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2017年06月07日

米ITCが結晶シリコン太陽電池セルにおけるセーフガード向け調査の実施を発表、米国外の生産品全てが対象

米国ITC(International Trade Comission)が2017年5月に、

  • 結晶シリコン太陽電池セルの輸入におけるセーフガード実施に向けて、調査を行う。
と発表していました[1]。

ここではその中から、主な内容を抜き出してみました。


調査の背景 国内の太陽電池セル・モジュールメーカー「Suniva」からの陳情を受けた。
(※同社は2017年4月13日に、連邦破産法11条の適用を申請している[2][3])
調査の内容 結晶シリコン太陽電池セルにおいて、
  • 輸入品と似た・または直接競合する製品
を生産する国内産業に対して、
  • 重大な傷害・脅威
の実質的な原因となるだけの増加量で、輸入品が米国に輸入されているかどうか。
※この調査については「非常に複雑(Extraordinarily Complicated)」と判断されている。
調査の対象となる製品 下記に該当する結晶シリコン太陽電池セル。
  • 部分的に・または完全に他の製品に組み立てられているか否か、を問わない。
    モジュール、ラミネート、パネル、建材一体型製品などを含む。(そしてこれらに限定されない)
    輸入後に組み立てられた製品も、調査対象となる可能性がある。
  • 厚さ20μm以上p/n接合を持つもの。
    電流を集める・送るための、各種加工や素材の付加の有無によらない。
  • PERC」セル、「HIIT(heterojunction with intrinsic thinlayer)」セル、その他の「ハイブリッド」セルを含む。
    (そしてこれらに限定されない)
調査の対象外
  • 米国内で製造された太陽電池セル。
  • 薄膜型太陽電池(アモルファスシリコン、CdTe、CIGS)
  • 結晶シリコン型セルでも、下記に当てはまるもの。
    • 消費者向け製品に永久的に組み込まれており、発電電力をその製品自体で消費する。
    • 合計面積が1万mm2を超えない。
スケジュール
  • 2017年5月17日:Suniva社からの陳情を受理。
  • 同8月〜10月:損害や救済に関するヒアリングを行う。
  • 同9月22日まで:損害の判断を決定する。
  • 同11月13日まで:大統領に報告書を提出する。


中国から輸入される太陽電池を対象とした米国の対抗的な動きは、私が知る限りでは2011年に始まっています。

実際に2012年に反ダンピング関税・相殺関税が決定された後、中国メーカーは台湾で太陽電池セルを生産するようになり、それに対して米国は台湾製の製品も対象に

しかしその後、中国メーカーは東南アジアに製造拠点を移して課税を免れた([3]の3p)とのことで、「米国外」で製造したセルを調査対象とする、との今回の米ITCの発表は、いたちごっこに痺れを切らした米国太陽電池メーカーの、代弁とも感じられます。

調査対象の製品(条件)は、過去の調査時と(生産地域を除いて)ほぼ同じであり、今回はあくまで、生産地をずらす「抜け道」を塞ぐことが、主目的であることが伺えます。


その是非は私には判断しかねるのでさて置くとして、ニュース記事[3]の2pには、Suniva社が米ITCに提出したという、結晶シリコン型太陽電池モジュールの最低価格案が掲載されています。

その価格(0.68〜0.78ドル/W)は、昨年9月に報じられた米国における中国製モジュールの価格(0.4〜0.55ドル/W)よりは高いものの、1ドル/Wは優に下回っており、米国ではこの価格水準(1ドル/W未満)が既に当たり前になっていることが伺えます。

2017年1〜3月の日本のモジュール出荷統計では、北米向け輸出は前年同期比78%減という激減振りでしたが、やはり日本メーカーの製品価格では既に対応できなくなっている、ということなのかもしれません。

中国メーカー製品に無理やり引っ張られている面も強いとは思いますが、それでも太陽電池のコストダウンが急速に進んでいること自体は間違いなく、これにどう対応していくかは、(日本に限らず)どのメーカーにとっても、直視せざるを得ない最大の課題なのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]Federal Register /Vol. 82, No. 104 /Thursday, June 1, 2017 /Notices(USITC)
http://www.usitc.gov/trade_remedy/731_ad_701_cvd/investigations/2017/Solar%20Panels/Safeguard/cspv_-_institution.pdf
[2]米国が太陽電池輸入にセーフガード発動検討、WTO加盟国に通知(Reuters)
http://jp.mobile.reuters.com/article/idJPKBN18P227
[3]保護措置で米国が世界で最も太陽電池の高い国に!?(日経テクノロジーオンライン)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/052900050/
[4]Suniva(Wikipedia)

※関連記事:

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posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 市場・業界の動向:欧米
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