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2016年04月25日

帝人が中国「Wuhan DR Laser Technology」社と提携、共同で「NanoGram PERC型」セルの量産技術開発に取り組む

帝人」社が2016年4月20日に、

  • 中国のレーザー加工機器メーカー「Wuhan DR Laser Technology」社との間で、高効率太陽電池セル(NanoGram PERC型)の製造技術開発において提携することで合意した。
と発表していました[1]。

概要は下記の通り。


背景

  • 高効率な太陽電池に対する需要が高まる中で、近年では、通常のシリコン結晶系セルの裏面電極構造を改良する「PERC(Passivated Emitter and Rear Contact)型」が注目されている。
    その中でも「PERL(Passivated-Emitter, Rear-Localized)型」の開発が活発になっているが、このタイプは製造工程の複雑さ等により、工業的な生産が困難とされてきた。
  • DR Laser社のレーザー加工技術は、世界大手の太陽電池メーカーに多く採用されており、特に「PERC型」用のレーザー加工機器では、世界シェア50%超を占めている。
  • 帝人ではこれまでに
    • 太陽電池用の「NanoGram シリコンペースト」(ホウ素・リン等を含む)
    • スクリーン印刷技術(上記ペーストをセルに印刷)
    • レーザードーピング技術(印刷されたペーストにレーザーを照射し、セル内に不純物拡散層を形成する)
    といった自社技術により、「NanoGram PERC型」セルの製造技術を開発している。
    これにより、PERL型セルの工業化の実現が期待される。

提携の内容・目的

  • 「NanoGram PERC型」セルの量産技術を確立するため、
    • シリコン結晶における「NanoGram シリコンペースト」の最適なレーザードーピング条件の開発
    • 量産に向けたレーザードーピング装置の開発
    に取り組む。
  • DR Laserの本社敷地内に「レーザードーピング試作センター」を新設する。
    これにより、
    • DR Laser社のレーザードーピング技術
    • 帝人の「NanoGram シリコンペースト」
    の両技術を組み合わせた「NanoGram PERC型」セルの製造用ソリューションを、太陽電池メーカーに周知・提供していく。

今後の方針と目標

  • 両社が共同で
    • 「NanoGram PERC型」太陽電池の量産化に向けた技術開発
    • それに伴うマーケティング活動
    を進める。
  • この取組みにより、「NanoGram シリコンペースト」を用いるレーザードーピング技術が、太陽電池セル製造のデファクトスタンダードとなることを目指す。
    そしてPERC型セルのレーザードーピングにおいて、3年以内50%以上シェア獲得を目指す。

まず失礼ながら、中国企業のレーザー加工機器のシェアが非常に高いということには驚きました。

これは、現在の太陽電池モジュール生産量の世界上位において、同じ中国のメーカーが多い(四半期のみで1GW超の出荷を記録している(Trina SolarJinkoSolar等)ことも、大きな要因になっているとは思われます。

しかしそれでも、一部の先進的な中国企業が持つ工業技術が、想像以上の水準に達していることは、率直に認める必要があるのかもしれません。

今回の帝人とDR Laser社の提携では、「3年以内に50%以上のシェア獲得」という高い目標が掲げられていますが、これはPERC型セル向けのレーザー加工機器においてDR Laser社が占める現在のシェアと同等です。

そのため今回開発する技術が、もしDR Laser社の現在の顧客全てに採用されれば、「3年以内に50%以上のシェア獲得」は十分に視野に入る、ということだと思われます。

世界市場において日本のモジュールメーカーの元気が無い一方で、素材メーカーが中国企業との協働で、したたかに高シェアを占めて重要なポジションを確保できるかどうかは、注目していきたいところです。


※参照資料:
[1]DR Laser社と帝人株式会社が戦略的提携(帝人)
http://www.teijin.co.jp/news/2016/jbd160420_28.html
[2]DR Laser社
http://www.drlaser.com.cn/eng/index.asp

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | セル

2016年04月18日

LDK Solar社の清算手続きが決定、ケイマン裁判所が「解散を命じ」る

LDK Solar社が2016年4月7日に、自社の清算手続き決定を発表していました[1]。
(※BusinessWireでのプレスリリース[2]は4月15日付ですが、[1]の発表は4月7日付となっています。)

概要は下記の通り。


  • 経緯
    LDK Solar社については2016年2月11日に、共同債権者がケイマン諸島大法廷(ケイマン裁判所)に申し立てを提出していた。
    これを受けて同裁判所が2016年4月6日に、会社法(2013年改正)に従ったLDK Solar社の解散を命じた
  • 清算について
    ケイマン裁判所は
    ・「FTI Consulting (Cayman) 」のDavid Martin Griffin氏
    ・「FTI Consulting」のJohn Howard Batchelor氏
    共同正式清算人に任命。
    この清算人には、LDK Solar社の清算・事務整理において必要または望ましいと判断される、あらゆる行為・事柄を行う権限が付与されている。

LDK Solar社は、かつては中国の大手メーカーの一角を占めていただけに、今回「解散を命じ」られたということには非常に驚きました。

2013年には業績が上向きつつあるとの報道がありましたが、その後は2014年末以降の日本市場の減速もあり、結局は経営を立て直せなかった、ということなのかもしれません。

中国大手メーカーの経営破綻としては、

に続くインパクトのものと思われますが、その中国市場については太陽電池の需要低下を指摘する調査結果もあるだけに、今後も同様の大きな変動が有り得るのではないでしょうか。

ともかく今回のLDK Solar社の件については、製品ユーザーに起こる混乱も、強く懸念されるところです。


※参照資料:
[1]LDK Solar in Official Liquidation and Onshore Restructuring(LDK Solar社)
http://investor.ldksolar.com/phoenix.zhtml?c=196973&p=irol-newsArticle&ID=2155999
[2]LDKソーラーが正式清算手続きと国内での債務再編を開始(BusinessWire)
http://www.businesswire.com/news/home/20160415005629/ja

※LDK Solar社に関わる記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 中国メーカー

自動車メーカー・スズキが、静岡県で「スズキ牧之原太陽光発電所」(20MW)を建設中

自動車メーカーのスズキ社が2016年4月15日に、静岡県で建設・試験運転中のメガソーラー「スズキ牧之原太陽光発電所」について発表していました[1]。

ここではニュース記事の内容[2][3]と合わせて、発電所の概要をまとめてみました。


  • 場所:牧之原市の「中里工業団地」内
  • 敷地面積:計46万m2 下記2つの土地を用いている。
    • 中里工業団地に保有する土地42万m2
      (元は部品会社を誘致する予定だったが、隣接する相楽工場での自動車生産が伸び悩んだため、発電所建設に切り替えた)
    • 相良工場の敷地の一部
  • 発電容量:完成時には20MW
    太陽電池パネル約11万枚を設置する。
  • 発電電力量:完成後には、約3万2200MWh/年の予定。
    全量を中部電力に売電する。
    (売電収入は約11億円/年の見込み)
  • スケジュール
    • 2015年10月:試運転を開始
    • 2016年7月末:完成の予定
  • 投資額:総額約79億

11億円/3220万kWh=約34円/kWhなので、(消費税分も考慮して)2014年度に認定を受けた案件と見受けられますが、流石に20MWという規模になると、完成までに相応の期間を要することが伺えます。

また、その2014年度には複数の電力会社で接続申込への回答保留が発生していただけに、電力会社管内による、太陽光発電設備の受入れ余地の差も伺えます。

国内の大規模発電所としては、今年3月に石川県で27MWの発電所建設が着工しており、いろいろと条件が厳しくなっている日本国内でも、大規模プロジェクトはまだ完全に止まった訳では無いようです。

ちょっと気になるのは、投資額が単純計算で1MWあたり約4億円ですが、これは(事業者が全く異なる)上述の石川県の発電所と、奇しくも同等の水準です。

今回のスズキ社の発表や、メディアの報道では全く記載がありませんが、こちらも地震への耐久性を十分確保した設計としている可能性が考えられます。

ともかく投資額としては割高ですが、年間の発電電力量予想が、日照条件の良さを反映してか、かなり大きい数字であり、これならば十分な利益を見込めるのかもしれません。


※参照資料:
[1]「スズキ牧之原太陽光発電所」の稼働について(スズキ)
http://www.suzuki.co.jp/release/d/2016/0415/
[2]スズキ、太陽光発電所7月完成 静岡県内最大級(静岡新聞)
http://www.at-s.com/news/article/economy/shizuoka/230625.html
[3]スズキ 牧之原メガソーラー公開(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20160416/CK2016041602000100.html
posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 国内のメガソーラー

2016年04月12日

東北電力が「水素製造技術」の実証事業を予定、太陽光発電の出力変動調整に用いる

東北電力2016年3月31日に、

  • 再エネの更なる導入促進に向けて、水素製造に関する研究に取り組む。
との方針を発表していました[1]。

概要は下記の通り。


背景

  • 再エネ(太陽光発電など)の導入においては、
    • 短周期面数十分未満)の出力変動(周波数変動が発生する)
    • 長周期面(数十分以上)の出力変動(余剰電力が発生する)
    調整が課題となっている。
  • 上記の課題について東北電力では現在、
    • 南相馬変電所(※周波数変動対策)
    • 西仙台変電所(※余剰電力対策)
    に各々蓄電池を設置しており、出力変動対策の実証事業に取り組んでいる。

実証事業

  • 目的
    変動の大きい太陽光発電の電力により、水素を製造することで、水素製造が(蓄電池と同様に)出力変動対策として適用できるか否かを検証する。
  • 内容
    太陽光発電による発電電力を用い、水素を製造・貯蔵する。
    この水素を燃料電池に用いて、自社「研究開発センター」(仙台市)の使用電力を発電する。
  • 使用設備
    下記の設備を研究開発センターに設置する。
    (太陽光発電以外は、地上にコンテナ設置)
    • 太陽光発電設備(屋上設置、約50kW)
    • 蓄電池(約60kWh)
    • 水素製造装置(約5Nm3/h)
    • 水素貯蔵タンク(水素吸蔵合金方式・約200Nm3、放電出力は約300kWh相当)
    • 燃料電池(10kW未満)
  • 実施期間2017年3月〜2019年3月
    ※2016年4月から、実験設備の設計・施工・設置を開始する。

ちょうど1ヶ月前には、トクヤマ社が高効率な水素製造技術の開発に向けた実証事業を発表しており、それに続いての今回の発表となったことは、単なる偶然とは思えません。

これは、最近の数年間における太陽光発電の急激な導入量増加が、出力変動への対応に対するニーズを急速に高めている、ということなのかもしれません。

トクヤマ社と今回の東北電力のいずれも、まだ「実証事業」の段階であり、実用化にはまだまだ時間が必要と思われますが、遠くない将来に、コスト面・機能面・安全面で実用可能な水準に到達することを、強く期待したいものです。


※参照資料:
[1]水素製造技術を活用した再生可能エネルギーの出力変動対策に関する研究について(東北電力)
http://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1191500_1049.html
posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2016年04月11日

SunPower社が石川県七尾市で、27MWの太陽光発電所を建設開始

2週間以上前になりますが、米SunPower社が2016年3月23日

  • 日本の石川県で、27MWpの太陽光発電所(地上設置型)の建設を開始した。
と発表していました[1]。

事業の概要は下記の通り。


  • 建設場所:石川県の七尾市(能登半島内)
    日本の鶏卵メーカー「イセグループ」が保有する、25haの土地に建設する。
  • 事業規模100億
  • プロジェクトの保有者
    イセグループが50%を保有し、残りの50%はSunPowerと仏Totalで折半する予定。
  • 稼動開始時期2017年第1四半期の予定。
  • 発電電力量29GWh/年の見込み。
  • その他
    日本の耐震建築基準を完全に満たすように設計されている。

日本国内では、FITにおける「太陽光(非住宅)」の新規認定量が(増加どころか)減少を続けており[5]、産業用市場の減速が明らかであるだけに、27MWという規模の今回の事業発表には驚きました。

もっとも北陸電力管内では、太陽光発電は今年3月末時点で「接続契約申込済み+系統連系済み」が920MW[6]。
いっぽうで接続可能量(30日等出力制御枠)は1100MWであり、180MWの受入れ余地が残っていることから、産業用プロジェクトにとっては残された数少ない地域となっているのかもしれません。

ただし北陸地方は冬の降雪・積雪があるだけに、太陽光発電事業を行うには

  • 発電電力量(=売電収入)の確保
  • 設備の十分な(積雪に耐えうるだけの)強度確保
が障壁と考えられます。

実際に今回の事業の費用は、単純計算で約4億円/MWと、通常のメガソーラー事業の目安(3億円/MW)より割高になっており、この点は(耐震を含めて)設備の強度確保を反映したものかもしれません。

いっぽうで発電電力量の見込みについては、日本での目安(発電容量×1000)を満たしており、ここはSunPower社の「Maxeon」モジュールを初めとする技術のアピールにもなっていると感じられます。

今回の発電所は意外にも、SunPower社が日本で建設する「初めての発電所」とのことですが、太陽光発電事業の環境が以前より厳しくなっている日本市場で、今後も同社による発電所建設が有るのかどうかは、強く興味を引かれるところです。


※参照資料:
[1]ISE Group, Total And SunPower Corporation To Build Solar Power Plant In Japan(SunPower社)
http://newsroom.sunpower.com/2016-03-23-ISE-Group-Total-And-SunPower-Corporation-To-Build-Solar-Power-Plant-In-Japan
[2]七尾市(ウィキペディア)
[3]石川県(同上)
[4]イセ食品株式会社
http://www.ise-egg.co.jp/
[5]固定価格買取制度 情報公開用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html
[6]再生可能エネルギーの申込み状況(北陸電力)
http://www.rikuden.co.jp/koteikaitori/mousikomi.html
posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 国内のメガソーラー