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2017年01月16日

産総研・東北大学・FTB研究所が「溌液るつぼ」による単結晶シリコン製造法を開発、太陽電池の変換効率アップ等のメリットあり

  • 産総研の福島再生可能エネルギー研究所
  • 東北大学の金属材料研究所
  • 千葉県の「FTB研究所

が、シリコン融液をはじく「溌液(はつえき)るつぼ」を用いる、低コスト・高品質な単結晶シリコンインゴットの製造方法を共同開発したとのことです[1]。

概要は次の通り。


背景

  • 従来の単結晶シリコン製造法では「石英るつぼ」(石英ガラス製)を用いるが、これには
    • 熱によりルツボの内壁表面が溶けて不純物(酸素、重金属など)が発生し、シリコン融液に混じる(=シリコンの品質が低下する)
    という欠点がある。

新しい製造法

  • 溌液るつぼ
    耐熱性ガラス製容器の内壁表面に、シリコン融液をはじく特殊処理を施している。
  • メリット
    • 太陽電池の変換効率を向上
      この方法による単結晶シリコンを用いた太陽電池は、従来方法によるシリコンを用いた太陽電池より、変換効率が最大で1.03に高まったことが、確認されている。
    • 製造機器の劣化を抑制
      石英ルツボよりも蒸発する酸素が少ないため、製造用機器の劣化を抑制できる。
      加熱用のヒーターは、従来方法ではインゴット10本程度の製造ごとに交換されているが、今回の製造法ではインゴット20本程度の製造が可能になる。
  • 今後の展開など:
    • 太陽電池の変換効率を更に高めるための研究を、推進中。
    • 国内外の企業が、この製造法に関心を持っており、早ければ2017年度の実用化が期待される。

ニュース記事[1]はつい最近のものですが、この手法自体は、東北大学のサイトでは約1年前(2016年3月)に発表されており[2]、今日まで継続的な研究が積み重ねられていることが伺えます。

またFTB研究所のサイト[3]では、「溌液状態」の例として「里芋の葉の表面」が紹介されており、自然界に既に存在している構造であることに驚かされます。

太陽電池の変換効率(おそらくセル変換効率)は、従来手法によるシリコンの「1.03倍」とのことで、単純に発電電力量が同じ条件下で3%増えると考えると、これはかなり大きなメリットだと感じます。

また、機器(ルツボ自体やヒーター)の長寿命化は、シリコン製造コストの引き下げにも繋がることが期待されるので、本手法の商業生産ラインでの実用化が実現できれば、厳しい価格競争に晒されているシリコンメーカー〜太陽電池メーカーにとっても、追い風となるのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]高品質シリコン...低コストで製造 「太陽電池」基板で郡山・産総研(福島民友)
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20170108-139885.php
[2]高品質単結晶シリコンの低コスト製造技術を開発−結晶シリコン太陽電池の発電コスト低減に寄与−(東北大学、2016年3月23日)
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2016/03/press20160323-02.html
[3]溌液坩堝のご紹介(FTB研究所)
http://www.ftbi.co.jp/Requinert%20crucible-1.html

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | シリコン:その他

東京商工リサーチが2016年の「太陽光関連事業者」倒産状況を発表、件数(65件)は過去最多

東京商工リサーチが2017年1月12日に、

  • 2016年通年での「太陽光関連事業者」の倒産状況
を発表していました[1]。

その中から、主な数字を抜き出してみました。


  • 倒産件数の推移:
    2016年は上半期30件・下半期35件。
    また12月(10件)は、単月で過去最多だった。
    件数
    2014年以前28件以下
    2015年54件
    2016年65
  • 負債額別の状況:
    負債額件数前年比
    1000万円以上5000万円未満23件53.3%増
    5000万円以上1億円未満13件
    1億円以上5億円未満22件
    10億円以上25.0%
  • 倒産の原因
    件数の上位件数(構成比)前年比
    「販売不振」35件(53.8%)66.7%増
    「事業上の失敗」11件(16.9%)83.3%増
    「運転資金の欠乏」8件(12.3%)60.0%増

倒産件数は2015年に急に跳ね上がっていますが、今回(2016年)はそれを更に上回っており、国内市場が時間の経過につれて厳しさを増していることが伺えます。

発表では「経営環境の激変」の理由が、「度重なる固定買い取り価格の引き下げ」「企業の相次ぐ新規参入」などとされていますが、個人的にはそれよりも、まず2014年秋に電力会社5社が発表した、接続申し込みへの回答保留で、多くの発電事業者が(そしてそれに伴い販売・施工業者も)梯子を外されたかたちになったこと。

そして2015年1月の「指定ルール」の導入(出力制御の上限撤廃)により、発電事業の収益見通しが不透明になったことが、倒産が増えている最大の原因と考えます。


その中で「負債額別」では、唯一「10億円以上」で、倒産件数が前年比マイナスとなっています。

これに関して、そう言えばJPEAによる最新のモジュール出荷統計(2016年7-9月期)[2]で、用途別では「非住宅」の「発電事業」(500kW以上)のみが、前年同期比プラス(10%増)でした。

このことから、大規模発電事業においてはFIT認定分の消化が進んでいると考えられ、それが倒産件数の抑制にも繋がってしているのかもしれません。


※参照資料:
[1]2016年「太陽光関連事業者」倒産状況(東京商工リサーチ)
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170112_01.html
[2]日本における太陽電池出荷量2016年度第2四半期(報道発表資料)(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h282q.pdf

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 市場・業界の動向:国内

2017年01月09日

中国「Chint Solar」社が日本法人を新設、日本へのモジュール出荷量増加を受けてサポート体制を強化

1ヶ月以上前になりますが、中国の太陽電池モジュールメーカー「Chint Solar」が2016年11月28日に、

  • 日本法人「Chint Solar Japan」の新設
を発表していたとのことです[1]。

日本法人設立の背景は次の通り。


  • Chint Solar社は従来から、日本市場には中国本社から製品を出荷していた。
  • その出荷量が増加していることから、サポート体制を強化するために、今回日本法人を設立した。

また同記事では、日本法人の代表取締役の方による

  • 「日本市場は縮小気味と見られがちだが、オフグリッドや離島での需要などまだまだチャンスはある」
とのコメントも紹介されています。


「Chint Solar」の名前は、私は正直なところ今回初めて知りましたが、モジュール約50MWを調達済み(※2014年時点)の日本の事業者があること、またネクストエナジー・アンド・リソース社が同年時点で代理店になっている[3]ことから、日本市場で既に一定の位置を確保していることが推測されます。

日本国内ではモジュール出荷量の減少が続いており[5]、FITの新規認定量でも「非住宅」の伸びは毎月100MW前後の水準。

その厳しい状況の中で、今回の海外メーカーによる日本での事業体制拡充は意外でしたが、それだけに日本法人代表の方によるコメントは興味深いです。

現在(当記事の作成時点)のところ、Chint Solar社のサイト[2]では、「オフグリッド」用製品の情報は掲載されていません。

ただ、例えばサハラ以南のアフリカでは13ヶ国が、電化率向上を目的にオフグリッドソリューションの導入計画を明示している[7]とのことであり、コスト面の優位性が強い中国メーカーとして、既に対応製品を備えている(または開発を進めている)可能性は考えられます。

その意味で、Chint Solar社が日本市場で今後、どのような商品展開を行っていくのかは、興味を惹かれるところです。


※参照資料:
[1]中国の太陽光発電メーカー、日本市場に参入 「まだまだチャンスはある」(「環境ビジネス」の記事)
https://www.kankyo-business.jp/news/014060.php
[2]Solar Power Generation System(Chint Solar社)
http://en.chint.com/solution/detail?classid=144396663052566528
[3]Chint Solar 社工場視察報告書(「旭電業」社)
http://www.asahi-dengyo.co.jp/img/p549d2894e10e1.pdf
[4]新エネルギー・省エネルギー(省電力)システム(同上)
http://www.asahi-dengyo.co.jp/solar.html
[5]日本における太陽電池出荷量2016年度第2四半期(報道発表資料)(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h282q.pdf
[6]固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html
[7]Press Release: With new pledges and new projects, developing countries take clean energy lead globally(「Climatescope」のプレスリリース)
http://global-climatescope.org/en/blog/2016/12/15/Climatescope2016-launch/

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 中国メーカー

新興国における2016年の太陽光発電導入コストは平均165万ドル/MW、発電電力の価格はチリで29.10ドル/MWhを記録

Bloombergの記事(2016年12月15日付)[1]で、新興国における2016再エネ発電のコストが示されていました。

他の記事[2]と合わせて、その中から太陽光発電に関する主な数字を抜き出してみました。


  • 新しい太陽光発電設備の平均コスト
    「Bloomberg New Energy Finance」によるデータ、新興国58ヶ国が対象。
    • 2010年:552万ドル/MW
    • 2016年:165万ドル/MW
    (※管理人注:明記は無いが、導入コストと思われる。)
  • 太陽光発電による発電電力の安値記録
    民間企業が参加するオークションによる価格。
    • 2016年1月:インドで64ドル/MWh
    • 同8月:チリ29.10ドル/MWh
      ※石炭火力の約半額。

まずMWあたりの「平均コスト」が、2016年は1MWあたり2億円を切る水準であることに、強く驚かされました。

当ブログでチェックしてきた限り(また私が知る限り)では、日本国内で2016年に発表されたメガソーラー計画で、1MWあたり3億円を下回るケースは一つもありませんでした。

新興国と日本では、太陽光発電の導入に関わる条件(日照量、新規の発電設備に対する需要の強さ、電力価格の決定方法など)が大きく異なるとは思いますが、それを考えても、導入費用の低減において、大きく水を開けられてしまった印象です。


そして発電電力の価格についても、チリの29.10ドル/MWh(=約0.03ドル/kWh)は、驚異的な水準という他ありません。

記事[1]の本文では詳細が無いですが、記事の副題には

  • 「thanks to cheap panels」
との文言があり、中国メーカーを中心とする太陽電池モジュールの激しい価格競争が、初期費用や電力価格の想像以上の低減を支える大きな要因となっていることが、推測されます。

そう言えば、米First Solar社などによるザンビアでのプロジェクト(2016年6月発表)でも、発電コストは0.06ドル/kWhであり、新興国での大規模太陽光発電は、このような価格水準が当たり前になっているのかもしれません。


BNEFが関わるウェブサイト「Climatescope」の同日のプレスリリース[3]では、2016年の再エネ導入量は

  • 新興国:計69.8GW
  • OECD加盟国:計59.2GW
と、新興国が先進国を上回ったことが示されていますが、これだけ低コスト化が実際に進んでいるのであれば、発電設備が十分に無い地域において、再エネ(特に太陽光発電)が第一の選択肢となっていくことは、当然かと思われます。

ただし強く気になるのは、コストに関するこれらの記述において、電力需給の安定化に必要なコストについては、全く言及されていないことであり、今後はその点も、再エネの導入コスト・電力価格において、考慮に入れる必要が出てくるものと考えます。


※参照資料:
[1]World Energy Hits a Turning Point: Solar That's Cheaper Than Wind(「Bloomberg」の記事)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2016-12-15/world-energy-hits-a-turning-point-solar-that-s-cheaper-than-wind
[2]BNEF: 最も安価なエネルギー源は太陽光発電・単価は石炭火力の半額(「BusinessNewsline」の記事)
http://business.newsln.jp/news/201612171206200000.html
[3]Press Release: With new pledges and new projects, developing countries take clean energy lead globally(「Climatescope」のプレスリリース)
http://global-climatescope.org/en/blog/2016/12/15/Climatescope2016-launch/

米SEIAのレポート「Solar Market Insight 2016 Q4」で、2016年3QのUtilityのPPA価格は35〜60ドル/MWh、システム価格は住宅2.98ドル/W・非住宅2ドル/W未満

SEIA(Solar Energy Industries Association)が、20163Q2016/7-9)の米国太陽光発電市場に関するレポート「Solar Market Insight 2016 Q4」を公表しています[1]。

その中から、導入コストや売電価格に関する数字を抜き出してみました。



大規模事業用(Utility)のPPAの価格

  • 2016年3Qは、35〜60ドル/MWh。
  • 更に、最近では35〜50ドル/MWhで契約されている。

太陽光発電システムの平均価格

  • 住宅2.98ドル/Wdc
  • 非住宅フラット屋根では1.69ドル/Wdc
    他の市場と同じく、モジュール・インバーター・架台の価格低下が、主な要因だった。
    ハードウェアとソフトの内訳は、
    • ハードウェア0.80ドル/Wdc
    • ソフト0.89/Wdc
  • Utility
    • 固定傾斜1.09ドル/Wdc
    • 一軸追尾1.21ドル/Wdc

太陽電池モジュールの平均価格

  • 中国製は、0.47ドル/W(10MW超の注文)〜0.49ドル/W(1MW未満の注文)の範囲。
  • 米国市場における過去数年間のモジュール価格は、中国メーカーに対する反ダンピングと相殺関税により、大きく左右されてきた。
    しかし最近では、需要の不均衡が価格変動の主因となっており、価格が急速に下落し続けている。

先にチェックした新興国における2016年のデータ(BNEFによる調査結果)では

  • 導入コスト:平均165万ドル/MW(=1.65ドル/W)
  • 売電契約の安値記録:チリで29.10ドル/MWh
とありましたが、先進国である今回の米国のデータが、その新興国にかなり近い水準となっていることには、非常に驚きました。

そう言えば昨年9月には、米国市場が、中国国内で供給過剰になったモジュールの行き場となっていることが報じられていました。

いち消費者としては、太陽光発電の初期コストや、発電電力の価格の低下が進むこと自体は、歓迎すべきことではあります。

しかし、それがモジュールの歪な需給バランス(しかも、ごく一部の地域・市場の動向に起因するもの)に大きく依存しているとするならば、太陽光発電産業・市場の継続的な成長・発展に結びつくのかどうか、一抹の不安も感じます。

また、このように低価格化が急速に進んでいる状況は、輸出を増やしている日本のモジュールメーカー[3]にも、対応すべき大きな課題となっていると推測します。

例えばパナソニック社は、つい先日にTesla社と共同でのモジュールの現地生産計画を発表していましたが、現地・米国市場での価格競争にどう対応していくのか、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1] Solar Market Insight Report 2016 Q4(社)
http://www.seia.org/research-resources/solar-market-insight-report-2016-q4
[2]米太陽光市場、2016年は日本を抜き世界2位に(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/122200039/
[3]日本における太陽電池出荷量2016年度第2四半期(報道発表資料)(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h282q.pdf

※関連記事:

2017年01月02日

パナソニックと米Tesla社が米バッファロー工場での太陽電池生産で合意、2019年までに年産能力1GWまで拡大する予定

パナソニックと米Tesla社が2016年12月27日に、

  • Tesla社のバッファロー工場(ニューヨーク州)において、パナソニック製の太陽電池セルとモジュール生産することで合意した。
と発表していました[1][2]。

主な内容は次の通り。


生産品の用途
  • Solar Roof」用のガラスタイル(Tesla社が生産、パナ製セルを使用)
  • 「Solar Roof」以外の製品向けの太陽電池パネル
(※上記の製品は、Tesla社のエネルギーストレージ製品「パワーウォール」「パワーパック」とシームレスな統合が可能)
生産の開始時期 2017年夏
生産能力 2019年までに、1GWに拡大する予定。
その他の協力 パナ社はTesla社と協力し、カリフォルニア州フリーモントにあるSolarCity社の施設で、次世代の太陽電池技術の開発に取り組む。
(※管理人注:SolarCity社はTesla社により買収済み[5])

昨年10月の合意では「法的拘束力の無い意向表明書」の締結でしたが、それから約2ヶ月で今回の具体的な発表であり、両社とも当初から、太陽電池生産について非常に前向きな姿勢だったことが推測されます。

示されている生産能力目標(2019年までに1GW/年)が、

  • セル・モジュールの合計
  • セル・モジュールのどちらか単独
のいずれに当てはまるのかは不明ですが、仮にセル・モジュールで半分づつ(各500MW/年)だとしても、国内市場の不振が響く日本メーカーによる新規生産設備として、他に類を見ない規模と思われます。
(※例えば、2011年から稼動しているソーラーフロンティア社の九州・国富工場が、2014年時点で年産900MW

それだけパナ社としても、SolarCity社を子会社化し、また「Solar Roof」「Power Wall」といった新製品も打ち出しているTesla社の販売能力に対して、強い期待を持っていることが伺えるものです。

中国製モジュールは米国市場で価格40〜55セント/Wとのことで、販売競争も相当に厳しいと思われますが、その中でパナ社+Tesla社のタッグがどれだけ販売を拡大できるのか、今後に強く注目したいと思います。


※参照資料:
[1]パナソニックとテスラ、ニューヨークのバッファロー工場で太陽電池セルとモジュールの生産開始へ(パナソニック社)
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2016/12/jn161227-5/jn161227-5.html
[2]同上(Tesla社)
https://www.tesla.com/jp/blog/tesla-and-panasonic-will-begin-manufacturing-solar-cells-modules-in-buffalo-ny
[3]Solar Roof(SolarCity社)
http://www.solarcity.com/residential/solar-roof
[4]パワーウォール2(Tesla社)
https://www.tesla.com/jp/powerwall
[5]Tesla’s Acquisition of SolarCity Receives Shareholder Approval(同上)
https://www.tesla.com/jp/blog/teslas-acquisition-of-solarcity-receives-shareholder-approval

※関連記事:

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2016年12月26日

Trina Solarがp型単結晶セルで変換効率22.61%を達成、最新のPERC技術を用いた産業用プロセスで製造

Trina Solar社が2016年12月19日に、

  • p型単結晶シリコンセルで、変換効率22.61を達成した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


製造技術 ボロンをドーピングした大型のCz-Si基板上で、最新の「PERC(Passivated Emitter and Rear Cell)」技術を用いた、低コストな産業用生産プロセスにより製造した。
(※このPERC技術には、
  • セル裏面のパッシベーション
  • セル表面の高度なパッシベーション
  • LID(Light Induced Degradation)への耐性
が含まれる。)
セルの大きさ 243.23cm2
変換効率 上記の全面積で22.61
※独「Fraunhofer ISE CalLab」で確認された数値。
Trina Solar社における
セル変換効率の推移
大面積のPERC単結晶シリコンp型セルにおける数値。
  • 2014年:21.40%
  • 2015年:22.13%
  • 2016年6月:
    量産ラインでの大量生産で、平均21.12%。

セル変換効率の(前年からの)上昇幅を計算すると

  • 2015年:+0.73ポイント
  • 2016年(今回の発表):+0.48ポイント
であり、最近の僅か2年分のみの数値ではありますが、上昇幅が明らかに縮小している印象です。

これについては、最も一般的なp型セルであるだけに、変換効率アップの余地がだんだん少なくなっているのでは、という懸念が浮かびますが、その限界をTrina社が独自技術により打ち破り、「25%」達成に向けて記録更新を継続していけるかどうかは、注目したいところです。


※参照資料:
[1]Trina Solar Announces New Efficiency Record of 22.61% for Mono-Crystalline Silicon PERC Cell(Trina Solar社)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2230468
[2]p型の単結晶Si太陽電池セルで変換効率を22.61%に更新、中国トリナ(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/122005550/

※関連記事:

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2016年12月19日

京セラが容量12kWhの住宅用「太陽光発電連係型リチウムイオン蓄電システム」を発表、「フィルム型リチウムイオン蓄電池」で蓄電システムのサイズを抑制

京セラ2016年12月12日に、

  • 容量12kWhの蓄電池システム
  • ハイブリッド型パワコン(太陽光発電システムの電力変換と、蓄電池の直接充電の両方が可能)
を組み合わせた、住宅用の「太陽光発電連係型リチウムイオン蓄電システム」を発表していました[1]。

概要は次の通り。


主な特徴

フィルム型リチウムイオン蓄電池」を採用 蓄電システムには、積水化学工業が開発したフィルム型のリチウムイオン蓄電池を採用。
これにより、12kWhという大容量でも、筐体のサイズを抑えている。
また電池の内部には、同じく同社が開発した「電極塗工型絶縁材料」を用い、安全性も高めている。
加えて「室内設置タイプ」としており、外気の変化による電池の劣化を抑制する。
京セラ製の「ハイブリッド型パワコン」
  • 太陽光発電システムのパワコン
  • 蓄電システムのパワコン
を一体化。
太陽電池の発電電力(直流)を、(交流電力に変換せず)直流のまま蓄電池に充電できる。
これにより、充電効率96%を実現している。

主な仕様

形式EGS-ML1200
製品のタイプ大容量マルチDCリンクタイプ
(※京セラは2015年9月に、
同タイプの蓄電システム(7.2kWh)を発売している)
希望小売価格オープン
発売日2017年1月2日
電池ユニットパワコン
外形寸法(mm)幅760×高495×奥行525幅880×高580×奥行270
質量(kg)175kg55kg

またこのシステムは、セキスイハイムの新しい住宅商品「スマートパワーステーション “100%Edition”」(本システムと同日に発売予定)に採用されるとのことです[2][3]。



積水化学のフィルム型リチウムイオン電池は、2013年に発表されていました[4]が、それから約3年を経過しての商品化実現となったようです。

軽量・フレキシブルであること、また塗工プロセスによる高い生産速度と、非常にユニークな特徴・魅力を備えていますが、その一方で、今回の各種発表の中で製品価格には殆ど触れられておらず、特殊な素材(ゲルタイプ電解質)の採用が生産コストにどう影響しているのか、というのは気になるところです。

12kWhという容量については、1世帯の1ヶ月あたりの消費電力量が271.2kWh(2013年時点)[5]とのことで、これを30日で割ると9.04kWh/日、31日で割ると8.74kWh/日。

もちろん実際には、地域などによってかなり異なると思われますが、それでもこの数値の上では、蓄電システムの容量が1日の消費電力量を十分上回ることになり、これで住宅用蓄電システムが新しい時代に入る可能性もあると考えます。

ただやっぱり最も気になるのは、価格が果たしてどの程度になるのか、ということですが。


※参照資料:
[1]大容量12kWhクラスで業界最小のリチウムイオン蓄電池を搭載したハイブリッド型の国内住宅用蓄電システムを開発(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/news/2016/1203_qtsk.html
[2]大容量フィルム型リチウムイオン電池事業を開始します(積水化学工業)
http://www.sekisui.co.jp/news/2016/1296962_26476.html
[3]『スマートパワーステーション“100% Edition”』を発売(同上)
http://www.sekisuiheim.com/info/press/20161212.html
[4]塗工プロセスによる大容量フィルム型リチウムイオン電池開発(同上)
http://www.sekisui.co.jp/news/2013/1238843_2281.html
[5]一世帯あたり電力消費量の推移(電気事業連合会)
http://www.fepc.or.jp/enterprise/jigyou/japan/sw_index_04/

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | メーカー:京セラ

英国ISG社がスペインの太陽電池メーカー「Tamesol」の経営権を取得、再エネ分野の国際的リーダー企業を目指す途上

  • 英国のISG
  • スペインの太陽電池メーカー「Tamesol」社

2016年12月12日に、

  • ISG社の「Solar International Group Ltd」が、Tamesol社が持つスペイン・Girona工場を買収し、同社の経営権を取得した。
等と発表していました[1]〜[3]。

概要は次の通り。

背景・目的
  • Tamesol社は12年以上に渡り
    • 太陽電池モジュール「TMシリーズ
    • 太陽光発電システム「TMシステム
    を製造しており、これまでのモジュール生産数は160万枚以上。
    事業の展開地域は30ヶ国以上にのぼり、世界に
    • 物流倉庫(オランダのロッテルダム)
    • 生産施設(中国、インド、台湾)
    • パートナー(20ヶ国以上)
    等を擁している。
    また、同社は現在
    • コストの削減
    • 主力モデル「TMシリーズ」での効率改善(現在は、30年間の線形性能保証を付けている)
    • プロジェクトの収益性の向上
    を主因に好況である。
  • ISG社は
    • 太陽電池モジュールの製造
    • ソーラーパークの推進
    • コンポーネントの建設・流通
    等、太陽光発電産業のバリューチェーン全体をカバーし、再エネ分野の基準的な企業となることを目指している。
    そして今後の5年間で、業績を拡大し、同分野の国際的リーダー企業になることを目指している。
  • ISG社によるTamesol社の経営権取得にあたっては、Tamesolが持つ経験と、潜在的な拡張可能性が評価された。
    またTamesol社にとっては、今後の拡大計画を実現するためのリソースが、今回の契約で実現される。
Tamesol社の体制 Tamesol社の人材・技術資源・経営資源は、全てを適所に維持することで、2社が合意している。
プロジェクトでの協力 ISG社がインドで初めて手がける大規模プロジェクト(300MW、2017年に完成予定)に、Tamesol社が太陽電池モジュールを供給する。
(Tamesol社にとっては、1億ドル以上の売上高に相当する見込み)


ISG社のサイト[4]には、同社の体制(経営者、歴史など)が書かれておらず、どのような企業なのか良く判りません。

ただ現時点で、Tamesolを含めて4社がパートナーになっており[5]、相応の資金力や、太陽光発電分野における経験を持った企業かと思われます。

Tamesol社のサイトでは、製造している太陽電池モジュールは勿論として、その(顧客への)輸送プロセスの信頼性についても、強くアピールしている[6]のがユニークです。
この点は、同社が「国際展開を明確に焦点化」していることが、具体的に良く伺えるものであり、ISG社が評価した点の一つかもしれません。

インド市場に関しては太陽電池モジュール輸入の大部分を中国製が占めているとの報道がありましたが、その中で300MWという大規模プロジェクトを推進するところに、Tamesol社を傘下に加えたISG社が持つ競争力の高さが、伺える気がします。

ISG社の「Solar International Group Ltd」の立ち上げは2015年とかなり新しい[4]ですが、世界の太陽光発電市場で中国の大手太陽電池メーカーの好調が際立つ中で、欧州を本拠地とするISG社が勢力を拡大し、今後5年間で大きな存在となり得るのか、というのは、市場の新たな動きとして興味を惹かれるところです。


※参照資料:
[1]Tamesolのジローナ生産施設をISG、ソーラー・インターナショナル・グループが買収(ビジネスワイヤ)
http://www.businesswire.com/news/home/20161211005020/ja
[2]Tamesol’s production facility in Girona is now part of ISG(Tamesol社)
https://www.tamesol.com/blog/tamesols-production-facility-girona-now-part-isg/
[3]同上(ISG社)
https://www.isg.solar/company/press-releases
[4]Our Gruop(同上)
https://www.isg.solar/company/about-us
[5]International Solar Holding(同上)
https://www.isg.solar/the-group
[6]International Customs Clearence(Tamesol社)
https://www.tamesol.com/services/customs-clearence/

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2016年12月14日

NEDOがインドの病院で、ICI活用による電力使用量削減+医療業務の効率化に取り組む方針、消費電力の30%削減(2014年度比)が目標

NEDO2016年12月1日に、

  • インド病院において、
    • 消費エネルギーの削減
    • ICTによる医療データの有効活用
    の両方に同時に取り組む、実証実験を行う。
との予定を発表していました[1]。

取組みの概要は次の通り。


実施体制 インドの
  • 健康家族福祉省
  • 全インド医科大学ニューデリー校
と共同で取り組む。
(※NEDOと上記2者は今年11月30日に、
本事業に関する基本協定書を締結している)
実施場所 全インド医科大学ニューデリー校
(※高等教育機関と病院を兼ねている)
内容
  • 病院全体の電力使用を
    再エネ(太陽光発電)の活用による、商用電力の使用量削減
    高効率なユーティリティ設備(空調機器、LED照明など)への更新
    エネルギーマネジメントシステム
    により最適化し、省エネ型の「ICT Platform」を構築する。
    (※このICT Platformはエネルギー制御だけでなく、医療情報データの一元的な管理・活用も行う)
  • 医療データ(画像、カルテ等)の電子管理により、病院の運営・診療効率を向上させる。
  • 上記2つの取組みにより、インドの病院における最適なエネルギーマネジメントを実証し、消費電力の30%削減(2014年度比)を目指す。
  • 将来的には、エネルギー需要予測(各種設備条件、気象条件などに基づく)により
    ・ユーティリティ設備の最適運転計画による、省エネの実現
    ・高効率なITソリューションによる、医療データの統合・活用
     (医療業務の効率化)
    を行い、エネルギー使用量の増加抑制を図る。


病院における太陽光発電の導入自体は、当ブログでチェックしてきた限りでも、国内外である程度の事例がありました(関連記事)。

ただし今回の実証実験は、ICTによる高度なエネルギー需給管理がメインとなっており、当ブログを開始して以降の7〜8年で、発電設備の制御技術が大きく進化を遂げていることが感じられます。

インドは現政権になってから、太陽光発電の導入目標を大幅に引き上げています(2022年までに22GW→100GWに引上げ)が、太陽光発電の導入拡大とともに、(供給力だけでなく)電力の利用効率を高める今回のような取組みも、今後少しづつ増えていくものと予想します。


※参照資料:
[1]インドで病院のエネルギーマネジメント最適化の実証事業を実施へ(NEDO)
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100683.html
[2]AIIMS - All India Institute Of Medical Science
http://www.aiims.edu/en.html

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 発展途上国での導入