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2016年09月12日

Jinko SolarがEUでの太陽電池の販売価格合意から脱退、市場の価格下落が正確に反映されていないと主張

Jinko Solar社が2016年9月8日に、

  • EUにおける太陽電池の販売価格合意から脱退した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


背景

  • Jinko Solarが参加していた価格合意では、EU内で販売する太陽電池セルとモジュールについて、固定された最低輸入価格MIP)で販売しなければならない。
    これに合意しない中国メーカーは、反ダンピング(AD)・反補助金(AS)の義務として、一定割合の価格上乗せが必要となる。
    (※JinkoSolarの場合は、ADが41.2%、ASが6.5%)

脱退の理由

Jinko Solar社では慎重に戦略的検討を行った結果、次のように判断した。

  • この価格合意ではもはや、EUにおける自社事業の継続的拡大が見込めない
  • この貿易保護主義は、市場の公正な競争やPV産業全体の発展を妨げ、また消費者も傷つける。
  • 現在のMIPsはもう、現在の市場の価格環境(全てのEU市場における平均販売価格(ASP)の継続的な低下)を正確に反映しておらず、これら市場における自社の競争力を深刻に侵食している。
  • 自社の競争力が不当に妨げられていると感じていることから、今回の脱退を選択した。 この措置により、自社の
    • ブランド
    • 技術力
    • 世界的な生産施設群
    • 大規模な顧客ベース
    を強化するための、より良いポジションに付けると考えている。

今後の方針

  • 欧州の顧客へのコミット継続し、自社製品の供給続ける予定

ニュース記事[3]で紹介されている通り、Trina Solar社も昨年12月に、同様の措置(EUにおける価格合意からの脱退)を発表していました[2]。

中国メーカーに課されている最低輸入価格の具体的な水準(例えば欧州内メーカーと比べてどうなのか)は判りませんが、反ダンピング・反補助金の上乗せ義務は

ADAS
Trina Solar47.7%3.5%
Jinko Solar41.2%6.5%
といずれも合計50%前後であることから、最低輸入価格はここまででは無いにしろ、恐らく(中国メーカーが本来希望する価格より)かなり上に設定されていることが推測されます。

個人的にこの手の話で最も気になるのは(これは米国での措置も同様ですが)、課された価格合意にどれだけの合理性・正当性があるのか、という点です。
(※これは管理人がEU側と中国メーカー側のどちらかに肩入れする、ということではありません)

当ブログでチェックしていた限りでは、2013年に

との情報がありました。

それから3年が経過した中で、例えば中国政府による企業支援策も変化している可能性があり、更に市場における販売価格の低下が著しいのであれば、確かに最低輸入価格の設定についても、各種の状況変化を考慮して変えていく必要はあるように思われます。

また、最近(2016年2Q)の業績を見ると、中国大手メーカーはモジュール出荷量・売上高ともに大きく伸びており、また価格競争が厳しい中でも一定の利益率を維持しています。

これが企業努力のみによるものなのか、それとも政府からの実質的な補助を背景とするものなのかは、私のような一般の人間には(根拠となる材料の乏しさから)判断がつきませんが、ともかくEU側・中国企業側ともに自分の正当性を主張するだけでは、どちらも広く理解や支持を得ることはできないのではないでしょうか。


※参照資料:
[1]JinkoSolar Announced Withdrawal from EU Price Undertaking(Jinko Solar社)
http://www.jinkosolar.com/press_detail_1218.html?lan=en
[2]Trina Solar Announced Withdrawal from EU Price Undertaking and to Supply EU Markets through its Overseas Manufacturing Facilities(同上)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2121951
[3]ジンコソーラー、欧州の反ダンピング最低価格協定から脱退(日経テクノロジーonline)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/091003998/?rt=nocnt

※関連記事:

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2016年08月29日

First SolarとSunPowerの2016年2Qは売上堅調も利益は大幅減、各々に事業方針の転換あり

今回は、米国の大手モジュールメーカー2社(First SolarSunPower)の2016年第2四半期(2016/4-6)業績[1][2]から、主な数字や状況を抜き出してみました。

概要は下記の通り。


業績

※カッコ内は前年同期比(※当ブログ管理人が計算)または前年同期の実績値。

売上高営業利益純利益モジュール
生産量
First Solar約9.3億ドル
(4%増)
約890万ドル
(84%)
約1300万ドル
(86%)
約785MW
(39%増)
SunPower約4.2億ドル
(10%増)
約7500万ドルの赤字
(約3300万ドルの赤字)
約7000万ドルの赤字
(約650万ドルの黒字)

主な状況

First Solar
  • モジュール販売の好調
  • 発電所事業の収入
により、売上高は堅調だった。
ただ、TetraSunの結晶シリコン製品の生産終了決定に伴う税引前事業再編費用(8600万ドル)が、利益に大きな影響を及ぼした。
SunPower分散型分野(商業用・住宅用)・発電所セグメントともに好調だった。
しかし発電所セグメントでは
  • 投資税額控除の延長などにより、プロジェクト完成の緊急性が縮小
  • 多数の事業者の新規参入による、PPAの攻撃的な価格設定
  • 顧客のプロジェクトのIRR上昇
  • YieldCo環境における、市場の継続的な混乱
といった要因があり、2016年後半の業績に影響すると予想される。
このため今後は、分散型発電セグメントに投資をシフトしつつ、発電所セグメントの合理化を進める方針。
その他に、コア市場(主にアメリカ)に適応するための生産体制再編として、フィリピンのパネル組立工場を閉鎖し、メキシコ工場の設備を最新のものに換えていく。

両社とも売上高が堅調な一方で、利益は意外にも大きく減らしています。

もっともこれには各社固有の理由があり、まずFirst Solarのほうは、TetraSun製品の生産停止決定が特に響いた模様。

それにより営業経費では「Restructuring and asset impairments」が約8600万ドルとなっていますが、これを除いた営業経費は前年同期より縮小しているので、今回の利益の大幅減少は特殊な状況と思われます。

いっぽうSunPower社は、全てのセグメントが好調な筈ながら、前四半期に続いて大幅な赤字となっていますが、その理由はどうにも判りません。

ただ(今回は抜き出さなかった)セグメント別の売上高と売上原価を見ると、「Residential」「Commercial」は売上高と原価の両方が(前年同期比で)増加しています。

しかし「Power Plant」では、売上高が減りつつ売上原価は増えており、今年後半の業績に影響してくるとされている発電所セグメントのマイナス要因は、今回の2Q決算で既にその影響が出ているのではないでしょうか。

そしてそれを受けての分散型発電(DG)セグメントへのシフトですが、ちょうど今月には日本の三菱商事が米国で同分野を手がけるNexamp社への出資を発表しており、米国内ではこれから、分散型市場が活発化していくのかもしれません。

ともかく事情は異なるとはいえ、両社とも事業の小さくない転換を打ち出しているのは、海外市場の変化が伺えて興味深いです。


※参照資料:
[1]First Solar, Inc. Announces Second Quarter 2016 Financial Results(First Solar社)
http://investor.firstsolar.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=982733
[2]Earnings Presentation(同上)
http://investor.firstsolar.com/common/download/download.cfm?companyid=FSLR&fileid=903018&filekey=FD232B40-59A1-4008-BD0C-5EA221D5A01E&filename=Q216_Earnings_Call_Presentation_Final.pdf
[3]SunPower Reports Second Quarter 2016 Results(SunPower社)
http://newsroom.sunpower.com/2016-08-09-SunPower-Reports-Second-Quarter-2016-Results
[4]Q2 2016 Supplemental Earnings Slides(同上)
http://investors.sunpower.com/common/download/download.cfm?companyid=SPWR&fileid=904127&filekey=1A16FF5C-A508-440B-A98E-C87187256035&filename=Q216_Supplementary_Slides_Final.pdf

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2016年08月22日

三菱商事が米Nexamp社に出資、米国で小規模分散型PV事業への進出を狙う

三菱商事2016年8月10日に、

  • 米国子会社「Diamond Generating Corporation(DGC)」を通じ、分散型太陽光発電事業を手がけるNexamp社に出資参画した。
と発表していました[1]。

概要は次の通り。


背景

  • 米国では最近の数年で
    • 石炭火力発電所の閉鎖
    • ガス火力発電所の増加(シェールガスの採掘増による)
    が続いており、加えて再エネ発電の導入も、大規模集中型の風力・太陽光を中心に進んでいる。
  • 一方で同国では、小規模の分散型太陽光発電事業(遊休地や、住宅・商業施設の屋上を利用)が
    • 太陽電池パネルの価格低下
    • 連邦・州レベルの支援政策
    等も支えとなり、最終需要家(一般家庭を含む)の電力負担軽減を実現できるとして、成長分野として注目されている。
  • 米Nexamp社は、分散型PVの開発・建設・運転保守・資産管理を手掛けている。
    これまでの開発実績は、米国北東部を中心に約5万kWに達しており、今後も同分野での事業拡大を計画している。
  • 三菱商事はIPPとして、世界で発電事業の開発・運営を手がけており、事業環境の変化を捉えて、新しいビジネスモデルに取組んでいく方針である。

今後の方針

  • 三菱商事は今回の出資により、Nexamp社の筆頭株主となり、同社の経営に参画する。 そして米国分散型太陽光発電事業に取組みつつ、今後の
    • 事業拡大
    • 更なるビジネスモデルの変革
    による、事業価値の最大化を目指す。

今回の発表だけでは正直、具体的な事業内容がいまいち判りませんが、関係各社のサイトを見ると、ある程度の状況が浮かび上がってきます。

まずDGC社が保有している資産(発電施設)は、米国内のガス火力発電や風力発電であり[2]、これは今回のプレスリリース[1]で言及されている、米国内の近年の動向(ガス火力の増加、大規模風力の増加)に沿っています。

次にBloombergの記事[3]では、DGC社が米国市場において

  • Community solar
  • commercial and industrial projects
を、(住宅用や大規模発電所より成長が遅い分)事業機会が多い今後の有望市場と見ていることが、同社副社長のコメントの中で述べられています。

また同記事では、nexamp社がマサチューセッツ州における「Community solar」の先駆者であることも紹介。

そして同社のサイト[4]では、その「Community solar」が強くPRされており、今回の三菱商事の発表にある「小規模の分散型太陽光発電事業」は、主にこのCommunity solarを年頭に置いたものと推測されます。

nexamp社が「Solarize My Bill」プログラムと銘打つCommunity solarのサービスでは、地域の住民や中小企業などが太陽光発電所を共有し、設備の建設・運営保守などはnexamp社が一手に担うとのこと。

そして共同保有者は、電力料金を15%削減できるとされており、これらはかなり魅力的なメリットに映ります。
(もちろん実際の経済的恩恵は、共同保有に参加する条件(支払額など)によるとは思いますが)

米国での住宅用PVに関しては、需要者が低負担で導入できる方策(設備のリースなど)が積極的に用いられていますが、中小規模の(日本で言うところの)非住宅設備についても、Community solarのような方法が提案されているのは非常に興味深いことです。

今回の出資参画を通じて、三菱商事が将来的に、米国以外でも小規模分散型PV事業を展開するかどうかは全く判りませんが、現在は縮小しつつある日本市場がいつか再び盛り上がる際に、Community solarの手法が一つのカンフル剤の役割を担うことも、淡くですが期待したいと思います。


※参照資料:
[1]米国分散型太陽光発電事業会社への出資参画について(三菱商事)
http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2016/html/0000030834.html
[2]Generation Assets(Diamond Generating Corporation)
http://www.dgc-us.com/assets4.htm
[3][Bloomberg] Mitsubishi’s Diamond Unit Buys Minority Stake in Solar Company(nexamp社)
http://nexamp.com/article/bloomberg-mitsubishis-diamond-unit-buys-minority-stake-solar-company
[4]Community Solar(同上)
http://nexamp.com/what-we-do/community-solar

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2016年08月08日

英国での太陽光発電による発電電力量が、2016年5月・7月に石炭火力を上回る

ウェブサイト「Carbon Brief」が2016年6月7日に、自身による英国についての調査結果として

  • 英国内での太陽光発電による発電電力量が、2016年5月には石炭火力を初めて上回った
と報じていました[1]。

また同記事では8月1日に、新しい数字(7月実績)が追記されています。

今回はこの記事の中から、幾つかの数字や状況を抜き出してみました。


太陽光発電が石炭火力を上回った月

PVの発電電力量石炭火力との比較
2016年5月1336GWh50%上回った
7月1273GWh64%上回った

この結果は、

  • 石炭火力の出力低下
  • 日照時間の長さ
が組み合わさったことによる。


英国の電力需要に占める、PVと石炭火力の割合

太陽光発電石炭火力
2016年1月0.9%16.9%
5月5.9%3.9%
7月5.6%3.4%


これらの結果については、石炭火力の発電能力(設備)自体が減少していることも大きく影響しているようですが、それでも先進国の1つである英国において、太陽光発電が明らかに電源の一角を占める存在となっていることには驚かされ、また太陽光発電の実力も感じられます。

ただしその一方で、1月と5月・7月の差では、PVの出力には季節的な変動が非常に大きいことも示されています。

また、石炭火力は縮小しているとはいえ、風力発電の低下分を補うように出力が増した時期(6月初め)があり、再エネ発電の出力の変動を補完する重要な役割は、変わらないことも伺えます。

太陽光発電の導入量拡大を巡っては、その出力変動を緩和するための手段(火力発電など)がセットで必要となることも、よく指摘されていますが、その点について英国がどう対応していくのかというのは、日本での更なる導入拡大の可能性を探るうえでも、注目したいところです。


※参照資料:
[1]Analysis: Solar beats coal over a whole month in UK for first time(Carbon Brief)
https://www.carbonbrief.org/analysis-solar-beats-coal-over-a-whole-month-in-uk-for-first-time
[2]英国、月間発電量で太陽光が石炭火力を上回る(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO05718140V00C16A8000000/

※関連記事:

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2016年05月02日

米SunEdison社が、連邦破産法11条の適用を申請

SunEdison社が2016年4月21日に、

  • 連邦破産法11条の適用を申請した。
と発表していました[1]。

ただし、同社は300万ドルの資金調達の合意を確保しており、その資金により

  • 現在進行中のプロジェクト(米国内外)の推進
  • 従業員への給与の支払い
  • 顧客へのサービス提供

等は継続する方針とのことです。

また日経新聞の記事[2]では、次の状況・数字が示されています。

  • 背景
    • 積極的なM&Aによる負債の増大
    • 火力発電のコスト競争力アップ(原油価格の下落による)
  • 負債総額:2015年9月末時点で161億ドル

私もSunEdison社の名前は良く目にする機会があったので、今回の破産申請(しかも1兆円以上という負債規模)には非常に驚きました。

ただ、解散が命じられた中国のLDK Solar社の場合とは違い、あくまで事業の継続・経営再建を前提としていることが伺えます。

個人的にはSunEdison社に関しては、

が印象深いので、これらの取組みがどうなるのかは、かなり気になるところです。


※参照資料:
[1]SunEdison Undertakes Chapter 11 Reorganization(SunEdison社)
http://investors.sunedison.com/phoenix.zhtml?c=106680&p=irol-newsArticle&ID=2159218
[2]太陽光発電の米サンエジソン、破産法申請(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN21H2K_S6A420C1000000/

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2015年07月03日

米Advanced Energy社が、PV向けインバータ事業からの撤退を決定

Advanced Energy社が2015年6月29日に、太陽光発電向けインバータ事業から撤退する方針を、発表していました[1]。

今回は、この発表に書かれている主な状況を抜き出してみました。


  • 撤退の背景
    • 2014年末〜2015年1Qにかけ、「Precision Power」分野は自社のビジネスモデルの強みを強化した。
      この6ヶ月間の大規模な戦略的プロセスを経て、
      ・「Precision Power business」にのみ注力していく
      ・「Solar Inverter business」からは徐々に撤退する
      との方針を決定した。
    • ソーラーインバータ事業については、最近の6ヶ月間で様々な方策(潜在的な売却、合弁事業、スピンオフ、ライセンス等)を模索してきた。
      しかし現在までに、株主・顧客・従業員・パートナーに最善の利益をもたらしうる条件を、見出すことができなかった。
  • 事業撤退にかかる費用:計2億6000万〜2億9000万ドルの見込み。
  • 今後の対応
    撤退にあたっては、事業担当(AE Solar Energy Inc., AEI Power GmbHとその子会社)が
    • 購入済み顧客のサポート
    • 受注分への十分な対応
    を行い、整然と実行されると見込んでいる。

ただし、ソーラーインバータ事業の最近の業況については、全く記載がありませんでした。


専門誌の以前の調査[4]では、Advanced Energy社は2013年度に、PV向けパワコンの出荷量(容量ベース)で、SMAとABBに次ぐ世界第3位でした。
加えて、地元・米国の太陽光発電市場は現在好調であるだけに、今回の撤退決定は非常に意外でした。

ただ最近を思い返すと、パワコンでは東京三菱電機産業システム社が、99kW超で2014年の世界シェア1位になっていました。

Advanced Energy社の製品ラインナップ[2]は、産業用限定と見受けられますが、世界的にPV市場が急拡大する中で、他メーカーも競争力を急速に高めていることが、撤退決定の外部的な主因だったのかも・・・と想像します。

そして、世界大手メーカーの1社の(「徐々」とはいえ)撤退が、世界のパワコン市場の勢力図に、今後どのような変化をもたらすのかは、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1]Advanced Energy to Wind Down Solar Inverter Business to Focus on Precision Power Business(Advanced Energy社)
http://www.advanced-energy.com/en/news_2015_06_29.html
[2]Solar Inverters(同上)
http://solarenergy.advanced-energy.com/en/Products.html
[3]太陽光発電用パワコンから撤退、米Advanced Energy(日経テクノロジーオンライン)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20150702/425880/
[4]Solvisto誌 2014年1月号12p
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2015年04月08日

米国が「Solar Ready Vets」プログラムで、退役軍人のPV業界への就職を推進

米国のオバマ大統領が2015年4月3日に、「Hill Air Force Base」(ユタ州)で行った演説で

  • 退役軍人の太陽光発電業界への就職を進める訓練プログラム「Solar Ready Vets」について、実施拠点を国内の10基地まで拡大する。
との方針を発表したとのことです[1][2]。

これとDOEのサイト[3][4]から、同プログラムの概要をまとめてみました。


背景

  • 米軍では今後数年間で、最低19万人が退役する見込みである。
    退役軍人が市民生活に戻るうえでは、職を見つけることが最大の課題の一つになっており、その対策として、国防総省(DOD)は「SkillBridge Initiative」に取り組んでいる。
  • 太陽光発電業界は、
    • 累計発電容量:2014年末時点で推定20GW。(2008年(1.2GW)の17倍
    • 雇用
      過去4年間86%増加。
      2014年には、国内の新規雇用78件につき1件が同業界によるものだった。
      また現在では、フルタイムの労働者は17万4000人近くに達している。
    と、米国で最も急成長している産業の一つになっている。
  • これらの状況を受けて、エネルギー省(DOE)と国防総省が共同で、2014年9月に「Solar Ready Vets program」を立ち上げた。
    これは「SunShot Initiative」及び「SkillBridge Initiative」の一環として、軍人が再エネ分野に就職するためのトレーニングを提供するものである。

プログラムの概要

  • 訓練内容
    受講者は
    • 太陽電池パネルのサイズ選定と設置
    • 電力系統への接続
    • 地域の建築基準法の解釈と準拠
    の方法などを学習。
    太陽光発電システムの
    • 設置者
    • 営業担当者
    • システム検査官
    等、PV業界のキャリアの広範囲をカバーする。
  • 指導者
    「Solar Instructor Training Network(SITN)」(SunShot Initiativeの取り組みの一つ)のマスタートレーナーが担当する。
  • 実施場所
    初期は
    • Camp Pendleton(カリフォルニア州)
    • Fort Carson(コロラド州)
    • Naval Station Norfolk(ヴァージニア州)
    • Hill Air Force Base(※2015年秋に開講予定)
    の4拠点でスタートし、今後10拠点まで拡充する予定。
    (※残り6拠点は現在未定で、
    • 退役軍人の人数
    • 周辺地域の太陽光発電市場の強さ
    • SITNの受入れ能力
     を考慮して決定する)
  • 企業の協力
    • Solar City
    • Vivint Solar
    • Sunrun
    • SunEdison
    • SunPower
    等、国内大手のPV関連企業が、就職に向けた卒業生との面接を行うことで同意している。
    (※企業側に卒業生を雇用する義務は無いが、2015年2月の卒業生(最初のクラスの20名)は、全員が就職のオファーを受けた。)
  • 受講対象者:数ヶ月以内に退役予定の軍人。
  • 訓練期間4〜6週間
  • 受講費用:無料。

カリフォルニア州のように日射量が豊富な(=発電電力量が多くなる)地域があること、また導入促進策がFITメインで無い[5]ことが、市場の不安定さを軽減していると推測され、その点で日本が安易に真似ることはできないとは思います。

そして「Solar Ready Vets」自体も、まだ端緒についたばかりですが、それでも世界最大の大国・米国において、太陽光発電産業が、退役軍人の有望な就職先の一つとして認められつつある、ということには驚かされます。

元軍人とPVという組み合わせも一見ユニークですが、例えば日本の自衛隊でも、在任中に多様な資格(溶接や重機の運転など)の取得機会が多いと聞いており、その意味では軍で身につける職業的なスキルと、分散型電源を幅広く設置していくPV産業は、意外に相性が良いのかもしれません。

もう一つ、([1]で言及されている)PV導入が国の「防衛」(エネルギーの安全保障の向上)につながる、という考え方は、First Solar社の日本市場参入時の発表[6]にもあったもので、これは日本も見習うべきだと考えます。


※参照資料:
[1]Solar Ready Vets: Preparing Our Veterans to Join the Growing Solar Workforce(米エネルギー省)
http://energy.gov/articles/solar-ready-vets-preparing-our-veterans-join-growing-solar-workforce-0
[2]米、退役軍人の太陽光発電業界就職を後押し(WSJ)
http://jp.wsj.com/articles/SB12451244521881693796604580561233902428118
[3]Solar Ready Vets(米エネルギー省)
http://energy.gov/eere/sunshot/solar-ready-vets
[4]Frequently Asked Questions About Solar Ready Vets(同上)
http://energy.gov/eere/sunshot/frequently-asked-questions-about-solar-ready-vets
[5]再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の見直しは可能か(国際環境経済研究所)
http://ieei.or.jp/2013/09/special201204036/
[6]First Solar to Invest $100 Million in Japan(First Solar社)
http://investor.firstsolar.com/common/download/download.cfm?companyid=FSLR&fileid=707290&filekey=61e79562-418a-44c8-99bc-6103adce24e2&filename=First_Solar_to_Invest_in_Japan-_FINAL_JP11122013.pdf
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2014年12月27日

米商務省が、中国・台湾製結晶シリコン太陽電池のダンピング幅・補助金幅(最終調査結果)を公表

米商務省(DOC)が2014年12月16日に、中国と台湾製の結晶シリコン型太陽電池製品における、ダンピング幅・補助金幅の最終調査結果を発表していました[1]。

概要は下記の通り。


対象となる製品

※先にCVD・ADの適用となっている製品は対象外。

  • 中国製モジュール海外製セルを用いたもの含む)
  • 台湾製セルを用いて第三国で生産したモジュール
    第三国製セルを用いて台湾で生産したモジュールは対象外

調査結果

  • ダンピング幅
    中国
    • Trina Solar26.71
    • Renesola、Jinko Solar78.42
    • リスト掲載の43社(BYD、Canadian Solar、Hanwha SolarOne、Yingli、JA Solar等):52.13
    • 中国全体165.04
    台湾
    • Gintech Energy27.55
    • Motech11.45
    • 他社19.50
  • 補助金幅
    中国
    • Trina Solar49.79
    • 無錫Suntech、Rietech、Ren De New Energy、Kuttler Automation Systems27.64
    • 中国全体38.72
  • 2013年の該当製品の推定輸入額
    ※過去年からの増減は当ブログ管理人が計算。
    • 中国から:約15億ドル(2011年比52、2012年比28%
    • 台湾から:約6億5700万ドル(2011年比156%増、2012年比28%増)

今後の予定

  • ITCによる損害の最終決定は、2015年1月29日頃の予定。
    これで肯定的な決定をされた場合は、商務省がAD・CVDの注文を発行する。
    一方、否定的な決定をされた場合は、それで調査終了となる。

中国からの輸入規模は量・金額ともに減少幅が著しく、先に実施している制裁措置が相当に響いていることが推測されます。
(輸入額の減少については、メーカーによる生産コスト低減が進んでいることもあるとは思いますが)

今回の調査結果での報告レートは、その実施済み措置での数値や、2013年に欧州委員会が認定した補助金割合(売上高の11.5%相当)より大きく、ITCがこれを正式認定した場合は、中国から米国への太陽電池輸出が更に減少することは、避けられないと考えます。

また台湾製品についても、これまでの3年間で米国の輸入額は(中国製品と対照的に)大幅に伸びていますが、前回措置後の中国製品の減り幅を見ると、ダンピング幅が中国製品より小さめとはいえ、かなりの影響を受けることが懸念されます。

ただ米国太陽光発電市場が受ける影響については、例えばCanadian Solarが懸念を表明しています[2]が、米国の太陽光発電導入量は前回の措置実施後も順調に拡大を続けており、今回の認定レートによる制裁措置が実行されたとしても、影響は限定的なものに留まると予想します。


※参照・参考資料:
[1]Commerce Finds Dumping of Imports of Certain Crystalline ...(米商務省)
http://enforcement.trade.gov/download/factsheets/factsheet-multiple-certain-crystalline-silicon-photovoltaic-products-ad-cvd-final-121614.pdf
[2]Canadian Solar's Statement on the Latest AD/CVD ruling by United States Department of Commerce
http://investors.canadiansolar.com/phoenix.zhtml?c=196781&p=irol-newsArticle&ID=2001023

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2014年05月02日

英国の太陽光発電の新規導入量は、最近6ヶ月(2013年10月-2014年3月)で1.54GWに到達

SolarBuzz社が2014年4月に、英国内の太陽光発電設備の導入量などについての調査結果を発表していました[1][2]。

主な内容・数字は下記の通り。

新規導入量

  • 2013年4Q(10-12月)〜2014年1Q(1-3月)(計6ヶ月間):1.54GW
    • 種類別:地上設置型78%、屋根設置型22%。
    • 規模別
      250kW超の事業(131件)のうち、10MW以上が50件。
      そのうち地上設置型(250kW超)では、10MW超が約70%を占めた。(10-20MWは46%)
    • 地域別
      イングランド南部(South EastとSouth Westを含む)で57%を占めた。
  • 2014年1Q(1-3月):1085MW

累計導入量

  • 2014年3月末時点4.46GW
    種類別の内訳は、
    • 住宅用と小規模産業用(100kW未満):49
    • 地上設置型47
    • 大規模産業用(100kW超):4

2014年の見通し

  • 新規導入量の予想:2.875GW
    ドイツを抜く可能性が高い。(※2009年の導入量は、ドイツの0.3%)

先月初めのSolarBuzzの発表(2014年1-3月の総需要(9GW超)の1/3以上が日本・英国の2ヶ国)では、正直ピンと来ない部分がありましたが、英国で1四半期のみで1GW超が導入されたのであれば、日本と合わせて3GW超という規模は合点が行きます。

累積導入量については、2013年1月末時点(2.4GW)から1年3ヶ月で2倍弱に到達しており、特に大規模設備(2013年1月末時点で0.2GW)の伸びが際立ちます。

ただし大規模設備については、今回はROCs(再生可能エネルギー証書、Renewables Obligation Certificates)のプレミアム引き下げ前の駆け込み設置があったとのことで、今後はその反動による短期的な急減が予想されますが、それでも残り3四半期で1.8GW(1四半期あたり600MW)という見込みは、十分に達成できる範疇では、と考えます。

また産業用に関しては、ちょうど先月初めに英国政府が産業施設の屋根設置に比重を移す方針を示していましたが、英国は(日本と同様に)国土面積が限られているだけに、太陽光発電の継続的な導入を実現するには、屋根設置の推進(低コスト化、設置技術の進歩など)がこれから重要さを増していくものと予想します。

とりあえず、この活況が何年続くかは全く判りませんが、少なくとも2014年は、縮小する欧州太陽光発電市場の中で、英国が先導的な役割を果たすことになるのかもしれません。


※参照・参考サイト:
[1]UK Solar Industry Installs Massive 1.1 GW in First Quarter of 2014(SolarBuzz社)
http://www.solarbuzz.com/resources/articles-and-presentations/uk-solar-industry-installs-massive-gw-first-quarter-2014
[2]UK to Become Number 1 European PV Market in 2014(同上)
http://www.solarbuzz.com/resources/articles-and-presentations/uk-become-number-1-european-pv-market-2014
[3]UK Solar PV Strategy(英DECC)
https://www.gov.uk/government/publications/uk-solar-pv-strategy-part-1-roadmap-to-a-brighter-future
[4]再生可能エネルギー普及のための具体的な導入方策(チャレンジ25キャンペーン)
http://www.challenge25.go.jp/roadmap/media/h21_2/ref03.pdf
[5]イギリスの再生可能エネルギー法制(国立国会図書館)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/225/022504.pdf
[6]英国の地理(Wikipedia)

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2014年04月30日

英国政府が産業用太陽光発電について、産業施設屋根への導入にシフトする方針

英国のDECC(Department of Energy & Climate Change)が2014年4月4日に、

  • 産業用太陽光発電の導入を、大規模ソーラーファームから、産業施設の屋根設置シフトしていく。
との方針を公表していました[1]。

この中で示されている数字などは下記の通り。

  • 背景
    政府の「The Solar Strategy」では、太陽光発電産業で数十万人の雇用創出の可能性を見込んでいる。
  • 想定導入先:政府の不動産、工場、スーパーマーケット、駐車場
    (これらを「ソーラーハブ」にしていく)
  • 国内商業施設の南向き屋根の面積:推定25万ha

具体的な導入目標(国内導入量に占める割合)や電力供給先は記載されていないものの、中国政府の分散型重視と似た方針であるのは、なかなか面白いと感じます。

英国内の太陽光発電の累積導入量(2013年1月末時点で2.4GW)のうち、小規模設備(住宅向けが主)が1.7GWの一方で、大規模設備は0.2GW[2]に留まっているので、今回の方針はその状況を打破することで、雇用創出規模の拡大も狙っているものと想像します。

p>SolarBuzz発表の調査結果では、2014年1-3月に英国での太陽光発電導入が(日本と並んで)著しかったですが、25万haの屋根は(1MW=約2haとすると)100GW超の導入余地に相当すると考えられるので、今回の新方針が更に、同国の太陽光発電市場を大きく拡大する可能性はあると思われます。

もっともその実行には、どのような促進策を講じていくかが重要であり、その点で政府がどう取り組んでいくのかが気になるところです。


※参照・参考サイト:
[1]Plans to turn the Government estate as well as factories, supermarkets and car parks into “solar hubs” have been outlined in a new strategy by Greg Barker today.(DECC)
https://www.gov.uk/government/news/the-uks-rooftops-to-become-power-stations
[2]UK Solar PV Strategy(同上)
https://www.gov.uk/government/publications/uk-solar-pv-strategy-part-1-roadmap-to-a-brighter-future

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