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2017年09月24日

理研が超薄型(3μm)で高い変換効率(7.9%)の有機太陽電池を開発、また伸ばしたゴムによる封止で、耐水性の大幅向上や高い伸縮性も実現

理化学研究所が2017年9月19日に、

  • 超薄型変換効率が高く、伸縮性・耐水性にも優れる有機太陽電池を開発した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


<背景>

衣服に貼付できる太陽電池は、生体継続モニタリング用のウェアラブルセンサーの電源候補として、期待されている。
しかし、このような太陽電池は
  • 環境安定性の高さ
  • 変換効率の高さ
  • 優れた機械的柔軟性
の3要素を同時に満たす必要があるが、従来の有機太陽電池ではこれは困難だった。
特に、非常に薄いフィルムを用いる場合には
  • フィルム表面の平坦性の確保が困難
  • ガスバリア性の著しい低下
との課題があった。

<特徴>

超薄型を実現 2012年に理研で開発した新しい半導体ポリマー(PNTz4T)を使用し、厚さ約1μmの「パリレン」(※高分子材料の一種)の基板上に、有機太陽電池を作成した。
またこのデバイスは、50%まで潰しても、安定的に駆動した。
(※管理人注:この後の本文の記述から、太陽電池作成後の厚さは、3μmとみられる。)
高い変換効率 ガラス支持基板から剥離した状態で、変換効率7.9%を達成した。
(※過去に報告されている柔軟性の高い有機太陽電池では4.2%)
高い耐水性 作成したデバイスは、5分間水中に浸した後でも、変換効率の低下は殆どみられなかった。
また、水性ペン(黒色)で表面に染みを付けた後に、デバイスを洗剤液(中性洗剤10%)で洗ったところ、素子性能の低下を全く起こさず、変換効率は初期値に戻った。
高い伸縮性の確保と、耐水性の大幅向上 2枚のゴム予め引っ張って伸ばし、その間に今回の有機太陽電池(厚さ3μm)を挟むことで、高い伸縮性を得つつ、耐水性能を大きく向上できた。
120分間水中浸漬における、変換効率の低下の度合いは
  • ゴム封止無し:初期値から約20%低下
  • ゴム封止有り:同約5%低下
であり、ゴム封止により大幅に向上している。
また、水滴をデバイス上へ滴下・一定時間保持しつつ、約50%の伸縮を反復した場合には、変換効率は初期値の80%を維持した。


もう昔の話になりますが、約9年前(2008年)に米IBM社が、今後5年間のうちに世の中を大きく変える可能性がある、という技術革新を予想した「Next 5 in 5」を発表していました。

その一つに薄膜太陽電池の多様な場所への設置があり、その想定用途の一つに「衣類」への設置が挙げられていました。

しかし結局、2013年までにはおろか、更に4年経った現在(2017年)でも、衣類への太陽電池搭載は実用化が達成されておらず、そのハードルの高さが偲ばれます。

ちなみに、発表[1]の中にある変換効率の従来の記録(4.2%)は、東京大学とヨハネスケプラー大学が2012年に発表した研究成果と合致しているので、これが該当するものと思われます。


そこに来て今回は、日本国内の研究機関による発表ということで、性能が非常に具体的に示されており、当ブログでこれまでチェックしていた類似の研究成果(関連記事)と比べても、最も実用化に近いように感じられます。

もっともこの点は、最新の研究成果なので、当然と言えば当然のことなのかもしれません。

もし仮に実際の製品(衣類)に適用する場合には、更に厳しい試験が必要になるものと想像しますが、それでも今回、発電性能や伸縮性、各種の耐久性がここまで来たということで、何らかの展開につながることを、期待したいところです。


※参照資料:
[1]洗濯可能な超薄型有機太陽電池(理化学研究所、2017/9/19)
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170919_2/

※関連記事:

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2017年09月19日

Tigo Energy社とSMA社が太陽光発電設備の新しい急速停止機能で提携、「SunSpec Alliance」の新仕様に則り、インバータとモジュールの連携を図る

Tigo Energy社が2017年9月11日に、

  • 太陽光発電設備の急速停止機能採用に関する「SunSpec Alliance」の新仕様への完全準拠に向けて、太陽光発電用インバータのSMA社と提携した。
と発表していました[1][2]。

今回は他の資料([3]〜[6])も参照しつつ、提携の概要をまとめてみました。


背景
  • SunSpec Allianceは、太陽光発電設備の機器間での通信規格を認定する機関であり、信号を電力線を通して送信する(PLC)ための仕様を、策定してきた。
    今回の新仕様は、太陽電池モジュールレベルでの急速停止(Rapid Shutdown)機能に関するものであり、メーカーの異なる機器間に適用できるものとしている。
  • NEC(米国電気基準)2017」においては、太陽電池モジュール単位の急速停止機能が、2019年1月義務化される。
    ※これに先立って「NEC 2014」では、太陽電池アレイの外側のコントロールされた導体(管理人注:インバータのことか?)の急速停止機能に関する要件が盛り込まれている。
方針
  • SMA社のインバーター
  • Tigo社の「TS4 Flex MLPE」製品群
    (※SunSpec Allianceに適合する急速停止機能を、新たに追加する)
の間で相互運用できる送受信装置を開発する。
これはSunSpec Allianceの仕様とNEC 2017に完全に準拠し、
  • Tigo社製品のモジュールレベルでの停止機能
  • SMA製インバータのAFCI(Arc Fault Circuit Interrupter)
を結合する。


今回のTigo社・SMA社の提携で実現される機能が、具体的にどのようなものかはいまいち判りませんが、SunSpec Allianceの発表資料[3]によると、新仕様での急速停止の動作は

  1. インバータ内の「Initiator」の信号に基づき、同じくインバータ内の「Transmitter」が、(通常はモジュール側に送り続けている)運転を指示する信号を停止する。
  2. モジュール側の「Receiver」が、この信号停止を感知し、出力を停止する。
というもの。

このことから、地絡発生時には、まずSMA社製インバータ内のAFCI(アーク保護遮断器)が動作し、その後に「TS4 Flex MLPE」を取り付けたモジュールの出力を停止させる、という順番と推測されます。

そして今回の提携で開発される「送受信装置」は、SunSpec Allianceの新仕様における「Initiator」「Transmitter」「Receiver」に該当すると考えられます。


また安全工学会の資料[4]によると、ドイツのある屋根設置設備で発生した火災において、モジュール裏のバックシートが破れてセルが露出し、屋根側の金具と接触して地絡が発生した、と推測されています。

このように、複数の箇所で地絡が起こった場合に、モジュール単位での出力停止機能があれば、被害をもっと小さく抑えられたのでは・・・と考えさせられます。

この点が、SunSpec Allianceが急速停止の新仕様を策定した、理由の一つなのかもしれません。


日本国内での(太陽光発電設備が原因の出火による)火災の事例があるのかは知りませんが、

  • 地絡の検出時に、太陽電池アレイ内の電流を確実に遮断する
    (モジュール単位で出力オフにすることで、アークを確実に消弧する)
  • 火災になってしまった後でも、被害の拡大を防ぐ
    (更なる地絡発生の防止、消火活動での感電防止)
という点では、日本でもSunSpec Allianceのような安全仕様を策定する必要性が、無いとは言えないのではないでしょうか?

しかし私が見聞きする限り、国内において(地絡による火災防止という点での)安全性向上に関する情報は、極めて乏しいです。

太陽光発電とは関係ありませんが、日本国内の米軍住宅ではAFCIの導入が進められているという情報もあり[5]、この点では日本と海外の大きな意識差を、感じてしまいます。


※参照資料:
[1]タイゴとSMAが提携し、サンスペック仕様をサポートする急速停止ソリューションを市場に提供(Business Wire、2017/9/12)
http://www.businesswire.com/news/home/20170912005809/ja
[2]Tigo & SMA Join Forces To Bring A Rapid Shutdown Solution To Market Supporting SunSpec Specifications(Tigo Energy社、2017/9/11)
https://www.tigoenergy.com/about-tigo/press-releases/88
[3]Communication Signal for Rapid Shutdown SunSpec Interoperability Specification(SunSpec Alliance、2017/8/21)
https://sunspec.org/communication-signal-rapid-shutdown-specification-now-available/
内のリンク先からダウンロード可能。(※無料の会員登録が必要)
[4]太陽光発電の火災リスクに関して(J-STAGE Journals、2013年)
www.jstage.jst.go.jp/article/safety/52/3/52_162/_pdf
[5]いわゆる「電子ブレーカー」について(建築設備フォーラム)
https://www.setsubi-forum.jp/cgi-bin/c-board/data/design/log/tree_2735.htm
[6]Arc-fault circuit interrupter(Wikipedia)

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2017年09月14日

Tigo Energy社が既存の太陽電池モジュール用の機能追加ソリューション「TS4-R-X-Duo」を発表、1基でモジュール2枚をサポート

Tigo Energy社が2017年9月12日に、

  • 太陽電池モジュールへの後付け用ソリューション「TS4-R-X-Duo」を発売する。
と発表していました[1][2]。

製品の主な特徴は次の通り。


既存モジュールに後付け ベースを既存モジュールに取り付けて、それに機能別のカバーを取り付けする方式。
これにより、事業の予算や内容に応じた機能選択を、実現している。
モジュール2枚に対応 直列接続された太陽電池モジュール2枚をサポートしており、
  • 総出力:最大700W
  • 合計電圧:最大90V
に対応している。
カバーは3機種 カバーは機能別に
  • TS4-R-O-Duo(最適化
  • TS4-R-S-Duo(「O」+安全
  • TS4-R-M-Duo(「S」+モニタリング
を用意。
「S」「M」は、NEC 690.12の急速停止規格に準拠している。(ULの承認待ち)
様々なインバータやモジュールに対応 カバーは3機種とも、どのようなインバータやモジュールと組み合わせた場合でも、各機器の電気的仕様の範囲内で動作する。

またこの製品は既に、出荷を開始済みとのことです。



2年前に初めて発表された元々の「TS4プラットフォーム」は、太陽電池モジュールメーカー向け(出荷前のモジュールに組み込む)のものでしたが、今回の「Duo」は既存(例えば設置・稼動済み)のモジュール用であり、「TS4」に対する需要の広がりが伺えます。

ただTigo社のサイト[3]を見ると、同社は先に、モジュール1枚用の「TS4-R」をリリース済みのようです。

今回の「Duo」の詳しい製品情報は、まだ掲載されていませんが、外観の写真や「TS4-R」の製品解説を見る限り、「Duo」は機能や特徴の面で、「TS4-R」とかなり共通部分が多いと見受けられます。


そのように、既に「TS4-R」があるにも関わらず、同じ既存モジュールへの後付け用である「Duo」を新たに発表した理由は、今回の発表には書かれていません。

ただ、「Duo」だとモジュール2枚につき1基で済むことから、例えば既に稼動している太陽光発電設備に導入する場合には、製品の購入コストや取り付け作業が、「TS4-R」に比べて大幅に軽減されると考えられます。(おおよそ半減?)

この点が、コストダウンに対する顧客のニーズに応えるという意味で、「Duo」を今回発表した狙いだと推測します。


※参照資料:
[1]タイゴが高出力700Wの太陽光発電モジュールを目標に、新機種TS4デュオを発売(Business Wire、2017/9/12)
http://www.businesswire.com/news/home/20170912005860/ja
[2]Tigo Targets High Power 700W PV Modules With Launch Of New TS4 DUO(Tigo Energy社、2017/9/12)
https://www.tigoenergy.com/ja/about-tigo/press-releases/89/
[3]製品(Tigo Energy社)
https://www.tigoenergy.com/ja/products/

※関連記事:

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2017年09月11日

総務省が「使用済パネル」の廃棄処分などについての調査結果を発表、溶出試験でのセレン検出や、パネルメーカーの有害物質情報の提供拒否など

総務省2017年9月8日に、

  • 使用済み太陽電池パネル廃棄処分などの実施状況に関する調査結果の報告と、必要な改善措置についての勧告
を発表していました[1]。

まず、調査の要項は次の通り。


背景・
目的
  • 国内での「使用済パネル」(寿命や修理交換に伴う)の排出量は、今後の増加(特に2030年台半ば〜の急増)が予想されている。
    このパネルには有害物質(鉛、セレン等)が使われているものがあり、関係法令に沿った適正な廃棄処理などが必要になっている。
  • 太陽光発電については他に、現状でも
    • 地震・台風などによる損壊と、それに伴う感電土壌汚染
    • 倒産事業者の急増
    が指摘されている。
  • 環境省では、上記の問題への対応として、これまでに
    • 「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第一版)」(2016年3月)
    • 「平成28年熊本地震により被災した太陽光発電設備の保管等について」(同5月)
    を示している。
  • 今回は上記の状況を踏まえて、使用済パネルの
    • 適正な処理の確保
    • リユース・リサイクルの促進
    を図るべく、実際の廃棄処分などの状況を調査した。
対象地域 災害時平常時における実態を、コンパクトに把握するため
  • 北海道、埼玉県、茨城県、群馬県、愛知県、静岡県、兵庫県、福岡県、熊本県
9都道府県の、12市町村で行った。
(※うち、災害により損壊・水没したパネル(損壊パネル)が発生したのは6市町村)
調査時期 2017年4〜9月

そして調査結果の中で、有害物質に関して、次のような実情が紹介されています。


セレンの検出 台風による損壊現場に約3ヶ月存置されていた損壊パネルについて、引き取った産業廃棄物処理業者が溶出試験を行ったところ、基準値(溶出0.3r/L)を上回るセレンが検出された。
損壊パネルの受入先確保に苦慮 災害に被災した市町村では、複数の産廃処理業者に損壊パネルの受入れ可否を確認したが、
  • もともと太陽電池パネルを受け入れていない
  • 有害物質に関する情報が無ければ受け入れられない
等の回答で、受入先に苦慮するケースがあった。
メーカーが情報提供を拒否 産廃処理業者が、太陽電池パネルメーカーに対し、有害物質についての情報提供を求めたところ、
  • 企業秘密(※海外メーカー)
  • パネルの購入者ではない
との理由で断られたケースがあった。


レポート内に具体的なメーカー名は全く記載されていませんが、セレン(Se)が検出されたモジュールについては、ソーラーフロンティア社のCIS型か、旧ホンダソルテック社(※2013年10月に事業終了を発表)のCIGS型かと推測します。

ただ検出されたとはいえ、それは溶出試験を行ったうえでの結果であり、モジュールを存置していた場所で実際にセレンが漏出していたのか、というのが非常に気になるところです。


また産廃業者においては、太陽電池モジュールの受入態勢が、十分に整っていない現状が伺えます。

そして受入の可否に大きく関わる、有害物質の使用に関する情報について、メーカーから提供を断られるというのも、太陽電池のリサイクル・リユースがまだ確立していない故と思われますが、この点はメーカー側が早急に対応を改めてほしいところです。

特に海外メーカーが「企業秘密」を理由に断ったというのは、そのメーカーが損壊パネルの処理を完全に引き受けているのでない限り、許容されるものでは無いと考えます。


最後に、今回の記事では取り上げなかった「感電」については、レポート内に事故発生の事例がありません。

ひょっとしたら、現場での損壊パネルの取り扱い中に、少しビリッときたぐらいのことはあったのかもしれませんが、少なくとも(治療が必要となるぐらいの)重大な感電事故は、昨今の北海道・九州での水害では、起こらなかったものと見受けられます。

とはいえ、水害による損壊は実際に発生しており、また津波によるより長時間の水没も懸念される以上、モジュール単体ごとの迅速遮断装置(例えばTigo Energy社製品のようなもの)の必要性は、全く変わらないと考えます。


※参照資料:
[1]総務省|太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査 <結果に基づく勧告>(総務省)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/107317_0908.html
[2]セレン(ウィキペディア)
[3]化合物系(同上「太陽電池」内)

※関連記事:

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2017年09月10日

パナソニックが日本での太陽電池モジュール生産を2017年度末に終了予定、いっぽうでHITセル単体の販売を同年度内に開始

パナソニック社が2017年9月7日に、

  • ソーラー事業の競争力を高めるため、同事業の構造改革を行う。
と発表していました[1]。

改革の内容は次の通り。


HITセルの販売 2017年度内にB2B事業強化の一環として、セル単体でのデバイス販売を開始する。
(※従来の販売はモジュールのみ)
これに伴い、セルの生産体制も、世界的に最大限活用していく。
モジュールの生産体制を変更
  • 住宅用・産業用:全てを海外工場で行う
    滋賀工場での生産は、2018年3月末終了する。
  • 車載用:国内の二色の浜工場


パナ社の太陽電池事業については、今年7月の報道で、

  • モジュールの販売比率を、海外:日本=9:1にしていく。
  • 国内拠点は当面閉鎖せず、最大限活用する方法を考える。
との方針が示されていました。

そのため僅か2ヶ月後の今回、日本国内での(車載用を除く)モジュール生産の終了が、「公式」なプレスリリースとして明示されたことには驚きました。

とはいえ、モジュール価格の下落の厳しさ(数週間前に米国で35セント/W)を考えると、早期に容赦の無い判断が必要だったことも理解できます。


その一方で、HITセル単体のほうは高い需要を見込んでいるようですが、思い返すと米国ではTesla社の製品(「Solar Roof」等)向けの生産計画が立ち上げ済みであり、今後も同種の(他社の独自製品への組み込み用の)供給予定が出てくるかどうかは、強く興味を惹かれるところです。


ともかく今回の発表は、一般的な(住宅用・産業用の)太陽電池モジュールが既にコモディティ化している現実を、はっきり示すものであり、個人的には日本での生産縮小に、一抹の寂しさも感じますが、急激な変化を続ける産業・市場においては、仕方の無いことだとも思われます。


※参照資料:
[1]ソーラー事業競争力強化に向けた構造改革について(パナソニック)
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2017/09/jn170907-4/jn170907-4.html

※関連記事:

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2017年09月04日

Hanergyの米子会社「Alta Devices」と自動車大手のAudi社が提携、GaAs薄膜太陽電池を電気自動車の屋根に搭載する計画

  • 中国Hanergy社の米国子会社「Alta Devices」(GaAs薄膜太陽電池を手がける)
  • 自動車メーカー「Audi
2017年8月23日に、
  • Audi製電気自動車への薄膜太陽電池搭載に向けて提携した。
と発表していました[1]〜[4]。

概要は下記の通り。


背景
  • Audi社は電気自動車について、
    • 2020年までに、電気自動車3種を発売する
    • 2025年までに、顧客に引き渡す車の1/3を電気自動車にする
    との目標を立てている。
  • Alta Devices社のGaAs薄膜太陽電池は、
    • 変換効率が高い(セル変換効率25%以上)
    • 非常に薄く、軽量でフレキシブル
    • 低照度・高温の環境でも高パフォーマンス
    との長所を備えている。
今後の予定・計画
  • 屋根への太陽電池搭載
    まず最初は、ガラス製パノラマルーフに薄膜太陽電池を装着する。
    2017年末までに、プロトタイプ車を発表する)
    将来的には、車両の屋根全体を太陽電池で覆う。
    その発電電力を、車内の電気系統(空調、座席のヒーター等)に用いることで、走行距離の延長を図る。
  • 走行用バッテリーへの電力供給
    長期的には、屋根の太陽電池の発電電力を、駆動系バッテリーの直接充電に用いることを目指していく。


電気自動車は、10年近く前には三菱自動車や日産が市販車両を発売するなど、一時的に関心が大きく高まったものの、その後は劇的に価格が安くなることも無く、結局は何処かに消え去ってしまったような印象でした。

そのため今年の夏に、一部の海外自動車メーカーや国が相次いで、電気自動車に急激に切り替えていく方針を発表した[5]ことには、極めて驚きました。

それらが本当に現実性のあるものなのかは不明ですが、ともかく電気自動車への関心が、急激に(しかも世界的な規模で)高まっていることは確かとみられ、アウディ社でのEV開発計画も、その流れの一つと思われます。

そしてその中で、電気自動車の走行可能距離を少しでも伸ばすために、ボディに太陽電池を搭載することは、必然的な発想とも思われます。


自動車屋根への太陽電池搭載と言えば、EVでは無いものの、トヨタ「プリウスPHV」の新モデル(2017年2月発売)が、オプションに「ソーラー充電システム」を用意。

その発電電力量(1日分)のEV走行距離換算も発表されており、数km程度とはいえ、太陽電池によるEV走行距離の拡大効果が伺えます。

そして今回のAudi・Hanergyの提携では、軽量かつ発電性能の高いGaAs薄膜型を用いるとのことなので、プリウスPHV(パナソニック製太陽電池を採用)と比べて、(走行距離換算で)いったいどの程度の差が出るのか、というのは強く興味を惹かれるところです。


そう言えばHanergy社は、昨年7月にGaAs太陽電池搭載の自動車「Hanergy Solar」を発表していました。

この車両は太陽電池の搭載量が多い(ボンネット等にも搭載)とはいえ、5〜6時間で走行距離80km相当を発電可能と、個人的には正直疑わしい数値が示されていましたが、今回のAudi社との提携で、Hanergy社のGaAs薄膜型の真価が明確になることを期待したいです。

(ちなみにHanergy社のサイトを見ると、同社の技術には元々GaAs型は無く[6]、Alta Devices社の買収(2014年7月[7])によって獲得したものと思われます)


ただ、ひとつ強く気になるのは、GaAs(ヒ化ガリウム)が毒性(発がん性)を持っている[8]ことです。

例えば米First Solar社のCdTe型太陽電池の場合は、通常使用時や火災時などにカドミウムが漏出しないことを確認済みとのことでした。

しかし今回のAudi・Hanergyの提携では、自動車に搭載するものであり、事故時の破損による飛散などに対して、特に十分・慎重な対策が必要になると考えるので、この点で2社がどのような対応を講じていくのか、という点にも強く注目したいところです。


※参照資料:
[1]Hanergyとアウディが薄膜太陽電池テクノロジーの戦略提携覚書に調印(共同通信PRワイヤー、2017/8/24)
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201708244931/
[2]Audi Cooperates with Alta Devices on Automobiles with Solar Roofs(Alta Devices社、2017/8/23)
https://www.altadevices.com/audi-cooperates-alta-devices-automobiles-solar-roofs/
[3]Alta Devices and Audi: Defining the Solar Car of the Future(同上)
https://www.altadevices.com/alta-devices-audi-defining-solar-car-future/
[4]Audi models with a solar roof: Car manufacturer cooperates with Hanergy(Audi社、2017/8/23)
https://www.audi-mediacenter.com/en/press-releases/audi-models-with-a-solar-roof-car-manufacturer-cooperates-with-hanergy-9221/download
(※https://www.audi-mediacenter.com/en/press-releases内)
[5]第9話 『すでに始まっているモビリティ革命』(飯田哲也の再生可能エネルギーレポート、2017/7/17)
https://r-nav.jp/blog/1477.html
[6]Core Technology R&D and Advanced Equipment Manufacturing(Hanergy社)
http://www.hanergy.com/en/industry/industry_article3.html
[7]Company Highlights(Alta Devices社)
https://www.altadevices.com/about-overview/
[8]ヒ化ガリウム(ウィキペディア)

※関連記事:

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2017年09月03日

サンテックパワージャパン社が5本バスバーの産業用太陽電池モジュール2種(325W・275W)を発表、公称最大出力は現行モデルから5〜10Wアップ

サンテックパワージャパン社が2017年8月28日に、

  • 5本バスバーを採用した産業用太陽電池モジュール(多結晶型)の新製品2種
を発表していました[1]。

今回はその発表に基づき、現行機種との違いを表にしてみました。

※カッコ内は現行機種からの変化。


形式 STP325-24/Vfw
(※現行機種は
STP320-24/Vem)
STP275-20/Wfw
(※現行機種は
STP265-20/Wem)
バスバーの数 5本(1)
公称最大出力 325W(5W) 275W(10W)
モジュール変換効率 16.7%(0.4ポイント) 16.8%(0.3ポイント)
外形の全長 1960mm(4mm) 1650mm(10mm)
質量 25.9kg(0.1kg) 18.3kg(0.1kg)
コネクタのタイプ H4(※現行機種はMC4)

また出荷開始時期は、2017年10月予定とのことです。



思い返すと、3本バスバーの特許を持つ京セラ社が、同特許権の侵害でハンファQセルズ社を訴えたのがほぼ3年前(2014年7月)でした。(※その後両社は2015年10月に和解

ちょうどその頃には4本バスバーのモジュール(REC Solar社)が発表され、脱3本バスバーの動きが伺えましたが、今回のサンテック社の5本バスバーも、その流れの延長線上なのでは、と想像します。


バスバーの本数がこれだけ増えると、製造コストの上昇や、セルの受光面を遮る面積の増加、といったマイナス方向の影響が無いのかが気になります。

ただ今回の製品については、現行モデルと殆ど同じモジュールのサイズ・重量で、公称最大出力が明確に上がっており、少なくとも発電性能の点では、5本バスバー化のメリットのほうが大きいようです。


最後にコネクターについては、発表[1]で説明が全く無いので、変更の正確な理由は判りません。

ただ他社のサイトを見ると、「MCコネクタ」は「世界標準のPVコネクター」[2]であり、いっぽう「H4コネクタ」は「市場にすでにある業界標準のコネクタと嵌合する」[3]とのこと。

このことから、現行モデル・新モデル間でコネクタの互換製を保ちつつ、新モデルではコネクタのコスト削減と、耐久性・性能の向上を図ったものと推測します。


※参照資料:
[1]サンテックパワージャパン 産業用太陽光発電モジュール新製品を発売 〜 集電性能を高め出力を向上 〜(サンテックパワージャパン社、2017/8/28)
http://www.suntech-power.co.jp/news/2017/0828202.html
[2]MC PVコネクタ(太陽電池モジュール用コネクタ)(ソルトン社)
http://www.solton.co.jp/products/connector009.html
[3]Helios H4コネクタ(Degi-Key社)
https://www.digikey.jp/ja/product-highlight/a/amphenol-industrial-operations/helios-h4-connectors

2017年08月25日

米国で太陽電池モジュールのスポット価格が最大2割上昇、それでも値上がり前は35セント/W

1ヶ月近く前になりますが、Newsweekの記事[1]で、米国の太陽光発電市場の現状が報じられていました。

この中で、米国での太陽電池モジュール価格の変化についても書かれており、主な数値は次の通り。


  • スポット価格「ここ数週間」で、最大2割上昇した。
  • 価格高騰以前の平均水準:35セント/W


「ここ数週間」を仮に4週間(1ヶ月)とすると、記事[1]の日付(2017/7/31)から、35セント/Wは2017年6月頃の水準となります。

これを、過去の米国での太陽電池モジュール価格(※当ブログでチェックしていたもの)と一緒に並べると、下記のようになります。

価格
2009年 約4ドル/W
2013年 0.65ドル/W(4年で約84%減)
2016年3Q(7-9月) 中国製が0.47〜0.49ドル/W(約3年で約25〜28%減)
2017年6月ころ 0.35ドル/W(1年未満で約26〜29%減)
2017年7月 0.42ドル/W(上記から20%増として計算)

こうしてみると、2017年は8年前(2009年)の実に約1/10であり、値下がり幅の大きさには改めて驚かされます。


ただ思い返すと、2011年2012年頃には中国メーカーは軒並み赤字に陥っており、2012年には独Q-cells社が経営破綻

その翌2013年には、Suntech Powerの旗艦法人だった「無錫サンテック」が破産と、2009〜2013年での8割超もの値下がりは、製品の供給過剰によるメーカーの業績悪化と引き換えのものだったことが伺えます。

その後、2013年2QにはJinkoSolar社が中国メーカーで最初に黒字化し、他の中国メーカー(Trina Solar等)もそれに続いたことから、これが2013〜2016年のモジュール価格下落のペース鈍化と、対になっていたと推測されます。


そして2016年以降は、価格下落のペースが再び加速しており、その主因として中国メーカーの過剰生産品の流入が指摘されていますが、中国メーカーが一体どのような判断で生産量を決定しているのか(或いは、市場の需給を考慮しない雑な生産計画が許容される背景に何が有るのか)、というのは非常に気になるところです。


いっぽうで(モジュールのみでは無く)太陽光発電設備全体の初期コストに目を向けると、今年(2017年)の1Qには、米国内での大規模(utility-scale)発電事業で、1ドル/Wを下回った[2]とのこと。

新興国では、既にメキシコで1ドル/Wを下回るプロジェクトが立ち上がっており、また中国でも約1ドル/Wの発電所が稼動を開始済みではあります。

しかし、先進国の米国がそれらに近い水準になっているというのは、何とも不思議であり、それだけ(初期コストの大きな部分を占める)モジュール価格の昨年来の低下が、異常であることを表しているようにも思われます。


そして、国内の市場や産業に、これだけ(良い面でも悪い面でも)急激な変化を生じさせているとなれば、米ITCが結晶シリコン太陽電池へのセーフガードの必要性ありと判断する可能性は、高いと予想します。

ちなみに記事[1]では、トランプ大統領の判断に対する、太陽光発電業界での懸念が多く取り上げられていますが、そもそも中国製太陽電池への反ダンピング関税・相殺関税じたいは、オバマ政権時代の2012年に最初に決定されているので、大統領固有の思想・信条とは関係なく、決定・実行されるものと考えます。


※参照資料:
[1]アメリカの太陽発電ブーム、「トランプ関税」で終焉迎える?(Newsweek、2017/7/31)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8098.php
[2]U.S. Solar Market Adds 2 Gigawatts of PV in Q1 2017(米SEIA、2017/6/6)
http://www.seia.org/news/us-solar-market-adds-2-gigawatts-pv-q1-2017

※関連記事:

2017年08月22日

独「SolarWorld Industries」が破綻した「SolarWorld AG」の事業の大部分を継承、カタールのソーラー企業が関わる

独「SolarWorld Industries」社が2017年8月11日に、

  • 経営破綻した「SolarWorld AG」の事業(の大部分)を、引き継ぐことを決定した。
と発表していました[1]。

今回は他の発表・資料[2]〜[6]と合わせて、事業継続についての概要をまとめてみました。


「SolarWorld Industries」の株主
  • 「SolarWorld AG」創立者のFrank Asbeck
  • カタールのソーラー企業「Qatar Solar Technologies
    ※同社は「Qatar Foundation(カタール財団)」の子会社で、太陽光発電のバリューチェーン全体をカバーする統合企業を目指している。
    ※「Qatar Foundation」はカタールの前首長夫妻により1995年に設立され、カタールの経済を(石油ベースから)知識ベースに変えていくことを目的に活動している[4]。
引き継ぎの対象
  • SolarWorld AGが保有していた、ドイツ国内生産施設
  • 同社が保有していた、欧州・アジア・アフリカ販売子会社
事業の方針
  • 生産は、単結晶PERCセルをベースとするプレミアム製品(両面ガラスモジュール等)に特化する。
  • ソーラー技術を共同で進化させる目的で、研究部門を産業のパートナーに対してよりオープンにしていく方針。
スケジュール
  • [1]の発表日(2017/8/11):債務者とドイツ当局が、今回の買収を承認した。
  • [1]発表の翌週:セル・モジュールの生産を再開する。
    当初の生産能力は700MW。(※製品別内訳の記載は無し)
雇用 ドイツ3拠点で500名以上からスタートする。
将来的には、1200名超まで拡大する予定。


QSTec社のサイトを見ると、同社は今年(2017年)3月にポリシリコンの生産を開始[7]したばかりであり、太陽電池セル・モジュールについては、まだ製造を手がけていない模様です。

そのため(今回のSolarWorldのような)他社との提携はともかく、「メーカー」としてのQSTec社は、まだスタートしたばかりと見受けられます。


中東地域というと、8年前(2009年)に欧州の企業から太陽エネルギーの活用に消極的と指摘されていたのが、個人的には根強く記憶に残っています。

現在ではアブダビでの1GW超の発電所プロジェクト等、発電設備の導入はかなり活発化してきた印象ですが、一方で太陽光発電機器(太陽電池モジュール等)の製造産業は、まだ確固とした存在には至っていないものと思われます。


ただQSTec社を保有するカタール財団は、創設者の地位や創立の理念、また活動の目的(知識ベースの産業への転換)[4]から、カタールの産業・経済の将来について、極めて重要な役割を担っていると感じさせられます。

その活動の中にQSTec社がある、ということになりますが、太陽光発電の初期コスト(主にモジュール価格)が近年急激に下がってきたことで、太陽光発電の(現実的なエネルギー源としての)可能性・確実性を、いよいよ本格的に認めつつある、ということなのかもしれません。

そして、SolarWorld社が高い技術力と品質に注力してきたことが、今回のQSTec社による出資の、最大の理由になったものと推測します。


SolarWorld Industriesが「PERC単結晶型に注力」するという点は、Frank Asbeck氏が(SolarWorld AGの経営破綻前の)今年(2017年)2月に語っていた方針と同じであり、事業の継続性・一貫性が感じられます。

ただ今回の発表には、SolarWorld社の米国・Hillsboroの生産拠点について、全く言及がありません。

SolarWorldの太陽電池モジュールは、米カリフォルニア州の分散型向けで高いシェアを得ている[8]ことから、米国工場は業績のうえからも重要拠点だと推測されますが、それだけに今回の事業体制変更でどのような扱いになっているのかが、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1]QSTec shines brightly for SolarWorld Industries(SolarWorld社、2017/8/11)
http://www.qstec.com/media-centre/media/press-release?item=66&backArt=24
[2]ドイツSolarWorld Industries GmbH社による業務移管(ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション社、2017/8/13)
http://www.e-solar.co.jp/news/news38.html
[3]QSTec shines brightly for SolarWorld Industries(QSTec社、2017/8/20)
http://www.qstec.com/media-centre/media/press-release?item=66&backArt=24
[4]About(Qatar Foundation)
https://www.qf.org.qa/about/about
[5]カタール(ウィキペディア)
[6]サーニー家(同上)
[7]QSTec's first polysilicon was produced in March 2017.(QSTec社)
http://www.qstec.com/about/project-update
[8]米加州の太陽光パネルシェア、分散型では「米国製」が2強(日経テクノロジーオンライン、2017/4/10)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/040600045/

※関連記事:

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2017年08月19日

日立アプライアンスが、SiC採用の屋外設置用パワコン「HSS-PS55EMT」「HSS-PS55EMTE」を発表、変換効率96.5%でモジュール過積載にも対応

3週間ほど前になりますが、「日立アプライアンス」社が2017年7月27日に、屋外設置用パワコン(住宅用・産業用)の新製品である

  • 耐塩害仕様「HSS-PS55EMT
  • 耐重塩害仕様「HSS-PS55EMTE
を発表していました[1]。

製品の概要は下記の通り。


特徴
  • 電力変換効率96.5
    制御回路には、低損失なSiCダイオードを採用。
    更に日立独自のインバータ技術を用いることで、高い変換効率を実現した。
  • 定格容量を超える太陽電池モジュールを接続可能
    発電電力を交流に変換する際、定格出力を超えないようコントロールする。
    これにより、定格容量以上のモジュール搭載が可能となる。
  • 最大入力電流を拡大
    最大入力電流を、1回路あたり11A・計44Aに高めた。
    (※従来は1回路あたり10A、計40A)
  • 有線リモコンにもなる表示器
    パワコン本体の前面に、運転状況を表示する表示窓を設けている。
    ここにはリモコンを内蔵しており(表示器として使用)、施工時にリモコンを取り外して別売りケーブルを敷設することで、屋内向けの有線リモコンとして使用できる。
定格出力 5.5kW
事業者向けの見積価格(税別)
  • 耐塩害仕様「HSS-PS55EMT」:53万5000
  • 耐重塩害仕様「HSS-PS55EMTE」:65万
発売日 2017/9/20の予定
開発の背景
  • 日立アプライアンス社では、2017年度のパワコン需要について、
    • FITでの買取価格引き下げ
    • 改正FIT法による設備認定失効
    等の影響が予想される一方で
    • 新築住宅における太陽光発電の標準装備(政府のZEH目標が背景)
    • 接続契約締結済み案件の運転開始
    等から、緩やかな回復を見込んでいる。
  • 今回の新製品は、屋外設置用の従来機種(定格出力5.9kW、4.9kW)に、5.5kWを追加して、製品ラインアップを強化するものである。
    また、
    • 高効率化技術
    • 最大入力電流の向上
    などにより、幅広い顧客のニーズへの対応を図っている。

また今回は他に、

  • 屋外用4機種(4.9kW、5.9kW)
  • 屋内用2機種(4.0kW、5.5kW)
も同時に発表されており、その一部は10月発売予定となっています。



SiC(シリコンカーバイト)採用のパワコンと言えばと、3年前(2014年)に、複数のメーカーから「オールSiC」の機種発表が相次いでいました(※関連記事)。

しかしその後、それらが実際に発売されたという発表を見聞きしなかったため、太陽光発電用パワコンでのSiC採用は、個人的にはてっきり(メーカーを問わず)棚上げになったものと思い込んでいました。

そのため、今回の日立アプライアンス社の発表には少し驚きましたが、発売予定時期は(発表から)約2ヵ月後と明記されており、明確なユーザーニーズを見込んでSiCを採用したことが伺えるものです。


2014年の他メーカーの発表機種は、いずれも変換効率がもっと高かった(97.3〜98.4%)ですが、これは今回の機種が「オールSiC」では無いためだと思われます。

この点は、性能と価格のバランスを考慮した結果なのかもしれません。

今回の屋外用5.5kW以外の新機種は、現行機種[2]と価格がほぼ同等であり、SiCを用いながらも、価格の上昇を防いだことが伺えます。


また今回の発表では、今年度(2017年度)のパワコン需要見込みの中で、「緩やかな需要回復」の根拠の一つに「新築住宅物件への標準装備」が挙げられており、おやっと思いました。

と言うのは、ちょうど2017/4-6の国内モジュールメーカー業績で、一部メーカーにおいて、住宅メーカー向けの出荷やスペックインが順調に進んでいる、との記述があり、これと合致すると感じたからです。

国内住宅向けのモジュール出荷量は減少が目立ちますが、その中で新築住宅は、需要増が期待できる貴重なカテゴリになっているようです。


※参照資料:
[1]住宅用・産業用太陽光発電システム向け屋外設置用パワーコンディショナを発売(日立、2017/7/27)
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/07/0727.html
[2]仕様・商品一覧(日立アプライアンス)
http://kadenfan.hitachi.co.jp/solar/pdf/list.pdf

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | パワーコンディショナー