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2018年05月05日

産業用太陽光発電の直流1500V化でストリング数は30%減・BOSコストは平均37%減、Trina Solar社は次は「直流2000V」と予想

今回は日経XTECHの記事[1]から、Trina Solar社が2018年3月開催のイベントで発表した、太陽光発電設備の直流回路の高電圧化にまつわる数字などを、抜き出してみました。


<直流1500V化による効果>

太陽電池モジュール60枚あたりで見た数字。

  • ストリングの数:従来比30%減
  • BOSコスト:平均37%減
    項目別では、
    • 機器(接続箱など)の削減:12%減
    • 電線の総延長の短縮:22%減
    • 労務費の削減(施工時間の短縮による):10%減

<Trina Solar社の方針・見通し>

  • 産業用のシステム提案において、まずは、導入の始まっている直流回路1500V化普及を加速する。
  • 更に次の方向性として、「直流2000V」対応の機種が製品化され、メガソーラーの高電圧化がさらに進むとみている。


記事[1]では、1500V化での比較対象は記載されていませんが、一つ前の世代?の1000Vと思われます。


直流1500V化に関する当ブログでのチェックを振り返ると、まずFirst Solar社とGE社が、直流1500Vの太陽光発電所開発で提携したのが、約4年前の2014年3月でした。

ただし機器メーカーでは、2017年7月に東芝三菱電機産業システムが、米国市場向けのパワコン「SOLAR WARE 3200」を発売

また同年11月には、SMK社が太陽電池モジュール用コネクタ「PV-05シリーズ」を発表と、直流1500V化の本格推進は、かなり最近に(昨年から?)始まった印象を受けていました。

その点で、今回の記事[1]での「導入の始まっている直流回路1500V化」という記述は、合点の行くものでした。


そして、1500V化によるBOSのコストダウンの効果が、かなり大きいことに驚かされました。

最近の太陽光発電の急速なコストダウンは、2016年に発生した、中国メーカーによる太陽電池モジュールの供給過剰が原因と思っていましたが、どうやらそれだけでは無かったようです。

単純に太陽電池メーカーの極度な負担増によって、太陽光発電のコストダウンが支えられているということでは無い、という意味では、少し安堵しました。


そして今後も、直流回路の高電圧化が更に進むのならば、それに伴ってメガソーラーのコストダウンの余地も拡大していくと考えられます。

大規模事業用(utility-scale)の太陽光発電においては、発電電力のコスト・設備導入のコストの両方とも低下が著しく進みましたが、ここから更にどこまでコストダウンが進み得るのか、楽しみになりました。


※参照・参考資料:
[1]太陽光の直流回路、「2000V」も視野、中国トリナ・ソーラーが展望(日経XTECH、2018/5/2)
http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/news/16/050211063/

※関連記事:

2018年02月20日

IRENA発表のレポートで、2017年の発電電力のコスト(事業規模、2010年比)は通常の太陽光発電が73%減、いっぽうCSPは33%減

1ヶ月以上前になりますが、IRENA(International Renewable Energy Agency)が2018年1月13日に、再エネ発電のコストに関するレポートを発表していました[1][2]。

今回はその中から、事業規模(utility-scale)

  • 太陽光発電(solar PV)
  • CSP(Concentrating solar power)
に関する実績数値をまとめてみました。


<太陽光発電>

※発電電力のコストはExecutive Summary([2]内にリンクあり)のp4・p5から、導入コストは同p11から。

2010年2017
発電電力のコスト 0.36ドル/kWh 0.10ドル/kWh(2010年から73%)
設備の導入コスト 4394ドル/kW 1388ドル/kW(同68%)

<CSP>

※参照ページは前項と同じ。

2010年2017
発電電力のコスト 0.33ドル/kWh 0.22ドル/kWh(2010年から33%)
設備の導入コスト 7583ドル/kW 5564ドル/kW(同27%)

<その他>

※Executive Summaryのp4から。

  • 太陽電池モジュールのコスト:2017は、2009年から81

「CSP」については、当初は「集光型太陽光発電」を指すと思っていましたが、考えてみると「太陽熱発電」もあります。

しかし[1][2]では、その点について詳しい説明が無く、判断が付かないので、当記事では曖昧に「CSP」の表記のままとしました。


ともかく、太陽エネルギーによる発電のコストの下がり方は、他の再エネ(風力や地熱、バイオマス等)と比べても、群を抜いて急激です。

特に通常の太陽光発電は著しく、機器・設備(太陽電池モジュールやBoS)のコストダウンが、各国の政策(FIT等)や関連企業(太陽電池メーカー等)の努力を背景に、再エネの中でも(結果として)最も急進的に進んできたものと思われます。


いっぽうCSPのほうは、現時点ではコスト面のメリットは、通常のPVよりかなり劣るようです。

CSPは、発電効率の高さ等の長所を持つ筈ですが、設備・機能が複雑であることから、導入と運営管理のしやすさにおいては、(少なくとも現時点では)通常のPVにどうしても一歩譲るものと推測します。


とは言えいずれの発電方法も、コストダウンの勢い(グラフの右下がりの傾き度合い)に停滞感がみられないことには驚き、また将来性を強く感じるものです。

両者がどこまで低廉な発電方法となっていくのか、今後も期待を持って見ていきたいと思います。


※参照・参考資料:
[1]Onshore Wind Power Now as Affordable as Any Other Source, Solar to Halve by 2020(IRENA、2018/1/13)
http://www.irena.org/newsroom/pressreleases/2018/Jan/Onshore-Wind-Power-Now-as-Affordable-as-Any-Other-Source
[2]Renewable Power Generation Costs in 2017(同上)
http://www.irena.org/publications/2018/Jan/Renewable-power-generation-costs-in-2017
[3]太陽光発電の価格は2010〜2017年で73%減少、2020年以降は全ての再エネ技術が化石燃料より安価に(新電力ネット、2018/1/25)
https://pps-net.org/column/48460
[4]太陽光の発電コストは20年までに半減 化石燃料下回る(日本経済新聞、2018/1/17)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO25749260W8A110C1000000

2017年08月25日

米国で太陽電池モジュールのスポット価格が最大2割上昇、それでも値上がり前は35セント/W

1ヶ月近く前になりますが、Newsweekの記事[1]で、米国の太陽光発電市場の現状が報じられていました。

この中で、米国での太陽電池モジュール価格の変化についても書かれており、主な数値は次の通り。


  • スポット価格「ここ数週間」で、最大2割上昇した。
  • 価格高騰以前の平均水準:35セント/W


「ここ数週間」を仮に4週間(1ヶ月)とすると、記事[1]の日付(2017/7/31)から、35セント/Wは2017年6月頃の水準となります。

これを、過去の米国での太陽電池モジュール価格(※当ブログでチェックしていたもの)と一緒に並べると、下記のようになります。

価格
2009年 約4ドル/W
2013年 0.65ドル/W(4年で約84%減)
2016年3Q(7-9月) 中国製が0.47〜0.49ドル/W(約3年で約25〜28%減)
2017年6月ころ 0.35ドル/W(1年未満で約26〜29%減)
2017年7月 0.42ドル/W(上記から20%増として計算)

こうしてみると、2017年は8年前(2009年)の実に約1/10であり、値下がり幅の大きさには改めて驚かされます。


ただ思い返すと、2011年2012年頃には中国メーカーは軒並み赤字に陥っており、2012年には独Q-cells社が経営破綻

その翌2013年には、Suntech Powerの旗艦法人だった「無錫サンテック」が破産と、2009〜2013年での8割超もの値下がりは、製品の供給過剰によるメーカーの業績悪化と引き換えのものだったことが伺えます。

その後、2013年2QにはJinkoSolar社が中国メーカーで最初に黒字化し、他の中国メーカー(Trina Solar等)もそれに続いたことから、これが2013〜2016年のモジュール価格下落のペース鈍化と、対になっていたと推測されます。


そして2016年以降は、価格下落のペースが再び加速しており、その主因として中国メーカーの過剰生産品の流入が指摘されていますが、中国メーカーが一体どのような判断で生産量を決定しているのか(或いは、市場の需給を考慮しない雑な生産計画が許容される背景に何が有るのか)、というのは非常に気になるところです。


いっぽうで(モジュールのみでは無く)太陽光発電設備全体の初期コストに目を向けると、今年(2017年)の1Qには、米国内での大規模(utility-scale)発電事業で、1ドル/Wを下回った[2]とのこと。

新興国では、既にメキシコで1ドル/Wを下回るプロジェクトが立ち上がっており、また中国でも約1ドル/Wの発電所が稼動を開始済みではあります。

しかし、先進国の米国がそれらに近い水準になっているというのは、何とも不思議であり、それだけ(初期コストの大きな部分を占める)モジュール価格の昨年来の低下が、異常であることを表しているようにも思われます。


そして、国内の市場や産業に、これだけ(良い面でも悪い面でも)急激な変化を生じさせているとなれば、米ITCが結晶シリコン太陽電池へのセーフガードの必要性ありと判断する可能性は、高いと予想します。

ちなみに記事[1]では、トランプ大統領の判断に対する、太陽光発電業界での懸念が多く取り上げられていますが、そもそも中国製太陽電池への反ダンピング関税・相殺関税じたいは、オバマ政権時代の2012年に最初に決定されているので、大統領固有の思想・信条とは関係なく、決定・実行されるものと考えます。


※参照資料:
[1]アメリカの太陽発電ブーム、「トランプ関税」で終焉迎える?(Newsweek、2017/7/31)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8098.php
[2]U.S. Solar Market Adds 2 Gigawatts of PV in Q1 2017(米SEIA、2017/6/6)
http://www.seia.org/news/us-solar-market-adds-2-gigawatts-pv-q1-2017

※関連記事:

2017年08月04日

中国「Panda Green Energy」社が「Panda Power Plant」第1号の第1フェイズ分(50MW)を完成、投資額は3億5000万元

1ヶ月以上前になりますが、中国の「Panda Green Energy」社が2017年6月29日に、

  • 中国国内で、世界最初の「Panda Power Plant」を系統連係し、試運転を開始した。
と発表していました[1]。

今回は、関連する発表[2]や報道[3][4]と合わせて、発電所に関する主な情報を抜き出してみました。


名称 「Datong Panda Power Plant」
場所 山西省の大同(Datong)市
特徴 色調の異なる太陽電池モジュールを用いて、動物の「パンダ」を描いている。
(これは米国で学んでいる中国人の高校生が、最初の案を出した。)
プロジェクトの背景
  • Panda Power Plant」を巡る経緯:
    • 2016年5月:
      Panda Green Energy社が、「Panda Power Plant」の建設を正式に提案。
    • 同年9月1日:
      UNDP(国連開発計画)との間で、協力協定を結んだ。
    • 同年11月20日:
      最初のプロジェクトである「Datong Panda Power Plant」が公式に立ち上げ。
    • 2017年5月14日:
      北京での「一帯一路(the Belt and Road)」フォーラムで、中国政府と国連が署名し、「Panda Power Plant」が一帯一路における共同建設の行動計画に組み込まれた。
  • Panda Green Energy社は「Panda 100 Program」を立てており、今後5年間で「一帯一路」沿いの国・地域に「Panda Power Plant」を建設していく計画。
発電容量 50MW
(※今回は第1フェイズ分。
  プロジェクト全体では100MWの予定)
発電電力量 全100MWが完成した場合、25年間で32億kWhを見込んでいる。
投資額 3億5000万元(5200万ドル)[4]
太陽電池モジュール 下記の種類を用いている。
  • N型両面モジュール
  • 片面の高効率結晶シリコンモジュール
  • 米First Solar社の薄膜型モジュール
参加企業 Panda Green Energy社は「New Energy Dream Team」を結成しており、これには下記のような企業が含まれる。
  • Huawei
  • Jolywood New Energy
  • LONGI New Energy
  • Sungrow
  • 米First Solar社
  • 米SunPoer社


今回の大同市の太陽光発電所については、先月(7月)にはネット上の多くのメディアで取り上げられており、やはり太陽電池モジュールでパンダを描いたということが、大きなインパクトを与えたことが感じられました。

太陽光発電所というと、個人的には正直なところ、モジュールをはじめとする設備自体は「無機質で無味乾燥」というイメージが非常に強いです。

それだけに、上空からの外観に親しみやすい意匠性を持たせよう、というアイディアは勿論のこと、更に(机上の案だけでなく)実際にかたちにしたことには、やはり非常に大きな意味があると考えます。

ただ、飛行機などで上空から眺めない限り、パンダを見ることができないのは、難点と言えば難点かもしれませんが。


その一方で、個人的に最も目を引かれたのは、建設コストです。

ロイターの記事[4]からは、50MWで3億5000万元(5200万ドル)を要した、と読み取れますが、これは1MWあたりだと104万ドル。(1ドル=110円とすると、1億1440万円)

他国では既に、これを更に下回る事例(メキシコの「Villanueva太陽光発電所」(計754MWDC、約86万ドル/MW)もありますが、それでも1MWあたり1億円ちょっとで済ませていることには、強く驚かされます。

これに関することとして、発表[2]に掲載されている写真では、一本足の架台を用いていることが伺えます。

「Datong Panda Power Plant」の設置場所である大同市は、冬が非常に乾燥した(降水量が殆ど無い)気候[5]とのことであり、この点は設備コストの低減にかなり有利に働いたものと想像します。


「Panda Power Plant」が国連に認められたのは、デザインのユニークさだけでなく、(新興国での建設にメリットがあるだけの)経済的な合理性も、高く評価されたものと推測します。

それでもロイターの記事[4]から、建設資金の調達は今後の継続的な課題になるとみられますが、幅広い「一帯一路」の対象地域[6]において、「Panda Power Plant」の建設が計画通りに続いていくことを、期待したいと思います。


※参照資料:
[1]The World’s First Panda Power Plant Officially Connected to Grid(Panda Green Energy社、2017/6/29付)
http://www.pandagreen.com/en/news-events/press-releases/detail/article/the-worlds-first-panda-power-plant-officially-connected-to-grid
[2]Panda Power Plant Raising Widespread Attention, Leading the Youth to Address Environmental Protection Issues(同上、2017/7/25付)
http://www.pandagreen.com/en/news-events/press-releases/detail/article/panda-power-plant-raising-widespread-attention-leading-the-youth-to-address-environmental-protectio
[3]中国山西省の「巨大パンダ」、実は50MWの太陽光パネル(日本経済新聞、2017/7/19付)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO18961350Y7A710C1000000/
[4]中国のエネルギー会社、世界で「パンダ発電所」100カ所実現目指す(ロイター、2017/7/26付)
https://jp.reuters.com/article/panda-green-power-idJPKBN1AA105
[5]Climate(Wikipedia「Datong」内)
[6]一帯一路(ウィキペディア)

2017年06月26日

印「Sterling and Wilson」社が1177MWpの太陽光発電所のEPCとO&Mを受注、独自の設計技術などが入札額(2.42米セント/kWh)に寄与

太陽光発電のEPCなどを手がけている、インドの「Sterling and Wilson」社が2017年6月19日に、

  • アブダビにおける太陽光発電プロジェクト(1177MWp)の、ターンキーEPC(設計・調達・建設)とO&M(運営&保守)を受注した。
と発表していました[1][2]。

ここではその内容と、同社のサイト[3]から、主な情報を抜き出してみました。


<発電所について>

建設場所 アブダビ首長国のスワイハン
発電所の面積 7.8km2(砂漠地帯)
発電容量 1177MWp
19万5000世帯に電力を供給し、
CO2排出量を約700万t/年、削減できる見込み。
着工〜系統連系までの期間 23ヶ月の予定(※既に着工済み)
入札額 2.42米セント/kWh
太陽光発電で「過去最安」とのこと。
  • 設備費の低下
  • 高効率システム設計
    (プラントの出力と性能を
    • 独自の設計製品
    • 最先端のロボット技術
    により最適化)
を、実現の最大の要因としている。
共同開発者
  • 日本の丸紅
  • JinkoSolar社
  • アブダビ水電力省(ADWEA)
  • Sterling and Wilson社

<Sterling and Wilson社の事業規模>

太陽光発電のEPCへの参入 2010年[3]
太陽光発電所の実績 1400MW強
「米国・中国以外では、世界最大のEPC企業」とのこと。
3000人超の
  • エンジニア
  • プロジェクトマネジャー
  • 設計者
を擁している。
プロジェクトの実行能力
(※再エネ分野全体)
3000MW以上


丸紅とJinkoSolarにより本事業が落札されたこと自体は、3ヶ月前(今年3月)に発表されていました。

しかし、脅威の落札額(2.42米セント/kWh)を実現できた背景については、全く記述されていなかったので、EPC担当企業による今回の発表は、興味深いものです。

太陽電池モジュールの価格低下は、他の事業者もそう変わらない条件の筈なので、完成までの期間の短さも考えると、今回は機器の価格低下以外の要素(システム設計の合理性の高さ等)が、他の入札参加者に勝つ決め手になったと推測します。


[3]を見ると、Sterling and Wilson社がこれまで手がけてきた太陽光発電プロジェクトは、殆どが新興国の地域(アジア、中東、アフリカ、南米)。

また同社自体もインドの発祥であり、新興国におけるコスト低減の要望に応えるだけの、能力を培ってきたことが推測されます。

同社は、太陽光発電のEPCへの参入こそつい最近(2010年)ですが、設立は90年前(1927年[4])であり、電気関係(設計、建設など)で長く積み重ねてきた経験と実績が、太陽光発電分野での競争力にも大きく活かされているものと、想像します。


太陽電池モジュールの生産・出荷においては既に、中国メーカーが世界の上位を占めている状況ですが、Sterling and Wilsonのような企業が存在するとなると、今後は他の分野(EPC等)でも、新興国の企業がどんどん勢力を増してくる可能性があるのでは・・・と考えさせられます。


※参照資料:
[1]Sterling and Wilson scales new heights; gets awarded the world’s largest solar PV plant(Sterling and Wilson社)
http://sterlingandwilson.com/wp-content/uploads/2017/06/Sterling%20and%20Wilson%20scales%20new%20heights_%20gets%20awarded%20the%20world%E2%80%99s%20largest%20solar%20PV%20plant.pdf
[2]スターリング・アンド・ウィルソンが世界最大のソーラーPVプラントを受注し、新たな高みに到達(BusinessWire)
http://www.businesswire.com/news/home/20170622005718/ja
[3]Solar EPC Solutions(同上)
http://sterlingandwilson.com/offerings/solar-epc/
[4]Profile(同上)
http://sterlingandwilson.com/about-us/profile/

※関連記事:

2017年04月03日

伊Enel社がメキシコで「Villanueva太陽光発電所」(754MW)を建設開始、建設費用は1MWあたり約86万米ドル

イタリアのEnel社が2017年3月29日に、

  • メキシコで、754MWDCの「Villanueva太陽光発電所」を着工した。
と発表していました[1]。

概要は下記の通り。


<背景>

  • Enel社はメキシコでは現在、子会社EGPMを通じて
    • 風力:675MW
    • 水力:53MW
    の再エネ発電事業(計728MW)を運営している。
    また現在は他に、計530MWの再エネ発電プロジェクト(今回の件除く)が進行中。
  • 2016年3月には同国で、計約1GWの太陽光発電プロジェクト(今回の件含む)について
    • 15の電力供給契約
    等を獲得している。

<「Villanueva太陽光発電所」の概要>

建設場所 Coahuilaコアウイラ)州のViesca
発電容量 754MWDC
※2つのパークの合計。(建設は同時に開始)
※米州の太陽光発電所、またEnel社が世界で手がけるPVプロジェクトの中で、最大規模とのこと。
建設費用 6億5000万米ドルの見込み
発電電力量 年間1700GWhの見込み
スケジュール
  • 2017/3/29:建設開始
  • 2018年の後半:稼動開始の予定

ちょうど最近には

と、1GW超の太陽光発電プロジェクトが相次いで明らかになっています。

(規模はそれらに及びませんが)今回のメキシコのプロジェクトと合わせて、新興国においては太陽光発電所の大規模化が、一つのトレンドになりつつあると感じられます。

建設コストを見ると、1MWあたりでは単純計算で約86万ドル(1ドル=111円とすると約9600万円)であり、1億円を切っていることに驚きます。

また発電電力量(1700GWh/年)は、発電容量(0.754GW)×約2255と、日本での目安(発電容量×1000)の倍以上であり、メキシコが日本よりも段違いに、太陽光発電に有利な環境(日照時間など)であることが伺えます。

売電の契約額は記載されていませんが、上記の条件を考えると、新興国での昨年の最安値(チリで29.10ドル/MWh)を更に下回るものと想像します。

モジュール価格の急落と日照の豊富さによる、コスト面でのメリットを背景に、新興国での太陽光発電導入がこれからどうスピードアップしていくのかは、引き続き注目していきたいと思います。


※参照資料:
[1]ENEL BEGINS CONSTRUCTION OF THE AMERICAS’ LARGEST SOLAR PHOTOVOLTAIC PLANT(Enel社)
https://www.enelgreenpower.com/en/media/press/d201703-enel-begins-construction-of-the-americas-largest-solar-photovoltaic-plant.html
[2]伊電力エネル、メキシコの米州最大太陽光発電に720億円投資(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK30H05_Q7A330C1000000/
[3]地方行政区(ウィキペディア「メキシコ」内)
[4]コアウイラ州(ウィキペディア)

2017年03月27日

トルコで1000MWの太陽光発電プロジェクトの入札が実施、売電価格6.99米セント/kWhでHanwha等のグループに決定

ニュース記事[1][2]で

  • トルコで、発電容量1000MWの太陽光発電所事業の入札が行われた。
と報じられていました。

概要は次の通り。
(※フォントの都合上、トルコ語の表記が不正確な箇所がありますが、ご容赦ください)


  • 事業の名称:Karapinar再生可能エネルギー資源エリア(YEKA-1
  • 建設場所:コンヤ県のKarapinar(カラプナール)
  • 入札の実施者:トルコのエネルギー天然資源省
  • 落札した事業者:「Kalyoncu」と「Hanwha」のグループ
    ※他の入札参加者(ジョイントベンチャー)は、
    • LimakとCMECとHareon Solar
    • CalikエナジーとSolargig
    • AKCソーラー
  • 提案された売電額6.99米セント/kWh
  • その他の条件
    • 現地事業の実施
      今回のプロジェクトでは同時に、年産500MW以上太陽電池モジュール工場が、トルコ国内に建設される。
      また、10年間の研究開発も行われる。
    • 現地調達率の目標
      太陽電池モジュールの現地調達率は、
      ・最初の500MW:60
      ・次の500MW:70
      としている。
  • 工期:21ヶ月
  • 発電電力量:約17億kWh/年の見込み

1GW超のプロジェクトと言えば、今月初めに発表されたアラブ首長国連邦での事業(1177MW)が記憶に新しく、それから一月経たずしての今回の報道には驚きました。

新興国において今後、1GW超の太陽光発電プロジェクトが他にも立ち上がってくるのかどうかは、注目したいところです。


入札に参加した企業名を検索したところ、「Kalyoncu」とAKCソーラーはそれらしい企業を見つけられませんでしたが、「Limak」[4]と「Calik Energy」[5]はトルコの大手企業とみられ、流石に単独で1GWという超巨大プロジェクトであることから、国内の大企業も積極的に入札に動いたことが伺えます。

他の企業については、Hareon Solar[6]とSolargig[7]は中国の太陽電池メーカーであり、CMECも同じく中国の商社[8]のことだと思われます。

今回の事業は、トルコ政府にとっても一大プロジェクトと思われますが、その入札に中国企業の参加が認められたということは、昨年から(ロシアを挟んで)芳しくなかったというトルコと中国の関係[9]も、今では大きな問題は無いのかもしれません。


ユニークに感じたのは、落札したKalyoncuとHanwhaによる事業計画には、(発電所の建設だけでなく)トルコ現地でのモジュール工場建設や、継続的な研究開発が含まれていることです。

入札条件の詳細は不明ですが、そのような現地事業を盛り込むこと(=トルコ国内の太陽光発電産業の発展に寄与すること)が、入札参加の条件に含まれていたと考えれば、価格競争力では最も優れる筈の中国企業(が参加したジョイントベンチャー)が単純には勝てなかったことも、納得が行きます。


売電額(6.99セント/kWh)は、他の新興国での最近の安値記録(2016年8月のチリ(2.91セント/kWh)や、先述のアラブ首長国連邦でのプロジェクト(2.42セント/kWh))の2倍以上ですが、この点は現地生産するモジュールを多く用いる予定であることが、影響しているものと推測します。

とはいえそれでも、現状で十分に安い金額であり、(昨年来の米国市場のように過剰生産で余ったモジュールではなく)現地生産のモジュール主体でこの額を提示していることは、大規模太陽光発電事業の今後の展開について、一つの示唆となるものと考えます。


最後に、ハンファQセルズはかつての合併時(2014/12)に、ドイツのタールハイムを研究開発の拠点とする旨を示していましたが、今回トルコに設置される予定の研究開発拠点が、同社にとってどのような関連や位置づけとなるのか、というのはちょっと気になるところです。


※参照資料:
[1]トルコ最大の太陽光発電所(「TRT」の記事)
http://www.trt.net.tr/japanese/jing-ji-bizinesu/2017/03/20/torukozui-da-notai-yang-guang-fa-dian-suo-695358
[2]Karapinar YEKA-1 GES ihalesini 6,99 USD cent/kwh ile Kalyon Hanwha grubu aldi(「Enerji Enstitusu」の記事)
http://enerjienstitusu.com/2017/03/20/karapinar-yeka-gunes-ihalesi-duzenlendi/
[3]Karapinar Yenilenebilir Enerji Kaynak Alani (YEKA-1) ihalesi icin 4 grup teklif verdi(同上)
http://enerjienstitusu.com/2017/03/15/karapinar-yenilenebilir-enerji-kaynak-alani-yeka-1-ihalesi-icin-4-grup-teklif-verdi/
[4]Limak Holding
http://www.limak.com.tr/anasayfa
[5]Calik Energy
http://www.calikenerji.com/
[6]会社概要(ハレオンソーラージャパン)
http://www.hareonsolar.co.jp/company.html
[7]Solargiga Energy Holdings Limited
http://www.solargiga.com/html/
[8]CMEC
http://www.cmecwuxi.com/en/index.html
[9]中国、対トルコ制裁措置発表――トルコ・ロシア危機を受け(SYNODOS)
http://synodos.jp/article/16371
[10]コンヤ県(ウィキペディア)

2017年01月09日

新興国における2016年の太陽光発電導入コストは平均165万ドル/MW、発電電力の価格はチリで29.10ドル/MWhを記録

Bloombergの記事(2016年12月15日付)[1]で、新興国における2016再エネ発電のコストが示されていました。

他の記事[2]と合わせて、その中から太陽光発電に関する主な数字を抜き出してみました。


  • 新しい太陽光発電設備の平均コスト
    「Bloomberg New Energy Finance」によるデータ、新興国58ヶ国が対象。
    • 2010年:552万ドル/MW
    • 2016年:165万ドル/MW
    (※管理人注:明記は無いが、導入コストと思われる。)
  • 太陽光発電による発電電力の安値記録
    民間企業が参加するオークションによる価格。
    • 2016年1月:インドで64ドル/MWh
    • 同8月:チリ29.10ドル/MWh
      ※石炭火力の約半額。

まずMWあたりの「平均コスト」が、2016年は1MWあたり2億円を切る水準であることに、強く驚かされました。

当ブログでチェックしてきた限り(また私が知る限り)では、日本国内で2016年に発表されたメガソーラー計画で、1MWあたり3億円を下回るケースは一つもありませんでした。

新興国と日本では、太陽光発電の導入に関わる条件(日照量、新規の発電設備に対する需要の強さ、電力価格の決定方法など)が大きく異なるとは思いますが、それを考えても、導入費用の低減において、大きく水を開けられてしまった印象です。


そして発電電力の価格についても、チリの29.10ドル/MWh(=約0.03ドル/kWh)は、驚異的な水準という他ありません。

記事[1]の本文では詳細が無いですが、記事の副題には

  • 「thanks to cheap panels」
との文言があり、中国メーカーを中心とする太陽電池モジュールの激しい価格競争が、初期費用や電力価格の想像以上の低減を支える大きな要因となっていることが、推測されます。

そう言えば、米First Solar社などによるザンビアでのプロジェクト(2016年6月発表)でも、発電コストは0.06ドル/kWhであり、新興国での大規模太陽光発電は、このような価格水準が当たり前になっているのかもしれません。


BNEFが関わるウェブサイト「Climatescope」の同日のプレスリリース[3]では、2016年の再エネ導入量は

  • 新興国:計69.8GW
  • OECD加盟国:計59.2GW
と、新興国が先進国を上回ったことが示されていますが、これだけ低コスト化が実際に進んでいるのであれば、発電設備が十分に無い地域において、再エネ(特に太陽光発電)が第一の選択肢となっていくことは、当然かと思われます。

ただし強く気になるのは、コストに関するこれらの記述において、電力需給の安定化に必要なコストについては、全く言及されていないことであり、今後はその点も、再エネの導入コスト・電力価格において、考慮に入れる必要が出てくるものと考えます。


※参照資料:
[1]World Energy Hits a Turning Point: Solar That's Cheaper Than Wind(「Bloomberg」の記事)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2016-12-15/world-energy-hits-a-turning-point-solar-that-s-cheaper-than-wind
[2]BNEF: 最も安価なエネルギー源は太陽光発電・単価は石炭火力の半額(「BusinessNewsline」の記事)
http://business.newsln.jp/news/201612171206200000.html
[3]Press Release: With new pledges and new projects, developing countries take clean energy lead globally(「Climatescope」のプレスリリース)
http://global-climatescope.org/en/blog/2016/12/15/Climatescope2016-launch/

米SEIAのレポート「Solar Market Insight 2016 Q4」で、2016年3QのUtilityのPPA価格は35〜60ドル/MWh、システム価格は住宅2.98ドル/W・非住宅2ドル/W未満

SEIA(Solar Energy Industries Association)が、20163Q2016/7-9)の米国太陽光発電市場に関するレポート「Solar Market Insight 2016 Q4」を公表しています[1]。

その中から、導入コストや売電価格に関する数字を抜き出してみました。



大規模事業用(Utility)のPPAの価格

  • 2016年3Qは、35〜60ドル/MWh。
  • 更に、最近では35〜50ドル/MWhで契約されている。

太陽光発電システムの平均価格

  • 住宅2.98ドル/Wdc
  • 非住宅フラット屋根では1.69ドル/Wdc
    他の市場と同じく、モジュール・インバーター・架台の価格低下が、主な要因だった。
    ハードウェアとソフトの内訳は、
    • ハードウェア0.80ドル/Wdc
    • ソフト0.89/Wdc
  • Utility
    • 固定傾斜1.09ドル/Wdc
    • 一軸追尾1.21ドル/Wdc

太陽電池モジュールの平均価格

  • 中国製は、0.47ドル/W(10MW超の注文)〜0.49ドル/W(1MW未満の注文)の範囲。
  • 米国市場における過去数年間のモジュール価格は、中国メーカーに対する反ダンピングと相殺関税により、大きく左右されてきた。
    しかし最近では、需要の不均衡が価格変動の主因となっており、価格が急速に下落し続けている。

先にチェックした新興国における2016年のデータ(BNEFによる調査結果)では

  • 導入コスト:平均165万ドル/MW(=1.65ドル/W)
  • 売電契約の安値記録:チリで29.10ドル/MWh
とありましたが、先進国である今回の米国のデータが、その新興国にかなり近い水準となっていることには、非常に驚きました。

そう言えば昨年9月には、米国市場が、中国国内で供給過剰になったモジュールの行き場となっていることが報じられていました。

いち消費者としては、太陽光発電の初期コストや、発電電力の価格の低下が進むこと自体は、歓迎すべきことではあります。

しかし、それがモジュールの歪な需給バランス(しかも、ごく一部の地域・市場の動向に起因するもの)に大きく依存しているとするならば、太陽光発電産業・市場の継続的な成長・発展に結びつくのかどうか、一抹の不安も感じます。

また、このように低価格化が急速に進んでいる状況は、輸出を増やしている日本のモジュールメーカー[3]にも、対応すべき大きな課題となっていると推測します。

例えばパナソニック社は、つい先日にTesla社と共同でのモジュールの現地生産計画を発表していましたが、現地・米国市場での価格競争にどう対応していくのか、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1] Solar Market Insight Report 2016 Q4(社)
http://www.seia.org/research-resources/solar-market-insight-report-2016-q4
[2]米太陽光市場、2016年は日本を抜き世界2位に(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/122200039/
[3]日本における太陽電池出荷量2016年度第2四半期(報道発表資料)(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h282q.pdf

※関連記事:

2016年10月31日

Trina Solar社がp型多結晶シリコン太陽電池モジュールで変換効率19.86%、カネカ社はヘテロ接合モジュールで24.37%を達成

Trina Solar社とカネカ社が2016年10月に各々、結晶シリコン型モジュールモジュール変換効率を更新したことを、発表していました[1][2]。

概要は次の通り。


Trina Solar社(2016/10/18発表)

太陽電池の種類p型の多結晶シリコン型(「Honey Plus」モジュール)
セルは156×78mm2120枚使用。
モジュール変換効率19.86%
開口部(1.514m2)での数値。
ドイツの「Fraunhofer ISE CalLab」で認定された。
用いた技術(一部)
  • 独自開発の多結晶シリコンウエハー(少数キャリアの寿命が長い)
  • half-cell interconnection
  • PERC(passivated emitter and rear cell)技術
  • 高効率な光捕捉

カネカ社(2016/10/27発表)

太陽電池の種類ヘテロ接合バックコンタクト型
モジュール変換効率24.37%
産総研で測定した数値。
測定時のマスクの開口部面積は1万3177cm2
用いた技術(一部)
  • ヘテロ接合バックコンタクト型セル(108枚使用)
  • セル間の配線技術(モジュール内の抵抗損失を低減)
  • 光の収集効率を高める技術

Trina社のほうは既に実用化しているタイプのモジュールにおける記録、カネカ社のほうは研究開発段階のモジュールでの記録と、2社で条件はかなり異なっています。

しかし、成熟した方式と見られている結晶シリコン型(HIT型を含む)において、近い時期に変換効率の記録更新が相次いで発表されたのは、偶然かもしれませんが非常に興味深いことであり、結晶シリコン型の可能性が尽きていないことを感じます。

また面白いのは、両方ともセルを通常(正方形)の半分にしたかたちで、モジュールに用いていると見受けられる点です。

実際にTrina社のセル枚数は120枚、カネカ社のセル枚数は108枚と多く、またカネカ社のプレスリリース[2]の掲載写真からは、短冊形の細長いセルを12枚×9枚並べていることが推測されます。

この方式が、結晶シリコン型での変換効率向上において一般的な手法となっていくのかは、今後注目していきたいところです。


※参照資料:
[1]Trina Solar Announces New World Record of 19.86% Aperture Efficiency for "Honey Plus" Multicrystalline Silicon Solar Module(Trina Solar社)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2212445
[2]結晶シリコン太陽電池モジュールで世界最高変換効率24.37%を達成(カネカ)
http://www.kaneka.co.jp/service/news/161027

※関連記事: