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2019年05月08日

神奈川県が住宅用太陽光発電の導入費用の回収見込み期間を提示、4kWの設備(約100万円)は10年

神奈川県が2019年4月26日に、

  • 太陽光発電設備の共同購入事業を開始する。
と発表していました[1]。

今回はこの事業の説明サイトの中[2][3]で示されている、住宅用太陽光発電の導入コスト等に関する数字をまとめてみました。


太陽光発電システムの導入費用 25万円/kW([2]より)
太陽光発電の発電コスト 25円/kWh([2]より)
※1kWの設備が年間約1000kWhを発電し、稼動期間を10年と仮定。
購入費用の回収年数の見込み 4kWの設備の場合、10。([3]より)
※試算の条件は、
  • 設備の導入価格:100万
  • 昼間の発電電力量のうち、30%を自家消費・70%を売電
  • 売電価格:24円/kWh(2019年度のFITでの価格)
  • 電力会社からの電気の購入価格:29円/kWh


経産省の調達価格等算定委員会では、2018年設置の住宅用のシステム費用は平均34.1万円/kWとされていました。

そのため、今回神奈川県が示している金額(約25万円/kW)の低さに驚きましたが、それだけ地域により導入費用の差が大きい、ということなのかもしれません。

そして現状の諸々の条件においても、約10年で導入費用を回収可能、という試算の結果にも驚かされました。

ここから共同購入により、導入費用を果たしてどの程度下げ得るものなのか、というのは非常に気になるところです。


※参照・参考資料:
[1]太陽光発電設備の共同購入事業がスタートします!(神奈川県、2019/4/26)
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/e3g/pub/images/r3882262.html
[2]買うとお得な太陽光発電(上記事業の説明サイト内)
https://www.chiikiminna.jp/solar/kanagawa/info/how-much-can-i-save
[3]購入費用の回収が可能!(同上)
https://www.chiikiminna.jp/solar/kanagawa/info/payback-period

2019年04月28日

中国製の「太陽電池部品」は韓国製より約10%安い、「朝鮮日報」の社説より

「朝鮮日報」の2019年4月25日の社説[1]の中で、

  • 中国製韓国製の太陽電池の価格差
に関する言及がありました。

具体的には、韓国内の再エネ市場の状況を解説する中で、

  • 中国製の太陽電池部品は国産品よりも約10%安い

との記述があります。



「太陽電池部品」がセルなのかモジュールなのかは不明ですが、仮にモジュールの段階で約1割の価格差、と考えると、韓国メーカー製品の価格競争力も、決して低くないように思われます。

日本市場ではハンファQセルズ社が近年、2017年度の1位など、モジュール出荷量のトップクラスに位置していますが、この価格競争力が大きな要因の一つになっているものと推測します。

こうなると現在、日本メーカー製モジュールと中国製・韓国製でどの程度の価格差となっているのかが、非常に気になるところです。


※参照・参考資料:
[1]【社説】中国メーカーに流れる韓国の太陽光発電補助金(朝鮮日報、2019/4/25)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/04/25/2019042580009.html

2019年01月23日

2018年設置のシステム費用の平均値は、事業用28.6万円/kW・住宅用34.1万円/kW(調達価格等算定委員会での提示)

経済産業省が2019年1月9日に、「第44回 調達価格等算定委員会」を開催していました。

今回はその資料[1]の中から、太陽光発電の「システム費用」(太陽電池パネル、パワコン、工事費など)に関する数値を抜き出してみました。(※p〜は参照ページ)


<2018年設置のシステム費用>

平均値前年比その他
事業用
(10kW以上)
(p21)
28.6万円/kW
(※中央値は27.4万円/kW)
1.4万円/kW(4.7%)の減 6年間(2012年比)で13.5万円/kW(32%)の減。(p9)
また平均値の内訳は、
  • 太陽光パネル:約50
  • 工事費:約20%
(p21)
住宅用(p28)新築32.2万円/kW
(※中央値は31.2万円/kW)
2.2万円/kW(6.4%)の減。 平均値の内訳は、
  • 太陽光パネル:約60
  • 工事費:約20%
(p28)
既築35.8万円/kW1.5万円/kWの減
全体34.1万円/kW2.0万円/kWの減 6年前(2012)から12.4万円/kW(27%)の減。(12p)

<価格目標>

事業用
(p9)
発電コストシステム費用の水準
14円/kWh20万円/kW
7円/kWh10万円/kW

住宅用
(p12)
売電価格システム費用の水準
家庭用電気料金並み30万円/kW
卸電力価格並み20万円/kW


システム費用は、事業用・住宅用の両方とも、6年間(2012年比)で3割前後の低減となっており、FIT開始後のコストダウンのスピードが伺えます。
また前年比の減少幅を見ると、コスト低下のペースは、まだまだ鈍っていない印象です。

システム費用の内訳では、太陽電池モジュールが半分超を占めており、海外で価格下落が急激に進んだとはいえ、やはり中心的な機器として、システム価格のカギを握っていることに変わりは無いようです。


価格目標との比較では、事業用が「14円/kWh」の必要水準にまだ距離がある一方で、住宅用が既に「家庭用電気料金並み」の必要水準にかなり近くなっているのが意外でした。

近年の太陽電池モジュール出荷量メーカーの業績発表などには、国内市場の縮小ぶりが強く現れていますが、いち消費者として今回の資料の数字を見ると、初期コストの低減によって太陽光発電の魅力が大きく高まっていることも感じます。

この状況が、需要の喚起・市場の活性化に少しでも繋がれば、と思うものです。


※参照・参考資料:
[1]資料2 平成31年度以降の調達価格等に関する意見(案)(経済産業省、2019/1/9)
http://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/044_02_00.pdf
(※「http://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/044.html」内)

※関連記事:

2018年11月19日

ハンファQセルズ社が英ロンドン市の住宅用PV普及策向けに太陽電池モジュールを供給、「一括購入」により1パッケージ(モジュール10枚)あたり約1400ポンドを削減

もう1ヵ月半ほど前になりますが、ハンファQセルズ社が2018年10月5日

  • 英「Solarcentury」社と提携し、ロンドン市による住宅用太陽光発電の普及促進策向けに、市場価格から平均35%引き太陽電池モジュールを供給した。
と発表していました[1]。
(※オリジナルの海外向けリリースは、更に2週間ほど前の2018年9月21日に発表)

その概要は次の通り。


背景 今回の英ロンドン市のプロジェクト「Solar Together London」は、エネルギー政策「Energy for Londoners Programme」の一環であり、同市における
  • 全土の電気代削減
  • 太陽光発電導入目標(2030年までに1GW)の実現に向けた加速
が目的である。
入札方式 最安価格の提案者を選択する「リバース・オークション制度」を用いた。
対象となる住宅保有者 市内自治区のうちブレント区・イーリング区・キングストン区・マートン区・サットン区に居住し、太陽光発電の屋根設置に関心を持つ600世帯
設置規模 計約1.5MWの見込み
採択された事業者 Solarcentury社とイケア社が共同。
提案したパッケージ ※モジュール以外のパワコン・架台などについては記述無し。
  • 太陽電池モジュール:
    Q.PEAK DUO-G5」ハーフセル太陽電池モジュールを10枚セット
  • コスト:
    モジュールの一括購入により、1400ポンドの削減に成功した。
    設置時のモジュール枚数に応じて、市場価格の10〜41%引き(平均35%引き)の価格が適用される予定。


オリジナルの英文リリースは約2ヶ月前と、かなり時間が経っている発表ではあります。

しかし、最近は太陽光発電に関する報道・発表じたいがめっきり少なくなっていること、また本件では具体的な規模や数字がある程度示されていることから、今回取り上げた次第です。


600世帯で1.5MW(1500kW)ということなので、単純計算では1世帯あたり2.5kW。

日本の平均(2013年度には既築住宅が4.81kW)を下回る規模なのが意外でしたが、景観への配慮(今回の採用モジュールは景観に調和するデザインとのこと)と、既築住宅の屋根強度を考慮して、無理の無い規模にしているものと想像します。


また、団体購入による1パッケージの削減コスト(約1400ポンド)は、日本円で約20万円(2018/11/18時点で1ポンド=約145円[3])。

実際の設備設置における正確な適用は不明ですが、仮に2.5kWでこの値引き額とすれば、10年前(2008年度)の日本の住宅向け導入補助金(1kWあたり7万円)さえも上回る金額であり、団体購入による値引きの威力に驚かされます。

日本では住宅用のモジュール出荷量も減少が著しい状況ですが、たとえFITの買取価格が下がっているとしても、政府または自治体が積極姿勢で「Solar Together London」のような施策を講じれば、住宅用太陽光発電の導入促進はまだまだ可能なのではないでしょうか。


※参照・参考資料:
[1]ハンファQセルズ、 ロンドンの1.5MW住宅用太陽光発電プロジェクトで 「ソーラーセンチュリー社」と提携(ハンファQセルズ社、2018/10/5)
http://www.hanwha-japan.com/news/news-letter/2018/1005/
[2]Solar Together London(ロンドン市)
https://www.london.gov.uk/what-we-do/environment/energy/solar-together-london
[3]イギリス ポンド(Yahoo!ファイナンス)
https://m.finance.yahoo.co.jp/stock?code=GBPJPY=X

2018年05月05日

産業用太陽光発電の直流1500V化でストリング数は30%減・BOSコストは平均37%減、Trina Solar社は次は「直流2000V」と予想

今回は日経XTECHの記事[1]から、Trina Solar社が2018年3月開催のイベントで発表した、太陽光発電設備の直流回路の高電圧化にまつわる数字などを、抜き出してみました。


<直流1500V化による効果>

太陽電池モジュール60枚あたりで見た数字。

  • ストリングの数:従来比30%減
  • BOSコスト:平均37%減
    項目別では、
    • 機器(接続箱など)の削減:12%減
    • 電線の総延長の短縮:22%減
    • 労務費の削減(施工時間の短縮による):10%減

<Trina Solar社の方針・見通し>

  • 産業用のシステム提案において、まずは、導入の始まっている直流回路1500V化普及を加速する。
  • 更に次の方向性として、「直流2000V」対応の機種が製品化され、メガソーラーの高電圧化がさらに進むとみている。


記事[1]では、1500V化での比較対象は記載されていませんが、一つ前の世代?の1000Vと思われます。


直流1500V化に関する当ブログでのチェックを振り返ると、まずFirst Solar社とGE社が、直流1500Vの太陽光発電所開発で提携したのが、約4年前の2014年3月でした。

ただし機器メーカーでは、2017年7月に東芝三菱電機産業システムが、米国市場向けのパワコン「SOLAR WARE 3200」を発売

また同年11月には、SMK社が太陽電池モジュール用コネクタ「PV-05シリーズ」を発表と、直流1500V化の本格推進は、かなり最近に(昨年から?)始まった印象を受けていました。

その点で、今回の記事[1]での「導入の始まっている直流回路1500V化」という記述は、合点の行くものでした。


そして、1500V化によるBOSのコストダウンの効果が、かなり大きいことに驚かされました。

最近の太陽光発電の急速なコストダウンは、2016年に発生した、中国メーカーによる太陽電池モジュールの供給過剰が原因と思っていましたが、どうやらそれだけでは無かったようです。

単純に太陽電池メーカーの極度な負担増によって、太陽光発電のコストダウンが支えられているということでは無い、という意味では、少し安堵しました。


そして今後も、直流回路の高電圧化が更に進むのならば、それに伴ってメガソーラーのコストダウンの余地も拡大していくと考えられます。

大規模事業用(utility-scale)の太陽光発電においては、発電電力のコスト・設備導入のコストの両方とも低下が著しく進みましたが、ここから更にどこまでコストダウンが進み得るのか、楽しみになりました。


※参照・参考資料:
[1]太陽光の直流回路、「2000V」も視野、中国トリナ・ソーラーが展望(日経XTECH、2018/5/2)
http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/news/16/050211063/

※関連記事:

2018年02月20日

IRENA発表のレポートで、2017年の発電電力のコスト(事業規模、2010年比)は通常の太陽光発電が73%減、いっぽうCSPは33%減

1ヶ月以上前になりますが、IRENA(International Renewable Energy Agency)が2018年1月13日に、再エネ発電のコストに関するレポートを発表していました[1][2]。

今回はその中から、事業規模(utility-scale)

  • 太陽光発電(solar PV)
  • CSP(Concentrating solar power)
に関する実績数値をまとめてみました。


<太陽光発電>

※発電電力のコストはExecutive Summary([2]内にリンクあり)のp4・p5から、導入コストは同p11から。

2010年2017
発電電力のコスト 0.36ドル/kWh 0.10ドル/kWh(2010年から73%)
設備の導入コスト 4394ドル/kW 1388ドル/kW(同68%)

<CSP>

※参照ページは前項と同じ。

2010年2017
発電電力のコスト 0.33ドル/kWh 0.22ドル/kWh(2010年から33%)
設備の導入コスト 7583ドル/kW 5564ドル/kW(同27%)

<その他>

※Executive Summaryのp4から。

  • 太陽電池モジュールのコスト:2017は、2009年から81

「CSP」については、当初は「集光型太陽光発電」を指すと思っていましたが、考えてみると「太陽熱発電」もあります。

しかし[1][2]では、その点について詳しい説明が無く、判断が付かないので、当記事では曖昧に「CSP」の表記のままとしました。


ともかく、太陽エネルギーによる発電のコストの下がり方は、他の再エネ(風力や地熱、バイオマス等)と比べても、群を抜いて急激です。

特に通常の太陽光発電は著しく、機器・設備(太陽電池モジュールやBoS)のコストダウンが、各国の政策(FIT等)や関連企業(太陽電池メーカー等)の努力を背景に、再エネの中でも(結果として)最も急進的に進んできたものと思われます。


いっぽうCSPのほうは、現時点ではコスト面のメリットは、通常のPVよりかなり劣るようです。

CSPは、発電効率の高さ等の長所を持つ筈ですが、設備・機能が複雑であることから、導入と運営管理のしやすさにおいては、(少なくとも現時点では)通常のPVにどうしても一歩譲るものと推測します。


とは言えいずれの発電方法も、コストダウンの勢い(グラフの右下がりの傾き度合い)に停滞感がみられないことには驚き、また将来性を強く感じるものです。

両者がどこまで低廉な発電方法となっていくのか、今後も期待を持って見ていきたいと思います。


※参照・参考資料:
[1]Onshore Wind Power Now as Affordable as Any Other Source, Solar to Halve by 2020(IRENA、2018/1/13)
http://www.irena.org/newsroom/pressreleases/2018/Jan/Onshore-Wind-Power-Now-as-Affordable-as-Any-Other-Source
[2]Renewable Power Generation Costs in 2017(同上)
http://www.irena.org/publications/2018/Jan/Renewable-power-generation-costs-in-2017
[3]太陽光発電の価格は2010〜2017年で73%減少、2020年以降は全ての再エネ技術が化石燃料より安価に(新電力ネット、2018/1/25)
https://pps-net.org/column/48460
[4]太陽光の発電コストは20年までに半減 化石燃料下回る(日本経済新聞、2018/1/17)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO25749260W8A110C1000000

2017年08月25日

米国で太陽電池モジュールのスポット価格が最大2割上昇、それでも値上がり前は35セント/W

1ヶ月近く前になりますが、Newsweekの記事[1]で、米国の太陽光発電市場の現状が報じられていました。

この中で、米国での太陽電池モジュール価格の変化についても書かれており、主な数値は次の通り。


  • スポット価格「ここ数週間」で、最大2割上昇した。
  • 価格高騰以前の平均水準:35セント/W


「ここ数週間」を仮に4週間(1ヶ月)とすると、記事[1]の日付(2017/7/31)から、35セント/Wは2017年6月頃の水準となります。

これを、過去の米国での太陽電池モジュール価格(※当ブログでチェックしていたもの)と一緒に並べると、下記のようになります。

価格
2009年 約4ドル/W
2013年 0.65ドル/W(4年で約84%減)
2016年3Q(7-9月) 中国製が0.47〜0.49ドル/W(約3年で約25〜28%減)
2017年6月ころ 0.35ドル/W(1年未満で約26〜29%減)
2017年7月 0.42ドル/W(上記から20%増として計算)

こうしてみると、2017年は8年前(2009年)の実に約1/10であり、値下がり幅の大きさには改めて驚かされます。


ただ思い返すと、2011年2012年頃には中国メーカーは軒並み赤字に陥っており、2012年には独Q-cells社が経営破綻

その翌2013年には、Suntech Powerの旗艦法人だった「無錫サンテック」が破産と、2009〜2013年での8割超もの値下がりは、製品の供給過剰によるメーカーの業績悪化と引き換えのものだったことが伺えます。

その後、2013年2QにはJinkoSolar社が中国メーカーで最初に黒字化し、他の中国メーカー(Trina Solar等)もそれに続いたことから、これが2013〜2016年のモジュール価格下落のペース鈍化と、対になっていたと推測されます。


そして2016年以降は、価格下落のペースが再び加速しており、その主因として中国メーカーの過剰生産品の流入が指摘されていますが、中国メーカーが一体どのような判断で生産量を決定しているのか(或いは、市場の需給を考慮しない雑な生産計画が許容される背景に何が有るのか)、というのは非常に気になるところです。


いっぽうで(モジュールのみでは無く)太陽光発電設備全体の初期コストに目を向けると、今年(2017年)の1Qには、米国内での大規模(utility-scale)発電事業で、1ドル/Wを下回った[2]とのこと。

新興国では、既にメキシコで1ドル/Wを下回るプロジェクトが立ち上がっており、また中国でも約1ドル/Wの発電所が稼動を開始済みではあります。

しかし、先進国の米国がそれらに近い水準になっているというのは、何とも不思議であり、それだけ(初期コストの大きな部分を占める)モジュール価格の昨年来の低下が、異常であることを表しているようにも思われます。


そして、国内の市場や産業に、これだけ(良い面でも悪い面でも)急激な変化を生じさせているとなれば、米ITCが結晶シリコン太陽電池へのセーフガードの必要性ありと判断する可能性は、高いと予想します。

ちなみに記事[1]では、トランプ大統領の判断に対する、太陽光発電業界での懸念が多く取り上げられていますが、そもそも中国製太陽電池への反ダンピング関税・相殺関税じたいは、オバマ政権時代の2012年に最初に決定されているので、大統領固有の思想・信条とは関係なく、決定・実行されるものと考えます。


※参照資料:
[1]アメリカの太陽発電ブーム、「トランプ関税」で終焉迎える?(Newsweek、2017/7/31)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8098.php
[2]U.S. Solar Market Adds 2 Gigawatts of PV in Q1 2017(米SEIA、2017/6/6)
http://www.seia.org/news/us-solar-market-adds-2-gigawatts-pv-q1-2017

※関連記事:

2017年08月04日

中国「Panda Green Energy」社が「Panda Power Plant」第1号の第1フェイズ分(50MW)を完成、投資額は3億5000万元

1ヶ月以上前になりますが、中国の「Panda Green Energy」社が2017年6月29日に、

  • 中国国内で、世界最初の「Panda Power Plant」を系統連係し、試運転を開始した。
と発表していました[1]。

今回は、関連する発表[2]や報道[3][4]と合わせて、発電所に関する主な情報を抜き出してみました。


名称 「Datong Panda Power Plant」
場所 山西省の大同(Datong)市
特徴 色調の異なる太陽電池モジュールを用いて、動物の「パンダ」を描いている。
(これは米国で学んでいる中国人の高校生が、最初の案を出した。)
プロジェクトの背景
  • Panda Power Plant」を巡る経緯:
    • 2016年5月:
      Panda Green Energy社が、「Panda Power Plant」の建設を正式に提案。
    • 同年9月1日:
      UNDP(国連開発計画)との間で、協力協定を結んだ。
    • 同年11月20日:
      最初のプロジェクトである「Datong Panda Power Plant」が公式に立ち上げ。
    • 2017年5月14日:
      北京での「一帯一路(the Belt and Road)」フォーラムで、中国政府と国連が署名し、「Panda Power Plant」が一帯一路における共同建設の行動計画に組み込まれた。
  • Panda Green Energy社は「Panda 100 Program」を立てており、今後5年間で「一帯一路」沿いの国・地域に「Panda Power Plant」を建設していく計画。
発電容量 50MW
(※今回は第1フェイズ分。
  プロジェクト全体では100MWの予定)
発電電力量 全100MWが完成した場合、25年間で32億kWhを見込んでいる。
投資額 3億5000万元(5200万ドル)[4]
太陽電池モジュール 下記の種類を用いている。
  • N型両面モジュール
  • 片面の高効率結晶シリコンモジュール
  • 米First Solar社の薄膜型モジュール
参加企業 Panda Green Energy社は「New Energy Dream Team」を結成しており、これには下記のような企業が含まれる。
  • Huawei
  • Jolywood New Energy
  • LONGI New Energy
  • Sungrow
  • 米First Solar社
  • 米SunPoer社


今回の大同市の太陽光発電所については、先月(7月)にはネット上の多くのメディアで取り上げられており、やはり太陽電池モジュールでパンダを描いたということが、大きなインパクトを与えたことが感じられました。

太陽光発電所というと、個人的には正直なところ、モジュールをはじめとする設備自体は「無機質で無味乾燥」というイメージが非常に強いです。

それだけに、上空からの外観に親しみやすい意匠性を持たせよう、というアイディアは勿論のこと、更に(机上の案だけでなく)実際にかたちにしたことには、やはり非常に大きな意味があると考えます。

ただ、飛行機などで上空から眺めない限り、パンダを見ることができないのは、難点と言えば難点かもしれませんが。


その一方で、個人的に最も目を引かれたのは、建設コストです。

ロイターの記事[4]からは、50MWで3億5000万元(5200万ドル)を要した、と読み取れますが、これは1MWあたりだと104万ドル。(1ドル=110円とすると、1億1440万円)

他国では既に、これを更に下回る事例(メキシコの「Villanueva太陽光発電所」(計754MWDC、約86万ドル/MW)もありますが、それでも1MWあたり1億円ちょっとで済ませていることには、強く驚かされます。

これに関することとして、発表[2]に掲載されている写真では、一本足の架台を用いていることが伺えます。

「Datong Panda Power Plant」の設置場所である大同市は、冬が非常に乾燥した(降水量が殆ど無い)気候[5]とのことであり、この点は設備コストの低減にかなり有利に働いたものと想像します。


「Panda Power Plant」が国連に認められたのは、デザインのユニークさだけでなく、(新興国での建設にメリットがあるだけの)経済的な合理性も、高く評価されたものと推測します。

それでもロイターの記事[4]から、建設資金の調達は今後の継続的な課題になるとみられますが、幅広い「一帯一路」の対象地域[6]において、「Panda Power Plant」の建設が計画通りに続いていくことを、期待したいと思います。


※参照資料:
[1]The World’s First Panda Power Plant Officially Connected to Grid(Panda Green Energy社、2017/6/29付)
http://www.pandagreen.com/en/news-events/press-releases/detail/article/the-worlds-first-panda-power-plant-officially-connected-to-grid
[2]Panda Power Plant Raising Widespread Attention, Leading the Youth to Address Environmental Protection Issues(同上、2017/7/25付)
http://www.pandagreen.com/en/news-events/press-releases/detail/article/panda-power-plant-raising-widespread-attention-leading-the-youth-to-address-environmental-protectio
[3]中国山西省の「巨大パンダ」、実は50MWの太陽光パネル(日本経済新聞、2017/7/19付)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO18961350Y7A710C1000000/
[4]中国のエネルギー会社、世界で「パンダ発電所」100カ所実現目指す(ロイター、2017/7/26付)
https://jp.reuters.com/article/panda-green-power-idJPKBN1AA105
[5]Climate(Wikipedia「Datong」内)
[6]一帯一路(ウィキペディア)

2017年06月26日

印「Sterling and Wilson」社が1177MWpの太陽光発電所のEPCとO&Mを受注、独自の設計技術などが入札額(2.42米セント/kWh)に寄与

太陽光発電のEPCなどを手がけている、インドの「Sterling and Wilson」社が2017年6月19日に、

  • アブダビにおける太陽光発電プロジェクト(1177MWp)の、ターンキーEPC(設計・調達・建設)とO&M(運営&保守)を受注した。
と発表していました[1][2]。

ここではその内容と、同社のサイト[3]から、主な情報を抜き出してみました。


<発電所について>

建設場所 アブダビ首長国のスワイハン
発電所の面積 7.8km2(砂漠地帯)
発電容量 1177MWp
19万5000世帯に電力を供給し、
CO2排出量を約700万t/年、削減できる見込み。
着工〜系統連系までの期間 23ヶ月の予定(※既に着工済み)
入札額 2.42米セント/kWh
太陽光発電で「過去最安」とのこと。
  • 設備費の低下
  • 高効率システム設計
    (プラントの出力と性能を
    • 独自の設計製品
    • 最先端のロボット技術
    により最適化)
を、実現の最大の要因としている。
共同開発者
  • 日本の丸紅
  • JinkoSolar社
  • アブダビ水電力省(ADWEA)
  • Sterling and Wilson社

<Sterling and Wilson社の事業規模>

太陽光発電のEPCへの参入 2010年[3]
太陽光発電所の実績 1400MW強
「米国・中国以外では、世界最大のEPC企業」とのこと。
3000人超の
  • エンジニア
  • プロジェクトマネジャー
  • 設計者
を擁している。
プロジェクトの実行能力
(※再エネ分野全体)
3000MW以上


丸紅とJinkoSolarにより本事業が落札されたこと自体は、3ヶ月前(今年3月)に発表されていました。

しかし、脅威の落札額(2.42米セント/kWh)を実現できた背景については、全く記述されていなかったので、EPC担当企業による今回の発表は、興味深いものです。

太陽電池モジュールの価格低下は、他の事業者もそう変わらない条件の筈なので、完成までの期間の短さも考えると、今回は機器の価格低下以外の要素(システム設計の合理性の高さ等)が、他の入札参加者に勝つ決め手になったと推測します。


[3]を見ると、Sterling and Wilson社がこれまで手がけてきた太陽光発電プロジェクトは、殆どが新興国の地域(アジア、中東、アフリカ、南米)。

また同社自体もインドの発祥であり、新興国におけるコスト低減の要望に応えるだけの、能力を培ってきたことが推測されます。

同社は、太陽光発電のEPCへの参入こそつい最近(2010年)ですが、設立は90年前(1927年[4])であり、電気関係(設計、建設など)で長く積み重ねてきた経験と実績が、太陽光発電分野での競争力にも大きく活かされているものと、想像します。


太陽電池モジュールの生産・出荷においては既に、中国メーカーが世界の上位を占めている状況ですが、Sterling and Wilsonのような企業が存在するとなると、今後は他の分野(EPC等)でも、新興国の企業がどんどん勢力を増してくる可能性があるのでは・・・と考えさせられます。


※参照資料:
[1]Sterling and Wilson scales new heights; gets awarded the world’s largest solar PV plant(Sterling and Wilson社)
http://sterlingandwilson.com/wp-content/uploads/2017/06/Sterling%20and%20Wilson%20scales%20new%20heights_%20gets%20awarded%20the%20world%E2%80%99s%20largest%20solar%20PV%20plant.pdf
[2]スターリング・アンド・ウィルソンが世界最大のソーラーPVプラントを受注し、新たな高みに到達(BusinessWire)
http://www.businesswire.com/news/home/20170622005718/ja
[3]Solar EPC Solutions(同上)
http://sterlingandwilson.com/offerings/solar-epc/
[4]Profile(同上)
http://sterlingandwilson.com/about-us/profile/

※関連記事:

2017年04月03日

伊Enel社がメキシコで「Villanueva太陽光発電所」(754MW)を建設開始、建設費用は1MWあたり約86万米ドル

イタリアのEnel社が2017年3月29日に、

  • メキシコで、754MWDCの「Villanueva太陽光発電所」を着工した。
と発表していました[1]。

概要は下記の通り。


<背景>

  • Enel社はメキシコでは現在、子会社EGPMを通じて
    • 風力:675MW
    • 水力:53MW
    の再エネ発電事業(計728MW)を運営している。
    また現在は他に、計530MWの再エネ発電プロジェクト(今回の件除く)が進行中。
  • 2016年3月には同国で、計約1GWの太陽光発電プロジェクト(今回の件含む)について
    • 15の電力供給契約
    等を獲得している。

<「Villanueva太陽光発電所」の概要>

建設場所 Coahuilaコアウイラ)州のViesca
発電容量 754MWDC
※2つのパークの合計。(建設は同時に開始)
※米州の太陽光発電所、またEnel社が世界で手がけるPVプロジェクトの中で、最大規模とのこと。
建設費用 6億5000万米ドルの見込み
発電電力量 年間1700GWhの見込み
スケジュール
  • 2017/3/29:建設開始
  • 2018年の後半:稼動開始の予定

ちょうど最近には

と、1GW超の太陽光発電プロジェクトが相次いで明らかになっています。

(規模はそれらに及びませんが)今回のメキシコのプロジェクトと合わせて、新興国においては太陽光発電所の大規模化が、一つのトレンドになりつつあると感じられます。

建設コストを見ると、1MWあたりでは単純計算で約86万ドル(1ドル=111円とすると約9600万円)であり、1億円を切っていることに驚きます。

また発電電力量(1700GWh/年)は、発電容量(0.754GW)×約2255と、日本での目安(発電容量×1000)の倍以上であり、メキシコが日本よりも段違いに、太陽光発電に有利な環境(日照時間など)であることが伺えます。

売電の契約額は記載されていませんが、上記の条件を考えると、新興国での昨年の最安値(チリで29.10ドル/MWh)を更に下回るものと想像します。

モジュール価格の急落と日照の豊富さによる、コスト面でのメリットを背景に、新興国での太陽光発電導入がこれからどうスピードアップしていくのかは、引き続き注目していきたいと思います。


※参照資料:
[1]ENEL BEGINS CONSTRUCTION OF THE AMERICAS’ LARGEST SOLAR PHOTOVOLTAIC PLANT(Enel社)
https://www.enelgreenpower.com/en/media/press/d201703-enel-begins-construction-of-the-americas-largest-solar-photovoltaic-plant.html
[2]伊電力エネル、メキシコの米州最大太陽光発電に720億円投資(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK30H05_Q7A330C1000000/
[3]地方行政区(ウィキペディア「メキシコ」内)
[4]コアウイラ州(ウィキペディア)