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2018年12月08日

ハンファQセルズ社が、中国・湖北省での太陽光発電所プロジェクト(計約150MW)に太陽電池モジュール100MWを供給予定

ハンファQセルズ社が2018年12月3日に、

  • 中国・湖北省での太陽光発電所プロジェクト向けに、100MW太陽電池モジュール供給契約を締結した。
と発表していました[1]。

プロジェクトの概要は次の通り。


建設場所 中国湖北省通山県
事業者 中国の「CGNニュー・エナジー」社。
※同社にハンファQセルズ社が供給した太陽電池モジュールは、計約400MWに達する。
合計出力 150MWの見込み。
うち100MW分が、Qセルズ製のQ.ANTUM「Q.PEAK-G5」。
発電電力量 145.76GWh/年の見込み。
スケジュール
  • 2018年11月2日:最初の30MW分のモジュールを納品、設置を開始。
  • 同年12月末系統連系開始の予定。


まず意外だったのは、中国国内での太陽光発電プロジェクトにも関わらず、中国以外のメーカーの太陽電池モジュールが採用されている点です。

と言うのも、昨年(2017年)には、中国の太陽光発電市場について「市場には中国メーカーばかり」「価格が安すぎて日本メーカーは参入できない」との情報がありました[2]。

また、(JinkoSolarなど)中国の太陽電池メーカーの近年の成長は著しく、極めて高い価格競争力を持っていることが推測されます。

そのため、(日本に限らず)中国国外メーカーによる中国市場への太陽電池モジュール供給は極めて難しい、と思っていました。

実際にどうなのかは判りませんが、このハードルを越えるだけのコスト低減を、ハンファQセルズ社が実現しているとすれば、驚異的なことだと考えます。


また今回の発電所では、合計出力約150MWに対し、年間の発電電力量見込みは約146GW(=約14万6000MWh)。

「湖北省は日射量が多い」にも関わらず、日本国内での見込み数値(発電容量×1000)と、ほぼ同じ水準になっています。

日照に恵まれた新興国での太陽光発電プロジェクトでは、海外メーカーはもちろんのこと、日本のシャープ社によるものでさえ、×1000よりもかなり大きい数字なので、今回の湖北省でのプロジェクトの見込みがどのような考えに基づいているのかは、興味を惹かれるところです。
(例えば、従来よりも堅実な推量をするように変ってきているとか?)


※参照・参考資料:
[1]ハンファQセルズ、中国・CGNニュー・エナジー社向け 100MWの太陽電池モジュール供給契約を締結(ハンファQセルズ社、2018/12/3)
http://www.hanwha-japan.com/news/news-letter/overseas-news-letter/2018/1203/
[2]世界の太陽光発電、昨年は5割増。なぜFITがない米国が2位?(ニュースイッチ、2017/1/28)
https://newswitch.jp/p/7736

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 海外のメガソーラー

2018年12月07日

京セラと米Hemlock社がポリシリコン長期購入契約で和解、京セラは511億円相当の損失計上も、市場価格との乖離を解消

京セラ社が2018年11月28日に、

  • Hemlock社と結んでいたソーラーエネルギー事業用ポリシリコン長期購入契約について、和解合意に至った。
と発表していました[1]。

今回は資料[2]37pの記述と合わせて、概要をまとめてみました。


背景
  • 京セラ社は2005〜2008にかけて、
    • 「Hemlock Semiconductor Operations LLC」
    • 上記子会社「Hemlock Semiconductor, LLC」
    との間で、ポリシリコン原材料の供給に関する長期購入契約を締結した。
  • 2018年9月30日時点で、上記契約に基づき2020年12月31日までに購入が定められている残高は、1199億3300万
    このうち、335億3200万円は前払いされている。
  • 契約上の未購入残高を、低価法に基づき評価した結果、前連結会計年度(2017年度)において、原材料の正味実現可能価額が、契約上の購入価格を下回った。
    (ソーラーエネルギー事業の収益性の低下に伴う)
    この差額を引当損失に計上しており、2018年9月30日現在における引当損失の残高は、308億8500万
和解の内容 京セラ社はHemlock社に対し、
  • 支払い済みの前渡金の放棄
  • 保有するポリシリコンでの代物弁済
  • 和解金の支払い
等を行う。
これにより京セラ社は、511億円相当の損失計上を行う。
和解によるメリット これまで生じていた、当該契約上の固定取引価格と市場取引価格との乖離解消される。

ただしHemlock社のウェブサイトでは、この件に関する発表は見当たりませんでした。



当初は「購入契約の和解」という表現の意味がよく判りませんでしたが、報道(例えば[4])も合わせてよく読むと、要は「長期契約を途中で停止・破棄する」ということのようです。


(当ブログが継続的な更新を始める前の)2005〜2007年あたりのことは良く知りませんが、2008年には海外の太陽電池メーカーが生産量・生産能力を大きく伸張

それに伴って太陽電池メーカーではシリコンの安定調達が課題になっており、京セラ・Hemlock間の長期購入契約も、当時のシリコン不足が背景だったものと思われます。


しかしその後、市場の急変(太陽電池モジュールの供給過剰など)により、急成長を続けてきた中国メーカーは軒並み赤字に転落。

ポリシリコン価格も、例えば2011年10月には年初から半減という急落振りでした。

そしてその後も、太陽電池モジュールの価格下落は大きく進んでいます


このように僅か10年程度の中で、太陽電池市場の状況は激変しており、10年前に契約した固定取引価格が完全に合理性を失ったことは理解できます。

ただ一方で、変化の激しい市場において長期契約を結ぶことの怖さも、今回の件は示していると感じます。


今回は約511億円という巨額の損失計上ですが、それでも残り約2年間での購入残高(約1200億円)の半分以下であり、そのまま契約に従って購入すれば約309億円の損失が出る見込み。

そう考えると、支払済みの前払い金(約335億円)に200億円弱(※ポリシリコン現物による弁済含む)の追加負担をして、今のうちに「損切り」するほうが得策、ということなのかもしれません。

京セラのソーラーエネルギー事業は売上減が続いていますが、今回の和解合意(長期契約の解消)が、同事業の業績改善に果たしてどのような効果をもたらすのか、注目していきたいところです。


※参照・参考資料:
[1]ヘムロック社との長期購入契約の和解のお知らせ(京セラ、2018/11/28)
https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/181128_wakai.pdf
(※「https://www.kyocera.co.jp/ir/news/2018.html」内。)
[2]2019年3月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ(同上)
https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/181128_yosou.pdf
(※「https://www.kyocera.co.jp/ir/news/2018.html」内。)
[3]有価証券報告書等 2019年3月期 四半期報告書 第2四半期(京セラ、2018/11/9)
https://www.kyocera.co.jp/ir/financial/pdf/FY19_2Q_qr.pdf
(※「https://www.kyocera.co.jp/ir/library/yuho.html」内。)
[4]京セラ、511億円の損失計上へ 米ヘムロックとの和解合意で(ロイター、2018/11/28)
https://jp.reuters.com/article/kyocera-idJPKCN1NX0MN
[5]Global Scale and Reach: Polysilicon(Hemlock Semiconductor社)
http://hscpoly.com/polysilicon.html

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | メーカー:京セラ