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2015年07月13日

マレーシア政府がTrina Solar社の工場について「適用」を拒否、自国が中国メーカー製モジュールの単なる「積み替え拠点」になることを懸念

Trina Solar社のマレーシア工場に関して、「Maleysian Reserve」紙が2015年7月6日の記事[4]で

  • マレーシア政府が適用を断った
と報じていました。

記事内に出てくる政府機関(SEDAとMida)のサイトでは、この件に関する情報は見当たりませんでしたが、記事はSEDASustainable Energy Development Authority、持続可能エネルギー開発庁)」の方(実名記載あり)へのインタビュー内容をメインに書かれており、信憑性が高いと思われます。

今回はこの記事から、主な内容を抜き出してまとめてみました。
(※ただし、管理人の読解能力不足による誤りが存在する可能性はあるので、正確な内容は元記事を読んで確認してください。)


  • 海外メーカーの誘致推進
    マレーシアは
    • 15年間の減税措置
    • 銀行借入の支援
    • 高評価な製造拠点(「Kulim Hi-Tech Park」など)
    といった措置により、中国・韓国・米国・日本の太陽電池メーカーの誘致に成功している。
  • 制裁措置の回避手段化への懸念
    ただし中国メーカーの一部は、欧州・米国による制裁措置(反ダンピング関税など)を回避する目的で、マレーシアを「積み替えハブ」として利用している。
    (マレーシア国内で最終製品の組み立てのみを行い、「Made in Malaysia」のスタンプを押す)
    これにより欧州・米国の制裁関税が、自国にも適用される恐れがある。
    またこのような活動は、マレーシア人の仕事の創出にもつながらない。
  • 海外メーカーへの再許可の条件
    マレーシア投資開発庁Malaysian Investment Development AuthorityMida)」は、米国の反ダンピング関税を逃れる目的でマレーシアに流入してきた海外企業のアプリケーションを凍結してきた。
    しかし今年に入り、
    • マレーシア国内で、太陽電池パネルの組み立てだけでなく、セルも生産すること
      (中国その他からの、セルの輸入は不可
    を条件に、再許可を出すことにした。
    これまでこの条件を満たした企業は、Jinko Solar社のみである。
    (※同社は今年6月に、Penangに生産施設を発足した。
     次の2ヶ月で、その生産能力は
    • セル:500MW/年
    • パネル:450MW/年
     に到達する予定。
     また地域労働者の雇用は、最大で1200名の見込み。)
    今回のTrina Solar社は、マレーシアでセルを製造する予定が無かった
  • 一部の中国メーカーの不正
    Midaが製造ライセンスを許可する条件の中には、
    • 株主資金が250万RM(リンギット)以上であること
    • 75人以上を雇用する約束
    がある。
    一部の中国企業は、このライセンスの免除を得て、(FIT制度に基づく)地元産モジュールによる政府ボーナスを申請した。
    しかし、Midaがその工場の一つを訪れたところ、
    • 実際には太陽電池パネルが生産されていない
      (中国から持ち込んだパネルにフレームを組み付け、刻印するだけ)
    • 全ての労働者が外国人(バングラデシュ人)であり、生産設備も無い。(全て手作業)
    との状況があった。
  • 制裁関税の対象化への懸念
    欧州委員会は今年5月に、太陽電池貿易の調査対象を、マレーシアと台湾に拡大した。
    (これは、中国メーカーによる上記2国からのセル・モジュール輸出に関して、米国のSolarWorld社が申し立てた苦情を受けてのもの)
    SEDAが協議した欧州委員会の使節は、
    • マレーシアが中国製モジュールの「導管」になる可能性がある。
      そのためマレーシアは自身を、欧州の貿易関税の適用対象になる危険性に晒している。
    との懸念を示していた。

ちなみにTrina Solar社は、この記事発表の翌日である7月7日に、

  • マレーシア現地のパートナー企業との協力(太陽電池モジュールのOEM調達、生産能力500MW)は継続中。
    更にこのパートナー企業は、Trina社へのモジュール出荷スケジュール通りに開始した。
と発表しています[5]が、政府から拒否された旨についての言及・説明は、全くありません。


私がこの件について最初に見た記事は、日本語サイトのもの[1]でしたが、情報元を辿ると[2]→[3]→[4]まで遡る羽目になりました。

各々の内容を見ると、まず[1]に書かれている、マレーシア政府が中国以外の進出済みメーカー(米Sunpower、日パナソニック等)に配慮した、ということは、[4]は愚か[2][3]にも全く記述がありません。

また、[1][2]では「工場建設が拒否された」と書かれていますが、[4]ではその表現は見当たらず。

情報は伝わるたびに勝手な断定が入りやすいこと、そしてその信頼性を確認することの大切さを、改めて感じるものであり、端くれブログの運営者である私としても、十二分に気をつけていかなければ、と痛感します。

それはさておき、まず記事[4]を取り上げておいて何ですが、Trina社の製造拠点について「適用を断った(turned down an application)」というのが具体的にどういう措置なのか、という非常に肝心な点が、この記事だけでは良く判りません。

Trina社の現地パートナー企業が、計画通りに生産活動を開始しているというのであれば、(現地企業が保有・運営するものとして)工場は完成済みであり、政府による海外企業向け優遇措置の「適用」は断られたものの、工場の稼動自体は禁止されていない、ということなのかもしれません。

もっともそうなると、現地企業からのOEM調達というのが、制度の抜け道を突いている可能性も疑われますが・・・

また記事からは、太陽電池産業を自国の経済発展につなげようというマレーシアの強い意志、また太陽電池生産拠点としての中国に対する強い対抗心も伺えます。

穿った見方をすれば、その対抗心が、今回のTrina社拠点の「適用を断った」一因となった可能性もありますが、一部企業が実際に不正(ルール破り)を行ったのであれば、同じ国の企業全てに強い疑いの目が向いても、仕方の無いことだとは思われます。

加えて今回の記事では、欧州委員会による中国メーカー製モジュールへの目が、厳しさを増していることも伺え、こうなると米国においても、中国メーカーによる「Made in Malaysia」のモジュールが、制裁関税の対象として検討されるのも、遠くないことだと想像されます。

いずれにせよ、中国の太陽電池メーカーに対する「向かい風」が今後も強さを増すことは、間違いないものと思われます。


※参照資料:
[1]トリナソーラー、関連部品供給は継続するもマレーシア国内に製造工場建設は白紙!(「MALAYSIA NEWS」の記事)
http://www.mys-news.asia/news_rBvyyZXeF.html
[2]Trina Solar’s Malaysian manufacturing plans were blocked by government, claim reports(「PVTECH」の記事)
http://www.pv-tech.org/news/trina_solars_malaysian_manufacturing_plans_were_apposed_claim_reports
[3]Malaysia reported to have rejected China’s Trina Solar plant application(「malaymail online」の記事)
http://www.themalaymailonline.com/money/article/malaysia-reported-to-have-rejected-chinas-trina-solar-plant-application
[4]M’sia says no to China firms in bid to protect solar industry(「Maleysian Reserve」の記事)
http://themalaysianreserve.com/new/story/m%E2%80%99sia-says-no-china-firms-bid-protect-solar-industry
[5]Trina Solar's Cooperation with its Malaysian Partner Remains on Schedule(Trina Solar社のプレスリリース)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2065113

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posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 中国メーカー
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