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2015年12月26日

ハンファQセルズの2015年3Qは売上高4億2720万ドル・営業利益4030万ドル、合併が奏功

1ヶ月以上前になりますが、ハンファQセルズ社が11月19日に、2015年第3四半期の業績を発表していました[1]。

主な内容は下記の通り。


業績

売上高営業利益
20153Q(7-9月)4億2720万ドル4030万ドル

背景

  • 合併による効果
    Qセルズは2011年から赤字が続いていたが、ハンファQセルズとハンファソーラーワンの合併(2015年2月)後は、2015年2Qに営業利益が黒字化した。
    また3Qには、当期純利益(1Q〜3Qの累計)も黒字になっている。
  • 業績向上の要因
    • 生産ライン(中・韓・マレーシア)の改善
      上記の合併後に、
      ・フルオートメーション安定化
      ・継続的なプロセス改善
      ・製造コストの低減(高性能のセル・モジュール量産に伴う)
      を進めた。
    • 世界全域での活動本格化
      先進国市場(米・日など)だけでなく、新興市場(インド等)でも攻勢に出ている。

その他

  • 生産能力の拡大
    2016年2Qには、セル・モジュールの生産能力を、各々5.2GWまで拡大する計画。

昨年12月の合併発表時点では、期待するシナジー効果として

  • コスト競争力の強化
  • 製品展開の強化
  • 事業分野の拡大
  • 資金調達力の強化
の4点が挙げられていましたが、まだ2四半期の経過ながら、早々に高い効果を得ていることが伺えます。

生産能力の増強計画も、モジュールの(現状からの)増強規模は不明ですが、セルは合併発表時(3.28GW/年)から6割超という大幅なもので驚かされます。

今回の2015年3Qには、Trina SolarJinkoSolar等がモジュール出荷量1GWを超えており、ハンファQセルズの好調と合わせて、太陽電池の世界需要が、かつて無い規模に拡大していることが推測されます。

これだけ急激な好調を見ると、数年前に起こったような供給過多にまた陥らないか、というのがちょっと心配ですが、欧州がメイン市場だった当時と異なり、現在は市場が拡大・分散していることから、市場環境(政策による支援)の急変によるリスクは、以前よりは緩和されているものと考えます。


※参照資料:
[1]ハンファQセルズ 第3四半期決算発表、四半期ベース過去最高益を達成(ハンファQセルズジャパン)
http://www.hanwha-japan.com/pdf/HQC%20IRannouncement_20151120_final.pdf

※関連記事:

東京電力が自社管内で出力制御実証試験を開始、「中長期的観点」からのシステム構築や、HEMSとの連係を目指す

東京電力2015年12月16日に、

  • 自社管内の複数の太陽光発電設備を用いての、出力制御実証試験を開始した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


使用する設備と設置場所

設備設置場所
出力制御指令発信サーバー早稲田大学EMS新宿実証センター(東京都内)
太陽光発電設備
  • 千葉県内:日立産機システム
  • 栃木県内:
    ・東光高岳の小山工場
    ・田淵電機
  • 神奈川県内:
    ・東京電力技術開発センター
    ・京セラ
    ・住友電気工業
  • 山梨県内:富士電機

目的・取組み

  • 出力制御システムの構築
    上記のサーバーと発電設備を双方向通信で接続。
    • 逐次の状況把握
    • きめ細かい出力制御
    により、出力制御量の極力低減を図り、中長期的観点に立った出力制御システムの構築を進める。
  • 分散エネ制御の共通フォーマットの構築
    信号プロトコルには「Open ADR 2.0b」を採用。
    太陽光発電に限らず、分散型エネルギー全般の制御を共通フォーマットで行う環境の構築を目指す。
  • HEMSと連係しての余剰電力の有効活用
    出力制御指令が出された際にHEMSと連係することで、家庭において
    • エネルギー機器の利用時間のシフト
    • 蓄電
    を行い、太陽光発電出力を抑制せずに有効活用することを目指す。
    (※実証実験では
    • 「早稲田大学EMS新宿実証センター」のスマートハウス環境
    • 「東京電力技術開発センター」の設備
     を使用)

今回のシステム構築における「中長期的観点」が、具体的に何を想定するものかは明記されていませんが、太陽光発電に関しては

  • 初期コスト低減の加速による、導入ペースの再加速
  • 長期稼動に伴う、設備の廃止やメンテナンスによる(恒久的または一時的な)発電停止
等の、今後想定される環境変化が生じた際にも、十分対応できるだけの制御システム構築を目指すものと推測します。

また実証試験に参加する太陽光発電設備の容量は、各社サイトで参照可能な情報[3]〜[6]の限りでも、数十kW〜数MWと幅広く、このあたりも実際の導入状況を想定したものと思われます。

気になる点としては、採用される通信プロトコル「Open ADR」[7]は、インターネット経由での通信を想定しているとのことなので、不正な侵入・制御を許さないためのセキュリティをどう確保するのかという点は、広く明らかにする必要があると考えます。


※参照資料:
[1]「次世代双方向通信出力制御緊急実証事業」における実証試験の開始について(東京電力)
http://www.tepco.co.jp/cc/press/2015/1264399_6818.html
[2]EMS(エネルギーマネジメントシステム) 新宿実証センター(早稲田大学)
http://www.waseda.jp/across/validationcenter/
[3]省エネモデル工場のご案内 習志野事業所(日立産機システム、計130kW)
http://www.hitachi-ies.co.jp/solution/energy_fems/model1/newene.htm#solar
[4]2014年11月3日 田淵電子工業太陽光発電所開業(田淵電子工業、525kW)
http://www.tabuchi-denshi.co.jp/news/127/ 
[5]自社工場敷地内メガソーラー施設の運転開始について(富士電機、2MW)
http://www.fujielectric.co.jp/about/news/detail/2013/20130415150020166.html
[6]工場・事業所における環境配慮の取り組み(京セラ、横浜事業所58kW)
http://www.kyocera.co.jp/ecology/eco/factory/factory_history.html
[7]OpenADRの標準化動向(NTT)
http://www.ntt.co.jp/journal/1310/files/jn201310038.pdf

※関連記事:

2015年12月24日

パナソニックがミャンマー「バガン遺跡」周辺の無電化地域で、学校への「エネループ ソーラーストレージ」の寄贈を開始

パナソニック2015年12月22日に、

  • ミャンマーの「バガン遺跡」周辺地域において、教育支援を目的とする「エネループ ソーラーストレージ」の寄贈活動を、ユネスコと共同で開始した。
と発表していました[1]。

取組みの概要は下記の通り。


背景

  • ミャンマーの無電化率は68%と言われており、バガン遺跡周辺の無電化地域の学校では、限られた日照時間の中、明かりの少ない教室で学習をする状況にある。
  • 「エネループ ソーラーストレージ」は、無電化地域向けのLED照明付小型蓄電システム。(2015年11月発売)
    太陽電池パネル(15W)の発電電力を、ニッケル水素電池(37Wh)に蓄電し、
    • LED照明5W直管形、1.5W電球形が付属)
    • 小型機器(携帯電話など)の充電(USB出力端子を搭載)
    に利用できる。
  • 今回の取組みは、ユネスコと基本合意した
    • 「ミャンマーの世界遺産候補地であるバガン遺跡周辺地域の持続可能な発展を目的とした次世代教育支援の促進」
    の一環。

「エネループ ソーラーストレージ」の寄贈

  • 寄贈先:バガン遺跡周辺の無電化地域の学校(約40校)
  • 寄贈数:計500


(アカウント「Channel Panasonic」さんの動画)

パナソニックはこれまでも、開発途上国へのソーラーランタンの寄贈を行っていましたが、今回のソーラーストレージは(ランタンのような可搬型ではなく)設置場所を決めて使う機器と見受けられ、製品バリエーションを追加することで、現地ニーズへの更に細やかな対応を図ったものと推測します。

このような機器の実用化は、太陽電池だけでなく蓄電池、そして消費電力の少ないLED照明の急速な進歩によるところが多大だと思いますが、日本では当たり前に使える「灯り」が、開発途上国においてはとても大切で貴重なものであることを、今回の発表から改めて認識すべきではないでしょうか。


※参照資料:
[1] ユネスコ、パナソニックが共同でミャンマーの無電化地域における次世代教育を支援(Business Wire)
http://www.businesswire.com/news/home/20151222005257/ja
[2]無電化地域の生活照明、電源として貢献LED照明付小型蓄電システム「エネループ ソーラーストレージ」を発売(パナソニック)
http://news.panasonic.com/press/news/data/2015/10/jn151027-4/jn151027-4.html

※関連記事:
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長州産業がCrystal Solar社と共同で「エピウエハー」を用いたヘテロ接合太陽電池セルを開発中、変換効率は23%に到達

長州産業2015年12月4日に、化学気相成長(CVD)法で作られる「エピウエハー」を用いたヘテロ接合太陽電池セルについて、研究開発における変換効率の達成値を発表していました[1]。

関連する情報[2]〜[4]と合わせて、概要は下記の通り。


背景

  • 従来の単結晶シリコンウエハーの製造では、チョクラルスキー法により作ったインゴットを、ダイヤモンドワイヤーソーでスライスしている。
    しかしこの方法には、
    • 電力消費が大きい
    • シリコン単結晶の約半分が、切断屑になってしまう
      (典型的なワイヤーソーは直径100μmで、これはウエハーの厚さと同等)
    との課題がある。
  • いっぽう「Crystal Solar」社の製造技術では、CVD法を用いて、シリコン基板(表面を多孔質化、数十回の再利用が可能)の上に単結晶シリコン膜を成長。
    この膜が十分な厚さになったら、シリコン基板を剥離する。
    この手法により作られるウエハーは「エピウエハー」と呼ばれ、次の利点が期待される。
    • 製造コスト1/2に低減
    • 製造時の電力消費量が、従来の半分以下
    • 厚さ100μm未満のウエハーの製造も容易
  • 長州産業とCrystal Solar社は共同で、2013年11月から、エピウエハーをヘテロ接合セルに適用する実験を行っている。

開発したセル

  • 種類:n型の単結晶シリコンウエハー(Crystal Solar社が提供)を使用。
  • サイズ156mm四方
  • 変換効率
    • 2015年6月3日に「Applied Physics Letters」に掲載:22.5
    • その後:23%に到達

「エピウエハー」の製造技術については今年10月に、ドイツにおける開発成果(NexWafe社とFraunhofer ISEによる)が報じられていました[5]が、今回の研究に関わっているのは別の企業。

また多結晶型ウエハーでも、米1366 Technologies社の「Direct Wafer Technology」があり、「シリコンウエハーの直接製造」は、結晶シリコン型太陽電池の更なるコストダウンに向けた、一つの潮流なのかもしれません。

そしてその中で、日本のモジュールメーカーが2年以上前から研究成果を積み重ねていることには驚きました。

長州産業は10月には、バックコンタクト構造の一種「Metal Wrap Through」を用いた成果(セル変換効率21.5%)を発表しており、将来的には、これとエピウエハーが組み合わされる可能性もあるのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]太陽電池の研究開発を加速 新手法セルで製造コスト半減、世界最高水準のセル変換効率を実現(長州産業)
http://www.choshu.co.jp/2015/1204114040.html
[2]Crystal Solar社
http://www.xtalsolar.com/
[3]High efficiency heterojunction solar cells on n-type kerfless mono crystalline silicon wafers by epitaxial growth(「Applied Physics Letters」内)
http://scitation.aip.org/content/aip/journal/apl/106/22/10.1063/1.4922196
[4]High efficiency heterojunction solar cells on n-type kerfless mono crystalline silicon wafers by epitaxial growth(「Renewable Energy Global Innovations」内)
https://reginnovations.org/solar-cells/high-efficiency-heterojunction-solar-cells-on-n-type-kerfless-mono-crystalline-silicon-wafers-by-epitaxial-growth/
[5]太陽電池のSiウエハーをCVDで作製、製造コストを半減へ(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/102000802/
posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | セル

2015年12月18日

JinkoSolar社の2015年3Qは売上高6億3760万ドル(前年同期比58.2%増)、モジュール出荷量は約1.1GWに到達

1ヶ月近く前になりますが、JinkoSolar社が11月19日に、2015年第3四半期2015/7-9)の業績を発表していました[1]。

今回は前回記事に引き続き、過去の四半期業績と合わせつつ、主な数字・状況を抜き出してみました。


業績と背景

※金額は大まかな数字、カッコ内は前年同期比。

売上高粗利益率R&Dの費用営業利益
2013 2Q(4-6月)2億8760万ドル
(52.6%増)
17.7%212万7000ドル2540万ドル
2014 2Q(4-6月)3億9000万ドル
(37.8%増)
22.6%378万9000ドル4056万ドル
(61.5%増)
3Q(7-9月)20.6%
4Q(10-12月)4億7890万ドル
(35.8%増)
22.8%606万3000ドル3810万ドル
(9.8%)
2015 1Q(1-3月)4億4350万ドル
(36.5%増)
20.3%402万1000ドル3710万ドル
(13%増)
2Q(4-6月)5億1620万ドル
(31.6%増)
20.7%642万5000ドル3820万ドル
(5.8%)
3Q(7-9月)6億3760万ドル
(58.2%増)
21.3%627万3000ドル6040万ドル
(60.0%増)

(2015年3Qの背景)

  • 売上高の増加
    • 太陽電池モジュール出荷量の増加
    • 発電所プロジェクトからの売電収入の増加
    が主因だった。
  • 下流事業の売上増
    自社の保有プロジェクトが、数・容量共に増加したことが主因。
  • 粗利益率
    前四半期比・前年同期比での向上は、
    • モジュールのコスト削減の継続
    • 売電収入の増加
    が主因。
  • その他:9月には下記の事項があった。
    • 米「Ygrene Energy Fund」社との間で、同社による住宅用・商業用システム向け融資プログラム「YgreneWorksTM」にJinko社製モジュールを統合することで合意した。
    • JinkoMX」モジュールシリーズの正式立ち上げを発表した。
      これは「Maxim Integrated Products」製の単一チップオプティマイザを組み込んだもので、UL認証を取得済み。
    • 「the Industrial and Commercial Bank of China(ICBC)」との間で、最大100億人民元の信用枠を締結した。
    • メキシコ最大の太陽光発電所向けに、モジュール49.8MWを供給することを発表した。
      (供給先企業は「TSK Electronica y Electricidad, S.A.」)

売上増の主因は1Q・2Qと同じであり、今年の好調を支えている柱が

  • モジュール出荷量の増加
  • 保有発電所(=売電収入)の規模拡大
の2点であることが伺えますが、肝心の地域別(国別)の状況は、今回は何故か書かれていません。

ただし9月の各種の動きから、幅広い市場(米国、中国、他の新興国)での販売拡大に向け、積極的な布石を打ち続けていることは推測されます。

そして、粗利益率もしっかり2割台をキープし続けており、販売競争が厳しい中でも、高い競争力を維持していることが伺えるものです。


自社保有の発電所事業

※カッコ内は前年同期比。

系統連系済み
の累計(期末時点)
発電電力量売電収入粗利益率
2013 2Q(4-6月)55MW
(※中国国内分)
2014 2Q(4-6月)252MW980万ドル
(1150%増)
4Q(10-12月)502.6MW1300万ドル
2015 1Q(1-3月)617MW115.27GWh
(149.1%増)
※下流事業全体
の売上高は
1650万ドル(111.1%増)
42.8%
2Q(4-6月)725MW203GWh
(201.9%増)
2860万ドル
※下流事業全体
の売上高は
2870万ドル
(191.6%増)
62.7%
3Q(7-9月)846MW
(※121MWを追加)
233.7GWh
(207.6%増)
3240万ドル(205.8%増)61.3%

今年は四半期ごとに100MW超が追加されており、売上高も3Qには、1Qの2倍にまで拡大。

全体の売上高に占める割合は、まだ5%程度ですが、6割超という粗利益率の高さは驚異的であり、今後もこのペースで保有プロジェクトの増加が進めば、業績における重要度もジワジワと高まっていくと考えられます。

ただし一方では、保有プロジェクトは殆どが中国国内とみられるだけに、突然の政策変更によるリスク(開発の急減速)は気になるところです。

また次(4Q)とその次(2016年1Q)は、日照量が落ちる期間であり、発電電力量がどの程度変化するものなのかは、注目していきたいと思います。


モジュール出荷量

※カッコ内は前年同期比。

総量自社の下流事業向け
2013 2Q(4-6月)460.0MW
2014 2Q(4-6月)570.8MW(24.1%増)
3Q(7-9月)658.1MW
4Q(10-12月)1078.3MW339.1MW
2015 1Q(1-3月)703.5MW(35.8%増)50.3MW
2Q(4-6月)823.0MW(44.2%増)90.4MW
3Q(7-9月)1134.5MW(61.7%増)70.6MW

先述の通り、今回の業績発表では地域別の状況に乏しく、モジュール出荷量についても、地域別・国別の情報はありません。

ただ、同じ中国大手の一社であるJA Solar社の同期業績[2]では、中国向けの伸びが非常に際立っています。

翻ってJinkoSolar社の発表でも、今年後半のモジュール需要の急増は今年初めに予想しており、その対応のために在庫水準の戦略的計画を立てていたとの記述があります。

それらの点からJinkoSolar社においても、市場の状況(政策の変更や需要の変化)が掴みやすい自国内向けの出荷量が、全体の伸びを支えたものと推測されます。

こうなると、最近の中国の太陽光発電市場に一体何が起こっているのかが非常に気になりますが、その情報が著しく乏しいのは残念です。


※参照資料:
[1]JinkoSolar Announces Third Quarter 2015 Financial Results(JinkoSolar社)
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=234421&p=irol-newsArticle_print&ID=2113885
[2]JA Solar Announces Third Quarter 2015 Results(JA Solar社)
http://investors.jasolar.com/phoenix.zhtml?c=208005&p=irol-newsArticle&ID=2113017

※関連記事:
posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 中国メーカー

2015年12月17日

ソーラーフロンティアとNEDOが、CIS薄膜セル(0.5cm2)で変換効率22.3%を達成

ソーラーフロンティア社とNEDO2015年12月8日に、

  • CIS系薄膜太陽電池における、セル変換効率の世界記録を達成した。
と発表していました[1][2]。

概要は下記の通り。


  • セルの面積:約0.5cm2
  • セル変換効率22.3
    NEDOとの共同研究による成果であり、独フランホーファ研究機構で検証された数値。
    (※従来の薄膜系太陽電池の世界記録は、21.7%)
  • セルの製法
    ソーラーフロンティア社の国富工場で採用している技術と同じもの。
    (このため、量産モジュールへの早期の応用が期待される)
  • 研究体制
    NEDOの「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」プロジェクトにおける、NEDOとソーラーフロンティア社の共同研究による成果。

今回の変換効率は、1年8ヶ月前の達成数値(20.9%)を1.4ポイント上回るものです。

そう言えば化合物型のもう一つの大手であるFirst Solar社でも、量産モジュールの平均変換効率は1年で1.6ポイント向上しており、化合物薄膜型における性能アップの速度には驚かされます。

ソーラーフロンティア社については、モジュール製造コストの2割低減が視野に入っているとのことであり、継続的な変換効率の向上と両立することで、競争力を大きく高めていくことを、強く期待したいものです。


※参照資料:
[1]ソーラーフロンティア、CIS技術で変換効率22.3%達成(ソーラーフロンティア社)
http://www.solar-frontier.com/jpn/news/2015/C051170.html
[2]薄膜系太陽電池で世界最高の変換効率を達成(NEDO)
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100503.html
[3]薄膜の太陽電池で新記録、22.3%のCIS(スマートジャパン)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1512/10/news075.html

※関連記事:

2015年12月08日

Trina Solar社の2015年3Qはモジュール出荷量が約1.7GW、営業利益はSolyndra社との和解費用(4500万ドル)で大幅減

Trina Solar社が11月23日に、20153Q2015/7-9)の業績を発表していました[1]。

その中から今回も、主な項目について、過去の数字(前回記事でまとめたもの)と合わせて表にしてみました。


業績

※1万ドル未満は四捨五入。
 またカッコ内は前年同期比。

売上高粗利益率R&Dの費用営業利益
2013 1Q(1-3月)2億6022万ドル1.7%548万ドル4007万ドルの赤字
2Q(4-6月)4億4073万ドル11.6%409万ドル2386万ドルの赤字
3Q(7-9月)5億4839万ドル15.2%436万ドル603万ドル
4Q(10-12月)5億2564万ドル15.1%601万ドル1981万ドル
2014 1Q(1-3月)4億4481万ドル20.6%477万ドル3825万ドル
2Q(4-6月)5億1943万ドル15.4%515万ドル1570万ドル
3Q(7-9月)6億1680万ドル16.7%548万ドル3560万ドル
4Q(10-12月)7億504万ドル15.7%686万ドル3051万ドル
2015 1Q(1-3月)5億5809万ドル18.0%768万ドル2915万ドル
2Q(4-6月)7億2290万ドル
(39.2%増)
20.0%801万ドル6070万ドル
(286.5%増)
3Q(7-9月)7億9260万ドル
(28.5%増)
17.4%717万ドル580万ドル

売上高は2Qから更に伸びて、8億ドルに届かんとする規模であり、販売の際立った好調さが感じられます。

粗利益率の(前四半期からの)低下や、営業利益の急減などについては、後の項目(3Qの背景)で見ることにします。


モジュール出荷量

※カッコ内は前年同期比。

総出荷量出荷先
外部顧客自社の
下流事業
2013 1Q(1-3月)392.6MW
2Q(4-6月)646.6MW
4Q(10-12月)770.1MW
2014 1Q(1-3月)558.0MW534.2MW23.8MW
2Q(4-6月)943.3MW794.6MW148.7MW
3Q(7-9月)1063.8MW936.8MW127.0MW
4Q(10-12月)1098.8MW1070.5MW28.3MW
2015 1Q(1-3月)1026.2MW891.7MW134.5MW
2Q(4-6月)1231.6MW1000.7MW230.9MW
3Q(7-9月)1703.2MW
(60.1%増)
1353.2MW350.0MW
  • 中国・米国向けの出荷量は、記録を更新した。
  • 新規・新興市場(タイ、インド等)は、過去2四半期に渡り、第三の出荷目的地となっている。
  • 創業以来の累積出荷量は、15GWを超えた。

3Qのモジュール出荷量は1.7GWを超えており、1四半期(3ヶ月間)のみでこの規模に達していることには驚きました。

出荷先別でも、外部顧客向け・自社下流事業向けの両方が大きく伸びており、総じてモジュール需要が旺盛だったことが伺えます。


2015/3Qの背景

  • 売上高とモジュール出荷量の増加
    前年同期比・前四半期比での大幅な伸びは、大部分が
    • 中国
    • 米国
    • 新興市場
    の需要成長による。
  • 粗利益率
    前四半期比での低下は、
    • 主要市場の大部分における、平均販売価格の低下(自社での生産コスト低減のスピードを上回った)
    • 販売地域構成の変化(中国や新興市場(インド等)向けが拡大)
    が主因。
    いっぽう前年同期比での上昇は、
    • 規模の経済の拡大
    • 運用効率の向上
    により、生産コストの低下(素材コストと人件費を低減)が、平均販売価格の上昇ペースを上回ったことが主因だった。
  • 売電事業
    下流事業の売電による売上高は、1350万ドル。
    また、粗利益率は66.9%。
  • 研究開発
    • p型多結晶シリコンセルで、変換効率21.3%を達成
    • HJ(多接合)シリコンセルで、研究所での変換効率22.0%を達成
    • 高温・乾燥地域向けの「Desert Double Glass」モジュールの製品化(2015年末までには量産の準備が整う予定)
    等の成果を得ている。
  • 営業利益
    今回は、米Solyndra社による訴訟(Solyndra settlement provision)における支払い額4500万ドルが、営業費用に加わっている。
    (※Solyndra社は2012年10月に、中国の太陽電池パネルメーカー(Trina社含む)を相手に、反トラスト等の訴訟を起こしていた。
     Trina社は2015年11月17日に、この件についてSolyndra社と和解し、同年末までに計4500万ドルを支払うことで合意している。)

前四半期(2Q)比では、モジュール出荷量の伸び(約4割増)に対し、売上高の伸び(約1割増)は明らかに小さいですが、粗利益率の低下と合わせて、販売価格が低い中国や新興国への出荷割合が増えたため、ということのようです。

Trina社は新興国市場を新たな主要市場と捉え、拡販に注力しているとのことなので、今後も出荷量が伸びる一方で、この傾向(売上の伸びの鈍化、粗利益率の低下)は続くものと予想します。

その中で、自社保有の太陽光発電設備による売電事業は、利益率こそ驚異的であるものの、売上高に占める割合は1/60程度であり、設備の保有規模が急速に伸びているとはいえ、業績を支える重要部門になるには、まだ程遠いと思われます。

R&Dの費用は、売上高の1%前後で推移していますが、今回挙げられている成果の例を見ると、競争力アップに確実な効果をもたらしていると感じられます。

もうひとつ見逃せないのが営業利益の急減ですが、その要因として、4年前(2011年)に経営破綻したSolyndra社の名前を見ることになるとは、全く思いもしませんでした。

その破綻発表時には「中国メーカーが手厚い政府補助を受けている」との指摘があり、これが後の反ダンピング関税・相殺関税の適用にもつながったものと思われますが、それから数年が経過した現在でも中国大手メーカーが高い競争力を維持していることについて、米国政府や同国PV産業がどう考えているのか、というのは非常に気になるところです。


下流事業

当該四半期
に系統連係
内訳
分散型(DG)大規模発電所(utility)
2015 1Q(1-3月)55MW
2Q(4-6月)121.3MW(全て中国)31.3MW90MW
3Q(7-9月)251.9MW(全て中国)213.0MW38.9MW
  • 自社保有のプロジェクトは、計610.4MWに到達。
    その内訳は、
    中国:588.2MW(utilityが513.0MW、DGが75.2MW)
    米国:4.2MW
    欧州:18.0MW

3Qの量は2Qの2倍以上に達しており、1Q以降に、保有プロジェクトの完成が加速していることが伺えます。

売電事業は66.9%という驚異的な粗利益率を叩き出しているだけに、今後しばらくは、この増加の勢いが続くと予想します。

ただし地域別では、現状あくまで自国内が殆どであり、他地域でも同様の利益率を得られるのか、というのは疑問です。


太陽電池モジュールの生産能力

生産能力
2014 3月末時点約3.0GW
6月末時点約3.6GW
9月末時点約3.6GW
2015 3月末時点約4.0GW
6月末時点約4.4GW
9月末時点約4.7GW

今年は四半期ごとのモジュール出荷量が急激に伸びており、1Q時には年産4GWで十分と思われた生産能力も、もはや完全に不足になりつつあると思われます。

ただ数年前には、中国メーカーの過剰な生産能力が、大幅な供給過剰(そして長期に渡る赤字)を引き起こしただけに、当時の教訓を生かして、Trina社が今回の状況にどう対応するのか(自社の生産能力を増強するのか、OEM調達を拡大するのか)、というのは強く関心を引かれるところです。


※参照資料:
[1]Trina Solar Announces Third Quarter 2015 Results(Trina Solar社)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2114607

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2015年12月05日

Yingli Green Energyの2015年3Qは長期性資産の減損(約6億ドル)で粗利益率を大幅改善、モジュール出荷は現金先払い優先も出荷量急減

Yingli Green Energy社が12月2日に、20153Q2015/7-9)の業績を発表していました[1]。

今回もその中から、個人的に関心のある項目の数字・状況を抜き出してみました。


業績と背景

※過去の業績(※前回記事でのデータ)と合わせてまとめています。
※金額の単位は米ドル、カッコ内は前年同期比(当ブログ管理人が計算)です。

売上高売上高の内訳粗利益率R&Dの費用営業利益
モジュール販売システム販売その他全体モジュール販売
2013 3Q13.7%
4Q12.2%
2014 1Q15.7%
2Q15.6%
3Q5億5152万5億1822万423万2906万20.9%20.6%1707万3254万の黒字
4Q5億5548万5億1711万890万2947万16.8%3410万3220万の赤字
2015 1Q4億6870万4億3270万1008万2597万14.1%14.8%2163万1070万の赤字
2Q4億3810万
(20%)
3億8769万
(26%)
1401万
(56%増)
3638万
(115%増)
6.3%7.9%1461万
(28%)
2880万の赤字
(107%増)
3Q3億5148万
(36%)
2億5984万
(50%)
938万
(122%増)
8226万
(183%増)
16.0%19.0%1377万
(19%)
4億5047万の赤字

(2015年3Qの背景)

  • 売上高
    前四半期(2Q)比での減少は、太陽電池モジュールの出荷量減少による。
    (この出荷量減少は、内製モジュールの生産設備の稼働率低下による)
  • 粗利益率
    前四半期比での改善は、
    • 減価償却費用の減少(長期性資産の減損による)
    • モジュールの平均販売価格の僅かな改善
    による。
    長期性資産の減損の影響を除いた粗利益率は、
    • 全体:8.6
    • モジュール販売:9.0
  • 営業損失
    長期性資産の非現金減損費用5億9850万ドル)を含んでいる。
  • 生産活動
    生産施設の稼働率(OEMも含む)は、3Qには約70%まで改善した。

上記では取り上げませんでしたが、保有資産のデータをみると「Property, plant and equipment, net」(2Qは約110億人民元)が3Qには約69億人民元まで減少。

モジュール生産施設の稼働率が低下していることから、今回減損処理を行ったとみられますが、約6億ドルという規模だけに、(生産施設の価値低下により)粗利益率には大きな改善をもたらしたようです。

いっぽう売上高は、前年同期から3割超のマイナスであり、品目別では特にモジュール販売での減少(前年から半減)が際立っています。

この点は、(次項で取り上げますが)現金先払いの受注を優先していることが影響していると思われますが、運転資金の確保を優先するうえで当面の売上減少は止むを得ない、ということかもしれません。


モジュール出荷量

総量うち自社の
下流事業向け
2014年 1Q630.8MW
2Q887.9MW
3Q903.4MW109MW
4Q939.2MW73.7MW
2015年 1Q754.2MW27.5MW
2Q727.9MW43.2MW
3Q460.4MW

(2015年2Qの背景)

  • 先払いを優先
    • 全額決済の注文
    • 競争力がある利益率の注文
    を優先し、運転資金の回転率改善を図った。
    中国と日本では、現金での完全前払いで受けた供給契約が、計約350MWに達した。
  • 日本市場
    3Qの供給量は120MWで、累計では1.5GWに到達した。
  • 米国市場
    • 競争力のある貿易関税率が適用されたこと
    • ブランドの高い認知度
    により、良いポジションにある。
    分散型発電では、数MWの納入を開始した。

前項での「モジュール販売」による売上高と同様に、モジュール出荷量も急減。

支払いにより受注対応に優先順位をつけていることの影響(顧客側の敬遠など)が、より強く出てきたものと推測します。

今後業績の改善が進んで、この優先付けが解消される(不要になる)までは、程度の多少の違いこそあれ、モジュール出荷量の減少は続くと予想します。

そして当面は、見かけ上は業績の後退も続くと考えますが、その中できっちり資金繰りの改善を実現できるかどうかは、強く注目したいと思います。


下流事業の状況(2015年3Q)

  • 中国
    全国的に補助金配分が遅れており、地上設置型の大規模プロジェクトでは、大きな資本が必要になっている。
    Yingli社ではキャッシュフローの課題から、2015年9月以降の中国国内におけるプロジェクト開発事業を、中断することを決定した。(これは財政状態が健全化するまで続く)
    また、下流事業に関わる資金を集めるために、自社保有のプロジェクト資産の売却も加速している。
    今回のプレスリリース発表日(12月2日)までに、計約115MWが売却済み。
    また計約200MWが、売却を目指して交渉中である。
  • 海外
    プロジェクトの保有よりも、売却に焦点を当て、欧州・アフリカ等でプロジェクト開発を進めた。
    • ポーランド:30MWを追加(計60MWに到達)
    • トルコ:20MWのパイプラインを合弁で開発開始
    等により、今回のプレスリリース発表日(12月2日)までに、中国以外での下流事業は計200MW以上に達している。

中国国内での補助金配分の遅れは、前四半期(2Q)業績でも記載されていましたが、Yingli社の対応(国内プロジェクト開発事業の中断)は今回更に一歩踏み込んでおり、ここでも資金確保の取組みを加速していることが伺えます。

そのいっぽうで、中国以外の地域では積極的にプロジェクト開発を進めているようで、下流事業がモジュール販売と並んで重要な事業分野であること自体は、変わっていないことも感じられます。


※参照資料:
[1]Yingli Green Energy Reports Third Quarter 2015 Results(Yingli Green Energy社)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2119539
[2]財務の急所(3)減損、どんな損失?(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/money/features/32.aspx?g=DGXMZO8453803018032015000000

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2015年12月02日

2015年度2Qの太陽電池モジュール出荷量(JPEAによる統計)は1979MW(23%減)、国内メーカーのシェア低下も続く

JPEA(太陽光発電協会)が11月26日に、2015年度2Q2015/7-9)の太陽電池出荷統計を発表していました[1]。

今回もその中からモジュール出荷量について、国内向け出荷を中心に、当ブログで前回まとめたデータに継ぎ足すことで、状況の推移を見てみました。

その前に、掲載データの注意事項は次の通り。

  • 一部の数値は、当ブログ管理人が計算しています。(前年同期比の増減など)
  • 出荷量の数値は見やすいよう、四捨五入してMW単位にしています。
  • 各々の数値は、極力気をつけて計算・記載してはいますが、誤りが無いとは言い切れませんので、ご了承ください。

出荷量全体(国内・海外企業の合計)

※カッコ内は前年同期比での増減。
※「海外向け」については、2014年度1Qから発表資料の数値が、海外生産分も含むものに変更されています。
 そのため、2013年度以前(海外向けは日本国内での生産分のみ)に比べると大きい数値になっています。

総量内訳
国内向け海外向け
2012年度 4Q18371734103
2013年度 1Q1664(204.1%増)1654(271.4%増)10(90.2%)
2Q2112(193.2%増)2075(230.9%増)38(59.6%)
3Q2063(86.7%増)2043(103.6%増)20(79.8%)
4Q2786(52%増)2775(60%増)12(89%)
2014年度1Q2008(21%増)1882(14%増)126(−)
2Q2567(21%増)2386(15%増)180(−)
3Q2461(19%)2239(10%増)222(−)
4Q1888(5%)1791(7%)97(72%増)
2015年度 1Q1738(13%)1612(14%)125(増減なし)
2Q1979(23%)1777(26%)202(12%増)

総量の(前年同期比での)減少幅は1Qよりも拡大。
そして「国内向け」は、総量(輸出との合計)を上回る減少幅であり、2014年度4Q以降の国内市場の縮小が、更に進んでいることが顕著に感じられます。

いっぽうで輸出は、意外にも堅調な伸びですが、国内向けに比べて元の量が小さいこともあり、国内向け出荷量の減少を補うには、(少なくとも現状では)到底及ばないと言わざるを得ません。


国内企業のモジュール出荷量

※カッコ内は前年同期比での増減。
※2013年度以前の「海外向け」は、(前項と異なり)日本企業による海外生産分を含んだ数値です。
 そのため、前項の「海外向け」(国内生産のみ)よりも数値が大きくなっています。

総量内訳
国内向け海外向け
2012年度 4Q16211286336
2013年度 1Q12921178114
2Q1578150177
3Q15701436133
4Q1985(22%増)1929(50%増)56(83%)
2014年度 1Q1390(8%増)1300(10%増)90(21%)
2Q1826(16%増)1693(13%増)133(73%増)
3Q1663(6%増)1486(3%増)177(33%増)
4Q1888(5%)1790(7%)97(73%増)
2015年度 1Q1162(16%)1088(16%)75(17%)
2Q1194(35%)1028(39%)166(25%増)

「総量」と「国内向け」の減少幅は、前項(日本企業+海外企業)の数値を10ポイント以上も上回っており、国内企業の国内シェア縮小が一段と進んだことが伺えます。

その一方で「輸出」は伸びており、国内市場の縮小に伴い、日本メーカーが海外向けに再び力を入れつつあることが推測されますが、果たして今後、国内向けの減少を補完できる規模に成り得るか、というのは非常に気になるところです。


国内向け出荷量の種類別(国内・海外企業の合計)

※カッコ内は前年同期比。

シリコン単結晶シリコン多結晶その他
2012年度 4Q587908248
2013年度 1Q588884182
2Q6711186217
3Q6391114289
4Q1072(83%増)1521(68%増)180(27%)
2014年度 1Q735(25%増)935(6%増)212(16%増)
2Q903(35%増)1328(12%増)156(28%)
3Q696(9%増)1285(15%増)257(11%)
4Q786(27%)1796(18%増)127(29%)
2015年度 1Q503(31%)928(1%)181(15%)
2Q521(42%)1135(14%)120(23%)

モジュールの種類別出荷量も、最初の項目(全体の出荷量)に沿うように、3種類全てが大幅な減少。

中でも「シリコン単結晶」の減り幅(約4割のマイナス)が際立っていますが、その要因は次の項目(用途別出荷量)で推測することにます。


国内向けの用途別(国内・海外企業の合計)

カッコ内は前年同期比での増減。

住宅非住宅の合計非住宅の内訳
500kW以上500kW未満
2012年度 4Q5631170408763
2013年度 1Q5721080452629
2Q5401534747787
3Q5861456770686
4Q669(19%増)2105(80%増)926(127%増)1179(55%増)
2014年度 1Q493(14%)1388(29%増)657(45%増)731(16%増)
2Q529(2%)1857(21%増)830(11%増)1027(30%増)
3Q459(22%)1780(22%増)1108(44%増)671(2%)
4Q492(26%)2217(5%増)1185(28%増)1032(12%)
2015年度 1Q412(17%)1200(14%)636(3%)564(23%)
2Q366(31%)1410(24%)867(4%増)543(47%)

減少幅が特に大きいのは「住宅」と「非住宅の500kW未満」であり、設置面積が小さいこれらの用途向けの出荷量が大きく減ったことが、(前項での)「シリコン単結晶」の大幅減に繋がっているものと推測します。

今年6月末時点の認定量では、新規認定量が月を追うごとに明らかに減速していましたが、今回のモジュール出荷統計を見ると、7月以降も国内市場は更に縮小が進んでいると考えざるを得ません。

ただ、今回の出荷統計の中では「500kW以上」が意外にも横ばいを維持しており、これは新規プロジェクトの伸びが止まっている一方で、過去の認定済み案件の建設・施工が着実に進みつつある、ということなのかもしれません。


国内向けの用途別(国内企業のみ)

※カッコ内は、先の項目(国内・海外企業の合計)での数値に占める割合。
前年同期比ではありません)

住宅非住宅の合計非住宅の内訳
500kW以上500kW未満
2014年度 1Q442(90%)858(62%)503(77%)355(49%)
2Q484(91%)1209(65%)598(72%)611(59%)
3Q427(93%)1059(59%)453(41%)605(90%)
4Q446(91%)1345(61%)588(50%)756(73%)
2015年度 1Q366(89%)721(60%)282(44%)439(78%)
2Q319(87%)708(50%)321(37%)388(71%)

日本メーカーの出荷量が占める割合は、全ての項目で下がっており、国内市場でも日本メーカーのシェア低下がジワジワと、しかし確実に進んでいることが伺えます。

特に「非住宅」でのシェア低下は明らかであり、また「住宅」も、まだ9割近くを維持しているとはいえ、2014年度4Qから微減が続いています。

国内市場自体が縮小している中でのこの数字であり、日本メーカーは海外向け出荷を大幅に伸ばさない限り、(残念ながら)今後も状況が悪化していく、と予想せざるを得ません。


※参照資料:
[1]日本における太陽電池出荷量2015年度第2四半期(太陽光発電協会)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h272q.pdf

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2015年12月01日

First Solar社の2015年3Qの業績は、「Desert Stateline project」の売却で大幅な伸び

First Solar社が10月29日と11月9日に、20153Q2015/7-9)の業績を発表していました[1]〜[4]。

ここではその発表の中から、主な数字や状況を抜き出してみました。


業績と背景

※当ブログの過去記事の数字も合わせて記載しています。
※金額は10万ドル未満を四捨五入しています。

     
売上高粗利益率R&Dの費用営業利益
20142Q(4-6月)5億4440万ドル17.0%3270万ドル190万ドル
3Q(7-9月)8億8930万ドル21.3%3760万ドル8380万ドル
4Q(10-12月)10億800万ドル30.6%3490万ドル1億9920万ドル
2015 1Q(1-3月)4億6920万ドル8.3%3480万ドル7010万ドルの赤字
2Q(4-6月)8億9620万ドル18.4%2950万ドル5710万ドル
3Q(7-9月)12億7120万ドル38.1%2960万ドル3億9780万ドル
  • 売上高:
    前四半期からの大幅な伸びは、「Desert Stateline project」(一部が建設)の持分売却による初期の収益認定があったことが、主な要因だった。
    その他、
    • サードパーティのモジュール販売の増加
    • 複数プロジェクトにおけるシステム売上高の増加
    も要因となった。
  • 粗利益率:
    • 「Desert Stateline project」の売却
    • システムプロジェクトコストの改善
    により向上した。

モジュールの生産・出荷など

モジュール生産量量産品の
平均変換効率
2014 2Q(4-6月)447.1MW14.0%
3Q(7-9月)448.9MW14.2%
4Q(10-12月)509.0MW14.4%
2015 1Q(1-3月)540.3MW14.7%
2Q(4-6月)562.8MW15.4%
3Q(7-9月)653.8MW15.8%

モジュール出荷量モジュール受注量
2014通期(1-12月)3.7GW
2015 2Q累計(1-6月)1.3GW1.3GW
3Q累計(1-9月)2.0GW1.7GW
4Qの現状(10月1〜29日の分)1.4GW

後の四半期ほど業績が良いのは前年(2014年)も今年も同様であり、この点はFirst Solar社の業績の季節的な特徴かもしれませんが、それにしても今回の四半期(2015年3Q)の伸びは際立っています。

「Desert Stateline project」は、米カリフォルニア州で建設中の300MW規模の発電所(全稼動は2016年3Qの予定)[5]とのことで、大規模プロジェクトがFirst Solar社の業績にもたらす恩恵の大きさが、際立って感じられる今回の業績です。

そして同プロジェクトの売却先だったSouthern Company社は、更に11月にもFirst Solar社から、157MWの「Roserock solar facility」(テキサス州)を取得しているので、First Solar社の次の四半期(4Q)も、3Qに及ぶかは判らないものの、好調な業績が見込めるものと考えます。

もう一つ特に気になったのは、4Qの約1ヶ月(10月)だけで、モジュール受注量は1GW超という驚くべき伸びを見せている点です。

3Qの売上増の要因の一つに、サードパーティのモジュール販売の伸びが挙げられているので、4Qのモジュール受注の内訳(大規模事業向け、屋根設置向け)がどうなっているのかは、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1]First Solar, Inc. Announces Preliminary Third Quarter 2015 Financial Results(First Solar社)
http://investor.firstsolar.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=939369
[2]First Solar, Inc. Announces Third Quarter 2015 Financial Results(同上)
http://investor.firstsolar.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=941743
[3]Earnings Presentation(同上)
http://investor.firstsolar.com/common/download/download.cfm?companyid=FSLR&fileid=857505&filekey=C6AA26BD-97AD-4ABA-9F71-B7747356726E&filename=Q315_Earnings_Call_Presentation_-_Final_Secured.pdf
[4]Key Financial Data(同上)
http://investor.firstsolar.com/common/download/download.cfm?companyid=FSLR&fileid=857507&filekey=E1E9DADC-4D63-4A0C-8FC9-5DA28B120140&filename=Copy_of_Q3_2015_Web_Schedule_-_FINAL.pdf
[5]Southern Company subsidiary acquires system's largest solar project(Southern Company社)
http://southerncompany.mediaroom.com/2015-09-02-Southern-Company-subsidiary-acquires-systems-largest-solar-project
[6]Southern Company subsidiary acquires first solar project in Texas(同上)
http://southerncompany.mediaroom.com/2015-11-30-Southern-Company-subsidiary-acquires-first-solar-project-in-Texas

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