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2015年05月28日

政府による夏季(8月)の電力需給見通しの推移を見てみた、2015年8月は太陽光発電が供給力と予備率を押し上げか

日本政府のサイト[1][2]で先日、2015年夏季(8月)の電力需給見通し(5月22日に取り纏め)が公表されていました。

掲載資料のいずれにも、再エネ(太陽光発電など)への言及は残念ながら一切ありませんが、いっぽうで日経新聞の報道[2]では、太陽光発電の増加が供給力増加・予備率上昇につながっていることが強調されています。

今回は、太陽光発電が電力供給においてどの程度の役割を果たし得るのか、ということを考えるうえで、目安の一つとする狙いで

  • 最大電力需要
  • 供給力
  • 予備率
の各電力会社ごとの数値を、過去年度の需給見通しデータも含めて、抜き出してまとめてみました。

※過去年度(2014年度以前)については、本来は実績値を見るべきだと思いますが、[2]でPDF資料を一括して参照できることから、「電力需給見通し」の数字を見ることにしました。
また、最初の発表後に見通しが改定された年度もありますが、煩雑になるのを避けるために、各年度の最初の発表データ(4月または5月の発表)で統一しています。


最大電力需要

※単位はMWに換算。

北海道東北東京中部関西北陸中国四国九州9電力の合計沖縄
2011/814,80060,000
2012/85,00014,34055,20026,48030,1505,58011,8205,85016,340170,760
2013/84,74014,41054,50025,85028,4505,46011,3105,62016,100166,4401,560
2014/84,72014,45053,20026,44028,7305,48011,3405,59016,710166,6601,550
2015/84,72014,45050,90025,97027,9105,45011,2805,49016,430162,6001,560

「最大需要」と言っても実績値ではなく、あくまで政府が事前に算定した見通しの数字である点は、注意する必要があります。

とは言えそれでも、これらの数値には、東日本大震災・そして福島第1原発事故の発生以降、全国的に取り組んできた節電の成果が、浮かび上がっているように思われます。

特に東電管内は、2015年は2012年から約9GWも減らしていますが、震災直後に大規模な計画停電を経験しただけに、危機意識が特段に高いのかもしれません。


供給力

※単位はMWに換算。
※電力間融通を行う場合の数値。


北海道東北東京中部関西北陸中国四国九州9電力の合計沖縄
2011/812,30056,200
2012/84,85014,75057,71027,85025,4205,78012,3505,87015,740170,320
2013/85,24015,20058,13028,17029,3205,74012,5005,95016,590176,8402,380
2014/85,16015,53056,12027,37029,6005,70011,8105,83017,220174,3402,160
2015/85,13015,24056,50027,25028,7505,80012,1706,16016,930173,9302,250

原発の全停止や、老朽化した火力発電所に頼らざるを得ない現状の表れなのか、電力供給力は一進一退の状況と見受けられます。

電力需要は経済成長とともに増加する・・・と昔習った記憶がありますが、今はその常識が当てはまらない、新たな成長の方向性を早急に見出すべき局面なのかもしれません。

それはともかく、9電力の合計供給力をみると、2015年度は(2012年度から)約3GWの増加。

いっぽう、FITにおける太陽光発電(※新規認定分)の稼動済み容量では、2014年1月末時点(住宅約2.1GW・非住宅5.3GW)と2015年1月末時点(住宅約3GW・非住宅約13.3GW)[4]の差は、計約9GWにも達しています。

そしてニュース記事[3]では、太陽光発電による供給力見込みは510万kW(=5.1GW)で「需要の3%を賄う」とされており、FITによる急速な導入の効果がいよいよ明確に出てきたとすれば、非常に嬉しいことです。


予備率

※電力間融通を実施・原発の稼動無しでの数値。
 (カッコ内は融通無しの場合)

北海道東北東京
2012/8-1.9%
(-3.1%)
3.8%
(2.9%)
4.5%
2013/810.5%5.5%6.7%
2014/89.2%7.5%5.5%
(6.6%)
2015/88.7%5.5%11.0%

中部関西北陸中国四国九州9電力の合計沖縄
2012/85.2%-14.9%
(-15.7%)
3.6%4.5%0.3%-2.2%
(-3.7%)
0.1%
(-0.3%)
2013/89.0%3.0%5.2%10.5%5.9%3.1%6.2%53.1%
2014/83.5%3.0%
(1.8%)
4.1%4.1%4.3%3.0%
(1.3%)
4.6%39.2%
2015/84.9%
(6.4%)
3.0%
(0.8%)
6.4%7.9%
(14.0%)
12.1%3.0%
(-3.3%)
7.0%
(6.6%)
43.7%

(供給力−最大需要)を最大需要で割った「予備率」は、想像以上に年度ごとの変動が大きいことに驚きました。

それでも全体としては、予備率は少しづつ高まっていると見受けられ、一つは節電(需要の削減)の進展が効いているものと思われます。

また供給力のほうを見ると、9電力合計での予備率は(前年から)2.4%アップしていますが、最大需要(約163GW)の2.4%分は約3.9GW。

これは、先述の([3]で書かれている)太陽光発電の供給力(5.1GW)で十分カバーされるものであり、PVが予備率アップに明確に一役買っていると言っても、決して言いすぎでは無いように思われます。

再エネが電力供給源として(理想はさておき)実際にどの程度頼れるものなのか、という疑問は、こういうブログを書き続けていながら正直今でも持っていますが、FIT開始から3年目を前にして、いよいよ日本でも、有効性の一端が表れてきたのかもしれません。

もうひとつ、それとは別に気になるのは、昨年に接続申し込みの回答保留をいち早く発表していた九州電力で、予備率が低い水準に留まっていることです。

供給力が不足していながらも、民間での電源(PV)を積極導入する動きを止めなければならない、というのは理不尽であり、やはり蓄電手段(バッテリーや水素ガス等)の早急な進歩が、待たれるところです。


※参照資料:
[1]政府の節電ポータルサイト
http://setsuden.go.jp/
[2]電力需給に関する検討会合
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/electricity_supply/
[3]今夏も節電要請見送り 政府、太陽光の供給増で(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS22H5Y_S5A520C1EE8000/
[4]固定価格買取制度 情報公開用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html

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posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 市場・業界の動向:国内
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