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2018年12月08日

ハンファQセルズ社が、中国・湖北省での太陽光発電所プロジェクト(計約150MW)に太陽電池モジュール100MWを供給予定

ハンファQセルズ社が2018年12月3日に、

  • 中国・湖北省での太陽光発電所プロジェクト向けに、100MW太陽電池モジュール供給契約を締結した。
と発表していました[1]。

プロジェクトの概要は次の通り。


建設場所 中国湖北省通山県
事業者 中国の「CGNニュー・エナジー」社。
※同社にハンファQセルズ社が供給した太陽電池モジュールは、計約400MWに達する。
合計出力 150MWの見込み。
うち100MW分が、Qセルズ製のQ.ANTUM「Q.PEAK-G5」。
発電電力量 145.76GWh/年の見込み。
スケジュール
  • 2018年11月2日:最初の30MW分のモジュールを納品、設置を開始。
  • 同年12月末系統連系開始の予定。


まず意外だったのは、中国国内での太陽光発電プロジェクトにも関わらず、中国以外のメーカーの太陽電池モジュールが採用されている点です。

と言うのも、昨年(2017年)には、中国の太陽光発電市場について「市場には中国メーカーばかり」「価格が安すぎて日本メーカーは参入できない」との情報がありました[2]。

また、(JinkoSolarなど)中国の太陽電池メーカーの近年の成長は著しく、極めて高い価格競争力を持っていることが推測されます。

そのため、(日本に限らず)中国国外メーカーによる中国市場への太陽電池モジュール供給は極めて難しい、と思っていました。

実際にどうなのかは判りませんが、このハードルを越えるだけのコスト低減を、ハンファQセルズ社が実現しているとすれば、驚異的なことだと考えます。


また今回の発電所では、合計出力約150MWに対し、年間の発電電力量見込みは約146GW(=約14万6000MWh)。

「湖北省は日射量が多い」にも関わらず、日本国内での見込み数値(発電容量×1000)と、ほぼ同じ水準になっています。

日照に恵まれた新興国での太陽光発電プロジェクトでは、海外メーカーはもちろんのこと、日本のシャープ社によるものでさえ、×1000よりもかなり大きい数字なので、今回の湖北省でのプロジェクトの見込みがどのような考えに基づいているのかは、興味を惹かれるところです。
(例えば、従来よりも堅実な推量をするように変ってきているとか?)


※参照・参考資料:
[1]ハンファQセルズ、中国・CGNニュー・エナジー社向け 100MWの太陽電池モジュール供給契約を締結(ハンファQセルズ社、2018/12/3)
http://www.hanwha-japan.com/news/news-letter/overseas-news-letter/2018/1203/
[2]世界の太陽光発電、昨年は5割増。なぜFITがない米国が2位?(ニュースイッチ、2017/1/28)
https://newswitch.jp/p/7736

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 海外のメガソーラー

2018年12月07日

京セラと米Hemlock社がポリシリコン長期購入契約で和解、京セラは511億円相当の損失計上も、市場価格との乖離を解消

京セラ社が2018年11月28日に、

  • Hemlock社と結んでいたソーラーエネルギー事業用ポリシリコン長期購入契約について、和解合意に至った。
と発表していました[1]。

今回は資料[2]37pの記述と合わせて、概要をまとめてみました。


背景
  • 京セラ社は2005〜2008にかけて、
    • 「Hemlock Semiconductor Operations LLC」
    • 上記子会社「Hemlock Semiconductor, LLC」
    との間で、ポリシリコン原材料の供給に関する長期購入契約を締結した。
  • 2018年9月30日時点で、上記契約に基づき2020年12月31日までに購入が定められている残高は、1199億3300万
    このうち、335億3200万円は前払いされている。
  • 契約上の未購入残高を、低価法に基づき評価した結果、前連結会計年度(2017年度)において、原材料の正味実現可能価額が、契約上の購入価格を下回った。
    (ソーラーエネルギー事業の収益性の低下に伴う)
    この差額を引当損失に計上しており、2018年9月30日現在における引当損失の残高は、308億8500万
和解の内容 京セラ社はHemlock社に対し、
  • 支払い済みの前渡金の放棄
  • 保有するポリシリコンでの代物弁済
  • 和解金の支払い
等を行う。
これにより京セラ社は、511億円相当の損失計上を行う。
和解によるメリット これまで生じていた、当該契約上の固定取引価格と市場取引価格との乖離解消される。

ただしHemlock社のウェブサイトでは、この件に関する発表は見当たりませんでした。



当初は「購入契約の和解」という表現の意味がよく判りませんでしたが、報道(例えば[4])も合わせてよく読むと、要は「長期契約を途中で停止・破棄する」ということのようです。


(当ブログが継続的な更新を始める前の)2005〜2007年あたりのことは良く知りませんが、2008年には海外の太陽電池メーカーが生産量・生産能力を大きく伸張

それに伴って太陽電池メーカーではシリコンの安定調達が課題になっており、京セラ・Hemlock間の長期購入契約も、当時のシリコン不足が背景だったものと思われます。


しかしその後、市場の急変(太陽電池モジュールの供給過剰など)により、急成長を続けてきた中国メーカーは軒並み赤字に転落。

ポリシリコン価格も、例えば2011年10月には年初から半減という急落振りでした。

そしてその後も、太陽電池モジュールの価格下落は大きく進んでいます


このように僅か10年程度の中で、太陽電池市場の状況は激変しており、10年前に契約した固定取引価格が完全に合理性を失ったことは理解できます。

ただ一方で、変化の激しい市場において長期契約を結ぶことの怖さも、今回の件は示していると感じます。


今回は約511億円という巨額の損失計上ですが、それでも残り約2年間での購入残高(約1200億円)の半分以下であり、そのまま契約に従って購入すれば約309億円の損失が出る見込み。

そう考えると、支払済みの前払い金(約335億円)に200億円弱(※ポリシリコン現物による弁済含む)の追加負担をして、今のうちに「損切り」するほうが得策、ということなのかもしれません。

京セラのソーラーエネルギー事業は売上減が続いていますが、今回の和解合意(長期契約の解消)が、同事業の業績改善に果たしてどのような効果をもたらすのか、注目していきたいところです。


※参照・参考資料:
[1]ヘムロック社との長期購入契約の和解のお知らせ(京セラ、2018/11/28)
https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/181128_wakai.pdf
(※「https://www.kyocera.co.jp/ir/news/2018.html」内。)
[2]2019年3月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ(同上)
https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/181128_yosou.pdf
(※「https://www.kyocera.co.jp/ir/news/2018.html」内。)
[3]有価証券報告書等 2019年3月期 四半期報告書 第2四半期(京セラ、2018/11/9)
https://www.kyocera.co.jp/ir/financial/pdf/FY19_2Q_qr.pdf
(※「https://www.kyocera.co.jp/ir/library/yuho.html」内。)
[4]京セラ、511億円の損失計上へ 米ヘムロックとの和解合意で(ロイター、2018/11/28)
https://jp.reuters.com/article/kyocera-idJPKCN1NX0MN
[5]Global Scale and Reach: Polysilicon(Hemlock Semiconductor社)
http://hscpoly.com/polysilicon.html

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | メーカー:京セラ

2018年11月20日

京セラの2018/4-9のソーラーエネルギー事業は売上減、昭和シェルの2018/1-9のモジュール出荷量は前年同期比90%程度

今回は、

  • シャープ
  • 京セラ
  • 昭和シェル石油
  • カネカ
の最近の業績発表[1]〜[5]から、太陽電池・太陽光発電に関わる情報をまとめてみました。


シャープ
2018年度上期
(2018/4-9)
エネルギーソリューション事業では、海外EPC事業が堅調だった。([1]の7p)
(※「太陽電池」「太陽光発電」の語句は全く無し。)
京セラ
2018年度上期
(2018/4-9)
ソーラーエネルギー事業売上は減少した。([2]の5p)
昭和シェル石油
2019年3月期3Q累計
(2018/1-9)
  • 太陽電池事業では、国富工場(2017年末から生産集約)において、
    • 製品高出力化の推進
    • 原材料コストの更なる低減
    を進めている。
    営業面では
    • FIT案件への確実な納入
    • 住宅市場シェアの向上
    • 低圧・産業用における新しい販売手法の推進
    • 商品・サービス戦略の強化
    に取り組んでいる。([3]の4p)
  • 3Qの太陽電池パネル出荷数量は、ほぼ前年同期並み。
    3Q累計期間では、前年同期比90%程度
    国内にフォーカスした販売を継続している。
    パネル製造での一部のコスト低減策に遅れが生じているが、太陽電池事業の赤字額は、3Qまでの累計では前年同期比で縮小した。([4]の12p)
カネカ
平成31年3月期2Q累計
(2018/4-9)
PV & Energy management」事業では、高効率太陽電池の新製品販売が拡大した。
これと構造改革の進展により、収益力が改善した。
窓・壁との一体型太陽電池を、住宅・ビル向け素材として展開しており、世界的なエネルギー問題に対するソリューション事業として強化していく方針。([5]の4p)


シャープと京セラは、今回も記述が極めて乏しく、具体的な数値も全く無しであり、太陽電池事業の厳しさが変っていないことが伺えます。


いっぽう昭和シェル石油は、モジュール出荷量は3Q累計では前年同期比10%程度のマイナスも、3Q単独ではほぼ横ばいとのことで、まだプラスになってこそいないものの、改善の雰囲気が感じられます。

国内モジュール出荷量の減少が際立つ現状では、(コスト削減の取組みを含めて)かなりの健闘なのではないでしょうか。

また意外だったのは、「国内にフォーカス」としながら、再エネによる海外EPC事業への参入を検討中([4]の15p)とあることです。

ソーラーフロンティア社はちょうど1年前(2017年11月)に、経営資源を主に国内市場に集中する方針を発表していましたが、やはり縮小が続く日本市場のみでは、限界があるということかもしれません。


カネカについては、今回の4社のうち唯一「販売が拡大」と明記されています。

ただ、例えば同社の瓦一体型の高効率太陽電池は2年前(2016年)に市場投入されたばかりであり、まだ結晶シリコン型の販売規模が小さいためと思われます。


ちなみにパナソニックについては、今回[6]は太陽電池に関する言及が全く無し。

同社は最近、7月に海外重視への転換方針が報じられ、9月に日本でのモジュール生産終了を発表と、事業方針や体制の大幅変更が相次いでいました。

太陽電池事業についての報告が無かったのは、事業再編の真っ最中である故かと思われますが、それが果たしてどのような効果・結果をもたらすのか、今後の業績発表に引き続き注目していきたいと思います。


※参照・参考資料:
[1]2019年3月期 第2四半期 プレゼンテーション資料(ノート付き)(シャープ社、2018/10/30)
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/pdf/2019/3/1903_2pre_nt.pdf
(※「http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/」内。)
[2]2019年3月期 第2四半期 決算短信(京セラ社、2018/10/30)
https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/FY19_2Q_tanshin.pdf
(※「https://www.kyocera.co.jp/ir/news/2018.html」内。)
[3]2018年度 第3四半期決算(2018年1月1日〜2018年9月30日)(昭和シェル石油、2018/11/14)
http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2018/1114.pdf
(※「http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2018/1114.html」内)
[4]2018年度(2018年1月〜2019年3月) 第3四半期決算説明資料(同上)
http://www.showa-shell.co.jp/ir/briefing_material_2018c.pdf
(※「http://www.showa-shell.co.jp/ir/briefing_material.html」内。)
[5]2019年3月期 第2四半期決算短信(カネカ社、2018/11/8)
http://www.kaneka.co.jp/wp-kaneka/wp-content/uploads/2018/11/2019%E5%B9%B43%E6%9C%88%E6%9C%9F-%E7%AC%AC2%E5%9B%9B%E5%8D%8A%E6%9C%9F%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%9F%AD%E4%BF%A1.pdf
[6]2018年度 第2四半期 連結決算短信・補足資料(パナソニック社、2018/10/31)
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2018/10/jn181031-3/jn181031-3.html

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 市場・業界の動向:国内

2018年11月19日

ハンファQセルズ社が英ロンドン市の住宅用PV普及策向けに太陽電池モジュールを供給、「一括購入」により1パッケージ(モジュール10枚)あたり約1400ポンドを削減

もう1ヵ月半ほど前になりますが、ハンファQセルズ社が2018年10月5日

  • 英「Solarcentury」社と提携し、ロンドン市による住宅用太陽光発電の普及促進策向けに、市場価格から平均35%引き太陽電池モジュールを供給した。
と発表していました[1]。
(※オリジナルの海外向けリリースは、更に2週間ほど前の2018年9月21日に発表)

その概要は次の通り。


背景 今回の英ロンドン市のプロジェクト「Solar Together London」は、エネルギー政策「Energy for Londoners Programme」の一環であり、同市における
  • 全土の電気代削減
  • 太陽光発電導入目標(2030年までに1GW)の実現に向けた加速
が目的である。
入札方式 最安価格の提案者を選択する「リバース・オークション制度」を用いた。
対象となる住宅保有者 市内自治区のうちブレント区・イーリング区・キングストン区・マートン区・サットン区に居住し、太陽光発電の屋根設置に関心を持つ600世帯
設置規模 計約1.5MWの見込み
採択された事業者 Solarcentury社とイケア社が共同。
提案したパッケージ ※モジュール以外のパワコン・架台などについては記述無し。
  • 太陽電池モジュール:
    Q.PEAK DUO-G5」ハーフセル太陽電池モジュールを10枚セット
  • コスト:
    モジュールの一括購入により、1400ポンドの削減に成功した。
    設置時のモジュール枚数に応じて、市場価格の10〜41%引き(平均35%引き)の価格が適用される予定。


オリジナルの英文リリースは約2ヶ月前と、かなり時間が経っている発表ではあります。

しかし、最近は太陽光発電に関する報道・発表じたいがめっきり少なくなっていること、また本件では具体的な規模や数字がある程度示されていることから、今回取り上げた次第です。


600世帯で1.5MW(1500kW)ということなので、単純計算では1世帯あたり2.5kW。

日本の平均(2013年度には既築住宅が4.81kW)を下回る規模なのが意外でしたが、景観への配慮(今回の採用モジュールは景観に調和するデザインとのこと)と、既築住宅の屋根強度を考慮して、無理の無い規模にしているものと想像します。


また、団体購入による1パッケージの削減コスト(約1400ポンド)は、日本円で約20万円(2018/11/18時点で1ポンド=約145円[3])。

実際の設備設置における正確な適用は不明ですが、仮に2.5kWでこの値引き額とすれば、10年前(2008年度)の日本の住宅向け導入補助金(1kWあたり7万円)さえも上回る金額であり、団体購入による値引きの威力に驚かされます。

日本では住宅用のモジュール出荷量も減少が著しい状況ですが、たとえFITの買取価格が下がっているとしても、政府または自治体が積極姿勢で「Solar Together London」のような施策を講じれば、住宅用太陽光発電の導入促進はまだまだ可能なのではないでしょうか。


※参照・参考資料:
[1]ハンファQセルズ、 ロンドンの1.5MW住宅用太陽光発電プロジェクトで 「ソーラーセンチュリー社」と提携(ハンファQセルズ社、2018/10/5)
http://www.hanwha-japan.com/news/news-letter/2018/1005/
[2]Solar Together London(ロンドン市)
https://www.london.gov.uk/what-we-do/environment/energy/solar-together-london
[3]イギリス ポンド(Yahoo!ファイナンス)
https://m.finance.yahoo.co.jp/stock?code=GBPJPY=X

2018年10月23日

NPC社が2017/9-2018/8の業績を発表、海外では新興国での太陽電池設置が活発化、日本では設備メンテナンスやパネル廃棄処理への意識が上昇

NPC社が2018年10月9日に、

  • 20188月期通期2017/9-2018/8)の業績
を発表していました[1]。

その中から、太陽電池業界の状況に関する情報をまとめてみました。


<市場の状況>

海外
  • 太陽光発電システムのコスト低下
  • 環境意識の向上
等により、従来の主要市場(米・中・印)の他、
  • 南米
  • 中東
  • アフリカ
等の新興国でも、プロジェクトの入札を経て、太陽電池パネルの設置が開始されている。
また、「ESG投資」を意識した民間企業の自家消費向け需要も拡大している。
(※ESG投資とは、
  • 環境(environment)
  • 社会(social)
  • 企業統治(governance)
に配慮している企業を、重視・選別して行う投資[3])
日本国内 年間の太陽電池設置量は、縮小傾向にある。
ただしメガソーラーの建設は、各地で引き続き進んでいる。
また、各種政策の影響もあり、
  • 太陽光発電システムのメンテナンス
  • 適切な廃棄処理
に対する意識は、高まってきている。

<NPC社の事業における状況>

「装置関連事業」 太陽電池製造装置において、米国の主要顧客向け大型ラインや自動化・省力化装置が、順調に計上された。
「環境関連事業」 自社のサービスに対して市場ニーズが高まってきており、
  • 大規模発電所の検査サービス
  • 太陽電池パネルのリユース
が好調だった。


ここ2年ほどの国内モジュールメーカーの業績発表においては、太陽電池事業の苦境を反映してか、同事業や市場に関する言及が極めて乏しくなっています。

そのため、日本の製造装置メーカーであるNPC社の今回の業績発表([2]も含めて)は、貴重な情報だと感じます。


新興国での太陽光発電プロジェクトについては、今年(2018年)に入ってから、海外の大手モジュールメーカー(JA、TrinaJinko)だけでなく、日本のシャープ社からも、相次いで発表されていました。

今回のNPC社の記述では、コスト低下・環境意識の向上・ESG投資への対策という、太陽光発電プロジェクト活発化の背景が伺えます。


また製造装置の供給においては、技術革新を続ける米First Solar社と15年以上に渡る信頼関係がある([2]の8枚目)とのことで、この点はNPC社の強みの一つと思われます。


いっぽう日本国内については、メガソーラー建設がまだ盛んというのが意外でした。

もっとも、非住宅「発電事業」向けの太陽電池モジュール出荷量は大きく減少しており、また「非住宅」の新規認定分も伸びていない(むしろ減少している)[4]ことから、メガソーラー建設も(残念ながら)遠くないうちに落ち着いてしまうものと予想します。

しかしその一方で、発電設備のメンテナンスや、太陽電池モジュールの廃棄・再利用という、新しい需要が生まれていることは、非常に興味深いです。


※参照・参考資料:
[1]2018年8月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(NPC社、2018/10/9)
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/62550/5270227a/c811/4ab2/befc/10a49085bb07/140120180927411116.pdf
[2]2018年8月期 決算説明会資料(同上、2018/10/11)
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/62550/468af729/9034/4142/a7e8/ce761ae9fc14/140120181011416291.pdf
[3]ESG投資(コトバンク)
https://kotobank.jp/word/ESG%E6%8A%95%E8%B3%87-1611233
[4]固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト
https://www.fit-portal.go.jp/PublicInfoSummary

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 製造装置

2018年10月15日

九州電力が本土で再エネの出力制御を実施、好天+需要減少により再エネの10%前後を制御

九州電力20181013日(土)・14日(日)に、

  • 九州本土での再エネ発電の出力制御
を実施したとのことです[1][2]。

概要は次の通り。


<背景>

  • 該当の両日において
    • 九州一円での好天(太陽光発電の出力増加)
    • 電力需要の減少(気温が低めで推移するため)
    等が見込まれたことから、2018年10月11日に再エネ発電の出力制御見通しを発表した。

<実績の主な数値>

2018/10/13(土)2018/10/14(日)
予想需要
(※エリア需要+
蓄電池充電・揚水運転
+域外送電)
1250万kW1158万kW
供給力全体1293万kW1229万kW
再エネ出力595万kW542万kW
出力制御量
(再エネ全体に対する割合)
43万kW(7%)71万kW(12%)
実施期間9時〜16時
最大余剰電力発生時刻12時〜12時半11時〜11時半


個人的にはまず、両日ともに、再エネの供給力が全体の半分近くまで達していることに驚きました。

その再エネの内訳は記載されていませんが、例えば本日(10/14)の「電力使用状況の推移」のグラフ([3]内)では、太陽光発電実績が10〜14時に渡って全体の半分前後を占めていました。

そのため今回の出力制御の対象も、殆どが太陽光発電だと思われますが、これは(当然ですが)燃料を消費せずに得られる電力です。

それだけに、その供給力の1割前後を、わざわざ止めなければならなかったというのは、非常に勿体無く残念です。


先月の北海道の地震(胆振東部地震)では、北海道全域が約2日間停電しましたが、その中で「自立運転した太陽光発電が役に立った」という話を、地元紙でちらほらと見かけます。

太陽光発電は確かに出力が「不安定」ですが、一般家庭では、例え日照のある間しか電力供給がされなくとも、それだけでも停電時の利便性や安心感が全く違うものです。

そのように、必ずしも「高品質」な電力のみに需要が有るわけではないので、太陽光発電を既存の電力系統に連系する(=強制的に止められる場合が有る)ことは、実は合理性に欠けるところが大きい(多少不安定でも供給があれば助かる、という現実のニーズに対応できない)ようにも思われます。

その意味で今後は、蓄電池の併設なども含めて、(電力系統の状況に関係なく稼動できる)独立電源を指向する動きがますます高まってくるのでは、と考えるものです。


※参照・参考資料:
[1]再生可能エネルギーの出力制御見通し(10月11日 17時発表分)について補足します(九州電力、2018/10/11)
http://www.kyuden.co.jp/notice_181011.html
[2]H30年度指示内容(九州本土:10月14日更新)(九州電力)
http://www.kyuden.co.jp/power_usages/pdf/kyushu/H30%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E6%8C%87%E7%A4%BA%E5%86%85%E5%AE%B9%EF%BC%88%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E6%9C%AC%E5%9C%9F%EF%BC%9A10%E6%9C%8814%E6%97%A5%E6%9B%B4%E6%96%B0%EF%BC%89.pdf?dt=20181014153010
(※「http://www.kyuden.co.jp/power_usages/pc.html#saiene」内。)
[3]でんき予報(電力のご使用状況)(同上)
http://www.kyuden.co.jp/power_usages/pc.html

※関連記事:

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2018年10月10日

JA Solar社が日本で両面PERC太陽電池技術の特許を取得、また2018年上半期には日本市場でのモジュール出荷量トップに

もう1ヶ月以上前ですが、JA Solar社が2018年9月7日に、

  • 日本において、両面PERC太陽電池技術特許を取得した。
と発表していました[1]。

その中から、同技術に関する情報をまとめてみました。


<両面PERC太陽電池の歩み>

  • 2013年の初め
    中国の知的財産局に
    • 「A Bifacial Light-Absorbing Solar Cell with Localized AI-BSF and the Method of Making It」
      (局在化AI-BSFを用いた光吸収型太陽電池とその製造方法)
    の発明開示を行った。
  • 20163:上記技術に特許が与えられた。
  • 20171Q
    ダブルガラスの両面PERC太陽電池モジュールの生産を開始
  • 2018
    日本の特許庁により、PERCセル・モジュール技術の知的財産権を保護する特許出願が認められた。

<両面PERCモジュールの長所>

  • 両面発電
    モジュールの表・裏両方で発電できる。
  • 高い耐久性
    耐摩耗性・耐摩耗性・耐腐食性に優れる。
  • 厳しい環境での大規模設備に向く
    上記2点の長所により、特に
    • 沿岸地域
    • 気候的に困難な環境
    における事業規模の発電設備に対して、長期安定性を提供できる。

また、JA Solar社CTOのWei Shan博士によるコメントの中で

  • 高いセル・モジュール技術が製品の品質とパフォーマンスを保証し、2018年上半期には、JA Solar社が日本でモジュール出荷量トップとなった。
との旨の説明があります。



発表からかなり時間が経っているプレスリリースですが、日本市場での太陽電池モジュール出荷量の順位に関する記述があったので、今回取り上げました。

日本市場では、2017年(通年)にはハンファQセルズ社がモジュール出荷量のシェア1位でしたが、その翌年(2018年)の上半期は別メーカーのJA Solarがトップとのことで、(日本メーカーを含めて)メーカー間の出荷量の差は、現状ではまだそれほど開いてはいないものと推測します。

ただいずれにしても、海外メーカーの存在感が以前よりも増し、日本市場で足場を固めていることは確かだと思われます。

そして海外メーカーの技術力や品質が、日本でも評価されつつあるとすれば、これまでは日本メーカーが長く強みを持っていた国内太陽光発電市場も、変化が続きそうです。


※参照・参考資料:
[1]JA Solar’s IP on Bifacial PERC Technology Patented in Japan(JA Solar社、2018/9/7)
http://www.jasolar.com/index.php?m=content&c=index&a=show&catid=55&id=40

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2018年10月02日

シャープ社がモンゴルで16.5MWのメガソーラーを完成、ベトナムでは49MW×2ヶ所の建設を受注

シャープ社が2018年9月に、

  • モンゴルでのメガソーラー完成
  • ベトナムでのメガソーラー建設の受注
を相次いで発表していました[1]。

各々の主な情報は下記の通り。


<モンゴル>

場所 ドルノゴビ県ザミンウード市
太陽電池モジュールの容量 16.5MWdc
発電電力量 約3万1162MWh/年の見込み。
スケジュール
  • 2018年9月中旬:運転開始の予定
建設の背景
  • モンゴル政府は、
    • 2020までに、発電電力量に占める再エネの構成比25に引き上げる。
    との目標を掲げている。
  • シャープ社は2016年12月に、重光商事などとの共同で、同国初の太陽光発電所(約10MWdc)を建設している。
    今回の発電所は、
    • 重光商事
    • モンゴルのエネルギー関連企業「Solar Tech LLC」
    と共同で建設した。

<ベトナム>

場所ビントゥアン省ロンアン省
太陽電池モジュールの容量49MWdc49MWdc
発電電力量約7万6920MWh/年の見込み約7万2820MWh/年の見込み
スケジュール
  • 2018年8月:着工
  • 2019年4月:完工・運転開始の予定
  • 2018年9月:着工
  • 2019年5月:完工・運転開始の予定
建設の背景
  • ベトナム政府は、再エネ普及のため、2017年6月FIT(固定価格買取制度)を導入した。
    また、太陽光発電の施設容量
    • 2020年:850MW
    • 20301万2000MW
    とする計画を掲げている。
  • 今回の2事業は、不動産・エネルギー・農業・教育などの複合企業「Thanh Thanh Cong Group」から受注した。


今回の3事業については、(インドネシアでのメガソーラーのように)二国間クレジットを利用しているかは不明です。

ただそれはともかく、シャープ社は2017年度の業績発表で海外EPC事業が堅調と記述しており、今回の2つの発表からは、同事業に現在も継続して取り組んでいることが伺えます。


モンゴルでは2000年以降に、政府が伝統的な住居(ゲル)への、約10万台の小型太陽光発電の供給を実施

更に現在では、具体的な再エネの導入目標(エネルギー構成比25%)も掲げているとのことから、今後はメガソーラーの建設も、更に増えていくものと考えます。


ベトナム国内におけるメガソーラー事業については、先月(8月)には

との、海外大手メーカーによる太陽電池モジュール供給予定が、相次いで発表されていました。

そして更に、今回のシャープ社による建設受注ですが、ベトナム政府による太陽光発電の導入目標の大きさ(2030年には2020年の約15倍)を考えると、これらの活況ぶりも納得できます。

そのためベトナムも今後しばらく、太陽光発電市場の急成長が見込まれるものと考えます。


これまでとは異なる新興国市場の成長については、JinkoSolar社の2017年業績の中で言及されていました。

今回のシャープ社の発表も、そのような世界市場に起こっている流れを示す、一つの事例なのかもしれません。


※参照・参考資料:
[1]モンゴル国ザミンウード市に太陽光発電所(メガソーラー)を建設(シャープ社、2018/9/14)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/180914-a.html
[2]ベトナムのビントゥアン省とロンアン省において太陽光発電所(メガソーラー)の建設を受注(同上、2018/9/21)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/180921-a.html
[3]ザミンウード(ウィキペディア)
[4]ビントゥアン省(同上)
[5]ロンアン省(同上)

※関連記事:

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2018年10月01日

ハンファQセルズ社が日本で6ヶ所目の営業拠点「岡山営業所」を開設、販売ネットワークの強化・顧客ニーズへのいち早い対応を図る

ハンファQセルズ社が2018年9月18日に、

  • 日本で6ヶ所目の営業拠点となる「岡山営業所」を開設した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


<背景>

  • ハンファQセルズ社は2017年に、太陽電池モジュールの日本国内出荷シェア第1位を獲得した。(外資系メーカーで初)
    また、日本国内の販売店は850(2018年8月末)に達している。
  • 今回は、営業拠点(従来5ヶ所)を増やすことで、顧客ニーズへのいち早い対応を実現するため、既存の福岡支店・大阪支店の中間である岡山市に拠点を設置した。

<日本国内での販売ネットワーク>

下記の16拠点が、密接に連携を取りながら販売インフラネットワークを築いている。

  • 営業拠点:下記の計6ヶ所。
    仙台支店・東京本社・名古屋支店・大阪支店・岡山営業所・福岡支店
  • 物流拠点:北海道〜沖縄まで計9ヶ所。
  • 技術センター1ヶ所(つくば技術センター)


日本の太陽光発電市場は、FIT開始2014年度前半までの活況から、電力会社による接続申込への回答保留を契機として同年度下半期に反転が始まり、現在も減速ぶりが際立つ状況が続いています。

その中でもハンファQセルズ社は、外資系メーカーでありながら、日本での事業体制を縮小せず、むしろ出荷シェアの拡大を実現。

日本市場におけるシェア拡大には、かつてハンファ社幹部が「密林の真ん中で“太陽光の皇帝”を発見したようだ」[2]と評されたほどの、買収した旧・独Qセルズ社の高い品質・技術が、根本にあるとは思われます。

しかしそれだけでなく、ハンファQセルズ社は日本国内での販売インフラの継続的な強化に努めてきたようで、更に今回は営業拠点1ヶ所を新設。

文字通り「日本に根差した」メーカーになろうという、同社の強い姿勢が感じられます。

日本メーカーの元気が無い一方で、海外企業のハンファQセルズ社が更に日本市場で勢力を増していくことになるのか、続けて注目していきたいところです。


※参照・参考資料:
[1]ハンファQセルズジャパン、 6か所目の営業拠点「岡山営業所」を開設 中国・四国地方の営業体制強化へ(ハンファQセルズ社、2018/9/18)
http://www.q-cells.jp/press/0918
[2]「太陽電池、ライバル企業より20%高くても注文増加」…韓国のハンファQセルズ(中央日報、2013/9/16)
http://japanese.joins.com/article/195/176195.html?servcode=300§code=320

※関連記事:

2018年09月16日

パナソニック社が住宅用HITモジュールの新製品「P255α Plus」を発表、電荷の消失を抑えて出力を高めた最上位モデル

パナソニック社が2018年9月12日に、

  • 住宅用HIT太陽電池モジュールの最上位モデルとなる新製品「P255α Plus
を発表していました[1]。

その中から、従来品から変化した点をまとめてみました。


<特徴>

  • 電荷の消失を低減
    新技術により、光を受けて発生した電荷(プラスとマイナス)の再結合を制御する。
    電荷の消失を低減することで、変換効率を更に高め、従来品と同じ面積で出力を向上させた。

<従来モデル「P252αPlus」との比較>

※「P252αPlus」については[2][3]を参照しました。

P255αPlusP252αPlus
公称最大出力 255W252W
モジュール変換効率 19.9%19.6%
寸法 1580mm×奥行812mm×高さ35mm
重さ 15kg
受注開始日 2018年11月21日2017年4月19日
希望小売価格
(税・工事費別)
17万650017万4500円


最近はメーカーのウェブサイトを見ていても、太陽電池・太陽光発電関係の発表はめっきり少なくなっており、数年前の市場の隆盛時と比べると、火が消えたような感を受けています。

そのため、従来製品[2]から約1年半ぶりとなるパナソニックの今回の新モジュール発表には、少し安心しました。


モジュールの大きさ・重さは、(私の知る限りの過去である)6年前(2012年)に発表の「HIT240シリーズ」から変っていない一方、公称最大出力はジワジワと向上が続いています[3]。

また今回の新モデルの希望小売価格は、従来製品との差が僅か2000円に抑えられています。

それらの点から、パナソニックにおいてHIT太陽電池の技術の進歩やコストダウンが、地道に続けられていることも伺えます。


ただ前回モデルの発表時は、(同時発表の下位モデルと合わせた)「販売目標」のセット数が示されていましたが、今回[1]はその記載が無く、この点は国内市場の見通しの立たなさが、現れているようにも思われます。

先日の北海道地震(胆振東部地震)で、北海道の全域停電というまさかの事態を体験した身としては、やはりいざという際に(電力系統の状況と関係なく)自立運転・独立稼動ができる発電設備は、絶対に普及を進めるべきものだと考えます。

その意味で、日本国内の住宅用太陽光発電市場が、再び勢いを増すことを、願いたいところです。


※参照・参考資料:
[1]住宅用 太陽電池モジュール HIT 新製品「P255α Plus」発売(パナソニック社、2018/9/12)
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2018/09/jn180912-2/jn180912-2.html
[2]「住宅用」太陽電池モジュールHIT 「P247α Plus/P252α Plus」 を発売(同上、2017/2/21)
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2017/02/jn170221-1/jn170221-1.html
[3]パナソニックの太陽光発電システム:商品情報(個人のお客様向け)(同上)
http://sumai.panasonic.jp/solar/lineup.html


※関連記事:

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