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2012年05月28日

産総研が薄膜シリコン型太陽電池の「光劣化」を抑制する手法を発表、光劣化率10%・変換効率9.6%を達成

産業技術総合研究所太陽光発電工学研究センターが、薄膜シリコン型太陽電池に生じる「光劣化」を抑制できる手法を、発表したとのこと。

(ニュース記事)
・産総研、薄膜シリコン型太陽電池の光劣化を抑制(日本経済新聞)
 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2500U_V20C12A5000000/?uda=DGXZZO0630724025042010000001

上記URL先ページによると、これは同センターの成果報告会(2012年5月24〜25日)で発表されたもので、概要は

・背景:
 薄膜シリコン型太陽電池の発電層「アモルファスSi層」を、SiH4を原料に用いるプラズマCVDで成膜する際、プラズマにより発生した「高次シラン種(HOSクラスター)」が膜中に入り込む。
 これが、光が照射された際の特性劣化(光劣化)が生じる要因となり、通常、モジュールに光を照射した後の変換効率は、製造直後より19%ほど低くなってしまう。

・手法:
 プラズマCVDのチャンバー内を、メッシュ状の金属で仕切り、プラズマ領域を基板から離した。
 これにより、拡散速度が遅い高次シラン種を、基板に到達する前に排気できるようになった。

・成果:
 本手法により施策した太陽電池では、
 ・光劣化率10
 ・変換効率9.6
 との結果が得られた。

・今後の方針・見通し:
 ・光閉じ込め技術の改良などにより、変換効率10.1%(現在の世界最高値)の更新を目指す。
 ・今回の手法では、成膜速度(通常手法では0.3nm/秒程度)が、0.03nm/秒にまで低下してしまう欠点がある。
  この点は、ガス流量の増加などによる工夫で改善できる見通し。

等となっています。


成膜速度が1/10になってしまうというのは大きな欠点ですが、その分、光劣化率を従来の半分程度に低減できるというのは相当な進歩だと思われるので、薄膜シリコン太陽電池の価値を高めるためにも、実用化に向けて更なる技術の改良に期待したいところです。


※参考サイト・ページ
・[1]「太陽光発電工学研究センター 成果報告会」プログラム概要
 http://unit.aist.go.jp/rcpvt/ci/update/2012/Center/program.html
・[2]太陽光発電工学研究センター 先端産業プロセス・低コスト化チーム(Advanced Low Cost Processing Team)
 http://unit.aist.go.jp/rcpvt/ci/r_teams/ALCP/index.html


※当ブログの関連記事:
大日本スクリーン製造と岐阜大学が、薄膜シリコン太陽電池のアモルファスシリコン膜特性の解析技術を開発、光劣化の軽減につながる?(2010/06/22)
posted by 管理人 at 07:22 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2012年05月17日

佐賀県と産総研が、太陽光発電の共同研究などに関する連携協定を締結

佐賀県
産業技術総合研究所

の2者が2012年5月15日に、太陽光発電の共同研究などに関する/strong>連携協定を結んだとのこと。

(ニュース記事)
・連携協定:県と産総研、太陽光発電など研究で /佐賀(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/area/saga/news/20120516ddlk41010472000c.html
・産業技術総研と佐賀県、太陽光などで協定(佐賀新聞)
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2204927.article.html

(産総研のサイト内ページ)
・佐賀県と産業技術総合研究所が連携・協力協定を締結
 http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20120515/pr20120515.html

上記URL先ページによると、

・背景・目的:
 ・佐賀県は、住宅用太陽光発電システムの普及率5.8%(2010年度)と、9年連続日本一の実績を持っている。
  また、今後の普及と合わせた地域産業振興を目指し、産総研の「第U期高信頼性太陽電池モジュール開発・評価コンソーシアム」に参加。
  2011年3月には、産総研の九州センター内で「太陽光発電における信頼性・品質試験方法に関する国際標準化」の共同研究を開始している。
 ・今回は、佐賀県と産総研における
  ・共同研究
  ・施設・設備の相互利用
  ・研究交流・人材交流
  等の連携推進を主な狙いとして、両者の意向が合致。
  また、組織的連携の基盤構築による更なる発展も見込まれることから、連携・協力協定を締結した。

・連携・協力の内容:
 ・研究開発の強化、その産業利用の促進
 ・研究施設・設備相互利用
 ・研究交流・人材交流
 ・広報・啓発活動の協力
 等。

・主な予定・方針:
 「太陽光発電における信頼性・品質試験方法に関する国際標準化」に係る共同研究推進を主軸として、下記の取り組み等を行う。
 ・産総研・佐賀県・佐賀県地域産業支援センターのチームによる「御用聞き型企業訪問」により、
  ・県内企業の技術課題の解決技術力の向上
  ・企業ニーズの掘り起こしと技術シーズマッチングによる、新技術・新商品開発の推進。
 ・地域企業向けの産総研紹介セミナーの開催
 ・佐賀県、県公設試験研究機関などと産総研の定例的な意見交換会の開催

等となっています。

また2つ目のニュース記事では、

(産総研理事長の方)
・「太陽光をはじめ、いろんな分野で技術の連携、強化を図り、九州地区の活力を高めたい」

(佐賀県知事の方)
・「レベルの高い技術をより多くの方に知ってもらい、企業の競争力を高めるために大いに活用してほしい」

とのコメントが紹介されています。


太陽光発電分野による地域の産業振興への寄与という点で、やはり非常に興味深く魅力的な取り組みだと感じるので、今後具体的にどのような技術・製品が生み出されるのか、注目したいところです。


※参考サイト・ページ
・[1]産総研九州センター
 http://unit.aist.go.jp/kyushu/ci/


※当ブログの関連記事:

経産省が産総研つくばセンター・九州センターに、太陽電池モジュールの耐久性評価のための加速度試験設備を導入予定
(2009/05/01)

産総研九州センターに、太陽電池モジュールの発電量・耐久性の評価設備が開設、寿命30年以上のモジュールの開発を目指す
(2010/12/16)
posted by 管理人 at 08:45 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2012年05月15日

分子科学研究所と科学技術振興機構が、電荷分離を制御して変換効率をアップできる二次元高分子材料の合成に成功

・自然科学研究機構の分子科学研究所
科学技術振興機構(JST)

2012年5月11日に、太陽電池向けを想定した技術として、

・電子ドナーとアクセプターの重合により、電荷分離制御して光電変換の効率を高める二次元高分子材料の合成に成功した。

ことを発表したとのこと。

(ニュース記事)
・JST、太陽電池向け電荷分離構造を持つ高分子材料を合成、光電変換を高効率化(環境ビジネス)
 http://www.kankyo-business.jp/news2012/20120514_b.html
・IMS、電荷分離制御で光電変換可能な太陽電池向け2次元高分子材料を開発(マイナビニュース)
 http://news.mynavi.jp/news/2012/05/14/076/

(各機関のサイト内ページ)
・太陽電池を照準とした究極の電荷分離構造を持つ高分子材料の合成に成功(分子科学研究所)
 http://www.ims.ac.jp/topics/2012/120511.html
・太陽電池を照準とした究極の電荷分離構造を持つ高分子材料の合成に成功(JST)
 http://www.jst.go.jp/pr/announce/20120511-3/index.html

上記URL先ページによると、今回の研究の概要は

・背景:
 光を電気に変換するためには、
 ・電子ドナー(光の照射を受け、電子を放出する)
 ・電子アクセプター(電子を受け取り、電極まで運ぶ)
 の2種類の材料を組み合わせ、光誘起電子移動反応により電荷分離状態を作ることが必要となる。
 これを高効率で行うためには、ドナーとアクセプターの組織化が重要だが、現在のところ
 ・両材料の混合ランダムに行われており、
  ・電荷分離が起こるドナー・アクセプター界面の形成
  ・上記界面で発生した電子の移動
  を制御できない
 ・両材料は静電相互作用が強く、生じた電荷分離状態がすぐに失活してしまう。
 といった問題点があり、変換効率の向上は頭打ちとなっている。
 これらの課題を解消するため、これまでに
 ・自己組織化
 ・液晶
 等のアプローチが検討されてきたものの、それらの手法では
 ・秩序構造を維持するために、
  ・自己組織化のための溶媒条件
  ・液晶化のための温度条件
  等、特定の条件が必要となる。
 ・規則的な構造を持たず、デバイスへの展開には適さない。
 といった問題点があった。

・手法:
 ・研究グループは今回、「二次元高分子」(積層により多孔性有機構造体を形成する)の規則正しい周期構造に着目。
  ・ドナー:トリフェニレン誘導体
  ・アクセプター:ベンゾチアジアゾール誘導体
  を縮重合反応(縮合を繰り返すことで高分子化合物を生成)することで、二次元高分子を高収率で得ることができた。
 ・上記の二次元高分子は、ドナー部とアクセプター部が交互に規則正しく連結し、六角ナノポアの二次元シートを形成している。
  更にこのシートを積層することで、ドナー部とアクセプター部が互いに真上に来るように重なる構造を形成する。
  シートの二次元平面内における周期的構造は、積層により縦方向にも拡張され、ドナーとアクセプターの独立したカラム構造が作り出される。

・成果:
 ・上記の構造を持つ二次元高分子は、電子とホールの両方を伝導できる。
  その移動度
  ・電子:0.04cm2V-1s-1
  ・ホール:0.01cm2V-1s-1
  と、通常のドナー・アクセプター混合系より一桁高い値を示した。
 ・上記の二次元高分子では、ドナーとアクセプターは隣接しており、
  ・電荷分離が起こる界面面積増大
  ・電子移動を起こせる空間距離での配置
  が実現されている。
  これにより、実験的に光を照射した結果、通常のランダムな混合の場合の1万倍の光電流が確認された。
 ・デバイス化に向けて、周期構造を保ったまま二次元高分子を基板上作製する手法を開拓。
  グラフェン基板上に、平らで欠陥の無い二次元高分子の薄膜を作ることに成功した。
  (合成条件を変えることで、厚みを制御フィルムを作ることも可能)

等となっています。


従来は制御できなかった(光電変換における)電荷分離状態を制御できる手法ということで、太陽光発電の発電能力を飛躍的に向上させる可能性があるのでは・・・と、個人的にも非常に期待が高まるので、まだまだ時間が必要だとは思いますが、実用化に強く期待したいところです。
posted by 管理人 at 07:54 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2012年04月28日

韓国化学研究院が、機能性ナノ粒子の採用により、CI(G)S薄膜太陽電池の変換効率アップ・コスト低減が見込まれる製造技術を開発

韓国化学研究院」が2012年4月24日に、

・同院の研究チームが、CI(G)S薄膜太陽電池
 ・変換効率アップ
 ・製造単価低減
 に寄与できる技術を開発した。

と発表したとのこと。

(ニュース記事)
・化学研、高効率低コストの薄膜太陽電池製造技術を開発(おはよう大徳!)
 http://www.hellodd.com/japan/news/news_view.asp?t=dd_jp_news&menu=&mark=2873

上記URL先ページによると、研究の概要は

・背景:
 従来のCI(G)S薄膜太陽電池は変換効率は高いものの、光吸収層の製造に真空蒸着技術を用いるため、工程単価が高く大面積化が困難だった。

・製造方法:
 ・低コスト
 ・毒性なし
 との利点を持つ原料物質を用いて、機能性ナノ粒子基盤液状素材を合成・製造。
 (このナノ粒子は、光活性層の結晶性・化学組成・緻密微細構造を制御できる)
 この素材を、単純溶液工程で基板上にコーティングする。

・変換効率:
 これまでに報告されているナノ粒子基盤のものの最高値を超えることを確認した。

等となっています。

また記事では、研究者の方の

・「今回の研究成果は次世代太陽電池技術とされるCI(G)S薄膜太陽電池の限界を克服できるナノ粒子合成と溶液工程により超低価、高効率化の可能性を提示した点に意義がある」

とのコメントが紹介されています。


CIS(CIGS)太陽電池の製品化自体は、日本でも既にソーラーフロンティアやホンダソルテックが実現していますが、今回の韓国化学研究院の開発技術では、現状の製品と比べて格段の低価格化が期待できる、ということなんでしょうか?
(「Energy and Environmental Science」のサイトで該当の記事を見つけられなかったのが残念)


※当ブログの関連記事:
韓国で450kg級の多結晶シリコンインゴット量産技術が開発(2008/11/07)
韓国化学研究院が「K-Energy」社に、低コストなポリシリコン製造技術を出資(2009/11/10)
posted by 管理人 at 01:30 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2012年04月27日

現代重工業が、セレクティブエミッター太陽電池で変換効率19.7%を達成

現代重工業2012年4月24日に、

変換効率19.7%のセレクティブ・エミッター(SE)太陽電池を開発した。

と発表したとのこと。

(ニュース記事)
・現代重工業、世界最高効率の太陽電池開発(朝鮮日報)
 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/04/26/2012042600564.html

上記URL先ページによると、太陽電池の概要は

・変換効率:19.7
 (SE太陽電池でのこれまでの最高値は、Suntech Power社の19.6%だったとのこと)

・主な特徴:
 Suntech Power社の開発品(5インチ)より変換効率が高く、サイズも1インチ大きくなっている。
 ・「太陽電池1枚当たりの発電能力を既存製品に比べ57%高めた」
  (現代重工業の副社長(グリーンエネルギー事業本部長)の方)

・認証:
 独「フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所」の認証を取得している。

等となっています。


現代重工業の太陽電池事業参入は約3年半前ですが、その企業が既に変換効率で世界のトップ水準に到達しているということに、技術的な成長の早さを強く感じざるを得ません。


※当ブログの関連記事:
韓国の現代重工業が太陽電池事業に参入(2008/11/27)
韓国企業の太陽電池事業への参入状況を開設している記事(2009/12/19)
韓国「現代重工業」が、2010年5月に日本で住宅用太陽光発電システムを発売予定(2010/03/13)
韓国の忠清北道で、現代重工業と仏サンゴバンの合弁によるCIGS薄膜太陽電池工場が建設着工(2011/04/16)
現代重工業が、太陽電池生産設備の能力を現在比2倍弱まで拡大する方針(2010/06/26)
現代重工業が米「マチネーエナジー」社から、太陽光発電所(計175MW)の建設を約7億ドルで受注(2010/08/12)
現代重工業が仏サンゴバン社と協力し、韓国内で2012年までに薄膜太陽電池工場(年産100MW)を建設する計画(2010/10/12)
「太陽光発電設備」分野について、世界市場や韓国企業の動向・状況を解説している「朝鮮日報」の記事(2011/06/13)
現代重工業の太陽電池事業を紹介している「朝鮮日報」の記事(2011/06/12)
posted by 管理人 at 01:42 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2012年04月24日

NEDOが「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」プロジェクトに支援対象事業を追加、モジュール価格急落への対応を図る

NEDOが2012年4月20日に、

・太陽光発電システムの低コスト化・高効率化に向けた技術開発

支援事業における、助成対象事業者の募集予定を発表したとのこと。

(ニュース記事)
・NEDO、太陽光発電システムの低廉化・高効率化の研究開発などを公募(環境ビジネス)
 http://www.kankyo-business.jp/news2012/20120423_c.html

(NEDOのサイト内ページ)
・「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」の追加公募について
 http://www.nedo.go.jp/koubo/FF2_100025.html

上記URL先ページによると、今回の措置の概要は

・背景・経緯:
 「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」プロジェクト(2010〜2014年度)では、2020年に
 ・発電コスト:14円/kWh
 ・モジュール変換効率:20
 ・モジュール製造コスト:75円/W
 を達成することを目指して研究開発が行われている。
 しかしプロジェクト開始以降に、太陽光発電システムの価格大幅に下落
 このため、今後の太陽電池市場における差別化・競争力アップのためには、更なる低コスト化・高効率化を図ることが喫緊の課題となっている。
 今回はこの課題に対応するため、2020年までの実用化・事業化を目標とする新しい研究開発テーマを設定し、事業者の追加公募を行う。

・公募対象:
 ・対象者:
  ・企業(団体などを含む)
  ・大学など
  ・研究者・研究チーム
  ・非営利団体(NPO等)
 ・研究開発:
  現在実施している研究開発テーマ以外の新たな着想・方式・材料などを用いる、太陽光発電システムの
  ・低コスト化
  ・変換効率の向上
  ・長寿命化
  等の研究開発。
  また、2020年までの実用化・事業化が見込まれる即効的な研究開発であること。
  特に、下記の研究開発に重点を置く。
  ・太陽電池モジュールにおいて、新たな着想・方式・材料などを用いる
   ・低コスト化
   ・高効率化
   ・長寿命化
   に資する研究開発
   (太陽光発電システムの市場競争力アップが目的)
  ・太陽光発電システムの
   ・周辺機器
   ・施工・工法
   ・共通部材
   等の低コスト化・長寿命化に資する研究開発。
   (モジュール以外の
    ・周辺機器
    ・施工・工法
    ・共通部材
    等のコスト低減の進展が不十分であるため)

・助成額:
 委託事業・共同研究事業として、NEDOが2/3を助成する。

・事業期間:
 2012年度のNEDOが指定する日から、2014年度(2015年2月28日)までの3年間以内。

・募集期間:2012年4月20日〜5月29日
 (※説明会が4月27日に開催される)

等となっています。


ここ数年での太陽電池モジュールの急激な価格低下は、日本での太陽光発電の研究・開発にも方針変更の必要性をもたらしている、ということでしょうか。

モジュールの低価格化では中国メーカーが先を行く中で、NEDOが先導する今回の取り組みで(太陽光発電システム全体として)日本がどのようなコストダウンを実現できるのか、世界市場でアドバンテージが取れるような技術の開発を、強く期待したいところです。


※当ブログの関連記事:
NEDOが、「オープンイノベーション」方式を中心とする、オールジャパン体制の太陽電池開発プロジェクトの体制を発表(2010/07/02)
NEDOが2012年度に、有機系太陽電池の研究開発に重点を置く方針(2012/01/27)
posted by 管理人 at 20:53 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2012年04月10日

米津高専生が、卵殻の膜を用いて太陽電池の性能を高める技術を研究中、大手企業も協力を申し出

米子工業高等専門学校の「B&C研究同好会」が、卵殻の膜を用いて太陽電池の性能高める技術を研究しているとのこと。

(ニュース記事)
・卵膜で省エネ 高専最優秀(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tottori/news/20120409-OYT8T01036.htm

上記URL先ページによるとこの技術は、卵殻の膜を粉末状にして太陽電池の電極に載せることで、電池の持続力を高めるというもの。

研究は2011年2月から行われており、主な成果は

・2011年夏には、持続力が通常の30倍という太陽電池を開発。
 ただし、膜の載せ方により、発電量などにムラが生じていた。
 これについて、膜を粉末状にして電極にまぶすことで結果が安定し、電力量も2.5倍になることを発見した。
・電極に塗布した薬品同じ量の粉末を混ぜ合わせた場合に、電力量が最も大きくなることを発見した。

等となっています。

この研究成果は、2012年3月に開催された「ジュニア農芸化学会」で発表され、これに関心を持った「キューピー」社が、太陽電池の開発協力(技術・資金・機械などの提供)を申し出ているとのことです。


対象となっている太陽電池がどのタイプなのかは判りませんが、寿命に課題があると見受けられるので色素増感型あたりでしょうか?

大手メーカーが協力する方針とのことで、それだけ可能性がある技術かと思われるので、今後の研究動向と成果の発表に期待したいところです。


※4/12追記:
下記URL先ページ内の「<高校の部>入選2等」に、同じ学校・同好会名が記載されています。

・入賞作品 : 第54回 日本学生科学賞(※2012/1/16に掲載)
http://event.yomiuri.co.jp/jssa/prize/list.htm#KK01

ただし、受賞作品名は「新しい高耐久性色素増感太陽電池」とのみ書かれており、卵殻の膜との関係は明記されていません。


※参考サイト・ページ
・[1]ジュニア農芸化学会で金賞を受賞しました。(米津高専のサイト内)
 http://www.yonago-k.ac.jp/shinchaku/hyouzi.php
posted by 管理人 at 09:30 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2012年03月24日

広島大学が開発したシリコン薄膜結晶の新しい成長メカニズム「LWC(Leading Wave Crystallization)」

下記URL先ページでは、広島大学大学院先端物質科学研究科の研究グループが開発した、シリコン薄膜結晶の新しい成長メカニズム「LWCLeading Wave Crystallization)」について解説されています。

(ニュース記事)
・広島大、大気圧プラズマを用いた高品質シリコン薄膜結晶の成長に成功(マイナビニュース)
 http://news.mynavi.jp/news/2012/03/23/130/

(広島大学のサイト内ページ)
・[研究成果] 世界初、大気圧プラズマを用いた高品質シリコン薄膜結晶の成長に成功
 http://www.hiroshima-u.ac.jp/news/show/id/13403/dir_id/9

上記URL先ページによると、これは大気圧プラズマを用いることで、ガラス基板上に高品質なシリコン薄膜の結晶を成長させる手法で、その概要は

・背景:
 これまでの研究では、
 ・1万度超のプラズマを照射することで、ミリ秒単位でシリコン薄膜が溶融。
  その融液が冷え固まる際に、高品質結晶が成長する。
 との事実が判明しているが、この技術を高性能太陽電池製造に適用するには、より精密結晶成長制御が必要とされる。
 そしてそのためには、
 ・ミリ秒オーダーで結晶成長がどの様に進行するのか
 ・上記メカニズムの理解
 が重要となっていた。

・成果:
 ・高速度カメラを用いた測定システムを構築。
  ミリ秒オーダーでの、シリコン融液から結晶が成長する様子の動画撮影に成功した。(世界初とのこと)
  そして更に、新しい結晶成長メカニズム(LWC)を発見した。
 ・LWCによる急速熱処理技術(大気圧プラズマジェットを使用)を開発。
  ガラス基板上に、高品質シリコン薄膜の結晶を成長させることに成功した。
  この手法により、従来方法より更に高品質のシリコン結晶が成長できることが判明した。

・期待されるメリット:
 低コスト・高品質な太陽電池製造方法の確立につながることが期待される。

等となっています。


具体的に太陽電池の品質向上・コスト低減にどの程度寄与できる見込みなのか示されていないのが残念ですが、また実用化には時間がかかる段階、ということでしょうか。

ともあれ、従来に無い技術とのことなので、日本発の先進技術として実用化が実現することを強く期待したいところです。
posted by 管理人 at 20:02 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2012年03月13日

神奈川県の企業3社における、太陽光発電の性能・機能向上に向けた取り組みを紹介している「日本経済新聞」の記事

下記URL先ページでは、神奈川県内の中小企業における、太陽光発電の性能・機能向上を図る取り組みの事例が紹介されています。

(ニュース記事)
・神奈川の中小、太陽光発電に一工夫 両面発電やパネル回転(日本経済新聞)
 http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819490E3E0E2E2EB8DE3E0E2E1E0E2E3E09EEAE0E2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E6

具体的には、

元旦ビューティ工業
屋根一体型の太陽電池パネルに、反射板を導入した。
・発電効率:従来より2割アップする。
 ・両面発電可能な素子の採用により、反射した太陽光も発電に利用できる。
 ・パネルと反射板の間に空気の通り道を設けることで、パネルの過熱を抑制する。
・価格:従来タイプと同程度。
 生産工程の内製化などにより、コストを抑えた。
・発売時期:2012年4月の予定
・想定需要先:大型施設(工場、公営施設など)を中心とする。
・売上目標:2012年度に4億

大洋電機エンジニアリング
太陽を追尾するパネル駆動装置を開発。
・駆動方式:
 簡略化し、1時間毎に15度回転する。
・発電効率:固定設置より4割高まる。
・価格:センサータイプの半分程度
・製品の種類:
 ・柱型:街路灯・防犯灯向け(監視カメラの電源なども想定)
 ・移動式:イベントや災害時向け
・想定需要先:自治体・町内会など。

城山工業
太陽電池パネルの基板用金属板を開発。
・厚さ:0.3mm
・主な特徴:
 パネル全体の重さは、従来方式(ガラス製基板を採用)の半分程度に軽減される。
 これにより、パネル設置時に建物を補強する必要が無くなる。
・想定需要先:
 ・木造住宅
 ・プレハブの工場
 等。

の3社の製品・技術が取り上げられています。


太陽電池パネルの駆動装置に(従来のセンサー方式ではなく)動作角度を予め決める方式を採用した、というのは、何かの拍子(外から何かが強い力でぶつかった等)で角度が狂った場合に対応が必要になると思いますが、装置の簡略化・コストの大幅低減により導入ハードルを大きく引き下げる、という点で非常に魅力的だと感じます。

ともあれ個人的には正直、地域の企業が太陽光発電向けに魅力ある独自技術を開発している、ということが意外で、また技術自体だけでなく、各社が想定している需要先も各々異なっている点も、非常に興味深いです。

各社のサイト[1]〜[3]にこれらの技術についての情報がまだ見当たらないのが残念なので、今後の情報公開や本格的な事業展開に期待・注目したいところです。


※参考サイト・ページ
・[1]元旦ビューティ工業
 http://www.gantan.co.jp/
・[2]大洋電機エンジニアリング
 http://www.taiyo-denki.com/
・[3]城山工業
 http://www.shiroyama.net/
posted by 管理人 at 11:45 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2012年03月01日

韓国電気研究院(KERI)が、ナノ技術と繊維技術を組み合わせた「紙型柔軟太陽電池」の製造技術を開発

韓国電気研究院KERI)」が2012年2月28日に、

ナノ技術繊維技術の組み合わせによる「紙型柔軟太陽電池」の製造技術を開発した。

と発表したとのこと。

(ニュース記事)
・紙のように曲がる太陽電池、韓国で開発…世界初(中央日報)
 http://japanese.joins.com/article/728/148728.html?servcode=300§code=330
・韓国がナノ繊維の曲がる太陽電池を開発…「世界初」と報道続々(サーチナ)
 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0229&f=national_0229_063.shtml

上記URL先ページによると、技術の概要は

・主な特徴:
 ・韓国伝統の「窓戸紙扉構造」を応用。
  ・金属の格子
  ・セラミックスの紙、ナノ繊維
  等を用いて作るもので、
  ・軽量
  ・高い耐久性
  ・紙のような柔軟性
  との長所を持ち、多様な形状を実現できる。

・適用可能な用途:
 ・モバイル機器、建物の窓、衣類などへの脱付着
 ・建物用・軍事用・海洋用など

・特許:
 研究チームでは、今回の研究成果に関わる4件の特許を出願した。

・今後の方針:
 研究チームでは、技術を更に発展させ、量産化向けの新しい製造工程と素材の開発に取り組んでいる。
 チームのチャ・スンイル博士は
 ・この技術を、早期に企業へ移転する計画。
 ・量産化に成功した場合、コストは0.5ドル/W(従来の太陽電池の半分以下)を実現できると見込んでいる。
 との内容を語っている。

等となっています。


フレキシブルな太陽電池モジュール自体は、例えば日本でも富士電機や三菱化学などが既に開発・製品化しているので、今回開発されたものが柔軟性・耐久性・変換効率でどのような有利性を持っているのかが、非常に気になるところです。
(記事で「世界初」と銘打たれているからには、それだけ既存技術に無い特徴・性能を備えている、ということなんでしょうか?)


※参考サイト・ページ
・[1]KERI
 http://www.keri.re.kr/english/
posted by 管理人 at 01:19 | Comment(0) | 研究・開発の動向