【現在位置】トップページ > 2015 年03 月

(このページ内の記事一覧)
(スポンサード リンク)

2015年03月31日

シャープが太陽電池事業を継続・拡大する方針との報道、国内住宅用と海外ソリューション事業に注力

シャープ太陽電池事業について、複数のニュース記事で

  • 同社が2015年3月30日に、今後も事業を継続拡大していく方針を表明した。
と報じられていました[1]〜[4]。

概要は下記の通り。


基本方針

  • 太陽電池事業は継続
    停止・売却をする事実は一切無く、同事業をシャープ再生の柱の一つにすることを目指す。
    優位性がある技術は、自社で開発・生産する意向。
  • 堺工場の運営も継続
    きっちり継続していく方針。
  • 黒字化に自信
    計画は作り上げられており、2015年度の黒字化は、非常に高い確率で実現できるとみている。
    (この黒字化を前提に、現在銀行と話をしている)

不利な要因への対策

  • シリコン材料の調達コスト
    長期契約2020年末まで)を結んでいるため、現在の市場価格よりも高値で取引せざるを得なくなっている。
    これについては、製造プロセス全体で吸収していく。
  • 海外調達セルのコスト
    これまでセルの自社生産を減らし、海外メーカーからの調達を増やしてきたため、現在の円安状況では調達コストが増加している。
    これについては現在、サプライチェーンの集約が終わりつつあり、足元でコスト削減の効果が出てきている。

2015-17年度の拡大策

  • 国内住宅用に注力する。
    • 堺工場の増強
      住宅用の高性能モジュール「ブラックソーラー」の生産増強に、14億円を投資。
      その生産能力を、現行(200MW)から5%アップする(210MWに増強)。
    • 住宅用の新製品:6月に発売予定。
  • ソリューション事業海外展開を強化する。
    • 米国でのシステム販売
    • タイでのメガソーラーのEPC
    等を強化し、海外の比率(現在10%)を、2017年度には30%まで高める。
    そして「エネルギーソリューション事業部門」におけるソリューション事業の割合(現在15〜17%)を、50%まで高める。

当記事の作成時点でシャープ社のウェブサイトに、この件に関する正式発表は掲載されていませんでした。
(※事業売却・撤退の否定自体は、既に3月13日に発表されています[5])

ただし各ニュース記事では、太陽電池担当の常務執行役員の方(3月30日に堺工場で記者会見)によるコメントが多数紹介されているので、各々の内容も、決定事項である確率が非常に高いと思われます。

シャープの太陽電池事業は歴史が長いだけでなく、例えばPID対策にも2006年という早期から取り組み[6]、第三者機関(独Fraunhofer)によるテストでも結果を出しています

そのように蓄積された経験と技術力を手放す意向が無いことには、ホッとしましたが、その反面、モジュールの製造コスト・販売価格において、先行する海外大手メーカーにどこまで太刀打ちできるのか、というのは非常に気になるところです。

その足かせの一つとみられる多結晶シリコンについては、中国メーカーが急成長してきた8〜9年前あたり世界的な供給不足が起こっていました

シャープが結んでいる長期契約は、当時の教訓によるものと思われますが、技術革新や生産コスト低減のスピードが速い太陽電池において、素材調達の長期契約を結ぶことは、大きなリスクにもなり得ることが伺えます。
(もっともシャープの現況については、あくまで「今となっては」という結果論でしかありませんが・・・)

ともかく、2015年度の黒字化にはかなりの自信が示されているので、国内大手メーカーの復活が実現することを、強く願うものです。


※参照資料:
[1]再送-UPDATE 1-太陽電池は継続拡大、2015年度黒字化へ=シャープ常務(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0WW38F20150330
[2]シャープ、太陽電池事業を継続−高出力の新型住宅用量産へ14億円投資(日刊工業新聞)
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320150331agbf.html
[3]シャープ、堺工場の太陽電池生産能力を5%増強へ 「ソーラー事業はやめません」(産経ニュース)
http://www.sankei.com/economy/news/150330/ecn1503300034-n1.html
[4]シャープ、太陽電池事業でシステム販売を拡大(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ30I1E_Q5A330C1TJ2000/
[5]当社太陽電池事業の継続について(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/corporate/info/announce/150313-a.html
[6]PVeye誌2014年4月号 p22〜23「50年の研鑚積んだシャープの品質管理」

※関連記事:
posted by 管理人 at 12:00 | Comment(0) | メーカー:シャープ

2015年03月29日

Yingli Green Energyの2014年4Qと通年は営業利益・純利益が赤字、ただし赤字の幅は前年から大幅縮小

Yingli Green Energy社が3月25日に、2014年第4四半期通年の業績を発表していました[1]。

概要は下記の通り。


2014年4Q

  • モジュール出荷量939.2MW(前四半期比4%増)
    • 中国国内での自社の下流事業向け:73.7MW
  • 売上高:約5億5550万米ドル(前四半期比1.8%増、前年同期比7.1
  • 粗利益率16.8%(同4.1ポイント4.6ポイント増)
  • 営業利益:約3220万ドル(約2億人民元)の赤字
    (前四半期は約1億9970万元の黒字、前年同期は約5億9420万元の赤字)
  • 四半期純利益:約8870万ドル(約5億5000万元)の赤字
    (前四半期は約1億2280万元の赤字、前年同期は約7億7620万元の赤字)
  • 背景
    • 粗利益率の低下
      3Q比での低下は、
      ・人民元に対するユーロ安と円安
      ・モジュールのASP(平均販売価格)の低下(中国での販売増加による)
      が主な要因だった。
      (※全体的なモジュール製造コストの低減が、その一部を相殺した)
    • R&D費用の増加
      前四半期比での営業経費増加の一因となった。

2014年通年

  • モジュール出荷量3361.3MW(前年比3.9%増)
    • 新興国向け:計490MW(同90%増)
    • 中国国内での自社の下流事業向け:260.6MW
  • 売上高:約20億8350万米ドル(同3.7
  • 粗利益率17.3%(同6.4ポイント増)
  • 営業利益:約3470万ドル(約2億1520万人民元)の赤字
    (前年は約11億1840万元の赤字)
  • 純利益:約2億950万ドル(約12億9980万元)の赤字
    (前年は約19億4440万元の赤字)
  • 背景
    • 売上高の減少
      PVシステム販売での売上高(2014年認識分)の減少が、主な要因だった。
    • 継続的な努力
      モジュール出荷量(3.3GW超)と粗利益率は、過去最高を記録。
      これには主に
      ・市場での存在の多様化
      モジュール製造コストの(全プロセスにおける)低減
      収益性の改善
      における継続的な努力が寄与した。
    • R&D費用の増加
      技術革新に関連して研究開発費用が増加し、営業経費増加の主因の一つとなった。
    • 各市場
      モジュール需要は、中・日・米国・欧州・その他の新興地域で強かった。
      中国市場
       顧客数が前年から5割以上増加し、モジュール出荷量は前年の約3倍で、全出荷量の約37%を占めた。
      米国
       新しい貿易ケースによる不確実性にも関わらず、手堅い年となった。
      欧州
       企業契約の複雑さをナビゲートしつつ、重要な役割を担い続けた。
      新興国
       事業展開の拡大を継続。
       マレーシア、ボリビア、ホンジュラスでの最大の発電所プロジェクトに対する、唯一のモジュール供給者となった。
    • 下流事業
      中国では多数の省に、計1.6GW以上のプロジェクトパイプラインを保有している。

2015年の見通し

  • 太陽光発電市場の成長は継続
    2015年も、世界市場の成長が続くとみている。
    特に中国では、国家エネルギー局が2015年3月に、同年のPV導入量の公式目標17.8GWと発表しており、絶好の機会を迎えている。

他の中国大手メーカーの同期業績(Trina SolarJinkoSolarJA Solar)が軒並み黒字だったので、同じく大手の一角であるYingliが、今回赤字だったのは意外でした。

為替レートの人民元安や、モジュールの平均販売価格の低下といった要因は、他のメーカーも同じはずなので、Yingliのみ赤字となった原因(他メーカーとの違い)は気になるところです。

ただし赤字の幅自体は、4Qも通年も前年比で急速に縮小しているので、黒字化はそう遠くは無いのかもしれません。

地域別では、地元・中国市場における売上高は不明ですが、4QにモジュールのASP低下の要因になったことから、相当な割合を占めていると推測されます。

利益率の低下につながる不利さはあるものの、それでも他市場の急変(欧州需要の縮小や日本での接続条件変更)を考えると、大規模需要が当面安定して見込めることは、やはり非常に貴重なものではないでしょうか。

その一方で、通年のモジュール出荷量の1割超が、既に他の新興国向けとなっており、一部地域のみに依存しない体制を目指しているところには、(日本メーカーには乏しくなっている)勢いの強さを感じざるを得ません。


※参照資料:
[1]Yingli Green Energy Reports Fourth Quarter and Full Year 2014 Results(Yingli Green Energy社)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2028326

※関連記事:
posted by 管理人 at 19:00 | Comment(0) | 中国メーカー

2015年03月27日

長州産業が新モジュール「Gシリーズ」を発表、「リアエミッタヘテロ接合構造」「マルチワイヤ電極」等で発電能力をアップ

約1ヶ月前になりますが、長州産業2015年2月23日に、太陽電池モジュールの新製品「Gシリーズ CS-270G21」を発表していました[1][2]。

製品の概要は下記の通り。

  • 主な特徴
    • リアエミッタヘテロ接合構造セル
      一般的なヘテロ接合構造(n型単結晶セルの上下にアモルファスシリコン層を積層)から、アモルファスシリコン層のp型・n型を逆転。
      これにより、電荷消失の低減(※通常のヘテロ接合セルと同様)に加えて、セル表面での電気抵抗も低減(=送電ロスの抑制)する。
    • マルチワイヤ電極
      電極は通常の太いバスバーではなく、細いマルチワイヤを多数使用。
      これにより、電極が(フィンガーと合わせて)細かい網の目状に配置され、下記のメリットが得られる。
      電荷のロス低減:電極間の距離が短いため、発生した電荷の損失を低減できる。
      ・モジュール内の反射光の有効利用:
       マルチワイヤ電極の断面が小径の円形であるため、電極からガラスに反射した光がセルに届きやすい。
      クラック発生時の発電能力低減を抑制:
       電極の数が多いため、セルに割れが生じた場合も、送電できない領域を最小限に抑えられる。
    • フルスクエア形状セル
      セルは四隅を落とさず、正方形の形状。
      これにより
      受光面積を約1.9%アップ
      ・白色部分を減少(モジュール外観の向上)
      との効果が得られる。
  • 主な仕様
    • 公称最大出力270W
    • 変換効率
      ・セル:20.5
      ・モジュール:18.2

また同社は、前日(2月23日)には

  • 太陽光発電連携型蓄電池ユニット
  • ハイブリッドパワーコンディショナ
を発表。

更に、エネルギー関連機器(太陽光発電、蓄電池など)を、新愛称「ソラトモ」の下で展開していく方針も表明しています。


京セラによる3本バスバーの特許侵害での提訴以降、他社からはバスバーの数を増やした製品の発表が相次いでいましたが、今回の「マルチワイヤ電極」は、その最終的な姿なのかもしれません。

電極の構造が細かくなる分、製造コストの増加は懸念されるものの、通常時の発電能力(発生した電荷を集める能力)のアップだけでなく、セルのクラック発生への対策効果も期待できるとのことなので、実際の設置環境での長期稼動(例えば20年)において、発電量に(従来型モジュールと比べて)どの程度の差をもたらしうるのか、というのは非常に興味を引かれるところです。

また今回は他にも、ヘテロ接合セルでの新技術に蓄電機能への対応機器と、積極的な技術革新に取り組まれていることが伺え、指定ルールの導入等で国内市場の先行きが不透明な中で、国内メーカーの底力も感じられる気がします。


※参照資料:
[1]先進技術の融合により誕生した新型太陽電池モジュール[Gシリーズ] 発表(長州産業)
http://www.choshu.co.jp/modules/newrelease/index.php?page=article&storyid=57
[2]太陽光発電連携型蓄電池ユニット、ハイブリッドパワーコンディショナ発表(同上)
http://www.choshu.co.jp/modules/newrelease/index.php?page=article&storyid=58
posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 他の国内メーカー

2015年03月26日

JA Solarの2014年4Q・通期はともに増収増益、モジュールへのシフトや中国市場の強さが効果

JA Solar社が3月12日に、2014年第4四半期通期の業績を発表していました[1]。

概要は下記の通り。

2014年4Q

  • 製品出荷量
    • モジュール879.6MW(前四半期比26.8%増、前年同期比142.1%増)
    • セル:73.1MW(同20.5%・75.8%
    地域別の割合(※モジュールとセルの合計)は、
    • 中国41.0%(前四半期比6.2ポイント増、前年同期比12.2ポイント
    • アジア太平洋(中国除く)37.3%(同9.1ポイント減、5.6ポイント増)
    • 欧州12.8%(同3.6ポイント増、4.3ポイント増)
    • 米州4.4%(同0.3ポイント減、1.5ポイント減)
    • その他4.5%(同0.4ポイント減、3.8ポイント増)
  • 売上高:約5億7600万米ドル(同18.4%増、65.3%増)
  • 荒利益率:15.5%(同0.5ポイント増、横ばい)
  • 四半期純利益:2680万ドルの黒字(前四半期は2500万ドルの黒字、前年同期は2250万ドルの黒字)
  • 背景
    • 中国需要が強い
      政府が直接示したアグレッシブな目標に応えるべく、開発者・発電事業者が急ぎ、中国市場は期待通りの強さとなった。
      また、欧州・北米でも手堅い利益を得た。
    • 好調な受注と生産
      JA Solarでは、4Q開始時に受注が生産能力いっぱいになったが、その注文全てを満たす生産を実行。
      それにより、出荷量は大きく伸びた。
    • 粗利益率の向上
      製品(販売価格・利益率が高いモジュールの割合を9割超まで拡大)・地域のミックスシフトにより、粗利益率は前四半期より高まった。

2014年通期

  • 製品出荷量
    • モジュール:2406.8MW(前年比105.1%増)
    • セル:651.1MW(同27.4%
    また地域別の割合(※モジュールとセルの合計)は、
    • 中国33.0%(前年比10.2ポイント
    • アジア太平洋(中国除く)45.0%(同11.4ポイント増)
    • 欧州12.6%(同2.6ポイント減)
    • 米州5.9%(同0.5ポイント減)
    • その他3.5%(同1.8ポイント増)
  • 売上高:約18億米ドル(前年は12億ドル)
  • 荒利益率15.6%(前年は10.6%)
  • 純利益:7200万ドルの黒字(前年は6870万ドルの赤字)
  • 背景
    • 利益率の向上
      ・より収益性の高いモジュール製品
      ・より良い地域
      へのシフトを進める戦略が、粗利益率の大幅アップにつながった。
    • R&Dを重視
      研究開発への重点的な投資は継続しており、R&Dの費用は前年より58%増加した。
      しかし他の営業費用を抑えることで、営業利益率・純利益率は手堅く確保している。

2015年の方針

  • 成長と収益の維持
    2015年も2014年のような、
    • 急成長
    • 高い収益性
    の維持を目指す。
  • 焦点を変更
    2014年は、収益性の回復とモジュール製品のミックスシフトを完了できた。
    2015年は次の成長に向けて、
    • 北米・南米・インド市場等での販売拡大に注力
    • 技術的なリーダーシップの維持(Reciumセル・Perciumセルでの変換効率記録の更新)
    • 下流事業での開発の加速(導入量を2014年の2倍以上に拡大)
    と、焦点を変える。

製品出荷量では、モジュールが劇的な増加の一方でセルは大幅減少と、確かに明確な違いがあり、また4Qと通年の実績を比べると、その傾向が加速していることも伺えます。

ただこの移行については「our intended mix shift to modules complete」との表現があるので、今後完全にセルを外部調達するまでには至らないと思われますが、それでも出荷量で世界トップクラスのメーカーの1社が、セルの割合を大幅に縮小していることは、利益率アップの方策の一つとして興味深い動向です。

また地域別では、中国需要が強かったと言いつつも、同国が出荷量に占める割合は大きく減っており、一つの国・地域に依存しない販売体制を目指していることが推測されます。

その流れとしてか、2015年の重点地域の一つにインドが挙げられていますが、同国では中国製モジュールを非難する動きがあり、また政府が「Make in India」キャンペーンを掲げている中で、技術向上にも重点を置くJA Solarが市場に如何に食い込み得るのか、というのは強く興味を引かれるところです。


※参照資料:
[1]JA Solar Announces Fourth Quarter and Fiscal Year 2014 Results(JA Solar社)
http://investors.jasolar.com/phoenix.zhtml?c=208005&p=irol-newsArticle&ID=2025141

※関連記事:
posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 中国メーカー

2015年03月25日

フェローテックの2014年4−12月の「太陽電池関連事業」は、売上高5割増も営業赤字は拡大、多結晶パネルの価格下落や米・中・台の貿易摩擦が影響

1ヶ月以上前になりますが、フェローテック社が2月12日に、2015年度3Q累計期間(2014年4月〜12月)の業績を発表していました[1]。

その中で「太陽電池関連事業」(シリコン結晶製造装置、シリコン製品、石英坩堝、角槽など)の状況は下記の通り。

  • 売上高:約140億円(前年同期比54.5%増)
  • 営業利益:約8億5000万円の赤字(前年同期は約4億円の赤字)
  • 背景:
    • 多結晶型太陽電池パネルの価格下落
      日米で設置量が旺盛な一方、価格競争も続き、販売価格は下落したままで推移。
      これにより、フェローテック社のシリコン製品も厳しい販売価格で推移した。(※売上は前年比増)
    • 貿易摩擦による生産調整
      米・中・台湾間で、太陽電池パネルの貿易摩擦が続いており、一部企業が生産調整を実施。
      これにより、フェローテック社の消耗品製品(石英坩堝・角槽)も、軟調な売上高となった。
    • シリコン結晶製造装置は、メンテナンス部品などの売上高となった。

「太陽電池関連事業」全体の売上高は大きく伸びており、一時期の低迷から製品需要が劇的に回復していることが伺えますが、その一方で赤字は膨らんでおり、シリコン製造関連においても(パネルと同様に)製品価格の下落が相当急激に進んでいることが推測されます。

また「シリコン結晶製造装置」の売上高については、装置本体ではなく「メンテナンス部品」にしか言及されておらず、製造装置需要の本格回復とは言えない(導入済みの装置で十分事足りている)状況と思われます。

もう一つ意外だったのは、世界的に太陽電池パネル需要が旺盛であるはずの中で、生産調整を行ったメーカーがあるという点です。

(当ブログでチェックしている範囲では)大手パネルメーカーの業績発表の中で、生産調整についての記載はありませんでしたが、それ以外のメーカーで例えば、米商務省による調査結果において、ダンピング幅が100%超と判断されたメーカーが大きな打撃(出荷量減など)を受け、減産に踏み切っていることは考えられます。

加えて現在は円安の進行により、一部の中国パネルメーカーが日本の顧客から「20%の値下げ」を要求されているとの報道[2]もあり、部材製造の関連企業についても、(パネルが大幅な供給過多だった一時期よりはマシとはいえ)すんなりと業績回復とは行かないのかもしれません。


※参照資料:
[1]平成27年3月期 第3四半期決算短信(フェローテック社)
http://www.ferrotec.co.jp/pdf/press/2015/20150212172301.pdf
[2]「円安」で悲鳴!・・・中国の「太陽光発電」関連企業=中国メディア(サーチナ)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0311&f=business_0311_008.shtml

※関連記事:
posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 製造装置

2015年03月22日

2015年度のFITの買取価格が決定、また1世帯・1ヶ月あたりの賦課金額は400円台(前年度の2倍以上)の見込み

経済産業省が2015年3月19日に、2015年度FITの買取価格などを発表していました[1]。

このうち、太陽光発電電力買取価格は下記の通り。

  • 非住宅(10kW以上、買取期間20年)
    • 接続契約締結が4〜6月:税抜き29円/kWh(前年度比3
    • 同7月以降:同27円/kWh(同5
  • 住宅(10kW未満、買取期間10年)
    • 「出力制御」対応機器設置義務がある地域:35円/kWh(同2
      ※北海道、東北、北陸、中国、四国、九州、沖縄電力の管内。
    • 設置義務が無い地域33円/kWh(前年度比4
      ※対応機器を設置しても、35円/kWhの適用対象にはならない。

また、再エネ電力の買取に伴い需要者が負担する「賦課金」は、1.58円/kWh(前年度より0.83円アップ)とのことです。(※2015年5月〜2016年4月の検針分に上乗せ)

これについて、1世帯・1ヶ月あたりの負担額の目安を示している電力会社もあり[1]〜[6]、具体的な数字は下記の通り。

  • 北海道電力:税込み410円/月(前年度より215円アップ)
  • 中部、北陸、中国、沖縄電力474円/月(同249円アップ)

買取期間における売電収入の見込みを、設備1kWが年間1000kWh発電するとして単純計算すると、昨年の条件(買取価格)と比べて

  • 非住宅:設備1kWあたり6万〜10万円のダウン
  • 住宅用:同2万〜4万円のダウン
となり、特に非住宅においては、初期コスト・運営管理コストの引き下げが、これまでよりも更に重い課題となることが想像されます。

いっぽう賦課金額については、昨年度から一気に倍増したことに正直ドキッとしましたが、太陽光発電の導入量は、例えば2014年11月末時点では前月から710MW増加しており[7]、この導入ペースであれば、急激な値上げ自体は自然なこととは思われます。

ただ一消費者としては、1月あたり500円に近い上乗せ額は、これまでの100〜200円と比べてはっきり「負担」に感じる金額です。

ハイペースでの導入量増加にも関わらず、重くなっていく経済的負担に対して

  • 原発依存からの脱却の進展
  • ピークカット効果
  • 化石燃料の消費量削減
といった明確な導入効果(メリット)がみられないとなれば、太陽光発電が一気にバッシングの対象になる可能性も考えられます。

その意味で今年度からは、太陽光発電の導入に対する国民の視線が格段に厳しさを増し、また導入を推進する側(発電事業者含む)においては、太陽光発電が実際に果たしている役割について、十分なPRや情報公開を行っていくことも必要になるものと考えます。


※参照資料:
[1]再生可能エネルギーの平成27年度の買取価格・賦課金を決定しました(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150319002/20150319002.html
[2]平成27年5月分から平成28年4月分までの再生可能エネルギー発電促進賦課金について(北海道電力)
http://www.hepco.co.jp/info/2014/1190945_1635.html
[3]平成27年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価について(中部電力)
http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press/3256405_21432.html
[4]同上(北陸電力)
http://www.rikuden.co.jp/press/attach/15031901.pdf
[5]再生可能エネルギー発電促進賦課金単価のお知らせについて(中国電力)
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2015/0319_1j.html
[6]同上(沖縄電力)
http://www.okiden.co.jp/shared/pdf/news_release/2014/150319.pdf
[7]固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html

※関連記事:
posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 国内の電力買取制度

2015年03月20日

欧州「ENTSO-E」が日食による太陽光発電の出力変動に備える、TSOs(送電系統運用者)の連携が肝

1ヶ月近く前になりますが、「ENTSO-E欧州送電系統運用者ネットワーク)」が2015年2月23日に、同3月20日日食時における太陽光発電の出力低下への対応方針を示したレポート「Solar Eclipse Impact Analysis」を発表していました[1]。

その中から(関連資料を含めて)、主な事柄を抜き出してまとめてみました。


日食の発生時間

  • UTC7:40〜11:50の間に、欧州全体〜大西洋を通過する。
  • 欧州各国での発生時間は、2時間〜2時間20分程度

太陽光発電と日食の関連

  • 電源の特性
    太陽光発電は揮発性かつ分散型の電源であり、その出力は日射量の変化に非常に敏感である。
  • 導入量の拡大
    欧州での再エネ発電による電力のうち、太陽光発電の占める割合は
    ・2002年:0.1%
    ・現在:10.5
    と劇的に拡大している。(※前回の日食は1999年)
    また欧州大陸地域のみでは、全電力需要のうち3%が、太陽光発電で賄われている。
    このため今回の日食は、欧州の電力系統における前例の無い試験となる。
  • 日射量変動の早さ
    日食における日射量変化のスピードは、通常の日の出・日没より高速であり、このためそれらと単純に比較することはできない。
  • 影響を受ける地域
    地域により影響の程度は異なるが、電力系統は相互接続されているため、(直接的・間接的を合わせて)全ての地域が影響を受ける。

太陽光発電からの電力供給量(MW)の変化予測

  • 欧州大陸
    • 晴天時予想との比較
      最大減少時(9時41分〜10時41分、晴天時だと50数GWの見込み)には、34GW減少する可能性がある。
    • 増減の勾配(MW/分)
      最大で
      ・9時〜9時20分あたり:マイナス400MW/分
      ・10時〜10時20分あたり:プラス800MW/分
      と、急激な変化が起こる可能性がある。
      (※ただし、当日の天候が晴天である保証は無い)
    • 国別
      発電容量に対する減少勾配予想(MW/分)のピーク(9時41分)が特に大きい地域は、
      ドイツ51
      イタリア21
      の2国。(他は0〜一ケタ%)
  • グレートブリテン
    • 供給量の変化の勾配
      減少・復帰とも、最大でも50MW/分を下回る見込み。

電力システムの対応

  • TSOs(送電系統運用者)間での運用調整
    非常に重要な点であり、徹底した業務計画に加えて、日食発生時には汎欧州の電話会議常時開設
    これにより欧州全域の制御室間で、情報の流通と電力システムの継続的な調整を行う。
  • 通常時の対策で対応
    日食向けの特別な対策は設計しておらず、通常運用における対策により対応する。
    ただし、日食は欧州大陸全体の電力システムに影響するので、対策の実行は通常より迅速になる可能性がある。
  • 事故情報の公表
    汎欧州のレベルでは、ENTSO-Eが「Crisis Communication Tool」を持っており、このツールによりメンバーに警告する。
    しかし国民(市場関係者・利害関係者を含む)への通知は、ENTSO-Eではなく、該当のTSOが行う。
    (運用中の電力システムに起こった事故については、該当する国・地域のTSOが、公共に知らせる責任を負っている)
  • 他の電源
    プログラム可能な他の電源(原子力発電所など)は、電力系統のバランスをとるために、間接的な影響を受ける。
    風力発電は、日食の日も通常どおり稼動する見込み。
    (風の予測は非常に成熟しており、現在の太陽光の予測より信頼性が高い)
  • 太陽光発電設備の所有者
    日食中に停止させておく必要は無いが、停止の必要性が生じた際には、属する地域のTSOから要請が送られる。

太陽光を急激に遮る日食が、太陽光発電の稼動に甚大な影響を及ぼすことは、言われてみれば至極当然のことですが、少なくとも個人的には、日本国内でこれまで、日食時のPV(ひいては電力系統)の対応についての議論や取り組みを見聞きしたことがありません。

今回は、太陽光発電の導入先進地である欧州における日食であり、日本も今後導入量が数十GWに達する可能性があることから、欧州での対応には強く注目する必要があると考えます。

ただENTSO-Eが示している方針では、太陽光発電設備そのものではなく、あくまで電力システム側の対応(国・地域間の緊密な連携)が最重視されていますが、他方で日本は(欧州のように)他国の電力系統との間での調整ができないので、日本にそのまま当てはめることは無理な気もします。

その意味で、日本での再エネ導入拡大においては、一種類の(特定の特性の)発電方式に偏らないことが、欧州よりも重要になると思われますが、現状ではFITの認定容量は見事に太陽光発電に偏ってしまっており、その状況が続く限りは、日食のような事態に対する潜在的な危険性を孕んでいると考えざるを得ません。

今回のENTSO-Eの発表には、太陽光発電について今までに無い視点を指摘されたと感じていますが、まずはあと9時間後に迫った日食を無事に乗り切ることができるか、欧州の動向を見守りたいと思います。


※参照資料:
[1]20 March Solar Eclipse: An Unprecedented Test for Europe’s Electricity System (ENTSO-E)
https://www.entsoe.eu/news-events/announcements/announcements-archive/Pages/News/20-March-Solar-Eclipse.aspx
[2]欧州電力界、日食で「前例ない試練」 太陽光発電ほぼ全停止へ(AFPBB)
http://www.afpbb.com/articles/-/3042805

2015年03月19日

ソーラーフロンティアが、印Welspun Renewables Energyとの間でCISパネル(100MW規模)の供給契約を締結、サポート体制やパネルの品質・性能が決め手

ソーラーフロンティア社が2015年3月17日に、

  • インドの再エネ発電会社「Welspun Renewables Energy」にCIS太陽電池パネル(100MW規模)を供給することで、同社と契約を締結した。
と発表していました[1]。

概要は下記の通り。

  • 背景
    • Welspun Renewables Energy社は2015年度内に、インド国内各地で計1GW超の太陽光発電・風力発電施設を稼働開始することを目指している。
    • 同社は以前から、複数のプロジェクトでソーラーフロンティア社と協業している。
      その中での
      ・行き届いたサポート体制
      ・CISパネルの高い品質と発電性能
      が、今回の大量調達決定の理由となった。
  • 供給パネルの用途
    複数の州で建設予定の太陽光発電所に納入される。
    (※それらのプロジェクトは、各州政府との間で電力買取契約を締結済み)

インドでは中国製パネルに対する強烈な批判報道があり、また現政権はスローガン「make in India」を掲げていることから、海外製太陽電池パネルが締め出されているイメージを持っていたので、今回の100MWという大規模供給契約は意外でした。

ただ、今回の供給先企業とは既に協業の実績があるとのことで、現地顧客からの信頼を築いていれば、海外メーカーでもパネルを供給できる余地は十分にある、ということかもしれません。

また、ソーラーフロンティア社ではパネル生産コストの低減が進んでおり、その点も新興国であるインド市場での競争力確保につながっているものと推測されます。

そして、インド政府が太陽光発電の導入計画を一気に強めている中で、そこに(ソーラーフロンティア社を含めて)海外のパネルメーカーがどれだけ食い込めるのか、という点も注目したいところです。


※参照資料:
[1]ソーラーフロンティア、Welspun Renewables Energy社と100MW規模のCIS薄膜太陽電池供給契約を締結(ソーラーフロンティア社)
http://www.solar-frontier.com/jpn/news/2015/C043572.html
[2]Welspun Renewables
http://www.welspunrenewables.com/

2015年03月17日

昭和シェル石油の2014年通期の「エネルギーソリューション事業」は減収増益、太陽電池パネル出荷量は減少も、コスト削減で黒字を確保

既に1ヶ月以上経ってしまっていますが、昭和シェル石油が2月10日に、2014年通期(1-12月)業績を発表していました[1]。

その中で、太陽電池関連の状況は下記の通り。


「エネルギーソリューション事業」(太陽電池事業+発電事業)の業績

  • 売上高1386億円(前年度比1.8
  • 営業利益176億円の黒字(同1億円の増加)

太陽電池事業の状況

  • 生産
    主力の国富工場(年産能力900MW)では、フル生産を続けた。
  • 太陽電池パネルの出荷数
    大部分が堅調な日本国内市場に向けられたが、
    • 顧客の太陽光発電所の系統連系に対する認可遅れ
    等により、出荷タイミングが後ろ倒しになる傾向があった。
    このため総出荷数量は、前年度を下回った。
  • 利益
    パネルの生産コストを中心に、コスト削減の継続が奏功。
    営業利益は、前年度と同水準となった。

太陽電池パネルの出荷量は明記されていませんが、JPEAによる最近の出荷統計(2014年10-12月分)では、「その他」(結晶シリコン型以外)の国内出荷量が前年同月比11%減となっており、ソーラーフロンティア社のCISパネルの出荷量も、同程度の減少だった可能性が考えられます。

ただし一方で、営業利益はしっかりと維持。

コスト削減が実際に効果を発揮しているのは、Trina SolarJinkoSolarといった生産量トップクラスの海外大手メーカーと共通しており、その点では日本メーカーの中で貴重な存在とも感じられます。

ただ現状で、出荷先が日本市場に偏っていることは不安材料であり、今後は280MW規模の発電所開発案件を取得した米国を皮切りに、(コスト削減を更に進めつつ)海外市場への本格進出を進められるかどうかが、鍵となるのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]平成26年12月期 通期決算について(昭和シェル石油)
http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2015/021001.html

※関連記事:

2015年03月16日

NTTドコモが携帯電話基地局で「ダブルパワー制御」技術(太陽光+蓄電池)の実証実験に成功、太陽光のみの「グリーン基地局」は商用展開を開始

NTTドコモ社が2015年3月6日に、携帯電話基地局に関して

  • ダブルパワー制御」技術の実証実験に成功した。
  • グリーン基地局」を商用化が可能と判断した。
と発表していました[1]。

概要は下記の通り。

背景

  • 「ダブルパワー制御」では、
    • 太陽光発電の余剰電力
    • 夜間電力
    の2電力を蓄電。(※バッテリーはリチウムイオン電池)
    そして夕方(太陽光発電の停止)〜午後11時(夜間電力開始)の時間帯に、蓄電池の電力を優先使用する。
    これにより、午前7時〜午後11時に昼間電力の利用を抑制でき、使用電力のうち96を、
    • 太陽光発電
    • 夜間電力
    • 蓄電池
    で賄うことができる。
  • 一方、太陽光発電のみを設置する「グリーン基地局」については、10局を関東・甲信越地方に設置し、フィールド試験として検証を行ってきた。
    (※グリーン基地局では、太陽光発電電力+夜間電力が使用電力に占める割合は63%。)

今後の方針

  • 「ダブルパワー制御」の実地試験
    フィールド試験用に設置済みのグリーン基地局(10局)のうち、3局に導入。
    • 商用設備としての品質の検証
    • 地域別の特性評価
    を行い、早期の商用化を目指す。
  • 「グリーン基地局」の商用展開
    2015年3月末までに、新たに11の商用基地局を、全国各地に設置。
    そして、同年4月に運用を開始する。

基地局への太陽光発電導入については、ちょうど2年前に200Wパネルの価格(当時約10万円)が半減(約5万円)すればペイするとの見通しが示されていました。

実際に現在、そこまでの価格低下が実現しているのかは不明ですが、「10-50kW未満」の太陽光発電のシステム費用([2]の6p)は、2014年10-12月期は2013年1-3月期と比べて約2割低下。

加えて、電力会社によっては電気料金の大幅値上げ(10%台半ば〜後半)が行われており[3]、それも「グリーン基地局」の採算性向上につながったのかもしれません。

今年1月にはFITの制度変更が行われ、売電の条件が不利になりつつあるだけに、「グリーン基地局」の商用展開は、太陽光発電電力の積極的な(しかも重要インフラにおける)自家消費の事例として、大きな意味を持ってくるのではないでしょうか。

「ダブルパワー制御」では、更に蓄電池も積極利用するとのことで、やはり導入コストの高さは懸念されますが、一方で昼間電力の使用割合を一ケタ%まで抑えられる点は、非常に大きい魅力です。

また環境負荷の低減だけでなく、東日本大震災を教訓とする災害時への備え(停電時の稼動の確保)としても、現在の「グリーン基地局」に続く商用展開の実現に、強く期待したいところです。


※参照資料:
[1]国内の通信事業者として初めて、基地局が利用する電力の「ダブルパワー制御」に成功(NTTドコモ社)
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2015/03/06_01.html
[2]資料3 平成27年度調達価格及び調達期間に関する意見(案)(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/019_03_00.pdf
[3]電気料金の軽減措置(北海道電力)
http://www.hepco.co.jp/price_revise/company/index.html#REDUCTION

※関連記事: