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2017年03月27日

トルコで1000MWの太陽光発電プロジェクトの入札が実施、売電価格6.99米セント/kWhでHanwha等のグループに決定

ニュース記事[1][2]で

  • トルコで、発電容量1000MWの太陽光発電所事業の入札が行われた。
と報じられていました。

概要は次の通り。
(※フォントの都合上、トルコ語の表記が不正確な箇所がありますが、ご容赦ください)


  • 事業の名称:Karapinar再生可能エネルギー資源エリア(YEKA-1
  • 建設場所:コンヤ県のKarapinar(カラプナール)
  • 入札の実施者:トルコのエネルギー天然資源省
  • 落札した事業者:「Kalyoncu」と「Hanwha」のグループ
    ※他の入札参加者(ジョイントベンチャー)は、
    • LimakとCMECとHareon Solar
    • CalikエナジーとSolargig
    • AKCソーラー
  • 提案された売電額6.99米セント/kWh
  • その他の条件
    • 現地事業の実施
      今回のプロジェクトでは同時に、年産500MW以上太陽電池モジュール工場が、トルコ国内に建設される。
      また、10年間の研究開発も行われる。
    • 現地調達率の目標
      太陽電池モジュールの現地調達率は、
      ・最初の500MW:60
      ・次の500MW:70
      としている。
  • 工期:21ヶ月
  • 発電電力量:約17億kWh/年の見込み

1GW超のプロジェクトと言えば、今月初めに発表されたアラブ首長国連邦での事業(1177MW)が記憶に新しく、それから一月経たずしての今回の報道には驚きました。

新興国において今後、1GW超の太陽光発電プロジェクトが他にも立ち上がってくるのかどうかは、注目したいところです。


入札に参加した企業名を検索したところ、「Kalyoncu」とAKCソーラーはそれらしい企業を見つけられませんでしたが、「Limak」[4]と「Calik Energy」[5]はトルコの大手企業とみられ、流石に単独で1GWという超巨大プロジェクトであることから、国内の大企業も積極的に入札に動いたことが伺えます。

他の企業については、Hareon Solar[6]とSolargig[7]は中国の太陽電池メーカーであり、CMECも同じく中国の商社[8]のことだと思われます。

今回の事業は、トルコ政府にとっても一大プロジェクトと思われますが、その入札に中国企業の参加が認められたということは、昨年から(ロシアを挟んで)芳しくなかったというトルコと中国の関係[9]も、今では大きな問題は無いのかもしれません。


ユニークに感じたのは、落札したKalyoncuとHanwhaによる事業計画には、(発電所の建設だけでなく)トルコ現地でのモジュール工場建設や、継続的な研究開発が含まれていることです。

入札条件の詳細は不明ですが、そのような現地事業を盛り込むこと(=トルコ国内の太陽光発電産業の発展に寄与すること)が、入札参加の条件に含まれていたと考えれば、価格競争力では最も優れる筈の中国企業(が参加したジョイントベンチャー)が単純には勝てなかったことも、納得が行きます。


売電額(6.99セント/kWh)は、他の新興国での最近の安値記録(2016年8月のチリ(2.91セント/kWh)や、先述のアラブ首長国連邦でのプロジェクト(2.42セント/kWh))の2倍以上ですが、この点は現地生産するモジュールを多く用いる予定であることが、影響しているものと推測します。

とはいえそれでも、現状で十分に安い金額であり、(昨年来の米国市場のように過剰生産で余ったモジュールではなく)現地生産のモジュール主体でこの額を提示していることは、大規模太陽光発電事業の今後の展開について、一つの示唆となるものと考えます。


最後に、ハンファQセルズはかつての合併時(2014/12)に、ドイツのタールハイムを研究開発の拠点とする旨を示していましたが、今回トルコに設置される予定の研究開発拠点が、同社にとってどのような関連や位置づけとなるのか、というのはちょっと気になるところです。


※参照資料:
[1]トルコ最大の太陽光発電所(「TRT」の記事)
http://www.trt.net.tr/japanese/jing-ji-bizinesu/2017/03/20/torukozui-da-notai-yang-guang-fa-dian-suo-695358
[2]Karapinar YEKA-1 GES ihalesini 6,99 USD cent/kwh ile Kalyon Hanwha grubu aldi(「Enerji Enstitusu」の記事)
http://enerjienstitusu.com/2017/03/20/karapinar-yeka-gunes-ihalesi-duzenlendi/
[3]Karapinar Yenilenebilir Enerji Kaynak Alani (YEKA-1) ihalesi icin 4 grup teklif verdi(同上)
http://enerjienstitusu.com/2017/03/15/karapinar-yenilenebilir-enerji-kaynak-alani-yeka-1-ihalesi-icin-4-grup-teklif-verdi/
[4]Limak Holding
http://www.limak.com.tr/anasayfa
[5]Calik Energy
http://www.calikenerji.com/
[6]会社概要(ハレオンソーラージャパン)
http://www.hareonsolar.co.jp/company.html
[7]Solargiga Energy Holdings Limited
http://www.solargiga.com/html/
[8]CMEC
http://www.cmecwuxi.com/en/index.html
[9]中国、対トルコ制裁措置発表――トルコ・ロシア危機を受け(SYNODOS)
http://synodos.jp/article/16371
[10]コンヤ県(ウィキペディア)

2017年01月09日

新興国における2016年の太陽光発電導入コストは平均165万ドル/MW、発電電力の価格はチリで29.10ドル/MWhを記録

Bloombergの記事(2016年12月15日付)[1]で、新興国における2016再エネ発電のコストが示されていました。

他の記事[2]と合わせて、その中から太陽光発電に関する主な数字を抜き出してみました。


  • 新しい太陽光発電設備の平均コスト
    「Bloomberg New Energy Finance」によるデータ、新興国58ヶ国が対象。
    • 2010年:552万ドル/MW
    • 2016年:165万ドル/MW
    (※管理人注:明記は無いが、導入コストと思われる。)
  • 太陽光発電による発電電力の安値記録
    民間企業が参加するオークションによる価格。
    • 2016年1月:インドで64ドル/MWh
    • 同8月:チリ29.10ドル/MWh
      ※石炭火力の約半額。

まずMWあたりの「平均コスト」が、2016年は1MWあたり2億円を切る水準であることに、強く驚かされました。

当ブログでチェックしてきた限り(また私が知る限り)では、日本国内で2016年に発表されたメガソーラー計画で、1MWあたり3億円を下回るケースは一つもありませんでした。

新興国と日本では、太陽光発電の導入に関わる条件(日照量、新規の発電設備に対する需要の強さ、電力価格の決定方法など)が大きく異なるとは思いますが、それを考えても、導入費用の低減において、大きく水を開けられてしまった印象です。


そして発電電力の価格についても、チリの29.10ドル/MWh(=約0.03ドル/kWh)は、驚異的な水準という他ありません。

記事[1]の本文では詳細が無いですが、記事の副題には

  • 「thanks to cheap panels」
との文言があり、中国メーカーを中心とする太陽電池モジュールの激しい価格競争が、初期費用や電力価格の想像以上の低減を支える大きな要因となっていることが、推測されます。

そう言えば、米First Solar社などによるザンビアでのプロジェクト(2016年6月発表)でも、発電コストは0.06ドル/kWhであり、新興国での大規模太陽光発電は、このような価格水準が当たり前になっているのかもしれません。


BNEFが関わるウェブサイト「Climatescope」の同日のプレスリリース[3]では、2016年の再エネ導入量は

  • 新興国:計69.8GW
  • OECD加盟国:計59.2GW
と、新興国が先進国を上回ったことが示されていますが、これだけ低コスト化が実際に進んでいるのであれば、発電設備が十分に無い地域において、再エネ(特に太陽光発電)が第一の選択肢となっていくことは、当然かと思われます。

ただし強く気になるのは、コストに関するこれらの記述において、電力需給の安定化に必要なコストについては、全く言及されていないことであり、今後はその点も、再エネの導入コスト・電力価格において、考慮に入れる必要が出てくるものと考えます。


※参照資料:
[1]World Energy Hits a Turning Point: Solar That's Cheaper Than Wind(「Bloomberg」の記事)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2016-12-15/world-energy-hits-a-turning-point-solar-that-s-cheaper-than-wind
[2]BNEF: 最も安価なエネルギー源は太陽光発電・単価は石炭火力の半額(「BusinessNewsline」の記事)
http://business.newsln.jp/news/201612171206200000.html
[3]Press Release: With new pledges and new projects, developing countries take clean energy lead globally(「Climatescope」のプレスリリース)
http://global-climatescope.org/en/blog/2016/12/15/Climatescope2016-launch/

米SEIAのレポート「Solar Market Insight 2016 Q4」で、2016年3QのUtilityのPPA価格は35〜60ドル/MWh、システム価格は住宅2.98ドル/W・非住宅2ドル/W未満

SEIA(Solar Energy Industries Association)が、20163Q2016/7-9)の米国太陽光発電市場に関するレポート「Solar Market Insight 2016 Q4」を公表しています[1]。

その中から、導入コストや売電価格に関する数字を抜き出してみました。



大規模事業用(Utility)のPPAの価格

  • 2016年3Qは、35〜60ドル/MWh。
  • 更に、最近では35〜50ドル/MWhで契約されている。

太陽光発電システムの平均価格

  • 住宅2.98ドル/Wdc
  • 非住宅フラット屋根では1.69ドル/Wdc
    他の市場と同じく、モジュール・インバーター・架台の価格低下が、主な要因だった。
    ハードウェアとソフトの内訳は、
    • ハードウェア0.80ドル/Wdc
    • ソフト0.89/Wdc
  • Utility
    • 固定傾斜1.09ドル/Wdc
    • 一軸追尾1.21ドル/Wdc

太陽電池モジュールの平均価格

  • 中国製は、0.47ドル/W(10MW超の注文)〜0.49ドル/W(1MW未満の注文)の範囲。
  • 米国市場における過去数年間のモジュール価格は、中国メーカーに対する反ダンピングと相殺関税により、大きく左右されてきた。
    しかし最近では、需要の不均衡が価格変動の主因となっており、価格が急速に下落し続けている。

先にチェックした新興国における2016年のデータ(BNEFによる調査結果)では

  • 導入コスト:平均165万ドル/MW(=1.65ドル/W)
  • 売電契約の安値記録:チリで29.10ドル/MWh
とありましたが、先進国である今回の米国のデータが、その新興国にかなり近い水準となっていることには、非常に驚きました。

そう言えば昨年9月には、米国市場が、中国国内で供給過剰になったモジュールの行き場となっていることが報じられていました。

いち消費者としては、太陽光発電の初期コストや、発電電力の価格の低下が進むこと自体は、歓迎すべきことではあります。

しかし、それがモジュールの歪な需給バランス(しかも、ごく一部の地域・市場の動向に起因するもの)に大きく依存しているとするならば、太陽光発電産業・市場の継続的な成長・発展に結びつくのかどうか、一抹の不安も感じます。

また、このように低価格化が急速に進んでいる状況は、輸出を増やしている日本のモジュールメーカー[3]にも、対応すべき大きな課題となっていると推測します。

例えばパナソニック社は、つい先日にTesla社と共同でのモジュールの現地生産計画を発表していましたが、現地・米国市場での価格競争にどう対応していくのか、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1] Solar Market Insight Report 2016 Q4(社)
http://www.seia.org/research-resources/solar-market-insight-report-2016-q4
[2]米太陽光市場、2016年は日本を抜き世界2位に(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/122200039/
[3]日本における太陽電池出荷量2016年度第2四半期(報道発表資料)(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h282q.pdf

※関連記事:

2016年10月31日

Trina Solar社がp型多結晶シリコン太陽電池モジュールで変換効率19.86%、カネカ社はヘテロ接合モジュールで24.37%を達成

Trina Solar社とカネカ社が2016年10月に各々、結晶シリコン型モジュールモジュール変換効率を更新したことを、発表していました[1][2]。

概要は次の通り。


Trina Solar社(2016/10/18発表)

太陽電池の種類p型の多結晶シリコン型(「Honey Plus」モジュール)
セルは156×78mm2120枚使用。
モジュール変換効率19.86%
開口部(1.514m2)での数値。
ドイツの「Fraunhofer ISE CalLab」で認定された。
用いた技術(一部)
  • 独自開発の多結晶シリコンウエハー(少数キャリアの寿命が長い)
  • half-cell interconnection
  • PERC(passivated emitter and rear cell)技術
  • 高効率な光捕捉

カネカ社(2016/10/27発表)

太陽電池の種類ヘテロ接合バックコンタクト型
モジュール変換効率24.37%
産総研で測定した数値。
測定時のマスクの開口部面積は1万3177cm2
用いた技術(一部)
  • ヘテロ接合バックコンタクト型セル(108枚使用)
  • セル間の配線技術(モジュール内の抵抗損失を低減)
  • 光の収集効率を高める技術

Trina社のほうは既に実用化しているタイプのモジュールにおける記録、カネカ社のほうは研究開発段階のモジュールでの記録と、2社で条件はかなり異なっています。

しかし、成熟した方式と見られている結晶シリコン型(HIT型を含む)において、近い時期に変換効率の記録更新が相次いで発表されたのは、偶然かもしれませんが非常に興味深いことであり、結晶シリコン型の可能性が尽きていないことを感じます。

また面白いのは、両方ともセルを通常(正方形)の半分にしたかたちで、モジュールに用いていると見受けられる点です。

実際にTrina社のセル枚数は120枚、カネカ社のセル枚数は108枚と多く、またカネカ社のプレスリリース[2]の掲載写真からは、短冊形の細長いセルを12枚×9枚並べていることが推測されます。

この方式が、結晶シリコン型での変換効率向上において一般的な手法となっていくのかは、今後注目していきたいところです。


※参照資料:
[1]Trina Solar Announces New World Record of 19.86% Aperture Efficiency for "Honey Plus" Multicrystalline Silicon Solar Module(Trina Solar社)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2212445
[2]結晶シリコン太陽電池モジュールで世界最高変換効率24.37%を達成(カネカ)
http://www.kaneka.co.jp/service/news/161027

※関連記事:

2016年06月27日

First Solar等がザンビアでの大規模プロジェクト(約48MW)を受注、発電コストは0.06ドル/kWh

First Solar社が2016年6月10日に、

  • フランスの再エネ企業「Neoen S.A.S.」との共同で、アフリカ・ザンビアにおける大規模メガソーラープロジェクト47.5MWAC)を入札した。
と発表していました[1]。

事業の概要は次の通り。


  • 建設場所:「Lusaka South Multi-Facility Economic Zone」内。
  • 発電所の名称:「West Lunga National Park」にちなんで名づけられている。
    (※ただし[1]内に名称の明記は無し。)
  • 敷地面積:約129エーカー
    サッカー場の約73面分に相当する。
  • 太陽電池モジュールの設置枚数:約45万枚
    ザンビアの環境においては、通常の結晶シリコン型に比べて、得られるエネルギー量が最大6%多くなる見込み。
  • 発電コスト0.06ドル/kWh
    サハラ以南のアフリカでは、最も低い額。
  • 発電電力の用途
    25年間のPPAに基づき、ザンビア国営の電力会社「ZESCO」に供給する予定。
  • 完成時期2017年中頃の予定。
  • その他
    • 世界銀行の「Scaling Solar」プロジェクトにおける初の事業となる。
    • ザンビアの産業開発公社が、本事業の株式の20%を保有する予定。
    • 従来型の発電と比べて、水の必要量を1億2500万リットル節約できる見込み。

3年前の資源エネ庁の資料[2]によると、2004年時点の日本における新設電源の発電コストは

  • 原子力発電:5.9円/kWh
  • 石炭火力:5.7円/kWh
  • LNG火力:6.2円/kWh
であり、今回の0.06ドル/kWhは、明らかにこれらと並ぶ水準です。

また当ブログの過去記事ですが、他国でのコストを見ると

であり、(3年前の数値とはいえ)これらも大幅に下回っています。

日本とザンビアの日射量の違いは不明ですが、年降水量は

  • ザンビア:500〜1500mm[3]
  • 日本:1718mm[4]
であり、この差は発電コストに大きく影響していると考えられます。

加えてザンビアは「後期開発途上国」とのことで、その点でも特に、発電コスト低減の要求・必要性が強かったと推測されますが、それにしても現時点で驚異的な低コストであることは、間違いないと思います。

ただ[1]では、この低コストを実現できた背景(技術的要因など)は全く書かれておらず、今回の件が無理をした特例である可能性も考えられますが、その点は、First Solar社が今後発表する発電所開発プロジェクトを見ていきたいと思います。


※参照資料:
[1]Neoen, First Solar To Deliver Lowest Cost Solar Electricity in Sub-Saharan Africa(First Solar社)
http://investor.firstsolar.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=975936
[2]エネルギーコストと経済影響について 平成25年8月(資源エネルギー庁)
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/002/pdf/002_001.pdf
[3]ザンビア(ウィキペディア)
[4]水の循環と水資源(経済産業省)
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/junkan/index-4/11/11-1.html

2015年02月10日

2013年入居のセキスイハイム(PVとHEMS導入)のうち、2014年に家電込みで消費電力量<発電電力量を達成した住宅は17%

積水化学工業が2015年2月9日に、「PV+HEMS搭載住宅の電力量収支実邸調査(2014」の結果を発表していました[1]。

調査の要綱は下記の通り。

  • 調査対象の住宅
    • 太陽光発電システムHEMSを設置
    • オール電化(調理・給湯・暖房に、電気以外のエネルギー(灯油、ガス等)を使用しない)
    • 2013年内(1〜12月)に入居
    の全てに該当する、日本全国のセキスイハイムの住宅。
  • 調査データ20141〜12の消費電力量、発電電力量など
    (※HEMSサーバー内のデータ分析による)
  • 有効母数:3,545邸

そして調査結果のうち、発電・消費電力量に関わる数字(中央値)を抜き出してみました。(※カッコ内(前年比)は当ブログ管理人が計算)

母集団ZEH達成邸
家電抜きと家電込みの合計
ZEH達成邸
家電込み
PVの容量4.80kW(0.19kW4.88kW(0.24kW5.51kW(0.04kW
発電電力量5877kWh(26078kWh(36794kWh(3
上記のうち自家消費分1739kWh(41569kWh(31276kWh(5
消費電力量8123kWh(87120kWh(65482kWh(4
消費量−発電量2246kWh(前年比211042kWh(18−1312kWh(59kWh

またZEH(消費電力量<発電電力量)の達成率は、

  • 家電込み:母集団の17
  • 家電抜き:同49%(※家電の消費電力量を3459kWh/年として算出)
とのことです。


買電・売電の収支は、ZEH達成邸は勿論のこと、母集団でも黒字になっていますが、それはあくまで優遇政策(FIT)が前提にあっての結果なので、今回は単純に、住宅の消費電力をどれだけPVで賄えているのか、という点にのみ注目してみました。

ZEH達成邸のうち、「家電抜き」「家電込み」の合計では消費量が発電量を上回っており、一見ZEHの定義から外れていますが、これは「家電抜き」の条件ではZEHを達成した住宅も、家電の消費分を含めると消費量のほうが大きいケースが多かった、ということだと思われます。

PVの初期費用低下が続いている中で、母集団で設置容量が減少しているのは意外ですが、消費電力量の低下も考慮すると、経済的には単にPVの容量(発電電力量)を増やせば良いとは言えなくなっている、ということかもしれません。

実際に、ZEH達成邸の設置容量は前年より低下しており、また消費電力量の引き下げ幅は(PVの発電量低下分に比べて)明らかに大きいですが、そこでHEMSがどの程度引き下げ効果を発揮したのか、というのは非常に興味を引かれるところです。

また発電電力量のうち、自家消費分は1/3〜1/5程度に留まっており、真の「自給自足」実現という意味では、今後は(住宅個々か電力系統側かはともかく)蓄電設備の普及も必要になるものと考えます。

もう一つ、上記では取り上げませんでしたが、都道府県別のZEH達成率のグラフ([1]の一番下)では、青森県・岩手県がゼロ、北海道に至っては項目すら無し。

これは、日照条件の差が(PVによる)ZEH達成において非常に大きな壁であり、また地域によってPV導入の効果(発電電力量)に相当な差があることも推測され、これでは北国で住宅用太陽光発電の普及が遅れるのも、仕方が無いことだと感じます。


※参照資料:
[1]太陽光発電システム搭載住宅の電力量収支実邸調査(2014)について(積水化学工業)
http://www.sekisuiheim.com/info/press/20150209.html

※関連記事:

2015年01月20日

第16回「調達価格等算定委員会」の配布資料が公表、システム費用の低下が進むも、産業用では土地確保がネックに

経済産業省が年1月15日に、第16回調達価格等算定委員会」の配布資料を公表していました[1]。

その中から、2014年の太陽光発電のコストに関わる数字を抜き出してみました。(※一部数字は当ブログ管理人が計算)


住宅用(10kW未満)

  • システム費用の平均値(2014年10-12月):37万円/kW(前年同期から3万9000円ダウン
    新築・既築別では、
    • 新築設置:36万4000円/kW(同6万2000円ダウン
    • 既築設置:40万1000円/kW(同2万5000円ダウン
  • 運転維持費の相場:前年から変動無し
    • 定期点検:1回2万円を、4年ごとに1回以上(20年間で5回)
    • パワコンの交換:20年に1回(20万円)

非住宅(10kW以上)

  • システム費用運転開始済みの平均値、2014年10-12月):
    • 10kW以上50kW未満:32万2000円/kW(前年同期から4万3000円ダウン
    • 50kW以上500kW未満:31万9000円(同4000円ダウン
    • 500kW以上1000kW未満:28万4000円/kW(同1万6000円ダウン
    • 1000kW以上:28万6000円/kW(同1万7000円ダウン
  • 設備利用率(2013年10月〜2014年9月):14.0%(2012年11月〜2013年10月は13.0%)
    うち1000kW以上では15.0%(同13.6%)。
  • 土地造成費(2014年1-3月期〜10-12月期):平均値3600円/kW、中央値0円/kW
    • 平均値は、2014年度の調達価格算定での想定額(4000円/kW)と、大きく変わっていない。
    • 500kW未満ではかからない案件が多い。
  • 接続費用(2014年1-3月期〜10-12月期):平均値6900円/kW、中央値3100円/kW
    • 規模別では、10〜50kW未満(7000円/kW)が最も高い。
    • 2014年度の調達価格算定での想定額(13500円/kW)を大幅に下回る数値。
      ただし今回の数値は、接続保留問題の発生(2014年9月)より前に接続した案件が9割以上を占めているため、今後は上昇が懸念される。
  • 運転維持費(2014年1-3月期〜10-12月期):平均値6000円/kW、中央値3000円/kW
    • 平均値は、一部の高額な案件に引き上げられている。
    • 規模が大きいほど高くなる傾向にある。
    • 2014年度の調達価格算定での想定額は8000円/m2/年。
  • 土地賃貸料(2014年1-3月期〜10-12月期):平均値219円/m2/年、中央値152円/m2/年
    • 平均値は、一部の高額な案件に引き上げられている。
    • 2014年度の調達価格算定での想定額は150円/m2/年。
  • 事業の断念を巡る状況
    • 断念案件と運転開始案件のシステム費用(平均値)の差
      ・10kW以上50kW未満:7000円/kW
      ・50kW以上500kW未満:マイナス2万4000円(※断念案件のほうが低い)
      ・500kW以上1000kW未満:3万8000円/kW
      ・1000kW以上:1万5000円/kW
    • 断念した理由
      費用以外では、「土地の確保・許認可」が283件中165件(58%)。
      更に、土地の確保・許認可が得られなかった要因では、土地所有者と調整がつかなかった案件が164件中99件(60%)。

システム費用は住宅用・非住宅ともに、現在も順調に低下しているようですが、特に小規模設備でコストダウンが著しくなっていることが伺えます。

ただし住宅用では、新築向けの減少幅が既築向けの2倍以上であり、後付けとなる既築住宅の不利さを改めて感じる数字です。

一方で非住宅・50kW以上のシステム費用は、対照的に減り幅がかなり小さいですが、ここ1〜2年の円安が、海外製モジュールの価格にどの程度影響を及ぼしているのか、というのは気になるところです。

また、機器以外の初期費用である土地造成費は横ばい、また接続費用も上昇への転換が懸念されており、既にコストダウンの余地が乏しい印象ですが、他方で稼動開始後の運用においては、設備利用率の上昇と運転維持費の下降から、運営・メンテナンスサービスの品質向上が進んでいることも推測されます。

事業断念を巡るデータでは、一部で断念案件のシステム費用が(稼動が実現した案件より)安くなっていることに驚きますが、それだけ土地の調達が困難になってきている、ということかもしれません。

それに加えて最近では、接続上限の顕在化やFITの制度変更予定(出力抑制の無補償期間の無制限化)といった状況もあり、断念される事業の更なる増加が懸念されます。


※参照資料:
[1]調達価格等算定委員会(第16回)‐配布資料(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/016_haifu.html
[2]資料1 最近の再生可能エネルギー市場の動向について(同上)
http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/016_01_00.pdf

2014年09月05日

室蘭市などが、住宅用太陽光発電(4kW)の投資回収年数を11.7年と試算

ニュース記事[1]で、北海道室蘭市における再生可能エネルギーの導入コスト等の試算結果が紹介されていました。

これは同市が策定中の「グリーンエネルギータウン構想」に関連し、市と「エックス都市研究所」社が共同で試算したもので、そのうち住宅用太陽光発電(定格出力4kW)の数字は下記の通り。

  • 導入費用160万
  • 年間発電量4000kWh
  • 年間の経済的メリット(自家消費と売電による):13万7000
  • 投資回収年数11.7

自治体が関わった今回の試算での導入費用(40万/kW)は、日刊工業新聞社による計算[4]での前提値(41万5000円/kW)を下回るものであり、産業用だけでなく国内住宅用においても、導入の経済的メリットが予想以上に高まっていることが伺えます。

加えて北海道では、北海道電力が電力料金を大幅値上げ(家庭用では約17%アップ)する方針を示している[5]だけに、投資回収年数も(こちらは残念な意味でですが)一段と短縮されるものと思われます。

電気料金の大幅アップは、(私を含めて)北海道内の需要家・消費者に非常に重くのしかかってくるものですが、それが結果として、道内での再生エネの導入・普及に拍車をかけることも予想されます。

もっとも大規模太陽光発電については、早々に接続限界の可能性が示されているため、もし北海道内で(電気料金値上げを受けて)太陽光発電の導入が加速するとすれば、あくまで中小規模の産業用や住宅用がメインになると思われます。


※参照・参考資料:
[1]家庭太陽光発電投資回収10〜15年、室蘭市など試算(室蘭民報)
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2014/09/03/20140903m_01.html
[2]平成26年第1回市議会定例会市政方針説明(室蘭市)
http://www.city.muroran.lg.jp/main/org2200/shiseihoushin.html
[3]再生可能・省エネルギー(エックス都市研究所)
http://www.exri.co.jp/solution/design/gyomu_view3.cgi?id=a4
[4]家庭用太陽光の発電コスト、1kW時21円でグリッドパリティー到達−本社調査(日刊工業新聞)
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820140730aaan.html
[5]電気料金の値上げ申請について(北海道電力)
http://www.hepco.co.jp/price_revise/

2014年06月26日

国内の太陽光発電コストは既に約20円/kWhの水準に到達、14円/kWh達成には初期コスト・運転維持費の低減や長期安定性のアップがカギ

ニュース記事[1]で、「AIST 太陽光発電研究・成果報告会 2014」でのトピック講演「PVシステムのコストの試算から見えてくる研究開発の方向性」の内容が報じられていました。

これによると太陽光発電の発電コスト(kWhあたり)は、既に家庭用電力の市場単価(約20円/kWh)の水準に到達しているとのこと。

そして第2段階のグリッドパリティ(業務用電力の料金(14円/kWh)と同等)の達成に必要なものとして、下記の条件が記載されています。

  • 投資回収期間20年の場合:
    • 運転維持費6000円/kW・年(現在は年8000円/kW・年)の場合:
       初期投資可能限度額10数万円/kW(現在は30万円/kW)に抑えると達成可能。
  • 投資回収期間が30年の場合:
    • 運転維持費が6000円/kW・年の場合:
      初期投資可能限度額が20万円/kWを少し超えても、達成可能。
    • 運転維持費が4000円/kW・年の場合:
      現在の初期投資額(30万円/kW)でも達成可能。
  • その他:
    • 太陽電池パネルの劣化率1%/年を超える場合、初期投資可能限度額の条件が厳しくなる。(0.27%/年の場合の約2/3)
    • またメンテナンスの不備も、初期投資可能限度額への影響が大きい。

記事では特に言及が無いので、発電コストは住宅用・産業用ひっくるめての数字と思われますが、2011年時点の発電コストは約30〜46円/kWhであり、この2〜3年でのコストダウン進展の急激さが伺えます。

とはいえ現在は、太陽電池パネルの価格低下ペースが(以前と比べて)鈍っているとのことで、加えて中国国内でのパネル需要も爆発的に拡大しているだけに、次の目標(14円/kWh)達成には、パネル価格以外でのコストダウンをどれだけ進められるかが重要になると思われますが、最近では米Zep Solar社製の住宅向け架台の日本販売の発表もあり、施工における省力化・コスト低下の進展は、これから十分に期待できるものと考えます。

p>一方、特に気になるのはパネルの劣化率で、国内で実際に長期稼動しているパネルを対象とした産総研の調査結果(検体数309)では、平均劣化率は1.7%/年で、特に1995年以降に製造された太陽電池パネルの劣化率が高いとのこと[2]。

近年は特にコストダウンの圧力が高まっていることから、品質・耐久性が更に低下していることが懸念され、今回の見通しで示されている劣化率(0.27%/年)は楽観的すぎる気がします。

パネルの十分な性能維持は、保守・メンテナンスのコスト低減にも直接寄与すると考えられるので、単なる価格低下だけでなく品質維持との両立は、今後の大きな課題となってくるものと考えます。

※参照・参考サイト:
[1]発電単価・14円/kWhの達成は間近!? 産総研・研究者が太陽光発電のコストを分析(Tech-On!)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140625/361160/
[2]PVeye誌 2014年4月号「年率1%未満の発電劣化はまれ!? 太陽電池の出力保証を疑え」のp16

※関連記事:

2014年06月05日

米国の大規模太陽光発電施設の発電コストは、2013年末に11.2セント/kWh

ニュース記事[1]の中で、米国内の大規模太陽光発電施設発電コストが示されていました。

これは「Sunshot Initiative」のディレクターのMinh Le氏が示したもので、主な数字などは下記の通り。

  • 発電コスト
    ・2010年:21.4セント/kWh
    2013年末11.2セント/kWh
     2020年(目標6セント/kWh、2010年比約70%減)までのコスト削減目標の、60%程度を既に削減したことになる。
  • 今後の課題
    ・電力系統の更なる合理化
    ・低コストな蓄電池の開発
    ・資本市場へのアクセスの容易化
    ・国内製造業の強化
    等に取り組むべき。
    「残りの40%を達成するのは容易ではない」

2013年末時点の発電コストは2011年時点の米国のメガソーラー(14.4〜19.2円/kWh)から更に下がっており、米国と日本で日照条件に差があることは考慮する必要があるものの、既に10円/kWhが目前の水準まで来ていることには、やはり驚かされます。

これはインドの同時期のコスト(約0.12ドル/kWh )とほぼ同程度であり、日照が豊富な地域ではこの水準が一般的になっている、ということかもしれません。

残り5セントの壁を超えるには、課題が大きいようですが、例えば電力系統の合理化については、日本でも系統接続の保留や、幹線の電圧上昇といった課題が明確化しており、それらの解決に米国での取り組みが参考になる部分があれば、と期待します。

ただ蓄電池については、最近5〜6年で(例えば電気自動車が一時期大きな話題になっていたにも関わらず)コストダウンが大きく進んだとは到底思えず、今後もどれだけコスト削減を進められるのか、というのは望み薄という気もします。


※参照・参考サイト:
[1]米エネルギー省の太陽光発電イベント、2020年に向けたコスト削減と、2040年のビジョンを語る(Tech-On!)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140603/355834/?ST=pv&P=1