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2017年11月28日

フランスの中学校屋根に有機太陽電池フィルムによる太陽光発電設備(22.5kWp)が設置、Heliatek社のソリューション「HeliaSol」の初使用事例

  • Heliatek
  • エネルギー企業「ENGIE」(※2016年からHeliatek社の株主)
2017年11月15日に、
  • 500m2有機太陽電池を用いた、屋根設置型の太陽光発電設備(22.5kWp)を完成させた。
と発表していました[1][2]。

設備の概要は下記の通り。


設置場所 フランスの「Pierre Mendes France」中学校の屋根。
太陽電池HeliaSol 有機太陽電池フィルムを用いたソリューションであり、下記のような特徴を持つ。
  • ready-to-use(すぐに使用可能)」:
    裏面が自己接着性であり、配線も予め施されている。
    これにより、既存の屋根面に直接取り付けできる。(※後で電気的に接続する)
    また軽量であり、設置にあたって屋根を補強する必要が無い。
    今回の設備では、500m2400、長さ2m、4m、5.7mの3種類)の「HeliaSol」を、6人のチームで8時間(準備時間込み)で設置した。
    1枚あたりの所要時間は2分以上
  • 想定用途
    既存の工業用・商業用建物の、屋根表面やファサードの改装に適する。
    今回は初の屋根設置の事例であり、一般的な市場参入の準備の第一歩とされている。
発電容量 22.5kWp
発電電力量 23.8MWh/年の見込み
※学校の電力需要の約15%に相当する。
※発電する電力は、全量を学校で使用する。


「HeliaSol」1枚の設置に2分、設置枚数を400枚とすると、単純な掛け算で計800分(約13時間)となります。

これは実際の設置時間(8時間)と合いませんが、「HeliaSol」は設置が容易とのことなので、複数枚の設置作業を同時に行っていった(例えば3人1組で1枚、同時に2枚づつ作業)、ということかもしれません。


また、「HeliaSol」1m2あたりの発電容量は、単純計算で、22.5[kWp]/500[m2]=0.045[kWp/m2]となります。

いっぽうでHeliatek社の有機太陽電池の変換効率は、製品段階で7-8%[3]とされており、上記の数値(変換効率4.5%相当)はかなり低くなっています。

この点については、実際に設置された「HeliaSol」の写真を見ると、発電部分(有機太陽電池フィルム)の周囲に余白部分?が設けられており、これが単純計算での変換効率が低くなる原因と推測します。


ともかく今回の「HeliaSol」は、設置の容易さといい、軽量・フレキシブルな点といい、建物屋根への太陽電池設置の可能性を、大きく広げうるものだと感じられます。

有機太陽電池の本格的な規模での商用化は、(私が知る限り)まだ実現していませんが、Heliatek社が「HeliaSol」によって、いよいよそれを成すことを、強く期待したいところです。


※参照・参考資料:
[1]The world's largest BiOPV installation with HeliaSolR in France(Heliatek社、2017/11/15)
http://www.heliatek.com/en/news/news/details/the-worlds-largest-biopv-installation-with-heliasol-in-france
[2]A world first: Inauguration of the Organic Photovoltaic Roof of the Mendes-France Secondary School in La Rochelle(ENGIE社、2017/11/15)
https://www.engie.com/en/journalists/press-releases/world-first-inauguration-organic-photovoltaic-roof/
[3]unique product properties(Heliatek社)
http://www.heliatek.com/en/unique

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 有機太陽電池

2017年09月24日

理研が超薄型(3μm)で高い変換効率(7.9%)の有機太陽電池を開発、また伸ばしたゴムによる封止で、耐水性の大幅向上や高い伸縮性も実現

理化学研究所が2017年9月19日に、

  • 超薄型変換効率が高く、伸縮性・耐水性にも優れる有機太陽電池を開発した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


<背景>

衣服に貼付できる太陽電池は、生体継続モニタリング用のウェアラブルセンサーの電源候補として、期待されている。
しかし、このような太陽電池は
  • 環境安定性の高さ
  • 変換効率の高さ
  • 優れた機械的柔軟性
の3要素を同時に満たす必要があるが、従来の有機太陽電池ではこれは困難だった。
特に、非常に薄いフィルムを用いる場合には
  • フィルム表面の平坦性の確保が困難
  • ガスバリア性の著しい低下
との課題があった。

<特徴>

超薄型を実現 2012年に理研で開発した新しい半導体ポリマー(PNTz4T)を使用し、厚さ約1μmの「パリレン」(※高分子材料の一種)の基板上に、有機太陽電池を作成した。
またこのデバイスは、50%まで潰しても、安定的に駆動した。
(※管理人注:この後の本文の記述から、太陽電池作成後の厚さは、3μmとみられる。)
高い変換効率 ガラス支持基板から剥離した状態で、変換効率7.9%を達成した。
(※過去に報告されている柔軟性の高い有機太陽電池では4.2%)
高い耐水性 作成したデバイスは、5分間水中に浸した後でも、変換効率の低下は殆どみられなかった。
また、水性ペン(黒色)で表面に染みを付けた後に、デバイスを洗剤液(中性洗剤10%)で洗ったところ、素子性能の低下を全く起こさず、変換効率は初期値に戻った。
高い伸縮性の確保と、耐水性の大幅向上 2枚のゴム予め引っ張って伸ばし、その間に今回の有機太陽電池(厚さ3μm)を挟むことで、高い伸縮性を得つつ、耐水性能を大きく向上できた。
120分間水中浸漬における、変換効率の低下の度合いは
  • ゴム封止無し:初期値から約20%低下
  • ゴム封止有り:同約5%低下
であり、ゴム封止により大幅に向上している。
また、水滴をデバイス上へ滴下・一定時間保持しつつ、約50%の伸縮を反復した場合には、変換効率は初期値の80%を維持した。


もう昔の話になりますが、約9年前(2008年)に米IBM社が、今後5年間のうちに世の中を大きく変える可能性がある、という技術革新を予想した「Next 5 in 5」を発表していました。

その一つに薄膜太陽電池の多様な場所への設置があり、その想定用途の一つに「衣類」への設置が挙げられていました。

しかし結局、2013年までにはおろか、更に4年経った現在(2017年)でも、衣類への太陽電池搭載は実用化が達成されておらず、そのハードルの高さが偲ばれます。

ちなみに、発表[1]の中にある変換効率の従来の記録(4.2%)は、東京大学とヨハネスケプラー大学が2012年に発表した研究成果と合致しているので、これが該当するものと思われます。


そこに来て今回は、日本国内の研究機関による発表ということで、性能が非常に具体的に示されており、当ブログでこれまでチェックしていた類似の研究成果(関連記事)と比べても、最も実用化に近いように感じられます。

もっともこの点は、最新の研究成果なので、当然と言えば当然のことなのかもしれません。

もし仮に実際の製品(衣類)に適用する場合には、更に厳しい試験が必要になるものと想像しますが、それでも今回、発電性能や伸縮性、各種の耐久性がここまで来たということで、何らかの展開につながることを、期待したいところです。


※参照資料:
[1]洗濯可能な超薄型有機太陽電池(理化学研究所、2017/9/19)
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170919_2/

※関連記事:

posted by 管理人 at 06:00 | Comment(0) | 有機太陽電池

2014年03月28日

独Heliatek社が透過率40%の有機薄膜太陽電池セルで、変換効率7.2%を達成

Heliatek社が2014年3月24日に、

  • 半透明の有機薄膜太陽電池セルで、変換効率7%超を達成した。
と発表していました[1]。

成果の概要は下記の通り。

  • 光の透過率40
    照射光の60%を、発電に利用したことになる。
  • セル変換効率7.2
    これは、不透明セルでの記録(12%)の約6割に相当する。

また今回の研究は、同社の製品「HeliaFilm」の、ガラスメーカー向けの展開戦略を強化するもので、想定用途として下記の例が挙げられています。

  • 自動車屋根のガラスへの適用:
    通常の着色ガラスの代わりに用いることで、発電と遮光を両立できる。
  • 建築用ガラスパネルに組み込む:
    建物外壁での発電が可能になる。

約1年前に変換効率12%を達成した不透明セルは大きさ1.1cm2だったので、今回の半透明セルも(明記は無いですが)小さいサイズと推測されます。

そのため、実際の製品時の変換効率はもっと低くなるものと思いますが、それでも「半透明」で一定の発電能力が得られるとなると、遮光・発電の2点で省エネに貢献しうるという点で、製品化の可能性が広がるものと考えます。

Heliatek社は昨年秋には旭硝子の欧州子会社と提携しているので、今後増えることが予想される、日本国内におけるZEB(ゼロエネルギービル)実現に向けた取り組みにも、関わってきたら面白いと思います。


※参照・参考サイト:
[1]Heliatek reaches efficiency record with 40% transparent organic solar cells(Heliatek社)
http://www.heliatek.eu/newscenter/latest_news/heliatek-erzielt-effizienzrekord-mit-40-transparenten-organischen-solarzellen/?lang=en

※関連記事:
posted by 管理人 at 01:49 | Comment(0) | 有機太陽電池

2013年12月22日

産総研が有機太陽電池の変換効率の理論限界を算出、単接合型で約21%

産総研2013年12月20日に、

  • 有機太陽電池変換効率理論限界を、シミュレーションにより算出した。
と発表していました[1]。

研究の概要は下記の通り。

  • 背景
    無機半導体(シリコン等)の太陽電池については、1961年にShockleyとQueisserが、光電変換効率の理論的な限界値(約30%)を導き出している。
    有機太陽電池についても限界効率の導出が望まれているが、有機物質では光吸収時に励起子(正負電荷が互いに束縛された状態)が生成され、電気の発生にはこの励起子の電荷分離が必要になる。
    このため、ShockleyとQueisserの理論をそのまま適用するのは妥当ではないと考えられてきた。
  • 成果
    励起子の電荷分離に必要となる余剰エネルギーに着目。
    ・励起子の正負電荷間の距離:1nm
    ・誘電率:3.5(有機分子で一般的な値)
    としてクーロン相互作用を用いた結果、余剰エネルギーは0.3〜0.4eVと算出された。(これは、これまで報告されている余剰エネルギーの最低値とほぼ同じ数字)
    そして、余剰エネルギー0.4eVの太陽電池セル2つが直列に接合されているとして、光電変換効率の理論限界を計算。
    単接合の有機太陽電池については、吸収できる光エネルギーの最小値が1.5eV(波長827nm)の場合に、最大値(21)となった。
    (※現在の実際の変換効率は、10〜12%)

結晶シリコン型の理論限界よりは流石に低いですが、軽量・フレキシブルであり、従来に無い用途への展開が見込めることを考えると、決して低くない数字だと考えます。
また、多接合型では3割に近い数字のようで、有機太陽電池の将来に期待を抱かせます。

ただ現状では、結晶シリコン型でさえ、実際の変換効率が理論限界に遠い状況だけに、有機太陽電池の性能が今回算出された数値に近づくのは、まだまだ先のこととも思われます。


※参照・参考サイト:
[1]有機太陽電池の光電変換効率の理論限界をシミュレーション(産業技術総合研究所)
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2013/pr20131220/pr20131220.html
posted by 管理人 at 03:04 | Comment(0) | 有機太陽電池

2013年12月15日

Sollianceがインクジェット印刷プロセスのみで積層した有機薄膜太陽電池を作成、印刷機器は既存の産業用製品

薄膜太陽電池の研究同盟「Solliance」が2013年12月11日に、

  • 積層にインクジェット印刷プロセスのみを用いた有機薄膜太陽電池を作成した。
と発表していました[1][2]。

研究の概要は下記の通り。

  • 構造
    フレキシブル基板の上に
    ・銀電極
    ・高伝導性のPEDOT:PSS(ポリチオフェン系導電性ポリマー)
    ・ZnO
    ・活性層
    ・高伝導性のPEDOT:PSS
    ・銀電極
    の6層を積層している。
  • 製造技術
    使用装置
     ・産業用インクジェットヘッド「KM512」(コニカミノルタ製)
     ・インクジェットプリンタ「LP50」(独Roth&Rau社製)
    製造プロセスの温度:最大120
    積層スピード:ロールツーロールに適用可能
    その他
     既に積層した層が、新しいインクの塗布により再び溶け出すことを防ぐため、
     ・新しいインク配合物
     ・層ごとに最適化したプロセス制御
     を開発した。
  • 作成した太陽電池
    サイズ
     ・セル:1cm×2cm
     ・モジュール:5インチ角(約12.8cm角)
    変換効率:スピンコート法で作成した同タイプの太陽電池の75%以上
  • 本技術のメリット
    成熟した技術を活用可能
     インクジェット印刷の技術は、テキスタイルやグラフィック印刷などの業界で十分に確立されている。
     このため本技術についても、産業化のルートが単純であり、カスタマイズや大量生産がしやすいと考えられる。
    柔軟な対応力
     製造中の任意の時点で、
     ・セル・モジュールの形状の変更
     ・不透明または半透明の切り替え
     ・ボトム吸収またはトップ吸収の切り替え
     が行える。(新製品の開発・試作が容易になる)
     また低温プロセスであるため、基板も任意の種類(ガラス・プラスチックフィルム・金属箔など)を使用できる。
    製造コストの低減
     6層の積層に必要なインクは4種類のみであり、ITOなどの希少な原料を含まない。
     またセルの発電能力を高める場合も、1種類のインクのみを用いて、3層を追加するだけで済む。

発表に掲載されている葉っぱ型太陽電池の写真は「artist impression」とのことなので、あくまで実際の機能や実用性(発電・電力供給能力)は無いものと思われます。

それはともかく、太陽電池作成に用いられた印刷用機器は、産業用・研究用の市販製品[3][4]であり、今回の技術が既に、実用化に非常に近い位置にあることが感じられます。

積層の強度保持(剥がれ・割れを起こさない等)や、変換効率の向上は今後の課題になると思いますが、成熟した既存技術・装置がそのまま使用できるとなれば、これまでに無い発想の太陽電池(とそれを用いた製品)が生まれる可能性があるのではないでしょうか。


※参照・参考サイト:
[1]World’s first all-inkjet-printed OPVs offer flexibility for fast product development(Solliance)
http://www.solliance.eu/news/item/?tx_ttnews[tt_news]=231&cHash=2dd7aa6057b3b49940f04e6b412ba340
[2]「木の葉形」の太陽電池も 欧州の技術組合が新技術(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1304U_T11C13A2000000/
[3]KM512 シリーズ(コニカミノルタ)
http://www.konicaminolta.jp/inkjethead/products/inkjethead/512/
[4]PiXDRO LP50(Roth & Rau AG)
http://www.roth-rau.de/konzern/otb/container/downloads/PiXDRO_LP50_13040817151.pdf
posted by 管理人 at 01:41 | Comment(0) | 有機太陽電池

2013年10月17日

理化学研究所が塗布型OPVの半導体ポリマーの配向制御技術を開発、電荷輸送の向上で厚膜化も可能に

科学技術振興機構(JST)が2013年10月7日に、

  • 理化学研究所の研究員らが、塗布型有機薄膜太陽電池(OPV)における、半導体ポリマー配向制御技術を開発した。
と発表していました。

概要は下記の通り。

背景

  • 太陽電池の変換効率向上では通常、
    ・太陽光エネルギーの吸収量
    ・発生した電荷の輸送効率
    の2つを高めることが必要となる。
    有機太陽電池においては、前者の改善は進んできた(ポリマーの吸収波長領域の拡大)が、後者については、ポリマーに(光電変換のため)フラーレン誘導体を混ぜている都合上、困難だった。
    最近は、フラーレン誘導体とポリマーの混合状態において、ポリマーの配向が基板に対して平行フェイスオン)であれば電荷が流れやすくなることが判明してきたが、その配向を制御する方法は確立されていなかった。

成果

  • ポリマーの溶解性を高めるために側鎖2つに導入するアルキル基について、様々な種類で試行錯誤を行ったところ、
    分岐状アルキル基が1つ以上入る
    ・2つのアルキル基の長さが揃っている
    との条件を満たした場合に、ポリマーの配向がフェイスオンになることが判明した。
  • このポリマーを用い作成した太陽電池では、変換効率7.5を達成。(※従来は5%)
    この変換効率アップは、特にポリマー膜が厚い(200nm以上)場合に確認された。
    (電荷の輸送性が高まったことで、薄膜の厚さを増し(一般的な素子の2〜10倍)、太陽光の吸収量を増やすことが可能)

見込まれるメリット

  • 有機太陽電池に適するポリマーを開発・採用することで、変換効率が更に高まることが期待できる。
    (※今回は配向制御にフォーカスしたため、ポリマーの基本構造が太陽電池に最適とは言えず、変換効率が低い)
  • ポリマーの厚膜化が可能になることで、より均質な薄膜を形成しやすくなり、従来のポリマーよりも大面積に塗布することが容易になる。

先月には東レが塗布型の有機薄膜太陽電池で変換効率10%超を達成したことを発表していましたが、そちらでもポリマーの配向制御(基板と並行にすること)が鍵となっており、有機太陽電池の実用化における重要点であることが伺えます。

今回の成果の研究者の方は今年6月発表の成果(配向性・溶解性を両立する半導体ポリマーの開発)と同じで、塗布型OPVの変換効率2ケタ台・量産化の実現に向けて、今後の研究の進展に注目していきたいところです。


※参照・参考サイト:
[1]半導体ポリマーの配向制御技術を開発 −有機薄膜太陽電池の高効率化に向けて加速−(JST)
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20131007/

※関連記事:
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2013年10月01日

独Heliatekと旭硝子の欧州子会社が提携、ガラスと太陽電池フィルムの統合を目指す

Heliatek GmbH2013年9月30日に、

  • 旭硝子(AGC)のグループ企業「AGC Glass Europe」との間で、建材一体型太陽電池の共同開発を行うことで合意した。
と発表していました。

提携の概要は下記の通り。

  • 提携内容:ガラスと太陽電池フィルムの統合の研究・開発
    ※Heliate社のSolar Filmは、
     ・低温のroll-to-rollプロセスで生産可能
     ・様々な色で不透明または半透明にできる
     ・超軽量・超薄型
     ・高い発電効率(曇天や間接的な光・散光だけでも発電可能。最大でセ氏80度まで安定)
     との特徴を持つとのこと。
  • 目的:ビル外壁用ガラスでの統合ソリューションの提供

また発表では、

  • 今回のソリューションが一度開発されれば、HeliateのSolar Filmは、(窓ガラス・不透明の両方を含む)全ての垂直ガラス表面に対応するだろう。(Heliatek社CEOのLe Séguillon氏)
等のコメントも紹介されています。


有機太陽電池ということで、現状で寿命がどの程度なのかが気になりますが、変換効率は(2ケタまで行かないものの)1ケタ台後半、またデザイン面の適応能力も高いとのことで、ガラス大手メーカーとの提携によりどのような製品が生み出されるのか、非常に楽しみです。

建材一体型の太陽電池は、日本国内ではまだ馴染みが薄いと思いますが、今回の提携で魅力的な製品が開発されれば、普及・導入が大きく進む可能性があるのでは・・・と期待します。


※参照・参考サイト:
[1]ガラス建材とソーラーフィルムの統合開発でHeliatekと旭硝子が提携(紀伊民報)
http://www.agara.co.jp/prw/?m=1&i=201309304983
[2]Heliatek and AGC sign a development agreement to integrate organic solar films in glass(Heliatek)
http://www.heliatek.com/newscenter/heliatek-und-agc-unterzeichnen-entwicklungsvereinbarung-zur-integration-von-organischen-solarfolien-in-bauglas/?lang=en

※関連記事:
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2013年09月21日

東レが有機薄膜太陽電池の新技術を開発、塗布型で変換効率10%超を実現

東レ2013年9月20日に、

  • 有機薄膜太陽電池において新技術を開発し、変換効率10%超を達成した。
と発表していました[1]。

概要は下記の通り。

背景

  • 有機薄膜太陽電池の実用化においては、変換効率の低さが課題となっている。
  • 有機薄膜型の短絡電流アップには、ドナー材料(芳香族ポリマー)の高性能化が必須である。
    また発電層(バルクへテロ構造をもつ)は、「ナノレベル相分離」していることが望ましいとされている。

成果

  • 高性能なポリマー系ドナー材料の開発:
    主鎖平面が基板と平行(=入射光・電荷移動の方向と直角)に配向しやすい化学構造を、ドナー材料の主鎖・側鎖構造に導入。
    (※ドナー材料の主鎖平面は、光吸収・電荷移動の方向と直角の関係にある)
    これにより、光吸収特性導電性を高めたドナー材料の開発に成功した。
  • 発電層の製膜条件の最適化:
    発電層の製膜溶媒などを最適化し、理想的なバルクヘテロ構造を形成することで、配向制御された厚膜化(従来比約3倍)を実現した。
    この材料を用いた太陽電池(非加熱塗布法で製造)で、変換効率10%超を達成。
    (外部量子効率は、全吸収波長領域でほぼ9割超)
    また、
    ・「リーク破壊」(陽極・陰極の接触・通電により起こる破壊)が起き難い
    構造のシンプル化(発電層(従来は複数)が一層のみ)
    との特徴から、高い耐久性と低い製造コストが期待できる。

今後の方針

  • 材料技術の早期確立を図り、実用化に向けた検討を進める。

4年前の変換効率(5.5%)から大幅なアップであり、東レの有機薄膜型の技術が大きな進歩を達成した、と感じさせられます。

寿命についても(東レの発表では数字は示されていませんが)ニュース記事[2]では10年とされており、それが本当であれば、製造しやすい塗布型に適用できる点も合わせて、有機薄膜型の実用化が一気に近づいたのでは、と考えます。

もっとも実用化にはまだ時間がかかると思いますが、東レではモバイル機器用電源としての用途を想定しているとのことで、果たしてどのような製品が登場することになるのか、今から期待が高まります。


※参照・参考サイト:
[1]ポリマー有機薄膜太陽電池で世界最高レベルの変換効率を達成(東レ)
http://www.toray.co.jp/news/rd/nr130920.html
[2]東レ、薄く曲がる太陽電池を実用化へ 15年メド(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG1902O_Q3A920C1MM0000/

※関連記事:
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2013年07月17日

NEDOが、色素増感型・有機薄膜型太陽電池の実証実験の4計画を公表

NEDO2013年7月16日に、有機系太陽電池(色素増感型、有機薄膜型)の実証実験の計画を公表していました[1]。

今回は早期実用化を目的に、実地で設置・稼動させて検証を行うもので、対象設備・機器は下記の通り。

  • デザインソーラーランタン」:
    機器の構成
     ・色素増感太陽電池(絵柄をデザイン)
     ・蓄電池
     ・LEDライト
     を組み合わせている。
    設置場所:京都市内の下記2ヶ所。
     ・京都市国際交流会館
     ・京都市美術館
    助成先企業:日本写真印刷
  • 独立電源型広告掲示板」:
    機器の構成
     ・ポスター掲示部(上部)
     ・シースルーでカラフルな色素増感太陽電池(下部)
     ・蓄電池
     ・LEDライト
     を組み合わせている。
    設置場所:島根県内の下記2ヶ所。
     ・テクノアークしまね
     ・くにびきメッセ
    助成先企業:日本写真印刷
  • 壁面設置型太陽電池」:下記2種類で試験を実施する。
    高電圧型色素増感太陽電池
     ・助成先:シャープ
     ・設置場所:奈良県のシャープ葛城工場)
    高電流型色素増感太陽電池
     ・助成先:フジクラ
     ・設置場所:千葉県のフジクラ佐倉事業所
  • 発電するサンシェード」:
    使用機器
     軽量・フレキシブルでシースルー製のある有機薄膜太陽電池を用いたサンシェード。
    助成先:三菱化学
    設置場所
     スリーエム仙台市科学館のエントランス付近の屋内窓面。

[1]に掲載されている設備の写真を見る限りでも、通常の結晶シリコン型と比べて、色紙増感型・有機薄膜型がコンパクトさで大幅に優れていることが伺え、結晶シリコン型とは異なる可能性の大きさを感じます。

「デザインソーラーランタン」は床(地面)への埋め込み式と見受けられ、荷重に対する強度や防水性を十分に確保できれば、住宅の庭や道路の歩道などで、広く活用できるのではないでしょうか。 (ただ冬に雪が積もる地域では、地面への敷設は向かないとは思いますが)

また垂直設置についても、薄型・軽量という有機系太陽電池の利点が発揮され、建物壁面などの有効活用を大幅に進めうると思われるので、実用化が非常に楽しみです。


※参照・参考サイト:
[1]有機系太陽電池の実証試験がスタート(NEDO)
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100212.html

※関連記事:
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2013年06月05日

理化学研究所等が配向性・溶解性を両立する半導体ポリマーを開発、塗布型有機薄膜太陽電池で変換効率8.2%を確認

理化学研究所2013年6月4日に、

  • 高輝度光科学研究センターとの共同で、塗布型有機薄膜太陽電池向けに、
    結晶性と配向性(変換効率向上に必要)
    溶解性(印刷プロセスへの適用に必要)
    を両立する半導体ポリマーの開発に成功した。

と発表していました[1]。

研究の概要は下記の通り。

  • 背景
    半導体ポリマーを用いる塗布型有機薄膜太陽電池において、変換効率を高めるには、半導体ポリマーの
    配列の密さ(結晶性)
    配列の方向の揃え度合い(配向性)
    を高める必要がある。
    しかしこれには、
    ・塗るだけで結晶性・配向性を制御することは困難
    ・有機溶媒への溶解性は、結晶性を高めると低下する(二律背反)
    との課題がある。
  • 手法・成果
    結晶性が高い半導体ポリマー(ナフタレンが基本構造)に、炭素原子12個が直列に並んだアルキル基を2本導入。
    これにより、溶解性と配向性の両方を高めることを確認した。
    実際に太陽電池素子を作成したところ、変換効率は従来のポリマー(5%)から8.2%にアップ。
    また電荷移動度では、1桁のアップを確認している。
  • 今後の見通し:
    より太陽電池に適する基本構造を持つ半導体ポリマーを開発し、そこにアルキル基を導入して最適化できれば、変換効率の大幅な向上が期待できる。

現状でも、有機太陽電池として10%に近い変換効率を実現していることに驚きますが、

塗布型ではありませんが、有機太陽電池ではエネルギー構造を(結晶シリコン型と同様)ドーピングのみで作る手法も開発されており、実用化の早期実現に期待がかかります。


※参照・参考サイト:
[1]塗るだけできれいに配列する半導体ポリマーを開発(理化学研究所)
http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130604_1/

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posted by 管理人 at 08:27 | Comment(0) | 有機太陽電池