【現在位置】トップページ > 有機太陽電池 > 当記事

(スポンサード リンク)

2017年09月24日

理研が超薄型(3μm)で高い変換効率(7.9%)の有機太陽電池を開発、また伸ばしたゴムによる封止で、耐水性の大幅向上や高い伸縮性も実現

理化学研究所が2017年9月19日に、

  • 超薄型変換効率が高く、伸縮性・耐水性にも優れる有機太陽電池を開発した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


<背景>

衣服に貼付できる太陽電池は、生体継続モニタリング用のウェアラブルセンサーの電源候補として、期待されている。
しかし、このような太陽電池は
  • 環境安定性の高さ
  • 変換効率の高さ
  • 優れた機械的柔軟性
の3要素を同時に満たす必要があるが、従来の有機太陽電池ではこれは困難だった。
特に、非常に薄いフィルムを用いる場合には
  • フィルム表面の平坦性の確保が困難
  • ガスバリア性の著しい低下
との課題があった。

<特徴>

超薄型を実現 2012年に理研で開発した新しい半導体ポリマー(PNTz4T)を使用し、厚さ約1μmの「パリレン」(※高分子材料の一種)の基板上に、有機太陽電池を作成した。
またこのデバイスは、50%まで潰しても、安定的に駆動した。
(※管理人注:この後の本文の記述から、太陽電池作成後の厚さは、3μmとみられる。)
高い変換効率 ガラス支持基板から剥離した状態で、変換効率7.9%を達成した。
(※過去に報告されている柔軟性の高い有機太陽電池では4.2%)
高い耐水性 作成したデバイスは、5分間水中に浸した後でも、変換効率の低下は殆どみられなかった。
また、水性ペン(黒色)で表面に染みを付けた後に、デバイスを洗剤液(中性洗剤10%)で洗ったところ、素子性能の低下を全く起こさず、変換効率は初期値に戻った。
高い伸縮性の確保と、耐水性の大幅向上 2枚のゴム予め引っ張って伸ばし、その間に今回の有機太陽電池(厚さ3μm)を挟むことで、高い伸縮性を得つつ、耐水性能を大きく向上できた。
120分間水中浸漬における、変換効率の低下の度合いは
  • ゴム封止無し:初期値から約20%低下
  • ゴム封止有り:同約5%低下
であり、ゴム封止により大幅に向上している。
また、水滴をデバイス上へ滴下・一定時間保持しつつ、約50%の伸縮を反復した場合には、変換効率は初期値の80%を維持した。


もう昔の話になりますが、約9年前(2008年)に米IBM社が、今後5年間のうちに世の中を大きく変える可能性がある、という技術革新を予想した「Next 5 in 5」を発表していました。

その一つに薄膜太陽電池の多様な場所への設置があり、その想定用途の一つに「衣類」への設置が挙げられていました。

しかし結局、2013年までにはおろか、更に4年経った現在(2017年)でも、衣類への太陽電池搭載は実用化が達成されておらず、そのハードルの高さが偲ばれます。

ちなみに、発表[1]の中にある変換効率の従来の記録(4.2%)は、東京大学とヨハネスケプラー大学が2012年に発表した研究成果と合致しているので、これが該当するものと思われます。


そこに来て今回は、日本国内の研究機関による発表ということで、性能が非常に具体的に示されており、当ブログでこれまでチェックしていた類似の研究成果(関連記事)と比べても、最も実用化に近いように感じられます。

もっともこの点は、最新の研究成果なので、当然と言えば当然のことなのかもしれません。

もし仮に実際の製品(衣類)に適用する場合には、更に厳しい試験が必要になるものと想像しますが、それでも今回、発電性能や伸縮性、各種の耐久性がここまで来たということで、何らかの展開につながることを、期待したいところです。


※参照資料:
[1]洗濯可能な超薄型有機太陽電池(理化学研究所、2017/9/19)
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170919_2/

※関連記事:

(スポンサード リンク)


posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 有機太陽電池
この記事へのコメント
コメントを書く

※SEO目的のコメントはお断りします。

お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。