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2011年09月03日

中部電力が、太陽電池パネルの垂直設置における発電特性の評価を推進中、冬季に発電量が最大になるとのこと

中部電力が、太陽電池パネル垂直に設置した場合の、発電特性の評価に取り組んでいるとのこと。

(ニュース記事)
・中部電、壁面太陽光の特性を調査 需要予測に活用(電気新聞)
 http://www.shimbun.denki.or.jp/news/main/20110902_01.html

上記URL先ページによると、取り組みの概要は、

・背景・目的:
 ・太陽電池パネルの設置角度は、傾斜角30〜35度が理想とされており、現在は建物屋上への設置が一般的となっている。
 ・中部電力では、建物の壁面へのパネル設置について、太陽光の吸収性は劣る一方で
  ・屋上より設置場所を確保しやすい
  ・遮光効果がある。
  とのメリットがあることから、今後パネルの価格低下が進んだ場合に活用が拡大する、と判断。
  壁面設置の実験により、パネルの設置角度や種類による発電特性の違いを明確化し、太陽光発電量を推定できる手法を確立することで、需要予測への活用を狙う。
・調査内容:太陽電池パネルの発電量と日射量の関係
・太陽電池パネル:
 ・設置場所:中部電力・技術開発本部(名古屋市)の研究棟の壁面。
  ※比較対象として、多結晶シリコン太陽電池パネルを、屋上にも設置している(傾斜角30度)。
 ・種類:比較用として、4種類を設置している。
・現時点での調査結果:
 これまでの観測データから、太陽電池パネルの発電量が最大となる時期
 ・屋上設置:春季
 ・垂直設置:冬季
 となることが判明している。

等となっています。


通常の屋上設置と壁面設置で、年間の発電電力量にどの程度の差があるのかは記載されていませんが、最も発電量が大きくなる時期に差があるとの結果は、非常に興味深いです。

例えば雪国では、山形県(「山形パナソニック」による)や北海道(戸建て住宅メーカーによる)で壁面設置の実験が行われており、パネルに雪が積もらないメリットが指摘されていますが、降雪が少ない地域では太陽電池パネルの壁面設置にどの程度のメリットがあるものなのか、中部電力の今後の実験で明らかになることを期待したいです。


※参考サイト・ページ
・[1]中部電力
 http://www.chuden.co.jp/
・[2]本店・支店 技術開発本部
 http://www.chuden.co.jp/corporate/company/officelist/com_office/kaihatsu_map/index.html
posted by 管理人 at 14:09 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2011年08月25日

砂漠で砂から太陽電池を量産し、設置・発電して世界に給電する「サハラ・ソーラー・ブリーダー計画」の研究グループが、計画をアピール

砂漠で砂から太陽電池を量産し設置する「サハラ・ソーラー・ブリーダー計画」を提唱している中部大学の研究グループが、8月24日に、名古屋市内で記者会見を行い、計画をアピールしたとのこと。

(ニュース記事)
・中部大グループら構想の電力供給(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aichi/news/20110825-OYT8T00005.htm
・砂漠で太陽光発電を 中部大教授ら計画(中日新聞)
 http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20110825/CK2011082502000112.html?ref=rank
・太陽光発電:サハラ砂漠で 名古屋でフォーラム、世界から120人参加 /愛知(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/area/aichi/news/20110825ddlk23040207000c.html

上記URL先ページによると、計画の概要は、

・背景:
 ・太陽電池は無尽蔵のエネルギー源として注目されている一方、製造コストの高さから普及が遅れており、新技術開発が急務となっている。
 ・砂漠のの主成分は、シリコン酸化物である。

・内容:
 世界中の砂漠(サハラ砂漠など)の砂漠の近郊に、シリコン太陽電池の製造工場を設置。
 製造した太陽電池を砂漠に設置して、強い日照により発電した電力を、超伝導送電技術により世界中の都市に供給する。
・研究体制:
 中部大学の他に、東京大学東京工業大学が参加している。
・技術:
 中部大では2010年に、超伝導物質を採用し電気抵抗を低減したケーブルを用い、直流電流の200mの送電に成功している。
・プロジェクト費用:50兆〜100兆
 (石油資源枯渇を見越した産油国からの資金提供などを想定)

等となっています。

また記事では、研究グループの

・「まだ基礎研究段階だが、化石燃料に代わる新しいエネルギー供給モデルになる」
・「経済性に課題があるが、2030年までに開発を進めたい」
・「超電導技術は進歩しており、実現に近づいている」
・「最も進んだ超伝導技術を持つ日本は積極的に共同開発を進めるべきだ」

とのコメントが紹介されています。


個人的に、砂漠の砂は「不毛」というイメージが強いので、それを発電装置の原料に用いるという構想には、非常に驚かされます。(試験的でも、製造の実績はあるのかどうかが気になるところ)

プロジェクト費用の規模といい、超伝導による世界中への電力供給といい、莫大で想像しがたいスケールですが、同時に現在では珍しい、夢のある計画だとも感じます。


※参考サイト・ページ
・[1]サハラソーラーブリーダー計画
 http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/~hfujioka/ssb/main.html
・[2]Sahara Solar Breeder Foundation
 http://www.ssb-foundation.com/
・[3]クローズアップ 山口研究室(中部大学)
 http://www.chubu.ac.jp/about/research/closeup/yamaguchi01/index.html
・[4]砂の組成(ウィキペディア「砂漠」)
posted by 管理人 at 21:04 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2011年08月22日

米国の13歳の少年が、木の枝葉をヒントにした太陽電池パネルの設置方法で、発電量などを向上できることを検証

米国のAidan Dwyer氏(13歳)が、木の枝葉の張り方をヒントにした太陽電池パネルの設置方法により、発電量などをアップできることを検証したとのこと。

(ニュース記事)
・13歳の少年が画期的な太陽光発電モデルを発表し注目を集める(ロケットニュース24)
 http://rocketnews24.com/2011/08/21/123417/

(英文記事)
・The Secret of Fibonacci Sequence in The Tree(「American Museum of natural History」内)
 http://www.amnh.org/nationalcenter/youngnaturalistawards/2011/aidan.html
・13-Year Old Uses Fibonacci Sequence for Better Solar Power(「GEEKOSYSTEM」内)
 http://www.geekosystem.com/fibonacci-tree/

上記URL先ページによると、Aidan氏は木が効率よく日照を受けるために、その枝葉が「フィボナッチ数」に基づいて螺旋状に展開していることを、実地調査によって確認。

そして、この考え方に基づいた樹状の太陽電池パネル設置モデルと、通常の平面設置型モデルの2種類を作成し、同じ環境条件に設置して発電状況を計測・比較(時期は冬)したところ、樹状モデルでは

発電電圧:平面設置型より2割増
発電できる時間:同2.5

等の結果が得られたとのことです。


個人的には、記事を読んだ限りでは

・「フィボナッチ数」が、枝葉の張り方において具体的にどの部分にどのように現れているのか?
 (枝葉のどれがFn、Fn-1、Fn-2に相当するのか)
・樹状の太陽電池パネル設置モデルにおいて、末端のパネルの設置方向は何に基づいて決定しているのか?
 (パネルの発電面が下向きにならないのは何故なのか)
・検証に使用した各モデルでの、各パネルの接続方法(直列・並列)はどのようになっているのか?
 また、(写真を見る限りでは)両モデルでパネル枚数が異なっており、その点は公平でないのでは?

との点に疑問があり、検証結果を手放しで礼賛することはできません。

とはいえ、木の枝葉が秘めている構造を参考にすることで、同じ日照条件において太陽光発電システムの発電能力を高められる可能性がある点は、非常に興味深く、今後更なる検証を進める価値は十二分にあるように思われます。
(この方法により、従来は考えられなかったような狭い土地での太陽光発電システムの設置が可能となれば、非常に面白そう)


※参考サイト・ページ
・[1]フィボナッチ数(ウィキペディア)
posted by 管理人 at 12:03 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2011年08月05日

神奈川県「協同インターナショナル」社と東工大が、インジウムを半減する太陽電池向けハンダ接合技術の開発に取り組む

・神奈川県の「協同インターナショナル」社
東京工業大学

の2者が、太陽電池のコストダウンを目的として、レアメタルの使用量を大幅削減するハンダ接合技術の開発に取り組むとのこと。

(ニュース記事)
・コストダウン研究始まる | 宮前区 | タウンニュース
 http://www.townnews.co.jp/0201/2011/08/05/113717.html

上記URL先ページによると、この取り組みの概要は、

・背景:
 太陽光発電装置の製造においては、材料価格の上昇が課題となっている。
 特に、接合材であるレアメタル(希少金属)の高騰は著しく、協同インターナショナル社の調査によると、インジウムの価格は
 ・20113月上旬:5万2,000円/kg
 ・同5月:6万9,000円/kg
 ・現在:約8万円/kg
 という状況。

・開発テーマ:
 ハンダ接合技術において、ハンダ材のレアメタル含有量を減らすことで、コストの大幅低減を目指す。
 具体的には、1年後に現状からの半減達成を目標とする。

・各者の役割:
 ・東工大:レアメタルの代替素材の選定
 ・協同インターナショナル:東工大が選定した接合材を用いる、新しい接合技術の開発
 (※レアメタルは融ける温度が低く加工しやすいことから、ハンダ材に用いられており、その含有量が下がると加工が難しくなる)

等となっています。

また記事では、

(東工大の開発チームを率いる方(総合理工学研究科の教授))
・「本助成研究で得られる結果は即、太陽電池のコスト低下に大きく貢献することが期待できる」

(協同インターナショナル社の開発リーダーの方)
・「代替エネルギーとして太陽光発電の普及は社会の大きなテーマ。
  普及促進のカギとなるレアメタル使用量削減は、容易なことではないが、実現させたい」

とのコメントが紹介されています。


開発はあくまでこれからのようですが、記事で紹介されているインジウムの価格を考えると、使用量半減が持つ意味はかなり大きいと思われるので、是非とも実現を願いたいところです。


※参考サイト・ページ
・[1]協同インターナショナル| 半導体・MEMS、食品、酪農・養豚、バイオ
 http://www.kyodo-inc.co.jp/
・[2]東京工業大学
 http://www.titech.ac.jp/
・[3]インジウム - Wikipedia
posted by 管理人 at 11:15 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2011年08月04日

米MITの研究チームが、紙を基板に用いる超薄型・低コストな太陽電池を開発中

MITの研究チーム(Karen Gleason教授ら)が、基板に用いる超薄型・低コストな太陽電池の開発に取り組んでいるとのこと。

(ニュース記事)
・iPadも充電可能 紙の太陽電池 (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)
 http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110804/mcb1108040506027-n1.htm

(MITのサイト内ページ)
・While you’re up, print me a solar cell - MIT News Office
 http://web.mit.edu/newsoffice/2011/printable-solar-cells-0711.html

(Advanced Materials誌の概要紹介ページ)
・Direct Monolithic Integration of Organic Photovoltaic Circuits on Unmodified Paper - Barr - 2011 - Advanced Materials - Wiley Online Library
 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201101263/abstract

上記URL先ページでは、この太陽電池について、

・主な特徴:
 ・特殊な「インク」を紙に印刷することで作ることができる。
 ・高価な素材を全く使用していない。
  ・発電層:炭素、酸素、銅など、豊富に入手できる素材を採用している。
  ・基板:紙の価格は、ガラスの1/1,000で済む。
   (一般的な太陽電池では、基板ガラスがコストの約40%を占めている)
 ・ほぼ場所を選ばず使用できるため、既存の用途(屋根上やソーラーファームへの設置など)以外での太陽光発電が可能となり、エネルギー・ユビキタスの実現につながる。
 ・ただし変換効率は、現在のところ1%程度に留まっている。

・発電能力:
 2011年7月8日の独「Advanced Materials」誌では、
 ・紙を基板に使った超薄型太陽電池により、液晶時計を稼動できる電力を発電することに成功した。
 との論文が掲載された。
 
・今後の見通し:
 研究者らは、2年後には
 ・iPadの充電
 ・衣服の加温
 等、多様な用途に利用されている可能性もある、とみている。

等の内容が記述されています。


変換効率の低さは大きな課題であり、また個人的には強度がどの程度なのかも懸念がありますが、それでも安価な紙を基板に用いて太陽電池を作れるというのは、非常に魅力的です。

実用化が実現すれば、太陽光発電の利用に革新をもたらすことになると思うので、今後の研究の進展に強く注目したいところです。


※参考サイト・ページ
・[1]MIT - Massachusetts Institute of Technology
 http://web.mit.edu/
・[2]Advanced Materials - Wiley Online Library
 http://onlinelibrary.wiley.com/journal/10.1002/%28ISSN%291521-4095
posted by 管理人 at 10:18 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2011年07月29日

大阪市水道局がヒートアイランド対策技術を生かし、太陽電池パネルの散水冷却システムをパナソニック電工と共同開発する方針

大阪市水道局」が7月28日、

太陽電池パネル散水冷却システムを、パナソニック電工共同開発する。

との方針を発表したとのこと。

(ニュース記事)
・太陽光パネルの冷却システム、パナソニック電工と共同開発へ 大阪市水道局 - MSN産経ニュース
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110728/lcl11072823550013-n1.htm

(大阪市水道局のサイト内ページ)
・大阪市 水道局 太陽光発電パネルの発電効率向上を目的とした散水冷却システムの開発をパナソニック電工(株)と共同で実施します〜柴島浄水場で散水実験を開始します〜
 http://www.city.osaka.lg.jp/suido/page/0000135306.html

上記URL先ページによると、今回の取り組みの概要は、

・背景・目的:
 大阪市市水道局では、ヒートアイランド対策として、水道水霧状にして散布する装置の普及などに取り組んでいる。
 今回は、この技術が太陽光発電分野でも応用できる、と判断。
 太陽電池パネルへの散水により表面温度を下げて発電効率を高めることで、自然エネルギーの普及につなげる狙いがある。

・実験の予定:
 ・対象設備:「柴島浄水場」に設置している太陽電池パネル(250kW)の一部
 ・内容:
  ・太陽電池パネルへの散水が発電効率に与える影響
  などを研究する。
 ・実施期間:2011年8月1日〜2012年3月31日

等となっています。

また記事では、大阪市水道局の

・「民間と連携し、水道の施設や技術を活用することで、地球環境保全に貢献したい」

とのコメントが紹介されています。


ヒートアイランド対策技術が太陽電池パネルの冷却に役立つ可能性がある、というのは非常にユニークで興味深い視点だと感じました。

個人的には、水道局と太陽光発電の技術的な関わりは(発電設備の設置は別として)これまでイメージできなかったので、今回の取り組みが実際にどの程度有効なのか、実験の結果に非常に興味を引かれるところです。


※参考サイト・ページ
・[1]大阪市 水道局
 http://www.city.osaka.lg.jp/suido/
・[2]パナソニック電工株式会社 | 住まいと暮らし、制御機器、電子材料の総合メーカー | Panasonic
 http://panasonic.co.jp/pew/
posted by 管理人 at 12:29 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2011年07月14日

産総研などが、「ダブルショットインクジェット印刷法」により、シート上に高性能な有機半導体単結晶薄膜を作製する技術を開発

産業技術総合研究所などが、新しい印刷法「ダブルショットインクジェット印刷法」により、シート上の任意の位置に、従来より格段に高性能有機半導体単結晶薄膜を作製する技術を開発したとのこと。

(ニュース記事)
・産総研とKEK、新しいインクジェット印刷法による有機半導体単結晶薄膜の製造技術を開発(日経プレスリリース)
 http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=286184&lindID=1
・印刷法:有機半導体、吹き付け印刷新技術 常温で薄膜製造、産総研など開発 - 毎日jp(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/select/science/news/20110714dde041040095000c.html
・時事ドットコム:高性能の膜型トランジスタ開発=世界初、曲がるテレビに期待−産総研
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011071400033

(産総研のサイト内ページ)
・産総研:新しいインクジェット印刷法による有機半導体単結晶薄膜の製造技術
 http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110714/pr20110714.html

(学術誌「Nature」のサイト内ページ)
・nkjet printing of single-crystal films : Nature : Nature Publishing Group
 http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature10313.html

上記URL先ページによると、研究の概要は

・背景:
 「プリンタブルエレクトロニクス」技術は、紙への印刷技術を応用し、シート上にμmレベルの微細電子回路を描画形成するものである。
 この技術の実用化により、
 ・真空成膜技術とリソグラフィーに代わって採用することで、大型電子機器(ディスプレー等)の製造において、大規模真空設備(電力消費が大きい)が不要となる。
 ・プラスチックシートの採用により、軽量・薄型・丈夫なフレキシブルデバイスが実現できる。
 とのメリットの実現が期待されている。
 しかし他方で、この技術で作製する「薄膜トランジスタ(TFT)」(大面積電子機器(ディスプレー等)に必須の素子)においては、大幅な性能向上が必須となっている。
 具体的には、従来の「インクジェット印刷法」では、吹き付ける水滴内にムラが生じるため、形成される半導体の膜が不均一になってしまうことから、
 ・印刷法によりシート上に塗布したミクロ液滴から、均質性の高い半導体層を形成する方法の確立
 が、主要な課題となっている。
 (半導体は、原子・分子が規則正しく配列を成すことで、初めてその性能を発揮する)

・開発した手法:
 ・有機半導体を溶解させたインク
 ・有機半導体の結晶化を促すインク
 の2種のインクを、ミクロ液滴として交互に印刷する手法(ダブルショットインクジェット印刷法)を開発。
 この方法では、インクの吹き付け後に、水滴表面に半導体が浮かび上がることで、均一な厚さでの膜形成が実現される。
 これにより、分子レベルで平坦な有機半導体単結晶薄膜の作製に成功した。

・研究成果:
 ・上記技術によって作製された有機TFTは、「移動度」(電場下における荷電粒子の平均移動速度)で最高31.3cm2/Vsを達成した。
  (これは、現在の液晶ディスプレーのアモルファスシリコンTFTを大幅に超える数値。
   また、従来のインクジェット印刷法で作製した有機TFTの100倍以上であり、有機TFTとしては世界最高性能)
 ・薄膜の単結晶性は、「大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)」の施設で確認されている。
 ・薄膜の厚みは、最小で30nmを達成。

・期待されるメリット:
 ・常温・常圧でTFTを製造できる。
  このため、プラスチック基板の使用が可能となる。
 ・産総研などが開発した金属配線を薄膜に印刷する技術と複合することで、高性能・軽量・薄型の
  ・電子書籍
  ・太陽電池
  ・曲げられるディスプレー
  等を製造できる。
  (直ぐに産業に応用可能とのこと)

等となっています。

また2つ目の記事では、産総研フレキシブルエレクトロニクス研究センターの副研究センター長の方の

・「常温・常圧で製造でき、製造時の電力やコストを大幅に削減できる」

とのコメントが紹介されています。


単に画期的な新技術の開発というだけでなく、製造条件が緩くなり、また産業に直ぐに応用できるという点が、非常に魅力的だと感じます。

太陽電池製造に用いられる場合にどのような効果をもたらすことになるのか、個人的には非常に楽しみです。


※参考サイト・ページ
・[1]AIST: 産業技術総合研究所
 http://www.aist.go.jp/
posted by 管理人 at 20:10 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2011年06月28日

岡山大とベネッセHDが「グリーンフェライト」による太陽電池開発で連携協定を締結、2,000万円の資金提供により2013年の実用化を目指す

岡山大学
ベネッセホールディングス

の2者が6月27日、岡山大が知的財産権を保有する酸化鉄化合物「グリーンフェライト(GF)」を用いての次世代型太陽電池の開発に向け、連携協定を締結したとのこと。

(ニュース記事)
・次世代太陽電池の研究を加速 岡山大とベネッセが協定 - 山陽新聞地域ニュース
 http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2011062712531355/

上記URL先ページによると、今回の提携の概要は、

・研究・開発の体制:
 ・岡山大学大学院自然科学研究科の池田直教授(放射光科学)のグループが進める。
  ベネッセ社からの資金により、専従スタッフを獲得する。
 ・研究成果をオープンなものとするため、2012年にも管理企業を設立する方針。
 ・将来的には、岡山県内企業によるEV試作プロジェクト(2011年6月上旬に始動)との連携も視野に入れる。

・開発の予定・目標:
 ・2011年末までに試作品1cm角程度)を作成する。
 ・実用化は、2013年までの実現を目指す。

・資金:
 ベネッセ社が、3年間で計2,000万円を提供する。

等となっています。

またニュース記事では、

(岡山大学の森田学長)
・「岡山大にとって大きなチャンス。
  研究成果を社会に早く還元する」

(ベネッセHDの福武会長)
・「協定をきっかけに幅広い分野で協力したい」

とのコメントが紹介されています。


GFを用いる太陽電池の研究開発においては、目標の1つとして数百円/m2の製造コストの実現が挙げられているので、提携の締結により、実用化に向けて取り組みが加速されることを強く期待したいです。


※参考サイト・ページ
・[1]国立大学法人 岡山大学
 http://www.okayama-u.ac.jp/
・[2]岡山大学 大学院自然科学研究科
 http://www.gnst.okayama-u.ac.jp/
・[3]岡山大学 研究者詳細 - 池田 直
 http://soran.cc.okayama-u.ac.jp/view?l=ja&u=1f3689181a4bb98974506e4da22f6611&n=%E6%B1%A0%E7%94%B0%E3%80%80%E7%9B%B4&sm=name&sl=ja&sp=1
・[4]Research Center for New Functional Materials for Energy production, Storage, and Transport - Okayama University(※「Green Ferrite」に関する若干の記述有り)
 http://www.okayama-u.ac.jp/en/tp/cooperation/en_RCenter_for_NFM.html
・[5]株式会社ベネッセホールディングス | Benesse Holdings, Inc
 http://www.benesse-hd.co.jp/ja/
・[6]岡山大学とベネッセホールディングスとの次世代型環境技術研究に関する協定 | 株式会社ベネッセホールディングス
 http://blog.benesse.ne.jp/pr/blog/ja/other/2011/06/27_186.html
posted by 管理人 at 11:48 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2011年06月23日

岡山大学とベネッセHDが、酸化鉄化合物「グリーンフェライト」(光吸収率がシリコンの100〜1,000倍)を用いる次世代型太陽電池の開発で連携予定

岡山大学
ベネッセホールディングス

の2者が、酸化鉄化合物「グリーンフェライト(GF)」を用いる次世代型太陽電池の開発を目的として、6月27日に連携協定を結ぶ予定とのこと。

(ニュース記事)
・次世代型太陽電池の実用化を加速 岡山大とベネッセが連携協定 - 山陽新聞地域ニュース
 http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2011062123313071/

上記URL先ページによると、取り組みの概要は、

・目的:
 安価で発電効率が高い太陽電池の実用化研究を加速する。

・背景:
 ・岡山大学が商標登録している酸化鉄化合物「グリーンフェライト(GF)」は、
  ・光吸収率は、既存のシリコン製太陽電池素材の100〜1,000倍に達する。
   (雨天時・夜間の太陽光発電も期待される)
  ・粉末状で薄く延ばせる。
   (住宅の外壁・屋根等の広範囲に塗布することで、既存の太陽電池パネルより発電量の拡大が見込まれる)
  との特徴を持つ。
 ・岡山大学大学院自然科学研究科の池田直教授(放射光科学)のグループが現在、GFを用いた太陽電池の研究開発に取り組んでいる。

・方針:
 ・ベネッセでは、実用化研究を支援するための資金提供を予定している。
 ・研究グループでは将来的に、GFが含むレアアースの代わりに、比較的安価な「イットリウム」を用いることを計画している。
  ・「1平方メートル当たり数百円という世界でも類を見ない安価な製造コストを目指す」(池田教授)

等となっています。


記事を読む限り、「グリーンフェライト」は太陽光発電において相当な可能性を持つ素材と見受けられるので、岡山大学のサイト[1]〜[4]で殆ど情報を見つけることができないのは残念でした。

本当に驚異的な低コストを実現できるのか、今後の研究動向と情報公開に期待したいところです。


※参考サイト・ページ
・[1]国立大学法人 岡山大学
 http://www.okayama-u.ac.jp/
・[2]岡山大学 大学院自然科学研究科
 http://www.gnst.okayama-u.ac.jp/
・[3]岡山大学 研究者詳細 - 池田 直
 http://soran.cc.okayama-u.ac.jp/view?l=ja&u=1f3689181a4bb98974506e4da22f6611&n=%E6%B1%A0%E7%94%B0%E3%80%80%E7%9B%B4&sm=name&sl=ja&sp=1
・[4]Research Center for New Functional Materials for Energy production, Storage, and Transport - Okayama University(※「Green Ferrite」に関する若干の記述有り)
 http://www.okayama-u.ac.jp/en/tp/cooperation/en_RCenter_for_NFM.html
・[5]株式会社ベネッセホールディングス | Benesse Holdings, Inc
 http://www.benesse-hd.co.jp/ja/
・[6]フェライト (磁性材料) - Wikipedia
posted by 管理人 at 12:03 | Comment(0) | 研究・開発の動向

2011年06月21日

富士フイルムと産総研が、高い耐熱性・絶縁性を備えるフレキシブルCIGS太陽電池用基板を共同開発

富士フイルムが、高い耐熱性・絶縁性を備えるフレキシブルCIGS太陽電池用基板を開発し、更に同基板を用いた高変換効率のCIGS太陽電池を、産業技術総合研究所と共同で開発したとのこと。

(ニュース記事)
・富士フイルム、高い耐熱性・絶縁性を両立した「フレキシブルCIGS太陽電池用基板」を開発
 http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=283834&lindID=4
・高い耐熱性・絶縁性を両立した「フレキシブルCIGS太陽電池用基板」を新開発フレキシブルCIGS太陽電池(*1)サブモジュール(*2)で15%の光電変換効率を達成 | 富士フイルム株式会社 | News2u.net
 http://www.news2u.net/releases/86563

(各者のサイト内ページ)
・太陽電池の軽量化・高効率化を実現可能に! 高い耐熱性・絶縁性を両立した「フレキシブルCIGS太陽電池用基板」を新開発 : ニュースリリース | 富士フイルム
 http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0520.html
・産総研:金属箔を基板に用いた高効率フレキシブルCIGS太陽電池
 http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110620/pr20110620.html

上記URL先ページによると、今回の技術の概要は、

・背景:
 CIGS太陽電池は、多様な太陽電池の中でも
 ・光電変換効率が高い
 ・生産性に優れる
 等の特長を持っている。
 これらの特長を生かし、各研究機関や企業では現在、
 ・フレキシブル基板の採用による軽量化
 ・ロール・ツー・ロール製造による、低コストでの量産化
 等を狙った開発が活発化している。
 しかし他方で、CIGS太陽電池においては、
 ・光電変換層の成膜高温500度超)が必要となるため、樹脂基盤(ポリイミド等)では高い変換効率が実現できない。
 ・導電性基板(ステンレス等)を用いる場合、太陽電池を直列接続するために、
  ・基板の裁断
  ・導線による配線
  等、複雑な製造プロセスが必要となるため、コスト低減に課題がある。
 といった問題点が有る。

・開発:
 ・富士フイルムでは、
  ・アルミニウムステンレス(SUS)の合板基材
  ・アルミ表面への絶縁層の形成技術
   (自社のオフセット印刷用刷版材料「CTP版」の製造に用いる「アルミ陽極酸化法」を応用)
  を用いたフレキシブル基板を開発。
  この基板は、下記のような特徴を持つ。
  ・高い製膜温度(500度超)への耐熱性と、高い絶縁性を両立できる。
  ・アルミ(線膨張係数が大きい)とSUSの組み合わせにより、線膨張係数を光電変換層に合わせることに成功。
   これにより、成膜時の温度変化による光電変換層の歪み発生を抑制でき、高効率な太陽電池の作製が可能となる。
  ・陽極酸化法で形成した絶縁層が、
   ・界面密着性が良好
   ・局所欠陥(ピンホール等)が発生しにくい
   との特長を持つため、大面積化に適する。
  ・絶縁層の付与により、同一基板上で直列接続構造を持つ太陽電池を作製できる。
 ・富士フイルムと産総研は、上記のフレキシブル基板を用いて、高効率CIGS太陽電池の共同開発を行なった。
  具体的には、産総研が開発した、極薄(0.1μm)のケイ酸塩ガラス層Na含有)を基板上に形成する技術を応用して、光電変換効率で
  ・小面積のCIGS太陽電池:18.1
  ・複数の太陽電池を1枚の基板上で直列接続したサブモジュール:同15.0
  を達成した。
  (※CIGSを用いる光電変換層は、成膜中にNaを供給することで、特性が向上するとのこと(アルカリ効果))

等となっています。


高温への耐性に直列接続モジュール作成の容易さ、そして高い変換効率を同時に実現できることが、今回の技術の特徴、ということでしょうか。

記事や発表内容を読む限りでは、かなり画期的な技術と見受けられるので、今後の実用化の見通しが気になるところです。


※参考サイト・ページ
・[1]ホーム | 富士フイルム
 http://fujifilm.jp/
・[2]無処理サーマルCTP版材「PRO-T(国内名称ET-S)」 の開発
 http://www.fujifilm.co.jp/rd/report/rd052/pack/pdf/ff_rd052_008.pdf
・[3]AIST: 産業技術総合研究所
 http://www.aist.go.jp/index_ja.html
posted by 管理人 at 09:33 | Comment(0) | 研究・開発の動向