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2016年10月03日

米国での中国製太陽電池パネル価格は40〜55セント/W、中国市場での供給過剰が遠因

2016年9月29日の「日経テクノロジーonline」の記事[1]で、米国の太陽光発電市場の現状が紹介されていました。

ここではその中から、特に興味深いと思ったデータ等を抜き出してみました。


2016年の米国市場の規模

※「U.S. Solar Market Insight Q2 2016」(SEIAとGTM Researchが発表)から。

  • 2Qの導入量:2GW(前年同期比43%増)
  • 通年の市場規模予想:約14GW(前年比85%増)
    うち70%以上が「Utility」セグメントとみられる。

太陽電池パネルの価格

※SPV Market Research社のPaula Mints氏による。

  • 米国における中国製パネルの価格40〜55セント/W
    ※これは反ダンピング関税も含んでの水準。
  • 背景
    中国では
    • 政府が要求していた2016年の設置容量:15GW
    • 同年のメーカーからの供給量予想:約28GW
      (国内市場に期待して大量生産された結果)
    と、パネルの供給が大幅過剰になっている。
    この過剰パネルの有望な行き場として、米国とインドが挙げられ、米国ではパネル価格が大幅に下落した。

住宅用におけるネットメータリング制度改定の影響

※Lawrence Berkeley National LaboratoryのGalen Barbose氏による。

  • 実例
    アリゾナ州の電力会社「Salt River Project」は、2014年末に住宅用にデマンド・チャージ課金制度を導入。
    その結果、系統接続の申し込み数は
    • 2014年4Q:3565
    • 2015年1Q:64
    と激減した。
  • 理由
    一般住宅の最大需要は、主に夕方や早朝に起こる。
    これは太陽光発電の発電ピークと合わず、太陽光発電によるデマンドチャージ引き下げが期待できない。

太陽電池パネルのコストは、つい数年前までは「1ドル/W」が目標とされていましたが、米国では2013年に0.65ドル/Wに到達

そして今回はそれも大きく下回っており、大手メーカーの業績発表で軒並み価格競争の厳しさが挙げられていたことも、合点が行きます。

とはいえその背景になっているのが、中国市場における地元メーカーによる供給過剰となると、Suntech Powerの主要子会社(無錫サンテック)独Qcellsが経営破たんし、中国大手メーカーが軒並み長期の赤字に陥った、ほんの数年前の苦い記憶が蘇ります。

もっとも今回は、米国でICT(投資税額控除)の5年延長が決定していることから、少なくともその期間は、米国市場での需要が維持されるのかもしれません。

ただし、もう1つの有望市場とされるインドについては

といった状況がまだ続いているのであれば、価格競争力が強いとはいえ、簡単には行かないようにも思われます。


もうひとつ米国市場で気になるのは、住宅用設備の(電力料金削減における)メリットが削られる見込み、ということです。

2016年通年の予想導入量の約7割が大規模設備となると、住宅用の導入ペース減速が及ぼす影響は限られるとは思います。

しかし、従来のように単純な(需給の)電力量の差し引きではなく、リアルタイムの需給を反映した制度に移行する動きが出ているのは、米国においても(日本と同様に)太陽光発電の大量導入に伴う電力系統の安定維持が、より大きな課題となってきていることの表れだと思われます。

発電設備の導入・運営コストを低減するだけでなく、蓄電池にしろ水素利用にしろ、電力需給のマッチングを高度に実現できる(そしてコスト面で十分に実用可能な)手段を確立することが、再エネの本格普及における抜き差しならない課題なのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]米太陽光発電市場は安泰!?、パネル価格は40セント/W!(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/092700032/
[2]米加州の「ネットメータリング」制度が改正へ(同上)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/010700011/

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posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 市場・業界の動向:欧米
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