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2020年09月18日

Trina Solar社が最大モデルが660Wの太陽電池モジュール「Vertex」シリーズを発表、Yingli Solar社も540W、JinkoSolar社も610Wの「Tiger Pro」を発表

今回は、

  • Trina Solar
  • Yingli Solar
  • JinkoSolar
の3社が今年(2020)に発表していた、出力500W超の太陽電池モジュールの情報を、簡単にまとめてみました。


<Trina Solar社>

製品名
・種類
Vertex」シリーズ。
出力別に、下記の4種類が発表されている。
  • 500W(2020年2月に発表[1])
  • 550W(同年7月に発表[3])
  • 600W(同上)
  • 660W(同年8月に発表[5])
モジュール
の受注状況
  • 2020年上半期の決算報告書の発表日(2020/8/26)までに、既に1GWに迫っていた。[6]。
セルの
生産体制
  • 「Vertex」シリーズに用いる210mmセルの生産能力は、Trina社のセル生産能力全体(2021年末まで計約26GWに達すると予測)の、70%を占める見込み[4][6]。
モジュール
の生産体制
  • 量産開始の時期
    • 500W」:20203Qの予定[1]。
    • 550W」:同年4Qの予定[3]。
  • 生産能力:
    2020年後半以降に建設予定のモジュール生産設備は、全て超高出力モジュール(出力500W以上)用。
    そしてTrina社全体でのモジュールの総生産能力は、
    • 2020年末まで22GW
    • 2021年末まで50GW
    に達すると予測している[6]。
その他
  • この「Vertex」シリーズを組み込んだスマートPVソリューションTrinaPro Mega」も発表している(2020年6月)[2]。

<Yingli Solar社>

いずれも[7]より。

出力 フロント540W。(※両面発電タイプかどうかは不明)
特徴
  • 高度な12インチM12ウエハー技術
  • 3スライスマルチバスバー(MBB)技術
を採用している。
発表時期 20208月(※「SNEC 14th」にて)

<JinkoSolar社>

いずれも[8]より。

出力、種類
  • 最大出力610Wの「Tiger Pro」高効率単結晶TR太陽電池モジュール。
  • 上記モジュールのBIPVソリューション(こちらの出力は最大550W)
採用技術
  • 独自のN型 HOT 2.0 高効率セル技術
    • HOT tunneling layer passivated contact
    • 高度なメタライゼーション
    等を含む。
  • 78セル設計TR技術
    セルギャップを大幅に削減し、電力コストを削減。
    また、システムの互換性も改善する。
発表時期 20208


1枚あたりの出力500W以上の太陽電池モジュールについては、当ブログではJinkoSolar社が5月に発表した「Tiger Pro」(出力の最大機種が575W)SunPower社が今月(9月)に発表した「Performance 5」(定格出力625W)はチェック済みでした。
しかし最近は正直なところ、興味・意欲の減退から、各メーカーサイトの巡回を怠り気味だったので、他にも今回のような多くの製品が、すでに発表されていたことに驚きました。

今回見た中では、特にTrina社の発表が豊富ですが、6月の発表[2]の時点で「出力500W時代」と記述されており、太陽電池モジュールの高出力化(500W超え)が、世界でモジュール出荷量上位のメーカーにおける明確な流れになっていることを感じます。

そしてそのTrina社においては、約1年後(2021年末)までの生産能力増強により、セル・モジュールの生産能力の大部分が、「Vertex」シリーズになる予定。
他メーカーでは今回のところは、生産能力に関する予定・計画は記述されていませんが、Trina社と同様に、出力500W以上のモジュールが(生産能力全体の中で)大きな割合を占めていくことになるのかは、注目したいところです。

ただし実際の生産・出荷予定は、現在公表されている範囲では

とされていることから、各社の500W超えモジュールが本格的に市場に出揃うのは、来年(2021年)以降になるものと考えます。

また、モジュールのサイズは各社とも明記されていませんが、(出力がまだ500Wを超えてはいませんが)ハンファQセルズ社の「Q.PEAK DUO XL-G9.3」(460W)が、約2.2m×約1mというサイズでした。
Trina Solar社の「Vertex」についても、[5]に掲載の動画から、(人との対比で)概ね似たようなサイズと思われ、やはり出力の大幅向上に伴い、モジュール自体のサイズの大型化も進んだようです。
これらの高出力モジュールは、基本的に(大規模発電事業用など)産業用の製品と思われるので、いっぽうで(日本に住んでいる身として)設置面積が限られる住宅用のモジュールがこれからどのような変化を遂げていくのか、というのは気になるところです。


※参照・参考資料:
[1]トリナ・ソーラー PV5.0の新時代の新基準をうちたてる出力500W超の高出力モジュールを発表(Trina Solar社、2020/2/27)
https://www.trinasolar.com/jp/resources/newsroom/thu-02272020-0100
[2]トリナ・ソーラー 超高出力モジュール採用スマートPVソリューション TrinaPro Mega発表(同上、2020/6/17)
https://www.trinasolar.com/jp/resources/newsroom/thu-06182020-1003
[3]トリナ・ソーラー Vertex 600Wシリーズモジュールを発表 550Wシリーズの量産開始は年内を予定(同上、2020/7/21)
https://www.trinasolar.com/jp/resources/newsroom/tue-07212020-1831
[4]トリナ・ソーラー 超高効率 210mm太陽電池セルの年間生産能力を10GW増強(同上、2020/8/17)
https://www.trinasolar.com/jp/resources/newsroom/tue-08182020-1531
[5]SNEC 2020で新製品の超高出力モジュール発表(同上、2020/8/25)
https://www.trinasolar.com/jp/resources/newsroom/tue-08252020-1600
[6]トリナ・ソーラー、純利益が前年比 245.81%増の 2020 年半期業績を発表(同上、2020/9/8)
https://www.trinasolar.com/jp/resources/newsroom/wed-09092020-1231
[7]Yingli Solar Reaches Strategic Cooperation with a Number of Important Partners(Yingli Solar社、2020/8/9)
http://ir.yinglisolar.com/news-releases/news-release-details/yingli-solar-reaches-strategic-cooperation-number-important
[8]JinkoSolar reshapes PV technology scenarios with its new N-Type Tiger Pro 610W unveiled at SNEC 2020(JinkoSolar社、2020/8/7)
https://ir.jinkosolar.com/news-releases/news-release-details/jinkosolar-reshapes-pv-technology-scenarios-its-new-n-type-tiger

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 中国メーカー

2020年09月14日

ハンファQセルズ社が公共・産業用の新モジュール「Q.PEAK DUO-G9シリーズ」を発表、「Zero-Gap技術」でセル間の隙間を削減

1か月ほど前になりますが、ハンファQセルズ社が2020年8月13日に、

  • 新技術「Q.ANTUM DUO Zテクノロジー」を用いた、公共・産業用の新型太陽電池モジュール「Q.PEAK DUO-G9シリーズ」を販売開始した。
と発表していました[1]。

[2]と合わせて、概要は次の通り。


<主な特徴>

  • Zero-Gap技術」:
    太陽電池セルを(横から見て少し斜めに配置することで、ストレスなくセル間の配線を行う。
    また、セル同士の間隔も無くなり、同じサイズの他モジュールよりも多くのセルを搭載可能にした。([2]の6枚めより)
    ※これと既存の下記技術([2]の6枚めより)を合わせて、「Q.ANTUM DUO Zテクノロジー」としている。
    • 「Q.ANTUMテクノロジー」:
      セル裏面の層(ナノレイヤー)により、従来は無駄にしていた太陽光のエネルギーを閉じ込める。
    • 「Q.ANTUM DUOテクノロジー」:
      • ハーフセル技術(電流を小さくし、損失を削減)
      • 12本バスバー技術(電子を集めやすくし、抵抗損失も削減)
      • ワイヤー・インターコネクション技術(断面が丸いラウンドワイヤーにより、影の影響を大幅に削減)
      の3つ。

<製品の種類と主な仕様>

型名Q.PEAK DUO ML-G9 385/390Q.PEAK DUO XL-G9.3 455/460
公称最大出力 385W/390W 455W/460W
最大システム電圧 1000V 1500V
セルの種類 単結晶Q.ANTUMハーフセル
セル枚数 132枚 156枚
サイズ(幅×高さ×奥行) 1030mm×1840mm×32mm 1030mm×2163mm×35mm
質量 19.5kg 25.5kg
出荷開始時期 2020年10月


今までの製品と具体的にどう違うのかを見るため、従来製品で最も出力が高い「Q.PEAK DUO L-G6.3」[3]と、今回の新製品で最高出力の「XL-G9.3 455/460」の主な仕様を、表にして並べてみました(下記)。

従来モデル「L-G6.3」新製品「XL-G9.3 455/460」
ハーフセルの搭載枚数144枚156枚
公称最大出力415W/420W/425W455W/460W
サイズ(幅×高さ×奥行)1030mm×2080mm×35mm1030mm×2163mm×35mm
質量24.5kg25.5kg

モジュールの高さと質量は、新製品のほうが若干大きくなっており(高さが+83mm、質量は+1.0s)、従来製品と全く同じサイズのままとはいかないようです。
ただしセル枚数と出力は、新製品が従来製品より1割弱(8%ぐらい)増しており、「Zero-Gap技術」によって、モジュールの大型化ぶんを上回る出力アップ効果を得ていることが伺えます。

ただ、セルを(横から見て)僅かに斜めになるように配置する方式だと、封止材とセル(とワイヤ、リボン)が平行にならないので、(封止した後に)従来とは別のかたちのストレス(応力)が発生しないか、というのは個人的にちょっと気になるところです。

とは言え、歴史の長いシリコン結晶型太陽電池モジュールにおいて、このようなアナログ的な構造の工夫が、いまだに創出されている(そしてそれによってはっきりと性能が高まっている)のは、やはり非常に面白く感じます。
今後の同様な新技術の登場にも、是非とも期待したいところです。


※参照・参考資料:
[1]Qセルズ独自の新技術「Q.ANTUM DUO Zテクノロジー」搭載 新型高効率太陽電池モジュール「Q.PEAK DUO-G9シリーズ」 4機種を販売開始(ハンファQセルズ社、2020/8/13)
http://www.hanwha-japan.com/news/press-release/2020/0813-2/
[2]産業用太陽光発電システムのカタログ(ハンファQセルズ社)
https://www.q-cells.jp/wp-content/uploads/2020/08/HQ_sangyo_sec.pdf
[3]Q.PEAK DUO L-G6.3(同上)
https://www.q-cells.jp/products/commercial/module/qpeak-duo-l-g63

2020年09月12日

SunPower社が両面発電パネルの新製品「Performance 5」を発表、太陽光発電所の設計〜運用で得た経験を生かし、大規模発電所向けに設計

1か月以上前になりますが、SunPower社が2020年7月23日に、

  • 自社のスピンオフ企業「Maxeon Solar Technologies」が、両面タイプの太陽電池パネルの新製品「Performance 5」を発売する。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


<特徴>

  • 大規模発電所向け
    SunPower社が世界で計5GWを超える太陽光発電所の設計・開発・建設・運用で得てきた経験を活用。
    マルチMWの発電所のニーズを満たすよう設計されている。
  • Performance Series」パネルの5世代
    SunPower社が持つ「shingled cell panel technology」(※144以上の特許と特許申請で保護されている)の、最新の状況を表す。
    (※「Performance Series」は、短冊状に切断した太陽電池セルを並べ、導電性の接着剤で接続し、並列回路を形成。
    これにより影の影響を減らし、また発電できる面積を拡大している。[2])
  • 8インチ「G12」ウエハーから作る両面発電単結晶PERCセルを用いる、最初の製品。

<主な仕様>

  • セルの種類:単結晶PERC
  • モジュール変換効率:21%超
  • 定格出力:最大625W

<その他>

  • 生産・供給
    中国でのジョイントベンチャー企業「Huansheng Photovoltaic(HSPV)」が、「shingled cell panel technology」の大幅な生産能力拡大で合意している。
    (※SunPower社のパートナー企業でありHSPVに出資している「Tianjin Zhonghuan Semiconductor」(TZS)は、宜興と天津のサイトで、3つの「スマートファブ」を実装する計画を発表。
     これによりHSPVの生産能力は、2021年までに(従来の2GWから)8GWまで拡張される予定。)
  • 出荷の開始時期:
    2020年第4四半期の予定。


SunPower社は、2年前(2018年)には住宅用の出力370Wの「X-Series」、翌2019年には同じく住宅用で出力400W超の「A-Series」「Maxeon 3」を発表していました。
また他のメーカーでは、JinkoSolar社が今年、出力500W超の「Tiger Pro」モジュールを発表
そして今回のSunPower社の新製品は、用途は住宅用ではない(大規模発電設備用)ですが、一気に600Wを超えています。
これらの動きからは、太陽電池モジュール1枚あたりの出力を高めようという、海外メーカーの技術開発競争のスピードと激しさが、感じられる気がします。

また今回の「Performance 5」では、コスト低減の要求が厳しい筈の大規模発電事業用でありながら、両面発電タイプとしている点が、興味深く感じます。
言われてみれば確かに、私が普段見かける限り(大規模よりも中小規模が多いですが)でも、野立ての太陽光発電設備では「モジュールの裏側」がすっぽりがら空きな印象です。
その点で今回の「Performance 5」では、太陽光発電所関連の多くの事業で自社(SunPower社)が得てきた経験を生かしているとのことなので、多少モジュールの価格が上がったとしても、裏面も発電に利用できるほうが、結果的にコスト面でのメリットが大きい、という判断をしたとすれば、非常に興味深いことです。

HSPVが計画する新しい「スマートファブ」の生産能力(計6GW)のうち、どれだけが「Performance 5」に割り当てられるのかは不明ですが、「shingled cell panel technology」に両面発電というユニークな構造・機能を持つ今回の新モジュールが、果たしてSunPower社(またはMaxeon社)の大規模発電所向けの主力製品となっていくのか、今後に注目したいところです。


※参照・参考資料:
[1]Maxeon Launches Fifth-Generation Shingled Bifacial Solar Panels For Global Power Plant Market(SunPower社、2020/7/23)
https://newsroom.sunpower.com/2020-07-23-Maxeon-Launches-Fifth-Generation-Shingled-Bifacial-Solar-Panels-For-Global-Power-Plant-Market
[2]Performance Series Commercial Solar Panels(SunPower社)
https://us.sunpower.com/solar-panels-technology/p-series-solar-panels
[3]Tianjin Zhonghuan Semiconductor Co Ltd(ロイター)
https://jp.reuters.com/companies/002129.SZ

※関連記事:

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2020年09月11日

チリの「Luz del Norte太陽光発電所」(141MW)が、商業的にアンシラリーサービスを提供する世界初の大規模太陽光発電所に

3週間ほど前になりますが、First Solar社が2020年8月20日に、

  • 南米チリの「Luz del Norte太陽光発電所」(141MWAC)が、世界初となる、商業的にアンシラリーサービスを提供する契約を結んだ大規模太陽光発電所となった。

と発表していました[1]。

主な内容は次の通り。


発電所の場所 チリのコピアポ(Copiapo)
現在の使用者
と用途
チリの独立系統運用者(ISO)である「Coordinador Electrico Nacional」が、国の電力系統の周波数を管理するために使用している。
(※同社は最近、グリッドサービスの提供が承認されている大規模発電機のポートフォリオに、Luz del Norte太陽光発電所を追加した。)
背景
  • これまで世界中の電力系統の運用者は、負荷の変動に対応するための発電のバランスとりを、熱発電所または水力発電所にのみ頼らざるを得なかった。
  • First Solar社と米国のCAISO、NRELは、2016年の実証プロジェクトの一部として、大規模太陽光発電所のグリッド機能を証明していた。
    その研究では、
    • 自動発電制御(AGC)
    • 一次周波数制御
    • ランプレート制御
    • 電圧調整
    の能力を調査。
    その結果、太陽光発電所は、高速ガスタービン技術(負荷の変動への対応に通常用いられる)よりも優れた性能を発揮することが判明した。


上述の研究成果は、2年前(2018年)に「InterSolar EU」で「Outstanding Project Award」を受賞したものと同一と思われます。

個人的にも、太陽光発電などの再エネは、クリーンな一方で(出力の不安定さから)電力系統の安定を乱す存在、というイメージが強かったので(と言うより、正直なところ今でも強い)、逆に優れた調整機能を持ち得るという研究成果には、(具体的な内容の殆どは理解できないながらも)強く驚いたものです。

そしていよいよ、実際の電力系統の中で運用が始まっているとのことで、大規模太陽光発電の実力・有用性を示すためにも、今後はある程度の運用期間を経たうえで、具体的な成果(例えば既存の調整手段と比べて、どれだけ有効だったか)の公表も、期待したいところです。

もちろん調整能力を発揮できるのは、日照のある(太陽光発電を行える)時間帯のみだとは思います。
ただ今回の発電所が位置するコピアポは、日照時間(年間2920.5時間[3])が世界平均(約2500時間[4])よりも長いので、その点ではより有効に機能しうるものと想像します。


※参照・参考資料:
[1]First Solar Power Plant in Chile is World's First to Deliver Grid Services(First Solar社、2020/8/20)
https://investor.firstsolar.com/news/press-release-details/2020/First-Solar-Power-Plant-in-Chile-is-Worlds-First-to-Deliver-Grid-Services/default.aspx
[2]アンシラリーサービスとは?(インプレスSmart Gridフォーラム、2014/4/1)
https://sgforum.impress.co.jp/article/308
[3]Climate(Wikipedia「Copiapo」内)
[4]日本各地の日照時間(ウィキペディア「日照時間」内)

※関連記事:

2020年09月05日

ネクストエナジー社が、両面発電モジュール採用の屋根建材一体型カーポート「Dulight(デュライト)」を発売

2週間以上前になりますが、ネクストエナジー社が2020年8月20日に、

  • 両面発電の太陽電池モジュールを用いた、屋根建材一体型カーポートDulight(デュライト)」を発売した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


開発の背景
  • 日本では現在、(エネルギー基本計画に基づく)再エネの主力電源化に向けた動きが始まっている。
    電源の在り方も、(従来の)大規模集約型から、小規模分散型(個人・企業が保有)への移行傾向がみられる。
  • 上記の動きの中で、太陽光発電は幅広い場所・地域で、自家消費型設備の導入が期待される。
    特に駐車場は、公共施設・産業用施設(工場、店舗など)・一般家庭と、幅広い設置が可能である。
主な特徴
  • 屋根建材一体型:
    太陽電池モジュールと屋根建材が一体。
    これにより
    • デッドスペース解消(モジュールの最適設置など)
    • 従来工法からのコスト(屋根材、屋根材設置工事)の削減
    がもたらされる。
  • 強度:
    • 最大風速38m/s
    • 最大積雪60cm
    まで対応可能。
  • 長期保証:
    システム機器保証15年、太陽電池モジュールのリニア出力保証30年。
  • 発電量の増加:
    両面発電モジュールの採用により、(通常の)片面モジュールと比べて、実発電量の上昇が期待される。
  • 緊急時の使用:
    自立運転機能付パワコン(住宅用)を用いる場合、緊急時に直接電力供給が可能。
その他
  • 販売開始日:2020年8月20日


詳細は不明ですが、[1]の掲載画像の限りでは、屋根材に用いられている太陽電池モジュールに、(屋根の梁などは別として)特に補強などは施されてないように見受けられます。
そのためか、最大積雪は60pまでとのことで、流石に積雪量が多い(雪が深い)地域には向かないものと思われます。

とは言え、構造のシンプルさ・スマートさやコストダウンという点で、やはり大きな魅力も感じる製品です。
いざというとき(災害など)に利用できる非常用電源を各地に増やすという意味でも、このようなカーポートが今後広く普及していくことを、強く期待します。


※参照・参考資料:
[1]両面発電モジュール採用の屋根建材一体型カーポート「Dulight」を8月20日に販売開始(ネクストエナジー社、2020/8/20)
https://www.nextenergy.jp/information/20200820-2/

2020年09月04日

ソーラーフロンティア社の「結晶シリコン及びCIS太陽電池モジュールの低環境負荷マテリアルリサイクル技術実証」が、NEDOとの共同研究事業に採択

もう1か月前になってしまいますが、ソーラーフロンティア社が2020年8月5日に、

  • NEDO
    • 「太陽光発電主力電源化推進技術開発/太陽光発電の長期安定電源化技術開発」事業
    において、自社が提案する
    • 結晶シリコン及びCIS太陽電池モジュールの低環境負荷マテリアルリサイクル技術実証
    が、共同研究事業として採択された。
と発表していました[1]。

主な内容は次の通り。


<背景・目的>

  • 使用済みの太陽電池モジュールは、2030年代からの急増が予想されており、NEDOの推計では
    • 2035〜2037年頃(排出量のピーク)の排出量:17〜28万t/年
    とされている。
  • このためソーラーフロンティア社は、太陽光発電の健全な普及拡大には
    • 低コスト低い環境負荷
    を両立するリサイクル技術が重要と捉え、2010年から、CIS薄膜太陽電池モジュールのリサイクル技術の開発を進めてきた。
    2019年度のNEDOとの共同研究事業
    • 「合わせガラス型太陽電池のマテリアルリサイクル要素技術開発」
    では、マテリアルリサイクル率(マテリアル用途にリサイクルできる部材の比率)を、90%に到達させる目途をつけた。
  • 今回の共同研究事業では、上記の事業で確立した技術を、更に進化させる。

<方針・予定>

  • 事業の期間:2020〜2023年度(4年間)
  • 目標:
    CIS薄膜型だけでなく、結晶シリコン系太陽電池のリサイクル技術開発にも取り組み、両タイプとも
    • 分離処理コスト3円/W以下
    • マテリアルリサイクル率90%以上
    を目指す。(※200MW/年処理時)
  • 実証:
    ソーラーフロンティア社の国富工場に、市販サイズのモジュールを処理する実証プラントを構築。
    最終年度までに、目標とするリサイクル技術を連続運転で実証する。
  • 他組織との協力:
    • 宮崎県工業技術センター
    • 宮崎大学
    とも協働し、技術開発を加速させる。


当ブログの過去記事を振り返ると、ソーラーフロンティア社は2010年には、太陽電池リサイクルに向けた欧州組織「PV Cycle」に加盟
また2017年10月には、前月に発表された総務省の勧告(太陽光発電設備の廃棄処分などに関するもの)を受けて、自社製モジュールの取り扱い方法などをいち早く発表していました。

今回のNEDOとの共同事業で、同社が製造していない結晶シリコン型も対象としているのは驚きましたが、それだけ使用済み太陽電池モジュールに対する同社の問題意識の強さが、表れているように感じます。

現実に(遠くない将来に)モジュールの大量排出が予測される以上、

  • 「太陽光発電の健全な普及拡大の推進策として、低コストかつ環境負荷の低いリサイクル技術の確立が重要」

というのは、全くその通りだと思うので、信頼性が高く事業として十分成り立ち得る技術の開発と確立を、是非とも期待したいと思います。


※参照・参考資料:
[1]ソーラーフロンティアの太陽電池モジュールリサイクル技術実証、NEDOによる採択が決定(ソーラーフロンティア社、2020/8/5)
http://www.solar-frontier.com/jpn/news/2020/0805_press.html
[2](別紙)採択技術開発テーマと実施予定先一覧(NEDO、2020/7/30)
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101338.html
※「新たな太陽光発電技術開発で44テーマを採択」
(https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101338.html)内。

※関連記事:

2020年09月03日

京セラ社と中国「Hangzhou First Applied Material」が封止材の共同開発などで基本合意、京セラ社の特許をFirst社にライセンス供与

1か月ほど前になりますが、京セラ社が2020年8月7日に、

  • 中国の太陽電池モジュール用封止材の大手メーカー「Hangzhou First Applied Material」(以下First社)との間で、
    • 封止材料に関する京セラ保有の特許技術を、First社のみにライセンス供与すること
    • 新しい封止材料共同開発を行うこと
    で、同年8月1日に基本合意した。

と発表していました[1]。

概要は次の通り。


<背景・目的>

  • 京セラ社は1975年に、太陽電池についての研究開発を開始し、製品の長期信頼性に関する技術を培ってきた。
  • First社は、2003年に太陽光関連事業に参入し、封止材料の研究開発・製造などに取り組んできた。
    2019年には太陽電池モジュール用封止材料で、世界市場のシェア50を占めている。
  • 2社は2018年から、First社が京セラ用の封止材料を受託製造することを通じて、協力体制を築き製造技術を蓄積してきた。
  • 現在は環境問題の点から、太陽電池モジュールには
    • 更なる普及(再エネの導入促進)
    • 長寿命化(廃棄物の削減)
    が求められている。
    このため2社は、更なる技術開発が急務と考えており、今回の基本合意に至った。

<取り組みの予定など>

  • 合意の内容
    • 京セラ社は、太陽電池モジュール用封止材料の長期信頼性に関する特許技術を、First社にライセンス供与する。
    • 上記の技術をベースに、更なる長期信頼性向上に関する共同開発に取り組む。
  • 狙い:
    前項の新しい封止材料の開発・普及を通じて、太陽電池モジュールに更に高い信頼性を担保し、
    • モジュールの生涯発電量の増加
    • モジュールの廃棄総量の低減
    に貢献する。
    そしてそれにより、RE100やSDGs等を推進する。


今回は、太陽電池モジュール用封止材に関する動向を久しぶりに目にしましたが、中国の1社が市場シェアの半分を占める状況となっているとは、思いもしませんでした。

もっとも太陽電池モジュールでは、JinkoSolarなど中国メーカーが市場シェアの上位を占めているので、モジュール用の部材においても、(同じく一定以上の品質+高い価格競争力を持つと思われる)中国メーカーが勢力を急拡大していることは、何ら不思議ではないとも考えます。

太陽電池分野での日本企業と中国企業の提携と聞くと、今年7月にパナソニック社がGS-Solar社との協業契約を解消していたこともあり、果たしてしっかりした信頼関係を築くことができるのか?と、少なからず疑念が湧きます。

ただ今回のFirst社については、既に京セラ社が用いる封止材を受託製造しており、また世界市場で高シェアを獲得していることと合わせて、少なくとも企業の信頼性という点からは、パナソニック社とGS社のようなケースになる可能性は低いものと考えます。


※参照・参考資料:
[1]太陽電池モジュール用「封止材料」のライセンス供与および共同開発の基本合意について(京セラ社、2020/8/7)
https://www.kyocera.co.jp/news/2020/0801_kjpa.html
[2]同件についてのHANGZHOU FIRST APPLIED MATERIAL社のプレスリリース(2020/8/8)
※[1]とほぼ同内容の模様。
http://www.firstpvm.com/med_news_detail.asp?aid=1001&cid=21

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2020年08月17日

パナソニック社が中国GS-Solar社との協業契約(研究開発会社の共同運営、マレーシア工場の譲渡)の解消を決定、GS社が期限内に要件を満たさず

2週間以上前になりますが、パナソニック社が2020年7月30日に、

  • 中国の「GS-Solar」社と結んでいた、太陽電池事業での協業契約を解消することを決定した。

と発表していました[1]。

概要は次の通り。


背景・経緯
  • GS-Solar社はパナソニック社と同様に、ヘテロ接合型太陽電池(アモルファス+単結晶シリコン)の研究開発・生産・販売を手掛けている。
  • パナソニック社は2019年5月に、GS-Solar社との間で
    • 太陽電池の研究開発機能を分離して新会社を設立し、2社の共同で出資・運営する。
    • マレーシアの太陽電池生産子会社「Sun Everywhere Sdn. Bhd.」を譲渡する。
    との合意をしていた。
  • しかしGS-Solar社は、契約で定めた期限を超え、更に新型コロナウイルスの影響を考慮した期間を過ぎても、協業開始に必要な要件を満たさなかった
    このためパナ社は、契約の解消を決定した。
今後の方針・予定
  • GS-Solar社への対応:
    法的手段も辞さない姿勢で、毅然とした対応をしていく。
  • 事業の方針:
    様々な手段(新たな協業先との提携を含む)を検討し、
    • 太陽光発電システム
    • HEMS
    • 蓄電池
    等を組み合わせたエネルギーソリューション事業を更に強化して、2022年度の事業黒字化を目指す。
  • 生産体制:
    ソーラー事業の生産拠点と生産品は、
    • 二色の浜工場:車載モジュール
    • 島根工場:セル、周辺機器
    • マレーシア工場:ウエハ、セル、モジュール
    • 福島工場:時計・電卓向け民生用太陽電池
    となる。

いっぽうGS-Solar社のウェブサイト[2]では、この件に関する発表は全く掲載されていません。



簡潔ですが「法的手段も辞さない」「毅然とした対応」という記述には、約束を反故にされたパナソニック社の憤りの強さが、感じられる気がします。

昨年5月の合意の内容を振り返ると、研究開発を担う新会社への出資比率は、GS-Solar社が9割。
そして、生産拠点であるマレーシア工場は丸ごと譲渡ということで、HIT太陽電池の研究開発と生産の両方を、殆どGS-Solar社に委ねる印象でした。

それが完全にポシャッたとなれば、事業計画においてパナソニック社が受けるダメージも、小さくないものと思われます。
今回の発表で示されている、パナ社のエネルギーソリューション事業への注力方針じたいは、昨年の合意発表時に既に示されていたものです。
しかし、その前提となる筈のGS-Solar社との協業が解消となれば、(他の協業相手探しを含めて)今後果たしてどれだけエネルギーソリューション事業の強化を進めることができるのかが、非常に気になるところです。

そしてGS-Solar社のほうは、今のところ(少なくともウェブサイト上では)何の説明・釈明もないですが、今回のようなケースを目にすると、(イメージを固定するようなことは言いたくないですが)中国企業との協業におけるリスクの高さを、感じざるを得ません。


※参照・参考資料:
[1]中国・GSソーラーとの太陽電池事業における協業契約を解消(パナソニック社、2020/7/30)
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2020/07/jn200730-2/jn200730-2.html
[2]News(GS-Solar社)
http://www.gs-solar.com/en/newsroom.php?class=68

※関連記事:

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2020年07月05日

ネクストエナジー社と東北電力が出資契約を締結、第三者所有モデルによる「分散型エネルギーや蓄電池設置等のサービス」の早期事業化などを目指す

ネクストエナジー社と東北電力2020年7月3日に、

  • 両社の間での出資契約を結んだ。
と発表していました[1][2]。

概要は次の通り。


背景
  • ネクストエナジー社はこれまで、
    • 太陽電池モジュール等の開発・販売
    • 太陽光発電設備の建設・保守管理
    と、太陽光発電をトータルにサポートする事業を展開してきた。
    今後については、再エネの主力電源化を目指し
    • 自家消費型太陽光発電システム事業
    • 定置型蓄電システム事業
    • 既設太陽光発電設備の支援サービス事業
    を中核とする、IoTプラットフォームを活用した分散型エネルギー資源の高度利用の実現を目指している。
  • 東北電力は「中長期ビジョン」において「スマート社会実現事業」を成長事業に位置づけ、ビジネスモデルの転換に挑んでおり、
    • 分散型エネルギーや蓄電池設置等のサービス
      (※個人顧客向けに、初期投資を東北電力が負担して、設備を提供する「第三者所有モデル」)
    の早期事業化を目指している。
今後の方針
  • 今回の資本提携により、
    • 東北電力が持つ、エネルギー供給に関する経験・知見
    • ネクストエナジー社が持つ、太陽光発電・蓄電池関連の技術
    を融合して、分散型エネルギー資源を活用する新事業の創出を進める。
  • 東北電力では、「分散型エネルギーや蓄電池等の設置サービス」の早期事業化に取り組む。


東北電力が示す「スマート社会実現事業」[3]は内容が非常に多岐に渡っており、私には全体像をイメージすることもなかなか難しいですが、少なくとも再エネの導入・利用を積極的に進めていこうという姿勢・方針は伺えます。

これは世界の流れ(再エネの急速なコストダウン導入の急拡大)に引っ張られている面も少なからずあるとは思いますが、日本の既存の大手電力会社もいよいよ、このような方針を明確に掲げる時代になってきたということ自体は、非常に喜ばしいことだと考えます。

今回の2社の提携については、東北電力による「分散型エネルギーや蓄電池等の設置サービス」以外の具体的な内容は不明ですが、初期費用や廃棄物の削減という意味で、[4]のような使用済み太陽電池モジュールの再利用が、本格化することにも期待します。


※参照・参考資料:
[1]ネクストエナジー、東北電力と資本提携(ネクストエナジー社、2020/7/3)
https://www.nextenergy.jp/information/200703-2/
[2]ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社への出資について〜スマート社会実現に向けた分散型エネルギーを活用したビジネスへの挑戦〜(東北電力、2020/7/3)
https://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1215331_2558.html
[3]東北電力グループ中長期ビジョン(概要版)(東北電力)
https://www.tohoku-epco.co.jp/comp/keiei/vision/vision_gaiyo.pdf
(※「https://www.tohoku-epco.co.jp/comp/keiei/vision.html」内)
[4]明治九州工場におけるリユースモジュールを活用した自家消費型設備が竣工(ネクストエナジー社、2020/4/28)
https://www.nextenergy.jp/information/200428-2/

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2020年06月25日

2017〜2019年度の日本における太陽電池モジュール出荷量は堅調な伸び、しかし日本企業のシェアは縮小が続く

今回は、JPEA(太陽光発電協会)が公表している太陽電池出荷統計から、出荷量が下げ止まった2017年度以降の太陽電池モジュール出荷量[1]〜[3]について、私の個人的な観点で数値を抜き出し、まとめてみました。

(※全ての項目において、表を作成後に、元資料との数値の照会または検算を1回行った。)


<総出荷量と、出荷先別・生産地別の出荷量>

(※各資料の数値の1000W未満を四捨五入し、MW表記とした。)

日本における
太陽電池モジュール
出荷量[MW]
総出荷量国内出荷海外出荷
国内生産海外生産国内生産海外生産
2017年度
([3]の7枚めより)
56705246424
16553591227197
2018年度
([2]の6枚めより)
59145507407
12174290107300
2019年度
([1]の6枚めより)
64306113317
1111500220242
日本企業」における
太陽電池モジュール
出荷量[MW]
2017年度
([3]の7枚めより)
33932968424
16471322227197
2018年度
([2]の6枚めより)
31782822357
12131608107250
2019年度
([1]の6枚めより)
30162709307
1111159820287

まず「総出荷量」では、「日本における」総出荷量は年々伸びていますが、「日本企業における」総出荷量は逆に年々減っており、国内メーカーと海外メーカーの差が伺えます。

次に「国内出荷」では、「日本における」出荷量で「国内生産」が年々減っている一方、「海外生産」は増加の一途。
これは「日本企業における」出荷量もほぼ同じ傾向であり、日本国内での太陽電池モジュール生産が縮小を続けている一方で、海外メーカーの製品のシェア拡大が続いており、また国内メーカーも国内拠点での生産の比重を減らしつつあることが、伺えます。

そして最後の「海外出荷」は、日本メーカー製が全てを占めている「国内生産」では、減少のペースが特に顕著です。
日本メーカーが、日本国内で生産する太陽電池モジュールの海外販売を、もはや諦めているとも感じられる数字です。


<前項の出荷量において、日本企業が占める割合>

総出荷量国内出荷海外出荷
国内生産海外生産国内生産海外生産
2017年度59.8%56.6%100%
99.5%36.8%100%100%
2018年度53.7%51.2%87.7%
99.7%37.5%100%83.3%
2019年度46.9%44.3%96.8%
100%31.9%100%

次に「日本における」各出荷量について、日本国内企業が占める割合を計算してみました。
(※前項の数値から「『日本企業における出荷量』÷『日本における出荷量』×100」で計算。)
ただし2019年度の「海外出荷」の「海外生産」については、「日本における出荷量」のほうで数値に矛盾があった(20+242は317にならない)ので、空欄にしています。

「総出荷量」に占める割合は年々低下し、2019年度には50%を割り込んでいます。
パナソニック社は2020年9月に米バッファロー工場でのセル・モジュール生産から撤退する予定であり、これで同社自身によるモジュール生産が無くなるので、次の2020年度も、日本メーカーの割合は更に下がるものと予想します。

「国内生産」での日本企業のシェアは、「国内出荷」「海外出荷」ともにほぼ100%で、これは当然と言えば当然かもしれません。
ただし2017年度・2018年度の「国内出荷」においては、外資系の日本拠点での生産が僅かにあったことが偲ばれますが、それも2019年度にはゼロとなっており、日本国内で生産することのメリットがいよいよ無くなった、ということかと思われます。

「国内出荷」の「海外生産」は、2017・2018年度はおおむね横ばいですが、2019年度は明らかに減少。
「日本における」同項目の出荷量は、毎年1GW前後の伸びだっただけに、ここでも(国内メーカーと比較しての)海外メーカーの勢いの強さが感じられます。


<出荷量の前年度比>

日本における
太陽電池モジュール
出荷量の前年度比
総出荷量国内出荷海外出荷
国内生産海外生産国内生産海外生産
2018年度104.3%105.0%96.0%
73.5%119.5%47.1%152.3%
2019年度108.7%111.0%77.9%
91.3%116.6%18.7%
日本企業」における
太陽電池モジュール
出荷量の前年度比
2018年度93.7%95.1%84.2%
73.6%121.6%47.1%126.9%
2019年度94.9%96.0%86.0%
91.6%99.4%18.7%114.8%

ここでは、出荷量の年度ごとの変化を掴みやすくする狙いで、各数値の前年度比を計算しました。
(※前々項の表から、「『当該年度の出荷量』÷『前年度の出荷量』×100」で計算。

「日本における」総出荷量が堅調に伸びている中で、日本企業の総出荷量と「国内生産」がマイナス続きの一方、「海外生産」はおおむね堅調に伸びていることが見て取れます。


<国内・用途別の出荷量>

※各資料の数値の1000W未満を四捨五入し、MW表記とした。
ただし「その他」のみ、数値が小さいため、小数点一ケタまで記載した。

日本における
太陽電池モジュール
出荷量[MW]
住宅用非住宅用その他
全体>500kW
2017年度
([3]の7枚めより)
1079415727199.6
2018年度
([2]の6枚めより)
1007449826821.8
2019年度
([1]の6枚めより)
1013509732412.4
日本企業」における
太陽電池モジュール
出荷量[MW]
2017年度
([3]の7枚めより)
795217212111.5
2018年度
([2]の6枚めより)
763205710971.8
2019年度
([1]の6枚めより)
771193610992.4

今度は、国内における「用途別」の出荷量をまとめてみました。

「住宅用」は、「日本における」「日本企業における」の両方で、おおむね横ばい。

しかし「非住宅」では、「日本における」出荷量で「全体」「500kW超」が堅調に伸びている一方、「日本企業」の出荷量は減少傾向。
やはり住宅用よりも規模が大きい設備向けでは、海外メーカー製の価格競争力が優位、ということだと思われます。

「その他」は、2017年度には海外メーカーの出荷量がありましたが、2018・2019年度は完全に日本企業のみとなっています。
ただ、そもそも全体の出荷量じたいが2017年度から激減しており、省エネ意識が高まっている筈の中で、小型機器(電卓、時計など)向けの太陽電池の需要が一体どうなっているのかが、気になるところです。


<用途別出荷量において、日本企業が占める割合>

住宅用非住宅用その他
全体>500kW
2017年度73.7%52.2%44.5%15.6%
2018年度75.8%45.7%40.9%100%
2019年度76.1%38.0%33.9%100%

次に、用途別出荷量における日本企業のシェアを計算しました。
(※上記表の数値を用い、「『日本企業における出荷量』÷『日本における出荷量』×100」で計算。)

やはり「住宅用」では概ね横ばいをキープしている一方で、「非住宅」での継続的なシェア縮小が目立ちます。


<用途別出荷量の前年度比>

日本における
太陽電池モジュール
出荷量の前年度比
住宅非住宅その他
全体>500kW
2018年度93.3%108.2%98.6%18.8%
2019年度100.6%113.3%120.8%133.3%
日本企業」における
太陽電池モジュール
出荷量の前年度比
2018年度96.0%94.7%90.6%120%
2019年度101.0%94.1%100.2%133.3%

そして当記事の最後として、用途別出荷量の前年度比を計算しました。
(※これも前々項の表の数値を用い、「『当該年度の出荷量』÷『前年度の出荷量』×100」で計算。)

「住宅用」は、2018年度がマイナスだったものの、翌2019年度はほぼ横ばいとなっており、需要はある程度の水準を保っている(大きく伸びもしなければ、大きく減りもしていない)ものと推測します。

「非住宅」は、「日本における」では堅調な伸びを継続。
いっぽう「日本企業における」のほうは、「全体」で前年度比マイナスが続いており、やはり日本メーカー製モジュールがシェアを縮小し続けていることが伺えます。
ただし「500kW超」では、2019年度が前年度とほぼ同水準をキープ。
これには、100MWの「鹿屋大崎ソーラーヒルズ太陽光発電所」(2019年11月に本体工事完了)への京セラ社によるモジュール供給も、寄与したものと想像します。
また同社は、480MWの「宇久島メガソーラー事業」 (2023年6月末に建設完了予定)にもモジュールを供給する予定であり、日本メーカーも海外勢にただ押され続けているわけではないようです。


※参照・参考資料:
[1]日本における太陽電池出荷統計 2019年度第4四半期及び2019年度(JPEA、2020/5/27)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h314q.pdf
(※「http://www.jpea.gr.jp/document/figure/index.html」内、以下同じ。)
[2]同 2018年度第4四半期及び2018年度(同上、2019/5/24)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h304q.pdf
[3]同 2017年度第4四半期及び2017年度(同上、2018/5/22)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h294q.pdf

※太陽電池出荷量に関する過去記事:

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