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2019年03月29日

経産省が2019年度の太陽光発電の電力買取価格を発表、ここで過去11年度分の買取価格を表にまとめてみた

経済産業省が2019年3月22日に、

  • FIT制度における2019年度以降の買取価格など
を発表していました[1]。

今回は、その中から太陽光発電の買取価格(1kWhあたり)について、過去の価格(FIT以前の余剰電力買取制度も含む)と合わせて一覧表にしてみました。

※過去の数値は、当ブログの過去記事を参照しています。
そのため、数値の漏れや記述の曖昧さ(特にW発電のあたり)があり、また記録していた情報に誤りが残っている可能性もあります。
しかし、買取価格の推移や条件の変化を眺めるには、概ね問題ないものと考え、上記の点を承知の上で表を掲載します。


FIT以前(余剰電力のみ)
年度 住宅 非住宅
2009 太陽光のみ W発電 太陽光のみ W発電
48円 39円 24円 20円
2010 48円 39円 24円 20円
2011 42円 不明 40円 不明
FIT以後(住宅は余剰、非住宅は全量)
年度 住宅用(10kW未満) 事業用
(10kW以上、税別)
2012 42円 42円
2013 38円 36円
2014 37円 32円
2015 出力制御対応機器
の設置義務あり
設置義務なし 29円(接続契約締結が4〜6月)
・27円(同7月以降)
35円 33円
2016 太陽光のみ W発電 太陽光のみ W発電 24円
33円 27円 31円 25円
2017 30円 27円 28円 25円 10kW以上
2000kW未満
2000kW以上
21円 入札で決定
2018 28円 27円 26円 25円 18円 入札で決定
2019 26円 24円 10kW以上
500kW未満
500kW以上
14円 入札で決定


経産省の古いプレスリリースは削除されているので、当ブログの過去記事からデータをかき集めて表を作成しました。

条件の追加や変化(出力制御対応機器や入札制)も入れたため、煩雑な表になってしまいましたが、そのことも含めて、こうして日本の電力買取制度の(11年ぶんの)推移を眺めると、感慨が湧いてきます。


ちょっと面白いと思ったのは、FIT開始の前年度(2011年度)に、「非住宅」の買取価格が大きく引き上げられていたことです。

この発表は2011年の2月であり、東日本大震災(3月発生)の前ですが、太陽光発電の普及を進めようという機運が、既に高まっていたことが伺えます。


そして2012年度にはFIT制度の開始ですが、40円を超える買取価格は、今となっては遥か昔のようにも感じられます。

今回発表された2019年度においては、事業用は住宅用の約1/2と、この点は奇しくも10年前と同様です。

しかし買取価格じたいは、住宅・非住宅とも10年前の半額近くまで下がっており、この10年間における初期投資額(太陽電池モジュールの価格など)の劇的な下がり具合が偲ばれます。


※参照・参考資料:
[1]FIT制度における2019年度以降の買取価格・賦課金単価等を決定しました(経済産業省、2019/3/2)
https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190322007/20190322007.html

※参照した過去記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 国内の電力買取制度

2019年03月21日

「Direct Wafer」技術によるウエハー工場がマレーシアで立ち上げ予定、1366 Technologies社とHanwha Q CELLS社の共同

1ヶ月近く前になりますが、1366 Technologies社が2019年2月26日に、

  • Direct Wafer」製造プロセスによる太陽電池用シリコンウエハーの生産施設を、Hanwha Q CELLS社との共同で立ち上げる計画。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


<マレーシアの「Direct Wafer Factory」>

場所 Cyberjaya」内にある、Hanwha Q CELLS社の既存のセル・モジュール製造施設に隣接している。
立ち上げ時期 20193Qよりも後にはならない予定。
※製造プロセス自体は、ほぼ完成している。
年産能力 記述無し。
※初期の生産が主要な性能基準を満たせば、今回の工場が、数GW規模の生産施設の基盤となる可能性がある。

<その他>

1366 Technologies社は今年、

  • ウエハー価格の急激な下落に対応するために、「3D Wafer」の開発を加速する。
との戦略的決定を行った。

(※「3D Wafer」は、従来ウエハーの標準的な厚さ(180μm)より薄いが、縁の部分を厚くして強度を確保している。)

そしてBedfordのデモ施設において、3D Wafer製品の製造を続けている。



溶融シリコンから(インゴット〜切断ではなく)直接ウエハーを作る「Direct Wafer」については、最近続報を見なかったので、どうなったのだろう・・・と思っていましたが、大量生産の実現に向けた取組みは、しっかり進められているようです。

ただ、マレーシア工場の生産能力は明記されておらず、将来に繋がる可能性が仄めかされているのみであり、本格的な商業生産を行うためには、製品の信頼性の検証など、まだ時間がかかるものと思われます。

1枚のウエハー内で異なる厚さを実現できる「3D Wafer」は、「Direct Wafer」技術により初めて可能になったものと思われるので、太陽電池モジュールひいては太陽光発電の更なるコスト低減を進めるためにも、商業化の実現を是非とも期待したいところです。


※参照・参考資料:
[1]1366 Technologies and Hanwha Q CELLS Partner on World’s First Factory to Feature Direct Wafer Manufacturing Process(1366 Technologies社、2019/2/26)
http://1366tech.com/2019/02/26/1366-technologies-and-hanwha-q-cells-partner-on-worlds-first-factory-to-feature-direct-wafer-manufacturing-process/
[2]「3D Wafers」での検索結果(1366 Technologies社)
http://1366tech.com/?s=3D+Wafers
[3]Why the “3D” Wafer Feature Brings Further Cost Reductions(同上)
http://1366tech.com/2017/04/20/3d-wafer-feature-brings-cost-reductions/
[4]Cyberjaya(Wikipedia)

※関連記事:

2019年03月11日

ハンファQセルズ社がPERC関連の特許侵害訴訟を提起、独・米で計3社が相手。ただしドイツでは裁判所への手数料未払いのため開始せず

ハンファQセルズ社が

  • 2019年3月4日米国ドイツで、PERC太陽電池に関する技術についての、特許侵害訴訟を提起した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。

対象の技術 太陽電池セル
  • 第1層目(酸化アルミニウム成分)
  • 第2層目(水素を含む、第1層とは異なる成分)
で構成されたを、安定的に形成させる技術。
(※これによりセル裏面にパッシベーション層を形成し、太陽光のエネルギーを閉じ込め発電効率を向上できる。
Qセルズ社はこの特許技術を用い、2012年にPERC技術をベースとする「Q.ANTUM」セルの量産化に成功した。)
訴訟相手の企業
  • 米国:
    • Jinko Solar
    • LONGi Solar
    • REC Group
  • ドイツ:
    • Jinko Solar
    • REC Group
訴訟で勝利した場合
  • 当該技術を侵害した被告企業の太陽電池セルとモジュールは、提訴が行われた国での販売・輸入が禁止される。
  • 特許侵害行為による過去の損害についての、損害賠償の請求も可能になる。

いっぽうこの件について、訴訟相手のうちJinkoSolarとREC Groupは、メディアの報道を受けてのものとして、下記内容を含むプレスリリースを公表しています[2][3]。

JinkoSolar
(2019年3月6日発表)
  • ハンファ社の主張に対し、断固として反対する。
  • 同社が主張する特許の無効性の申し立てを含む、利用可能な全ての法的手段を検討している。
REC Group
(同3月7日発表)
  • 2019年3月6日のデュッセルドルフ地方裁判所による予備調査では、裁判所の手数料がHanwha Q-Cellsによって支払われていないことが判明している。
    従ってこの訴訟は、ドイツでは正式に開始されておらず、REC Groupは主張された請求を審査することはできない。
  • REC Groupはこの問題を調査中であり、弁護士と緊密に協力してしている。
    そして必要な措置をすべて講じ、自社・自社の顧客・自社のパートナーを、厳格に防衛する。


販売・輸入の禁止を示すあたり、ハンファ社の主張の強硬さを感じますが、一方で

  • ハンファ社が「訴訟を提起した」と明記しているにも関わらず、ドイツでは裁判所への手数料が未払い。

  • JinkoSolar社とREC Groupの発表は、「according to media reports」「from media reports」であり、ハンファ社の発表を受けてのものではない。
と不明瞭な状況があり、ハンファ社がどこまで本気なのか疑念が沸きます。


思い返すとハンファ社自身も、2014年に京セラから「3本バスバー電極構造」の特許侵害訴訟を起こされましたが、翌2015年には協力関係を結んで和解

そのため今回の件も、実際にはそう深刻にならず、収まるところに収まる可能性が高いのでは、と楽観的に考えます。


ハンファ社の提示資料([1]内)によると、2018年の世界のセル生産能力・生産量において、PERCが既に約半分を占めていることに驚きました。

PERCモジュール自体は、今回訴訟相手とされた3社(※[4]〜[6]は製品の一例)に限らず、当ブログで確認できる限りでも

と多くのメーカーが手がけており、その中でハンファ社の技術がどこまで独自性を有しているものなのかが、気になるところです。


※参照・参考資料:
[1]ハンファQセルズ、アメリカとドイツで 高効率太陽電池セルの技術で特許侵害訴訟を提起(ハンファQセルズ、2019/3/6)
http://www.hanwha-japan.com/news/news-letter/2019/0306/
[2]JinkoSolar Refutes Allegations Made by Hanwha Q Cells(JinkoSolar、2019/3/6)
http://ir.jinkosolar.com/news-releases/news-release-details/jinkosolar-refutes-allegations-made-hanwa-q-cells
[3]REC Group reacts to Hanwha Q-Cells press release raising patent infringement complaints(REC Group、2019/3/7)
https://www.recgroup.com/en/rec-group-reacts-hanwha-q-cells-press-release-raising-patent-infringement-complaints
[4]Eagle PERC(JinkoSolar)
https://www.jinkosolar.com/product_592.html?lan=en
[5]LR6-72MPH 360-380w(LONGi Solar)
http://en.longi-solar.com/home/products/module/id/43.html
[6]REC TwinPeak 2 Mono(REC Group)
https://www.recgroup.com/en/products/rec-twinpeak-2-mono-en

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 市場・業界の動向:欧米

2019年03月08日

JinkoSolar社が米国で太陽電池モジュール製造施設を開所、年産能力400MWで高出力PERC単結晶型を製造

JinkoSolar社が2019年2月26日に、

  • 米国で、太陽電池パネル製造施設の開所式を開催した。
と発表していました[1]。

製造施設の概要は次の通り。


場所 フロリダ州Jacksonvilleの「4660 POW-MIA Memorial Parkway」
生産品 60セル・72セルの高出力PERC単結晶型モジュール
年産能力 フル稼働で400MW
2018年11月にパイロット生産を開始し、その後着実に増加している。
投資額 5000万ドル規模
雇用者数 200人以上
その他 JinkoSolar社ではの、米国での製造施設。


400MWと聞いて当初は、相当な規模の年産能力追加という印象でした。

ただ、JinkoSolar社の近年の太陽電池モジュール出荷量(通年)を見直すと

という伸び。(※2018年は何故か業績のプレスリリースがまだ無い)

これを考えると、年産400MWの追加は、実はそれほど大きいものではないように思われます。


JinkoSolar社にとっては、今回の生産施設は

といった状況への対応が、主な目的なのでは、と想像しました。

やはり先進国である米国内での生産ということで、太陽電池モジュールの激しい価格競争を勝ち抜けるだけの、生産コストの抑制が可能なのか、という点に強く興味を引かれるところです。


ともかく、プラスの材料が乏しい日本の大手メーカーの現状と比べると、歴然とした勢いの差を感じるものです。


※参照・参考資料:
[1]JinkoSolar Holds Opening Ceremony at its U.S. Solar Panel Manufacturing Facility(JinkoSolar社、2019/2/26)
http://ir.jinkosolar.com/news-releases/news-release-details/jinkosolar-holds-opening-ceremony-its-us-solar-panel
[2]POWMIA-Memorial-Parkway-Jacksonville-Florida(Cecil Field POW/MIA Memorial)
https://www.powmiamemorial.org/renaming-of-new-world-avenue-update/powmia-memorial-parkway-jacksonville-florida/
[3]経済(ウィキペディア「ジャクソンビル」内)

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 中国メーカー