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2017年03月27日

ハンファQセルズ社が低圧産業用パッケージ「Q.MAX PLUS」に「Fシリーズ」を追加、高さが違う架台の組み合わせで、モジュール設置容量をアップ

ハンファQセルズ社が2017年3月1日に、

  • 低圧産業用太陽光発電システムのパッケージ製品「Q.MAX PLUS」に、モジュール設置量を拡大できる「Fシリーズ」を追加した。
と発表していました[1]。

ここでは、その概要を抜き出してみました。


<背景・経緯>

  • 「Q.MAX PLUS」は
    • 機器(太陽電池モジュール、パワコン、架台など)
    • 各種の保証(出力、システム)・補償(日照、災害)
    パッケージ化することで、顧客の導入負担の軽減を図っている。
  • 同製品ではこれまで、設置場所に応じて
    • 野立て用「Gシリーズ」
    • 積雪地域用「Sシリーズ」
    • 折板屋根上用「Rシリーズ」
    を展開している。

<「Fシリーズ」の特徴>

高さが異なる架台 高さが違う独立架台を、4種類用意。
これを組み合わせることで、各架台の前後(南北方向)の間隔を最小化させ、モジュール設置量を高めることができる。
分割式の架台 架台は、モジュール12枚分を基本単位とする分割式。
これにより、土地形状に応じた柔軟なレイアウトが可能になる。
メンテナンス用プレート 専用の「メンテナンス用プレート」を標準装備。
これにより、軽作業時の足場の用意が不要になる。

日経テクノロジーオンラインの記事[2]では、より詳しい数値・情報が掲載されており、モジュール設置量については

  • 同面積の土地で、(従来の「Q.MAX PLUS」と比べて)33%アップ
と、その増加幅の大きさに驚かされます。

ただ、モジュールの設置角度は6度とのことで、日本国内で適する設置地域は、かなり限られてくるように思われます。

日照量が特に豊富とみられる南部の地域のうち、沖縄・九州四国は既に「指定ルール」(年間の出力制限が無制限)の適用地域となっているので、関東・中部・関西といった大都市地域が、今回の「Fシリーズ」の主要な想定需要先なのかもしれません。

ただし架台の最高地点は、もっとも高い架台で2.4mとのことなので、実際の導入においては、周囲の土地への日影発生に配慮が必要なケースが、少なからず生じてくるのでは、とも考えます。

ただ、「過積載」向けに(同じ土地面積で)モジュールの設置可能量を大きく高める、という方針は、モジュール価格の低下が顕著な現状を反映していると感じられ、その点でも非常に興味深い製品です。


※参照資料:
[1]優れた発電量・品質管理・保証制度をセットで提供、低圧産業向けパッケージに新タイプ登場(ハンファQセルズ社)
http://www.q-cells.jp/press/%e5%84%aa%e3%82%8c%e3%81%9f%e7%99%ba%e9%9b%bb%e9%87%8f%e3%83%bb%e5%93%81%e8%b3%aa%e7%ae%a1%e7%90%86%e3%83%bb%e4%bf%9d%e8%a8%bc%e5%88%b6%e5%ba%a6%e3%82%92%e3%82%bb%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%a7%e6%8f%90-2
[2]ハンファQセルズ、面積効率を33%高めた低圧太陽光パッケージ(日経テクノロジーオンライン)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/032106825/
[3]Q.MAX PLUS(ハンファQセルズ社)
http://www.q-cells.jp/wp-content/uploads/2017/03/sec_Q.MAX-PLUS%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%82%B0.pdf

北九州の「新菱」社が、九州・山口で太陽電池モジュールリサイクルのモデル事業を実施中、回収ボックスを各地に設置

西日本新聞の記事(2017/3/23付)[1]で、

  • 北九州の「新菱」社による、太陽電池モジュールリサイクル事業化に向けた取組み
が報じられていました。

今回は同事業の公式サイト(2016/12/5公開)[2]等の内容と合わせて、主な情報を抜き出してみました。


<広域回収のモデル事業>

平成30年度以降の事業化を目指している。

開始時期 2016/12
対象地域 九州・山口地域の計8県
回収設備 専用の回収ボックス
(モデル事業では、約20ヶ所設置している)
費用・料金
  • モデル事業中:有価物として買い取る
    (※処理設備の長期信頼性・安定性や、経済性の実証を行うため)
  • 事業化の後リサイクル料金を徴収する予定。
回収実績 記事[1]の時点までで数t。
(※モジュール約120枚(一戸建て住宅12件分)が、重さ約2t)
まだ認知度は低いが、熊本地震の被災地からの回収も行った。

<リサイクル技術>

  • 開発の経緯
    新菱は2010年度から、NEDOの支援を受け、技術開発を開始。
    「北九州産業学術推進機構(FAIS)」との共同により、処理方法を開発した。
  • 特徴・メリット
    封止材は加熱・燃焼処理 モジュールのアルミ枠とバックシートを取り除いた後、封止材のEVAは、加熱・燃焼によって除去する。
    これにより、カバーグラス板のままリサイクル可能。
    また燃焼においては、燃料(LPG)の80〜90%を、EVA自身の燃焼熱で賄うことができる。
    多様なモジュールに対応 結晶シリコン型・薄膜シリコン型・CIS化合物型に対応する。
    リサイクル率が高い バックシートと端子ボックス以外を、全てリサイクル可能。
    リサイクル率は、2015年度に95を達成している。
  • 今後の方針
    破損の程度が大きいモジュール(折れ曲がり等、モデル事業では回収の対象外)にも対応できるよう、技術開発を進める。

太陽電池モジュールの一般的な寿命や、また住宅用蓄電池のリリースが相次いでいることも考えると、FITの期限切れ後に、果たしてどれだけの太陽光発電設備が、そのまま解体・廃棄の対象になるのかは判りません。

ただモジュールの故障や、予測不能な災害(地震など)による破損は、一定の割合で常に起こるものと思われるので、太陽光発電の導入量自体が大きく高まっている現状において、リサイクル体制を早急に確立することは、やはり重要・必須のことだと考えます。

今回の新菱社の技術は、用いるエネルギー量の大幅な節約や、素材のリサイクル率の高さ、そして対応できるモジュールの幅広さが大きな魅力であり、利用しやすい回収体制の実現と合わせて、事業化に期待がかかります。

ただNEDOが支援するプロジェクト[4]では、EVAを加熱したカッターで切断・分離する技術もあり、どの処理方法がどう実用化・事業化に漕ぎ着けていくのかは、今後に注目していきたいところです。


※参照資料:
[1]太陽光の廃パネル回収 「熊本地震復興の手伝いに」 北九州の企業、リサイクルに挑む(西日本新聞)
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/316415
[2]廃太陽光パネル(廃PVパネル)リサイクルモデル事業(公式サイト)
http://www.pvr-kyushu.jp/
[3]低炭素化社会の実現に向けて、北九州市内の企業が研究開発に取り組んでいる施設を公開します。(FAIS)
https://www.ksrp.or.jp/fais/news/2013/02/07/%25E5%258D%25B0%25E5%2588%25B7%25E7%2594%25A8%25E6%259C%25AC%25E6%2596%2587.pdf
[4]太陽光発電の大量導入社会を支えるプロジェクトで新たにテーマを採択(NEDO)
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100454.html

※関連記事:

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トルコで1000MWの太陽光発電プロジェクトの入札が実施、売電価格6.99米セント/kWhでHanwha等のグループに決定

ニュース記事[1][2]で

  • トルコで、発電容量1000MWの太陽光発電所事業の入札が行われた。
と報じられていました。

概要は次の通り。
(※フォントの都合上、トルコ語の表記が不正確な箇所がありますが、ご容赦ください)


  • 事業の名称:Karapinar再生可能エネルギー資源エリア(YEKA-1
  • 建設場所:コンヤ県のKarapinar(カラプナール)
  • 入札の実施者:トルコのエネルギー天然資源省
  • 落札した事業者:「Kalyoncu」と「Hanwha」のグループ
    ※他の入札参加者(ジョイントベンチャー)は、
    • LimakとCMECとHareon Solar
    • CalikエナジーとSolargig
    • AKCソーラー
  • 提案された売電額6.99米セント/kWh
  • その他の条件
    • 現地事業の実施
      今回のプロジェクトでは同時に、年産500MW以上太陽電池モジュール工場が、トルコ国内に建設される。
      また、10年間の研究開発も行われる。
    • 現地調達率の目標
      太陽電池モジュールの現地調達率は、
      ・最初の500MW:60
      ・次の500MW:70
      としている。
  • 工期:21ヶ月
  • 発電電力量:約17億kWh/年の見込み

1GW超のプロジェクトと言えば、今月初めに発表されたアラブ首長国連邦での事業(1177MW)が記憶に新しく、それから一月経たずしての今回の報道には驚きました。

新興国において今後、1GW超の太陽光発電プロジェクトが他にも立ち上がってくるのかどうかは、注目したいところです。


入札に参加した企業名を検索したところ、「Kalyoncu」とAKCソーラーはそれらしい企業を見つけられませんでしたが、「Limak」[4]と「Calik Energy」[5]はトルコの大手企業とみられ、流石に単独で1GWという超巨大プロジェクトであることから、国内の大企業も積極的に入札に動いたことが伺えます。

他の企業については、Hareon Solar[6]とSolargig[7]は中国の太陽電池メーカーであり、CMECも同じく中国の商社[8]のことだと思われます。

今回の事業は、トルコ政府にとっても一大プロジェクトと思われますが、その入札に中国企業の参加が認められたということは、昨年から(ロシアを挟んで)芳しくなかったというトルコと中国の関係[9]も、今では大きな問題は無いのかもしれません。


ユニークに感じたのは、落札したKalyoncuとHanwhaによる事業計画には、(発電所の建設だけでなく)トルコ現地でのモジュール工場建設や、継続的な研究開発が含まれていることです。

入札条件の詳細は不明ですが、そのような現地事業を盛り込むこと(=トルコ国内の太陽光発電産業の発展に寄与すること)が、入札参加の条件に含まれていたと考えれば、価格競争力では最も優れる筈の中国企業(が参加したジョイントベンチャー)が単純には勝てなかったことも、納得が行きます。


売電額(6.99セント/kWh)は、他の新興国での最近の安値記録(2016年8月のチリ(2.91セント/kWh)や、先述のアラブ首長国連邦でのプロジェクト(2.42セント/kWh))の2倍以上ですが、この点は現地生産するモジュールを多く用いる予定であることが、影響しているものと推測します。

とはいえそれでも、現状で十分に安い金額であり、(昨年来の米国市場のように過剰生産で余ったモジュールではなく)現地生産のモジュール主体でこの額を提示していることは、大規模太陽光発電事業の今後の展開について、一つの示唆となるものと考えます。


最後に、ハンファQセルズはかつての合併時(2014/12)に、ドイツのタールハイムを研究開発の拠点とする旨を示していましたが、今回トルコに設置される予定の研究開発拠点が、同社にとってどのような関連や位置づけとなるのか、というのはちょっと気になるところです。


※参照資料:
[1]トルコ最大の太陽光発電所(「TRT」の記事)
http://www.trt.net.tr/japanese/jing-ji-bizinesu/2017/03/20/torukozui-da-notai-yang-guang-fa-dian-suo-695358
[2]Karapinar YEKA-1 GES ihalesini 6,99 USD cent/kwh ile Kalyon Hanwha grubu aldi(「Enerji Enstitusu」の記事)
http://enerjienstitusu.com/2017/03/20/karapinar-yeka-gunes-ihalesi-duzenlendi/
[3]Karapinar Yenilenebilir Enerji Kaynak Alani (YEKA-1) ihalesi icin 4 grup teklif verdi(同上)
http://enerjienstitusu.com/2017/03/15/karapinar-yenilenebilir-enerji-kaynak-alani-yeka-1-ihalesi-icin-4-grup-teklif-verdi/
[4]Limak Holding
http://www.limak.com.tr/anasayfa
[5]Calik Energy
http://www.calikenerji.com/
[6]会社概要(ハレオンソーラージャパン)
http://www.hareonsolar.co.jp/company.html
[7]Solargiga Energy Holdings Limited
http://www.solargiga.com/html/
[8]CMEC
http://www.cmecwuxi.com/en/index.html
[9]中国、対トルコ制裁措置発表――トルコ・ロシア危機を受け(SYNODOS)
http://synodos.jp/article/16371
[10]コンヤ県(ウィキペディア)

2017年03月20日

ソーラーフロンティア社が日本各地で、国内住宅向けの戦略商品「SmaCIS」の、代理店向け説明会を実施

ソーラーフロンティア社が2017年3月14日に、

  • 国内住宅向けの戦略商品「SmaCISスマシス)」の代理店向け商品説明会を、日本各地で開催する。
との方針を発表していました[1]。

概要は次の通り。


<「SmaCIS」の概要>

  • 想定需要先:日本国内の住宅市場
  • 名称の由来
    「Smartに設置できるCIS薄膜太陽光発電システム」という意味で命名した。
  • 特徴・メリット
    • 屋根への搭載量を増加
      日本の住宅屋根にフィットするサイズ・形状の太陽電池モジュールを用意。
      これにより、複雑な形状の屋根(寄棟屋根など)でも、搭載量を増やすことができる。
    • 施工時間を短縮
      新開発した施工方法により、施工時間を自社従来品比で約20%短縮できる。
    • 美観を向上
      外観を洗練しており、屋根との親和性を向上する。
  • 今後の予定
    2017年7月に、SmaCIS用太陽電池パネルの出荷を開始する。
    (※同年3月には、宮崎工場で生産を開始している)

<説明会の概要>

  • 内容:「SmaCIS」の概要・施工方法などの説明、質疑応答
    • 模擬屋根
    • 施工のデモ動画
    を用い、本商品の施工方法や仕上がりを実感できる内容とする予定。
  • 対象者
    ソーラーフロンティア社の販売代理店をはじめとする、日本各地の取引先
  • 開催期間2017年3月15日〜30日
  • 開催場所:東京、仙台、名古屋、大阪、岡山、福岡、鹿児島

ソーラーフロンティア社の正式発表ではないものの、先月には「昭和シェル石油が太陽電池事業を国内販売にシフトする」との報道[3]がありました。

今回行う「SmaCIS」の日本各地での説明会は、その方針に沿ったものと思われます。

今のところ同社のウェブサイトでは、この商品の更に詳細な内容(具体的な工法、モジュールの種類など)は紹介されていませんが、工法については、既存の「クロスワン工法」[4]を更に発展させたものかと想像します。

個人的に、特に既築住宅に関しては、屋根への太陽電池モジュールの設置は(屋根の強度の確認、雨漏り発生の懸念などから)かなりハードルが高い、というイメージが強いので、この「SmaCIS」がそれを軽減するものになれば、と期待します。

また、国内の住宅向けモジュール出荷量は減少が続いていますが、その中で(今回のSmaCISをはじめとして)国内住宅向けに注力するという方針が、どれだけ業績に寄与できるか、という点も注目したいところです。


※参照資料:
[1]高搭載・速い施工・美しい仕上がりを実現する国内住宅市場向け戦略商品「SmaCIS」の代理店向け説明会を開催(ソーラーフロンティア社)
http://www.solar-frontier.com/jpn/news/2017/0314_press.html
[2]ソーラーフロンティア、国内住宅市場に向けた戦略商品「SmaCIS(スマシス)」の発売決定(同上)
http://www.solar-frontier.com/jpn/news/2016/C060584.html
[3]昭和シェル石油 太陽電池、国内販売に特化(化学工業日報)
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2017/02/21-28278.html
[4]安心の設置工法(ソーラーフロンティア社)
http://www.solar-frontier.com/jpn/residential/features/installation/index.html

※関連記事:

カナメ社が雪国向けの屋根一体型太陽電池「スノーソーラ−」を発売、落雪しやすく発電量の大幅アップが見込める

もう2ヶ月前になってしまいますが、カナメ社が2017年1月20日に、

  • 積雪地域での発電量の大幅アップが期待できる、屋根一体型の太陽電池「スノーソーラ−
を発表していました[1]。

概要は次の通り。


  • 特徴
    • 積雪が落ちやすい
      モジュール上の積雪が、僅かな気温上昇でも滑り落ちやすくなっている。
      これにより、積雪地域での年間発電量で、従来のモジュールメーカー予測値から3割増の実績をあげている。
      積雪が2mの地域にも対応。
    • 太陽電池と屋根材を一体化
      一体化した状態で工場から出荷し、現場での施工の手間を軽減する。
    • 低照度モジュールを採用
      日照が弱い雪国でも、十分な発電を行える。
  • 発売日2017年2月1日

カナメ社はこれまでにも「PVグリップ工法」「カナメソーラールーフ」といった工法や製品をリリースしており、金属屋根メーカーの視点から、太陽光発電分野の独自製品を作っていることは、非常に興味深いです。

その中で今回の製品「スノーソーラ−」は、太陽光発電に向かないイメージの強い「雪国」向けに特化している点が、非常にユニークかつ魅力的だと思います。

そう言えば住宅用では無いですが、私(北海道在住)の身近な範囲でも、(モジュールの設置角度がかなり急な筈の)野立ての太陽光発電設備で、積雪が簡単に落ちないケースを、多く見ています。

今回の住宅向け「スノーソーラ−」が、ガラス表面に特殊な加工を施しているのか、それとも屋根材と太陽電池の間の隙間を(熱が伝わりやすいように)上手く工夫しているのかは不明ですが、産業用モジュールでもこのように落雪しやすい製品があれば、メリットが大きいのでは、と考えます。

もっとも今の日本国内では、積雪地域を管内とする北海道電力・東北電力北陸電力が、既に「指定ルール」(年間の出力制御時間が無制限)の適用となっており、産業用の需要自体が不透明なのが残念ですが。


※参照資料:
[1]雪国専用の太陽光「スノーソーラー」発表(カナメ社)
http://www.caname-roof.jp/topics/20170120/441/

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 他の国内メーカー

パナソニックが二色の浜工場を稼動再開との報道、「プリウスPHV」向け

産経新聞ウェブサイトの記事[1](2017/3/7付)で、

  • パナソニックが大阪の「二色の浜工場」で、太陽電池の生産を再開した。
と報じられていました。

主な内容は次の通り。


  • 背景
    • 二色の浜工場は、日本国内の太陽電池需要の低迷を受けて、2016年2月から稼動を停止していた。
    • パナソニックの太陽電池の国内工場は4ヶ所だが、車載・住宅向け製品を担う工場は、二色の浜工場のみ。
    • 日本国内では、(住宅向けを中心に)太陽光発電設備への投資意欲が減退している。
      しかし他方で、車載用電池は市場の拡大が見込まれている。
  • 生産品の用途
    トヨタ自動車
    • 日本国内向けの新型「プリウスPHV」(2017/2/15発売)
    • 欧州向け新型車2017/3以降に順次発売)
    への車載用。

ちなみにパナソニック社のサイトでは、当記事の作成時点(2017/3/15)で、二色の浜工場の再稼動に関する発表は掲載されていません。

ただ、新型プリウスPHVにおけるパナ社製品(太陽電池と蓄電池)の採用自体は、2月末に発表されています[2]。


パナソニックは2年前に屋根設置向けの需要獲得に注力する方針を発表していましたが、その後は国内需要の減退が続いており、最近の業績発表(2016年度3Q累計期間)でも販売で苦戦している旨が記載されていました。

確かに日本国内の住宅用については、最近の統計で

  • 太陽電池出荷量:2016/10-12で、約302MW(前年同期比25%減)[3]
  • FITの認定量:2016年9月分〜11月分で、新規認定は1ヶ月あたり70MW[4]
という状況であり、政策での新たな支援や、新しい需要の発生(自家消費意欲の急拡大など)が無い以上、現状で市場の拡大は極めて望み薄と考えざるを得ません。

その中で「プリウスPHV」向けの製品供給が、住宅用の販売減少を果たしてどれだけ補えるのかは不明ですが、少なくとも1年近く停止していた工場の稼動再開に繋がったことは確かであり、パナ社にとっては明るい材料と言えそうです。

車載向けの太陽電池は、車体の複雑な曲面に沿う加工をする必要があるとのことですが、かつては京セラがプリウス向けの太陽電池生産を手がけており、またシャープも三菱「i-MiEV」向けの太陽電池を試作

そのため、国内大手メーカーはその技術を既に蓄積していると考えられ、車載向け需要がもし今後拡大していければ、国内太陽電池メーカーにとって幾らかの追い風になるのでは、と考えます。


※参照資料:
[1]パナが太陽電池工場を再開、プリウス向け受注 大阪・貝塚(産経WEST)
http://www.sankei.com/smp/west/news/170307/wst1703070043-s1.html
[2]新開発のHIT車載タイプがトヨタ自動車の 「新型プリウスPHV」 に搭載(パナソニック)
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2017/02/jn170228-2/jn170228-2.html
[3]日本における太陽電池出荷量2016年度第3四半期(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/japan_pv_forward_h283q.pdf
[4]固定価格買取制度 情報公開用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html

※関連記事:

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住友電気・Looop・京セラ・オムロンが、住宅用の蓄電池・蓄電システムを相次いで発表、2019年以降の「FIT終了後」を見込む

2017年2月末〜3月中頃(※当記事の作成時点)にかけて、国内メーカーから、太陽光発電と連携可能な住宅用蓄電システムの製品発表が相次いでいました。

今回は、私が知り得た限りの製品[1]〜[6]について、製品の主なデータを(蓄電池を中心に)抜き出してみました。


メーカー
・製品名
住友電気工業
「POWER DEPOIII」
Looop
「Looopでんち
家庭用」
京セラ
「太陽光発電連係型
リチウムイオン
蓄電システム」
オムロン
「住・産共用
フレキシブル
蓄電システム:
KPACシリーズ」
蓄電池種類 リチウムイオン
容量 3.2kWh 4kWh 3.2kWh 6.5kWh
サイズ
(幅・奥行・高さ、cm)
53・30・65 53・30・65 約45・12・66
重量 約54kg 約54kg 約52kg
設置場所 屋内外 屋外? 屋内外 屋内
電力変換効率 充放電ともに
95.5%
充放電ともに
95.5%
価格 89万8000円
(税抜き、施工費など別)
150万円(税抜)
発売
スケジュール
2017/5下旬に
販売開始
2017/4/11に
先行予約開始
2017夏に
発売予定
その他特徴 高い稼働率が可能。
Echonet Liteに対応。
双方向通信で自動制御。
調査分析に基づいた容量。
他社製太陽電池が接続可能。
PVの売電優先・
蓄電優先を
選択可能。
Echonet Liteに対応。

個人的に、「住宅への蓄電池の本格普及は(蓄電池の価格がなかなか下がらない以上は)まだまだずっと先のことだろう」と思い込んでおり、蓄電池への関心・意識はめっきり弱くなっていました。

そのため、ここに来ていきなり、(パナソニックの「パワーステーションS」も含めて)まるで示し合わせたかのような住宅用蓄電システムの発表の連続となっていることには、かなり驚きました。

これについては、殆どのメーカー発表の中で言及されていますが、住宅用の余剰電力買取制度(2009/11開始)の最初の期間終了が、早くも2年後(2019年)に迫っており、それに伴って新たな市場の創出が見込まれることが、最大の要因かと思われます。

ただ今回の4社のうち、価格を明記しているのは2社だけであり、更に100万円を切っているのは1社(新興企業のLooop)のみと、一般普及するにはまだまだ高額だと感じざるを得ません。

その住宅用蓄電システムについては、中国企業も今年(2017年)の日本市場への投入を計画している[7]とのこと。

また日本での展開予定は不明ですが、米Tesla社の「Powerwall 2」という存在もあり、日本で予想される需要の本格化に向けて、果たしてどこまで低価格化が進み得るかが、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1]小型・高効率の家庭向けリチウムイオン蓄電システムPOWER DEPORIIIの販売を開始(住友電気工業)
http://www.sei.co.jp/company/press/2017/02/prs019.html
[2]89万円の家庭用蓄電池、Looopが発売(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/030206550/
[3]30年のFITを拡充、オリジナルの蓄電池も見せたLooop(スマートジャパン)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1703/01/news013.html
[4]住宅太陽光で攻めるLooop、90万円を切る蓄電池と新料金プランを発表(同上)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/news029_2.html
[5]3.2kWhリチウムイオン蓄電システムの発売(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/news/2017/0301_rrch.html
[6]住・産共用フレキシブル蓄電システム「KPACシリーズ」の発売について(オムロン)
http://www.omron.co.jp/press/2017/03/c0313.html
[7]海外の太陽電池大手、日本の住宅用を攻めるワケ(ニュースイッチ)
https://newswitch.jp/p/8106
[7]Powerwall 2(Tesla Motors)
https://www.tesla.com/powerwall

※関連記事:

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ソーラーフロンティアとNEDOが、CISサブモジュール(30cm四方)で変換効率19.2%・ミニモジュール(7×5cm)で19.8%を達成

ソーラーフロンティア社とNEDO2017年2月27日に、

  • CIS系薄膜太陽電池サブモジュール・ミニモジュールにおいて、変換効率の世界記録を更新した。
と発表していました[1][2]。

概要は次の通り。


モジュールの大きさ変換効率(測定機関)用いた技術
30cm角のサブモジュール 19.2%
(産業技術総合研究所)
  • 光吸収層における製膜プロセスの改良による、品質改善
  • バッファ層の変更
等、NEDOとの共同研究による技術。
7×5cmのミニモジュール 19.8%
(独フラウンホーファー研究機構)
※上記サブモジュールと同じ技術によるかは明記なし。

また今回用いた技術については、今年(2017年)夏から国富工場で、量産製品への適用を開始する計画とのことです。


ソーラーフロンティア社は、0.5cm2セルでは変換効率の記録をこまめに更新していますが、面積が大きいサブモジュールについては、今回は意外にも約5年ぶりの更新でした。

しかしその分、前回の記録(2012年2月の17.8%)から一気に1.4ポイント高めており、セルのほうで積み重ねてきた技術が、今回のサブモジュールでの結果にも結びついているものと推測します。

また以前から、ソーラーフロンティア社におけるサブモジュールでの技術開発は、商業生産への適用を容易にする目的があるとのことでした。

その通りに今回用いられた技術も、数ヵ月後にはもはや商業生産に導入予定であり、この点(あらかじめ実用化への目処をつけておくこと)も、記録更新に時間がかかった一因なのかもしれません。

同社の太陽電池モジュールの出力は、現在165〜175kW[3]となっていますが、これが夏に量産開始する製品で何処まで高まるのかは、今から非常に興味を惹かれるところです。


※参照資料:
[1]ソーラーフロンティア、CIS系薄膜太陽電池サブモジュールで世界最高変換効率19.2%を達成(ソーラーフロンティア社)
http://www.solar-frontier.com/jpn/news/2017/0227_press.html
[2]CIS系薄膜太陽電池サブモジュールで世界最高変換効率19.2%を達成(NEDO)
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100724.html
[3]太陽電池モジュール(ソーラーフロンティア社)
http://www.solar-frontier.com/jpn/residential/products/modules/index.html

※関連記事:

イビデン社がApple社向け製品の製造を100%再エネで行うことで、Appleと合意

Apple社が2017年3月8日に、

  • 日本の部品メーカー「イビデン」が、Apple社向け製品の生産再エネ100用いることで、Apple社と合意した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


<背景>

  • イビデンがAppleに供給している製品は、Apple製デバイスの内部で、集積回路とチップパッケージをまとめることに寄与している。
  • Appleでは環境保護を目的に、化石燃料から再エネへの移行を推進している。
    現在同社は
    • 23ヶ国で事業の100
    • 世界事業93
    を、再エネで賄っている。
  • またAppleとそのサプライヤーは、Apple製品の製造向けとして、2018年末までに、年間25億kWh超のクリーンエネルギーを発電する見込みである。

<イビデンの取組み>

Apple向け部品の製造に再エネ電力を100%用いることに合意したのは、日本企業で初となる。

  • 再エネへの導入規模12MW以上(Apple向け部品製造に必要な規模を上回る)
  • 具体的な投資先20以上の再エネ施設
    日本国内で最大規模の水上太陽光発電設備(名古屋付近、元は木材ヤードだった場所)を含む。

ただし当記事の作成時点(2017/3/17)では、イビデン社のウェブサイトに、この件に関する発表は掲載されていませんでした。


ちょうど最近の「日経テクノロジーonline」の記事(2017/3/13付)[3]が、Apple社の幹部の方(ケイティ・ヒル氏)が行った講演の内容を報じており、その中で同社の再エネ導入の方針・取組みが詳しく示されています。

それによると現在のAppleの取組みは、主に

  • 購入電力を切り替える。(化石燃料から再エネへ)
  • 自社で発電を行う。
  • 取引先(調達先、製造委託先など)での再エネ活用をトラッキングする。
の3つに分類されるとのことで、今回のイビデン社は、丁度この3番目のケースに当たるようです。

太陽光発電は当然、発電できる時間帯が限られるので、「100%再エネ」と言っても、リアルタイムで需給をマッチするのではなく、最低でも使用電力量と同量を再エネで発電する(そして余剰時は電力系統に送り、不足時は電力系統から供給を受ける)、ということだと思われます。

そのような条件付きであっても、大量の電力を消費する製造業で、(あくまで特定の企業向けの製品のみであっても)再エネ電力を「100%」用いるというのは、個人的にはコスト的にまだまだずっと先のことと思っていました。

そのため記事[3]を読んで、Apple社の取引先でも「100%再エネ」の公約が、想像以上のスピードで広がっていることには、強く驚かされました。

これが(Apple社に限らず)今後の世界の趨勢となっていくならば、それに伴って日本でも、 産業用太陽光発電(屋根設置やメガソーラー等)に対する需要が、再び拡大する可能性があると考えます。

ただその場合、再エネ活用が製造コストにどれだけ影響するかが懸念であり、その点はケイティ氏も「現在の日本では、コストが2〜3倍高くなる可能性がある」と、明確に指摘されています。

太陽光発電自体の更なるコストダウンの推進は勿論として、今後の世界市場で日本企業が競争力を維持する・またはより高めるために、政策の大胆な舵取りが必要な局面に、今まさしく直面しつつあるのかもしれません。


※参照資料:
[1]Apple takes supplier clean energy program to Japan(Apple社)
http://www.apple.com/newsroom/2017/03/apple-takes-supplier-clean-energy-program-to-japan.html
[2]アップル向け製品を「100%再エネで製造」、イビデンが国内初(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/030906648/?i_cid=nbptec_sied_rel
[3]アップルが語る「再エネ100%を実現するために、日本に望むこと」(同上)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/031306708/?rt=nocnt

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2017年03月13日

JinkoSolar+丸紅のコンソーシアムが、アラブ首長国連邦で1177MWの太陽光発電プロジェクトを手がける

JinkoSolar社と日本の丸紅2017年3月1日に、

  • 2社によるコンソーシアムが、アラブ首長国連邦における1GW超の太陽光発電プロジェクトについて、アブダビ水力発電会社(ADWEC)との間で電力買取契約(PPA)を締結した。
と発表していました[1]。

プロジェクトの概要は次の通り。


  • 名称Sweihan Photovoltaic Independent Power Project
  • 事業の体制
    下記3者が出資する特別目的会社が、建設・運営・メンテナンスを担う。
    • JinkoSolar:20%を出資
    • 丸紅:同上
    • アブダビ水電力省(ADWEA):60%を出資
  • 建設場所:アブダビ市の約120km東
  • 発電容量1177MWDC
  • 発電電力の用途
    25年間にわたり、全量をADWECに売電する。
    (※ADWECは、ADWEAが完全に所有している)
  • 商業運転の開始時期2019年4月の予定。

当ブログの開設から約10年目にして、実際に「ギガソーラー」のプロジェクト立ち上げを見聞きすることになるとは、全く思いもしませんでした。

肝心なPPAの具体的な金額は、2社の発表には書かれていません。

しかし「日経テクノロジーonline」の記事[3]には、本プロジェクトの応札の結果が掲載されており、全ての事業者が4セント/kWh以下を提示していたことには、強く驚かされます。

もっとも今回のように莫大な規模のプロジェクトだと、1kWhあたりの売電価格の差はほんの少しに見えても、事業期間トータルでの売電額では相当大きな差になる(=初期コスト・運営コストにも相応の差がある)と考えられます。

JinkoSolar+丸紅の応札価格は、2.42セント/kWhとなっていますが、これは2016年の新興国でのプロジェクトの最安価格(チリでの2.91セント/kWh)を優に下回っており、急速なコストダウンが一体どこまで進み得るのか、空恐ろしくもあります。

またこうなると、太陽光発電のコストに関するこれまでの一般的な認識は、少なくとも大規模事業においては、世界を見るときには、もう完全に改める必要があるように思われます。

そしてその真っ只中に、日本企業が中国の大手モジュールメーカーと組んで参加していることは、非常に興味深く、これも太陽光発電市場の急速な変化の一つなのでは、と感じるものです。


※参照資料:
[1]JinkoSolar and Marubeni Corporation Enter Into Power Purchase Agreement for Sweihan Photovoltaic Independent Power Project in Abu Dhabi(JinkoSolar社)
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=234421&p=irol-newsArticle&ID=2250474
[2]アラブ首長国連邦・スワイハン太陽光発電プロジェクトの長期売電契約締結について(丸紅)
http://www.marubeni.co.jp/news/2017/release/20170301.pdf
[3]太陽光でコスト最安の「ギガソーラー」、アブダビで建設へ(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/030206542/?rt=nocnt
[4]アブダビ(ウィキペディア)

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