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2018年01月27日

トランプ米大統領が輸入太陽電池に対するセーフガード関税を承認、1年目30%から毎年5%づつ下げて4年間、また各年とも最初の2.5GWは対象外

USTR(アメリカ合衆国通商代表部)が2018年1月22日に、

  • トランプ大統領が、輸入品の
    • 住宅用大型洗濯機
    • 太陽電池セル・モジュール
    セーフガード関税を課する(USTRによる)勧告を、承認した
と発表していました[1]。

これは、ITC(貿易委員会)による知見(輸入品が米国内の製造業に重大な傷害を与えている)を受けて、USTRがTPC(貿易政策委員会)と行った協議に基づき、大統領に行った勧告が、承認されたものとのことです。

その中から、太陽電池に関する数値や情報を抜き出してみました。


<税率など>

1年目 2年目 3年目 4年目
税率 30%2520%15%
免除される分 最初の2.5GW左に同じ左に同じ左に同じ

<輸入太陽電池を巡る動向・経緯>

  • かつて米国の国内産業は、中国から輸入する太陽電池に対し、40%の関税を課することに成功した。
  • しかし中国は、生産能力を維持しつつ生産地を他国に移し、米国による上記の措置を回避した。
  • 中国は今日、世界的なサプライチェーンを支配している。
    また、2017年上半期に発表された、全世界の生産能力拡大計画のうち、中国は70を占めている。


輸入太陽電池に対する制裁措置については、米SEIA(太陽エネルギー産業協会)が太陽光発電設備の設置業者などへのダメージを懸念し、昨年(2017年)12月に大統領に反対意見を提出していました[3]。

しかし結局、それは通らなかったようです。

ただし他方で、米Suniva社が提案していた救済措置案[4](セル・モジュールの最低価格を設定する)も、今回の発表には全く無く、こちらも受け入れられなかったものと思われます。


それはともかくとして、今回の発表では

  • 課税の開始月日
    (「1年目」が具体的にどの期間になるのか?)
  • 対象となる太陽電池セル・モジュールの種類
    (結晶シリコン型のみなのか、それともまさか化合物型モジュールも含むのか?)
  • 課税対象の生産国
    (中国メーカーだけでなく、米国以外の全ての国が対象地域なのか?)
といった点が見当たりません。

今回の発表の文面をそのまま受け取ると、(別に中国メーカー限定とは書かれていないので)例えば日本メーカー製の太陽電池製品もセーフガード関税の対象となってしまうので、実際のところどうなるのかが非常に気になるところです。

その点では、Suniva社の提案のように、最低価格を設定したほうが合理的だったような気もしますが・・・


また今回の発表では、課税から除外される量(Cells Exempted from Tarif)も示されていますが、これは実際にどのように適用されるのでしょうか。

まさか先着順となれば、各メーカーが我先にとなり、米国への出荷が短期間に殺到する事態になることも考えられますが、そのような事態を招かないようにどう運用していくのか、というのも気になるところです。


最後に、米国の太陽光発電導入量は、2016年は[5]で約13GW・[6]で14.7GWと示されています。

これが今後も同等の規模で続くと仮定すると、今回発表された課税対象外の量(毎年2.5GW)は、約1/6〜1/5に相当します。

この設定が、米国内の太陽光発電産業にどのように影響するのか、というのは判りませんが、もしかしたらSEIAの意見(国内産業へのマイナス影響)に対する幾分かの考慮なのでは、とも想像します。


※参照・参考資料:
[1]President Trump Approves Relief for U.S. Washing Machine and Solar Cell Manufacturers(USTR、2018/1/22)
https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2018/january/president-trump-approves-relief-us
[2]アメリカ合衆国通商代表部(ウィキペディア)
[3]トランプ大統領に「最後の要請」、米SEIAが太陽電池・関税問題で(日経テクノロジーオンライン、2017/12/25)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/122100070/
[4]保護措置で米国が世界で最も太陽電池の高い国に!?(同上、2017/6/1)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/052900050/
[5]太陽光発電システム2016年世界導入量は75GW、 2017年も同水準の市場規模との見通しを発表
(「DREAM NEWS」掲載の、株式会社資源総合システムによるプレスリリース、2017/1/20)
http://www.dreamnews.jp/press/0000146047/
[6]世界の太陽光発電業界はどうなってる? 2016年国別導入量ランキング
(IEAのレポート内容を紹介する「ソーラーパートナーズ」の記事、2017/5/11)
https://www.solar-partners.jp/pv-eco-informations-53753.html

※関連記事:

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2018年01月22日

Tigo Energy社の「TS4プラットフォーム」に「TS4-F(火災安全性)」が追加、「SunSpec Alliance」準拠の電力線通信を用い、また迅速遮断ソリューションのコスト効率を向上

Tigo Energy社が2018年1月8日に、

  • 太陽電池モジュール用のジャンクションボックスカバー「TS4プラットフォーム」に、新たに「TS4-F火災安全性)」を追加した。
と発表していました[1][2]。

この「TS4-F」は、電力線通信(PLC)に関する規格「SunSpec Alliance」の信号仕様をサポートしており、また迅速遮断ソリューションコスト効率を高めた製品。

提供開始時期は、2018年第1四半期とのことです。

今回は発表[1][2]の中から、同様の迅速遮断機能を持つ既存の「TS4-S(安全性)」との違いに関する情報を、まとめてみました。


既存の「TS4-S追加された「TS4-F
通信方法 Tigo社のCCAとゲートウェイを用い、無線信号により動作する。 「SunSpec Alliance」の仕様に準拠するinitiator(開始装置)と連動し、PLCにより動作する。
(※複数のインバータメーカー(SMA等)との適合性を試験済みであり、今後も適合対象を拡大していく予定)
長所 迅速遮断の機能に加えて、モジュールレベルのモニタリング機能も持つ。 迅速遮断ソリューションとして、(TS4プラットフォームの中で)最もコスト効率に優れる
(※最適化やモニタリングの機能は持たない)


「TS4-S」の持つ機能は「ダイオード」「モニタリング」「安全性」であり、TS4プラットフォームの中でも機能が絞られているほう、という印象でした。

しかし今回の「F」は、PLCを利用する「SunSpec Alliance」への準拠と、モニタリング機能を省いたことで、更にコスト低減を図ったものと感じられます。


迅速停止の機能・性能面で、「S」「F」に具体的にどのような違いが有るのかは判りません。

ただ、米国では安価な海外製太陽電池モジュールによる国内製造業へのダメージから、海外製モジュールへの新たな対抗措置が課される可能性が生じています[6]。

そのため、太陽光発電設備の初期コストの上昇を極力抑えつつ、最低限の安全機能を確保しよう、というニーズが日増しに強くなっており、それが「TS4F」リリースの要因の一つとなったのでは、と想像するものです。


個人的には、もし仮に今後、日本でも迅速遮断機能の搭載が義務化される場合、無線通信とPLCのどちらが合理性が高いのか、というのが気になるところです。


※参照・参考資料:
[1]Tigo Releases New TS4 Product as the Most Cost-effective Rapid Shutdown Solution with Powerline Communication(Tigo Energy社、2018/1/8)
https://www.tigoenergy.com/ja/about-tigo/press-releases/91/
[2]タイゴが電力線通信機能付きの最もコスト効率に優れた迅速遮断ソリューションとしての最新TS4製品をリリース(ビジネスワイヤ、2018/1/9)
http://cts.businesswire.com/ct/CT?id=ftfLlWd9aZbF2NXfwppam3Bd664=&newsLang=ja&newsId=20180109005926&div=2033916367
[3]TS4(Tigo Energy社)
https://www.tigoenergy.com/ja/ts4/
[4]リモコン技術記事 RFリモコンの電波干渉対策4(SMK社、CCAについての解説あり)
https://www.smk.co.jp/products/remote_control_units/technology/0808EMC_RC4/?version=en
[5]素朴な疑問◆Q&A - ゲートウエイって何ですか(ITpro、2006/3/2)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060228/231013/?ST=spleaf
[6]トランプ大統領に「最後の要請」、米SEIAが太陽電池・関税問題で(日経テクノロジーオンライン、2017/12/25)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/122100070/

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | パネル外の配線(JB等)

2018年01月19日

ソーラーフロンティア社が「建材一体型」太陽電池パネルの発売を計画中、2019年後半の発売を目指す

1ヶ月以上前になりますが、ニュース記事(2017/12/12付)[1]で

  • ソーラーフロンティア社が、建材一体型の太陽電池パネルの発売を計画している。
と、同社社長へのインタビュー内容を紹介しつつ、報じられていました[1]。

その中から、製品に関する情報を(少ないですが)抜き出してみました。


特徴
  • 建材一体型で設置コストを抑制
    ソーラーフロンティア社の太陽電池パネル自体が、従来の建材(屋根、壁など)の機能を置き換えられるようなものになる。
    これにより、設置コストの抑制が可能となる。
  • アルミ基板を採用か?
    太陽電池の基板(一般的にはガラス)を、アルミの基板に変更すると
    • 薄さ・軽さの実現
    • 割れにくい製品
    が可能になる。
発売時期 2019年後半の販売開始を目指す。


当記事の作成時点(2018/1/18時点)で、ソーラーフロンティア社のウェブサイトに、この件に関する情報は掲載されていませんでした。

しかしニュース記事[1]では、同社社長の名前が出ていることから、建材一体型製品が計画されていること自体は、確かなことかと思われます。


ただ同ニュース記事のタイトルでは、米Tesla社の製品と競合するような表現になっていますが、ソーラーフロンティア社は日本国内市場に経営資源を集中する方針を、公式に発表済みです。

そのため競合するとするならば、Tesla社が日本市場に「Solar Roof」(※パナソニック製セルを採用)を投入する場合になりますが、その可能性がどの程度あるものかが気になるところです。


また個人的には、今回の報道で、太陽電池との一体型となる建材の一つとして「壁」が挙げられているのが興味深いです。

かつては例えば、建材メーカーが開発した外壁パネルとの一体型製品もありましたが、現在では、壁材一体型で展開を継続している製品は(私の見聞きする限りでは)ありません。

そのため、国内の大手太陽電池メーカーの1社であるソーラーフロンティア社が、壁材一体型モジュールで果たしてどのような「答え」を出してくるのかというのは、非常に興味を惹かれるところです。


※参照・参考資料:
[1]ソーラーフロンティア:屋根や壁一体型パネルで米テスラと競合へ(Bloomberg、2017/12/12)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-12-12/P0SB2K6JIJUO01

※関連記事:

2018年01月08日

シャープが太陽光発電関連事業の大部分を、子会社「シャープエネルギーソリューション」に集中させる方針

シャープ社が2017年12月26日に、

  • エネルギーソリューション事業」の一部を、子会社「シャープエネルギーソリューションSESJ)」に、吸収分割により承継させることを決定した。
と発表していました[1]。

今回はその中から、主な情報をまとめてみました。


背景
  • シャープでは2016年8月に新経営体制が発足して以来、構造改革を続けている。
  • 今回の事業承継には、創エネ・蓄エネ・省エネ分野での更なる競争力強化のために
    • 自社の「エネルギーソリューション事業本部」
    • 子会社「SESJ」(太陽光発電システム等の販売を担当)
    を一体化することで、効率的な事業体制を構築する狙いがある。
期待される効果
  • 今回の承継によりSESJ社は、太陽光発電システムの国内・海外すべての、販売・施工〜アフターサービスを手掛けることになる。
    この強みを生かし、売上拡大を図る。
  • また、
    • 組織の簡素化
    • 重複業務の合理化
    等を加速することで、収益性を向上させる。
SESJ社が承継する権利義務 効力発生日における
  • シャープ社「エネルギーソリューション事業」に属する資産・負債
  • それらに付随する権利義務
を、吸収分割契約書に定める範囲において承継する。
ただし、
  • 堺事業所での太陽電池製品製造
  • 奈良事業所での化合物太陽電池製造
に関する事業は含まれない
SESJ社の事業内容
  • 承継前:  
       
    • 太陽光発電システムの販売  
    • 空調・電気設備工事  
  • 承継後:  
       
    • 住宅用太陽光発電設備・蓄電池・HEMS等の企画・開発・販売・サービス  
    • 産業用太陽光発電設備の設計・施工監理・メンテナンス  
    • メガソーラーIPP事業  
    • その他エネルギーソリューション事業  
今後のスケジュール
  • 2018/1/9:契約締結の予定
  • 同4/1効力発生の予定


シャープ社の太陽電池・太陽光発電事業の体制が、これまで本社と子会社に分かれており、整理されていなかったということには驚きました。

ちょうど今回の発表と同時期には、

  • ハンファQセルズ社が、トルコで年産能力500MWの太陽電池モジュール工場を着工した
ことが報じられていました[5]が、四半期単独でのモジュール出荷量が1GWに達している海外メーカーも有るいっぽうで、日本メーカーが勢いを失っている(生産能力の縮小など)理由は、このようなところにもあったのでは・・・と考えてしまいます。


ともかく、シャープ社の太陽光発電関連事業の合理化・効率化が、(製造事業が対象外とはいえ)今回の事業承継で進むことは確かだと思われます。

これが厳しい市場環境の中で、少しでも国内大手メーカーの競争力アップに繋がっていくことを、強く願うところです。


※参照・参考資料:
[1]会社分割(吸収分割)による子会社への事業承継に関するお知らせ(シャープ社、2017/12/26)
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2017/171226-1.pdf
[2]太陽電池、日本勢テコ入れ急ぐ シャープは販売子会社に移管:(日本経済新聞、2017/12/26)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO25048780V21C17A2TJ1000
[3]シャープエネルギーソリューション社
http://www.sharp-sesj.co.jp/
[4]エネルギーソリューション事業本部(シャープ社)
http://www.sharp.co.jp/corporate/recruit/newgraduate/businesses/energy.html
[5]ハンファQセルズ、トルコで年産500MWの太陽光パネル工場(日経テクノロジーオンライン、2017/12/26)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/122610309/?ST=SP

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | メーカー:シャープ

2018年01月05日

SolarWorld社がモルディブの離島(面積6万m2)の太陽光発電所向けに、太陽電池モジュール150kWpを供給、高効率+耐久性のニーズに応える

SolarWorld社が2017年12月22日に、

  • モルディブの離島のハイブリッド発電所向けに、自社の太陽電池モジュールを供給した。
と発表していました[1][2]。

今回は、その発電設備に関する情報を抜き出してまとめてみました。


場所 MaldiveのEllaidhoo島
太陽電池モジュールの量 150kWp
発電電力の用途 島内のホテル「Ellaidhoo Maldives Hotel」が供給を受ける。
(※他の電力供給先は不明)
設置環境
  • 島の面積6万m2)が小さい。
  • 設置場所が海に近接している。
※これらの条件により、高効率と耐久性が太陽電池モジュールに要求された。
このため契約は、SolarWorld社のパートナーである「Alpha Solar Energy SystemsSolarTherm)」社に発注された。
(PERC技術を用いたSolarWorld社のモジュールは、長寿命・高品質との評価を受けている)

また今回の発表の中では、

  • SolarWorld社は2016年には、南アジア地域で計75MWのモジュールを供給した。
との実績も紹介されています。



SolarWorld社は2016年に経営破綻しましたが、その後にカタールの企業による出資を得たことで、無事に事業を継続していると見受けられます。


Ellaidhoo島の6万m2という面積は、長方形であれば200m×300mであり、確かにかなり限られた広さであることが判ります。

そうなると、如何に高性能モジュールであっても十分な設置場所が確保できたのか、という疑問が起こりましたが、[2]の写真を見ると建造物の屋根設置である(野立てでは無い)模様。

限られた森林を(用地確保のために)伐採しなくて済む、という点でも、非常に合理的な判断だと感じられます。

今回の設備を受注したSolarTherm社[3]は、(モルディブと同じインド洋にある)スリランカの企業であり、現地の環境・条件に適した設計や施工がなされたものと思われます。


[2]に掲載されている現地の写真は、私の目には別天地にも写るものであり、先日取り上げた豪州のByron Bayに続いて眼福です。

低コスト化が進む太陽光発電が、これらのような地域で導入・普及が進んでいき、環境保護で大きな役割を担う存在となっていくことを、期待したいところです。


※参照・参考資料:
[1]SolarWorldがモルディブのエライドゥ島に太陽光発電モジュール供給 (共同通信PRワイヤー、2017/12/22)
https://prw.kyodonews.jp/opn/release/201712229365/
[2]Solar powered Paradise(SolarWorld社)
http://www.solarworld.de/en/press/solarpoweredparadise
[3]SOLARTHERM
http://www.solartherm.lk/
[4]モルディブ(ウィキペディア)

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 発展途上国での導入

2018年01月04日

エコスタイル社が、「屋根借り」で行う「エコの輪太陽光発電ファンド18号」を出資募集開始

エコスタイル社が2017年12月25日に、

  • 施設屋根を借りて行う「エコの輪太陽光発電ファンド18」への、出資を募集開始した。
と発表していました[1]。

今回は、同ファンドに関する主な情報を、抜き出してまとめてみました。


発電設備
  • 場所:埼玉県春日部市
  • 発電容量:634.48kW
  • 屋根面積:2万3037.26m2
  • 太陽電池モジュール:
    ISOFOTON社製「ISFM-280P60」(出力280W)を2260枚。
  • パワコン:
    Huawei社製「SUN2000-40KLT-JP」(出力40kW)を13台。
  • 売電価格:24円/kWh
募集総額 1億2300万円(1口10万円)
※うち、匿名組合が8610万円、営業者(エコスタイル社)が3690万円。
資金の運用
  • 運用期間:1
  • 目標利回り:5.0(税引き前)
  • 目標分配率:105.0%(同上)
スケジュール
  • 募集期間:2017/12/22〜2018/1/31
  • 事業開始日:2018/2/1の予定。


私が過去に利用請求してみた同社のファンドでは、運用期間が5年だったので、今回の「18号」が1年と大幅に短縮されていることには驚きました。

そのぶん運用期間においては、以前のファンドよりも出資しやすくなっている印象ですが、その点は「太陽光投資に対するハードルを低く」するという狙いの、具体的な表れかと思われます。


また個人的に、屋根設置は野立てよりも高コスト、というイメージが強かったので、今回の発電設備が屋根設置型であることにも驚きました。

設備の設置コストは不明ですが、単純に募集総額を発電容量で割ると、1億2300万円/634.48kW=約19万3860円/kWと、1kWあたり20万円を切っています。

毎度ですがやはり、太陽電池モジュールパワコン等の価格低下が進んでいることが、最近の認定価格(※24円/kWhは2016年度)でも、屋根設置型での収益確保を可能にしている、ということなのかもしれません。


今回のファンドが該当しているのかは不明ですが、エコスタイル社では先んじて「屋根貸し太陽光発電」の新しい事業スキームも発表しており[2]、これから日本国内でどれだけ導入を進められるのか、新たな市場活性化に向けた動きの一つとして、注目・期待したいところです。


※参照・参考資料:
[1]エコの輪太陽光発電ファンド18号が募集開始(エコスタイル社、2017/12/25)
https://www.eco-st.co.jp/archives/15679
[2]太陽光:0円で屋根に太陽光発電を設置、無料リフォームと賃料も提供(スマートジャパン、2017/12/12)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/spv/1712/12/news027.html

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 市場・業界の動向:国内

2018年01月03日

豪州「Byron Bay Railroad」社が、太陽光発電+蓄電池のみでの電車運行を開始、区間3kmのみだが政府補助金などは受けずに実現

日本経済新聞の記事(2017年12月23日付)[1]で、

  • 豪州の「Byron Bay Railroad」社が、太陽光発電の電力のみで走行する電車を、運行開始した。
と報じられていました[1]。

今回は、Byron Bay Railroad社の発表[2]やサイト内ページ[3]も合わせて、この電車に関する主な情報をまとめてみました。


<路線>

場所 豪州東部のニューサウスウェールズ州
区間 120年の歴史を持つ「Whilst Ewingsdale Road」を再利用している。
2004年に運行終了した、総距離132kmの鉄道路線のうち、Byron Bay付近の3kmの区間を修復した。
(※Byron Bayは、豪州の最東端にあるリゾート地)

<車両>

ベース車両 約70年前に製造されたディーゼル車両。
編成 2
乗車定員 100人
太陽光発電システム 屋根上に、計6.5kWの太陽電池パネルを搭載している。
(※パネルは、カスタム設計された曲面状のもの)
蓄電システム 容量77kWhのリチウムイオン電池を採用。
モーター、制御回路、照明、エアコンプレッサーの全ての電力を賄えるよう設計している。
満充電で、12〜15回走行できる。
晴天の場合、車両の太陽電池からの充電だけで、4〜5回の運行が可能。
モーター 出力220kW。
回生ブレーキ ブレーキに使われるエネルギーの25%を回収できる。
ディーゼルエンジン 元々2機を積んでいたが、うち1機を蓄電池と入れ替えている。
残りの1機は、重量バランス維持のためと、電気系統故障時の非常用動力源として残してある。

<駅舎>

太陽光発電システム 屋根に30kWの太陽電池パネルを設置している。
その発電電力は、車両の充電に用い、また余剰分は電力系統に送る。
日照不足への備え 日照不足が長引き、太陽光発電の電力が不十分な場合には、電力系統から、車両の蓄電池に電力を供給する。
(その際は、地元の電力小売会社から、100%グリーンエナジーの供給を受ける)

<その他>

運行開始日 2017年12月16日
走行速度 25km/hに留める。
これは、走行区間が短く、また乗客の大半が観光客と見込まれるため。
プロジェクトの費用 総額約400万ドル
(※政府からの補助金などは、一切利用していない)


今回の路線は、走行区間が非常に短く、また走行速度が非常に低いという、かなり特殊な条件であるとは思います。

それでも、「太陽光発電の電力のみ」で列車の必要電力を全て賄えるシステムを実現した(しかも補助金無し)、というのは、やはり極めて画期的なことだと考えます。

これについてはやはり、太陽光発電システム(太陽電池モジュールパワコン等)や蓄電池のコストダウンが、近年急速に進んできたことが大きな要因だと思われるので、これらの急激なコスト低下が、今後(鉄道を含めて)どのような分野・用途に影響を及ぼしていくのか、非常に楽しみでもあります。


それにしても、記事[1]に掲載されている現地の写真は、いずれも(変な言い方ですが)強く「太陽」を感じさせる、日が燦燦と降り注いでいる気持ちの良い風景であり、観光旅行に全く興味が無い私にも、「ここなら一度は行ってみたい」という気持ちになりました。

またこの環境なら、太陽光発電も非常に有効に働くのではないでしょうか。


※参照・参考資料:
[1]世界初「ソーラー電車」 太陽光を蓄電池にためて運行(日本経済新聞、2017/12/23)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO24972750S7A221C1000000
[2]Byron Bay Railroad Company newsletter(Byron Bay Railroad Company、2017/10/31)
http://byronbaytrain.com.au/wp-content/uploads/2017/11/Byron-Bay-Railroad-Company-newsletter-31-October-2017.pdf
[3]Sustainability(Byron Bay Railroad Company)
http://byronbaytrain.com.au/sustainability/
[4]Byron Shire(Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Byron_Shire
[5]Ewingsdale, New South Wales(同上)
https://en.wikipedia.org/wiki/Ewingsdale,_New_South_Wales