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2017年06月29日

NEDOが太陽光発電のBOSコスト低減・システム効率向上のため、新たな研究開発テーマ4つを採択、住宅の建材一体型や非住宅の壁面設置など

NEDO2017年6月26日に、

  • 太陽光発電における
    • BOSコスト(太陽電池モジュール以外の初期コスト)の低減
    • システム効率向上(発電量を増加させる)
    を目的とした、計4テーマの研究開発を実施する。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


<背景>

  • 太陽光発電のコストの更なる低減が求められている中で、経産省の「調達価格等算定委員会」は
    • 2019年度(平成31年度)の10kW未満(住宅用):
      ・調達価格の目標:24円/kWh
      ・上記の実現に必要なシステム価格の想定値30.8万円/kW(2016年12月に提示)
    等の目標数値を示している。
  • NEDOは、5年計画(2014〜2018年)で「太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト」を進めている。
    その中で、上記の目標値を追加した公募を行った結果、今回の4テーマを採択した。

<研究開発のテーマ・内容など>

実施期間は2年。

  • BOSコストの低減
    下記のシステム価格を実現する技術を開発する。
    • 住宅用(10kW未満):2019年に30.8万円/kW以下
    • 非住宅用(10kW以上):2020年に20.0万円/kW以下
    テーマ内容委託先
    長寿命モジュール対応の低コスト太陽光発電システムの開発、実証 住宅屋根設置用の建材一体型を志向した、長寿命モジュールを開発する。
    そしてこのモジュール向けに、低コストの架台施工技術を開発する。
    三洋電機
    新建材一体型モジュール+高耐久化によるBOSコストの削減 記載無し カネカ社

  • システム効率の向上(発電量の増加)
    現状のBOSコストで、システム全体の発電量10%以上アップする技術を開発する。
    テーマ内容委託先
    内部反射型効率向上・規格化壁面設置太陽光発電システムの開発 壁面設置型垂直設置、両面発電)のモジュール向けに
    • 太陽光の効果的な入射
    • 建築物の内外壁面への、低コストでの設置
    を可能にする工法を開発する。
    カネカ社
    多雪地域用非常電源機能付き太陽光発電システムの高効率化・低コスト化 記載無し 「公害技術センター」社


「三洋電機」の名前にはちょっと驚きましたが、検索してみたところ、金属のプレス加工などを手がけている同名の企業様[3]がありました。

そのため流石に委託先は、パナソニックに吸収された(HIT型太陽電池を手がけていた)三洋電機のほうではないと思われます。

もっとも[3]の企業様は、主事業が自動車向け部品の製作などであり、今回の委託先かどうかは確認していません。

しかし保有技術の点では、太陽電池モジュール用架台の開発・製造とも、適合するように見受けられます。


また「公害技術センター」様のサイト[4]もありましたが、同社が今回の委託先企業と同じかどうかは、やはり未確認です。

ただ[4]の企業の本社・支店は、降雪地域である長野県内であり、また環境関連の事業を手がけておられることから、こちらも「多雪地域用」太陽光発電というテーマとは、合っているように感じます。


それはひとまず置いて、「BOSコスト低減」のシステム価格の目標値と、昨年度・今年度のシステム価格(調達価格等算定委員会の発表資料[2]内)を照らし合わせると

住宅用
(10kW未満)
非住宅用
(10kW以上)
2016年度35.3万円/kW25.1万円/kW
2017年度33.6万円/kW24.4万円/kW
2019年度
の目標値
30.8万円/kW
以下
2020年度
の目標値
20.0万円/kW
以下
となります。

住宅用は(2016年度・2017年度比で)約3万〜4万円/kWのダウン、非住宅は4〜5万円のダウンであり、これはかなり大きな引き下げ目標という印象です。

しかし今回の研究テーマは、

  • 建材一体型の住宅屋根設置
  • 非住宅の壁面・垂直設置
  • 多雪地域向けの非常電源付き
と、適用範囲がかなり限られており、これで上記のコスト引き下げ幅を実現できるものなのか、個人的には疑問を抱きます。


また今回は、(個人的に最も関心がある)既築住宅への導入コスト引き下げの取組みが、全く入っていないのは残念でした。

もっともNEDOは以前から、太陽光発電の進歩に向けた取組みを幅広く手がけており(関連記事)、今回の新テーマもあくまでその大きな流れの一部、ということだとは思われます。


※参照資料:
[1]太陽光発電コストのさらなる削減を目指す研究開発4テーマを新たに開始(NEDO、2017/6/26発表)
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100785.html
[2]調達価格等算定委員会(第28回)‐配布資料(経産省、2016年12月13日更新)
http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/028_haifu.html
[3]技術と製品(三洋電機)
http://www.sanyo-dss.co.jp/page4.html
[4]株式会社公害技術センター
http://www.kotec.jp/index.html

※関連記事:

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2017年06月28日

リンテックの米国子会社が太陽電池用バックシート事業から完全撤退する方針、フェローテックも太陽電池関連事業の縮小を進める

太陽電池向け製品を手がけるリンテック社とフェローテック社について、

  • リンテック:米国子会社がバックシート事業から完全撤退する。[1]
  • フェローテック太陽電池関連事業構造改革縮小する。[3]〜[5]
と発表・報道されていました。

ここではそれらの中から、主な情報を抜き出してみました。


<リンテック子会社のバックシート事業からの撤退>

対象の子会社 Madico
背景・経緯
  • Madico社は米国で、機能性特殊フィルムの製造・販売を行っている。
    (生産拠点はマサチューセッツ州とフロリダ州)
    その中で太陽電池用バックシートが、同社の業績を牽引してきた。
  • しかし近年、同製品が急速にコモディティ化
    • 受注の減少
    • 価格の大幅下落
    が発生。
    このため2012年から、大幅な営業損失が続いている。
  • Madico社はこれまで経営合理化に取り組んできたが、大きな効果は得られなかった。
    今回は抜本的な経営合理化の一つとして、太陽電池用バックシート事業から撤退することを決定した。
今後の方針 太陽電池用バックシート事業からは、完全撤退する。
同事業を行っているマサチューセッツ州の拠点は、人員を削減し、新製品のための研究開発拠点に変更する。
(※具体的な時期などは記載無し)

<フェローテック社の太陽電池関連事業>

2016年度(2016/4〜2017/3)の
「太陽電池関連事業」
セグメントの状況
  • 中国太陽電池セル価格暴落が発生。
    (※年央のFIT終了に伴う駆け込み需要の反動)
    フェローテック社も在庫処分を行い、収益が圧迫された。
  • 結晶製造装置について、先に販売していたユーザーの回収不能額が確定した。
  • セグメント業績は
    • 売上高:187億7300万円(前年度比1.4%増)
    • 営業利益:11億8400万円の赤字(前年度は16億9200万円の赤字)
業績改善のための措置
(2016年度)
  • 単結晶製造装置石英坩堝は、半導体用途への転換が進んでいる。
  • その他の不採算製品では、
    • 事業の縮小
    • 設備の除却
    等の事業構造改革を続けている。
日経新聞の最近の報道[5]
  • 部材製造・販売を行う中国の子会社5について、株式を売却し子会社から外す
    これは、2019年3月期を目処に行う。
  • 太陽電池関連事業の営業赤字は、2016年度まで5年連続。


太陽光発電の世界の導入量は2016年(76.6GW)が前年比50%増であり、世界全体での機器・部材の需要も急速に拡大している筈です。

しかしそれにも関わらず、今回の発表・報道であり、老舗モジュールメーカーの独SolarWorld社の経営破綻などと共に、太陽光発電市場・産業の変化も極めて急激なものであることの、表れかもしれません。


太陽電池用バックシートと言えば、モジュールの長期耐久性に関わる重要部材であり、メーカーの技術力の高さが優位点となっていた筈ですが、その部材でも既にコモディティ化が進んでいるということに驚かされます。

もっとも、太陽電池モジュールの急激な価格低下の背景に、このような部材のコモディティ化や価格下落があるとすれば、合点が行くことでもあります。


フェローテック社が手がけている太陽電池用の素材・部材は、結晶シリコンのインゴットにウエハー、セルと、結晶シリコン型モジュールの中心とも言える部分です。

それらの製品は、同社「太陽電池関連事業」の2016年度売上高の実に85%を占めており([4]の26・27p)、それだけに、太陽電池モジュールの価格低下が急速に進む中で、セグメントが営業損失から抜け出せないのは、(残念ながら)無理も無いことと感じられます。


今後、新興国での太陽電池需要が拡大していくのであれば、(アブダビでの世界最大の太陽光発電プロジェクト(1177MW、売電額2.42米セント/kWhで契約)が象徴的だと思いますが)コストに対する要求や競争も、厳しさが増しこそすれ、緩むことは無いと思われます。

技術力や品質を強みとしてきた老舗の素材・部材メーカーが、この状況に如何に対応していくのか、という点は、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1]米国連結子会社における経営合理化に関するお知らせ(リンテック、2017/6/22発表)
http://www.lintec.co.jp/topics/ir/pdf/20170622_2.pdf
[2]Madico, Inc.
http://www.madico.com/
[3]平成29年3月期 決算短信【日本基準】(連結)(フェローテック、2017/5/19発表)
https://www.ferrotec.co.jp/pdf/press/2017/20170515153103.pdf
[4]2017年3月期決算説明会資料(同上、2017/5/25発表)
https://www.ferrotec.co.jp/pdf/press/2017/20170525174101.pdf
[5]フェローテク、太陽電池を縮小 19年3月期めど(日本経済新聞、2017/6/22付)
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLZO17951260R20C17A6DTA000/
[6]グローバルリンク 中国(フェローテック)
http://ferrotec-global.com/globallink.php#china

※関連記事:

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2017年06月26日

印「Sterling and Wilson」社が1177MWpの太陽光発電所のEPCとO&Mを受注、独自の設計技術などが入札額(2.42米セント/kWh)に寄与

太陽光発電のEPCなどを手がけている、インドの「Sterling and Wilson」社が2017年6月19日に、

  • アブダビにおける太陽光発電プロジェクト(1177MWp)の、ターンキーEPC(設計・調達・建設)とO&M(運営&保守)を受注した。
と発表していました[1][2]。

ここではその内容と、同社のサイト[3]から、主な情報を抜き出してみました。


<発電所について>

建設場所 アブダビ首長国のスワイハン
発電所の面積 7.8km2(砂漠地帯)
発電容量 1177MWp
19万5000世帯に電力を供給し、
CO2排出量を約700万t/年、削減できる見込み。
着工〜系統連系までの期間 23ヶ月の予定(※既に着工済み)
入札額 2.42米セント/kWh
太陽光発電で「過去最安」とのこと。
  • 設備費の低下
  • 高効率システム設計
    (プラントの出力と性能を
    • 独自の設計製品
    • 最先端のロボット技術
    により最適化)
を、実現の最大の要因としている。
共同開発者
  • 日本の丸紅
  • JinkoSolar社
  • アブダビ水電力省(ADWEA)
  • Sterling and Wilson社

<Sterling and Wilson社の事業規模>

太陽光発電のEPCへの参入 2010年[3]
太陽光発電所の実績 1400MW強
「米国・中国以外では、世界最大のEPC企業」とのこと。
3000人超の
  • エンジニア
  • プロジェクトマネジャー
  • 設計者
を擁している。
プロジェクトの実行能力
(※再エネ分野全体)
3000MW以上


丸紅とJinkoSolarにより本事業が落札されたこと自体は、3ヶ月前(今年3月)に発表されていました。

しかし、脅威の落札額(2.42米セント/kWh)を実現できた背景については、全く記述されていなかったので、EPC担当企業による今回の発表は、興味深いものです。

太陽電池モジュールの価格低下は、他の事業者もそう変わらない条件の筈なので、完成までの期間の短さも考えると、今回は機器の価格低下以外の要素(システム設計の合理性の高さ等)が、他の入札参加者に勝つ決め手になったと推測します。


[3]を見ると、Sterling and Wilson社がこれまで手がけてきた太陽光発電プロジェクトは、殆どが新興国の地域(アジア、中東、アフリカ、南米)。

また同社自体もインドの発祥であり、新興国におけるコスト低減の要望に応えるだけの、能力を培ってきたことが推測されます。

同社は、太陽光発電のEPCへの参入こそつい最近(2010年)ですが、設立は90年前(1927年[4])であり、電気関係(設計、建設など)で長く積み重ねてきた経験と実績が、太陽光発電分野での競争力にも大きく活かされているものと、想像します。


太陽電池モジュールの生産・出荷においては既に、中国メーカーが世界の上位を占めている状況ですが、Sterling and Wilsonのような企業が存在するとなると、今後は他の分野(EPC等)でも、新興国の企業がどんどん勢力を増してくる可能性があるのでは・・・と考えさせられます。


※参照資料:
[1]Sterling and Wilson scales new heights; gets awarded the world’s largest solar PV plant(Sterling and Wilson社)
http://sterlingandwilson.com/wp-content/uploads/2017/06/Sterling%20and%20Wilson%20scales%20new%20heights_%20gets%20awarded%20the%20world%E2%80%99s%20largest%20solar%20PV%20plant.pdf
[2]スターリング・アンド・ウィルソンが世界最大のソーラーPVプラントを受注し、新たな高みに到達(BusinessWire)
http://www.businesswire.com/news/home/20170622005718/ja
[3]Solar EPC Solutions(同上)
http://sterlingandwilson.com/offerings/solar-epc/
[4]Profile(同上)
http://sterlingandwilson.com/about-us/profile/

※関連記事:

2017年06月25日

トランプ米大統領が米国・メキシコ間国境の壁を「ソーラーウォール」とする案を公表、売電収益で建設費用を軽減する考え

米国のトランプ大統領2017年6月21日に、アイオワ州での支持者集会において

  • 米国・メキシコ間国境に建設する方針のに、太陽電池パネルを設置して「ソーラーウォール」とする。
との案を発表していたとのことです[1]〜[3]。

今回は各記事から、その案の主な点を抜き出してみました。


電力を調達する 壁の建設場所は、日光が豊富である。
その壁に太陽光発電の機能を持たせることで、安価なエネルギーが調達できる。
建設費用を賄う 壁から得られる売電収益を、壁の建設費用に充てることで、メキシコ側の支払額が大幅に少なくできる。
(※トランプ氏は以前から、壁の建設費用はメキシコに負担させると主張している)
壁の価値 この方法だと、壁が高ければ高いほど、価値が上がる。

ただし、壁に太陽電池パネルを設置するという考え自体は、

  • 政府による壁の設計図募集に応募した企業
  • 「ウォールストリートジャーナル」紙への学者2名による寄稿
において、既に提案されていたとのことです。



先になされていた提案と、トランプ氏による今回の提案が、どの程度類似しているのかは判りません。

また、政策としての実行可能性も不明ですが、提案の内容が興味深いものであることは、確かだと思います。

何しろトランプ氏は地球温暖化に懐疑的な立場であり、実際に今月2日には「パリ協定」の脱退を表明(例えば[4])。

それだけに、太陽光発電を大規模に設置する今回の案は、非常に意外でした。


ただ思い返すと、特に昨年から、太陽光発電の発電コストの低下が目立っており、それは先進国である米国でも顕著です。

これに関する種々の情報は、流石に大統領であるトランプ氏の耳にも入っていると思われます。

そして、想定される経済的なメリットを第一の理由とし、更に

  • メキシコ側の態度軟化
  • パリ協定脱退に対する反発の軟化
への期待も勘案して、今回の「ソーラーウォール」案の発表に至ったのでは、と推測します。


とは言え、最重要機材である太陽電池モジュールの急激な価格低下は、トランプ氏が貿易不均衡と批判してきた中国(例えば[5])のメーカーに、良くも悪くも牽引されてきたもの。

その影響は

と、米国の産業への波及もみられます。

実際に5月には、Suniva社の陳情を受けて、米ITCが輸入太陽電池を対象とするセーフガード実施に向けた調査を開始しています。


そして、米国・メキシコ間の国境は3000km超[6]であり、これは日本列島の長さ(約3000km[8])にも匹敵する距離。

これに「ソーラーウォール」と呼ぶにふさわしいだけの太陽電池モジュールを設置するとなれば、どのような設置の仕方でも、莫大な枚数になると思いますが、それだけのモジュールをどのメーカーから調達するのか。

大雑把には

  • コストを優先:中国メーカー製
  • 国内産業の保護、製品の信頼性を優先:米国内での生産品
となると思われますが、どちらを重視するかは、トランプ氏にとって悩ましい課題となるのではないでしょうか。


ただし、物議を醸している米国・メキシコ間の「壁」に、建設的な意味と価値を持たせよう、という考え方自体には、個人的に強く賛同します。

実現するか否かは、トランプ氏の実行力とリーダーシップに依ると思いますが、将来的に氏の「実績」の一つとして挙げるに足るだけの、具体的な形になることを、是非とも願うものです。


※参照資料:
[1]米大統領「太陽光パネルの壁」 メキシコ国境に提案(宮崎日日新聞)
http://www.the-miyanichi.co.jp/news/World/2017062201001676.php
[2]トランプ大統領が新構想、メキシコ国境壁でソーラー発電(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/article?k=20170622035828a&g=afp
[3]トランプ米大統領、メキシコ国境の壁に太陽光パネル設置を提案(BBC)
http://www.bbc.com/japanese/40363546
[4]トランプ「パリ協定」脱退!地球温暖化防止よりアメリカの利益ファースト(J-CASTニュース)
https://www.j-cast.com/tv/2017/06/02299589.html
[5]鉄鋼・アルミ立法も…中国の不当廉売に対抗(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20170613/k00/00e/020/183000c
[6]アメリカ=メキシコ国境(ウィキペディア)
[7]メキシコとアメリカの壁(同上)
[8]日本列島は約3000kmとよく言われますが、それは…(Yahoo!知恵袋)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1162122561

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2017年06月22日

太陽光発電+水素利用の実証試験2件が東北地方で開始、浄水場(東北大学+仙台市水道局)と建物付帯型(清水建設+産総研)

今月(2017年6月)に入ってこれまでに

  • 太陽光発電水素利用を組み合わせた実証試験の開始
が2件、報道・発表されています[1][7]。

今回は他の情報元([2]〜[6])と合わせて、各試験の概要をまとめてみました。


<浄水場での実証試験>

実施者 東北大学、仙台市水道局
実施場所 仙台市内の「茂庭浄水場
目的 浄水場において
  • 通常時の再エネ電力の有効利用
  • 災害時などの非常用電源の確保
を実現する。
仕組み 太陽光発電設備(20kW、浄水場に既設)の余剰電力により、水を電気分解して水素を発生させ、タンク(30m3)等に貯める。
太陽光発電の出力不足時や、非常時に、この水素を用いて燃料電池で発電する。
(※短周期変動用の貯蔵装置(電気二重層キャパシタ)も用いる)
実施期間 20166月〜2019年度末
事業費 4億5000万

<建物付帯型システムの実証試験>

実施者 清水建設、産総研
実施場所 産総研の「福島再生可能エネルギー研究所」(FREA)内
背景・目的 水素エネルギー利用システムは、余剰電力により水を電気分解して作った水素を貯蔵し、必要に応じて酸素と反応させ、電気と熱を取り出す。
清水建設と産総研の共同研究は2016年2月に開始しており、今回の実証システムは2017年4月に完成した。
両者は、この研究でコンパクトな建物付帯型システムを開発し、2020年までに建物・街区に導入することを目指している。
今回の実証試験では
  • システムの性能検証
  • 自社製スマートBEMSによる、最適な制御技術の確立
を目的としている。
設備・システム 延床1000m2程度の建物での利用に、特化した規模と構成としている。
  • 太陽光発電設備(20kW)
  • 水電解装置(5Nm3/h)
  • 水素貯蔵装置(約40Nm3、水素吸蔵合金を使用)
  • 燃料電池(3.5kW)
  • 蓄電池(10kW)
  • シミズ・スマートBEMS」:
    実際の建物での電力・熱需要データに基づき、太陽光発電の発電状況を勘案しつつ、水素の製造・貯蔵・放出等を監視・制御する。
実施期間 2016年6月〜2018年3月(約10ヶ月間)


両事業とも「太陽光発電+水素利用により、電力需給のマッチングを図る」という点は共通していますが、一方で電力の需要先は

  • 前者(東北大+仙台市水道局):特定の用途を持つ施設(浄水場)
  • 後者(清水建設+産総研):一般的な(汎用の)建物を想定した試験施設
と、明確な違いが感じられます。

具体的には、前者の電力需要は(施設の用途が特化されている故に)比較的予想しやすいと考えられるのに対し、後者は(実用時には)多様な建物利用者が想定されます。

そして実証試験用のシステムを見ると、後者で用いられるEMSは、前者には明記がありません。(※ただし太陽光発電設備の「電力入出力制御」は有る)

この点には、各々の需要先施設の、電力需要の特性の違いが表れているのでは、と推測します。


今回の2つの実証試験を含むNEDOの「水素社会構築技術開発事業」[4][5]は、最終的に2030年頃の「本格的な水素サプライチェーンの構築」を想定しているとのこと。

ちょうどその頃は、FIT(2011年度に開始)で初期に認定された産業用太陽光発電の買取期間切れ(20年)が目前であり、水素利用の本格的な実用化が実現していれば、まだ稼動できる太陽光発電設備の継続利用を、強力に後押しするインフラになり得ると考えます。

また、太陽光発電+水素利用の実用化に向けた取組みは、例えば

と、先述のNEDOの事業に入っていないものも有り、日本国内での研究開発の旺盛さ(そして実用化への期待の強さ)が伺えます。

これらの取組みが実を結び、日本における早期の実用化が実現することを、是非とも期待したいものです。


もう一点、今回の実証試験が両方とも、東北地方で実施されるのが、非常に興味深いです。

東日本大震災と福島第一原発事故を経験したことが、この地域において新しいエネルギー技術の研究・開発を積極的に進める、強い原動力となっているとすれば、将来的に水素利用の一大先進地となる可能性は、高いのかもしれません。


※参照資料:
[1]安定発電へ水素精製 浄水場で8月実証実験(河北新報、2017/6/20の記事)
http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201706/20170620_13032.html
[2]東北大学・水素社会構築技術開発事業への協力について(仙台水道局)
https://www.suidou.city.sendai.jp/01_jigyou/11.html
[3]非常用電源機能を有する再生可能エネルギー出力変動補償用 電力・水素エネルギー貯蔵システムの研究開発
(東北大学、http://www.ecei.tohoku.ac.jp/hamajima/内)
http://www.ecei.tohoku.ac.jp/hamajima/study/NEDO20161121.pdf
[4]水素社会構築技術開発事業 実施方針:平成29年度版
(NEDO、http://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100096.html内)
http://www.nedo.go.jp/content/100863639.pdf
[5]平成28年度「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発」に係る実施体制の決定について 委託先一覧
(同上、http://www.nedo.go.jp/koubo/FF3_100144.html内)
http://www.nedo.go.jp/content/100798052.pdf
[6]清水建設と産総研、太陽光発電で水素を製造、スマートBEMSでの最適な制御を目指す(新電力ネット)
https://pps-net.org/column/39017
[7]建物付帯型の水素エネルギー利用システムが本格稼働(清水建設、2017/6/1の発表)
http://www.shimz.co.jp/news_release/2017/2017010.html
[8]福島再生可能エネルギー研究所
http://www.aist.go.jp/fukushima/

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2017年06月17日

韓国電力公社などが北海道・千歳市でメガソーラー(28MW)を試運転開始、13MWhの蓄電システムも併設

「朝鮮日報」の記事[1](2017年6月16日付)で、

  • 韓国電力公社」等による、北海道・千歳市での太陽光発電所
について報じられていました[1]。

その中から、発電所に関する主な数字などを抜き出してみました。


設置場所 新千歳国際空港」の付近。
敷地面積 109万m2
発電容量 28MW
※太陽電池モジュールの枚数は12万3480枚。
その他の設備 容量13MWhESS(蓄電システム)も設置している。
総事業費 113億
出資比率
  • 韓国電力公社80%
  • 日本の「エネルギープロダクト」社:20%
韓国企業(LS産電など13社)からの資材の調達額は、計約50億円。
発電電力の用途 北海道電力に売電する。
(※売電の見込み額は、計約317億円)
スケジュール
  • 2016/4:着工
  • 2017/6/15:試運転(20日間実施)の開始を発表。
  • 7/5:商業運転を開始する予定。

また今回の設備は、韓国電力公社が「海外に建設した初の太陽光発電所」とのことです。



4年前(2013年)には、韓国電力公社の子会社[2]である「韓国中部発電」による、兵庫県でのメガソーラー計画(2ヶ所、計68MW)が報じられていました。

しかし当記事の作成時点で、日本のメガソーラー一覧[5]に、その兵庫県のプロジェクトは見当たらず、またネット検索でも「稼動している」という情報を見つけられませんでした。

そのことから、兵庫県の事業はまだ稼動には至っておらず(もしくは中止になった?)、そのために今回の北海道千歳市の事業が、韓国電力公社の「海外初」の太陽光発電所となったものと想像します。


その千歳市のプロジェクトでは、太陽光発電の28MWという規模もさることながら、かなりの規模のESS(蓄電システム)も備えていることには驚きました。

大雑把な計算として、太陽光発電の建設コストが1MWあたり3億円と仮定すると、28MW×3億円/MW=84億円。

総事業費113億円から、この84億円を引くと29億円であり、これがESSのコストと考えると、総事業費の実に約1/4を占めることになります。

ESSの導入によるコスト面での合理性がどうなのかが、非常に気になるところですが、このプロジェクトのFIT認定は2012年度(42円/kWh)と推測されることから、売電価格の条件の良さに助けられている面は、大きいのかもしれません。


とはいえ、日本国内での数十MW規模の太陽光発電所における、蓄電システムの併設は、私はこれまで見聞きした記憶がありません。

このプロジェクトでの資材・機器の調達は、大部分が韓国の企業からと思われますが、蓄電システムのコストが現在どの程度の水準になっているのかは、非常に興味を惹かれるところです。

今回のプロジェクトは、韓国電力公社による海外展開のモデルケースとしての意味合いもあるようですが、もし韓国メーカー製の蓄電システムの価格が、太陽光発電所に導入できる現実的な水準に達しているのであれば、今後も同様のプロジェクト(太陽光発電+蓄電システム)が展開されていくと考えられるので、今後の動向には注意を払っていきたいと思います。


※参照資料:
[1]韓電、北海道で太陽光発電所の試運転開始(朝鮮日報、2017/6/16付)
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2017061600606
[2]韓国電力公社(ウィキペディア)
[3]New Renewable Power - Activities(KEPCO)
http://home.kepco.co.kr/kepco/EN/B/htmlView/ENBBHP00302.do?menuCd=EN02020302
[4]太陽光発電システム(エネルギープロダクト社)
http://www.enepro.jp/solar.html
[5]共同事業(ウィキペディア「日本の太陽光発電所」内)

※関連記事:

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2017年06月10日

「SolarPower Europe」発表の2016年の世界の太陽光発電導入量は76.6GW(前年比50%増)、新規導入量・累積導入量ともに中国がトップ

「SolarPower Europe」が2017年5月30日に、

  • レポート「Global Market Outlook for Solar Power 2017-2021」をリリースした。
と発表していました[1][2]。

今回は日経新聞の記事[3]と合わせて、2016年通年の世界の太陽光発電導入量に関する数字を、抜き出してみました。

※単位の換算(kWからGW)は、当ブログ管理人による。


2016年の新規導入量(上位4ヶ国)>

新規導入量(前年比)
世界全体76.6GW(50%増)
中国34.5GW(128%増)
米国14.8GW(97%増)
日本8.6GW(22%)
インド記載無し(125%増)

2016年末時点での累積導入量の国別シェア(上位4ヶ国)>

世界全体の導入量は306.5GW。

シェア
中国25.3%
日本14.0%
米国13.8%
ドイツ13.4%(※前年は2位)


世界の導入量データは久しぶりに見ましたが、2016年の新規導入量が、一気に前年の1.5倍にまで拡大していたとは、思いもしませんでした。

今回は特に、新規・累積の両方でトップとなった、中国の存在感が際立ちます。

また米国も、やはり新規・累積ともに上位に入っており、これら2国における太陽光発電導入の勢いの強さが伺えます。

その中で日本は、新規導入は減速しているとはいえ、いまだ3位。

また累積では、(米国と僅差ですが)予想外にも世界2位につけており、FITの効果が(良し悪しあるとはいえ)まだまだ色濃く残っていることが感じられます。

そしてそのFITにより、かつては世界最大市場だったドイツ(関連記事)は、今回の累積導入量で4位。

新規導入量で、欧州の国が上位4ヶ国に全く入っていないことと合わせて、太陽光発電の世界市場の趨勢がこの数年間で大きく変化したことを、改めて確認させられるものです。


2016年に新規導入が急増した要因として、プレスリリース[2]では、発電コストの劇的な低下が強調されています。

その中で「世界記録」として示されている、アブダビのプロジェクトの売電契約価格(2.4米セント/kWh)は、やはり驚くべき数字であり、世界全体で進行するコストダウンの象徴と言えるのかもしれません。

実際、このようなコストダウンを背景の一つとして、東南アジアで太陽光発電プロジェクトへの投資が活発化している、との報道もあり[4]、これから新興国での導入が加速するとすれば、それ自体は非常に喜ばしいことだと思います。


しかし一方で、太陽電池モジュール市場の最近の動向を見返すと、中国メーカー等が出荷量を大きく伸ばした一方で、

といった、大きな不振も目立っています。

昨年(2016年)の新規導入量が「前年比1.5倍」だったにも関わらず、販売量・出荷量を大きく落とし、また経営破綻するメーカーまで現れているのは、何か非常に歪な状況だと感じざるを得ません。

急激なコストダウンを単に喜ぶだけでなく、このあたりの歪さが解消される方向に行かなければ、遠からず太陽光発電産業・市場の継続的な成長に、支障をきたすのではと懸念します。


※参照資料:
[1]Press releases(SolarPower Europe)
http://www.solarpowereurope.org/media/press-releases/
[2]Global Market Outlook 2017-2021: Solar Boom Continues(同上)
http://www.solarpowereurope.org/index.php?eID=tx_nawsecuredl&u=0&g=0&t=1497090778&hash=6a99896f55326f5da087653e214d7db030e798a3&file=fileadmin/user_upload/images/GMO/300517_GMO_press_release.pdf
[3]世界の太陽光発電導入49%増 2年連続最高更新(日本経済新聞)
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASDC30H2A_Q7A530C1000000/
[4]焦点:東南アジアの太陽光発電、好条件重なり急拡大へ(Reuters)
http://jp.mobile.reuters.com/article/idJPKBN18Z0IC

※関連記事:

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2017年06月07日

米ITCが結晶シリコン太陽電池セルにおけるセーフガード向け調査の実施を発表、米国外の生産品全てが対象

米国ITC(International Trade Comission)が2017年5月に、

  • 結晶シリコン太陽電池セルの輸入におけるセーフガード実施に向けて、調査を行う。
と発表していました[1]。

ここではその中から、主な内容を抜き出してみました。


調査の背景 国内の太陽電池セル・モジュールメーカー「Suniva」からの陳情を受けた。
(※同社は2017年4月13日に、連邦破産法11条の適用を申請している[2][3])
調査の内容 結晶シリコン太陽電池セルにおいて、
  • 輸入品と似た・または直接競合する製品
を生産する国内産業に対して、
  • 重大な傷害・脅威
の実質的な原因となるだけの増加量で、輸入品が米国に輸入されているかどうか。
※この調査については「非常に複雑(Extraordinarily Complicated)」と判断されている。
調査の対象となる製品 下記に該当する結晶シリコン太陽電池セル。
  • 部分的に・または完全に他の製品に組み立てられているか否か、を問わない。
    モジュール、ラミネート、パネル、建材一体型製品などを含む。(そしてこれらに限定されない)
    輸入後に組み立てられた製品も、調査対象となる可能性がある。
  • 厚さ20μm以上p/n接合を持つもの。
    電流を集める・送るための、各種加工や素材の付加の有無によらない。
  • PERC」セル、「HIIT(heterojunction with intrinsic thinlayer)」セル、その他の「ハイブリッド」セルを含む。
    (そしてこれらに限定されない)
調査の対象外
  • 米国内で製造された太陽電池セル。
  • 薄膜型太陽電池(アモルファスシリコン、CdTe、CIGS)
  • 結晶シリコン型セルでも、下記に当てはまるもの。
    • 消費者向け製品に永久的に組み込まれており、発電電力をその製品自体で消費する。
    • 合計面積が1万mm2を超えない。
スケジュール
  • 2017年5月17日:Suniva社からの陳情を受理。
  • 同8月〜10月:損害や救済に関するヒアリングを行う。
  • 同9月22日まで:損害の判断を決定する。
  • 同11月13日まで:大統領に報告書を提出する。


中国から輸入される太陽電池を対象とした米国の対抗的な動きは、私が知る限りでは2011年に始まっています。

実際に2012年に反ダンピング関税・相殺関税が決定された後、中国メーカーは台湾で太陽電池セルを生産するようになり、それに対して米国は台湾製の製品も対象に

しかしその後、中国メーカーは東南アジアに製造拠点を移して課税を免れた([3]の3p)とのことで、「米国外」で製造したセルを調査対象とする、との今回の米ITCの発表は、いたちごっこに痺れを切らした米国太陽電池メーカーの、代弁とも感じられます。

調査対象の製品(条件)は、過去の調査時と(生産地域を除いて)ほぼ同じであり、今回はあくまで、生産地をずらす「抜け道」を塞ぐことが、主目的であることが伺えます。


その是非は私には判断しかねるのでさて置くとして、ニュース記事[3]の2pには、Suniva社が米ITCに提出したという、結晶シリコン型太陽電池モジュールの最低価格案が掲載されています。

その価格(0.68〜0.78ドル/W)は、昨年9月に報じられた米国における中国製モジュールの価格(0.4〜0.55ドル/W)よりは高いものの、1ドル/Wは優に下回っており、米国ではこの価格水準(1ドル/W未満)が既に当たり前になっていることが伺えます。

2017年1〜3月の日本のモジュール出荷統計では、北米向け輸出は前年同期比78%減という激減振りでしたが、やはり日本メーカーの製品価格では既に対応できなくなっている、ということなのかもしれません。

中国メーカー製品に無理やり引っ張られている面も強いとは思いますが、それでも太陽電池のコストダウンが急速に進んでいること自体は間違いなく、これにどう対応していくかは、(日本に限らず)どのメーカーにとっても、直視せざるを得ない最大の課題なのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]Federal Register /Vol. 82, No. 104 /Thursday, June 1, 2017 /Notices(USITC)
http://www.usitc.gov/trade_remedy/731_ad_701_cvd/investigations/2017/Solar%20Panels/Safeguard/cspv_-_institution.pdf
[2]米国が太陽電池輸入にセーフガード発動検討、WTO加盟国に通知(Reuters)
http://jp.mobile.reuters.com/article/idJPKBN18P227
[3]保護措置で米国が世界で最も太陽電池の高い国に!?(日経テクノロジーオンライン)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/052900050/
[4]Suniva(Wikipedia)

※関連記事:

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2017年06月06日

2016年度4Qの日本における太陽電池モジュール出荷量は約1959MW(前年同期比9%減)、「住宅」向けの日本企業シェアは75%に低下

太陽光発電協会が2017年5月24日に、

  • 2016年度4Q2017/1-3)の太陽電池出荷量
を発表していました[1]。

今回は「太陽電池モジュール」の出荷量の中から、気になった項目・数字を抜き出してみました。

※出荷量の四捨五入や、一部数値の計算は、当ブログ管理人による。


<モジュール出荷量>

※カッコ内は前年同期比。

総出荷量出荷先別
国内海外
全体 1959MW(9%)1869MW(6%)90MW(50%)
日本企業出荷量 1181MW(19%)1095MW(14%)87MW(52%)
シェア60.3%58.6%96.3%

総出荷量の減少幅は、「全体」(9%減)に比べて「日本企業」(19%減)のほうが10ポイントも大きくなっています。

「国内」向けもほぼ同様の数字であり、日本メーカーの出荷量減少が、海外メーカーより顕著であることが伺えます。

また「海外」向け出荷(※殆ど日本企業による輸出)は、実に前年の1/2にまで減少している点も、目を引きます。

その正確な原因は不明ですが、

により、日本メーカーが大きく販売量を減らしたか、または割に合わない海外市場から手を引きつつあるのでは、と想像します。


<用途別の出荷量>

※カッコ内は前年同期比。

住宅非住宅 非住宅の内訳その他
(電卓、時計、
街灯など
「電力応用商品」)
発電事業
(500kW以上)
一般事業
(500kW未満)
全体 333MW
(9%)
1536MW
(3%)
1061MW
(4%)
475MW
(増減無し)
0.2MW
(99%)
日本企業出荷量 253MW
(15%)
842MW
(14%)
465MW
(23%)
377MW
(2%)
0.2MW
(249%)
シェア76.0%54.8%43.8%79.4%99.5%

まず「住宅」では、日本企業のシェアが、とうとう80%未満に。

当ブログでこれまでチェックしてきた範囲(2014年度1Q〜2016年度2Q)では、日本企業の「住宅」向けでのシェアは、常に90%前後だったので、海外メーカーが着実にシェアを拡大してきていることが伺えます。

「住宅」全体の出荷量が約1割も減った(=市場の縮小が続く)いっぽうで、更にシェアまで落としつつあるとなると、同分野で強みを持っていた筈の日本メーカーは(幾らか利益改善の傾向が出ていたものの)今後ますます苦しくなっていくのでは、と懸念が募ります。


いっぽう「非住宅」は、全体の出荷量は3%減に留まっており、これはFIT認定分の消化が、まだ進んでいることによると思われます。

その中で日本企業は、やはり規模の大きい「発電事業」では出荷量を落としています。

しかし「一般事業」では微増であり、またシェアも8割近くまで上昇と、意外な堅調さです。

この点は、設置面積が小さい「住宅」で培ってきた国内メーカーの強みが、優位性につながっているものと想像します。

この「一般事業」での日本企業の出荷量は、「住宅」を上回っており、当面は「住宅」での退潮を補い、日本メーカーの業績を支えるカテゴリとなるのかもしれません。


また「その他」は、全体の出荷量が99%も減った一方で、日本企業のシェアがほぼ100%に達しており、2016年度4Qには海外メーカー製品が殆ど入ってこなかったことが伺えます。

ここで何が起こっていたのかは、非常に気になるところです。


<日本企業のモジュール輸出先>

地域出荷量(前年同期比)
北米4.5MW(78%)
欧州17.3MW(60%)
その他8.2MW(77%)
合計30MW(76%)
※「国内生産」の「海外出荷」
と同じ数字。

輸出では、全ての地域が大きく減少。

やはり、特に昨年来の急激な価格下落が、海外市場での日本メーカーの販売減少や撤退(?)につながっているのではないでしょうか。


<日本企業による「その他」モジュールの出荷量>

※カッコ内は前年同期比。

総出荷量出荷先別
国内海外
約142MW(42%)約123MW(9%)約19MW(82%)

最後は実のところ、ソーラーフロンティア社のCISモジュールの出荷状況を推測するために、抜き出したものです。

同社については今年2月に、国内市場に注力する方針への転換が報じられており[2]、実際に国内住宅向けの戦略商品「SmaCIS」の展開も始まっています。

そして本項「その他」モジュールの「海外」向け出荷量は、前年同期比で8割以上も減っており、これはソーラーフロンティア社の方針転換が強く反映されているのでは、と推測するものです。

ただし現在は、(先述の通り)国内住宅向けの市場自体で縮小が顕著であり、それに伴ってか、本項の「国内」向けも1割近くのマイナスです。

かなり苦しい状況だとは思いますが、主流モジュール(結晶シリコン型)と異なる製品を手がけ、国内メーカーとしては積極的な事業展開が目立ってきたソーラーフロンティア社が、果たしてどう盛り返し得るかというのは、強く興味を惹かれるところです。


※参照資料:
[1]日本における太陽電池出荷量2016年度第4四半期(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h284q.pdf
[2]昭和シェル石油 太陽電池、国内販売に特化(化学工業日報)
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2017/02/21-28278.html

※関連記事:

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