Bloombergの記事(2016年12月15日付)[1]で、新興国における2016年の再エネ発電のコストが示されていました。
他の記事[2]と合わせて、その中から太陽光発電に関する主な数字を抜き出してみました。
- 新しい太陽光発電設備の平均コスト:
「Bloomberg New Energy Finance」によるデータ、新興国58ヶ国が対象。- 2010年:552万ドル/MW
- 2016年:165万ドル/MW
- 太陽光発電による発電電力の安値記録:
民間企業が参加するオークションによる価格。- 2016年1月:インドで64ドル/MWh
- 同8月:チリで29.10ドル/MWh
※石炭火力の約半額。
まずMWあたりの「平均コスト」が、2016年は1MWあたり2億円を切る水準であることに、強く驚かされました。
当ブログでチェックしてきた限り(また私が知る限り)では、日本国内で2016年に発表されたメガソーラー計画で、1MWあたり3億円を下回るケースは一つもありませんでした。
新興国と日本では、太陽光発電の導入に関わる条件(日照量、新規の発電設備に対する需要の強さ、電力価格の決定方法など)が大きく異なるとは思いますが、それを考えても、導入費用の低減において、大きく水を開けられてしまった印象です。
そして発電電力の価格についても、チリの29.10ドル/MWh(=約0.03ドル/kWh)は、驚異的な水準という他ありません。
記事[1]の本文では詳細が無いですが、記事の副題には
- 「thanks to cheap panels」
そう言えば、米First Solar社などによるザンビアでのプロジェクト(2016年6月発表)でも、発電コストは0.06ドル/kWhであり、新興国での大規模太陽光発電は、このような価格水準が当たり前になっているのかもしれません。
BNEFが関わるウェブサイト「Climatescope」の同日のプレスリリース[3]では、2016年の再エネ導入量は
- 新興国:計69.8GW
- OECD加盟国:計59.2GW
ただし強く気になるのは、コストに関するこれらの記述において、電力需給の安定化に必要なコストについては、全く言及されていないことであり、今後はその点も、再エネの導入コスト・電力価格において、考慮に入れる必要が出てくるものと考えます。
- [1]World Energy Hits a Turning Point: Solar That's Cheaper Than Wind(「Bloomberg」の記事)
- https://www.bloomberg.com/news/articles/2016-12-15/world-energy-hits-a-turning-point-solar-that-s-cheaper-than-wind
- [2]BNEF: 最も安価なエネルギー源は太陽光発電・単価は石炭火力の半額(「BusinessNewsline」の記事)
- http://business.newsln.jp/news/201612171206200000.html
- [3]Press Release: With new pledges and new projects, developing countries take clean energy lead globally(「Climatescope」のプレスリリース)
- http://global-climatescope.org/en/blog/2016/12/15/Climatescope2016-launch/
(スポンサード リンク)
※SEO目的のコメントはお断りします。