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2018年05月14日

米カリフォルニア州で2020年から新築住宅への太陽光発電設置が義務化、他の要件とともに初期費用は9500ドル増加も、エネルギー費用などは30年間で計1万9000ドル削減の見込み

米カリフォルニア州の「California Energy Commission(CEC)」が2018年5月9日に、

  • 2020から州内の新築住宅への太陽光発電設置を義務化する、新しい建築基準「2019 Building Energy Efficiency Standards」を採択した。
と発表していました[1]。

今回は他の資料[2][3]と合わせて、上記の義務化が含まれる「residential(住宅)」向けの建築基準の概要を、まとめてみました。


特徴
  • 米国で初めて、太陽光発電システムの設置を要件に入れた。
  • 家庭の電力網からの電力需要を縮小し、エネルギー料金とCO2排出量を削減できる。
  • 温室効果ガスの削減と、建設コストの上昇抑制の、バランスをとるよう配慮した。
要件(※オプション含む)
  • 太陽光発電システムの設置
    • スマートインバーター
    • 蓄電池(※オプション)
    を含む。
  • デマンドレスポンス(※オプション)
    • ピークシフト用の蓄電池
    • ヒートポンプの給湯器
    を奨励する。
  • 建物の外装
    屋根裏・壁・窓の断熱材を強化し、快適性とエネルギー節約を改善する。(夏は熱を逃がし、冬は暖気を保つ)
  • 換気設備
    • 住宅外や調理からの有害粒子を捕らえる、高効率フィルター
    • 改善されたキッチン換気システム
    を使用可能にすることで、住宅の内外に空気を流しつつ、アレルゲンや他の粒子を濾過する。
住宅購入者のコスト CECによる推計値。
  • 初期費用:約9500ドルの増加
  • エネルギーとメンテナンスの費用:30年以上で計1万9000ドルの節約
また30年の住宅ローンをベースにすると、
  • 増加:約40ドル/月
  • 減少:約80ドル/月(冷暖房費、照明料金の削減)
の見込み。
エネルギーの削減効果 2016年基準の住宅と比べて、53%削減できる見込み。
適用開始日 2020年1月1日


カリフォルニア州は、1990年代での電気自動車の導入政策開始[5]など、以前から先陣を切って環境政策を進めており、その点では、今回の新築住宅における住宅用PVの義務化も、それほど驚きはしませんでした。

とは言え、高額な設備であったはずの太陽光発電導入が(事業者ではなく)一般消費者向けでいよいよ義務化されること、しかも長期的なコストメリットも明記していることには、やはり時代と状況の急速な変化を、強く感じます。

例えば太陽電池パネルの価格は、世界的に直近の8年間で80%も下落した[4]とのことであり、このような初期コストの急速な低下が、今回の住宅向け義務化が実現された、最大の要因だと考えます。

その意味では、賛否両論を巻き起こしてきた日本のFITも、コストダウン推進への貢献という点で、今回のカリフォルニア州の決定に(間接的に)寄与したのではないでしょうか。


またカリフォルニア州では、「net energy metering(NEM)」ルールで、一般住宅から生じた余剰電力は小売料金より大幅に安く買い取るよう定めており、これにより住宅用PVによる電力網への影響の抑制が見込まれる(住宅内での自家消費を促す)[2]、とのこと。

この点は非常に興味深く、電力網への接続限界が強調される日本でも、参考にできるところがあるのでは、と考えます。


※参照・参考資料:
[1]Energy Commission Adopts Standards Requiring Solar Systems for New Homes, First in Nation (California Energy Commission、2018/5/9)
http://www.energy.ca.gov/releases/2018_releases/2018-05-09_building_standards_adopted_nr.html
[2]frequently asked questions(上記ページから参照可能)
http://www.energy.ca.gov/title24/2019standards/documents/2018_Title_24_2019_Building_Standards_FAQ.pdf
[3]infographics for residential(同上)
http://www.energy.ca.gov/title24/2019standards/documents/2018_Title_24_2019_Residential_Standards.pdf
[4]Supporters React to Adoption of 2019 Building Energy Efficiency Standards Requiring Solar in New Homes(CECの公式ブログ、2018/5/9)
http://calenergycommission.blogspot.jp/2018/05/supporters-react-to-adoption-of-2019.html
[5]誰が電気自動車を殺したか?(ウィキペディア)
[6]太陽光パネル、新築住宅の屋根に設置義務づけへ:カリフォルニア州(ロイター、2018/5/9)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-05-09/P8H6ZL6VDKHS01

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2018年01月27日

トランプ米大統領が輸入太陽電池に対するセーフガード関税を承認、1年目30%から毎年5%づつ下げて4年間、また各年とも最初の2.5GWは対象外

USTR(アメリカ合衆国通商代表部)が2018年1月22日に、

  • トランプ大統領が、輸入品の
    • 住宅用大型洗濯機
    • 太陽電池セル・モジュール
    セーフガード関税を課する(USTRによる)勧告を、承認した
と発表していました[1]。

これは、ITC(貿易委員会)による知見(輸入品が米国内の製造業に重大な傷害を与えている)を受けて、USTRがTPC(貿易政策委員会)と行った協議に基づき、大統領に行った勧告が、承認されたものとのことです。

その中から、太陽電池に関する数値や情報を抜き出してみました。


<税率など>

1年目 2年目 3年目 4年目
税率 30%2520%15%
免除される分 最初の2.5GW左に同じ左に同じ左に同じ

<輸入太陽電池を巡る動向・経緯>

  • かつて米国の国内産業は、中国から輸入する太陽電池に対し、40%の関税を課することに成功した。
  • しかし中国は、生産能力を維持しつつ生産地を他国に移し、米国による上記の措置を回避した。
  • 中国は今日、世界的なサプライチェーンを支配している。
    また、2017年上半期に発表された、全世界の生産能力拡大計画のうち、中国は70を占めている。


輸入太陽電池に対する制裁措置については、米SEIA(太陽エネルギー産業協会)が太陽光発電設備の設置業者などへのダメージを懸念し、昨年(2017年)12月に大統領に反対意見を提出していました[3]。

しかし結局、それは通らなかったようです。

ただし他方で、米Suniva社が提案していた救済措置案[4](セル・モジュールの最低価格を設定する)も、今回の発表には全く無く、こちらも受け入れられなかったものと思われます。


それはともかくとして、今回の発表では

  • 課税の開始月日
    (「1年目」が具体的にどの期間になるのか?)
  • 対象となる太陽電池セル・モジュールの種類
    (結晶シリコン型のみなのか、それともまさか化合物型モジュールも含むのか?)
  • 課税対象の生産国
    (中国メーカーだけでなく、米国以外の全ての国が対象地域なのか?)
といった点が見当たりません。

今回の発表の文面をそのまま受け取ると、(別に中国メーカー限定とは書かれていないので)例えば日本メーカー製の太陽電池製品もセーフガード関税の対象となってしまうので、実際のところどうなるのかが非常に気になるところです。

その点では、Suniva社の提案のように、最低価格を設定したほうが合理的だったような気もしますが・・・


また今回の発表では、課税から除外される量(Cells Exempted from Tarif)も示されていますが、これは実際にどのように適用されるのでしょうか。

まさか先着順となれば、各メーカーが我先にとなり、米国への出荷が短期間に殺到する事態になることも考えられますが、そのような事態を招かないようにどう運用していくのか、というのも気になるところです。


最後に、米国の太陽光発電導入量は、2016年は[5]で約13GW・[6]で14.7GWと示されています。

これが今後も同等の規模で続くと仮定すると、今回発表された課税対象外の量(毎年2.5GW)は、約1/6〜1/5に相当します。

この設定が、米国内の太陽光発電産業にどのように影響するのか、というのは判りませんが、もしかしたらSEIAの意見(国内産業へのマイナス影響)に対する幾分かの考慮なのでは、とも想像します。


※参照・参考資料:
[1]President Trump Approves Relief for U.S. Washing Machine and Solar Cell Manufacturers(USTR、2018/1/22)
https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2018/january/president-trump-approves-relief-us
[2]アメリカ合衆国通商代表部(ウィキペディア)
[3]トランプ大統領に「最後の要請」、米SEIAが太陽電池・関税問題で(日経テクノロジーオンライン、2017/12/25)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/122100070/
[4]保護措置で米国が世界で最も太陽電池の高い国に!?(同上、2017/6/1)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/052900050/
[5]太陽光発電システム2016年世界導入量は75GW、 2017年も同水準の市場規模との見通しを発表
(「DREAM NEWS」掲載の、株式会社資源総合システムによるプレスリリース、2017/1/20)
http://www.dreamnews.jp/press/0000146047/
[6]世界の太陽光発電業界はどうなってる? 2016年国別導入量ランキング
(IEAのレポート内容を紹介する「ソーラーパートナーズ」の記事、2017/5/11)
https://www.solar-partners.jp/pv-eco-informations-53753.html

※関連記事:

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2017年12月24日

EDF(フランス電力)が、2035年までにフランス国内で計30GWの太陽光発電建設を目指す、と発表

10日ほど前になりますが、2017年12月12日に、複数のメディアで

  • EDFフランス電力)が2017年12月11日に、
    • 国内で、30GWの太陽光発電の建設を計画している。
    ことを発表した。
と報じられていました。

その中の記事[1][2]から、主な数字を抜き出してみました。


建設規模 30GW
※2017年6月末時点の導入済み容量は、7.4GW。
期間 2020〜2035
投資額 最大250億ユーロの見通し

ただしEDFのサイト[3]では、この件について

  • パリ気候サミットにおいて、積極的な太陽光発電計画「Plan Solaire」を立ち上げた。
    この計画では、
    • EDFグループを、2035年までに世界のソーラーのリーダーの1つにする。
    との野望を掲げている。
との内容の簡単な記述は有るものの、それ以上の詳しい情報・発表は(2017/12/23時点で)掲載されていません。



日本の導入済み太陽光発電容量は、2016年11月末時点(※[4]で参照可能な最新データ)で

  • 住宅:4.46GW
  • 非住宅:27.09GW
の計31.56GWであり、今回のEDFの計画は(導入済み分と合わせて)これを上回る規模となります。

ただし計画の対象期間が長い(15〜16年)ため、(日本のFIT導入後の数年間のように)急激に市場が拡大することは無いと思いますが、それでも計画が実際に遂行されれば、一定の新規需要が一定期間継続することになると考えられます。


振り返ると、フランスもかつては太陽光発電のFITを実施していましたが、高い買取価格を目当てに、導入量があまりにも急激に増加し、EDFが赤字に陥った苦い経験がありました。

今回の計画の対象期間が長いのは、その経験を踏まえてのことだと思われますが、具体的にどのような導入促進策を採っていくのかは、興味を惹かれるところです。


それにしても、([1][2]でも言及されていますが)「原発大国」であるフランスが、再び太陽光発電の大規模導入に取り組むというのは、非常に興味深いと感じます。

現在は、台湾でも、再エネ発電の割合を2025年までに20%まで高めるという政策が掲げられているとのこと。

太陽電池モジュールパワコンの価格下落が進んでいる(=太陽光発電の経済的メリットが急速に高まっている)ことが、その主因になっているとすれば、今後この動き(各国政府による太陽光発電の導入促進)は、更に世界的に拡大していくものと考えます。


※参照・参考資料:
[1]フランス、太陽光発電に3兆円(共同通信、2017/12/12)
https://this.kiji.is/313098345885353057
[2]仏、太陽光発電に3兆円 原発依存率引き下げへ(産経ニュース、2017/12/12)
http://www.sankei.com/smp/economy/news/171212/ecn1712120018-s1.html
[3]Plan Solaire(EDF)
https://www.edf.fr/plan-solaire
[4]再生可能エネルギー発電設備の導入状況等 (資源エネルギー庁)
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html

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2017年09月26日

USITCが、海外製太陽電池の輸入増加が米国内の太陽電池製造産業に重大なダメージを与えている、と判断

米国の「USITC(U.S. International Trade Commission)が2017年9月22日に、

  • 海外製結晶シリコン太陽電池セル(それを組み込んだ製品含む)の輸入量増加が、米国内の同種製品または競合製品の製造産業に、重大なダメージを与えている。
と判断したことを、発表していました[1]。

この判断は、米Suniva社による申請(2017年5月17日に提出)を受けて行った調査の結果。

その主な内容を、下記に抜き出してみました。


<票決の結果>

担当する委員(全4名)の全員が、国内産業が重大なダメージを受けていると判断した。


<FTA(Free Trade Agreement)締結国に対する調査結果>

※委員会が世界的なセーフガード調査での決定を下す際は、これらの国々に関する調査結果が必要となる。

輸入先の国重大な影響あり
と判断した
委員の数
メキシコ4名
カナダ3名
韓国4名
  • 豪州
  • コロンビア
  • ヨルダン
  • コスタリカ
  • エルサルバドル
  • グアテマラ
  • ホンジュラス
  • ニカラグア
  • ドミニカ
  • パナマ
  • ペルー
  • シンガポール
0名

<今後の予定>

  • 2017年10月3日:救済措置に関する公聴会を開催する。
  • 同年11月27日:同日までに、大統領報告書を提出する。
  • ?:これを受けて、大統領が最終決定を下す。


2016年に余剰な中国メーカー製品が大量に流入したことで、米国内での太陽電池モジュール価格は

と(買い溜め需要が発生した最近は別として)著しい低下が続いていました。

このような急激すぎる価格低下は、確かに製造業に甚大なダメージを及ぼすと思われるので、その点では今回のUSITCの判断は、妥当なものと考えます。


FTAの締結国で「重大な影響あり」と判断された国のうち、カナダにはCanadian Solar社、韓国にはハンファQセルズ社と、いずれも世界的な大手メーカーがあります。

そのため今回は、中国メーカーでは無いこれらのメーカーの製品に対しても、ダンピングとの判断がなされたと推測されます。


いっぽうメキシコについては良く判りませんが、ただ思い返すと、トランプ氏が米大統領への就任前後に、自動車メーカーによるメキシコでの工場新設を強く非難していました(例えば[2])。

それだけ同国は、生産コストの低減には有利であることが伺え、そのため太陽電池についても、中国メーカー等が(私は未確認ですが)生産拠点を構えている可能性は考えられます。


ただいずれにせよ、Suniva社の陳情を受けての調査では、米国外製の結晶シリコン太陽電池全てが対象になっていました。

そのため、大統領が米国外での生産品全てを対象とする措置を決定した場合、(これまでのように)生産国を毎度ズラして制裁関税を逃れるやり方は、もう通用しなくなると考えられます。

その際に、中国メーカーが今度はどのような対策を採るのか、というのは非常に気になるところです。


そして、Suniva社がUSITCに提出していた貿易保護策では、太陽電池モジュールの最低価格が、1年め0.78ドル/W〜4年め0.68ドル/Wとされています[3]。

これは(先述の)数ヶ月前までのスポット価格の2倍前後の水準であり、もしこれがそのまま適用・実行された場合は、(製造業の保護の一方で)米国内での太陽光発電設備の新設においては、ブレーキとなることが懸念されます。

この点の折り合いを、メキシコ国境の壁への太陽電池設置構想を披露していたトランプ氏がどう判断することになるのかは、かなり興味を惹かれるところです。


※参照資料:
[1]Crystalline Silicon Photovoltaic Cells (Whether or Not Partially or Fully Assembled into Other Products)(USITC、2017/9/22)
https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2017/er0922ll832.htm
[2]トランプ氏、トヨタに警告 「メキシコで製造なら高関税」(ロイター、2017/1/6)
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-toyota-idJPKBN14P2EV
[3]保護措置で米国が世界で最も太陽電池の高い国に!?(日経テクノロジーオンライン、2017/6/1)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/052900050/?P=2

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2017年06月25日

トランプ米大統領が米国・メキシコ間国境の壁を「ソーラーウォール」とする案を公表、売電収益で建設費用を軽減する考え

米国のトランプ大統領2017年6月21日に、アイオワ州での支持者集会において

  • 米国・メキシコ間国境に建設する方針のに、太陽電池パネルを設置して「ソーラーウォール」とする。
との案を発表していたとのことです[1]〜[3]。

今回は各記事から、その案の主な点を抜き出してみました。


電力を調達する 壁の建設場所は、日光が豊富である。
その壁に太陽光発電の機能を持たせることで、安価なエネルギーが調達できる。
建設費用を賄う 壁から得られる売電収益を、壁の建設費用に充てることで、メキシコ側の支払額が大幅に少なくできる。
(※トランプ氏は以前から、壁の建設費用はメキシコに負担させると主張している)
壁の価値 この方法だと、壁が高ければ高いほど、価値が上がる。

ただし、壁に太陽電池パネルを設置するという考え自体は、

  • 政府による壁の設計図募集に応募した企業
  • 「ウォールストリートジャーナル」紙への学者2名による寄稿
において、既に提案されていたとのことです。



先になされていた提案と、トランプ氏による今回の提案が、どの程度類似しているのかは判りません。

また、政策としての実行可能性も不明ですが、提案の内容が興味深いものであることは、確かだと思います。

何しろトランプ氏は地球温暖化に懐疑的な立場であり、実際に今月2日には「パリ協定」の脱退を表明(例えば[4])。

それだけに、太陽光発電を大規模に設置する今回の案は、非常に意外でした。


ただ思い返すと、特に昨年から、太陽光発電の発電コストの低下が目立っており、それは先進国である米国でも顕著です。

これに関する種々の情報は、流石に大統領であるトランプ氏の耳にも入っていると思われます。

そして、想定される経済的なメリットを第一の理由とし、更に

  • メキシコ側の態度軟化
  • パリ協定脱退に対する反発の軟化
への期待も勘案して、今回の「ソーラーウォール」案の発表に至ったのでは、と推測します。


とは言え、最重要機材である太陽電池モジュールの急激な価格低下は、トランプ氏が貿易不均衡と批判してきた中国(例えば[5])のメーカーに、良くも悪くも牽引されてきたもの。

その影響は

と、米国の産業への波及もみられます。

実際に5月には、Suniva社の陳情を受けて、米ITCが輸入太陽電池を対象とするセーフガード実施に向けた調査を開始しています。


そして、米国・メキシコ間の国境は3000km超[6]であり、これは日本列島の長さ(約3000km[8])にも匹敵する距離。

これに「ソーラーウォール」と呼ぶにふさわしいだけの太陽電池モジュールを設置するとなれば、どのような設置の仕方でも、莫大な枚数になると思いますが、それだけのモジュールをどのメーカーから調達するのか。

大雑把には

  • コストを優先:中国メーカー製
  • 国内産業の保護、製品の信頼性を優先:米国内での生産品
となると思われますが、どちらを重視するかは、トランプ氏にとって悩ましい課題となるのではないでしょうか。


ただし、物議を醸している米国・メキシコ間の「壁」に、建設的な意味と価値を持たせよう、という考え方自体には、個人的に強く賛同します。

実現するか否かは、トランプ氏の実行力とリーダーシップに依ると思いますが、将来的に氏の「実績」の一つとして挙げるに足るだけの、具体的な形になることを、是非とも願うものです。


※参照資料:
[1]米大統領「太陽光パネルの壁」 メキシコ国境に提案(宮崎日日新聞)
http://www.the-miyanichi.co.jp/news/World/2017062201001676.php
[2]トランプ大統領が新構想、メキシコ国境壁でソーラー発電(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/article?k=20170622035828a&g=afp
[3]トランプ米大統領、メキシコ国境の壁に太陽光パネル設置を提案(BBC)
http://www.bbc.com/japanese/40363546
[4]トランプ「パリ協定」脱退!地球温暖化防止よりアメリカの利益ファースト(J-CASTニュース)
https://www.j-cast.com/tv/2017/06/02299589.html
[5]鉄鋼・アルミ立法も…中国の不当廉売に対抗(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20170613/k00/00e/020/183000c
[6]アメリカ=メキシコ国境(ウィキペディア)
[7]メキシコとアメリカの壁(同上)
[8]日本列島は約3000kmとよく言われますが、それは…(Yahoo!知恵袋)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1162122561

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2017年06月07日

米ITCが結晶シリコン太陽電池セルにおけるセーフガード向け調査の実施を発表、米国外の生産品全てが対象

米国ITC(International Trade Comission)が2017年5月に、

  • 結晶シリコン太陽電池セルの輸入におけるセーフガード実施に向けて、調査を行う。
と発表していました[1]。

ここではその中から、主な内容を抜き出してみました。


調査の背景 国内の太陽電池セル・モジュールメーカー「Suniva」からの陳情を受けた。
(※同社は2017年4月13日に、連邦破産法11条の適用を申請している[2][3])
調査の内容 結晶シリコン太陽電池セルにおいて、
  • 輸入品と似た・または直接競合する製品
を生産する国内産業に対して、
  • 重大な傷害・脅威
の実質的な原因となるだけの増加量で、輸入品が米国に輸入されているかどうか。
※この調査については「非常に複雑(Extraordinarily Complicated)」と判断されている。
調査の対象となる製品 下記に該当する結晶シリコン太陽電池セル。
  • 部分的に・または完全に他の製品に組み立てられているか否か、を問わない。
    モジュール、ラミネート、パネル、建材一体型製品などを含む。(そしてこれらに限定されない)
    輸入後に組み立てられた製品も、調査対象となる可能性がある。
  • 厚さ20μm以上p/n接合を持つもの。
    電流を集める・送るための、各種加工や素材の付加の有無によらない。
  • PERC」セル、「HIIT(heterojunction with intrinsic thinlayer)」セル、その他の「ハイブリッド」セルを含む。
    (そしてこれらに限定されない)
調査の対象外
  • 米国内で製造された太陽電池セル。
  • 薄膜型太陽電池(アモルファスシリコン、CdTe、CIGS)
  • 結晶シリコン型セルでも、下記に当てはまるもの。
    • 消費者向け製品に永久的に組み込まれており、発電電力をその製品自体で消費する。
    • 合計面積が1万mm2を超えない。
スケジュール
  • 2017年5月17日:Suniva社からの陳情を受理。
  • 同8月〜10月:損害や救済に関するヒアリングを行う。
  • 同9月22日まで:損害の判断を決定する。
  • 同11月13日まで:大統領に報告書を提出する。


中国から輸入される太陽電池を対象とした米国の対抗的な動きは、私が知る限りでは2011年に始まっています。

実際に2012年に反ダンピング関税・相殺関税が決定された後、中国メーカーは台湾で太陽電池セルを生産するようになり、それに対して米国は台湾製の製品も対象に

しかしその後、中国メーカーは東南アジアに製造拠点を移して課税を免れた([3]の3p)とのことで、「米国外」で製造したセルを調査対象とする、との今回の米ITCの発表は、いたちごっこに痺れを切らした米国太陽電池メーカーの、代弁とも感じられます。

調査対象の製品(条件)は、過去の調査時と(生産地域を除いて)ほぼ同じであり、今回はあくまで、生産地をずらす「抜け道」を塞ぐことが、主目的であることが伺えます。


その是非は私には判断しかねるのでさて置くとして、ニュース記事[3]の2pには、Suniva社が米ITCに提出したという、結晶シリコン型太陽電池モジュールの最低価格案が掲載されています。

その価格(0.68〜0.78ドル/W)は、昨年9月に報じられた米国における中国製モジュールの価格(0.4〜0.55ドル/W)よりは高いものの、1ドル/Wは優に下回っており、米国ではこの価格水準(1ドル/W未満)が既に当たり前になっていることが伺えます。

2017年1〜3月の日本のモジュール出荷統計では、北米向け輸出は前年同期比78%減という激減振りでしたが、やはり日本メーカーの製品価格では既に対応できなくなっている、ということなのかもしれません。

中国メーカー製品に無理やり引っ張られている面も強いとは思いますが、それでも太陽電池のコストダウンが急速に進んでいること自体は間違いなく、これにどう対応していくかは、(日本に限らず)どのメーカーにとっても、直視せざるを得ない最大の課題なのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]Federal Register /Vol. 82, No. 104 /Thursday, June 1, 2017 /Notices(USITC)
http://www.usitc.gov/trade_remedy/731_ad_701_cvd/investigations/2017/Solar%20Panels/Safeguard/cspv_-_institution.pdf
[2]米国が太陽電池輸入にセーフガード発動検討、WTO加盟国に通知(Reuters)
http://jp.mobile.reuters.com/article/idJPKBN18P227
[3]保護措置で米国が世界で最も太陽電池の高い国に!?(日経テクノロジーオンライン)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/052900050/
[4]Suniva(Wikipedia)

※関連記事:

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2017年02月27日

EUが中国製太陽電池への反ダンピング措置を18ヶ月延長、今後は段階的に廃止する方針

ウェブサイト「CRI online」の記事[1](2017年2月9日付)で、

  • 欧州委員会が、中国製太陽電池製品を対象とするEUの反ダンピング措置について、今後の方針を決定した。
と報じられていました。

概要は次の通り。


適用期間 今回は18ヶ月延長する。
そして今後、段階的に廃止していく予定。
背景
  • EUにおいて、太陽光エネルギーは
    • 環境保護
    • 気候変動対策
    の目標実現のため、極めて重要なものと考えられている。
  • 今回の延長は、欧州委員会が
    • メンバー国の意見
    • EU内部の様々な利益
    等を考慮して提案し、採択したものである。

ただし2016/2/22時点では、欧州委員会のウェブサイトで、今回の発表に関する情報を見つけることができませんでした。


また記事[1]では、中国商務省による

  • 「EUは太陽電池製品に対し反ダンピング関税と反補助金関税を課す措置を一日も早く撤廃し、太陽電池製品市場の正常な状態を回復し、中欧双方にとっての真の互恵共栄関係を実現させるべきだ。」
等のコメントも紹介されています。


米国では昨年(2016年)、中国国内で余った同国製太陽電池モジュールが大量に流れ込んだ結果、モジュール価格が急落しており、同年第3四半期には中国製が0.5ドル/Wを下回る水準となっています。

欧州のほうの状況は不明ですが、独SolarWorld社がコスト競争力を強化するために、約400人の解雇を伴う見込みの、ドイツ国内生産拠点の再編を余儀なくされていることから、米国に近い状況となっていることが推測されます。

そのような市場環境の激変の元となっている国が、「太陽電池製品市場の正常な状態を回復」と言っても、何ら説得力を感じません。

ただし一方で、新興国でも太陽光発電の導入コストが劇的に下がっていることを考えると、中国企業がもたらしているモジュール価格の大幅な低下が、世界の太陽光発電の導入拡大に(結果として)大きく寄与していることも、また否定できないように思われます。

今回の欧州委員会の発表における「段階的に廃止」というところは、その点を配慮した結果なのかもしれません。


※参照資料:
[1]中国製太陽電池製品への反ダンピング措置を延長=欧州委(中国国際放送局)
http://japanese.cri.cn/2021/2017/02/09/141s257975.htm

※関連記事:

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2017年02月06日

三井物産が米SunEdison社の「Commercial & Industrial」部門を買収、世界で分散型太陽光発電開発のリーディングプレーヤーを目指す

三井物産2017年2月2日に、

  • SunEdison社の「Commercial & Industrial」部門を買収し、自社が新設した米国子会社「Forefront Power」に統合した。
と発表していました[1]。

概要は下記の通り。


背景・目的

  • 現在は
    • 企業のESG(Environmental, Social and Governance)戦略の強化
    • 自然災害に備えた、電力網の強靭性ニーズの高まり
    • 政府による再エネ導入支援
    • 太陽電池パネルの価格下落
    等のトレンドにより、先進国を中心に多くの国で、需要家向けの分散型太陽光発電が、成長分野として注目されている。
  • SunEdison社のCommercial & Industrial部門は、米国の分散型太陽光発電事業(工場・商業設備の屋上や遊休地を利用)の先駆者であり、その実績は累計800MW超に達している。
  • 三井物産はIPP(独立系発電事業者)として現在、世界各国に約11GWの発電資産を保有している。 今後は
    • 再エネ電源の増加
    • 電源の分散化
    • 蓄電池の普及
    等の環境変化を見据えて、新たな次世代電力事業ビジネスモデルの構築を進める方針である。

今後の方針

  • Forefront Power社として、米国内外での分散型太陽光発電開発分野のリーディングプレーヤーを目指す。
  • 同社は、三井物産の次世代電力事業を推進するプラットフォームとしての役割を担い、
    • 多様化する需要家ニーズに応えるエネルギーマネジメントサービスを提供する、新たなビジネスモデルの開発
    • 分散型太陽光発電事業グローバル展開(総合商社としての三井物産の世界的ネットワークを活用)
    を進める。

ただしSunEdison社のサイト[2]では、当記事の作成時点(2017/2/5)で、この件に関する発表は掲載されていませんでした。


SunEdison社が2016年4月に経営破たんしていたこともあるとは思いますが、それでも日本企業が、米国で名を馳せた太陽光発電企業の事業を買収する日が来るとは、夢にも思いませんでした。

SunEdison社の今後がどうなるのかが気になる一方で、三井物産としては今回の買収により、米国をはじめとする海外での分散型太陽光発電事業の拡大に、大きな弾みをつけられるのではないでしょうか。

また数年前のことになりますが、三井物産SunEdisonは両社とも、太陽光発電で駆動する農業用の灌漑ポンプに関する取組みを行っていました。

これが今回の買収範囲に入っていたかは不明ですが、場合によっては三井物産がSunEdisonの開発機器を用い、新興国の農業向けの展開を拡充する可能性もあるのでは、と考えます。


※参照資料:
[1]リリース | 米国SunEdison社Commercial & Industrial部門の買収(三井物産)
http://www.mitsui.com/jp/ja/release/2017/1222449_10838.html
[2]Press Releases(SunEdison社)
http://investors.sunedison.com/phoenix.zhtml?c=106680&p=irol-news&nyo=0

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2016年10月03日

米国での中国製太陽電池パネル価格は40〜55セント/W、中国市場での供給過剰が遠因

2016年9月29日の「日経テクノロジーonline」の記事[1]で、米国の太陽光発電市場の現状が紹介されていました。

ここではその中から、特に興味深いと思ったデータ等を抜き出してみました。


2016年の米国市場の規模

※「U.S. Solar Market Insight Q2 2016」(SEIAとGTM Researchが発表)から。

  • 2Qの導入量:2GW(前年同期比43%増)
  • 通年の市場規模予想:約14GW(前年比85%増)
    うち70%以上が「Utility」セグメントとみられる。

太陽電池パネルの価格

※SPV Market Research社のPaula Mints氏による。

  • 米国における中国製パネルの価格40〜55セント/W
    ※これは反ダンピング関税も含んでの水準。
  • 背景
    中国では
    • 政府が要求していた2016年の設置容量:15GW
    • 同年のメーカーからの供給量予想:約28GW
      (国内市場に期待して大量生産された結果)
    と、パネルの供給が大幅過剰になっている。
    この過剰パネルの有望な行き場として、米国とインドが挙げられ、米国ではパネル価格が大幅に下落した。

住宅用におけるネットメータリング制度改定の影響

※Lawrence Berkeley National LaboratoryのGalen Barbose氏による。

  • 実例
    アリゾナ州の電力会社「Salt River Project」は、2014年末に住宅用にデマンド・チャージ課金制度を導入。
    その結果、系統接続の申し込み数は
    • 2014年4Q:3565
    • 2015年1Q:64
    と激減した。
  • 理由
    一般住宅の最大需要は、主に夕方や早朝に起こる。
    これは太陽光発電の発電ピークと合わず、太陽光発電によるデマンドチャージ引き下げが期待できない。

太陽電池パネルのコストは、つい数年前までは「1ドル/W」が目標とされていましたが、米国では2013年に0.65ドル/Wに到達

そして今回はそれも大きく下回っており、大手メーカーの業績発表で軒並み価格競争の厳しさが挙げられていたことも、合点が行きます。

とはいえその背景になっているのが、中国市場における地元メーカーによる供給過剰となると、Suntech Powerの主要子会社(無錫サンテック)独Qcellsが経営破たんし、中国大手メーカーが軒並み長期の赤字に陥った、ほんの数年前の苦い記憶が蘇ります。

もっとも今回は、米国でICT(投資税額控除)の5年延長が決定していることから、少なくともその期間は、米国市場での需要が維持されるのかもしれません。

ただし、もう1つの有望市場とされるインドについては

といった状況がまだ続いているのであれば、価格競争力が強いとはいえ、簡単には行かないようにも思われます。


もうひとつ米国市場で気になるのは、住宅用設備の(電力料金削減における)メリットが削られる見込み、ということです。

2016年通年の予想導入量の約7割が大規模設備となると、住宅用の導入ペース減速が及ぼす影響は限られるとは思います。

しかし、従来のように単純な(需給の)電力量の差し引きではなく、リアルタイムの需給を反映した制度に移行する動きが出ているのは、米国においても(日本と同様に)太陽光発電の大量導入に伴う電力系統の安定維持が、より大きな課題となってきていることの表れだと思われます。

発電設備の導入・運営コストを低減するだけでなく、蓄電池にしろ水素利用にしろ、電力需給のマッチングを高度に実現できる(そしてコスト面で十分に実用可能な)手段を確立することが、再エネの本格普及における抜き差しならない課題なのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]米太陽光発電市場は安泰!?、パネル価格は40セント/W!(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/092700032/
[2]米加州の「ネットメータリング」制度が改正へ(同上)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/010700011/

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2016年09月12日

Jinko SolarがEUでの太陽電池の販売価格合意から脱退、市場の価格下落が正確に反映されていないと主張

Jinko Solar社が2016年9月8日に、

  • EUにおける太陽電池の販売価格合意から脱退した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


背景

  • Jinko Solarが参加していた価格合意では、EU内で販売する太陽電池セルとモジュールについて、固定された最低輸入価格MIP)で販売しなければならない。
    これに合意しない中国メーカーは、反ダンピング(AD)・反補助金(AS)の義務として、一定割合の価格上乗せが必要となる。
    (※JinkoSolarの場合は、ADが41.2%、ASが6.5%)

脱退の理由

Jinko Solar社では慎重に戦略的検討を行った結果、次のように判断した。

  • この価格合意ではもはや、EUにおける自社事業の継続的拡大が見込めない
  • この貿易保護主義は、市場の公正な競争やPV産業全体の発展を妨げ、また消費者も傷つける。
  • 現在のMIPsはもう、現在の市場の価格環境(全てのEU市場における平均販売価格(ASP)の継続的な低下)を正確に反映しておらず、これら市場における自社の競争力を深刻に侵食している。
  • 自社の競争力が不当に妨げられていると感じていることから、今回の脱退を選択した。 この措置により、自社の
    • ブランド
    • 技術力
    • 世界的な生産施設群
    • 大規模な顧客ベース
    を強化するための、より良いポジションに付けると考えている。

今後の方針

  • 欧州の顧客へのコミット継続し、自社製品の供給続ける予定

ニュース記事[3]で紹介されている通り、Trina Solar社も昨年12月に、同様の措置(EUにおける価格合意からの脱退)を発表していました[2]。

中国メーカーに課されている最低輸入価格の具体的な水準(例えば欧州内メーカーと比べてどうなのか)は判りませんが、反ダンピング・反補助金の上乗せ義務は

ADAS
Trina Solar47.7%3.5%
Jinko Solar41.2%6.5%
といずれも合計50%前後であることから、最低輸入価格はここまででは無いにしろ、恐らく(中国メーカーが本来希望する価格より)かなり上に設定されていることが推測されます。

個人的にこの手の話で最も気になるのは(これは米国での措置も同様ですが)、課された価格合意にどれだけの合理性・正当性があるのか、という点です。
(※これは管理人がEU側と中国メーカー側のどちらかに肩入れする、ということではありません)

当ブログでチェックしていた限りでは、2013年に

との情報がありました。

それから3年が経過した中で、例えば中国政府による企業支援策も変化している可能性があり、更に市場における販売価格の低下が著しいのであれば、確かに最低輸入価格の設定についても、各種の状況変化を考慮して変えていく必要はあるように思われます。

また、最近(2016年2Q)の業績を見ると、中国大手メーカーはモジュール出荷量・売上高ともに大きく伸びており、また価格競争が厳しい中でも一定の利益率を維持しています。

これが企業努力のみによるものなのか、それとも政府からの実質的な補助を背景とするものなのかは、私のような一般の人間には(根拠となる材料の乏しさから)判断がつきませんが、ともかくEU側・中国企業側ともに自分の正当性を主張するだけでは、どちらも広く理解や支持を得ることはできないのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]JinkoSolar Announced Withdrawal from EU Price Undertaking(Jinko Solar社)
http://www.jinkosolar.com/press_detail_1218.html?lan=en
[2]Trina Solar Announced Withdrawal from EU Price Undertaking and to Supply EU Markets through its Overseas Manufacturing Facilities(同上)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2121951
[3]ジンコソーラー、欧州の反ダンピング最低価格協定から脱退(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/091003998/?rt=nocnt

※関連記事:

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