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2017年02月27日

アスクルの倉庫火災の長期化は屋上の太陽電池モジュールが一因、感電の危険性で放水の妨げに

通販企業「アスクル」の倉庫火災についての記事[1](2017/2/20付)の中で、

  • 屋上に設置された太陽電池モジュールが、消防活動が長期化する一因になっている。
との旨が報じられていました。

まずその記事から、火災の概要を抜き出してみました。


建物

場所 埼玉県内
階数 3階建
延べ床面積 約7万2000m2
構造、保管品
  • 1階:トラックの商品積み込みスペース、通用口
  • 2階・3階:商品の大部分を保管
    ※商品の種類は約7万種類(コピー用紙、文房具など)。

消防活動の経緯(※2/20まで)

2月16日
  • 午前中に通報があり、消防が火災を覚知。
    出火場所は1階の段ボール
  • 消火活動の開始後、早い段階で、1階・2階の天井の一部が崩壊。
    火が建物全体に燃え広がった。
    更に、屋上の太陽電池モジュールにも引火した。
2月17日 2階・3階に窓が殆ど無いため、重機により穴を開け、内部への放水を開始。
2月18日 夜には一旦、2階の火を消化できた。
2月19日 日付が変わった直後に、3階で爆発が2回発生。
(スプレー缶に引火したとみられる)
これにより、火が再び強まった。
2月20日時点 約4万5000m2(全体の6割以上)が焼けた。
ただ、火は徐々に収まっているようで、消防隊員が様子を確認しつつ内部に進入し、消火活動を行っている。

※その後24日時点で、まだ完全な鎮火に至っていない[3]。


消火活動が長期化した理由

  • 放水が困難
    • が2階・3階に殆ど無く、外からの放水が難しい。
    • 屋上に太陽電池モジュールがあり、水をかけると消防隊員が感電する危険性がある。
      このため、屋上に直接放水することができなかった。
  • 建物内部の高温化
    内部の温度は、一時500度に達した。
    この熱で壁の歪み等が起き、倒壊の危険性が生じたため、慎重に活動する必要があった。

私が見た新聞記事では、倉庫上空からの写真が掲載されており、穴が開いて大きく歪んだ屋上に、確かに太陽電池モジュールらしきものが並んでいましたが、我ながら能天気なことに、実際に放水の妨げになっていたとは夢にも思いませんでした。

消防活動における感電の危険性は、産業用の施設(倉庫など)だけでなく、住宅の屋根設置においても、変わらないことなのではないでしょうか。

2011年のFIT導入以降、国内で太陽光発電の導入が飛躍的に進んだことから、設備規模の大小はともかく、今後も同様の問題(火災時に消防活動の障害になること)は、幾つも起こってくるものと予想します。

そのため、まず既存設備で安全に消火活動が出来る手段・方策(モジュール表面を何かで覆いつくし、発電を停止させる等)を、早急に確立・普及する必要があると考えます。

また、今後屋根に設置する設備においては(特に今回のような規模の建物では)、モジュール各々が非常時に出力を停止できる機能(例えばTigo Energy社の「TS4プラットフォーム」)を付加することを、義務付ける必要があるのかもしれません。

個人的にそのような方策は、屋根設置設備だけでなく、津波の到来が予想される場所の野立て設備にも必要と考えますが、とにかく太陽電池モジュールの価格低下が進む中で、災害時にモジュールを取り扱わざるを得ない人間の安全を確保することも、十分に考慮する必要があるのではないでしょうか。


※参照・参考資料:
[1]アスクル倉庫火災 再び爆発 消火活動難航 鎮火めど立たず(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170220/k10010883451000.html
[2]アスクルの倉庫火災と、太陽光発電システムにおける災害リスク(ブロゴス)
http://lite.blogos.com/article/211311/
[3]アスクル火災、3階でまだ炎…残り火に放水続行(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170224-OYT1T50203.html
[4]月刊「Solvisto」誌 2014年4月号30-32p「日本太陽エネルギー学会 『太陽光発電システムの火災リスク』セミナー開催」

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「プリウスPHV」新モデルは「ソーラー充電システム」をオプションで用意、発電電力の走行距離換算は平均2.4〜3.1km/日、最大5.3〜6.2km/日

トヨタ自動車が2017年2月15日に、

  • プリウスPHV」をフルモデルチェンジし、日本全国で同日に発売した。
と発表していました[1]。

今回のモデルではメーカーオプションとして、量産車では初という「ソーラー充電システム」が用意されており、その発電電力の用途は次の通り。

  • 駐車中駆動用バッテリーに充電する。
    (※この電力は走行だけでなく、エアコン駆動などにも使われる)
  • 走行中補機バッテリー系統の消費を補う

また[2]では、「ソーラー充電システム」による1日の発電電力量を、EV走行距離に換算した推定数値が示されています。

その数値(地域別)を、下記に抜き出してみました。


地域 平均値最大値
札幌 2.4km/日6.2km/日
仙台 2.4km/日5.7km/日
東京 2.4km/日5.3km/日
名古屋 2.9km/日6.1km/日
金沢 2.4km/日5.3km/日
大阪 2.6km/日5.3km/日
広島 2.9km/日5.9km/日
高松 2.9km/日5.7km/日
福岡 2.7km/日5.8km/日
那覇 3.1km/日5.5km/日

ということで、数値の範囲は

  • 平均:2.4〜3.1km/日
  • 最大:5.3〜6.2km/日
となっています。


新型「プリウスPHV」の「ソーラー充電システム」自体は、既に昨年(2016年)6月に発表されていました。

当時の報道内容と比べると、発電電力量の走行距離への換算値は、最大値(当時の発表では約5km/日)が全体的に少し上がっています。

しかし一方で、平均値(当時は2.7km/日)はほぼ同等であり、これはシステムの性能を(当時より)向上させたというよりも、計算の方法(想定する条件など)が少し変わった、ということなのかもしれません。

そして乗用車の屋根である以上、太陽電池を設置できる面積は自ずから限られるので、仮に今後のモデルで蓄電池の容量が更に拡大したとしても、太陽電池自体の発電能力(単位面積あたりの出力)が劇的に向上しない限りは、今回の数値が大きく変わることは(残念ながら)考え難いように思われます。

とは言え、自動車が「太陽光発電の電力で走行できる」距離が具体的に示されていることは、やはりロマンがあり、今後も研究開発が継続されてほしいものです。


※参照資料:
[1]TOYOTA、プリウスPHVをフルモデルチェンジ(トヨタ自動車)
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/15021361/
[2]ソーラー充電システム (同上)
http://toyota.jp/priusphv/performance/charge/?padid=ag341_from_priusphv_top_performance03#
[3]電気自動車:太陽光発電で1日に最長6キロ走る、環境性能を追求した「プリウスPHV」(スマートジャパン)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/spv/1702/17/news026.html

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Apple社の新本社キャンパス「Apple Park」は17MWの屋上太陽光発電を設置、使用電力を全て再エネで賄う見込み

Apple社が2017年2月22日に、

  • 本社の新キャンパス「Apple Park」への従業員の移動が、今年4月に開始する予定。
と発表していました[1]。

このApple Parkは生前のSteve Jobs氏が構想していたもので、概要は次の通り。

(※数値の換算は、1フィート=約0.3m、1平方フィート=約0.09m2、1エーカー=約4000m2、1マイル=約1.6kmとしています。)


  • 場所:カリフォルニア州のSanta Clara Valley
  • 面積:175エーカー(約70万m2
  • 建物など
    ※本館内にどの施設が含まれているかは未確認。
    本館 280万平方フィート(約25万m2)。
    リング型で、世界最大の湾曲ガラスパネルを用いている。
    研究開発施設
    訪問者センター Apple Storeが一緒。
    劇場「スティーブ・ジョブズ・シアター」 1000人収容。
    パーク内の最も高い場所に位置し、本館などを見下ろすことができる。
    今年後半にオープン予定。
    カフェ 一般公開される。
    フィットネスセンター 従業員向け、10万平方フィート(約9000m2)。
    ウォーキング・ランニング用パス 従業員向け、公園内に設ける。長さ2マイル(約3.2km)。
    果樹園、牧草地、池 本館のリング内に設ける。
    その他 設計において、500万平方フィート(約45万m2)のアスファルトとコンクリートを
    • 草地
    • 干ばつに強い天然の木(9000本以上)
    に置き換えている。
  • 従業員1万2000人以上
    ※移動完了には6ヶ月かかる見通し。
  • 完成時期2017年夏頃の予定。
  • 省エネ
    キャンパスの使用電力は、全て再エネで賄える見込み
    • 太陽光発電設備屋上設置17MW
    • 自然換気能力:
      建物は1年のうち9ヶ月間、暖房・空調が不要となると予測されている。

アップル社の発表[1]を読むだけでも、故スティーブ・ジョブズ氏と現アップル社の並々ならぬ情熱が伝わってくるようで、圧倒される思いがします。

再エネ電源については、([1]には記載がありませんが)[2]では「バイオガス燃料電池」も利用とあり、太陽光発電ができない夜間の電力供給は、その燃料電池が担うものと思われます。

「Apple Park」の建設場所であるSanta Clara Valleyは、地中海性気候で、晴れの日は平均330日/年[3]にも達するとのことであり、日本などと比べると、太陽光発電を行うには、かなり有利な地域と考えられます。

また、米国では太陽電池モジュールの価格低下が顕著であり、これらの条件が、Apple Parkにおける太陽光発電の有用性を、大きく高めたものと推測します。

とは言えやはり、名実ともに世界トップクラスの企業であるアップル社において、巨大本社の使用電力をほぼ全て再エネで賄うことが、既に実現目前となっていることには、強く驚かされます。

個人的には、日本国内のニュース記事等を読んでいて、再エネはまだまだ「高価で出力が不安定なお荷物、お客さん」と見られていることを感じています。

その中で今回のアップル社の発表、更に[2]のような記事を読むと、再エネの本格実用化という点において、既に日本は海外に大きく遅れを取りつつあるのでは、と危惧せざるを得ません。


※参照資料:
[1]Apple Park Opens to Employees in April(Apple社)
http://www.apple.com/pr/library/2017/02/22Apple-Park-Opens-to-Employees-in-April.html
[2]自然エネルギー:アップル新本社に世界最大級の屋上メガソーラー、バイオガス燃料電池も併用(スマートジャパン)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/spv/1702/24/news049.html
[3]Climate(Wikipedia「Santa Clara Valley」内)

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パナソニックが「【住宅用】創蓄連携システム」の新製品「パワーステーションS」を発表、出力(2kW)をそのままに従来の約1/3に小型化

パナソニック社が2017年2月20日に、「【住宅用】創蓄連携システム」の新製品として

  • パワーステーションS
  • リチウムイオン蓄電池ユニット
を発表していました[1]。

概要は次の通り。


「パワーステーションS」の特徴

  • 太陽光発電システムとリチウムイオン蓄電システムを連携させる機器。
  • 大幅に小型化しつつ、出力は維持
    体積は、従来のパワーステーションの1/3
    いっぽうで停電時の出力は、従来製品と同じ2.0kWを実現している。
  • 屋外の壁掛け型
    本体は住宅の外壁に設置する方式であり、従来型のような基礎工事が不要となっている。
  • 屋内の設置スペースも削減
    「蓄電池ネットアダプタ」と「リモコン設定器」を一体化し、部材の数を削減している。
  • 施工作業を省力化
    • ケーブル接続部に「全端子速結端子」を採用。
      これにより圧着端子が要らず、より線のまま接続できる。
    • 無線LANを標準搭載。
      これにより、有線LANの配線無しでHEMSへの接続が可能。
  • 遠隔制御に対応
    インターネット経由による(外部からの)制御を想定し、「パワーステーションS」のリモコン設定器にネットワーク連携機能を標準搭載している。

主な仕様

製品名 パワーステーションS(5.5kW)(屋側用)リチウムイオン蓄電池ユニット(5.6kWh)
外形サイズ
(幅×高さ×奥行き)
55cm×約78cm×約20cm48cm×61cm×23cm
重さ 39.5kg68kg
希望小売価格
(税抜・工事費別)
65万104万
※合計で169万円。
受注開始日 2017年4月5日
※受注生産品。

合わせて約170万円ということで、太陽光発電へのプラスアルファとしては、安くは無い価格です。

ただ従来モデルは、2016年の熊本地震においてユーザーから「3日3晩太陽光の電気がつかえた」と評価された[2]とのことであり、災害時への備えとして、価格に見合う価値を持っているとも感じられます。
(もちろん本格普及するには、今後もっと価格が下がっていくことが、必要だと思いますが)

また[1][2]を読む限りでは、デザイン的にも機能的にも、日本人の生活環境にあった仕様という印象を受けるものであり、この点は海外メーカーが簡単に真似できない、日本メーカーの強さが存分に発揮されているように感じます。

ただ、販売想定地域は不明ですが、屋外での壁面設置型となると、雪国ではそのままだと機器の上に積雪するので、他に屋根状の構造物を設置することが、必要になるのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]【住宅用】創蓄連携システム 「パワーステーションS」を発売(パナソニック社)
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2017/02/jn170220-1/jn170220-1.html
[2]熊本地震でも3日間電気を供給--パナソニック「創蓄連携システム」に小型新モデル(CNET Japan)
https://m.japan.cnet.com/story/35096893/

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | メーカー:パナソニック

EUが中国製太陽電池への反ダンピング措置を18ヶ月延長、今後は段階的に廃止する方針

ウェブサイト「CRI online」の記事[1](2017年2月9日付)で、

  • 欧州委員会が、中国製太陽電池製品を対象とするEUの反ダンピング措置について、今後の方針を決定した。
と報じられていました。

概要は次の通り。


適用期間 今回は18ヶ月延長する。
そして今後、段階的に廃止していく予定。
背景
  • EUにおいて、太陽光エネルギーは
    • 環境保護
    • 気候変動対策
    の目標実現のため、極めて重要なものと考えられている。
  • 今回の延長は、欧州委員会が
    • メンバー国の意見
    • EU内部の様々な利益
    等を考慮して提案し、採択したものである。

ただし2016/2/22時点では、欧州委員会のウェブサイトで、今回の発表に関する情報を見つけることができませんでした。


また記事[1]では、中国商務省による

  • 「EUは太陽電池製品に対し反ダンピング関税と反補助金関税を課す措置を一日も早く撤廃し、太陽電池製品市場の正常な状態を回復し、中欧双方にとっての真の互恵共栄関係を実現させるべきだ。」
等のコメントも紹介されています。


米国では昨年(2016年)、中国国内で余った同国製太陽電池モジュールが大量に流れ込んだ結果、モジュール価格が急落しており、同年第3四半期には中国製が0.5ドル/Wを下回る水準となっています。

欧州のほうの状況は不明ですが、独SolarWorld社がコスト競争力を強化するために、約400人の解雇を伴う見込みの、ドイツ国内生産拠点の再編を余儀なくされていることから、米国に近い状況となっていることが推測されます。

そのような市場環境の激変の元となっている国が、「太陽電池製品市場の正常な状態を回復」と言っても、何ら説得力を感じません。

ただし一方で、新興国でも太陽光発電の導入コストが劇的に下がっていることを考えると、中国企業がもたらしているモジュール価格の大幅な低下が、世界の太陽光発電の導入拡大に(結果として)大きく寄与していることも、また否定できないように思われます。

今回の欧州委員会の発表における「段階的に廃止」というところは、その点を配慮した結果なのかもしれません。


※参照資料:
[1]中国製太陽電池製品への反ダンピング措置を延長=欧州委(中国国際放送局)
http://japanese.cri.cn/2021/2017/02/09/141s257975.htm

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2017年02月20日

ネクストエナジー社が産業設備向けのモジュール洗浄サービスを開始予定、自走式洗浄機「PV Cleaner」で洗浄時間を1/3に短縮

ネクストエナジー・アンド・リソース社が2017年2月16日に、

  • 国内の産業用太陽光発電向けに、太陽電池モジュールの機械洗浄サービスを開始する。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


背景

  • 現在は多くの太陽光発電設備で、太陽電池モジュール表面の清掃作業について、人手時間を費やすことで、当初の事業計画を上回る保守管理費用が顕在化している。

サービスの特徴

  • 自走式洗浄機「PV Cleaner」を採用
    小型な組立式 野立て・屋根上の両方に対応できる。
    作業コストを大幅低減 洗浄時間を従来の1/3に短縮できる。
    また、洗浄ムラや洗い残しも無い。
    走行性能
    • 駆動能力:0〜35
    • モジュール間の隙間の走行:50mm
    • 段差走行:±30mm
    を実現している。
    また、落下防止センサーも搭載。
  • 発電量アップに寄与
    洗浄実施後に、5ヶ月間の発電量が平均3%向上することを確認している。

その他

  • サービス開始日2017年3月1日から順次
  • 参考価格1MWあたり50万円(税別)〜
    ※施工費・水代・諸経費を含む。
  • 取扱店舗:自社の営業加盟店

ただし当記事の作成時点(2017/2/17)では、ネクストエナジー社のサイトに、このサービスに関する発表・情報は掲載されていませんでした。


[1]に掲載されている大規模設備の写真を見ると、人手で洗浄作業を行う場合の時間的・経済的負担の大きさが、容易に想像されます。

今回のサービスで用いられる「PV Cleaner」は、モジュール上を実際に走行・洗浄するうえで、かなり柔軟な対応能力を実現していることが伺えます。

ただ、最大角度(35度まで)の点から、現状では、設置角度がより急な降雪地域の設備には、使用できないと思われますが、この点は今後の課題なのかもしれません。

いずれにせよ、FITで大量導入された太陽光発電設備の稼動期間が長くなるに連れて、大規模設備(メガソーラー等)における洗浄作業の機械化が、更に進化・洗練していくことは、間違いないものと考えます。


※参照資料:
[1]ネクストエナジー、太陽電池モジュール洗浄機を開発  太陽光発電設備の洗浄時間を3分の1に短縮し、 大幅なコストダウンが可能(@Press)
https://www.atpress.ne.jp/news/122130

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SolarWorld社がPERC単結晶型への注力・ドイツ国内の生産体制集約を決定、中国製モジュールの大量流入による価格急落に対処

SolarWorld社が2017年2月10日に、

  • 競争力強化のための、2017年度からの事業方針
を発表していました[1]。

概要は次の通り。


  • 製品の取捨選択
    今後は単結晶シリコン型+PERC技術にのみ注力する。
    (※従来は多結晶型も製造していたが、将来的には単結晶型のみを製造する)
    これは、多結晶型の変換効率が、技術的な理由で劣るためである。
    研究開発をする子会社「SolarWorld Innovations GmbH」では、PERCと統合可能な変換効率向上プロセスに注力する。
  • 生産体制の整理
    ドイツ国内では
    • Arnstadt拠点でのモジュール生産
    • Freiberg拠点でのセル生産
    を停止し、
    • セル生産Arnstadt
    • モジュール生産Freiberg
    に整理する。
    これは、小規模生産を移転することで
    • 規模の経済の高速化
    • 冗長性の削減
    • 生産プロセスのシンプル化
    を行い、将来の成長余地を作り出す狙いがある。
    (※米国については、Hillsboro拠点が既に、PERCセル・モジュールを独占的に生産している)
  • 人員の削減
    上記の拠点整理に伴い、2019年まで400の労働者を削減する見込み。
  • モジュール出荷量の拡大
    上記の措置により、太陽電池市場のこれまでに無い困難な局面から脱出し、2019には2GW/年に拡大することを目指す。

また[2]では、この措置に関する更なる詳細情報として、CEOのFrank Asbeck氏へのインタビュー内容が掲載されています。

その中から、主な内容を抜き出してみました。


  • 自社の方針
    SolarWorld社はプレミアム品質(長寿命・高効率)の製品を提供しており、これと顧客からの忠誠心loyalty)によって、市場競争から距離を置いている。
    これは、安価な中国などの製品に対抗する唯一の方法である。
    しかしここに来て、更に事業の焦点を絞る必要が生じている。
  • 生産品と技術の選択
    • 単結晶シリコン型の変換効率には、最大の将来性を見ている。
      既に、単結晶PREC技術を量産ラインに導入したことで、出力300W以上のモジュールが実現されている。
      (※3年前の多結晶型技術では、250Wだった)
      自社は、他の技術(ヘテロ接合、ペロブスカイト等)ではなく、単結晶PERC技術の進歩に注力する。
    • 多結晶型については、2017年に残っている受注分には当然対応するが、将来的には生産を停止する。(単結晶型に完全に移行)
    • ガラス−ガラスモジュール(両面ガラスモジュール)の需要は増えているが、ガラス−フィルムモジュール(従来型のモジュール)の生産は続ける
  • 生産拠点の集約
    • ドイツ国内の2拠点では、優れた生産性を実現してきたが、今日ではコストが高く、生産を集約する必要が生じている。
      SolarWorld社の競合相手はアジアにあるが、それらは国の金により、巨大な生産設備を設けている。
      このため、セル生産拠点を2ヶ所に分けている現状では、対抗できない。
    • Arnstadtでは、3年前にBosch社から欧州最大のセル生産拠点を取得して以来、Freibergの労働者の助力を得て生産能力の拡大を続けてきた。
      このため今回は、ドイツ国内でのセル生産Arnstadtに集約するものである。
    • 同様の措置は、モジュールにおいても適用され、Freibergのモジュール工場が存続の対象となる。
    • 米国については、Hillsboro拠点の生産品のみで、同国での需要を賄うことを目指している。
  • 2016年の市場や自社の動向
    • SolarWorld社では、上半期はフルオーダーを受注し、生産設備もフル稼働した。
      これにより、第2四半期は営業利益が再び黒字に転換した。
    • しかしその後、中国が突然
      過剰生産された国内製モジュールを、全て海外に輸出する。
      との方針を決定した。
    • これは生産コストを下回るダンピング価格で行われ、結果としてモジュール価格は急激に20〜30%下落した。
      そのためSolarWorld社は、(他の多くのメーカーと同様に)生産量を削減。
      更に、販売促進のための特別な対策を講じることとなり、その結果として2016年業績は赤字となった。
  • 今後の市場の見通し
    • 2017年の世界市場は、中国を除いて需要が拡大するとみている。
      中国国内の新規設置は、2016年上半期には記録的な増加をみせたが、2017年の政府目標はそれより大幅に下回っている
      そのため他の市場では、需要が高まるものの、中国のダンピングに対処する必要が生じる。
    • 米国については、大部分の地域において、他の発電方法よりも太陽光発電が安価になっている。
      これは、トランプ氏と言えども否定できない。
      太陽光発電の導入を拡大しようという多くのイニシアチブは、個々の州から来ている。

Frank Asbeck氏へのインタビュー[2]では、プレスリリース[1]だけでは良く判らない背景が詳細に述べられており、単に一社の動向に留まらない、非常に興味深い内容だと感じるものです。

SolarWorld社はかつて、中国政府による同国メーカーへの実質的な支援を批判し、それが米国・欧州での(中国メーカー製モジュールを対象とする)反ダンピング関税・相殺関税の導入にもつながった筈ですが、結局は大規模生産能力を背景とする中国メーカーの市場への影響力は、殆ど変わっていないように思われます。

日本メーカーも最近の業績では(CIS型結晶シリコン型を問わず)苦境が目立っており、(良し悪しはともかく)現実問題として、今回のSolarWorld社のような思い切った体制変更が、必要になるのかもしれません。

またこうなると、好奇心として、中国国内でのモジュール価格が一体どんな水準なのかも気になるところですが、同市場については「価格が安すぎて日本メーカーは参入できない」との話もあり[3]、海外メーカーにとっては完全に視野の外と思われます。


もう一つ、SolarWorld社が現状で、PERC単結晶型に最大の可能性を見出していることも、非常に興味深い点です。

日本メーカーにおいては、先駆者のパナソニックは当然として、シャープ長州産業カネカと、多くのメーカーでヘテロ接合型を次世代の主流技術とする姿勢が伺え、この点はSolarWorld社と明確に異なっているようです。

結晶シリコン型太陽電池が技術的にもまだまだ、変革・進歩の途上にあることを感じるものです。


※参照資料:
[1]SolarWorld AG strengthens its competitiveness(SolarWorld社)
http://www.solarworld.de/en/group/press/press-releases/corporate-news-ad-hoc/single-ansicht/article/solarworld-ag-strengthens-its-competitiveness/
[2]Sunday Extra: Interview with Dr.-Ing. E.h. Frank Asbeck(同上)
http://www.solarworld.de/en/group/press/press-releases/press-release/single-press-releases/article/sunday-extra-interview-with-dr-ing-eh-frank-asbeck/
[3]世界の太陽光発電、昨年は5割増。なぜFITがない米国が2位?(ニュースイッチ)
http://newswitch.jp/p/7736

※関連記事:

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2017年02月13日

ソーラーフロンティア社の固定資産が107億円の減損、足元の事業環境悪化で、収益性が「著しく低下」

昭和シェル石油が2017年2月6日に、

  • 子会社ソーラーフロンティアに関する固定資産減損損失(特別損失)を、平成2812月期の業績に計上する。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


  • ソーラーフロンティア社では、足元の事業環境の悪化に伴い、収益性著しく低下している。
    そのため、同社が所有する固定資産について、減損の兆候が認められた。
  • 上記の固定資産に係る回収可能性を検討した結果、平成28年12月期4Q(2016年10月1日〜12月31日)において、減損損失107億を、特別損失に計上することとなった。

また日本経済新聞の記事[2]では、

  • 減損の対象となった固定資産は「国富工場」。
  • 2016年夏以降の太陽電池パネルの市況低迷が響いた。
と報じられています。


昨年夏以降の市況低迷というのは、具体的に特にどのような変化が起こっていたのか、私にはいまいち判りません。

ただ当ブログでチェックした限りでも、最近は

といった情報があり、太陽光発電市場が世界的に非常に厳しい環境となっていることは、確かに伺えるものです。

特に、モジュール価格が1Wあたり0.5ドルを切っているというのは、個人的にはちょっと異常な下がり方という気がしますが、ともかく現実としてそのような状況がある以上、日本メーカーにとっては(モジュールの種類を問わず)今後も試練の時が続くと考えざるを得ません。


※参照資料:
[1]連結子会社における固定資産の減損損失の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ(昭和シェル石油)
http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2017/0206.html
[2]昭和シェル、太陽光事業で減損損失107億円 16年12月期(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO12600190W7A200C1DTB000/

※関連記事:

イラン初の太陽光発電所(7MW)が稼動開始、建設費用は800万ユーロ

ウェブサイト「Pars Today」の記事(2017年2月4日付)で、

  • イラン初太陽光発電所が、稼動を開始した。
と報じられていました[1]。

発電所の概要は次の通り。


名称 ハリージェファールス太陽光発電所
場所 イラン西部のハメダーン州
発電容量 7MW規模
用地の面積 10ha
建設費用 800万ユーロ
その他
  • 外国資本による設計。
  • イラン国内の建築資材・設備も使用されている。

「初」の太陽光発電所が7MWという規模であることに、太陽光発電の導入ハードルが(一昔前と比べて)劇的に下がっていることを感じます。

設置場所のハメダーン州は、ウィキペディアの「ハマダーン州」[2]と同一だと思われますが、同州の降水量(年間約324mm)は東京(年約1529mm[3])の1/5程度であり、少なくとも日照の点では、太陽光発電にかなり有利な環境と思われます。

建設コストをみると、7MWで800万ユーロということで、1MWあたりでは約114万ユーロ。

1ユーロ=約120円とすると、1MWあたり約1億3700万円となりますが、これは2016年の新興国における平均コスト(1MWあたり165万ドル)さえも大きく下回る水準であることに、驚かされます。

これだけの低コストとなると、導入に関わったのはやはり中国企業かと思われますが、ともかくこうなると、新興国での太陽光発電の大規模導入は、今後更に活発化していくものと予想します。


※参照資料:
[1]イラン最大の太陽光発電所が稼動開始(Pars Today)
http://parstoday.com/ja/news/iran-i25811
[2]ハマダーン州(ウィキペディア)
[3]東京 平年値(年・月ごとの値)(気象庁)
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=44&block_no=47662&year=&month=&day=
[4]ユーロ/円(EUR/JPY):外国為替レート(楽天証券)
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/eur.html

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2017年02月06日

シャープ・パナ・京セラの2016年4-12月期の太陽電池関連事業は、やはり厳しい結果

シャープ・京セラが2017年1月31日、パナソニックが同2月2日に、2016年度3Q累計期間2016/4-12)の業績を発表していました[1]〜[5]。

今回もその中から、太陽電池・太陽光発電に関係する数字などを抜き出してみました。(※一部数値の計算や四捨五入は、当ブログ管理人による)


シャープ

  • 「エネルギーソリューション」セグメントの業績
    売上高734億円(前年同期比35.2%
    3Q単独では211億円(同38.9%減)。)
    セグメント利益127億円の赤字
  • 太陽電池関連の状況
    • 3Q(10-12月)は、日本国内住宅用・産業用の太陽電池需要が低迷した。

パナソニック

  • 「エコソリューションズ」セグメントの業績
    売上高1兆1187億円(前年同期比4%
    セグメント利益461億円(同23%
  • 太陽電池関連の状況
    • 住宅用太陽光発電システム事業は
      国内市場の縮小
      価格下落
      の影響を大きく受け、販売は苦戦し減収となった。

京セラ

  • 「ファインセラミック応用品関連事業」セグメントの業績
    売上高約1592億円(前年同期比10.5%
    セグメント利益約93億円(同25.9%
  • 太陽電池関連の状況
    • 太陽電池市場では、世界的に製品価格の下落が進行した。
      また日本国内では、固定買取価格の引き下げの影響で、需要が減少。
      これらにより、ソーラーエネルギー事業の売上高は減少した。(セグメントの売上減の主因)
    • 米国で、ソーラーエネルギー事業の売上が減少。

おおむね予想はしていましたが、ちょっと前の稼ぎ頭だった国内市場が大きく減速し、また海外での価格競争も激化している現状では、国内大手メーカーの苦境は全く変わらなかったようです。

また前回(2Q)の業績発表と比べると、今回の発表では、海外市場に関する記載が明らかに減っています。

海外全ての状況は判りませんが、米国新興国での価格低下の度合いは、私の想像を超えるものであり、これが日本メーカーにとって拡販の大きなハードルとなってきているのでは、と想像します。

国内住宅用についてはつい最近の調査結果(導入者の満足度調査)で、国内メーカーの優位性が示されていましたが、市場自体が縮小している現状では、業績回復の手段には(残念ながら)なり得ないと考えざるを得ません。

私は各種のニュース記事や企業の発表を読んでいるだけの気楽な立場ですが、それでも暗澹とした気持ちになってきます。


※参照資料:
[1]平成29年3月期 第3四半期 決算短信(シャープ社)
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/pdf/2017/2/1703_3q_tanshin.pdf
[2]プレゼンテーション資料(ノート付き)(同上)
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/pdf/2017/2/1703_3pre_nt.pdf
[3]2016年度 第3四半期 連結決算短信(パナソニック社)
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2017/02/jn170202-1/jn170202-1.html
[4]平成29年3月期第3四半期決算短信〔米国基準〕(連結)(京セラ社)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/rt170131.pdf

※関連記事:

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