet-HiKu7_CS7N-MS_v1.6_EN.pdf
(※「https://www.csisolar.com/downloads/」内より、[4]も同じ)
[4]BiHiKu7(Canadian Solar社)
https://testsolar.csisolar.com/wp-content/uploads/2020/10/Canadian_Solar-Flyer-BiHiKu7_CS7N-MB-AG_EN.pdf

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2021年04月28日

2020年通期の太陽電池モジュール出荷量は、Jinko Solar社が18.8GW、Trina Solar社が15.915GW(世界3位)、Canadian Solar社が11.3GW(前年比32%増)

今回は

  • Jinko Solar
  • Trina Solar
  • Canadian Solar

の最近の業績発表[1]〜[3]から、2020年通期太陽電池モジュール出荷量をまとめてみました。

具体的な数値は下表の通り。


2020年の
太陽電池モジュール
出荷量
Jinko Solar社 18.8GW
Trina Solar社 15.915GW
(世界3
Canadian Solar社 11.3GW
(前年比32%増)


他に思い当たる海外大手メーカーの業績発表も見てみましたが、モジュール出荷量の実績を明記しているのは、上記の3社のみでした。
Trina社が第3位ということで、2位のメーカーは(過去の実績から)JA Solar社かと思いましたが、現状では同社から数値が公表されておらず未確認です。

トップのJinko社は、前年(2020年)の実績(14.3GW)から約3割の増加。
Canadian Solar社も、前年実績(8.6GW)からほぼ同等の割合で伸びており、限られたデータながら、世界の太陽電池需要の旺盛な伸び具合が推測されます。

Jinko社が年間出荷量10GWを明確に超えたのは2018年のことでしたが、このペースの伸びが続けば、早くも今年(2021年)には年20GW超えの達成が濃厚と思われます。
同社に限らず、海外メーカーのモジュール出荷量の急激な伸びには、ただ驚くばかりですが、それだけ世界の太陽光発電市場も急拡大を続けている、ということだと思われ、太陽光発電の導入・普及が世界的に加速しているのであれば、極めて喜ばしいことだと考えます。


※参照・参考資料:
[1]JinkoSolar Announces Fourth Quarter and Full Year 2020 Financial Results(Jinko Solar社、2021/4/9)
https://ir.jinkosolar.com/news-releases/news-release-details/jinkosolar-announces-fourth-quarter-and-full-year-2020-financial
[2]世界トップ3のモジュールメーカー  トリナ・ソーラーが2020年の決算報告(Trina Solar社、2021/4/16)
https://www.trinasolar.com/jp/resources/newsroom/sat-04172021-1118
[3]Canadian Solar Reports Fourth Quarter and Full Year 2020 Results(Canadian Solar社、2021/3/18)
http://investors.canadiansolar.com/news-releases/news-release-details/canadian-solar-reports-fourth-quarter-and-full-year-2020-results

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2021年04月12日

シャープの住宅用新モジュール「NU-259AM」は横・縦置き両対応に「ハーフセル」「マルチワイヤ技術」等を採用、「NU-259HM」は垂直積雪量200cmまで対応

1ヶ月以上前になりますが、シャープ社が2021年3月5日に、

  • 住宅用単結晶太陽電池モジュールの新機種2種(「NU-259AM」「NU-259HM」)

を発表していました[1]。

主な特徴・仕様は次の通り。


<主な特徴>

  • 「NU-259AM」は横置き・縦置き両対応:
    • 横置き(モジュールの長辺が横方向)
    • 縦置き(同・縦方向)
    の両方に対応しており、屋根の形状に合わせたレイアウトで、設置容量を増やすことができる。
  • ハーフセル」「マルチワイヤ」等で出力・変換効率をアップ:
    • 太陽電池セルを半分にカットする「ハーフセル技術」で、セル表面の電極に流れる電流値を半減し、電力損失を低減。
    • 「マルチワイヤ技術」により、バスバー電極9本に増加。
      (※従来機種(2019年度モデル「NU-218AJ」、以下同じ)では5本)
      バスバー電極間のフィンガー電極が短くなることで、同電極の電気抵抗を減らしている。
      更にバスバー電極の断面形状円形(※従来機種では長方形)にしたことで、電極の反射光もセルに当てて発電に利用できる。
  • 温度上昇による変換効率低下を改善:
    従来機種比で、約12%改善した。
  • 「NU-259HM」は垂直積雪量200cmまで対応:
    モジュールの裏面に補強バーを追加している[3]。

<主な仕様>

NU-259AMNU-259HM
種類単結晶シリコン
公称最大出力259W
モジュール変換効率19.4%
耐積雪性能150cm200cm
質量15.5kg16.5kg
外形寸法1265mm×1055mm×46mm


シャープ社のプレスリリースで太陽電池モジュールの新機種を見るのは、かなり久しぶりだと思ったので、過去のリリースを確認したところ、前回は実に約3年前(2018年5月[4])でした。
それだけ今回の新機種では大きな変化があったということだと思いますが、従来機種の2019年度モデル「NU-218AJ」[5]と比べると、やはりハーフセルと9本バスバーの採用が、最大の特徴と見受けられます。

ただこれら2点は、例えばJinkoSolar社が約1年前(2020年5月)に発表した「Tiger Pro」 では既に採用されており、日本の大手モジュールメーカーでもようやく新しい構造・技術が積極的に取り入れられつつある、ということかもしれません。

また、2モデルとも外形サイズは同じでありながら、垂直積雪量200p対応の「NU-259HM」のほうは、横置き・縦置き両対応になっていませんが、これは裏面に補強バーを入れた都合上かと思われます。


※参照・参考資料:
[1]住宅用 単結晶太陽電池モジュール2機種を発売(シャープ社、2021/3/5)
https://corporate.jp.sharp/news/210305-a.html
[2]NU-259AM(シャープ社)
https://jp.sharp/sunvista/products/module/259am/
[3]NU-259HM(同上)
https://jp.sharp/sunvista/products/module/259hm/
[4]住宅用「クラウド蓄電池システム」ほかを発売(同上、2018/5/10)
https://corporate.jp.sharp/news/180510-b.html
[5]NU-218AJ(シャープ社)
https://jp.sharp/sunvista/products/module/218aj_feature.html

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