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2016年09月26日

パナソニックがミャンマーの無電化村に「パワーサプライステーション」を納入、HITパネル+鉛蓄電池で量産品として設計

パナソニック社が2016年9月23日に、

  • ミャンマーの無電化村(インマジャウン村)に、太陽光発電+蓄電池の独立電源パッケージ「パワーサプライステーション」を納入した。
と発表していました[1]。

今回はその「パワーサプライステーション」の概要を抜き出し、まとめてみました。


用途新興国などの無電化地域向け
特徴
  • 量産製品として開発:
    安定した品質の確保を図っている。
  • 組立・設置を容易化
    電気工事業者でも、簡単・迅速に設置できるよう設計。
    移設や増設もしやすくしている。
  • 実績のある技術を採用
    HIT型太陽電池モジュール
    鉛蓄電池
    を採用。
    また、新開発の「パワーサプライ本体ユニット」で蓄電池の需給管理を行い、をの劣化を抑える。
インマジャウン村への納入品の仕様
  • PV:
    ・太陽電池パネル:HIT型を12枚
    ・発電容量:2.82kW
  • 蓄電池:
    ・種類:長寿命サイクル用の鉛蓄電池(12V・60Ah)
    ・設置台数:24台
    ・蓄電容量:17.2kWh
  • 制御盤:「パワーサプライ本体ユニット」
  • インバーター最大出力:3kW
  • サイズ:幅約4.8m×長さ約3.5m×高さ約3m
    (※コンテナ本体は、幅約2.4m×長さ約2.8m×高さ約2.3m)
  • 質量:約2.7t
  • 製造場所:タイ国の現地法人
インマジャウン村での用途
  • LED街路灯の電源
  • 冷蔵庫(村の集会場に設置)での、毒ヘビ用血清の保管
  • 集会場の照明、家電などの電源(夜間の学習・集会などに使用)

パナソニック社は2014年3月に同様のコンセプトの「パワーサプライコンテナ」を発表しており、太陽電池や蓄電池・インバーターの容量は、今回の「ステーション」と殆ど同じです。

その一方で、装置の高さは50cmほど、質量は1割ほどマイナスになっており、「ステーション」ではいくらかの小型化・軽量化が進んだようです。

また製造場所について、「コンテナ」はインドネシアでしたが「ステーション」はタイであり、こちらも約2年半の間に生産体制の変化があったことが伺えます。

最重要機器の一つである充電池は、今回も鉛蓄電池が用いられていますが、たとえ容量あたりの重量がかさんでも、(可搬型ならともかく)このような定置型であれば、運用における信頼性やコストの面で、他の方式(リチウムイオン電池など)に対する鉛蓄電池の優位性は揺らいでいない、ということだと思われます。

ひとつ気になるのは、今回の導入が寄付金に基づいてなされたものということです。

パナソニック社は開発途上国向けにソーラーランタンの寄贈も継続して行っており、それは非常に価値のある取組みですが、「パワーサプライステーション」のような独立電源とともに、現地の経済に根付いて利益を生み出すサイクルの完成までには、至っていないと見受けられます。

日本企業はBOP市場向けのビジネスに弱い、との指摘はもう4年以上も前になりますが、日本の大手メーカーの1社・パナソニックがその壁を破ることを、密かに期待したいところです。


※参照資料:
[1]ミャンマーの無電化村に太陽光独立電源パッケージ「パワーサプライステーション」を納入(パナソニック社)
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2016/09/jn160923-1/jn160923-1.html

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 発展途上国での導入

2016年09月19日

アンフィニ社が福島県・楢葉町に太陽電池モジュール工場を建設予定、年産10万kW以上で2017年春稼動予定とのこと

アンフィニ社が2016年9月2日に、

  • 福島県の楢葉町との間で、同町に太陽電池モジュール工場を建設する「工場立地協定締結式」を行った。
と発表していました[1]。

新工場の規模は次の通り。


  • 敷地面積:約1万坪
  • 延床面積:約5000坪

またニュース記事[2]では、次の数字が示されています。


  • モジュール生産量:年間10万kW以上
  • 地元での雇用:正社員約60人以上の予定
    (9月21日に、会社説明会をいわき市で実施予定)
  • 用地:楢葉町が建設した工業団地内
    ※工場用地はアンフィニ社が町から購入する。
  • 総工費:75億円
    「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」を活用する。
  • 完成時期2017年春の予定

福島県の震災被災地でのモジュール工場建設というと、かつて南相馬市と立地協定を締結しながら、計画が破棄となった某社の苦い事例[3][4]がありましたが、今回のアンフィニ社は社長の方がウェブサイトにしっかり顔を出しておられることもあり、信頼性は遥かに高いものと考えます。

それはともかく、東北地方の太陽光発電関連産業(※発電所を除く)と言えば、他に私が思い当たる限りでも

といった企業・技術があり、意外に産業が集まりつつあるようにも感じられます。

国内の太陽光発電市場は現在のところ、残念ながら減速が顕著な状況ですが、その中でも東北の太陽光発電産業が、地域に欠かせない存在に成長していくことを、期待したいです。


※参照資料:
[1]工場立地協定締結式を執り行いました。(アンフィニ社)
http://infinigroup.co.jp/topics/?p=605
[2]2017年春、福島県で太陽光発電パネル工場が稼働 雇用創出で復興支援(環境ビジネスオンライン)
https://www.kankyo-business.jp/news/013360.php
[3]桜井・南相馬市長:企業誘致失敗、減給へ 責任認め自ら処分 /福島(毎日新聞)
http://mainichi.jp/graph/2015/06/27/20150627ddlk07010221000c/001.html
[4]同上(AREA PROJECT)
http://areapro.minna.company/%E6%A1%9C%E4%BA%95%E3%83%BB%E5%8D%97%E7%9B%B8%E9%A6%AC%E5%B8%82%E9%95%B7%EF%BC%9A%E4%BC%81%E6%A5%AD%E8%AA%98%E8%87%B4%E5%A4%B1%E6%95%97%E3%80%81%E6%B8%9B%E7%B5%A6%E3%81%B8%E3%80%80%E8%B2%AC%E4%BB%BB/

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リコー社が完全固体型色素増感太陽電池の製品化に目処、アモルファスSi型と同等の価格、約1.5倍の発電性能とのこと

日経テクノロジーonlineの記事[1](2016年9月14日付)で、リコー社が開発している「完全固体型色素増感太陽電池」に実用化の目処が立った旨が、報じられていました。

その中から、主な特徴やデータを抜き出してみました。


  • 特徴
    • 液漏れや色素の剥離を解消
      色素増感型太陽電池のキャリア輸送層(従来はヨウ素溶液を使用)を、
      ・p型の有機半導体材料
      ・固体添加剤
      の混合物に置き換えている。
    • アモルファスシリコン型と同程度の価格
      一般的に高価なp型の有機半導体材料について、複合機の有機感光体と類似した構造の材料を採用する等、自社の材料技術・デバイス作製技術を活用。
      これにより、既存のアモルファスシリコン太陽電池と同程度の価格とする目処をつけた。
  • 発電性能
    試作モジュール(1.5〜数cm四方)では、同寸法のアモルファスシリコン型の1.5
  • モジュールのサイズ:需要があれば、30cm角も製造可能。
  • 想定用途
    主に室内光による
    • IoT端末
    • 消費電力が比較的小さい周辺機器
    などへの給電等を想定している。
  • 発売時期
    20174にも、出荷を開始する予定。
    (現在、パターニング前のセル(30cm角)の製造ラインを準備中)

アモルファスSi型と比べての発電性能は、標準的な白色LED(200ルクス)下で2倍以上、とされていた以前(2014年6月)の発表よりも控えめです。

とは言え、それでも同面積の価格が同程度とのことであり、また耐久性についても、以前の発表以降に更に試験を積み重ねていると思われるので、小型機器の電源として魅力は十分に大きいものと考えます。

既に量産の準備が進められているとのことで、これでいよいよ来年春以降に、色素増感型の本格的な製品化・実用化が実現となるのかどうか、期待が高まります。


※参照資料:
[1]リコー、完全固体型色素増感太陽電池を2017年4月に実用化へ(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/091404063/?rt=nocnt

※関連記事:

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カネカ社がヘテロ接合型セル(180平方cm)で変換効率26.33%を達成、NEDOプロジェクトでの成果

NEDOカネカ社が2016年9月14日に、

  • ヘテロ接合バックコンタクト型の結晶シリコン太陽電池で、セル変換効率26.33を達成した。
と発表していました[1][2]。

概要は次の通り。


  • 背景
    NEDOの「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発」プロジェクトにおける成果。
  • セル面積180cm2
    ※現在実用されている結晶シリコン太陽電池のセル面積は、148〜246cm2
  • 測定した機関:独フランホーファー研究機構
  • 採用した技術: 今回の記録達成には
    • 高品質アモルファスシリコンを用いたヘテロ接合技術
    • 電極の直列抵抗を低減させる技術
    • バックコンタクト技術
    を用いている。
  • 今後の方針
    • NEDOとカネカ社は
      ・2020年に14円/kWh
      ・2030年に7円/kWh
      の発電コスト実現を目指し、効率・信頼性を両立する低コスト化技術の開発を進める。
    • カネカ社では、今回の成果を用いる太陽電池の実用化を目指す。

カネカ社におけるヘテロ接合型のセル変換効率は

と、約1年で実用サイズでの記録を約1.8ポイント向上しており、進歩の速さに驚かされます。

今回の記録達成の要因の一つに「高品質アモルファスシリコン」が挙げられていますが、これまで薄膜シリコン型で培ってきた技術や経験が、市場の変化に対応するための新しい技術開発に生かされているとすれば、非常に興味深いことです。

これまでの成果を十分に生かした製品の実現は、まだこれからのようですが、カネカ社がヘテロ接合型セルの変換効率で今後もトップクラスの位置をキープし続けるかどうかは、強く注目したいところです。


※参照資料:
[1]結晶シリコン太陽電池で世界最高変換効率26.33%(NEDO)
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100635.html
[2]結晶シリコン太陽電池で世界最高変換効率26.33%(カネカ)
http://www.kaneka.co.jp/service/news/160914

※関連記事:

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山形県のミクロンメタル社が廃棄太陽電池パネルのリサイクル用技術を開発、研磨剤の高圧吹き付けでガラスとEVAを分離

日経テクノロジーonlineの記事[1]で、山形県の企業が開発した、太陽電池パネル素材リサイクルの新技術が紹介されていました。

この記事の中から、同技術に関する主な情報を抜き出してみました。


  • 開発した企業:米沢市の「ミクロンメタル」社
  • 処理方法
    ブラスト装置に太陽電池パネルを格納し、カバーガラス表面に研磨剤を高圧で吹き付ける。
    これにより、EVAとガラスを完全に分離する。
  • 処理の所要時間:1枚あたり約8分
  • 長所
    • 変形したパネルも、問題なく処理できる。
    • セルが挟まれているEVAに全く傷を付けずに、ガラスを剥離できる。
    • 多様な研磨剤を使用できる。
      研磨剤によっては、ガラスと研磨剤を分離せず、そのままセメント材料に利用可能。
    • 初期投資が大幅に安く済む
      処理量が月2000枚程度の場合、初期投資は約1000万円。(従来手法の装置は数千万円)

また実際の処理サービスについても、同じ米沢市の「エーシー」社と共同で、2017年3月に開始する予定とのことです。


ミクロンメタル社は元々、半導体やFPD等の真空成膜装置の洗浄などが本業とのことで、その中に、圧縮空気により研磨剤粒子を吹き付ける「ブラスト剥離」があります[2]。

今回の太陽電池パネル処理技術は、その方法を応用したものと思われますが、[1]の写真を見ると、実に綺麗にガラスとEVAが分離されていることに驚きます。

それに加えて、パネルが歪んでいても処理ができ、設備の初期投資も格段に安いとなれば、今後予想される太陽電池パネルの大量廃棄を前に、素材リサイクルの主流技術となる可能性があるのでは、と考えます。

また、太陽光発電の普及が先行して進んだ欧州では、パネルのリサイクル事業も日本より大幅に先行していると思いますが、今回の技術がその欧州でのリサイクル技術と比べてどうなのか(処理のスピード、初期費用など)、というのも気になるところです。


※参照資料:
[1]太陽光パネル再生処理、低コストのガラス分離技術、山形の企業が確立(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/091304024/?rt=nocnt
[2]再生・クリーニング(ミクロンメタル株式会社)
http://www.micron-metal.com/products/regeneration/index.html

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2016年09月12日

Jinko SolarがEUでの太陽電池の販売価格合意から脱退、市場の価格下落が正確に反映されていないと主張

Jinko Solar社が2016年9月8日に、

  • EUにおける太陽電池の販売価格合意から脱退した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


背景

  • Jinko Solarが参加していた価格合意では、EU内で販売する太陽電池セルとモジュールについて、固定された最低輸入価格MIP)で販売しなければならない。
    これに合意しない中国メーカーは、反ダンピング(AD)・反補助金(AS)の義務として、一定割合の価格上乗せが必要となる。
    (※JinkoSolarの場合は、ADが41.2%、ASが6.5%)

脱退の理由

Jinko Solar社では慎重に戦略的検討を行った結果、次のように判断した。

  • この価格合意ではもはや、EUにおける自社事業の継続的拡大が見込めない
  • この貿易保護主義は、市場の公正な競争やPV産業全体の発展を妨げ、また消費者も傷つける。
  • 現在のMIPsはもう、現在の市場の価格環境(全てのEU市場における平均販売価格(ASP)の継続的な低下)を正確に反映しておらず、これら市場における自社の競争力を深刻に侵食している。
  • 自社の競争力が不当に妨げられていると感じていることから、今回の脱退を選択した。 この措置により、自社の
    • ブランド
    • 技術力
    • 世界的な生産施設群
    • 大規模な顧客ベース
    を強化するための、より良いポジションに付けると考えている。

今後の方針

  • 欧州の顧客へのコミット継続し、自社製品の供給続ける予定

ニュース記事[3]で紹介されている通り、Trina Solar社も昨年12月に、同様の措置(EUにおける価格合意からの脱退)を発表していました[2]。

中国メーカーに課されている最低輸入価格の具体的な水準(例えば欧州内メーカーと比べてどうなのか)は判りませんが、反ダンピング・反補助金の上乗せ義務は

ADAS
Trina Solar47.7%3.5%
Jinko Solar41.2%6.5%
といずれも合計50%前後であることから、最低輸入価格はここまででは無いにしろ、恐らく(中国メーカーが本来希望する価格より)かなり上に設定されていることが推測されます。

個人的にこの手の話で最も気になるのは(これは米国での措置も同様ですが)、課された価格合意にどれだけの合理性・正当性があるのか、という点です。
(※これは管理人がEU側と中国メーカー側のどちらかに肩入れする、ということではありません)

当ブログでチェックしていた限りでは、2013年に

との情報がありました。

それから3年が経過した中で、例えば中国政府による企業支援策も変化している可能性があり、更に市場における販売価格の低下が著しいのであれば、確かに最低輸入価格の設定についても、各種の状況変化を考慮して変えていく必要はあるように思われます。

また、最近(2016年2Q)の業績を見ると、中国大手メーカーはモジュール出荷量・売上高ともに大きく伸びており、また価格競争が厳しい中でも一定の利益率を維持しています。

これが企業努力のみによるものなのか、それとも政府からの実質的な補助を背景とするものなのかは、私のような一般の人間には(根拠となる材料の乏しさから)判断がつきませんが、ともかくEU側・中国企業側ともに自分の正当性を主張するだけでは、どちらも広く理解や支持を得ることはできないのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]JinkoSolar Announced Withdrawal from EU Price Undertaking(Jinko Solar社)
http://www.jinkosolar.com/press_detail_1218.html?lan=en
[2]Trina Solar Announced Withdrawal from EU Price Undertaking and to Supply EU Markets through its Overseas Manufacturing Facilities(同上)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2121951
[3]ジンコソーラー、欧州の反ダンピング最低価格協定から脱退(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/091003998/?rt=nocnt

※関連記事:

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エクソル社が既設発電所向けの増設工法「X-large」を発表、アレイをスライドさせて設置場所を確保

XSOL社が2016年9月2日に

  • 野立て既設太陽光発電所で、新たな土地がなくても太陽電池モジュールを増設できるオリジナル工法「X-large(エクスラージ)」
を発表していました[1]。

概要は次の通り。


背景・目的

  • 今年成立した改正FIT法では、設備認定基準に、定期的なメンテナンスを行わないと満たせない項目が追加された。
    このため、「太陽光発電はメンテナンスフリー」という認識が強い時代に作られた太陽光発電所では、事業計画に支障が出るケースが想定される。
  • 今回の「X-large」では、上記の事態への対応として
    • 発電量の増加(収益の確保)
    • 設備の強化・改善(長期の安定稼働につながる)
    をもたらすことが期待できる。
  • また、日本においては
    • 太陽光発電所の適地発見の困難化
      (土地・土木・造成のコストによる、コストダウンの阻害)
    • 電力系統の強化需給バランスの制御に対する、より高度な対応(導入量は増加中)
    との懸念・課題がある。
    今回の「X-large」には、それらに対するソリューションの一つという意味合いもある。

「X-large」の特徴

空きスペース無しで、太陽電池モジュールを増設設置済みの太陽電池アレイをスライド移動させて、それらの間隔を詰める。
これにより確保したスペースに、新たなモジュールを増設できる。
実発電量を最大化
  • 冬季にアレイの一部に影がかかることを前提に設計する。
    この影によるロスは生じるが、モジュールを増設することで、発電所全体の発電電力量を最大化する。
  • モジュール増設後もパワコンの容量は変わらないため、日射量の多いときに、ピークカットによる発電ロスが生じる可能性がある。
    しかしシミュレーション設計で、通年の発電量とのバランスを考慮することで、このロスを最小限に留める。
電力需給の制御に寄与ピークカット設計によって、ローカル系統に負荷を与えずに、発電カーブをよりフラットに近づける。
これにより、需給バランスの制御を行いやすくする。
架台の強化 太陽電池アレイの
  • 固定点増加
  • 前後の連結固定
により強度が増す。

その他

  • 提供価格:規模・条件により異なる。
  • 提供開始日:
    見積受付2016年9月20日に開始する。
    (※受注開始の当初は、高圧以上の布基礎設備を優先とする)

太陽電池モジュール増設のためにアレイ自体をスライドさせてしまう、というのは全く想像もしませんでしたが、このようにユニークな工法に対するニーズが日本国内で生まれているとすれば、非常に興味深いことです。

最新の国内モジュール出荷量統計(2016/4-6分)に基づくと、「発電事業」(500kW以上)向けでは海外メーカー製が3/4近くを占めていますが、価格競争力の高い海外メーカー製モジュールの流入が、既設発電所における増設ニーズにも繋がっているのでは、と想像します。

また今回の工法には、モジュールの増設だけに留まらず

  • 設備の強度アップ
  • 電力系統への配慮
も盛り込まれており、現在の日本国内の「非住宅」設備全般における課題を示しているとも感じられます。


※参照資料:
[1]【太陽光発電所増設の新工法「X-large」提供開始】のご案内(エクソル社)
https://www.xsol.co.jp/news/2016/09/12008/
[2]本日、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令」及び「調達価格及び調達期間を定める告示の一部を改正する告示」が公布されました。(資源エネルギー庁)
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kaisei_kakaku.html

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 架台

産総研と信越化学工業が新型モジュールを開発、高分子フィルム・シリコーンゴム封止材・アルミ合金板の採用でコストを抑えつつ強度・耐久性などを向上

産業技術総合研究所信越化学工業2016年9月5日に、

  • シリコーンゴム封止材などを用いて、耐衝撃性や耐火性・長期信頼性などを高めた新型の太陽電池モジュール共同開発した。
と発表していました[1]。

主な内容は次の通り。


背景

  • 国内でFITにより普及が進む太陽光発電において、今後は太陽電池モジュールやシステムの長期信頼性・安全性が、より重要さを増すと考えられる。
    例えば住宅用システムにおいて、火災対策として
    • モジュールの難燃性アップ
    • 破損の防止
    を講じることにより、火災時の安全性が高まる。
  • しかし一方で、太陽電池モジュールはコスト競争が厳しいため
    • 新しい高信頼性モジュールの開発
    • 新しい部材(難燃性部材など)の導入
    は難しい現状がある。

開発したモジュール

  • 構造:下記部材によるサブストレート構造
    表面材高分子フィルム(厚さ約50μm、難燃性)
    封止材シリコーンゴムシート(厚さ約500μm)
    裏面材アルミ合金板(絶縁処理を施している)
    ※通常モジュールのようなガラス・アルミフレームは不使用。
  • メリット
    設置が簡単アルミ合金の裏面材によって、モジュールを直接固定・設置することができる。
    コストを低減シリコーン封止材は比較的高コストだが、従来型モジュールに比べて部材を削減することで、モジュール全体のコストを抑制できる。
    火に強い表面材・封止材・裏面材は、全て難燃材料。
    大幅な軽量化アルミ合金板の厚さを抑えることで、軽量化が可能。
    (※今回の試作品の重さは、同サイズの従来型モジュールの約半分
  • 評価試験の結果
    項目方法結果
    鋼球落下試験鋼球(直径38mm、重さ約225g)を高さ1mから、モジュール表面に合計3回落下させ、試験前後の
    • 出力
    • エレクトロルミネセンス特性
    を評価した。
    • 従来型モジュール:セルに割れが生じ、出力が初期値の87%に低下した。
    • 新型モジュール:局所的に僅かな暗所部が見られたものの、出力低下は殆ど無かった
    荷重試験小型モジュール(40cm角)の表面に、約88kgの荷重をかけた。 試験後に、セル割れによる出力低下は見られなかった
    燃焼・飛び火試験火種(木製、8×8×6cm)をモジュール上で燃焼。 これによる
    • 部材の燃焼
    • 外観上の変化(溶融、破損など)
    をチェックした。
    • 従来型:ガラスが割れ、火種下部のEVA封止材とバックシートが燃焼した。
    • 新型:火種の灰や樹脂成分が表面に付着したものの、部材に大きな変化は見られなかった
    高温・高湿(DH)試験温度セ氏85度・湿度85%の条件で実施。
    ※封止材をシリコーンにしたガラス型モジュールも使用。
    • 新型モジュール:3000時間終了時点で、出力は低下せず
    • ガラス型モジュール:8000時間終了時間で、出力は低下せず
      また、シリコーン封止材の赤外吸収スペクトルにも、試験前後で化学的な構造変化は全く見られなかった
    ※その他に現在は、温度サイクル試験(-40度〜+85度)や紫外線照射試験なども実施中。

今後の予定

実際の用途として、例えば

  • 車載用
  • 住宅の屋根材・建材一体型や、外壁面に設置可能なモジュール
等を想定し、モジュール開発を進める。
製造企業などとも協力して
  • モジュールの大きさ・構造・部材の最適化
  • 必要な信頼性試験
等を行っていく予定。


シリコーン封止材については1年以上前(昨年6月)の発表で、高い耐久性・PID耐性を持つとの試験結果が示されていましたが、今回はコスト増への対策として、モジュール全体の部材・構造を見直しを実施。

その結果として低コスト化だけでなく、多くのメリット(大幅な軽量化や、耐衝撃性・耐火性の向上など)が得られるとされているのは、非常に興味深いです。(一部の試験結果は、封止材のみ変更した従来型モジュールではありますが)

もちろん現時点では製品化を実現していないので、実際の製造コストがどうなるか等は不明です。

また、紫外線照射試験なども実施途中とのことであり、将来のことはまだまだ判りませんが、

  • 製造コストの抑制
  • 設置の容易化
  • 各種耐久性の向上
を同時に実現し、新しいタイプの結晶シリコン型モジュールが誕生することを、個人的には強く期待したいところです。


※参照資料:
[1]燃えにくくて軽量な、信頼性の高い太陽電池モジュールを開発(産総研)
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160905/pr20160905.html
[2]同上(信越化学工業)
https://www.shinetsu.co.jp/jp/news/pdf/s20160905J.pdf

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 封止材・接着剤

2016年09月05日

2016年度1Qの日本における太陽電池モジュール出荷量は前同比21%減、「発電事業」向けでの日本企業の割合は27.6%

JPEAが9月1日に、2016年度1Q2016/4-6)の太陽電池出荷統計を発表していました[1]。

今回はモジュール出荷量の中から、幾つかの数字を抜き出してみました。

※四捨五入や一部数値の計算は、当ブログ管理人による。


モジュールの総出荷量

※出荷量の四捨五入と「日本企業の割合」の計算は、当ブログ管理人による。
※カッコ内は前年同月比。

総出荷量出荷先別
国内輸出
数量約1.4GW(21%)約1.2GW(26%)約0.2GW(45%増)
日本企業の割合57.9%53.6%85.7%

用途別における日本企業の割合

※「モジュールの用途別国内出荷量」から、当ブログ管理人が計算。
※一番下の列(前年度同期)は、当ブログの過去記事から引用。

住宅非住宅その他
※電卓・時計
・街灯など
合計発電事業
※500kW以上
一般事業
※500kW未満
日本企業の割合87.8%43.7%27.6%76.3%100%
前年度同期89%60%44%78%

JPEAの出荷統計を詳しく見るのは2015年度2Q以来ですが、国内大手メーカーの業績(2016年度1Q)からある程度想像できた総出荷量の減少はともかく、個人的には特に、日本企業のシェア縮小が1年前よりも格段に進行したことに驚きました。

国内向け全体では既に約半分であり、用途別「非住宅」では4割台、そのうち「発電事業」に至っては約1/4にまで低下。

世界市場で厳しい低価格競争の只中にある海外勢が、ビジネスとして行われる大規模設備(メガソーラー等)向けで、シェアを大きく伸ばしていることが推測されます。

しかし他方で、「住宅」や非住宅「一般事業」のように、1年前と殆ど数値が変わっていない分野もあり、屋根設置がメインと思われるこれらの分野では、日本のメーカー・ブランドに対する信頼度が殆ど揺らいでいないことも伺えます。

とはいえ(上記表には取り上げていない)用途別の出荷量を見ると、「住宅」は前年同期比35%減、非住宅の「一般事業」も46%減と、市場自体の縮小が著しいことから、このままでは国内メーカーのジリ貧は避けられません。

その状況への対策なのか、輸出量の伸び(1年前の約1.5倍)は、国内メーカーによる海外拡販の成果と思われますが、まだ総出荷量の1/7程度であり、これを今後どこまで伸ばせるかは注目したいところです。

・・・それにしても今回の総出荷量(約1.4GW)は、海外大手のTrina Solar・Jinko Solarだと1社のみで軽く上回っており、日本市場と海外市場の巨大なギャップを(その良し悪しはまた別として)痛感するものです。


※参照資料:
[1]日本における太陽電池出荷量2016年度第1四半期(報道発表資料)(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h281q.pdf

※関連記事:

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2016年08月29日

Canadian・Trina・Jinko・JA・Yingliの2016年2Qは全体として好調が際立つ、中国でのFIT見直し(6月末)も寄与

8月中旬〜下旬にかけて、大手モジュールメーカーの

  • Canadian Solar
  • Trina Solar
  • Jinko Solar
  • JA Solar
  • Yingli Solar

が、20162Q(20164-6月期)業績を発表していました。[1]〜[5]

今回はそれらの中から、主な数字や背景を抜き出してみました。

※カッコ内は前年同期比(一部は当ブログ管理人が計算)、または前年同期の実績値。


業績

売上高粗利益率営業利益純利益
Canadian Solar約8億ドル(26.6%増)17.2%(2p増)約4000万ドル(22%増)約4000万ドル(116%増)
Trina Solar約9.6億ドル(33%増)18.3%(1.7p)約8400万ドル(38%)約4000万ドル(1%)
Jinko Solar約9億ドル(86.1%増)20.4%(0.3p)約6700万ドル(88%増)約4200万ドル(267%増)
JA Solar約6.2億ドル(51.9%増)15.3%(1.1p)約2800万ドル(20%増)約2500万ドル(21%増)
Yingli Solar約3.8億ドル(7%)18.2%(11.9p増)約2400万ドル(約1.8億人民元の赤字)約1100万ドル(約6億人民元の赤字)

太陽電池モジュールの出荷量

モジュール出荷量うち自社の下流事業向け
Canadian Solar1290MW(59%増)
Trina Solar1658MW(35%増)約39MW(83%)
Jinko Solar1716MW(87.9%増)
JA Solar1134MW(58.1%増)152MW
Yingli Solar662MW(9%)51MW

背景(主な状況)

Canadian Solar
  • 事前予想を上回る業績だった。
  • モジュール事業とプロジェクト事業は強さが続いている。
  • モジュール出荷量の地域別割合は、米州47.6%、アジア39.5%、欧州その他が12.9%
  • YieldCoについては経営計画の見通し改善のため、立ち上げないことを既に決定している。
Trina Solar
  • 手堅い四半期だった。
  • モジュール出荷量の増加は主に、中国での駆け込み需要による。
    (※中国では6月30日に、補助金政策の調整が行われると予想されていた)
    ただし一方で、米国・欧州・日本・その他アジア向けの出荷量は減少した。
  • タイの新工場からの出荷量を増やしたことが、米国市場での競争力強化に寄与している。
    (反ダンピング税・相殺関税の影響を大きく減らした)
Jinko Solar
  • 好調な業績だった。
  • 2Qのモジュール需要は強く、出荷量では特に米国と中国向けが大部分を占めた。
  • 最近は業界が困難な局面にあるが、世界需要は今後も堅調が続くと予想している。
    今年後半には、南米・インド・日本向けの出荷量が急速に伸びると予想。
  • 中国においては大規模分野の市場減速に対応するべく、「Top Runner Program」と「PV Poverty Alleviation Program」のプロジェクトに参加している。
JA Solar
  • 業績は事前の期待に沿ったものだった。
  • 2Qは中国が最も強い市場だった。
    ただし販売努力では、中国以外のより強固な市場に焦点を当てている。
  • モジュール出荷量の地域別割合は、中国63.9%・APAC(中国除く)12%・欧州3.7%・米州9.3%・その他11.1%
Yingli Solar
  • 手堅い業績だった。
  • モジュールの出荷量では、中国向けの割合が高かった
    中国向け出荷量は、大規模顧客との関係を活用したことで、前四半期(1Q)から倍以上に増加した。
  • 海外では、日本が最重要市場であり続けており、2Qにはモジュール出荷量の20%以上を占めた。 (7四半期連続の120MW超え)
  • 米国はITCポリシーが延長されたことで、安定した需要が続いた。

今回はCanadian Solarプラス中国4社という顔触れですが、中国市場でFIT変更前の駆け込み需要があったとはいえ、全体として米2社(First Solar、SunPower)の業績よりも好調さが際立って感じられます。

ちょっと意外なのは、縮小が続いている筈の日本市場を重要視しているメーカーがまだ有る(Jinko、Yingli)ことですが、このあたりは世界市場での厳しい競争を背景に、価格競争力を高めてきた故と思われます。

世界でのモジュール販売価格の競争は、現在も相当に厳しいようですが、今回の5社はいずれも、その中で好調な業績を示しており、不調が続く日本メーカーが(残念ながら)海外大手に大きく水を開けられていることを、強く感じざるを得ません。

またYingli社については、売上高・モジュール出荷量こそ前年同期よりは減らしているものの、利益はきっちり黒字化しており、かつての苦境から立ち直りつつあることを感じさせます。

最後にもう一つ、Canadian SolarがYieldCoを立ち上げないことを決めたというのは、ちょうどSunPower社が同期決算内で「YieldCo環境における、市場の継続的な混乱」を挙げているのと辻褄は合います。

ただ個人的には、昨年2月にSunPowerとFirst Solarによる立ち上げ計画が発表されて以来、太陽光発電所の保有・運営を独立事業とする(そしてそれを投資有価証券にする)YieldCoが市場・産業に新しい流れを生むのでは、との期待もあったので、いま具体的にどのような不都合が生じているのかは、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1]Canadian Solar Reports Second Quarter 2016 Results(Canadian Solar社)
http://investors.canadiansolar.com/phoenix.zhtml?c=196781&p=irol-newsArticle&ID=2196174
[2]Trina Solar Announces Second Quarter 2016 Results(Trina Solar社)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2196792
[3]JinkoSolar Announces Second Quarter 2016 Financial Results(Jinko Solar社)
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=234421&p=irol-newsArticle_print&ID=2197344
[4]JA Solar Announces Second Quarter 2016 Results(JA Solar社)
http://investors.jasolar.com/phoenix.zhtml?c=208005&p=irol-newsArticle&ID=2195893
[5]Yingli Green Energy Reports Second Quarter 2016 Results(Yingli Solar社)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2196776
[6]Solar Investment Tax Credit (ITC)(SEIA)
http://www.seia.org/policy/finance-tax/solar-investment-tax-credit

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