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2017年08月25日

米国で太陽電池モジュールのスポット価格が最大2割上昇、それでも値上がり前は35セント/W

1ヶ月近く前になりますが、Newsweekの記事[1]で、米国の太陽光発電市場の現状が報じられていました。

この中で、米国での太陽電池モジュール価格の変化についても書かれており、主な数値は次の通り。


  • スポット価格「ここ数週間」で、最大2割上昇した。
  • 価格高騰以前の平均水準:35セント/W


「ここ数週間」を仮に4週間(1ヶ月)とすると、記事[1]の日付(2017/7/31)から、35セント/Wは2017年6月頃の水準となります。

これを、過去の米国での太陽電池モジュール価格(※当ブログでチェックしていたもの)と一緒に並べると、下記のようになります。

価格
2009年 約4ドル/W
2013年 0.65ドル/W(4年で約84%減)
2016年3Q(7-9月) 中国製が0.47〜0.49ドル/W(約3年で約25〜28%減)
2017年6月ころ 0.35ドル/W(1年未満で約26〜29%減)
2017年7月 0.42ドル/W(上記から20%増として計算)

こうしてみると、2017年は8年前(2009年)の実に約1/10であり、値下がり幅の大きさには改めて驚かされます。


ただ思い返すと、2011年2012年頃には中国メーカーは軒並み赤字に陥っており、2012年には独Q-cells社が経営破綻

その翌2013年には、Suntech Powerの旗艦法人だった「無錫サンテック」が破産と、2009〜2013年での8割超もの値下がりは、製品の供給過剰によるメーカーの業績悪化と引き換えのものだったことが伺えます。

その後、2013年2QにはJinkoSolar社が中国メーカーで最初に黒字化し、他の中国メーカー(Trina Solar等)もそれに続いたことから、これが2013〜2016年のモジュール価格下落のペース鈍化と、対になっていたと推測されます。


そして2016年以降は、価格下落のペースが再び加速しており、その主因として中国メーカーの過剰生産品の流入が指摘されていますが、中国メーカーが一体どのような判断で生産量を決定しているのか(或いは、市場の需給を考慮しない雑な生産計画が許容される背景に何が有るのか)、というのは非常に気になるところです。


いっぽうで(モジュールのみでは無く)太陽光発電設備全体の初期コストに目を向けると、今年(2017年)の1Qには、米国内での大規模(utility-scale)発電事業で、1ドル/Wを下回った[2]とのこと。

新興国では、既にメキシコで1ドル/Wを下回るプロジェクトが立ち上がっており、また中国でも約1ドル/Wの発電所が稼動を開始済みではあります。

しかし、先進国の米国がそれらに近い水準になっているというのは、何とも不思議であり、それだけ(初期コストの大きな部分を占める)モジュール価格の昨年来の低下が、異常であることを表しているようにも思われます。


そして、国内の市場や産業に、これだけ(良い面でも悪い面でも)急激な変化を生じさせているとなれば、米ITCが結晶シリコン太陽電池へのセーフガードの必要性ありと判断する可能性は、高いと予想します。

ちなみに記事[1]では、トランプ大統領の判断に対する、太陽光発電業界での懸念が多く取り上げられていますが、そもそも中国製太陽電池への反ダンピング関税・相殺関税じたいは、オバマ政権時代の2012年に最初に決定されているので、大統領固有の思想・信条とは関係なく、決定・実行されるものと考えます。


※参照資料:
[1]アメリカの太陽発電ブーム、「トランプ関税」で終焉迎える?(Newsweek、2017/7/31)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8098.php
[2]U.S. Solar Market Adds 2 Gigawatts of PV in Q1 2017(米SEIA、2017/6/6)
http://www.seia.org/news/us-solar-market-adds-2-gigawatts-pv-q1-2017

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