米SEIA(Solar Energy Industries Association)が、2016年3Q(2016/7-9)の米国太陽光発電市場に関するレポート「Solar Market Insight 2016 Q4」を公表しています[1]。
その中から、導入コストや売電価格に関する数字を抜き出してみました。
大規模事業用(Utility)のPPAの価格
- 2016年3Qは、35〜60ドル/MWh。
- 更に、最近では35〜50ドル/MWhで契約されている。
太陽光発電システムの平均価格
- 住宅:2.98ドル/Wdc
- 非住宅:フラット屋根では1.69ドル/Wdc
他の市場と同じく、モジュール・インバーター・架台の価格低下が、主な要因だった。
ハードウェアとソフトの内訳は、- ハードウェア:0.80ドル/Wdc
- ソフト:0.89/Wdc
- Utility:
- 固定傾斜:1.09ドル/Wdc
- 一軸追尾:1.21ドル/Wdc
太陽電池モジュールの平均価格
- 中国製は、0.47ドル/W(10MW超の注文)〜0.49ドル/W(1MW未満の注文)の範囲。
- 米国市場における過去数年間のモジュール価格は、中国メーカーに対する反ダンピングと相殺関税により、大きく左右されてきた。
しかし最近では、需要の不均衡が価格変動の主因となっており、価格が急速に下落し続けている。
先にチェックした新興国における2016年のデータ(BNEFによる調査結果)では
- 導入コスト:平均165万ドル/MW(=1.65ドル/W)
- 売電契約の安値記録:チリで29.10ドル/MWh
そう言えば昨年9月には、米国市場が、中国国内で供給過剰になったモジュールの行き場となっていることが報じられていました。
いち消費者としては、太陽光発電の初期コストや、発電電力の価格の低下が進むこと自体は、歓迎すべきことではあります。
しかし、それがモジュールの歪な需給バランス(しかも、ごく一部の地域・市場の動向に起因するもの)に大きく依存しているとするならば、太陽光発電産業・市場の継続的な成長・発展に結びつくのかどうか、一抹の不安も感じます。
また、このように低価格化が急速に進んでいる状況は、輸出を増やしている日本のモジュールメーカー[3]にも、対応すべき大きな課題となっていると推測します。
例えばパナソニック社は、つい先日にTesla社と共同でのモジュールの現地生産計画を発表していましたが、現地・米国市場での価格競争にどう対応していくのか、非常に気になるところです。
- [1] Solar Market Insight Report 2016 Q4(社)
- http://www.seia.org/research-resources/solar-market-insight-report-2016-q4
- [2]米太陽光市場、2016年は日本を抜き世界2位に(日経テクノロジーonline)
- http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/122200039/
- [3]日本における太陽電池出荷量2016年度第2四半期(報道発表資料)(JPEA)
- http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h282q.pdf
- 米国での中国製太陽電池パネル価格は40〜55セント/W、中国市場での供給過剰が遠因(2016/10/03)
- 新興国における2016年の太陽光発電導入コストは平均165万ドル/MW、発電電力の価格はチリで29.10ドル/MWhを記録(2017/1/9)
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