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2018年07月25日

大規模太陽光発電所による電力網の安定機能に関する研究(First Solar社やNREL等が実施)が、「InterSolar EU」で「Outstanding Project Award」を受賞、大規模PVのゲームチェンジャーと評価

First Solar社が2018年7月12日に、

  • 大規模太陽光発電所により電力網安定のための各種サービスを行う研究が、「InterSolar EU」(独ミュンヘンで本リリース発表の前週に開催)で「Smarter E Awards program」の「Outstanding Project Award」を受賞した。
と発表していました[1]。

今回は、その概要をまとめてみました。


研究の体制
  • NREL(National Renewable Energy Laboratory)
  • CAISO(California Independent System Operator)
との共同。
研究の内容・成果
  • 300MWの大規模太陽光発電所(米カリフォルニア州)において、様々なタイプの有効電力・無効電力制御を行い、
    • 運転予備力(spinning reserves)
    • 負荷追従(load following)
    • 電圧支援(voltage support)
    • 出力変化(ramping)
    • 周波数応答(frequency response)
    • 変動の円滑化(variability smoothing)
    • 周波数調整(frequency regulation)
    • 電力品質の改善(improved power quality)
    を含むサービスを行った。
  • これらの制御により、太陽光発電所が
    • 周波数調整に関するグリッド信号に、素早く反応できる。
    • 従来の発電(熱、水力、ガスタービン等)よりも正確に反応し、タイトに調整できる。
    ということが示された。
「Smarter E Awards program」の審査員による評価
  • この研究は、
    • 太陽光発電所は、炭素排出源の必要性を低減するだけでなく、システム性能を改善し、極めて高いレベルで変動する発電方式とともに運用することもできる。
    という、ゲームチェンジャーとしての大規模太陽光発電所のコンセプトを、証明するものである。
  • 今回のプロジェクトの成果は、
    • 大規模太陽光発電所が、電力網の信頼性と安定性に貢献でき、重要なグリッドサービス(従来の発電方式に付属しているもの)を提供できる。
    ということを、利害関係者に確信させるためのドアを開くものとして、用いることができる。
研究の当事者による評価
  • 今回の賞は、ソーラー業界の全ての人にとっての賞である。
    この研究は、より多くの太陽光発電が電力網に接続でき、また太陽光発電産業の更なる成長が可能であることを、証明している。
    (First Solar社のシステム開発担当副社長)


この研究について詳しく解説しているレポート(70ページ弱)[4]が、NRELのサイト[3]に掲載されており、私も一通り読んでから記事を書くつもりでしたが、私の英語力+理解力では、半分ほどを読むのがやっとでした。

そのため、検証されたグリッドサービスの具体的な性能(従来の水力・火力による調整能力との比較)までは判りませんが、とりあえず「Advanced Inverter」([4]の5p)等を用い、短い時間周期(例えば4秒ごと)での情報収集と制御を行うことで、応答の速さや正確性が実現されたようです。


例えば電力系統の周波数が低下した際、従来の火力や水力発電では、発電用タービンと機械的に連動するガバナ(調速機)により、タービンに流入する水や蒸気の量を自動的に増やすことで発電出力を上げ、周波数を調整する筈です。(少なくとも私が電検三種で学んだときはそうだった)

この出力増加を、太陽光発電設備の電子制御(パワーエレクトロニクス)で行う場合、機械的な動作が無い分、応答速度や正確さが高まるというのは、確かに考えられることです。


また、太陽光発電設備の制御能力を高めることで、昼間の発電余剰分が大きいほどグリッドの調整能力も大きくなる、という記述([4]の4p)も、非常に興味深いです。

これが本当であれば、出力の変動が大きく電力系統の厄介者、と捉えられている感のある太陽光発電にとっては、文字通りの「ゲームチェンジャー」になると思われます。

そのため、今回の研究対象となった技術については、是非とも早期の幅広い実用化を、期待したいところです。


※参照・参考資料:
[1]First Solar Receives Outstanding Project Award at InterSolar EU(First Solar社、2018/7/12)
http://investor.firstsolar.com/news-releases/news-release-details/first-solar-receives-outstanding-project-award-intersolar-eu
[2]Energy Systems Integration Newsletter June 2018(NREL)
(※記事の3項目めが「NREL Collaboration with First Solar, CAISO Receives Outstanding Project Award」)
https://www.nrel.gov/esif/esi-news-201806.html
[3]NREL, California Independent System Operator, and First Solar Demonstrate Essential Reliability Services with Utility-Scale Solar(NREL)
https://www.nrel.gov/esif/partnerships-caiso-first-solar.html
[4]Technical Report: Demonstration of Essential Reliability Services by a 300-MW Solar Photovoltaic Power Plant(同上、上記ページ内)
https://www.nrel.gov/docs/fy17osti/67799.pdf
[5]spinning reserve(weblio)
https://ejje.weblio.jp/content/spinning+reserve

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