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2018年07月04日

Yingli Green Energy社の米国預託証券がニューヨーク証券取引所で取引停止+上場廃止措置を開始、平均時価総額や株主資本が基準を満たさず

Yingli Green Energy社が2018年6月29日に、

  • ニューヨーク証券取引所NYSE)が、Yingli社の米国預託証券ADS)の上場廃止措置を開始することを決定した。
と発表していました[1]。

今回は、投資に関する各種用語を調べつつ[2]〜[6]、発表の概要をまとめてみました。


背景・経緯
  • Yingli社のADSは、連続する取引日30日間
    • 平均時価総額5000万ドル以上の維持に失敗
    • 株主資本(純資産)が5000万ドル未満
    という状況だった。
    これが、NYSE上場企業マニュアルの802.01Bセクションにおける基準を満たさなかった。
  • Yingli社はNYSEに対し、この件について上訴するつもりは無いことを伝えた。
    そしてNYSEは直ちに、ADSの取引を停止。
    また上場廃止のために、証券取引委員会(SEC)に申請すると述べた。
NYSEからの通知日 2018年6月28日
今後の予定
  • Yingli社のADSは、2018年7月2日OTCピンクで取引を開始する。(シンボルは「YGEHY」)
    この移行は、ADS保有者の法的権利や、Yingli社の通常の事業運営に、影響を及ぼさないと予想している。
  • また移行後も、Yingli社はSECの公的報告要件(外国の民間発行体に適用)の対象であり、Yingli社はそれに応える。
  • ただし、定期的な四半期決算発表中止する。


Yingli社は、この発表の約3週間前には「PANDA BIFACIAL」モジュールのTUV Rheinlandの認証取得を発表しており、事業は健在な印象でしたが、証券市場での評価を取り戻すには至らなかったようです。

中国メーカーのNYSEでの上場停止と言えば、個人的には、昨年のTrina Solar社の事例が強く記憶に残っています。

もっともTrina社のほうは、言わば自発的な決定であり、その点は今回のYingli社とは異なります。

それでももし、(下位市場への移行により)短期的な業績アップを迫る(株主からの)圧力が弱まるのであれば、NYSEでの上場廃止も、Yingli社にとって決して悪いことではないと考えます。


※参照・参考資料:
[1]Yingli Green Energy Announces Suspension of Trading and Commencement of NYSE Delisting Procedures; ADSs Expected to Begin Trading on the OTC Pink(Yingli Green Energy社、2018/6/29)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2356649
[2]証券用語解説集 ADS(えーでぃーえす)(野村證券)
https://www.nomura.co.jp/terms/english/a/ads.html
[3]ADR特集 ADRの仕組み〜ADRは株なの?(楽天証券)
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/special/master_adr/master_adr_01.html
[4]Market capitalization(Wikipedia)
[5]純資産(ウィキペディア)
[6]OTC Pink(BC Consulting)
http://pinksheets.capital-consulting.info/pinksheets

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2018年05月22日

JinkoSolar社がP型太陽電池モジュールでピーク出力370Wp、N型モジュールで同378.6Wを達成

JinkoSolar社が2018年5月18日に、

  • 60PバージョンのP型N型の各太陽電池モジュールで、ピーク出力の記録を更新した。
と発表していました[1]。

その主な内容をまとめてみました。


モジュール出力の記録
  • P型:370W
  • N型:378.6W
認証機関 TUV Rheinland (Shanghai) Co., Ltd.
用いた技術
  • P型:
    • 自社の高効率セル
    • 低電力損失技術(モジュールの内部抵抗を低減、曲線因子を改善)
    が組み合わされている。
  • N型:
    両面ガラスモジュールで、パッシベーティングコンタクト技術の向上によって効率が高まり、前面のピーク電力が378.6Wに到達した。


記録を達成したモジュールの「60P version」がどういう意味なのか、残念ながら今回の発表だけでは判断しかねました。

セル枚数とすると、今回到達した出力は、現行の「Eagle PERC 60」モジュール(最大315Wp[2])を約2割上回り、更にセル72枚の「Eagle PERC 72」(同360Wp[3])さえも超えています。

個人的には俄かに信じ難いですが、(量産段階ではなく)研究開発段階であれば達成し得る数字、ということなんでしょうか。

セル枚数を増やさずに、将来的に400W到達も有り得るのかどうか、今後の発表にも注目していきたいと思います。


※参照・参考資料:
[1]JinkoSolar Breaks World Records for both P-type and N-type PV Module Power(JinkoSolar社、2018/5/18)
http://ir.jinkosolar.com/news-releases/news-release-details/jinkosolar-breaks-world-records-both-p-type-and-n-type-pv-module
[2]Eagle PERC 60(同上)
https://www.jinkosolar.com/product_detail_274.html?lan=en
[3]Eagle PERC 72(同上)
https://www.jinkosolar.com/product_detail_279.html?lan=en

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2018年03月29日

JinkoSolar社の2017年通期は、太陽電池モジュール出荷量が9807MW(前年比47.3%増)、新興国市場が成長の最大の原動力に

JinkoSolar社が2018年3月22日に、2017年4Qと通期の業績を発表していました。[1]。

今回は、2017年通期2017/1〜12)業績の中から、個人的に気になった内容をまとめてみました。


<業績>

  • 太陽電池モジュールの出荷量9807MW(前年比47.3%増)
    ※うち、自社の海外下流事業向けは14MW。
    ※4Q(10〜12月)単独の総出荷量は2481MW。
  • 売上高:40億7000万米ドル(前年比23.7%増)
  • 粗利益率11.3%(前年は18.1%)

<背景、今後の見通しなど>

  • 粗利益率の低下
    • 太陽電池モジュールの平均販売価格の低下
    • OEMパートナーによる製造量の増加
      (特に2017年前半に、需要の急激な増加に対応した)
    • ポリシリコン価格の上昇
    が主な要因だった。
    (※2つめ・3つめの状況は、2018年には改善すると予想)
  • 生産能力・体制
    • 2017年末時点での太陽電池モジュール生産能力は、8MW/年だった。
    • 米国の南東部に、高度な太陽電池モジュールの製造施設を建設するための、投資計画を決定した。
      これは、地域市場の需要に対応するため。
  • 新興国市場
    同市場はJinkoSolar社にとって、成長の最大の原動力になりつつある。
    • 南米豪州の需要が、大幅に伸びた。
    • 今後は、中東とアフリカ市場の伸びが予想される。


JinkoSolar社の業績発表は久々にチェックしましたが、まず、いつの間にかモジュール出荷量が10GW/年の目前となっていることに驚きました。

過去を振り返ると、約10年前には

という規模であり、今となっては隔世の感があります。

そして2014年3Qには、Trina Solar社のモジュール出荷量が1GWを突破していました。

これがつい最近のことだと思い込んでいましたが、今回のJinkoSolar社は2017年4Q単独で出荷量約2.5GWであり、世界需要のハイペースな伸びが、今だに続いていることが伺えます。
(もちろん、JinkoSolar社自身の競争力アップも、大きな要因だと思います)

ちなみに、JinkoSolar社の四半期出荷量が1GWを超えたのは2014年4Qでしたが、当時は3割が自社の下流事業向けであり、今回(下流事業向けは通年で14MWのみ)は完全に需要の構造が異なっているようです。


いっぽうで、粗利益率が大きく低下したのは、目に付きます。

ただし今回(2017年)は、価格競争の激化というよりは、特殊な状況(OEM調達の増加、シリコン価格の上昇)による部分が大きかったと見受けられるので、このような利益率の悪化は、中長期的に続く傾向では無いものと考えます。


地域別の市場の状況については、ちょっと前の2016年には中国・米国が新規導入量の2トップでした。

しかし今回のJinkoSolar社の業績発表では、それら2市場についての特段の言及は見当たらず、現在では両市場の勢いは既に落ち着いている、ということなのかもしれません。

その減速を補って余りあるだけの需要増が、新興国市場で既に生まれているとすれば驚きですが、この点は世界市場の新しい動きとして、ニュース等で今後注目していきたいと思います。


最後に、JinkoSolar社が米国内での太陽電池生産を計画しているのは、なかなか興味深いです。

トランプ米大統領は今年1月に、米国に輸入される太陽電池セル・モジュールに対するセーフガード関税を承認しており、これへの対処という面は、少なからずあるものと推測します。

米国内で生産する場合、生産コストは(新興国での生産に比べると)高くなると思いますが、その不利をカバーするべく、JinkoSolar社がどのような(付加価値の高い)製品を発表・展開していくのかは、注目したいところです。


※参照・参考資料:
[1]JinkoSolar Announces Fourth Quarter and Full Year 2017 Financial Results(JinkoSolar社、2018/3/22)
http://ir.jinkosolar.com/phoenix.zhtml?c=234421&p=irol-newsArticle&ID=2339283

※関連記事:

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2018年03月13日

Yingli Solar社が「12本バスバー」の太陽電池モジュールを発表、銀ペーストの使用量削減や変換効率アップ、セルの耐久性向上をもたらす

Yingli Green Energy社が2018年3月1日に、

  • 新世代の製品となる12本バスバーの太陽電池モジュールを、「PV expo Japan 2018」で発表した。
と発表していました[1]。

その発表[1]から、同モジュールについての主な情報をまとめてみました。


特徴
  • 12本バスバーによるメリット:  
    • 銀ペーストの使用量の削減
    • セル変換効率の向上
    • セルのマイクロクラックやフィンガー破損のリスク低減(製品の耐久性向上
  • ガラスに、特殊な反射防止コーティングを採用
    (セルに到達する光を増加)
セル
  • 種類:多結晶シリコン型
  • 枚数:60
モジュール出力 量産品で、最大285Wが見込まれる。(自社従来品から5〜7W増加)
認証 TUV SUDにより、耐アンモニアと耐PIDの試験と認証を受けた。
用途 分散型発電(DG)プロジェクトで理想的な製品である。
発売時期 不明。
ただし、世界中の顧客がすぐに利用できる、との記述がある。

ただし今回の発表に、新モジュールの写真は掲載されていません。
また、Yingli社サイトの新製品紹介ページ[2]にも、(2018/3/11時点で)12本バスバーモジュールの情報は掲載されていませんでした。



現時点のYingli社の新製品[2]は、いずれも5本バスバーになっていますが、その倍以上となる12本バスバーというのは、どんな外観なのかいまいち想像がつきません。

それだけに、製品の写真を見つけられなかったのが残念ですが、12本バスバーモジュールに関しては、昨年11月のプレスリリース[4]内で、既に言及がありました。

具体的には、中国国内での貧困撲滅プロジェクト向けに、Yingli社が供給する太陽電池モジュール(38.4MW、14万枚以上)のうち約1万枚に、12本バスバーモジュールが含まれるというもの。

また同プロジェクトで建設される太陽光発電所は、2017年4Qに系統連系の予定とされており、(プロジェクトの実際の進捗はともかくとして)12本バスバーモジュール自体は、量産化に(最低でも)極めて近い段階にあるものと思われます。


果たしてどんな製品なのか、遠からず姿を現す日を、楽しみにしたいと思います。


※参照・参考資料:
[1]Yingli Announced Multi-crystalline 12 Busbars Panel on PV expo Japan 2018(Yingli Green Energy社、2018/3/1)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2335512
[2]New Products(同社の日本語サイト内)
http://yinglisolar.co.jp/new_products/
[3]中国インリー、「貧困撲滅」に向け太陽光パネル38MWを供給(日経XTECH、2017/11/6)
http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/news/16/110609730/
[4]Yingli Supplies All Solar Panels for a 38.4 MW PV Poverty Alleviation Project in China(Yingli Green Energy社、2017/11/3)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2314198

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2017年11月30日

レネソーラ・ジャパン社が全事業を中国本社(ReneSola)に業務移管、日本事業の業務効率化のため

レネソーラ・ジャパン社が2017年11月28日に、

  • 事業の一切を、中国のReneSola本社業務移管する。
と発表していました[1]。

概要は下記の通り。


目的 日本における事業の業務効率化を図る。
移管日 2017年9月末日
その他 ReneSola社の
  • セル・モジュール
  • インゴット・ウエハー
  • ポリシリコン
の生産業務については、中国工場引き続きフル生産体制で稼動を続けている。


ReneSola社の日本法人「レネソーラ・ジャパン」については、今回の発表より1週間ほど前に、連絡が全くつかない状態になっている旨が報じられていました[2]。

今回のレネソーラ・ジャパンの発表は、その状況を受けてのものと思われますが、中国本社への業務移管日(2017/9末)は発表(2017/11/28)の2ヶ月も前のことであり、顧客に対する対応の雑さを、感じざるを得ません。


とは言え、大幅に遅れながらも、現状や方針を公式に発表したことは確かです。

かつて米カリフォルニア州では、中国メーカーの破綻により、何千枚ものモジュール(過熱・発火した)のメーカー保証がなされなかった、という事態があったとのこと[3]。

今回のReneSolaのケースについては、流石にそこまで酷い事態にはならないと思いますが、ともかくこれ以上の混乱を招かないよう、顧客に対する対応は、しっかり行ってもらいたいところです。


今回の発表(本社への全面的な業務移転)は、現在の日本市場に対する海外メーカーの見方を示す、一つの事例だと思われます。

またReneSola社について、[2]では

  • 「業績悪化で太陽電池関連の生産から撤退が報道」
  • 「IPP(独立系発電事業者)として売電事業に転換する見込み」
との状況・情報も示されており、それらの真偽は不明であるものの、(日本市場だけでない)世界市場の環境の厳しさも、伝わってくる気がします。


※参照・参考資料:
[1]業務移管に関するお知らせ(レネソーラ・ジャパン、2017/11/28)
http://jp.renesola.com/img/japan/datasheets/announcement.pdf
[2]中国・太陽光関連企業の行方は?(東京商工リサーチ、2017/11/21)
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20171121_01.html
[3]米加州の太陽光パネルシェア、分散型では「米国製」が2強(日経テクノロジーオンライン、2017/4.10)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/040600045/?P=5

※関連記事:

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2017年04月22日

Jinko・JA・Canadian・Yingliの2016年業績は、全体として通期では大きく伸びるも、4Qの減速感が目立つ

今回は、世界的な大手モジュールメーカーである

  • JinkoSolar
  • JA Solar
  • Canadian Solar
  • Yingli Solar
2016年4Q(10〜12月)と通期の業績発表が、ようやく出揃った[1]〜[4]ので、それらの中から、主な数字や状況を抜き出してみました。


<2016年4Qと通期の業績>

※カッコ内は前年同期比、「ドル」は米ドル。
※数値の四捨五入や、一部の数値は、当ブログ管理人が計算。
※企業の掲載順は、プレスリリースの発表順。

モジュール出荷量 売上高 粗利益率
4Q通期 4Q通期 4Q通期
Jinko 1733MW
(1.3%)
6656MW
(47.5%)
7.4億ドル
(13.7%)
31億ドル
(38.5%)
14.3%
(4.7ポイント)
18.1%
(0.9p)
JA 1353MW
(4.3%)
※外部向けのみ
4606MW
(25.4%)
※左に同じ
5.7億ドル
(13.1%)
23億ドル
(21%)
12.9%
(4.2p)
14.6%
(2.4p)
Canadian 1581MW
(13%)
5232MW
(11%)
6.7億ドル
(40%)
29億ドル
(18%)
7.3%
(10.6p)
14.6%
(2p)
Yingli 635MW
(26%)
※自社向け含む
2170MW
(11%)
※左に同じ
2.9億ドル
(3%)
12億ドル
(16%)
7.0%
(4.8p)
13.8%
(1.9p)

<背景、今後の見通し>

JinkoSolar
  • 中国は、JinkoSolar社にとって最大市場であり続けている。
    2017年の前半は、同6月のFITカットを前に、駆け込み需要が続くとみられる。
    いっぽう後半は、需要が和らぐ可能性がある。
  • 米国では、4Qは平均販売価格(ASP)が鋭く低下した。
    しかし2017年に入ってからは、安定し始めている。
JA Solar
  • 4Qの市場は全体として、挑戦的な環境が続いた。
  • アジア(特に中国)の需要が強く、APAC地域が総出荷量の83%超を占めた。
  • 中国での需要は、2017年前半まで堅調だが、後半減速すると予想。
Canadian Solar
  • 4Qの粗利益率の低下は、前年度の売上に関わる相殺関税・反ダンピング関税(AD/CVD)による。
    (※この費用が無ければ13.9%)
  • 4Qのモジュール出荷量の地域別割合では、米州向け(20%)が前年同期から30ポイント以上低下
    代わりにアジア向け(63%)が20ポイント増、欧州など向け(17%)が10ポイント増。
  • 4QのモジュールのASPは、前年同期から低下した。
Yingli Solar
  • 4Qは中国・日本で需要が伸び(特に中国)、モジュール出荷量は3Qから74%増えた。
    4Qの出荷量に占めた割合は、
    • 中国向け:約75
    • 日本向け:約20
    これら2市場は、2017年も2大重要市場であり続けると予想する。
  • ただし4Qの自社のASPは、世界的・全体的な販売価格の低下に伴い低下した。
  • 通期の出荷量の減少は、タイトなキャッシュフロー(2015年半ば〜)による、工場稼働率の低下による。


当ブログでモジュールメーカーの業績発表をちょくちょく見るのは、それを通して太陽電池モジュール市場の現状(地域別の需要や、販売価格の変化など)を知ろう、という狙いがありますが、中国大手を中心とする今回の4社の業績も、なかなか興味深い内容です。


まずモジュール出荷量は、工場稼働率が低下しているYingliを除いて、2016年通期は(前年から)大きく増加。

ただし、伸び率を4Qと通期で比べると、Canadian Solarはほぼ同じですが、JinkoとJAは差が非常に大きくなっています。(4Qの伸び率が低い)

売上高の増減を見ても、Yingliを除く3社で、4Qは(通期と対照的に)減速感が目立つ状況。

粗利益率に至っては、Canadian Solarの特殊な状況(AD/CVDの負担)を差し引いても、4社とも4Qは(通期よりも)明らかに悪くなっており、モジュールの価格低下を背景に、直近ほど厳しい事業環境となっていることが想像されます。


業績の背景に目を向けると、4Qはアジア(特に中国)向けの販売が好調だったことが、4社とも共通しています。

ただ、中国国内向けの販売価格が(他の地域より)低いことは、過去の業績発表の中でもたびたび言及されていました。

そのため、その中国向けの販売量が伸びたことが、4Qの売上高の伸びの減速・粗利益率の低下につながったと考えられます。


もっともその中国需要についても、好調なのは今年(2017年)の前半まで、との予想。

そのため、中国以外の地域で販売を伸ばせるか否かが、これら4社の2017年業績を大きく左右すると思われます。

ただし米国の重要市場の一部カテゴリ(分散型)において、中国製モジュール(そして中国メーカー)が、品質とサポートの点から信頼を失った事例があり[5]、本社がカナダのCanadian Solarは少し別としても、中国メーカーが中国以外の市場で確固たる地位を築いていくのは、そう簡単では無いように思われます。

特にYingli社は、つい最近(今年2月)にも、資本の不足によってニューヨーク証券取引所から警告を受けており[6]、経営の安定化が、引き続き大きな課題となりそうです。


最後に、モジュール出荷量で世界首位を争う筈のTrina Solar社については、4月に入っても一向に2016年業績が発表されず、何事かと思っていましたが・・・

3月の発表[7]によると、「Fortune Solar Holdings Limited」の子会社「Red Viburnum Company Limited」との合併を完了し、これに伴い上場は廃止し、Fortune Solar Holdingsの子会社となったとのことで、これが関係しているものと思われます。(法律上の扱い等、正確な事情は判りませんが)

ともかく、太陽電池モジュール販売で世界トップクラスのTrina Solar社でさえ、買収の対象となってしまうところには、現在の太陽電子モジュール市場の環境の不安定さを、極めて強く感じざるを得ません。


※参照資料:
[1]JinkoSolar Announces Fourth Quarter and Full Year 2016 Financial Results(JinkoSolar社、2017/2/27発表)
http://jinkosolar.com/press_detail_1284.html
[2]JA Solar Announces Fourth Quarter and Fiscal Year 2016 Results(JA Solar社、2017/3/16発表)
http://investors.jasolar.com/phoenix.zhtml?c=208005&p=irol-newsArticle&ID=2254666
[3]Canadian Solar Reports Fourth Quarter and Full Year 2016 Results(Canadian Solar社、2017/3/21発表)
http://investors.canadiansolar.com/phoenix.zhtml?c=196781&p=irol-newsArticle&ID=2255424
[4]Yingli Green Energy Reports Fourth Quarter and Full Year 2016 Results(Yingli Solar社、2017/4/13発表)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2261811
[5]米加州の太陽光パネルシェア、分散型では「米国製」が2強(日経テクノロジーオンライン、2017/4/10付)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/040600045/
[6]Yingli Green Energy Receives Notice from NYSE of Falling Below Continued Listing Standards(Yingli Solar社、2017/2/15発表)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2246431
[7]Trina Solar Limited Announces Completion of Going-Private Transaction(Trina Solar社、2017/3/13発表)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2253566

※関連記事:

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2017年03月13日

Yingli社が新モジュール「Hotspot Free Module」を発表、全てのセルを個別に「バイパスダイオードで保護」するコンセプト

Yingli Green Energy Holding2017年3月3日に、

  • 新製品「Hotspot Free Module」を、日本の「PV Expo 2017」(3月1〜3日開催)に出展する。
と発表していました[1]。

その中から、同製品の特徴を抜き出してみました。


  • 全セルを保護
    「全てのセルを各々、バイパスダイオードで保護する」というコンセプトに基づいている。
    あるセルの電流が、ストリングの残りの部分にマッチしない場合(例えばあるセルが日陰になった場合)、バイパスダイオードが働く。
  • セルの発熱を防止
    上記の機能により、
    • 他のセルの正常な機能を維持する
    • 熱によるセルへの影響を防ぐ
    という効果が期待できる。
  • モジュールの寿命アップ
    熱の低減は、素材へのストレス軽減にもつながり、モジュールの寿命向上が期待できる。

本当に文字通り、太陽電池モジュール内のセル1枚1枚にバイパスダイオードを設けるとするならば、構造が(通常のモジュールより)複雑になり、

  • モジュール製造にかかる手間やコストの上昇
  • 裏面(バックシート側)での、ダイオード部分の凸の発生
といった難点が生じることが考えられます。

ただ、バイパスダイオード云々については「based on a concept〜」とあるので、実際には通常のダイオードをそのまま用いる(組み込む)わけでは、無いのかもしれません。

当記事の作成時点(2017/3/8)で製品の写真などは一切見当たらず、また出展が予定されていた「PV Expo 2017」は既に終了していますが、モジュールの実物が一体どのようなものだったのか、非常に興味を惹かれるところです。


※参照資料:
[1]Yingli Announced Hotspot Free Module at PV Expo Japan 2017(Yingli社)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2251489

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2017年01月30日

Jinko Solar社が日本の住宅用太陽光発電市場への参入を表明、2017年は出荷量100〜120MWを目標

3週間近く前になりますが、Jinko Solar社が2017年1月12日

  • 日本住宅用太陽光発電市場に参入する方針
を発表していました[1]。

その中から、主な情報を抜き出してみました。


  • Jinko Solar社は2017年に、日本向け出荷量500〜600MWを目指す。
    このうち20%を、住宅向けで占めることを目標とする。
  • 2016年12月開催の高性能住宅に関する展示会では、独SMA社製の新パワコンと組み合わせた住宅用太陽光発電システムを、参考出展した。


この内容からすると、Jinko Solar社による2017年の日本の住宅向けの出荷量目標は、100〜120MWということになります。

いっぽうJPEAの資料[2]から計算すると、2015年度の海外企業による日本国内での住宅向けモジュール出荷量は

  • 住宅用の合計出荷量154万7317[kW]−日本企業による住宅用出荷量131万3923[kW]=23万3394[kW]
つまり約233MWであり、数字の点から見ると、Jinko Solar社が掲げている目標は、相当にハードルが高いと思わざるを得ません。

ただ同社は現在、モジュール出荷量で世界トップクラスに達しており、その成長力は決して無視できないとも考えます。

モジュール出荷量に占める海外企業の割合が、いまだ10%前後に留まっている国内住宅用において、Jinko Solar社がどのような展開を行っていくのか、今後に注目したいと思います。


※参照資料:
[1]出荷量世界一のジンコソーラー 日本住宅市場参入(ドリームニュース)
http://www.dreamnews.jp/press/0000145619/
[2]2015年度の太陽電池モジュール出荷量(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/summary_h27.pdf

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2017年01月23日

Trina Solarが日本の景観条例に対応する黒色モジュールを発表、既存の「Honey M Plus」のバックシートを変更し、明度2.0・彩度0.5を実現

Trina Solar社が2017年1月11日に、日本の景観条例に対応できる単結晶モジュールの新製品「Honey M Plus (DD05A.05(II)」を発表していました[1]。

概要は次の通り。


背景

  • 日本において、市町村が景観に関する条例・規定を施行するケースが、年々増えている。
    その中で太陽電池モジュールに対しては、だけでなく、明度・彩度の要求も多くなっている。
  • 景観条例を施行している自治体は
    • 観光地
    • 歴史的な建物・景観を守っている都市
    限定されている。
    そのためか、規定に対応する黒色モジュールを提供しているメーカーも、限られている。

製品の特徴

  • 日本市場向けに開発したモジュール。
  • 既存モジュールを改良
    既存の「Honey M Plus」のバックシート黒に変更し、
    • 明度2.0
    • 彩度0.5
    の黒色モジュールを実現した。
    (※「Honey M Plus」は元々、
    • 黒色フレーム
    • 高透過・反射防止強化ガラス
    を採用している)
  • 高性能
    幾つかの革新的テクノロジー(「PERC技術」を含む)を統合しており、高出力・高効率を実現している。

主な仕様

寸法650mm×992mm×35mm
重量18.6kg
出力275−295W
最大変換効率18.0%


出力・変換効率は通常の「Honey M plus」[2]と変わらないようですが、バックシートを黒くしたことで(表側から見たときの)セル間も黒くなり、外観の統一性が格段に増したと感じます。

現在の日本の太陽光発電市場は、FITに湧いた数年前と比べると

といった状況があり、減速感が際立ちます。

その中で景観条例への対応製品となると、更に需要量が限られると考えられるので、海外大手メーカーによる今回の製品の発表は、非常に意外でした。

もっともそれだけに、日本市場において自社ブランドの浸透を進めようという、Trina Solar社の積極的な姿勢も伺えるものです。


※参照資料:
[1]トリナ・ソーラー 景観条例に適合するブラックモジュール『Honey M Plus』を発表 (Trina Solar社)
http://2016.trinasolar.com/jp/about-us/newinfo_1201.html
[2]Honey M plus DD05A.08(II) モジュール(同上)
http://2016.trinasolar.com/jp/product/Mo_Honey-II.html
[3]日本における太陽電池出荷量2016年度第2四半期(報道発表資料)(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h282q.pdf
[4]固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html
[5]景観条例(ウィキペディア)
[6]景観法(同上)

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2017年01月09日

中国「Chint Solar」社が日本法人を新設、日本へのモジュール出荷量増加を受けてサポート体制を強化

1ヶ月以上前になりますが、中国の太陽電池モジュールメーカー「Chint Solar」が2016年11月28日に、

  • 日本法人「Chint Solar Japan」の新設
を発表していたとのことです[1]。

日本法人設立の背景は次の通り。


  • Chint Solar社は従来から、日本市場には中国本社から製品を出荷していた。
  • その出荷量が増加していることから、サポート体制を強化するために、今回日本法人を設立した。

また同記事では、日本法人の代表取締役の方による

  • 「日本市場は縮小気味と見られがちだが、オフグリッドや離島での需要などまだまだチャンスはある」
とのコメントも紹介されています。


「Chint Solar」の名前は、私は正直なところ今回初めて知りましたが、モジュール約50MWを調達済み(※2014年時点)の日本の事業者があること、またネクストエナジー・アンド・リソース社が同年時点で代理店になっている[3]ことから、日本市場で既に一定の位置を確保していることが推測されます。

日本国内ではモジュール出荷量の減少が続いており[5]、FITの新規認定量でも「非住宅」の伸びは毎月100MW前後の水準。

その厳しい状況の中で、今回の海外メーカーによる日本での事業体制拡充は意外でしたが、それだけに日本法人代表の方によるコメントは興味深いです。

現在(当記事の作成時点)のところ、Chint Solar社のサイト[2]では、「オフグリッド」用製品の情報は掲載されていません。

ただ、例えばサハラ以南のアフリカでは13ヶ国が、電化率向上を目的にオフグリッドソリューションの導入計画を明示している[7]とのことであり、コスト面の優位性が強い中国メーカーとして、既に対応製品を備えている(または開発を進めている)可能性は考えられます。

その意味で、Chint Solar社が日本市場で今後、どのような商品展開を行っていくのかは、興味を惹かれるところです。


※参照資料:
[1]中国の太陽光発電メーカー、日本市場に参入 「まだまだチャンスはある」(「環境ビジネス」の記事)
https://www.kankyo-business.jp/news/014060.php
[2]Solar Power Generation System(Chint Solar社)
http://en.chint.com/solution/detail?classid=144396663052566528
[3]Chint Solar 社工場視察報告書(「旭電業」社)
http://www.asahi-dengyo.co.jp/img/p549d2894e10e1.pdf
[4]新エネルギー・省エネルギー(省電力)システム(同上)
http://www.asahi-dengyo.co.jp/solar.html
[5]日本における太陽電池出荷量2016年度第2四半期(報道発表資料)(JPEA)
http://www.jpea.gr.jp/pdf/statistics/h282q.pdf
[6]固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト
http://www.fit.go.jp/statistics/public_sp.html
[7]Press Release: With new pledges and new projects, developing countries take clean energy lead globally(「Climatescope」のプレスリリース)
http://global-climatescope.org/en/blog/2016/12/15/Climatescope2016-launch/

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