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2015年06月09日

神奈川県が「薄膜太陽電池普及拡大プロジェクト」で再公募を実施、FITの変更などで設置断念や規模縮小が発生

神奈川県2015年6月4日に、

  • 薄膜太陽電池普及拡大プロジェクト」において、プロジェクトの再公募を行う。
との方針を発表していました[1]。

概要は下記の通り。


  • 背景
    2014年に行った公募では、6プロジェクトを選考した。
    しかしその後、
    • 固定価格買取制度の運用見直し
    • 資材価格の高騰
    等により、プロジェクトで設置予定だった施設の一部で、
    • 設備容量の縮小
    • 設置の断念
    に至るケースが生じた。
    そのため今回、プロジェクトの再公募を実施する。
  • 公募の内容・条件など:当初の公募と同じ。
  • 公募のスケジュール
    • 選考期間:2015年6月4日〜7月30日
    • 結果公表:同年9月の予定。
  • プロジェクトの実施期間:選考されてから2015年度末まで
  • 補助金:補助対象経費の1/3を補助する。(補助限度額5.8億円)

設置の規模縮小や断念に至ったプロジェクトが具体的にどれかなのは、今回の発表では明記されていませんが、約1年前の発表と神奈川県ウェブサイトの掲載情報[2]を照らし合わせると、

  • ナイス社による、マンションや本社ビルへの導入
  • ソーラーフロンティア等による、計約3MWの導入
  • 萬世リサイクルシステムズ社などによる、 塩害対応モジュール(ポリカーボネート圧着型)の導入
が、該当する可能性があります。

もっとも正式なところは判りませんが、ともかく今回の補助金の限度額(6億円弱)は、最初の公募(昨年4月)における上限(計10億円)の、実に約6割に相当。

規模縮小・断念の分が、かなりの割合に上っていると思われ、FITの制度変更や円安といった、事業環境の激変が大きく影響していることが推測されます。

翻って、薄膜型を巡る市場の状況に目を向けると、例えば、一時は売却の噂が立ったシャープの堺工場では、シリコン薄膜型モジュールの生産ライン(年産160MW)の稼働率は、50%以下の状態が続いているとのこと[3]。

また、JPEAによる太陽電池モジュール出荷統計においても、「その他」(結晶型以外)の出荷量は減少傾向です。

シリコン不足が問題化していた8年前あたりには、将来性が注目されたこともあった薄膜型ですが、近年では(中国大手メーカーを中心に)結晶型のコストダウン競争が激しい中で、薄膜型の特徴のうち「シリコン使用量が少ない」ことのメリットは、完全に消えてしまっているのかもしれません。

ただ当然、薄膜型は高温時の発電能力に優れるという長所もあり、また化合物型や、軽量・フレキシブルなタイプのモジュールもあるので、神奈川県での取り組みが、薄膜型の可能性を少しでも開くものになることを、期待したいものです。


※参照資料:
[1]薄膜太陽電池普及拡大プロジェクトの再公募について(神奈川県)
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p914943.html
[2]薄膜太陽電池普及拡大事業について(同上)
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f530151/
[3]PVeye誌 2015年6月号6〜7p「シャープ巨額赤字に転落」

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2015年04月02日

神奈川県「薄膜太陽電池普及拡大プロジェクト」の4設備が設置完了、コスト面でも意外にメリットあり

神奈川県2015年3月25日に、「薄膜太陽電池普及拡大プロジェクト」により設置完了した4設備を公表していました[1]。

各設備の概要は下記の通り。(※一部の数字は当ブログ管理人が計算)


相模鉄道・弥生台駅の法面(線路沿い)

  • 薄膜型を選んだ背景
    法面が急勾配であるため、通常の結晶シリコン型太陽電池パネルを設置するには
    • 大規模な造成工事
    • 強固な架台
    が必要だった。
  • 特徴
    薄膜型太陽電池の軽量・フレキシブル性を活かして、「防草シート」との一体型を設置した。
    これにより、発電の他に
    • 設置費用の削減
      (発電設備と防草シートの設置工事を別々に行う場合より、約2割ダウン
    • 防草にかかる費用の削減
    との効果が得られる。
  • 発電出力20kW
    発電電力は、トンネルの電灯駅構内で使用する。
  • 事業費用:約3960万円(約198万円/kW)
  • プロジェクト代表者:三菱化学エンジニアリング

横浜市立大学附属病院の屋上

  • 薄膜型を選んだ背景
    設置場所は高層建物の屋上であり、かつ海辺に近い。
    このため
    • 強風
    • 塩害
    の影響が懸念され、通常のパネルは設置困難だった。
  • 特徴
    屋根の防水シートと薄膜型パネルを一体化したものを設置。
    これにより発電の他に、設置費用の削減効果が得られる。
    (発電設備の設置工事と防水シートの改修工事を別々に行う場合より、約1割ダウン
  • 発電出力19.04kW
    発電電力は病院内で使用する。
  • 事業費用:約3260万円(約171万円/kW)
  • プロジェクト代表者:三菱化学エンジニアリング

トノックス社の2工場の屋根

  • 薄膜型を選んだ背景
    設置場所は波形のスレート屋根であるため、通常のパネルは重さにより設置困難だった。
  • 特徴
    軽量化のため
    • 強化ガラスの薄型化(0.8mm)
    • 屋根形状に合わせたアルミ架台の採用
    等を講じ、設備の重量を約9kg/m2(通常設備の約1/2〜1/5)に抑えた。
    またパネルも、薄膜型ながら変換効率が高いもの(14.72%)を用いている。
    これにより、耐荷重が低い屋根でも発電事業の採算性を確保でき、また遮熱効果も期待できる。
  • 発電出力1MW
    発電電力の全量を売電する。
  • 事業費用:約3億5700万円(約35万7000円/kW)
  • プロジェクト代表者:トノックス社

「かながわ県民センター」の窓のロールスクリーン

  • 薄膜型を選んだ背景
    • 高層建物である(15階建て、風の影響が強い)
    • 屋上に冷房用機器が設置されている
    ことから、通常のパネル設置が困難だった。
  • 特徴
    薄膜型太陽電池と、遮光用のロールスクリーンを一体化。
    日照が良くオープンスペースがあるフロア(9・10・15階、誰でも見学可能)の窓に、簡易な内装工事により設置している。
    これにより、通常時の発電に加えて、各フロアの非常用電源としての活用も見込まれる。
  • 発電出力3.04kW
    発電電力は、非常電源用の蓄電池(可搬型)に充電する。
  • 工事契約額:約1400万円(約469万円/kW)

法面と病院屋上については、コストの高さが懸念されるフレキシブル型を用いながらも、トータルの事業費用が通常工事(各々個別の場合)より明らかに安く済んでいる、というのが非常に意外でした。

長期運用における管理・メンテナンスのコストが、通常設備と比べてどうなるのか、というのは今後検証すべき課題だと思いますが、少なくとも設置費用については、現時点で既に、かなりの合理性を備えていると感じられます。

トノックス社の工場屋根設備も、事業費用が1kWあたり36万円を切っており、1月15日の調達価格等算定委員会での報告数字(1000kW以上で28万6000円/kW)より割高とはいえ、段違いの軽量さを考えると、これもやはり薄膜型の魅力を十分に示すしていると思われます。

最後のロールスクリーン一体型については、大幅なコストダウンが必要だと思いますが、それ以外の3設備では、薄膜型太陽電池が持つメリット(価格競争力、施工可能範囲の拡大)が十分に示されており、これだけでも神奈川県の補助政策が明確な成果を挙げていると感じられます。


※参照資料:
[1]薄膜太陽電池を4施設に導入〜新たな用途の開発〜(神奈川県)
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p889642.html

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posted by 管理人 at 12:00 | Comment(0) | 地方自治体の取り組み

2014年09月03日

埼玉県内での太陽光発電の導入住宅数は8万4500戸(総数の2.9%)で全国2位、販売施工企業も増収7割・増益8割

埼玉県内における太陽光発電の導入状況について、興味深い内容の報道・発表[1]〜[3]があったので、主な数字を抜き出してみました。


太陽光発電を導入している住宅戸数

※総務省の「住宅・土地統計調査」における、「太陽光を利用した発電機器のある住宅」の数。

  • 2003年:1万500戸(全国8位)
  • 2008年:2万4600戸(全国4位、前回調査からの増加数は同2位(1位は愛知県))
  • 2013年:8万4500戸(全国2位、前回調査からの増加数は同2位(1位は愛知県))
    「居住世帯のある住宅」総数の2.9%にあたる。
    「住宅の所有の関係別」では、
    • 持ち家7万8800戸(「持ち家」総数の4.1%)
    • 借家5700戸(「借家」総数の0.6%)

2013年度は国の導入補助への申込件数が減少に転じており、またFITでの認定件数モジュール出荷統計でも住宅用の減速がみられますが、今回の数字からは、埼玉県については全国的な状況とかなり異なっていることが伺えます。

2013年単年度の数字は無いので、住宅用太陽光発電の普及ペースに本当に鈍りが生じていないのかは、判断しかねますが、専門誌の調査データ[4][5]では、2014年度に住宅用補助制度を実施している埼玉県内の自治体数は55と、都道府県別ではトップクラス。

補助制度の手厚さが、元々の発電条件の優位さ(日照量の豊富さ)と相まって、消費者の導入意欲を上手く刺激していることが推測されます。

ただその埼玉県にして、普及率はいまだ10%にも遠く届いておらず、積極的な政策をとってきたはずの神奈川県の導入ペースが、思ったほど加速できていない[2]ことと合わせて、住宅用太陽光発電の普及の難しさが改めて感じられます。


県内で太陽光発電システム販売・施工に関わる企業の業績

2013年度の調査対象数は県内251社。

  • 増収企業の割合
    • 2011年度:売上高が判明した企業のうち52.6
    • 2012年度:同58.8
    • 2013年度:同70.0%(112社)
  • 黒字企業の割合
    • 2011年度:損益が判明した企業のうち70.1
    • 2012年度:同78.4
    • 2013年度:同83.5%(96社)
  • 2013年度の企業規模の内訳
    • 年商10億円未満が76.0
      「1億円以上10億円未満」は138社と過半数にのぼる。
    • 従業員数:「10人未満」が49.0%。

こちらの企業データは、住宅用に限らないものと思われますが、増収企業の割合は全国の数字を明らかに上回っており、FITで好調な産業用だけでなく、(先に取り上げた)住宅用の導入増もプラスに働いているものと考えます。

ただ一方で、黒字企業の割合は全国を若干下回っていますが、埼玉県での調査対象企業数(251社)は全47都道府県(5665社)の約1/25にあたり、この企業数の多さが、価格競争の厳しさにつながっているのかもしれません。

企業の規模(年商・従業員数)は、全国の数字を若干下回っており、企業数が多いぶん、全国より小規模な事業者が多くなっている状況も伺えます。


※参照・参考サイト:
[1]埼玉)太陽光発電の家急増 快晴日本一、戸数全国2位(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASG8M66F6G8MUTNB00N.html
[2]住宅・土地統計調査 平成25年(速報)(埼玉県)
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/a008/908-20140811-1400.html
[3]太陽光発電関連が好調、25年度売上高で7割の企業が増収 埼玉(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/140903/stm14090302010004-n1.htm
[4]PVeye誌 2014年6月号62〜68ページ「地方自治体による2014年度住宅用太陽光発電(10kW未満)に対する主な補助事業<その1(北海道〜東京都)>」
[5]同誌 2014年7月号55〜63ページ「同<その2(神奈川県〜沖縄県)>」

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2014年07月31日

神奈川県が「薄膜太陽電池普及拡大プロジェクト」の選考結果を公表、6事業を選定

神奈川県2014年7月30日に、「薄膜太陽電池普及拡大プロジェクト」の選考結果を公表していました[1]。

その中から、選考された6プロジェクトの内容をまとめてみました。

「ナイス鶴見中央3丁目マンションにおける薄膜太陽電池内蔵ガラス手摺りの導入」

  • 事業者:「ナイス」社(横浜市)、カネカ等
  • 設置場所:マンション(2015年度竣工予定)のバルコニーの手摺り
  • 太陽電池:薄膜シリコンハイブリッド型(カネカ製)
  • 発電容量:計10.1kW
  • 背景:
    神奈川県内では高層マンションが増えているものの、
    ・風圧による荷重の大きさ
    ・反射光の発生
    等の難点により、太陽電池パネルの導入が進んでいない。

「ナイス竃{社ビルにおける薄膜太陽電池の導入」

  • 事業者:ナイス社、三菱化学など
  • 設置場所:
    ナイス本社ビルでの、
    • 屋根防水シート等との一体設置
    • への設置
  • 太陽電池:
    • 防水シートと一体の薄膜型(三菱化学製)
    • フレキシブルな有機薄膜型(同上、2015年度に製品化予定)
  • 発電容量:計19.4kW
  • 背景:
    • 県内ではオフィスビルや大型商業施設などが増えているが、屋根のスペース確保の都合などにより、太陽光発電システムの導入は進んでいない。
    • ガラス窓に太陽電池パネルを設置する場合には、
      架台が不要
      ・外部足場などの仮設工事が不要(室内側から施工する)
      就業中の工事が可能
      といったメリットがある。

「低環境負荷コミュニティの実現へ向けた薄膜太陽電池の新規設置用途開発と普及拡大」

  • 事業者:三菱化学エンジニアリング、元旦ビューティ工業など
  • 設置場所:
    • 屋根(折板、波型スレート、曲面屋根、防水シート等との一体設置など)
    • 道路・鉄道・遊休地の法面
    • 道路遮音壁(一体型)
    • 建物の外壁(カーテンウォール含む)、窓
  • 太陽電池:
    • 鋼板型のフレキシブルな薄膜型
    • 防水シート一体の薄膜型
    • フィルム型の薄膜型
    • 外壁材と一体の薄膜型
    • フレキシブルな有機薄膜型
    • 軽量ガラス採用の結晶シリコン型
  • 発電容量:計2988kW
  • 背景:
    アモルファスシリコン型は薄型・軽量で耐久性に優れることから、通常のパネルでは困難な、建物の壁面や曲面などへの設置が期待できる。

「CIS薄膜化合物太陽電池モジュール神奈川県普及促進プロジェクト」

  • 事業者:ソーラーフロンティア等
  • 設置場所:
    • 屋根(折板、波型スレートなど)
    • 道路・鉄道・遊休地の法面
    • 建物外壁(建材との一体設置など)
    • 農業用ハウスの上部
  • 太陽電池:CIS薄膜型(ガラスが薄い軽量タイプ)
  • 発電容量:計3046.4kW
  • 背景:
    ・フレームの不要化
    ・保護ガラスの薄肉化
    によるCIS薄膜モジュールの軽量化で、従来はパネルが設置できなかった工場屋根でも、比較的安価での設置が可能になっている。

「軽量太陽光発電システム普及拡大プロジェクト

  • 事業者:「トノックス」社(平塚市)など
  • 設置場所:トノックス社工場の屋根(折板、波型スレート等)
  • 太陽電池:フジプレアム社の軽量モジュール「
  • 発電容量:計1000kW
  • 背景:
    ・「希」の採用
    ・架台フレームの空洞化
    等により、結晶シリコン型ながら積載荷重10.00kg/m2を実現。
    これにより、これまでパネルを設置できなかった工場・倉庫などの屋根でも、比較的安価での設置が可能になった。

「塩害対応用薄膜太陽光発電システムの設置試験及び販売促進PRプロジェクト 」

  • 事業者:「萬世リサイクルシステムズ」社など
  • 設置場所:病院の窓
  • 太陽電池:
    化合物系の両面・片面ポリカーボネート圧着型(パワーバンクシステム社製、フレキシブル性あり)
  • 発電容量:計1kW
  • 背景:
    ポリカーボネートや樹脂素材のみで圧着したモジュールは、錆びる箇所がないため、沿岸地域・海上での設置に向く。
    また、分別・リサイクルも行いやすい。

また、これらのプロジェクトの着工は、2014年9月から順次行われる予定とのことです。


軽量タイプのモジュール(特にフレキシブルなシート型)では、価格が通常の結晶シリコン型より割高であるだけに、システムとしての初期コストをどれだけ低減できるか、という点が最大の課題になると思いますが、基本的にはモジュール以外の部分でコスト低減を進める他ないものと推測します。

ただ一方で、今回のプロジェクトにより、導入可能場所を拡大できれば、モジュール拡販の可能性も広がり、生産コストの低減にもつながるので、その点では今回のプロジェクトは、一地方自治体での取り組みながら、軽量型モジュールの国内普及における試金石になるかもしれません。

個人的には特に、ガラス窓への有機薄膜型の設置が興味深く、室内での施工ができるのであれば、産業用の建物のみでなく一般住宅においても、比較的負担が少なく太陽光発電を導入できる可能性が開けるのでは・・・と期待するものです。


※参照・参考サイト:
[1]薄膜太陽電池普及拡大プロジェクトの選考結果について(神奈川県)
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p823553.html

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posted by 管理人 at 02:14 | Comment(0) | 地方自治体の取り組み

2014年04月20日

神奈川県が「薄膜太陽電池普及拡大プロジェクト」の公募を開始、コストダウンの方法にも踏み込む

神奈川県2014年4月15日に、薄膜太陽電池普及拡大プロジェクト」の公募を開始していました。

主な内容は下記の通り。

背景・目的

  • 神奈川県内では、(住宅用(10kW)未満に比べて)事業所向け(工場など、10kW以上)の太陽光発電の導入が遅れている。
    その主因は、既存建物屋根荷重の制約によるものであり、その解決には軽量・薄型の薄膜太陽電池が必須と考えられる。
  • ただし薄膜型については、
    ・特性を活かした用途未開発
    生産量が少なく、高価格
    との課題から、普及が進んでいない。
  • 今回は県が、薄膜型太陽電池の普及プロジェクトに対して、必要な経費の一部を補助する。
    これにより、
    ・多様な用途の開発、需要の増加
    ・生産量の増加、価格低下
    の実現を狙う。

募集条件

  • 薄膜太陽電池
    下記要件を満たすもので、種類(シリコン系、化合物系、有機系)は問わない。
    セルの半導体層の厚さ10μm以下。
    ・モジュールは、
     ・フレキシブル性
     ・曲面加工性
     のいずれかを持つ。
    ・折板屋根・波型スレート屋根への設置時の荷重10kg/m2以下(架台など含む)。
  • 用途・設置場所
    ・例えば下記のような用途を想定している。(これら以外でも可)
     ・折板屋根・波型スレート屋根など
     ・屋根防水シート等との一体型
     ・曲面屋根
     ・道路・鉄道などの法面
     ・遮音壁との一体型
     ・建物壁面(建材一体型など)
     ・その他(室内ブラインド、車両など)
    ・設置先として、具体的な県内施設の提案が必要になる。
    ・発電出力(プロジェクトの合計)の目安は3MW。
  • コストダウン
    薄膜太陽電池について、
    ・システムの価格低下を図るための方法
     (製品開発・改良、製造工程の見直し、流通・販売の合理化、設置工法の改良など)
    本格普及に至った場合の、価格低下の見通し
    を示すことが必要。

その他

  • プロジェクト提案者・事業主体:
    複数の事業者が共同・連携して事業主体となることを想定しており、その代表事業者が提案者となる。
    ・事業主体の中で設置工事事業者については、県内に事務所を持つ中小企業を優先する。
  • 実施期間2014年7月〜2015年度末の間で、任意に設定できる。
  • 補助金:補助対象経費の1/3
    上限は計10億円。(2014年度が3億円、2015年度が7億円)

2月時点の発表案では、3つの補助対象が別個にされていましたが、今回はそれらが統合されており、現知事の就任以来、率先して太陽光発電の普及を目指してきた神奈川県らしい、積極的な取り組みだと感じます。

プロジェクトでは設置用途の開拓だけでなく、コストダウンのため開発・製造などにも踏み込む必要があるようで、そのぶん公募のハードルは高そうですが、この支援事業で成果が得られた場合、その恩恵は神奈川県内のみに留まらす、全国的な薄膜型の用途拡大につながるものと考えます。

また今回は産業用が対象とはいえ、実用性・信頼性の高い薄膜型パネルと設置手法が開発されれば、同じくパネル設置に制約のある既築住宅に応用できる可能性もあると考えるので、その点でも今回の取り組みでどのような成果が生み出されるのか、非常に楽しみです。


※参照・参考サイト:
[1]薄膜太陽電池普及拡大プロジェクトの公募開始について(神奈川県)
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p794088.html

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2014年02月09日

神奈川県が2014年度から、薄膜太陽電池の普及に取り組む方針

神奈川県が2月7日に示した2014年度当初予算案の中で、新たに薄膜太陽電池普及に取り組む方針を示していました[1][2]。

概要は下記の通り。

背景

  • フィルム状の薄膜太陽電池の導入コストは、現在100万円/kW(結晶型パネルの2倍以上)であり、一般普及における壁となっている。
    これについて神奈川県では、市場規模が3000kWを超えればスケールメリットによりコストが低下する、と予想している。

施策

  • 普及促進事業費補助
    内容
     薄膜太陽電池の市場創出のために、
     ・価格低下
     ・設置用途の多様化
     を促進するプロジェクトを、メーカー・設置業者・建設会社などから公募・選定。
     選定された事業には、設置費用の1/3を助成する。
    期間2014〜15年度(2年間)
    予算額3億円(※2年間では総額10億円)
  • 県有施設への導入
    内容
     薄膜太陽電池の導入促進のために、県が率先してモデル的に導入し、その効果をPRする。
    対象場所・施設
     ・茅ヶ崎市内・浜須賀交差点付近の国道134号法面(防草シート一体型)
     ・かながわ県民センター(室内ロールスクリーン型)
    予算額2700万
  • 計測評価事業費補助
    内容
     薄膜太陽電池の発電効率を簡易・安価に計測・評価できる手法(中小企業でも利用可能なもの)の研究開発を推進する。
    助成対象:「神奈川科学技術アカデミー(KAST)」が実施する薄膜太陽電池計測評価事業
    予算額370万

神奈川県の発表[2]では「フィルム型」とは明記されていませんが、県有施設への導入予定やニュース記事[1]の内容から、薄膜太陽電池の中でも対象はフィルム型のものと思われます。


神奈川県の太陽光発電普及策については、当初の構想・計画通りに上手く行っていない部分も多々ありますが、その中で新しい分野の開拓方針を示したところには、太陽光発電の導入促進に対する意欲的な姿勢が衰えていないことが伺えます。

同県は昨年度には、太陽光発電の導入ペースアップのために、工場・倉庫などの屋根への設置に重点を置く方針を示したものの、設備の重量という課題・ハードルが明確化しており、今回の薄膜型の普及促進策は、その課題解決も狙いになっているものと推測します。

近年の結晶型パネルの急激な価格低下では、欧州市場の急拡大(特にドイツ)・ターンキー製造装置の普及(モジュール製造への参入の容易化)・中国メーカーの生産能力急拡大(政府支援)といった複数の条件が重なっていただけに、フィルム型薄膜太陽電池の価格を現在の結晶型パネルと同等の水準まで引き下げるのは、かなり困難なことだとは思われます。

しかし他方で、軽量で設置しやすいフィルム型のコストダウンが実現すれば、全国での太陽光発電普及に及ぼす効果も非常に大きいと思われるので、まずは今回の神奈川県の取り組みが、フィルム型薄膜太陽電池のメリット・可能性を十分に示すものとなることを、期待したいです。


※参照・参考サイト:
[1]平成26年度当初予算案の概要(神奈川県)
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/686477.pdf
[2]県が「薄膜太陽電池」普及へ新規事業、助成10億円分/神奈川(カナロコ)
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1402070036/

※関連記事:
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2014年01月22日

長野県佐久市が「太陽光発電施設の設置にかかる規制」を発表、地元との事前協議・市による審査などを規定

長野県の佐久市2014年1月8日に、「太陽光発電施設の設置にかかる規制」を発表していました[1]。

主な内容は下記の通り。

背景

  • 佐久市は日照時間が国内トップクラスであることを生かし、太陽光発電施設の普及に取り組んでいるが、一方で設備の設置においては、周辺住民とのトラブルも起こっている。
    市は既に、山林・原野への設置について「市自然環境保護条例」の適用の厳格化を表明しており、今回は他の地目についてもカバーする。

太陽光発電設置に関する主な内容

  • 市自然環境保護条例
    対象地目:山林、原野
    対象規模500m2以上の土地への設置
    規制内容
     ・地元などに対する、事業計画の事前説明会などの実施(※今回追加)
     ・地元・関係者からの意見に対する事前協議協議経過書の提出(※同上)
     ・計画内容の周知期間(計画申請は、説明会開催から2週間後)(※同上)
     ・市による計画内容の審査(造成、外観などの指導)
     ・市と行為者間での協定書締結(面接要件による)
     ・完了後の現地確認による再指導(必要な場合)
    罰則規定:あり
  • 市開発指導要綱
    対象地目:宅地、雑種地、農地、その他
    対象規模:区画形質の変更(道路などの整備、盛土切土、農地転用など)を伴う、1000m2以上の土地への設置
    指導内容
     ・事業地への標識の設置による、住民への周知(事前協議の1ヶ月前)
     ・事前協議前の利害関係者との協議協議経過書の提出
      (周辺に影響を及ぼすおそれ、または利害関係者から説明などの要請がある場合)
     ・事前協議書による、市への協議
     ・技術指導(造成など)
     ・各種届出(事業着手、変更、完了など)の提出
    罰則規定:なし

佐久市ではなく私が住んでいる地域ですが、昨年末に久しぶりに通りかかった場所で、かなりの数の太陽電池パネルが設置されており、全く予備知識を得ていなかったので(賛否は全く別として)驚いた記憶があります。

佐久市内で現状、どのようなトラブルが起こっているのかは不明ですが、FIT導入で全国的に太陽光発電所の計画・設置が急増しているだけに、周辺住民への周知徹底を図る今回の措置は、太陽光発電が(通常の設備・建築物と同じく)ごく一般的な存在となっていく上で、必須の過程であると考えます。

その点で、今回のような自治体による規制・指導の新設は、今後全国で相次ぐものと予想します。


※参照・参考サイト:
[1]記者会見(平成26年1月8日)(佐久市のサイト内)
http://www.city.saku.nagano.jp/cms/html/entry/15107/545.html
[2]日照時間が全国トップクラスの佐久市、太陽光発電の規制を強化(スマートジャパン)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1401/20/news017.html
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2013年09月07日

神奈川県が「かながわスマートエネルギー計画」の骨子案を発表、工場・倉庫屋根への太陽電池パネル設置は重さがハードル

神奈川県2013年9月5日に、「かながわスマートエネルギー計画」の骨子案を発表していました[1][2][3]。

この中で、太陽光発電導入量の目標(とこれまでの実績)は下記の通り。

  • 2010年度(実績):13万1,100kW
  • 2012年度(実績):35万6,300kW
  • 2014年度:125万kW
  • 2017年度:230万kW
  • 2020年度:365万kW
  • 2030年度:815万kW

またニュース記事では、太陽光発電の導入について、黒岩知事による

  • 「工場や倉庫等への導入などは遅れている」
  • 「誤算があった。
    太陽光パネルを工場の屋根に付ければ一気に加速すると高い目標を掲げたが、実際にやると『重い』といわれた」
  • 今後の普及は、軽量な薄膜太陽電池の生産体制が整備される2015年度以降の伸びが見込まれる。
とのコメント・見通しが紹介されています。


今回の骨子案では、太陽光発電以外に「分散型電源」(燃料電池、コージェネ等)の普及も取り入れられており、現知事の就任以降のわずか2年ちょっとで、有望で実用性のあるエネルギー技術が増えているのは、非常に喜ばしいことだと思います。

太陽光発電については、知事選の公約から導入目標が引き下げられてきたとはいえ、実際に普及に取り組むことで課題が判明・明確化してきた点で、神奈川県の取り組みに大きな意味があることには変わりない、と考えます。

得に今回は、企業施設(工場・倉庫など)の屋根への太陽電池パネル設置において、重量の面で抜き難い制約が存在していることが明言・明記されているのは、非常に興味深く、(単純に発電能力の高さの追求だけでなく)軽量で設置が容易なタイプのパネルの需要も、今後大きく拡大する可能性があるのかもしれません。


※参照・参考サイト:
[1]かながわスマートエネルギー計画の策定について〜太陽光発電で暮らすエネルギー自立住宅の実現に向けて〜(神奈川県)
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p693500.html
[2]黒岩知事の看板「スマートエネルギー構想」見直し 「分散型電源」拡大、太陽光は下方修正(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130905/kng13090522340011-n1.htm
[3]県、太陽光の導入目標を再び下方修正/神奈川(カナロコ)
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1309060003/

※関連記事:
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2013年08月29日

弘前市での2013年1-2月の実験で、60度の両面型パネルが発電量最大、また10cm程度の積雪でも発電を確認

ニュース記事[1]で、青森県弘前市内で行われた冬季の太陽光発電の実験結果が紹介されていました。

これは「市スマートシティ共同研究結果発表会」(2013年8月21日開催)で発表されたものとのことで、概要は下記の通り。

  • 事業者
    弘前市と「青工」社の共同。
  • 実施期間2013年1〜2月
  • 主な結果
    ・傾斜角度60両面受光パネルが、発電量が最大だった。
    ・パネルに積雪10cm程度あっても、太陽光が透過して発電が行えた。

多少の積雪があってもそのまま発電可能というのは驚きましたが、言われてみれば確かに雪はある程度光を通すので、パネルの種類によっては(例えば単結晶型)十分な発電量が得られるのかもしれません。

ただ、流石に数十cmも積もると無理(真っ暗になる)と思われるので、いずれにしても雪を落とす(または自然に落ちる)ための方策は必須になるとは思いますが。

60度という角度については、太陽の高度だけでなく積雪を落とす意味合いも強いと思いますが、かなりの急角度だけに、住宅屋根や建物屋上への設置では、強風に対して十分な強度を保持できるのか、個人的にはやはり不安を感じます。

青工社では垂直設置型の太陽光発電設備も手がけられています[1]が、このタイプだと設置の収まりが良いだけに、垂直と60度ではどのぐらい発電量が違うものなのか、というのは気になるところです。


※参照・参考サイト:
[1]太陽光発電:雪国で 両面パネルと傾斜で難題の積雪をクリア 弘前 /青森(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/aomori/news/20130828ddlk02020089000c.html
[2]弘前市スマートシティ共同研究結果発表会及び弘前型スマートシティ推進協議会第1回各部会の開催について(お知らせ) (2013年08月01日)(弘前市)
http://www.city.hirosaki.aomori.jp/kakuka2/HSC01-0000001486/index.html
[3]新たな取り組みと実績例(青工)
http://www.seikoh-web.co.jp/seikoh/construction.html
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2013年05月24日

札幌市が「太陽光発電推進マッチング事業」を開始、土地・屋根の貸し借りの協議を促進

北海道札幌市2013年5月22日に、「太陽光発電推進マッチング事業」の開始を発表していました。

同市のサイト[1]によると、事業の概要は下記の通り。

  • 目的・方針
    民間施設への太陽光発電設備の導入を加速するため、
    ・「土地・屋根貸し」を希望する土地・屋根所有者
    ・「土地・屋根借り」を希望する発電事業者
    の両方を募集し、双方の主体的な協議を促進する。
  • 札幌市の担当
    ・登録内容のウェブサイトでの公開
    ・「太陽光発電セミナー」の開催
    (※協議・契約自体は当事者間で直接行い、市は関与しない
  • 土地の条件
    対象:市内の民間遊休地(社会福祉法人・学校法人等の所有地含む)
    地目:農地法の適用外
    状態
     ・更地(自生植物が雑草・灌木の類なら可、樹木が生い茂っている場合は不可)
     ・大掛りな整地作業が必要な、激しい起伏などが無い。
    土地の周辺
     周辺に受光障害物(山、森林、ビル等)が無い。
  • 屋根(施設)の条件
    対象:市内の民間施設(社会福祉法人・学校法人等の所有施設を含む)
    建物の強度
     建築基準法に基づく新耐震基準が適用されている(1981年6月1日以降に建築確認)。
     または、新耐震基準は未適用されていないが耐震補強工事が行われている。
    面積
     太陽電池パネルを設置できる1棟の屋根面積が、概ね200m2以上。
     (傾斜屋根の場合は、北向きの面を除く)
    土地の周辺:
     周辺に受光障害物(山、森林、ビル等)が無い。
  • 賃貸の期間:約20

発電事業者と建物所有者のマッチング事業は、東京都[2]と神奈川県[3]が既に実施していますが、今回は降雪地域の自治体での取り組みということで、どれだけのマッチングが実現するのか、雪国での屋根貸し事業の可能性を見る意味でも、非常に興味を引かれます。

また、北海道内でのメガソーラー事業計画については系統接続を保留されたケースも出ているだけに、より小規模な発電事業を想定していると思われる今回のマッチング事業が、道内での太陽光発電普及を別の面から推し進めることを、期待したいところです。


※参照・参考サイト:
[1]太陽光発電推進マッチング事業(札幌市)
http://www.city.sapporo.jp/kankyo/energy/matching/index.html
[2]太陽光発電「屋根貸しビジネス」マッチング事業(屋根の募集)(東京都)
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/renewable_energy/roof_rental.html
[3]民間施設を対象とする「屋根貸しマッチング事業」の開始について(神奈川県)
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f421164/

※関連記事:
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