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2017年02月20日

SolarWorld社がPERC単結晶型への注力・ドイツ国内の生産体制集約を決定、中国製モジュールの大量流入による価格急落に対処

SolarWorld社が2017年2月10日に、

  • 競争力強化のための、2017年度からの事業方針
を発表していました[1]。

概要は次の通り。


  • 製品の取捨選択
    今後は単結晶シリコン型+PERC技術にのみ注力する。
    (※従来は多結晶型も製造していたが、将来的には単結晶型のみを製造する)
    これは、多結晶型の変換効率が、技術的な理由で劣るためである。
    研究開発をする子会社「SolarWorld Innovations GmbH」では、PERCと統合可能な変換効率向上プロセスに注力する。
  • 生産体制の整理
    ドイツ国内では
    • Arnstadt拠点でのモジュール生産
    • Freiberg拠点でのセル生産
    を停止し、
    • セル生産Arnstadt
    • モジュール生産Freiberg
    に整理する。
    これは、小規模生産を移転することで
    • 規模の経済の高速化
    • 冗長性の削減
    • 生産プロセスのシンプル化
    を行い、将来の成長余地を作り出す狙いがある。
    (※米国については、Hillsboro拠点が既に、PERCセル・モジュールを独占的に生産している)
  • 人員の削減
    上記の拠点整理に伴い、2019年まで400の労働者を削減する見込み。
  • モジュール出荷量の拡大
    上記の措置により、太陽電池市場のこれまでに無い困難な局面から脱出し、2019には2GW/年に拡大することを目指す。

また[2]では、この措置に関する更なる詳細情報として、CEOのFrank Asbeck氏へのインタビュー内容が掲載されています。

その中から、主な内容を抜き出してみました。


  • 自社の方針
    SolarWorld社はプレミアム品質(長寿命・高効率)の製品を提供しており、これと顧客からの忠誠心loyalty)によって、市場競争から距離を置いている。
    これは、安価な中国などの製品に対抗する唯一の方法である。
    しかしここに来て、更に事業の焦点を絞る必要が生じている。
  • 生産品と技術の選択
    • 単結晶シリコン型の変換効率には、最大の将来性を見ている。
      既に、単結晶PREC技術を量産ラインに導入したことで、出力300W以上のモジュールが実現されている。
      (※3年前の多結晶型技術では、250Wだった)
      自社は、他の技術(ヘテロ接合、ペロブスカイト等)ではなく、単結晶PERC技術の進歩に注力する。
    • 多結晶型については、2017年に残っている受注分には当然対応するが、将来的には生産を停止する。(単結晶型に完全に移行)
    • ガラス−ガラスモジュール(両面ガラスモジュール)の需要は増えているが、ガラス−フィルムモジュール(従来型のモジュール)の生産は続ける
  • 生産拠点の集約
    • ドイツ国内の2拠点では、優れた生産性を実現してきたが、今日ではコストが高く、生産を集約する必要が生じている。
      SolarWorld社の競合相手はアジアにあるが、それらは国の金により、巨大な生産設備を設けている。
      このため、セル生産拠点を2ヶ所に分けている現状では、対抗できない。
    • Arnstadtでは、3年前にBosch社から欧州最大のセル生産拠点を取得して以来、Freibergの労働者の助力を得て生産能力の拡大を続けてきた。
      このため今回は、ドイツ国内でのセル生産Arnstadtに集約するものである。
    • 同様の措置は、モジュールにおいても適用され、Freibergのモジュール工場が存続の対象となる。
    • 米国については、Hillsboro拠点の生産品のみで、同国での需要を賄うことを目指している。
  • 2016年の市場や自社の動向
    • SolarWorld社では、上半期はフルオーダーを受注し、生産設備もフル稼働した。
      これにより、第2四半期は営業利益が再び黒字に転換した。
    • しかしその後、中国が突然
      過剰生産された国内製モジュールを、全て海外に輸出する。
      との方針を決定した。
    • これは生産コストを下回るダンピング価格で行われ、結果としてモジュール価格は急激に20〜30%下落した。
      そのためSolarWorld社は、(他の多くのメーカーと同様に)生産量を削減。
      更に、販売促進のための特別な対策を講じることとなり、その結果として2016年業績は赤字となった。
  • 今後の市場の見通し
    • 2017年の世界市場は、中国を除いて需要が拡大するとみている。
      中国国内の新規設置は、2016年上半期には記録的な増加をみせたが、2017年の政府目標はそれより大幅に下回っている
      そのため他の市場では、需要が高まるものの、中国のダンピングに対処する必要が生じる。
    • 米国については、大部分の地域において、他の発電方法よりも太陽光発電が安価になっている。
      これは、トランプ氏と言えども否定できない。
      太陽光発電の導入を拡大しようという多くのイニシアチブは、個々の州から来ている。

Frank Asbeck氏へのインタビュー[2]では、プレスリリース[1]だけでは良く判らない背景が詳細に述べられており、単に一社の動向に留まらない、非常に興味深い内容だと感じるものです。

SolarWorld社はかつて、中国政府による同国メーカーへの実質的な支援を批判し、それが米国・欧州での(中国メーカー製モジュールを対象とする)反ダンピング関税・相殺関税の導入にもつながった筈ですが、結局は大規模生産能力を背景とする中国メーカーの市場への影響力は、殆ど変わっていないように思われます。

日本メーカーも最近の業績では(CIS型結晶シリコン型を問わず)苦境が目立っており、(良し悪しはともかく)現実問題として、今回のSolarWorld社のような思い切った体制変更が、必要になるのかもしれません。

またこうなると、好奇心として、中国国内でのモジュール価格が一体どんな水準なのかも気になるところですが、同市場については「価格が安すぎて日本メーカーは参入できない」との話もあり[3]、海外メーカーにとっては完全に視野の外と思われます。


もう一つ、SolarWorld社が現状で、PERC単結晶型に最大の可能性を見出していることも、非常に興味深い点です。

日本メーカーにおいては、先駆者のパナソニックは当然として、シャープ長州産業カネカと、多くのメーカーでヘテロ接合型を次世代の主流技術とする姿勢が伺え、この点はSolarWorld社と明確に異なっているようです。

結晶シリコン型太陽電池が技術的にもまだまだ、変革・進歩の途上にあることを感じるものです。


※参照資料:
[1]SolarWorld AG strengthens its competitiveness(SolarWorld社)
http://www.solarworld.de/en/group/press/press-releases/corporate-news-ad-hoc/single-ansicht/article/solarworld-ag-strengthens-its-competitiveness/
[2]Sunday Extra: Interview with Dr.-Ing. E.h. Frank Asbeck(同上)
http://www.solarworld.de/en/group/press/press-releases/press-release/single-press-releases/article/sunday-extra-interview-with-dr-ing-eh-frank-asbeck/
[3]世界の太陽光発電、昨年は5割増。なぜFITがない米国が2位?(ニュースイッチ)
http://newswitch.jp/p/7736

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posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | その他
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