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2014年05月11日

東京消防庁が「太陽光発電設備に係る防火安全対策検討部会」の検討結果を公表、モジュールの燃焼性は低い

もう1ヶ月以上前になりますが、東京消防庁2014年4月末に、「太陽光発電設備に係る防火安全対策検討部会」の検討結果をウェブ上で発表していました[1]。

この中で、まず実際の火災の発生状況は下記の通り。

太陽光発電設備から発生(出火)した火災の件数

  • 全国2008-2013年):30
    出荷箇所の内訳は、
    • モジュール:3
    • 接続箱:8
    • パワコン:14
    • 接続ケーブル:3
    • 昇圧ユニット:1
    • 発電モニター:1
  • 東京消防管内(2008-2013年):3
    出火原因は、
    • パワコン内部:2
    • 施工中の誤配線:1

    また、同管内で同期間に発生した屋上火災の件数は167件。

東京都で、太陽光発電が原因で起こった火災は屋上火災件数の3%弱であり、屋上設置設備の普及割合が不明なので、この数字が多いか少ないかは判断しかねますが、やはり屋外設置部分が多い電気設備だけに、ショート等で火災を起こす可能性を孕んでいることは、よく注意する必要があると思われます。

ただ全国的には、流石にFIT開始以降には若干増えているとはいえ、火災の発生件数はかなり少なく、これについては下記の燃焼実験での結果が、一因を示しているものと考えます。

太陽電池モジュールの燃焼性の検証実験

  • 目的:
    下記2点を検証する。
    ・モジュール自身の燃焼が、周囲の設備に及ぼす熱的な影響
    ・他所で火災が生じた場合に、モジュールが延焼媒体となる危険性
  • 実施時期:2013年11月
  • 実施場所:東京理科大学火災科学研究センター実験棟
  • 各種条件:
    • モジュール
      下記条件を満たすもの。
      屋上(陸屋根)設置タイプ。(※屋根建材型は対象外)
      ・「イ JIS C 8992-2」に基づく火災試験(または同等の性能試験)に適合。
      ・市場に流通している一般的な製品(結晶系、薄膜系、CIS系)。
       (1m2あたりの可燃物量は、0.49〜1.64kgだった)
      設置角度33度。(東京都内で最も発電効率が高い角度)
    • 火源:ガスバーナー(都市ガス)
      モジュール裏面中心部に炎を当てる。
      炎の大きさは、下記の3種類。
      小火災
       点検整備中に持ち込まれる可燃物や、くずかご程度の可燃物の燃焼を想定。
       平均火炎高さがモジュール裏面程度であり、加熱時間は5分。
      中火災
       小規模な屋上設置設備の燃焼を想定。
       モジュール1枚に火炎が行き渡る程度で、加熱時間は5分または10分。
      大火災
       建物内(屋上塔屋など)で生じた火災により、開口部からの噴出火炎などを浴びる状況を想定。
       モジュール2枚に火炎が行き渡る程度で、加熱時間は15分。
    • その他:
      モジュール枚数(1枚・4枚)、外気風、モジュール自体の劣化の組み合わせで7条件を設定した。
      (※発電の有無は、過去の実験から、燃焼に影響ないと考えられるため対象外)
  • 結果:
    • 小火災
      加熱中にモジュールは燃焼せず
      加熱後は、裏面の火炎が当たった範囲に変色・フィルムの浮きがみられたが、表面(非加熱面)には殆ど変化無し。
    • 中火災
      ケーブル・端子箱のある側(半分)が大きく燃焼。
      終了後にはフィルムが5割以上焼失し、内部樹脂も溶融し滴下していた。
      表面は褐色になったものの、ガラス部材には大きな破損は無い。
      一方で燃焼が小さい側は、小火災と同様の状況だった。
    • 大火災
      火炎に接するモジュールとその上方のモジュールは、まずバックシートと内部樹脂が燃焼し、その後ほぼ全面が火炎に包まれ、表面に火炎が噴出した。(ガラスが破損)
      ただし、両モジュールの可燃物の燃焼が終わった後、水平方向への延焼起こらなかった
    • その他:
      ・モジュールから1m離れた場所の熱流束は、最大でも1.5kW/m2
       これは、木材の着火条件(受熱限界10kW/m2)より非常に小さい
      ・発生ガスから、人体に影響を及ぼす程度の一酸化炭素・ホルムアルデヒド確認されていない

この実験は、モジュール自体からの(ショート等による)発火ではなく、外部の炎で炙ったものですが、燃焼性がかなり低いことが伺えるもので、仮に配線のショートで発火したとしても、その後に大きく燃焼・延焼する可能性が低いことが推測されます。

ただし燃え広がる可能性は少ない一方で、(発表資料でこの後に示されていますが)モジュールに光が当たって発電している限り、消防活動における感電の危険性は存在しており、これに関連して(東京消防庁の発表とは別件ですが)火災発生が仮に夜間であっても、その炎によりモジュールは発電しうる[2]とのことで、太陽光発電設備において火災と感電の複合的な危険性が存在することは、最低限知識としてだけでも認識しておく必要があると考えます。

またモジュールの発電継続による危険については、火災以外にも津波被災時の危険性が指摘されており、その防止策として、モジュール破損時に出力を遮断する機能を付加する等、モジュール個々での対策が必要になるのかもしれません。


※参照・参考サイト:
[1]太陽光発電設備に係る防火安全対策の結果(東京消防庁)
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-yobouka/sun/index.html
[2]月刊「Solvisto」誌 2014年4月号30-32p「日本太陽エネルギー学会 『太陽光発電システムの火災リスク』セミナー開催」

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posted by 管理人 at 02:53 | Comment(0) | 市場・業界の動向:国内
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