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2017年08月25日

米国で太陽電池モジュールのスポット価格が最大2割上昇、それでも値上がり前は35セント/W

1ヶ月近く前になりますが、Newsweekの記事[1]で、米国の太陽光発電市場の現状が報じられていました。

この中で、米国での太陽電池モジュール価格の変化についても書かれており、主な数値は次の通り。


  • スポット価格「ここ数週間」で、最大2割上昇した。
  • 価格高騰以前の平均水準:35セント/W


「ここ数週間」を仮に4週間(1ヶ月)とすると、記事[1]の日付(2017/7/31)から、35セント/Wは2017年6月頃の水準となります。

これを、過去の米国での太陽電池モジュール価格(※当ブログでチェックしていたもの)と一緒に並べると、下記のようになります。

価格
2009年 約4ドル/W
2013年 0.65ドル/W(4年で約84%減)
2016年3Q(7-9月) 中国製が0.47〜0.49ドル/W(約3年で約25〜28%減)
2017年6月ころ 0.35ドル/W(1年未満で約26〜29%減)
2017年7月 0.42ドル/W(上記から20%増として計算)

こうしてみると、2017年は8年前(2009年)の実に約1/10であり、値下がり幅の大きさには改めて驚かされます。


ただ思い返すと、2011年2012年頃には中国メーカーは軒並み赤字に陥っており、2012年には独Q-cells社が経営破綻

その翌2013年には、Suntech Powerの旗艦法人だった「無錫サンテック」が破産と、2009〜2013年での8割超もの値下がりは、製品の供給過剰によるメーカーの業績悪化と引き換えのものだったことが伺えます。

その後、2013年2QにはJinkoSolar社が中国メーカーで最初に黒字化し、他の中国メーカー(Trina Solar等)もそれに続いたことから、これが2013〜2016年のモジュール価格下落のペース鈍化と、対になっていたと推測されます。


そして2016年以降は、価格下落のペースが再び加速しており、その主因として中国メーカーの過剰生産品の流入が指摘されていますが、中国メーカーが一体どのような判断で生産量を決定しているのか(或いは、市場の需給を考慮しない雑な生産計画が許容される背景に何が有るのか)、というのは非常に気になるところです。


いっぽうで(モジュールのみでは無く)太陽光発電設備全体の初期コストに目を向けると、今年(2017年)の1Qには、米国内での大規模(utility-scale)発電事業で、1ドル/Wを下回った[2]とのこと。

新興国では、既にメキシコで1ドル/Wを下回るプロジェクトが立ち上がっており、また中国でも約1ドル/Wの発電所が稼動を開始済みではあります。

しかし、先進国の米国がそれらに近い水準になっているというのは、何とも不思議であり、それだけ(初期コストの大きな部分を占める)モジュール価格の昨年来の低下が、異常であることを表しているようにも思われます。


そして、国内の市場や産業に、これだけ(良い面でも悪い面でも)急激な変化を生じさせているとなれば、米ITCが結晶シリコン太陽電池へのセーフガードの必要性ありと判断する可能性は、高いと予想します。

ちなみに記事[1]では、トランプ大統領の判断に対する、太陽光発電業界での懸念が多く取り上げられていますが、そもそも中国製太陽電池への反ダンピング関税・相殺関税じたいは、オバマ政権時代の2012年に最初に決定されているので、大統領固有の思想・信条とは関係なく、決定・実行されるものと考えます。


※参照資料:
[1]アメリカの太陽発電ブーム、「トランプ関税」で終焉迎える?(Newsweek、2017/7/31)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8098.php
[2]U.S. Solar Market Adds 2 Gigawatts of PV in Q1 2017(米SEIA、2017/6/6)
http://www.seia.org/news/us-solar-market-adds-2-gigawatts-pv-q1-2017

※関連記事:

2017年08月22日

独「SolarWorld Industries」が破綻した「SolarWorld AG」の事業の大部分を継承、カタールのソーラー企業が関わる

独「SolarWorld Industries」社が2017年8月11日に、

  • 経営破綻した「SolarWorld AG」の事業(の大部分)を、引き継ぐことを決定した。
と発表していました[1]。

今回は他の発表・資料[2]〜[6]と合わせて、事業継続についての概要をまとめてみました。


「SolarWorld Industries」の株主
  • 「SolarWorld AG」創立者のFrank Asbeck
  • カタールのソーラー企業「Qatar Solar Technologies
    ※同社は「Qatar Foundation(カタール財団)」の子会社で、太陽光発電のバリューチェーン全体をカバーする統合企業を目指している。
    ※「Qatar Foundation」はカタールの前首長夫妻により1995年に設立され、カタールの経済を(石油ベースから)知識ベースに変えていくことを目的に活動している[4]。
引き継ぎの対象
  • SolarWorld AGが保有していた、ドイツ国内生産施設
  • 同社が保有していた、欧州・アジア・アフリカ販売子会社
事業の方針
  • 生産は、単結晶PERCセルをベースとするプレミアム製品(両面ガラスモジュール等)に特化する。
  • ソーラー技術を共同で進化させる目的で、研究部門を産業のパートナーに対してよりオープンにしていく方針。
スケジュール
  • [1]の発表日(2017/8/11):債務者とドイツ当局が、今回の買収を承認した。
  • [1]発表の翌週:セル・モジュールの生産を再開する。
    当初の生産能力は700MW。(※製品別内訳の記載は無し)
雇用 ドイツ3拠点で500名以上からスタートする。
将来的には、1200名超まで拡大する予定。


QSTec社のサイトを見ると、同社は今年(2017年)3月にポリシリコンの生産を開始[7]したばかりであり、太陽電池セル・モジュールについては、まだ製造を手がけていない模様です。

そのため(今回のSolarWorldのような)他社との提携はともかく、「メーカー」としてのQSTec社は、まだスタートしたばかりと見受けられます。


中東地域というと、8年前(2009年)に欧州の企業から太陽エネルギーの活用に消極的と指摘されていたのが、個人的には根強く記憶に残っています。

現在ではアブダビでの1GW超の発電所プロジェクト等、発電設備の導入はかなり活発化してきた印象ですが、一方で太陽光発電機器(太陽電池モジュール等)の製造産業は、まだ確固とした存在には至っていないものと思われます。


ただQSTec社を保有するカタール財団は、創設者の地位や創立の理念、また活動の目的(知識ベースの産業への転換)[4]から、カタールの産業・経済の将来について、極めて重要な役割を担っていると感じさせられます。

その活動の中にQSTec社がある、ということになりますが、太陽光発電の初期コスト(主にモジュール価格)が近年急激に下がってきたことで、太陽光発電の(現実的なエネルギー源としての)可能性・確実性を、いよいよ本格的に認めつつある、ということなのかもしれません。

そして、SolarWorld社が高い技術力と品質に注力してきたことが、今回のQSTec社による出資の、最大の理由になったものと推測します。


SolarWorld Industriesが「PERC単結晶型に注力」するという点は、Frank Asbeck氏が(SolarWorld AGの経営破綻前の)今年(2017年)2月に語っていた方針と同じであり、事業の継続性・一貫性が感じられます。

ただ今回の発表には、SolarWorld社の米国・Hillsboroの生産拠点について、全く言及がありません。

SolarWorldの太陽電池モジュールは、米カリフォルニア州の分散型向けで高いシェアを得ている[8]ことから、米国工場は業績のうえからも重要拠点だと推測されますが、それだけに今回の事業体制変更でどのような扱いになっているのかが、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1]QSTec shines brightly for SolarWorld Industries(SolarWorld社、2017/8/11)
http://www.qstec.com/media-centre/media/press-release?item=66&backArt=24
[2]ドイツSolarWorld Industries GmbH社による業務移管(ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション社、2017/8/13)
http://www.e-solar.co.jp/news/news38.html
[3]QSTec shines brightly for SolarWorld Industries(QSTec社、2017/8/20)
http://www.qstec.com/media-centre/media/press-release?item=66&backArt=24
[4]About(Qatar Foundation)
https://www.qf.org.qa/about/about
[5]カタール(ウィキペディア)
[6]サーニー家(同上)
[7]QSTec's first polysilicon was produced in March 2017.(QSTec社)
http://www.qstec.com/about/project-update
[8]米加州の太陽光パネルシェア、分散型では「米国製」が2強(日経テクノロジーオンライン、2017/4/10)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/040600045/

※関連記事:

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2017年08月19日

日立アプライアンスが、SiC採用の屋外設置用パワコン「HSS-PS55EMT」「HSS-PS55EMTE」を発表、変換効率96.5%でモジュール過積載にも対応

3週間ほど前になりますが、「日立アプライアンス」社が2017年7月27日に、屋外設置用パワコン(住宅用・産業用)の新製品である

  • 耐塩害仕様「HSS-PS55EMT
  • 耐重塩害仕様「HSS-PS55EMTE
を発表していました[1]。

製品の概要は下記の通り。


特徴
  • 電力変換効率96.5
    制御回路には、低損失なSiCダイオードを採用。
    更に日立独自のインバータ技術を用いることで、高い変換効率を実現した。
  • 定格容量を超える太陽電池モジュールを接続可能
    発電電力を交流に変換する際、定格出力を超えないようコントロールする。
    これにより、定格容量以上のモジュール搭載が可能となる。
  • 最大入力電流を拡大
    最大入力電流を、1回路あたり11A・計44Aに高めた。
    (※従来は1回路あたり10A、計40A)
  • 有線リモコンにもなる表示器
    パワコン本体の前面に、運転状況を表示する表示窓を設けている。
    ここにはリモコンを内蔵しており(表示器として使用)、施工時にリモコンを取り外して別売りケーブルを敷設することで、屋内向けの有線リモコンとして使用できる。
定格出力 5.5kW
事業者向けの見積価格(税別)
  • 耐塩害仕様「HSS-PS55EMT」:53万5000
  • 耐重塩害仕様「HSS-PS55EMTE」:65万
発売日 2017/9/20の予定
開発の背景
  • 日立アプライアンス社では、2017年度のパワコン需要について、
    • FITでの買取価格引き下げ
    • 改正FIT法による設備認定失効
    等の影響が予想される一方で
    • 新築住宅における太陽光発電の標準装備(政府のZEH目標が背景)
    • 接続契約締結済み案件の運転開始
    等から、緩やかな回復を見込んでいる。
  • 今回の新製品は、屋外設置用の従来機種(定格出力5.9kW、4.9kW)に、5.5kWを追加して、製品ラインアップを強化するものである。
    また、
    • 高効率化技術
    • 最大入力電流の向上
    などにより、幅広い顧客のニーズへの対応を図っている。

また今回は他に、

  • 屋外用4機種(4.9kW、5.9kW)
  • 屋内用2機種(4.0kW、5.5kW)
も同時に発表されており、その一部は10月発売予定となっています。



SiC(シリコンカーバイト)採用のパワコンと言えばと、3年前(2014年)に、複数のメーカーから「オールSiC」の機種発表が相次いでいました(※関連記事)。

しかしその後、それらが実際に発売されたという発表を見聞きしなかったため、太陽光発電用パワコンでのSiC採用は、個人的にはてっきり(メーカーを問わず)棚上げになったものと思い込んでいました。

そのため、今回の日立アプライアンス社の発表には少し驚きましたが、発売予定時期は(発表から)約2ヵ月後と明記されており、明確なユーザーニーズを見込んでSiCを採用したことが伺えるものです。


2014年の他メーカーの発表機種は、いずれも変換効率がもっと高かった(97.3〜98.4%)ですが、これは今回の機種が「オールSiC」では無いためだと思われます。

この点は、性能と価格のバランスを考慮した結果なのかもしれません。

今回の屋外用5.5kW以外の新機種は、現行機種[2]と価格がほぼ同等であり、SiCを用いながらも、価格の上昇を防いだことが伺えます。


また今回の発表では、今年度(2017年度)のパワコン需要見込みの中で、「緩やかな需要回復」の根拠の一つに「新築住宅物件への標準装備」が挙げられており、おやっと思いました。

と言うのは、ちょうど2017/4-6の国内モジュールメーカー業績で、一部メーカーにおいて、住宅メーカー向けの出荷やスペックインが順調に進んでいる、との記述があり、これと合致すると感じたからです。

国内住宅向けのモジュール出荷量は減少が目立ちますが、その中で新築住宅は、需要増が期待できる貴重なカテゴリになっているようです。


※参照資料:
[1]住宅用・産業用太陽光発電システム向け屋外設置用パワーコンディショナを発売(日立、2017/7/27)
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/07/0727.html
[2]仕様・商品一覧(日立アプライアンス)
http://kadenfan.hitachi.co.jp/solar/pdf/list.pdf

※関連記事:

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2017年08月18日

NEDO等がインドで太陽光+ディーゼルによる「マイクログリッドシステム」の実証を開始、「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想」の一環で、電力の安定供給を図る

NEDO等が2017年8月14日に、

  • インドにおいて、太陽光発電+ディーゼル発電の組み合わせで電力を安定供給する「マイクログリッドシステム」の実証運転を開始した。
と発表していました[1][2]。

取組みの概要は下記の通り。


背景・目的
  • インドでは、経済発展に伴って電力需要も拡大しており、2025年には(EUを上回り)中国・米国に次ぐ電力消費量になると予想されている。
    しかし現状では、供給電力慢性的に不足しており、インド国内に生産設備を持つ企業は、電力の安定供給を強く求めている。
  • インド政府は、再エネ導入促進計画として
    • 2022年までに175GW(うち太陽光・熱発電は100GW)を導入する
    との目標を掲げている。
  • 日本とインドは共同で「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想」を進めている。
    この構想では、デリーとムンバイ間に貨物専用鉄道を敷設。
    その周辺に
    • 工業団地
    • 物流基地
    • 発電所
    • 道路
    • 港湾
    • 住居
    • 商業施設
    等の各種インフラを、民間投資主体で整備する。
    今回の実証運転は、この構想に基づくものであり(※試運転は完了済み)、日本のマイクログリッド技術の有効性を実証して、インド内で普及することを目指す。
実施企業・組織 下記の共同による。
  • 日立製作所
  • 日立システムズ
  • 伊藤忠商事
  • デリー・ムンバイ産業大動脈開発公社(DMICDC)
実施場所 ラジャスタン州の「ニムラナ工業団地」
設備・システム 本実証に用いるマイクログリッドシステムでは、
  • 太陽光発電システム(1MW規模)
  • 複数のディーゼル発電機
を、組み合わせて制御する。
これにより、ディーゼル燃料の消費量を抑制しつつ、電力安定供給する。
※今回の実証では、電力をニムラナ工業団地内の企業「MIKUNI INDIA PRIVATE LIMITED」に供給する。
実施期間 2017〜2019年度の2年間


インドの電力消費量が、あと10年を待たずして欧州連合を超える見込み、ということには非常に驚きましたが、それだけに発電所の増設が喫緊の課題となっていることは、容易に想像されます。

理想としては、大気汚染の心配が全く無い再エネ発電のみで、全てを賄うのがベストだとは思います。

しかし、出力安定に必要となる蓄電池の導入コストを考えると、現状では長年の実績がある技術であるディーゼル火力発電との組み合わせが、現実的な手段ということなのかもしれません。

その太陽光+ディーゼルについては、私が知る限りでは、米First Solar社が既に「FuelSmart」ソリューションを製品化し、2年前に豪州の鉱山に導入済みであり、今後も実用的・現実的な電源として、他社が追従してくる可能性が考えられます。


今回の実証運転での電力供給先は、自動車やバイク向け部品の製造企業[5]であり、また「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想」[3]の中身からも、当該の「マイクログリッドシステム」では、主に製造業向けの電力供給を想定していると推測されます。

この用途だと、供給電力の品質(電圧・周波数の安定)の高さも要求されると思いますが、その点では日本企業が優位性を発揮できるのでは、と考えます。


「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想」[3]は、かなり大規模なインフラ整備計画であり、ここで本マイクログリッドシステムが広く採用されれば、環境への負荷軽減、また太陽光発電の実用性の証明という点でも、非常に大きな効果とインパクトをもたらすと思われます。

そのため、是非とも日本企業による今回のシステムが、優れた結果を出すことを期待したいです。


※参照資料:
[1]インドで太陽光発電を活用したマイクログリッドシステム実証を開始(NEDO、2017/8/14)
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100815.html
[2]同上(日立システムズ、2017/8/14)
http://www.hitachi-systems.com/news/2017/20170814.html
[3]デリー・ムンバイ間産業大動脈構想 - 経済産業省
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/asia/sw_asia/data/DMIC.pdf
[4]ラージャスターン州(ウィキペディア)
[5]MIKUNI Overseas Group > India(株式会社ミクニ)
http://www.mikuni.co.jp/e/overseas/india.html

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 発展途上国での導入

2017年08月14日

国内モジュールメーカー・販売企業7社の2017/4-6は、業績発表での記載が著しく乏しい、しかし一部で住宅メーカー向けが順調

今回は、太陽電池モジュール日本メーカー・販売企業7における、最新の四半期(20174−6月期)の業績発表資料[1]〜[9]から、太陽電池関連の記述を抜き出してまとめてみました。


企業名
(※50音順)
太陽電池関連の状況
カネカ
  • 高効率瓦一体型太陽電池(2016年に上市)の、大手ハウスメーカー向け出荷が、順調に拡大した。
京セラ
  • ソーラーエネルギー事業では、米国事業縮小した。
    これにより「生活・環境」セグメントの売上高は、前年同期比で減少した。
シャープ
  • エネルギーソリューション事業は、EPCを中心に、比較的堅調に推移した。
昭和シェル石油
  • 太陽電池事業」:
    新事業戦略に基づき、国内販売に注力した。
    (2017/1-6の販売比率は、国内が約9割)
    パネル市況の悪化傾向が続く中で、海外販売は抑制しており、出荷数量計画に沿って推移した。
    (2017/4-6は前年同期比で微減。グラフから170〜180MWか)
    2017/4-6の営業損失は、前年同期比で縮小した。
    (※「エネルギーソリューション事業」セグメント全体の売上高は、前年同期比24.2%減)
  • 住宅向け「Smacis」(7月に本格発売):
    住宅メーカー向けのスペックインが、順調に進んでいる。
    これにより受注数量は、計画通りに推移している。
  • 生産拠点:
    • 宮崎工場
      2017/12に生産停止し、国富工場に生産集約する予定。
    • 東北工場
      まだフル生産に移行できていない。
      9月末に生産を一時休止し、次世代モジュールの商業生産に向けて準備する。
東芝
  • 記述無し。
パナソニック
  • ソーラーは減販
三菱電機
  • 記述無し。


当ブログで前回(2016年度業績)まで見ていたのは、シャープ・京セラ・パナの3社のみでしたが、それでも市場や自社事業の現状など、ある程度の内容の記述がありました。

それだけに、今回の7社の発表資料を見て、太陽電池事業に関する記述が(一部企業を除いて)著しく乏しいことには、強く驚きました。


昨今はちょうど

といった、国内外の強力なマイナス要因が重なっており、その影響により、メーカーの業績における太陽電池事業の存在感が、極めて小さくなっている、ということだとは思われます。

とは言え、かつてのFIT開始(2012年7月)後数年間の活況を思い返すと、今回は何ともお寒い状況です。

太陽光発電システムの中心機器である、太陽電池モジュールのメーカー・販売企業が、このような状況であるなら、国内で太陽光関連業者の倒産が急増していることも、無理からぬことだと感じます。


ただその中でも、一部の企業には、明るい方向の記述がみられます。

昭和シェル石油は、国内重視・輸出抑制に一気に方針転換しながらも、2Q(2017/4-6)単独のモジュール出荷量は前年同期に近い水準であり、国内需要がジワジワと細る中で、(失礼ながら)予想外の健闘をしている印象です。


またカネカと昭和シェル石油は、住宅メーカー向けの販売が順調との点が、奇しくも共通しています。

昭和シェルの子会社・ソーラーフロンティアは、CIS薄膜型を手がけるメーカーであり、カネカ社は(現在はヘテロ接合型も取り扱っていますが)薄膜シリコン型を主力としてきたメーカーです。

このように、(化合物とシリコンの違いはあれ)薄膜型をメインとしている(またはメインとしてきた)メーカーが、同じカテゴリで順調というのは、非常に興味深く、もしかしたら今後の国内市場の新しい流れを、先取りしているのかも・・・と考えるものです。


※参照資料:
[1]平成30(2018)年3月期(第94期) 第1四半期決算短信(カネカ、2017/8/8)
http://www.kaneka.co.jp/wp-kaneka/wp-content/uploads/2017/08/%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B4%EF%BC%93%E6%9C%88%E6%9C%9F%E3%80%80%E7%AC%AC%EF%BC%91%E5%9B%9B%E5%8D%8A%E6%9C%9F%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%9F%AD%E4%BF%A1%E3%80%94%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9F%BA%E6%BA%96%E3%80%95%E9%80%A3%E7%B5%90-1.pdf
[2]同・説明資料(同上)
http://www.kaneka.co.jp/wp-kaneka/wp-content/uploads/2017/08/%E3%80%90%E3%82%AB%E3%83%8D%E3%82%AB%E3%80%91%E5%B9%B3%E6%88%9030%E5%B9%B43%E6%9C%88%E6%9C%9F_%E7%AC%AC1%E5%9B%9B%E5%8D%8A%E6%9C%9F_%E6%B1%BA%E7%AE%97%E8%AA%AC%E6%98%8E%E8%B3%87%E6%96%99.pdf
[3]2018年3月期 第1四半期 決算短信(京セラ、2017/7/28)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/rt170728.pdf
[4]同 カンファレンスコール資料(同上)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/cp170728.pdf
[5]平成30年3月期 第1四半期 プレゼンテーション資料(ノート付き)(シャープ、2017/7/28)
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/pdf/2018/4/1803_1pre_nt.pdf
[6]2017年度 第1四半期 連結決算概要(パナソニック、2017/7/31)
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2017/07/jn170731-6/jn170731-6.html
[7]2017年度 第1四半期 経営成績、他(三菱電機、2017/7/31)
http://www.mitsubishielectric.co.jp/ir/data/financial_result/29_1/7.html
[8]平成29年12月期 第2四半期決算説明資料(昭和シェル石油、2017/8/8)
http://www.showa-shell.co.jp/ir/briefing_material_2017b.pdf
[9]決算短信・決算公告 > 2017年度(東芝、2017/8/10)
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/er/er2017q1.htm
[10]スペックインプロジェクト(ソーラーフロンティア)
http://recruit.solar-frontier.com/project/01/
[11]住宅用カネカ太陽光発電システム(カネカ)
http://www.kaneka-solar.jp/

※関連記事:

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2017年08月08日

Tigo Energy社製「TS4プラットフォーム」を用いた、太陽電池モジュール向け「迅速遮断装置」の取扱メーカーが14社に拡大、またそれら企業を「UL」「NRTL」が認証

Tigo Energy社が2017年8月の頭に、

  • 自社の「TS4プラットフォーム」を採用した太陽電池モジュール向け「迅速遮断装置RSS)」を取り扱う、提携企業の数が拡大した。
    またそれらの企業が、米国の「UL」「NRTL」から認証を受けた。
と発表していました[1][2]。

今回はその中から、主な情報を抜き出してみました。(※他の資料も参照しています)


TS4プラットフォームの出力遮断機能 「TS4プラットフォーム」は太陽電池モジュールに搭載するソリューションであり、搭載する機能を選択できる。
その中に、緊急事態時アレイを遮断する機能が用意されており、これは「NEC 2014 & 2017 690.12」への準拠が認証されている。
(※この遮断機能は、交流のメインブレーカーが遮断された際に、全モジュールの出力を10秒以内にゼロA・ゼロVに落とす[10]。)
認証されたメーカー 下記の14社。
  • ET Solar
  • Hansol Technics
  • Itek Energy
  • JA Solar
  • Lerri Solar
  • Neo Solar Power
  • PureSolar
  • Seraphim Solar
  • Silfab Solar
  • Solartec
  • Sunpreme
  • Suntech
  • Talesun
  • Trina Solar


記載されている企業のウェブサイトを見ると、ちょうど半数(7社)の企業のサイト[3]〜[9]が、「TS4」プラットフォームの情報を掲載していました。(※当記事の作成時点)

そしてその殆どのサイトで、TS4プラットフォームの紹介は目立つ大きさ・位置で掲載されており、同製品の採用が、明確なアピール点となっていることが感じられます。

ULとNRTLはともに、米国内で使用される製品向けの安全規格[12]〜[14]であることから、今回認証された14社が、Tigo社のソリューション導入により、米国市場への対応を進めたことが伺えます。


認証を受けた14社は、中国・北米を本拠地とする企業が大部分ですが、日本メーカーは1社も入っていません。

日本メーカーにおけるスマートモジュール開発の動きは、私の知る限りでは東芝だけであり(しかも緊急時の遮断機能は無し)、海外メーカーに比べて極めて鈍い印象です。

ただし、少なくともパナソニックについては

との状況があることから、米国市場の要求に応えるために、緊急時の出力遮断機能にも遠からず対応してくる(と言うよりせざるを得ない)ものと予想します。


もっとも、火災時の消火活動における感電の危険性には、国内も海外も無い筈であり、実際に通販企業「アスクル」の倉庫火災(今年2月に発生)では、屋上の太陽電池モジュールが放水作業の妨げとなっていたとのこと。

また火災以外でも、昨年の豪雨災害において、川に近い太陽光発電所が浸水した事例が、報じられています[15]。

このような状況を考えると、日本のモジュールメーカーも、モジュール1枚毎に出力遮断機能を備えるよう、そろそろ本格的に取り組む必要が、あるのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]Tigo Internationally Recognized As Only MLPE Vendor With Certified Rapid Shutdown Solution For PV Module Manufacturers(Tigo Energy社、2017/8/2)
https://www.tigoenergy.com/ja/about-tigo/press-releases/86/
[2]タイゴ、PVモジュールメーカー向け迅速遮断ソリューションが認証された唯一のMLPEベンダーとして国際的に認められる(BusinessWire、2017/8/4)
http://www.businesswire.com/news/home/20170803006585/ja
[3]Smart Flex Module(ET SOLAR社)
http://jp.etsolar.com/PV_components_modules.asp?id=35
[4]Itek Energy Solar Products(Itek Energy社)
http://www.itekenergy.com/solar-panels/
[5]JAM6(TG)-60(JA Solar社)
http://www.jasolar.com/site/zhineng/523
[6]Tigo TS4 Advantage(PureSolar社)
http://www.puresolarinc.com/#tigo-ts4-advantage
[7]GxB Series(Sunpreme社)
http://sunpreme.com/gxb-series-2/
[8]Tigo(Suntech社)
http://www.suntech-power.com/menu/znzj-tigo.html
[9]TRINASMART(Trina Solar社)
http://www.trinasolar.com/us/product/smart-solutions/trinasmart
[10]Complying with NEC 690.12 Rapid Shutdown(Tigo Energy社)
https://support.tigoenergy.com/hc/en-us/articles/202512386-Complying-with-NEC-690-12-Rapid-Shutdown
[11]NEC Section 690.12: Rapid Shutdown(「SOLARPRO」内、2014/8-9)
https://solarprofessional.com/articles/design-installation/nec-section-69012-rapid-shutdown
[12]UL (安全機関)(ウィキペディア)
[13]NRTLとは(SMC社)
http://www.smcworld.com/docs/ec_us/JAPAN/NAME/NRTL.htm
[14]北米市場 (NRTLサービス)(TUV SUD社)
https://www.tuv-sud.jp/jp-jp/industry/consumer-products-retail/electrical-amp-electronics/product-certification/nrtl#tab_1397655000416106101745
[15]河川氾濫でパネル約2850枚を交換!川南町の太陽光に見る水害の教訓(日経テクノロジーonline、2017/8/3)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/302961/080200057/

※関連記事:

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2017年08月04日

中国「Panda Green Energy」社が「Panda Power Plant」第1号の第1フェイズ分(50MW)を完成、投資額は3億5000万元

1ヶ月以上前になりますが、中国の「Panda Green Energy」社が2017年6月29日に、

  • 中国国内で、世界最初の「Panda Power Plant」を系統連係し、試運転を開始した。
と発表していました[1]。

今回は、関連する発表[2]や報道[3][4]と合わせて、発電所に関する主な情報を抜き出してみました。


名称 「Datong Panda Power Plant」
場所 山西省の大同(Datong)市
特徴 色調の異なる太陽電池モジュールを用いて、動物の「パンダ」を描いている。
(これは米国で学んでいる中国人の高校生が、最初の案を出した。)
プロジェクトの背景
  • Panda Power Plant」を巡る経緯:
    • 2016年5月:
      Panda Green Energy社が、「Panda Power Plant」の建設を正式に提案。
    • 同年9月1日:
      UNDP(国連開発計画)との間で、協力協定を結んだ。
    • 同年11月20日:
      最初のプロジェクトである「Datong Panda Power Plant」が公式に立ち上げ。
    • 2017年5月14日:
      北京での「一帯一路(the Belt and Road)」フォーラムで、中国政府と国連が署名し、「Panda Power Plant」が一帯一路における共同建設の行動計画に組み込まれた。
  • Panda Green Energy社は「Panda 100 Program」を立てており、今後5年間で「一帯一路」沿いの国・地域に「Panda Power Plant」を建設していく計画。
発電容量 50MW
(※今回は第1フェイズ分。
  プロジェクト全体では100MWの予定)
発電電力量 全100MWが完成した場合、25年間で32億kWhを見込んでいる。
投資額 3億5000万元(5200万ドル)[4]
太陽電池モジュール 下記の種類を用いている。
  • N型両面モジュール
  • 片面の高効率結晶シリコンモジュール
  • 米First Solar社の薄膜型モジュール
参加企業 Panda Green Energy社は「New Energy Dream Team」を結成しており、これには下記のような企業が含まれる。
  • Huawei
  • Jolywood New Energy
  • LONGI New Energy
  • Sungrow
  • 米First Solar社
  • 米SunPoer社


今回の大同市の太陽光発電所については、先月(7月)にはネット上の多くのメディアで取り上げられており、やはり太陽電池モジュールでパンダを描いたということが、大きなインパクトを与えたことが感じられました。

太陽光発電所というと、個人的には正直なところ、モジュールをはじめとする設備自体は「無機質で無味乾燥」というイメージが非常に強いです。

それだけに、上空からの外観に親しみやすい意匠性を持たせよう、というアイディアは勿論のこと、更に(机上の案だけでなく)実際にかたちにしたことには、やはり非常に大きな意味があると考えます。

ただ、飛行機などで上空から眺めない限り、パンダを見ることができないのは、難点と言えば難点かもしれませんが。


その一方で、個人的に最も目を引かれたのは、建設コストです。

ロイターの記事[4]からは、50MWで3億5000万元(5200万ドル)を要した、と読み取れますが、これは1MWあたりだと104万ドル。(1ドル=110円とすると、1億1440万円)

他国では既に、これを更に下回る事例(メキシコの「Villanueva太陽光発電所」(計754MWDC、約86万ドル/MW)もありますが、それでも1MWあたり1億円ちょっとで済ませていることには、強く驚かされます。

これに関することとして、発表[2]に掲載されている写真では、一本足の架台を用いていることが伺えます。

「Datong Panda Power Plant」の設置場所である大同市は、冬が非常に乾燥した(降水量が殆ど無い)気候[5]とのことであり、この点は設備コストの低減にかなり有利に働いたものと想像します。


「Panda Power Plant」が国連に認められたのは、デザインのユニークさだけでなく、(新興国での建設にメリットがあるだけの)経済的な合理性も、高く評価されたものと推測します。

それでもロイターの記事[4]から、建設資金の調達は今後の継続的な課題になるとみられますが、幅広い「一帯一路」の対象地域[6]において、「Panda Power Plant」の建設が計画通りに続いていくことを、期待したいと思います。


※参照資料:
[1]The World’s First Panda Power Plant Officially Connected to Grid(Panda Green Energy社、2017/6/29付)
http://www.pandagreen.com/en/news-events/press-releases/detail/article/the-worlds-first-panda-power-plant-officially-connected-to-grid
[2]Panda Power Plant Raising Widespread Attention, Leading the Youth to Address Environmental Protection Issues(同上、2017/7/25付)
http://www.pandagreen.com/en/news-events/press-releases/detail/article/panda-power-plant-raising-widespread-attention-leading-the-youth-to-address-environmental-protectio
[3]中国山西省の「巨大パンダ」、実は50MWの太陽光パネル(日本経済新聞、2017/7/19付)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO18961350Y7A710C1000000/
[4]中国のエネルギー会社、世界で「パンダ発電所」100カ所実現目指す(ロイター、2017/7/26付)
https://jp.reuters.com/article/panda-green-power-idJPKBN1AA105
[5]Climate(Wikipedia「Datong」内)
[6]一帯一路(ウィキペディア)