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2018年12月07日

京セラと米Hemlock社がポリシリコン長期購入契約で和解、京セラは511億円相当の損失計上も、市場価格との乖離を解消

京セラ社が2018年11月28日に、

  • Hemlock社と結んでいたソーラーエネルギー事業用ポリシリコン長期購入契約について、和解合意に至った。
と発表していました[1]。

今回は資料[2]37pの記述と合わせて、概要をまとめてみました。


背景
  • 京セラ社は2005〜2008にかけて、
    • 「Hemlock Semiconductor Operations LLC」
    • 上記子会社「Hemlock Semiconductor, LLC」
    との間で、ポリシリコン原材料の供給に関する長期購入契約を締結した。
  • 2018年9月30日時点で、上記契約に基づき2020年12月31日までに購入が定められている残高は、1199億3300万
    このうち、335億3200万円は前払いされている。
  • 契約上の未購入残高を、低価法に基づき評価した結果、前連結会計年度(2017年度)において、原材料の正味実現可能価額が、契約上の購入価格を下回った。
    (ソーラーエネルギー事業の収益性の低下に伴う)
    この差額を引当損失に計上しており、2018年9月30日現在における引当損失の残高は、308億8500万
和解の内容 京セラ社はHemlock社に対し、
  • 支払い済みの前渡金の放棄
  • 保有するポリシリコンでの代物弁済
  • 和解金の支払い
等を行う。
これにより京セラ社は、511億円相当の損失計上を行う。
和解によるメリット これまで生じていた、当該契約上の固定取引価格と市場取引価格との乖離解消される。

ただしHemlock社のウェブサイトでは、この件に関する発表は見当たりませんでした。



当初は「購入契約の和解」という表現の意味がよく判りませんでしたが、報道(例えば[4])も合わせてよく読むと、要は「長期契約を途中で停止・破棄する」ということのようです。


(当ブログが継続的な更新を始める前の)2005〜2007年あたりのことは良く知りませんが、2008年には海外の太陽電池メーカーが生産量・生産能力を大きく伸張

それに伴って太陽電池メーカーではシリコンの安定調達が課題になっており、京セラ・Hemlock間の長期購入契約も、当時のシリコン不足が背景だったものと思われます。


しかしその後、市場の急変(太陽電池モジュールの供給過剰など)により、急成長を続けてきた中国メーカーは軒並み赤字に転落。

ポリシリコン価格も、例えば2011年10月には年初から半減という急落振りでした。

そしてその後も、太陽電池モジュールの価格下落は大きく進んでいます


このように僅か10年程度の中で、太陽電池市場の状況は激変しており、10年前に契約した固定取引価格が完全に合理性を失ったことは理解できます。

ただ一方で、変化の激しい市場において長期契約を結ぶことの怖さも、今回の件は示していると感じます。


今回は約511億円という巨額の損失計上ですが、それでも残り約2年間での購入残高(約1200億円)の半分以下であり、そのまま契約に従って購入すれば約309億円の損失が出る見込み。

そう考えると、支払済みの前払い金(約335億円)に200億円弱(※ポリシリコン現物による弁済含む)の追加負担をして、今のうちに「損切り」するほうが得策、ということなのかもしれません。

京セラのソーラーエネルギー事業は売上減が続いていますが、今回の和解合意(長期契約の解消)が、同事業の業績改善に果たしてどのような効果をもたらすのか、注目していきたいところです。


※参照・参考資料:
[1]ヘムロック社との長期購入契約の和解のお知らせ(京セラ、2018/11/28)
https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/181128_wakai.pdf
(※「https://www.kyocera.co.jp/ir/news/2018.html」内。)
[2]2019年3月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ(同上)
https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/181128_yosou.pdf
(※「https://www.kyocera.co.jp/ir/news/2018.html」内。)
[3]有価証券報告書等 2019年3月期 四半期報告書 第2四半期(京セラ、2018/11/9)
https://www.kyocera.co.jp/ir/financial/pdf/FY19_2Q_qr.pdf
(※「https://www.kyocera.co.jp/ir/library/yuho.html」内。)
[4]京セラ、511億円の損失計上へ 米ヘムロックとの和解合意で(ロイター、2018/11/28)
https://jp.reuters.com/article/kyocera-idJPKCN1NX0MN
[5]Global Scale and Reach: Polysilicon(Hemlock Semiconductor社)
http://hscpoly.com/polysilicon.html

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2018年08月05日

京セラ社の2018/4-6の「ソーラーエネルギー事業」は減収、国内セル・モジュール生産は1拠点(滋賀野洲工場)に集約予定

京セラ社が2018年7月31日に、

  • 20193月期1Q2018/4-6)の業績
を発表していました[1][2]。

その中から、「ソーラーエネルギー事業」に関する内容をまとめてみました。


  • 売上高([1]のp5):減少した。
    これにより、同事業が属する「生活・環境」セグメントは、前年同期比減収となった。
  • 構造改革([2]の14p):
    国内でのセル・モジュール生産を、1拠点に集約する。
    集約前集約後
    • セル生産:滋賀野洲工場
    • セル・モジュール生産:滋賀八日市工場
    • セル・モジュール生産:滋賀野洲工場
    (※管理人注:集約の完了予定時期が「上期」「下期」のいずれなのかは、判断できず。)


売上高の減少に、生産拠点の集約予定と、事業の成長拡大を感じさせる情報は全く無く、ソーラーエネルギー事業の非常に厳しい状況が伺えます。

また今回は、シャープとパナソニックの業績発表資料[3][4]も見ましたが、両社とも「太陽電池」「太陽光発電」「ソーラー」の文字すら有りませんでした。

これら3社は日本の太陽電池大手メーカーの筈ですが、太陽電池事業の存在感は、残念ながら前年度(2017年度)通期よりも、更に希薄になっているようです。


海外メーカーに目を向けると、例えばJinkoSolar社の2017年通期のモジュール出荷量が9.8GWCanadian Solar社が同6.8GWと、モジュール出荷量の拡大が継続。

またFirst Solar社は、大規模太陽光発電所が電力系統の安定化に積極的に貢献できるとの研究結果を発表し、太陽光発電の新たな可能性を示しています。

このような動きを見ると、日本の太陽光発電産業はもはや、世界の中で遅れをとっており、しかもその差は急激に開きつつあるのでは、と強い危惧を抱きます。


※参照・参考資料:
[1]2019年3月期 第1四半期 決算短信(京セラ社、2018/7/31)
https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/FY19_1Q_tanshin.pdf
(※https://www.kyocera.co.jp/ir/news/2018.html内。)
[2]カンファレンスコール資料(同上)
https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/FY19_1Q_cp.pdf
(※同上。)
[3]2019年3月期 第1四半期 プレゼンテーション資料(ノート付き)(シャープ社、2018/7/31)
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/pdf/2019/4/1903_1pre_nt.pdf (※http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/library/financial/内。)
[4]2018年度 第1四半期 連結決算短信・補足資料(パナソニック社、2018/7/31)
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2018/07/jn180731-1/jn180731-1.html

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2016年12月19日

京セラが容量12kWhの住宅用「太陽光発電連係型リチウムイオン蓄電システム」を発表、「フィルム型リチウムイオン蓄電池」で蓄電システムのサイズを抑制

京セラ2016年12月12日に、

  • 容量12kWhの蓄電池システム
  • ハイブリッド型パワコン(太陽光発電システムの電力変換と、蓄電池の直接充電の両方が可能)
を組み合わせた、住宅用の「太陽光発電連係型リチウムイオン蓄電システム」を発表していました[1]。

概要は次の通り。


主な特徴

フィルム型リチウムイオン蓄電池」を採用 蓄電システムには、積水化学工業が開発したフィルム型のリチウムイオン蓄電池を採用。
これにより、12kWhという大容量でも、筐体のサイズを抑えている。
また電池の内部には、同じく同社が開発した「電極塗工型絶縁材料」を用い、安全性も高めている。
加えて「室内設置タイプ」としており、外気の変化による電池の劣化を抑制する。
京セラ製の「ハイブリッド型パワコン」
  • 太陽光発電システムのパワコン
  • 蓄電システムのパワコン
を一体化。
太陽電池の発電電力(直流)を、(交流電力に変換せず)直流のまま蓄電池に充電できる。
これにより、充電効率96%を実現している。

主な仕様

形式EGS-ML1200
製品のタイプ大容量マルチDCリンクタイプ
(※京セラは2015年9月に、
同タイプの蓄電システム(7.2kWh)を発売している)
希望小売価格オープン
発売日2017年1月2日
電池ユニットパワコン
外形寸法(mm)幅760×高495×奥行525幅880×高580×奥行270
質量(kg)175kg55kg

またこのシステムは、セキスイハイムの新しい住宅商品「スマートパワーステーション “100%Edition”」(本システムと同日に発売予定)に採用されるとのことです[2][3]。



積水化学のフィルム型リチウムイオン電池は、2013年に発表されていました[4]が、それから約3年を経過しての商品化実現となったようです。

軽量・フレキシブルであること、また塗工プロセスによる高い生産速度と、非常にユニークな特徴・魅力を備えていますが、その一方で、今回の各種発表の中で製品価格には殆ど触れられておらず、特殊な素材(ゲルタイプ電解質)の採用が生産コストにどう影響しているのか、というのは気になるところです。

12kWhという容量については、1世帯の1ヶ月あたりの消費電力量が271.2kWh(2013年時点)[5]とのことで、これを30日で割ると9.04kWh/日、31日で割ると8.74kWh/日。

もちろん実際には、地域などによってかなり異なると思われますが、それでもこの数値の上では、蓄電システムの容量が1日の消費電力量を十分上回ることになり、これで住宅用蓄電システムが新しい時代に入る可能性もあると考えます。

ただやっぱり最も気になるのは、価格が果たしてどの程度になるのか、ということですが。


※参照資料:
[1]大容量12kWhクラスで業界最小のリチウムイオン蓄電池を搭載したハイブリッド型の国内住宅用蓄電システムを開発(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/news/2016/1203_qtsk.html
[2]大容量フィルム型リチウムイオン電池事業を開始します(積水化学工業)
http://www.sekisui.co.jp/news/2016/1296962_26476.html
[3]『スマートパワーステーション“100% Edition”』を発売(同上)
http://www.sekisuiheim.com/info/press/20161212.html
[4]塗工プロセスによる大容量フィルム型リチウムイオン電池開発(同上)
http://www.sekisui.co.jp/news/2013/1238843_2281.html
[5]一世帯あたり電力消費量の推移(電気事業連合会)
http://www.fepc.or.jp/enterprise/jigyou/japan/sw_index_04/

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2016年02月22日

京セラの2015年度3Qの「ソーラーエネルギー事業」は引き続き売上減、いっぽうで原価低減の効果も続く

京セラ社が1月29日に、2015年度3Q累計期間2015/4-12)の業績を発表していました[1][2]。

今回もその中から「ソーラーエネルギー事業」に関わる情報について抜き出し、前回記事のデータと合わせてまとめてみました。


「ファインセラミック応用品関連事業」の業績

※金額は1億円未満を四捨五入。

売上高純利益
20151Q(4-6月)525億円(2.4%)36億円(27.0%増)
2Q累計(4-9月)1136億円(8.9%)80億円(38.9%増)
3Q累計(4-12月)1778億円(6.1%)125億円(30.6%増)

「ソーラーエネルギー事業」の状況

20154-6 日本公共・産業向けの売上高が減少
ただしセグメント利益は、各事業(ソーラーエネルギー事業含む)で原価低減を図ったことで増加した。
4-9売上高は減少
地域別の売上高は
  • 「日本向け」「その他(日・亜・米・欧の他)向け」:減少
  • 「米国向け」:売上増
ただしセグメント利益は、原価低減を図ったことで大幅に増加した。
4-12 地域別の売上は
  • 「日本向け」「その他向け」:減少
  • 「米国向け」:増加
いっぽうで原価低減の効果は、セグメント利益増の主因となった。

何時も通り「ソーラーエネルギー事業」単体での数字(売上高、モジュール出荷量など)は不明ですが、地域別の状況は前回(2Q累計)と変わっておらず、売上についてはパナソニックのほうと同様に、日本国内市場の減速の影響は免れ得ていないものと推測されます。

その一方で米国向けは好調続きのようですが、同国のエネルギー省は先月の発表[3]の中で、電力網の技術革新により将来的に「数百GWのPV導入」が可能になるだろう、と述べています。

この腰の入れ具合が、大統領の交代後も変わらずに維持・継続されるなら、米国の太陽光発電市場は今後加速度的に成長していく可能性があると考えます。

それはともかくとして、京セラ社の利益に関しては、今回も「原価低減」の効果が述べられていますが、どのような取組みが行われているのか、これまた全く情報無し。

ただパナソニック社の同期業績においても、ソーラー事業自体では利益を確保したとされており、国内メーカーとして取組みに共通する部分があるのか、というのは興味を引かれるところです。


※参照資料:
[1]2016年3月期 第3四半期 決算短信(京セラ社)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/rt160129.pdf
[2]カンファレンスコール資料(同上)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/cp160129.pdf
[3]Energy Department Announces $18 Million to Develop Solar Energy Storage Solutions, Boost Grid Resiliency(DOE)
http://energy.gov/articles/energy-department-announces-18-million-develop-solar-energy-storage-solutions-boost-grid-0

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2015年11月13日

京セラの2015年4-9月期の「ソーラーエネルギー事業」は売上減も、利益は原価低減により大幅改善した様子

京セラが10月29日に、2015年度2Q累計期間2015/4-9)の業績を発表していました[1]。

今回は、以前にチェックし忘れていた1Q発表[2]と合わせて、「ソーラーエネルギー事業」に関する部分を抜き出してまとめてみました。


「ファインセラミック応用品関連事業」の業績

※金額は1億円未満を四捨五入。

売上高純利益
20151Q(4-6月)525億円(2.4%)36億円(27.0%増)
2Q累計(4-9月)1136億円(8.9%)80億円(38.9%増)

「ソーラーエネルギー事業」の状況

20151Q(4-6月)日本公共・産業向けの売上高が減少
(※ただしセグメント利益は、各事業(ソーラーエネルギー事業含む)で原価低減を図ったことで増加)
2Q累計(4-9月)売上高は減少
地域別の売上高は、
  • 「日本向け」「その他(日・亜・米・欧の他)向け」:減少
  • 「米国向け」:売上増
(※ただしセグメント利益は、原価低減を図ったことで大幅に増加した)

例によって、「ソーラーエネルギー事業」単独での具体的な数字は一切記載されていませんが、同事業を含む「ファインセラミック応用品関連事業」セグメントの取扱製品を見る限り、やはりPV関連が最も業績を左右する製品と推測されます。

その意味で同セグメントの売上減からは、太陽電池販売などにおける京セラの苦戦が伺えますが、一方で利益は(前年から)驚くほどの改善を見せており、「ソーラーエネルギー事業」では一体どのような「原価低減」の取組みを行っているのかが、非常に気になるところです。

また地域別では「米国向け」の売上高が伸びたとのことですが、例えば米SunPower社の2015年7-9月期では、特に北米で住宅向け需要が好調だったとのことで、京セラも米国市場では、住宅向けの販売が伸びている可能性が考えられます。

京セラだけではありませんが、一度は(FITで急膨張した)日本市場に最大限に注力していた日本メーカーが、今後再び海外市場での販売拡大を進めることができるのかどうか、強く注目したいところです。


※参照資料:
[1]2016年3月期 第2四半期 決算短信(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/rt151029.pdf
[2]2016年3月期 第1四半期 決算短信(同上)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/rt150730.pdf
[3]ファインセラミック応用品関連事業(同上)
http://www.kyocera.co.jp/company/division/fine_ceramic_applications.html

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2015年10月14日

京セラとハンファQセルズジャパンが特許の相互利用で契約、「3本バスバー電極」は和解

京セラハンファQセルズジャパンの2社が2015年10月6日に、

  • 3本バスバー電極」に関する特許訴訟で和解し、また両社が太陽電池関連で持つ特許相互利用について契約を結んだ。
と発表していました[1]。

概要は下記の通り。


背景

  • 太陽光発電業界の発展のために、両社が長期的視野協力関係を結ぶことが
    • 特許紛争の削減
    • 革新の促進
    をもたらし、消費者と社会全体のメリットになる、との考えから今回の契約に至った。

措置

  • 特許侵害訴訟の和解
    京セラが保有する「3本バスバー電極構造」に関する特許(特許第4953562号)を巡る特許侵害訴訟については、京セラが2015年10月6日付けで取り下げ、ハンファQセルズジャパン社との間で和解が成立した。
  • クロスライセンス契約
    両社が太陽電池関連で保有する特許(※上記特許を含む)を対象に、将来的な相互利用に関する実施許諾契約を締結した。
    これにより京セラは今後、両社の特許を製品開発に活用していく方針。

京セラがハンファ社を提訴したのは昨年7月のことでしたが、当時はモジュールメーカーだけでなく販売店やユーザー(発電事業者)までも訴訟の対象とする可能性を匂わせており、対するハンファ側も全面的に争う姿勢を示していただけに、3本バスバー電極の件での和解だけでなく、両社の保有技術の相互利用にまで踏み込んだ今回の発表は、非常に意外な結末でした。

ただ、京セラによる提訴からほどない2014年秋には、日本国内では電力会社による系統連系の申請保留が相次ぎ、その後は(これまでFITで活況が続いてきた)産業用で新規案件の減速が顕著

更に販売価格の下落も加わって、京セラの「ソーラーエネルギー事業」は2014年度には利益が大幅に減少しており、これら市場環境の急変が、京セラ側により柔軟で建設的な対応を取らせる大きな要因となったのでは・・・と想像します。

また、日本のモジュールメーカーが海外の同業他社と「クロスライセンス契約」を結んだことは、私はこれまで聞いたことが無いですが、それだけ京セラがハンファQセルズ社の技術力を明確に認めた、ということだと思われます。

海外メーカーの技術力の成長により、日本メーカーがかつて持っていた(海外メーカーに対する)技術的な優位性は、もはやほぼ無くなっていると見るべきなのかもしれません。

それに少し関わることとして、Hanwha Q CELLS社は今年の春に、多結晶シリコンウエハーの直接製造技術(Direct Wafer Technology)を持つ1366 Technologies社との間でパートナーシップを結んでいますが、そこでの開発技術が京セラにも波及するのか、という点は注目していきたいと思います。


※参照資料:
[1]京セラがハンファQセルズジャパンと太陽電池の特許侵害訴訟で和解(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/news/2015/1002_rhiz.html
[2]ハンファQセルズジャパン 京セラとクロスライセンス契約を締結(ハンファQセルズジャパン)
http://www.hanwha-japan.com/pdf/HQJ_2015106.pdf

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2015年06月01日

京セラの2014年度の「ソーラーエネルギー事業」は、販売努力で売上高が横ばいも、利益は厳しい価格競争などで大幅減

京セラが4月27日に、2014年度の業績を発表していました[1]。

もう1ヶ月も前になってしまっていますが、やはり国内の老舗・大手メーカーの1社ということで、太陽電池関連の状況を、今回見ることとします。


「ファインセラミックス応用品関連事業」セグメントの業績

※金額の四捨五入は、当ブログ管理人による。

  • 売上高:約2776億円(前年度比1.8%増)
  • 利益:約32億円の黒字(同90.6

「ソーラーエネルギー事業」の状況

  • 売上高は維持
    • 太陽電池の価格下落
    • 一部電力会社における系統接続保留
    等のマイナス影響を受けたが、
    • 製品ラインアップの拡充
    • 積極的な販売策
    により、前年度とほぼ同水準の売上高となった。
  • 利益は減少
    • 製品価格の下落
    • 資産評価の見直し(棚卸資産が中心)等に伴う損失の計上
    が、セグメント利益の大幅減少の主因となった。

また「東洋経済オンライン」の記事[2]では、京セラのソーラー事業に関して、下記の数字が示されています。

  • 需要先
    • 用途別6〜7割が産業用(メガソーラー等)。
    • 地域別9割が日本国内向け。
  • 太陽電池パネルの販売価格:2014年度4Qは、前年同期比18

中国メーカーの攻勢(価格競争)が厳しい産業用が、メインの展開先でありながら、売上高は前年度からほぼ横ばいとのことで、販売の努力が明確な効果を挙げていることが伺えます。

しかし一方で利益のほうは、ソーラー事業単独のものは示されていませんが、それを含むセグメント(ファインセラミックス応用品関連事業)全体では9割もの減少。

モジュール販売では利益が出なくなっている、厳しい現状が伺えますが、言わばメーカー同士で首を絞めあうような状態で、(メーカーを問わず)製品の品質にマイナスの影響が出ていないのか、というのは懸念されます。

この状況に対する、京セラの今後の対策としては、[2]で

  • 蓄電池などと組み合わせた「発電システム」販売での利益確保
  • 製造コストの低減(自社一貫生産による改善余地の大きさ)
が挙げられていますが、他の機器と組み合わせる「ソリューション」の展開方針はシャープも示しており、京セラがどう差別化を図るのかは気になるところです。

また同社の展開市場は、現在のところ日本にあまりにも偏っているので、今後は海外市場への再注力も必要になると思われますが、屋根設置に集中するパナソニックのように、特に何を強みとして活かしていくのかは、強く注目したい点です。


※参照資料:
[1]2015年3月期 通期 決算短信(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/rt150427.pdf
[2]京セラ、ソーラー事業にぬぐいきれぬ不安(東洋経済オンライン)
http://toyokeizai.net/articles/-/68561

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2015年02月08日

京セラの2014年度3Qの「ファインセラミックス応用品事業」は利益が50%超の減少、太陽電池の価格下落と系統接続保留で減収

京セラが1月29日に、2014年度第3四半期の業績を発表していました[1]〜[3]。

このうち、太陽電池を含む「ファインセラミックス応用品事業」の状況は下記の通り。(※四捨五入は当ブログ管理人による)

業績

※()内は2Q比以外は前年同期比。

第3四半期累計第3四半期単独
売上高約1893億円(3.3約646億円(5.4、2Q比8.9
セグメント利益約96億円(58.1約38億円(52.5、2Q比28.3%増)

背景

  • 機械工具事業は好調に推移した。
    しかしソーラーエネルギー事業では、
    ・製品ラインアップの拡充
    ・原価の低減
    に努めたものの、
    価格下落(価格競争の激化)
    ・国内電力会社による系統接続保留の影響
    等により、前年同期比で減収。
    これによりセグメントの売上高と事業利益も、前年同期比で減少となった。

カンファレンス資料[2]での該当セグメントに関する記述は「ソーラーエネルギー事業」についてのみであり、太陽電池がセグメント全体の業績を左右したことが伺えます。

そのセグメント業績では、売上高の減少幅は1ケタ台に留まっているものの、利益は3Q累計・単独の双方で大幅減(50%以上)。

ただセグメント全体の受注高は、2Q・3Qには前年同期から1割以上伸びており[3]、太陽電池パネルの需要自体は堅調だと思われます。

価格競争が激しくなっているとのことですが、3Q以降はちょうど電力会社による回答保留、そしてFITの改正と続いており、発電事業の採算性の不透明さが高まっていることが、更なるパネル価格の引き下げ圧力につながっているのかもしれません。

回答保留の影響については、当初は「風評被害」とする意見[4]もありましたが、国内パネルメーカーの業績を見ると、実際に太陽光発電市場にどのような影響が及んでいるのかは、決して楽観できるものでは無いと考えます。


※参照資料:
[1]2015年3月期 第3四半期 決算(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/rt150129.pdf
[2]カンファレンスコール資料(同上)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/cp150129.pdf
[3]四半期業績推移表(同上)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/s150129.pdf
[4]<第25回>「『接続保留』による混乱は風評被害」。回答再開後を楽観する3つの理由。(Tech-On!)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20141020/383641/?ST=msb&P=1

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2014年10月31日

京セラの2014年4-9月期のソーラーエネルギー事業は、産業用大型案件の売上が減少、また太陽電池価格の下落も響く

京セラが10月30日に、2014年度第2四半期2014年4-9月)の連結業績を発表していました[1]。

その中から、太陽電池に関わる内容は下記の通り。

  • 市場の状況
    国内太陽電池市場は
    ・消費税率アップ
    ・政府による住宅用システム向け導入補助金の終了
    等の影響を受け、成長率が大幅に鈍化した。
  • ソーラーエネルギー事業の状況
    公共・産業用大型案件の売上が前年同期比で減少し、太陽電池価格下落
    これらは「ファインセラミック応用品関連事業」セグメントの減収減益に影響した。
    ※同セグメントの業績は
    • 売上高:約1247億円(前年同期比2.2
    • セグメント利益:約58億円(同61.1

先に発表された米SunPower社の3Q業績でも、売上横ばいの一方で利益が減少しており、主要な販売地域が全く異なるはずの両社において、似た状況となっているのが興味深いです。

この点については、太陽電池モジュールの需給バランスが逼迫に向かいつつある中で、中国メーカーの攻勢が大きく影響していることが推測されますが、ただその中国大手の一社であるTrina Solarの2Q決算でも売上原価率が高まっていたので、Jinko Solarのような一部を除いて、大多数のモジュールメーカーでは製品価格下落の影響は避けられないのかもしれません。

加えて日本メーカーは現在、モジュール出荷量の大部分が国内向けとみられるだけに、消費税率アップ・住宅用補助金の終了に電力会社の回答保留発表といった、日本市場でのマイナス要因増加の影響も、非常に懸念されるところです。


※参照・参考資料:
[1]平成27年3月期第2四半期決算短信〔米国基準〕(連結)(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/rt141030.pdf

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2014年07月31日

京セラの2014年4-6月期のソーラーエネルギー事業は売上減、国内市場の成長は鈍化

京セラが7月31日に、2014年度第1四半期(2014年4-6月)の業績を発表していました[1][2]。

この中で、太陽電池に関する数字・状況は下記の通り。

「ファインセラミック応用品関連事業」(ソーラーエネルギー事業を含むセグメント)の業績

  • 売上高:約538億円(前年同期比12.5
  • 税引き前純利益:約28億円の黒字(同64.9

ソーラーエネルギー事業の状況

下記の要因などにより、売上高が減少した。

  • 公共・産業用の大型案件の減少(今年度分は第2四半期以降に集中)
  • 製品価格の下落

市場の動向

  • 国内:
    ・政府の住宅用補助金の終了
    消費税率引き上げ
    等により、成長が鈍化した。

例によって、太陽電池モジュールの販売額・販売量などの具体的な数字は記載されていませんが、「ファインセラミック応用品関連事業」の業績は昨年度同期(売上が前年同期比4割増・事業利益は同5倍弱)から一転しており、同セグメントの一部であるソーラーエネルギー事業についても、タイミング的な要因もあるものの、相当に減速したことが推測されます。

産業用については、今回はちょうど大規模案件が谷間の時期だったようなので、今後(次の四半期以降)は販売・供給量が再び拡大すると思われ、またFITにより国内需要が急拡大しているだけに、中期・長期的にはやはり伸び続けるものと考えます。

ただし一方で、もう一方の主要な需要先である国内住宅用の減速は懸念材料であり、今年度の販売目標1.4GW(前年度より0.2GW増)を達成できるかは、予断が許されない状況とも思われます。


※参照・参考サイト:
[1]2015年3月期 第1四半期 決算短信(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/rt140731.pdf
[2]カンファレンスコール資料(同上)
http://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/cp140731.pdf

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