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2020年03月28日

2020年度のFIT買取価格(円/kW)は、住宅用21、事業用(税抜き)は50kW未満が13、50〜250kWが12、250kW以上は入札

経済産業省2020年3月23日に、

  • FIT制度2020年度買取価格など
を発表していました[1]。

今回は、その中の太陽光発電について、過去年度の買取価格と合わせて表にまとめてみました。
(※2019年度以前の数値は、当ブログの過去記事から引継ぎ)



FIT前(余剰電力のみ)
年度 住宅 非住宅
2009 太陽光のみ W発電 太陽光のみ W発電
48円 39円 24円 20円
2010 48円 39円 24円 20円
2011 42円 不明 40円 不明

FIT以後(住宅は余剰、非住宅は全量)
年度 住宅用
(10kW未満)
事業用
(10kW以上、税別)
2012 42円 42円
2013 38円 36円
2014 37円 32円
2015 出力制御対応機器の 接続契約締結が
  • 4-6月:29円
  • 7月以降:27円
設置義務あり 設置義務なし
35円 33円
2016 太陽光のみ W発電 太陽光のみ W発電 24円
33円 27円 31円 25円
2017 30円 27円 28円 25円
  • 2000kW未満:21円
  • 2000kW以上:入札
2018 28円 27円 26円 25円
  • 2000kW未満:18円
  • 2000kW以上:入札
2019 26円 24円
  • 500kW未満:14円
  • 500kW以上:入札
2020 21
  • 50kW未満13
  • 50kW以上250kW未満12
  • 250kW以上:入札


まず住宅用については、前年度(2019年度)には「太陽光発電のみ」「W発電」の区別が取り払われていましたが、今回(2020年度)は更に「出力制御対応機器の設置義務」の区別が無くなり、判りやすい一律の価格になっています。

ただ前年度比では、「設置義務あり」(前年度26円)で-5円であり、これは実は(FIT開始以後では)過去最大の下げ幅です。

システム費用(1kWあたり)の平均値のグラフ([2]38p)を見ると、2015〜2017年は前年比の値下がり幅が小さかった(2000円〜1万4000円)ですが、2018年・2019年はいずれも約2万円に拡大。

このシステム費用低下の再加速が、今回の買取価格の大幅値下げにつながったものと考えます。


事業用のほうは、入札の適用範囲(前年度は500kW以上)が「250kW以上」まで拡大。

コスト低減を加速するために、入札対象範囲は拡大していく方針([2]の25・26p)とされているので、次年度以降も更に、(システム費用低下の状況を見つつ)入札対象の下限は引き下げられるものと思われます。

そのいっぽうで、入札対象外のうち「50kW未満」の買取価格は前年比-1円、「250kW未満」でも-2円に留まっています。

システム費用の値下がり([2]の26p)は、継続的に順調に進んでいるので、この値下げ幅の小ささは意外でしたが、2019年度の下げ幅(前年度比-4円)が大きかったぶんの調整とも感じられます。


※参照・参考資料:
[1]FIT制度における2020年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました(経済産業省、2020/3/23)
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200323005/20200323005.html
[2]令和2年度の調達価格等に関する意見(同上、2020/2/4)
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20200204001_1.pdf
(※「https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/20200204_report.html」内)

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 国内の電力買取制度

2020年03月26日

2019年のシステム費用の平均値(万円/kW)は、事業用(10kW以上)が26.6(前年比-2.0)、住宅用(新築・既築の全体)が32.1(同-2.1)

今回は、経済産業省・調達価格等算定委員会の発表資料[1]から、

  • 2019年設置の太陽光発電設備のシステム費用
に関する数字を、抜き出してまとめてみました。

※数値の単位は万円/kW、カッコ内の「p」は[1]の参照ページ。

平均値備考
事業用
(10kW以上)
(p26・27)
26.6(前年比-2.0)
(※中央値は25.0。)
  • 平均値の内訳
    • 太陽光パネル:14.1
    • 工事費:6.4
    • パワコン:4.1
    • 架台:2.8
    • その他:1.9
  • パネル国際市場価格
    • 単結晶シリコン:0.25ドル/W
    • 多結晶シリコン:0.21ドル/W
    (「Bloomberg NEF」の発表(2019/10)から。)
住宅用
(p37・38)
新築30.6(前年比-1.7)
(※中央値は29.8。)
平均値の内訳
  • 太陽光パネル:19.5
  • 工事費:6.5
  • パワコン:4.5
  • 架台:2.3
  • その他:0.3
既築34.6(同-1.3)
全体32.1(同-2.1)


コストダウンの金額の幅は、前回2018年分(事業用-1.4、住宅用-2.0)と概ね同程度であり、システム費用の低下が停滞していないことが伺えます。

もっともその影では、パナソニック社の自社モジュール生産の停止など、国内メーカーの劣勢という状況があるので、複雑な気分ではありますが・・・

現実的に太陽光発電のコストダウンが進むには、熾烈な競争は止むを得ないようです。


システム費用の半分以上を占める太陽電池モジュールの、国際市場価格([1]・p27のグラフ)は、これまで順調に低下が続いてきたとはいえ、2018/10頃からはほぼ横ばい状態となっています。

ただ一方で今回のデータでは、システム費用におけるモジュール費用(事業用14.1万円/kW、住宅用19.5万円/kW)と、モジュールの国際市場価格(多結晶2.3万円/kW、単結晶2.8万円/kW)のギャップが大きすぎるので、ここにシステム費用低下の大きな余地が残っているものと考えます。


ところでモジュールのコストを振り返ると、かつて2009年にはAMAT社が生産コストで1ドル/W切りの目標を掲げ、また2011年にはようやく市場価格で1ドル/Wが見えてきた、という状況でした。

それらからすると、市場価格0.2ドル/Wという現在には隔世の感があり、また、つくづく現実というのは予想が付かないものだ、と感じるものです。


※参照・参考資料:
[1]調達価格等算定委員会「令和2年度の調達価格等に関する意見」について(経済産業省、2020/2/4)
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/20200204_report.html

※関連記事:

2020年03月23日

パナソニック社が米バッファロー工場での太陽電池セル・モジュール生産を停止予定、太陽電池モジュールは今後は協業パートナーから調達

3週間以上前になりますが、パナソニック社が2020年2月26日に、

  • 米国バッファロー工場での太陽電池セル・モジュール生産停止し、同工場から撤退する。
と発表していました[1]。

その中から、主な方針・予定を抜き出し、まとめてみました。


<太陽電池セル・モジュールの生産停止>

背景・目的 ソーラー事業のグローバルな合理化の一環として行う。
同事業の開発・生産体制を最適化して創出した成長リソースにより、
  • HEMS
  • 太陽電池モジュール
  • 蓄電池
  • エコキュート
  • EV充電
等を組み合わせたエネルギーソリューション事業を強化していく。
スケジュール
  • 2020/5末:生産停止
  • 同9末:工場から撤退。
従業員への対応 再就職先(テスラ社、他社)の支援などを行っていく。
今後のモジュール調達・販売
  • 今後は協業パートナーから調達して、グローバルでの販売を継続する。
  • 米国での自社ブランドの太陽電池パネル販売も継続する。

<テスラ社側>

自社事業には影響なし 今回のパナソニック社の件は、自社のソーラー事業成長計画全く影響ないとみている。
人員確保の意向 今後、バッファロー工場で推進中の
  • ソーラー製品
  • エネルギー製品
の生産に必要となる、新たな人員を雇用する予定。
(テスラ社は、できるだけ多くのパナソニック従業員を雇用したいと考えており、両社による現地での就職説明会を開催予定)
パナ社との提携は継続 米ネバタ州「ギガファクトリー」での電気自動車用電池の生産は、継続する。


パナ社は2017/2に、バッファロー工場での太陽電池生産などを担う米国子会社を設立していましたが、それから僅か3年での、今回の生産停止・撤退ということになります。

同工場での太陽電池生産能力は、2019年までに1GW/年に到達予定とされていました。

しかしその前年には、JinkoSolar社の年間モジュール出荷量が11GW超に到達しており、規模の経済という点では、海外のトップメーカーに遠く及ばなかった、ということかもしれません。


パナソニック社の近年のモジュール生産体制の再編を振り返ると、2018年春には日本国内での生産を終了(※車載用除く)

そしてその翌年(2019年)には、中国GS-Solar社と太陽電池事業での協業で合意し、その一環としてマレーシア工場を同社に譲渡。

その結果、住宅用・産業用の太陽電池モジュール生産は米バッファロー工場のみとなっていましたが、それも今年(2020年)で生産停止・撤退ということで、実にたった約3年のうちに、パナ社の自前でのモジュール生産が次々と消えていった(いく)、ということになります。


かつてHIT太陽電池を手がけていた三洋電機は、約9年前(2011/4)にパナソニックの完全子会社に

その後、HIT太陽電池のブランド名も欧米を皮切りに「Panasonic」に切り替わっていきましたが、10年経たずにそのパナソニック社での太陽電池モジュール生産じたいが消滅することになるとは、全く思いもしませんでした。

また、日本の太陽電池メーカーが競争力を失っていくさまを、ありありと見せ付けられているように感じられ、何とも寂しい限りです。


※参照・参考資料:
[1]米・バッファロー工場における太陽電池の生産停止について(パナソニック社、2020/2/26)
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2020/02/jn200226-7/jn200226-7.html

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | メーカー:パナソニック