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2015年10月19日

JA Solar社が簡易設置技術「Spice system」に対応する太陽電池モジュールを発表、フレームに架台機能を集約し架台・レールが不要

1ヶ月以上前のことですが、JA Solar社が2015年9月9日に、

  • Spice Solar社の簡易設置技術Spice system」(住宅屋根用)に対応する太陽電池モジュール
を発表していました[1]。

発表の概要は下記の通り。


  • 該当の太陽電池モジュール
    • セル数:60枚
    • フレーム:アルミニウムを押し出し成形したもので、高い強度を持ち、屋根に直接取り付けできる。
  • 期待されるメリット
    上記モジュールは屋根に直接取り付けでき(架台・レールが不要)、ユーザーや設置事業者は次の利点が得られる。
    • 設置に必要な部品数の削減:従来工法で300個以上用いる場合、本方式では50個のみ。
    • 設置にかかる時間・労力・コストの削減:
      本方式を採用済みのユーザーでは、0.30ドル/W以上のコスト削減が実現されている。
  • 想定用途:米国内での住宅用
    米国における典型的な風・雪の条件に対応する。
    また、同国での最新の安全要件(UL-1703、UL-2703、Class A Fire Codes等)を満たす。

またSpice Solar社のサイト[2]〜[4]から、「Spice system」の主な特徴を抜き出してみました。

  • モジュールのフレームに架台機能を集約
    高い剛性を備える。
    また「Spice system」だけでなく、既存の接地方式(架台を使用)にもそのまま対応できる。
  • 使用パーツは3種類
    基本的に「E-W Splice」「N-S Bracket」「N-S Bracket」の3種のみを用いる。
    (※別途、ケーブル固定用のクリップ、接地用のラグ等も用いる。
      また、マイクロインバータ取付用のブラケットも、オプションとして用意されている。)
    また取り付けに特殊な工具は必要なく、通常のラチェットレンチ・トルクレンチ等で良い。
  • モジュールの設置方法
    モジュール間の連結は、横方向は「E-W Splice」、縦方向は「N-S Bracket」により行われる。
    屋根への固定は「N-S Bracket」が、屋根側のマウント(垂木に固定)に取り付けた「L-Foot」に固定されることで行う。
  • 多用なマウントに対応
    屋根側に設置するマウントには、
    • flashing
    • standoff
    • tile mount
    等、業界で標準的なものを使用できる。(※特定用途における技術的要件を満たしたもの)
  • 接地箇所を大幅削減
    モジュールのフレーム間を「E-W Splice」「N-S Bracket」で連結するため、接地は1アレイあたり1ヶ所のみで済む。

下記はYouTubeの動画です。


(アカウント「Spice Solar Inc」さんの動画)

発表から時間が経っている情報であり、またあくまで米国向けの製品・システムではありますが、設置方式が非常にユニークで興味深いものだったので、今回取り上げることにしました。

「Spice system」への対応モジュールは、現時点では2社(Auxin solarと今回のJA Solar)のみのようですが、なにしろフレームが特殊な形状であるだけに、製品供給が(将来的な交換も見越して)長期に渡り安定して行われるのか、という点は、ユーザー側の立場としては気になるところです。

とは言え、設置コストの削減額が0.30ドル/Wとすれば、1kWあたりでは300ドル。

これは例えば、日本でのかつての住宅用導入補助金(2012年度に3万円/kWまたは3.5万円/kW)に優に匹敵するもので、決して軽視できない金額です。

また架台(レール)が不要であることから、システム全体の重量についても、かなりの軽減が見込める(=設置可能な住宅の範囲が広がる)のではないでしょうか。

もう一つ、屋根にマウントを取り付ける必要はあるとはいえ、「太陽電池パネルを屋根に直接・そのまま取り付ける」というのはイメージ的に非常に判りやすく、これは住宅用PVの導入に対する抵抗感の低減にもつながるものと考えます。

日本メーカーでは例えばパナソニックが「プッシュ&スライド工法」を実用化していますが、これらのように十分な強度保持を前提としての「設置方法の簡易化」が、国・地域やメーカー・企業を問わずどんどん進んでいくことを、強く願うものです。

最後に、Spice Solar社のサイトで公開されている設置ガイド[4]は、実際の作業手順が非常に判りやすく解説されており、DIY的な目で見ても非常に面白いものだと思われます。(もちろん高所作業+電気関係なので、実際にはこの手の作業を軽々しく行うことはできませんが)


※参照資料:
[1]JA Solar Announces Availability of Easy-To-Install Solar Modules(JA Solar社)
http://investors.jasolar.com/phoenix.zhtml?c=208005&p=irol-newsArticle&ID=2086323
[2]Spice Solar
http://www.spicesolar.com/
[3]Spice Brochure(同上)
http://www.spicesolar.com/wp-content/uploads/2015/03/SpiceSolar-Brochure-070114-WEB-UL-FINAL.pdf
[4]Spice Solar Installation Guide(同上)
http://www.spicesolar.com/wp-content/uploads/2014/09/Spice-Solar-Installation-Guide8.pdf
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2015年10月03日

Yingli Green Energy社の2015年2Qは売上高が前年同期比20%減・営業損失は同約2倍、粗利益率は6.3%に急減

1ヶ月近く前になりますが、Yingli Green Energy社が9月8日に、20152Q2015/4-6)の業績を発表していました[1]。

ここではその中から、個人的に関心のある項目について、過去の業績(※当ブログでチェックしていた範囲)と合わせてまとめてみました。


業績

※カッコ内は前年同期比。

売上高売上高の内訳粗利益率R&Dの費用営業利益
モジュール販売システム販売その他全体モジュール販売
2013 3Q13.7%
4Q12.2%
2014 1Q15.7%
2Q15.6%
3Q5億5152万ドル5億1822万ドル423万ドル2906万ドル20.9%1707万ドル3254万ドルの黒字
4Q5億5548万ドル5億1711万ドル890万ドル2947万ドル16.8%3410万ドル3220万ドルの赤字
2015 1Q4億6870万ドル4億3270万ドル1008万ドル2597万ドル14.1%14.8%2163万ドル1070万ドルの赤字
2Q4億3810万ドル
(20%減)
3億8769万ドル
(26%減)
1401万ドル
(56%増)
3638万ドル
(115%増)
6.3%7.9%1461万ドル
(28%減)
2880万ドルの赤字
(107%増)

(2015年2Qの背景)

  • 売上高の減少
    1Q比での減少は、
    • 太陽電池モジュール出荷量の減少
    • モジュールの平均販売価格の低下(中国向け出荷量の割合増加による)
    • 円・ユーロに対する人民元安
    が主因。
  • 粗利益率の低下
    1Qからの低下は、
    • モジュールの平均販売価格の低下
    • 生産設備の利用率の低下
    が主因。

大幅な減収と赤字拡大は、同じくモジュール出荷量トップクラスのTrina SolarJinkoSolarJA Solarとは、完全に対照的な状況です。

売上高では9割近くを占める「モジュール販売」の減少が際立っていますが、その原因については特に記述無し。

工場運営のキャッシュフロー不足のため、日本市場では今年夏に、ユーザーに対して前金での取引要求を始めていた[2]とのことで、やはり経営に対する信用不安は、モジュール出荷量にも少なからず影響したのではないでしょうか。

また同じ専門誌記事[2]では、工場が生産量を落としていることも明記されていますが、粗利益率の大幅な低下を見ると頷けることです。

その粗利益率では、全体よりもモジュール販売のほうが高いのが意外であり、(利益率が高いはずの)下流事業での利益が一体どうなっているのかは、非常に気になるところです。

ただ、全体として芳しくない数字が並ぶ中で、研究開発(R&D)への投資額は大きく、2015年2Qは減少したとはいえ、それでもTrina(2015年2Qは801万ドル)やJinko(同643万ドル)を大きく上回る規模。

現在の苦境を乗り越えることが前提になるとは思いますが、この積極的な投資が、今後技術的に大幅な優位性(性能アップ、製造コストダウン等)をもたらす可能性もあるものと考えます。


モジュール出荷量

総量うち自社の
下流事業向け
2014年 1Q630.8MW
2Q887.9MW
3Q903.4MW109MW
4Q939.2MW73.7MW
2015年 1Q754.2MW27.5MW
2Q727.9MW43.2MW

(2015年2Qの背景)

  • 米・中向けが好調
    1Q比で
    • 中国向け:110%増
    • 米国向け:35%増
    だった。
    また、他の新興市場(北・南アフリカ、中央・南アジア、中東、南米)向けの出荷も伸びた。

地域別では地元・中国向けはともかく、前四半期(1Q)は販売が横ばいだった米国向けが、意外にも3割超という高い伸び。

米国による中国製太陽電池への輸入関税がどうなっているのかは、まだ調べていませんが、もし税率の引き下げが行われたのであれば、今後は他メーカーの米国向け出荷量にも変化が表れてくると思われるので、3Qの各社業績ではその点に注目したいところです。

一方で、主要市場であった筈の欧州・日本については、今回は全く言及が無く、やはり信用不安がそれら地域でのモジュール販売に大きく響いたことが想像されます。


下流事業の状況(2015年2Q)

  • 中国国内でのプロジェクトの進捗は
    • 建設開始:計78MW
    • 系統接続:計94MW
    という状況だった。
    また6月末時点で、中国国内では計400MW超のプロジェクトが建設中になっている。
  • 中国国内では全国的に補助金配分の遅延が生じており、地上設置型の大規模プロジェクトでは重大な資本が必要になっている。
    このためYingli社では、プロジェクト開発事業に対してより慎重な姿勢をとっており、保有プロジェクトの売却に向けて交渉を進めている。
    (約100MWが売却済み又は売却間近)

一番気になるのは「補助金配分の遅延」という点ですが、その詳細(補助金の内容、遅延の具体的状況)は残念ながら判りません。

ただ中国国内では、「新常態」や腐敗撲滅キャンペーンの煽りにより公共投資が滞っているそうで、太陽光発電事業への補助についても、同種の影響が及んでいるのかもしれません。

ともかく「補助金配分の遅延」が実際に生じているのなら、今後は同じ中国の他メーカーでも、下流事業が減速に転じる可能性が考えられ、その点は3Q以降の業績で見ていきたいと思います。


※参照資料:
[1]Yingli Green Energy Reports Second Quarter 2015 Results(Yingli Green Energy社)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2085820
[2]黄昏の巨艦"YGE"(PVeye誌 2015年9月号6-14p)

※関連記事:
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2015年09月25日

Trina Solar社の2015年2Qは売上高が前年同期比39.2%増・営業利益は286.5%増、モジュール出荷量は約1.2GW

1ヶ月ほど前になりますが、Trina Solar社が8月18日に、20152Q2015/4-6)の業績を発表していました[1]。

今回は、管理人が関心のある項目について、これまでの推移を見るべく、2013年以降の数字を表にまとめてみました。

(※数値は、当ブログで過去にチェックしていた四半期業績の発表資料を見直して、明記されている数字(2013年の実績を含む)を抜き出したものです。
  調べる手間の都合上、空白の項目がありますが、ご容赦ください。)


業績

※1万ドル未満は四捨五入。
 またカッコ内は前年同期比。

売上高粗利益率R&Dの費用営業利益
2013 1Q(1-3月)2億6022万ドル1.7%548万ドル4007万ドルの赤字
2Q(4-6月)4億4073万ドル11.6%409万ドル2386万ドルの赤字
3Q(7-9月)5億4839万ドル15.2%436万ドル603万ドル
4Q(10-12月)5億2564万ドル15.1%601万ドル1981万ドル
2014 1Q(1-3月)4億4481万ドル20.6%477万ドル3825万ドル
2Q(4-6月)5億1943万ドル15.4%515万ドル1570万ドル
3Q(7-9月)6億1680万ドル16.7%548万ドル3560万ドル
4Q(10-12月)7億504万ドル15.7%686万ドル3051万ドル
2015 1Q(1-3月)5億5809万ドル18.0%768万ドル2915万ドル
2Q(4-6月)7億2290万ドル
(39.2%増)
20.0%801万ドル6070万ドル
(286.5%増)
  • 2015/2Qの背景:
    • 売上高とモジュール出荷量の増加
      前四半期比での増加は、中国・米国その他の新興市場での需要成長が、主な要因だった。
      これが、欧州・日本での出荷量落ち込み(FIT見直しによる需要低迷)を相殺した。
    • 粗利益率の改善
      前四半期比での上昇は、
      ・規模の経済の拡大
      ・事業運営の効率アップ(素材価格と人件費を削減)
      による、Wあたりのコスト低減が主因だった。

売上高は、今回の2015年2Qでは2年前(2013年1Q)の3倍弱にまで達しており、世界トップクラスのメーカーらしい力強さが感じられます。

粗利益率も、2013年1Qは2%未満でしたが、その直後(2Q)には10%超に回復。
その後も上下動はあるものの、2015年2Qには20%に到達しており、モジュールの価格競争が厳しい中で、継続的なコストダウンの取組みが、明確に成果を挙げているものと考えられます。

R&Dへの投資額は、営業赤字だった頃(2013年1Q〜2Q)も400〜500万ドル台の規模を保っており、単に売上を伸ばしているだけでなく、(将来の業績を支える)技術力向上の地道な取組みにも抜かりないことが伺えます。
更に、2014年4Q以降には明らかに増額の傾向があり、既に製品化されているスマートモジュールや、今回の発表で言及されている「interdigitated back contact (IBC)」技術といった新しい製品の開発が、これから加速していくものと予想します。


モジュール出荷量

総出荷量出荷先
外部顧客自社の下流事業
2013 1Q(1-3月)392.6MW
2Q(4-6月)646.6MW
4Q(10-12月)770.1MW
2014 1Q(1-3月)558.0MW534.2MW23.8MW
2Q(4-6月)943.3MW794.6MW148.7MW
3Q(7-9月)1063.8MW127MW
4Q(10-12月)1098.8MW1070.5MW28.3MW
2015 1Q(1-3月)1026.2MW891.7MW134.5MW
2Q(4-6月)1231.6MW1000.7MW230.9MW

モジュール出荷量では、最近の4四半期連続で、1GW超を安定して達成していることに驚きましたが、今後もこのペースが続くかどうかは、中国・米国でのモジュール需要好調が何時まで続くのか、ということに大きく依存していると考えます。

それに大きく関わると思われることで、米国での再エネ設備対象の投資税控除制度(ITC)において、控除対象額(現在は設備投資額の30%)が、2016年末から大幅に引き下げられる(住宅用は終了、非住宅用は10%)予定であり、これに伴い、現在は大規模発電所の建設ラッシュが起きているとのこと[2]。

現政権のジョー・バイデン副大統領は、つい先日(9月16日)に開催された展示会「Solar Power International」で太陽光発電を推進する姿勢を示している[3]ので、2017年にいきなり米国のモジュール需要が激減するとは考え難いですが、かと言って需要がこれまで通りに伸びていく(またはキープしていく)とも思えないので、Trina社をはじめとして米国向けの出荷量が多いメーカーについては、(他の有望市場が現れない限り)2017年以降に売上高や出荷量が下降する可能性があると考えます。

それはさておき、自社の下流事業向けは増減の幅が大きく、出荷量が伸びているのか俄かに判断しづらいですが、これは大規模プロジェクト故の不安定さであり、Trina社もそれからは逃れ得ていない、ということだと思われます。


太陽電池モジュールの生産能力

生産能力
2014 3月末時点約3.0GW
6月末時点約3.6GW
9月末時点約3.6GW
2015 3月末時点約4.0GW
6月末時点約4.4GW

業績の成長に伴い、生産能力もジワジワと拡張が続いていますが、現在は四半期単独の出荷量が1GWを超えているだけに、年産4.4GWだとギリギリな状態と思われるので、今後も継続的な拡張が実行されていくものと予想します。


下流事業

当該四半期
に系統連係
内訳
分散型(DG)大規模発電所(utility)
2015 1Q(1-3月)55MW
2Q(4-6月)121.3MW(全て中国)31.3MW90MW
3Q(※8/18時点)53.9MW
  • 2015/2Qには、英国で50.0MWの発電所を売却した。
  • 6月末時点で保有している、下流事業の運営資産(発電を行っている)は次の通り。
    合計地域別の内訳
    中国米国欧州
    358.5MW336.3MW
    ※utilityが300.0MW、
    DGが36.3MW
    4.2MW18.0MW

2014年4Q以前は、個々のプロジェクトの紹介はあったものの、意外にも合計規模の明記は有りませんでした。

2015年の上半期のみで、自社保有資産(約360MW)の半分(約180MW)が稼動開始したことになるので、それだけ今年に入って下流事業が本格化してきた、ということかもしれません。

ただ地域別では、中国国内が殆どであり、海外でのプロジェクト開発が簡単ではないことも推測されます。


※参照資料:
[1]Trina Solar Announces Second Quarter 2015 Results(Trina Solar社)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2080181
[2]累積20GWを超えた米太陽光市場、2016年末まで毎月1GWの建設ラッシュ(同上)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/286991/091600002/
[3]バイデン米副大統領が演説、「太陽光発電は可能性に満ち、大きな転換期に向かっている」
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/091800398/

※関連記事:
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2015年08月29日

JinkoSolar社の2015年2Qは、売上高5億1620万ドル(前年同期比31.6%増)・モジュール出荷量823MW

JinkoSolar社が8月20日に、20152Q2015/4-6)の業績を発表していました。[1]。

今回は、(当ブログでチェックしていた分に限りますが)過去の四半期業績の数字と合わせることで、業績の推移も確認してみました。


業績と背景

※カッコ内は前年同月比。(以下同じ)

売上高粗利益率R&Dの費用営業利益
20134-62億8760万ドル
(52.6%増)
17.7%212万7000ドル2540万ドル
20144-63億9000万ドル
(37.8%増)
22.6%378万9000ドル4056万ドル
(61.5%増)
10-124億7888万ドル
(35.8%増)
22.8%606万3000ドル3810万ドル
(9.8%減)
20151-34億4350万ドル
(36.5%増)
20.3%402万1000ドル3710万ドル
(13%増)
4-65億1620万ドル
(31.6%増)
20.7%642万5000ドル3820万ドル
  • 売上高の増加
    • モジュール出荷量の増加
    • 保有する発電所からの売電収入の増加
    が主因だった。
  • 下流事業の売上増
    自社の保有プロジェクトが、数・容量共に増加したことが主因。
  • 地域別
    • 米国
      製品出荷量は、前四半期比115%まで伸びた。
    • アジア太平洋
      タイでは市場シェアを拡大した。
    • 日本、英国
      駆け込み需要があった前四半期に比べると、出荷量は通常の水準に戻った。
      しかし今だ活発な市場であり、成長の兆候がある。

2013年2Qとその後を比べると、売上高・粗利益率・営業利益ともに差が歴然であり、先日調べたJA SolarCanadian Solarと同じく、着実に成長を重ねていることが見て取れます。

ただし20%台という粗利益率は、上記の2社を明らかに上回る水準です。

その要因を推測すると、まずモジュール等の生産コスト削減にも強く関わると思われる「R&D(研究開発)」の費用は、2013年から概ね売上高の1%前後で推移。

対して、例えばCanadian Solar社は1%未満であり、この研究開発への投資の差が、利益率の差につながっていることが考えられます。

また、Jinko社は下流事業において自社保有のプロジェクトが多く、そこでの利益率の高さ(後述)も大きく影響しているものと思われます。

自社保有の発電所事業

系統連系済み(累計)発電電力量売電収入粗利益率
20134-655MW
(※中国国内分)
20144-6252MW980万ドル
(1150%増)
10-12502.6MW1300万ドル
20151-3617MW115.27GWh
(149.1%増)
※下流事業全体
の売上高は
1650万ドル(111.1%増)
42.8%
4-6725MW203GWh
(201.9%増)
2860万ドル
※下流事業全体
の売上高は
2870万ドル
(191.6%増)
62.7%

各期の業績発表で記載の仕方が若干異なっているので、上記表では明記されていたものについて、カッコで付記しています。

名言されているわけではありませんが、自社保有のプロジェクトについては、各発表での記述内容から、殆どが中国国内でのものと思われます。

稼動済みプロジェクトは、2014年以降に右肩上がりで拡大しており、それに伴って売電収入も急速に増加。

利益面でも、粗利益率が今回(2015/2Q)は6割超まで高まっていることに驚かされます。

中国国内での電力買取価格は不明ですが、2015/2Qについて、売電収入(2860万ドル)を発電電力量(203GWh)で割ると約0.14ドル/kWh。

これは2015年1Q(※1650万ドルが全て売電収入と仮定して計算)もほぼ同じ数字になり、日本と比べると相当に安いだけに、高い利益率がもたらされる背景として他にどのような要因があるのかは、非常に気になるところです。

また2015年1Qと2Qの発電電力量については、発電容量の伸びよりも差が劇的に大きい(2Qは1Qの2倍弱)ですが、これは季節による日射量の変化(冬は少なく、春以降に増えていく)に依るものと思われます。

その意味では、今後更に自社保有の発電所が増えていった際、季節による発電量の変動が業績に及ぼす影響も、拡大していくことが予想されます。


モジュール出荷量

総量自社の下流事業向け
20134-6460.0MW
20144-6570.8MW
(24.1%増)
10-121078.3MW339.1MW
20151-3703.5MW
(35.8%増)
50.3MW
4-6823.0MW90.4MW

最後に太陽電池モジュールの出荷量ですが、基本的にはやはり、期が進むごとにどんどん伸びており、既に生産量で、Jinko社が世界のトップグループに入っていることが伺えます。

ただし自社下流事業向けの出荷量は、かなり変動が大きいようで、この点はやはり、大規模案件を扱う事業ならではの不安定さと思われます。


※参照資料:
[1]JinkoSolar Announces Second Quarter 2015 Financial Results(JinkoSolar社)
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=234421&p=irol-newsArticle_print&ID=2080885

※関連記事:
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2015年08月17日

JA Solar社の2015年2Qは、中国需要の強さに支えられた

JA Solar社が8月10日に、2015年第2四半期(2015/4-6の業績を発表していました[1]。

今回はその中から、幾つかの項目について、前四半期[2]のデータと合わせて見てみました。


業績と背景

※カッコ内は前年同期比。
また2014年については、逆算が簡単な粗利益率だけを記載しました。

売上高粗利益率営業利益
2014/1-316.7%
2014/4-615.2%
2014/10-1215.5%
2015/1-33億8770万ドル(+5.6%)16.1%2414万ドル
2015/4-64億3679万ドル(+11.8%)16.4%2518万ドル
  • 出荷量
    幾つかのキー市場で需要が強かったことが、事前の予想を上回る出荷量につながった。
    特に今回は、中国需要に依るところが大きく、同国については、下半期も産業用での強い需要の継続を期待している。
  • 生産能力の増強
    マレーシアでは、新しいセル工場の設立に向けた取組みを続けている。
  • 今後の展開
    現在は、新興市場での展開(特にインドと米州)に注力している。
    • 市場シェアの拡大
    • 下流事業でのプロジェクトの開発継続
    は、今後の数四半期の間、成長の主要な原動力になると見込まれる。

売上高は、前四半期比・前年同期比ともに1割以上伸びていますが、中国経済には不安材料が少なくない(成長スピードの減速、公共投資の停滞、最近起こった株価の暴落など)だけに、中国需要に支えられたままでは、リスクが大きいと考えざるを得ません。

また日本市場も、FITの制度変更などで今後の需要拡大は考え難いだけに、他市場(新興市場)での需要獲得は、喫緊で最重要の課題なのかもしれません。

粗利益率は、モジュールの価格競争が激しい中にも関わらず、少しづつ向上が続いており、生産コスト削減の努力が推測されます。

一つ気になるのは、マレーシアでのセル工場新設ですが、同国では中国メーカーに対する目が厳しくなっている節があるだけに、モジュールではなくセルの生産拠点とはいえ、新設には時間がかかる可能性があると考えます。


出荷量(合計と製品別)

まずは、合計と製品別の出荷量です。
※単位はMW。また、数値は1MW未満を四捨五入しています。

合計
(モジュール+セル)
内訳
モジュールセル
2014/1-3638388250
2014/4-6682446236
2014/10-1295388073
2015/1-368258497
2015/4-679171773

[1][2]の掲載数字のみを抜き出したため、2014/7-9のデータは記載していません。

そのため、セル出荷量がどの四半期に激減に転じたかは不明ですが、2014年12月には米商務省が中国製・台湾製の結晶シリコン太陽電池における、ダンピング幅・補助金幅の最終調査結果を発表しており、これを前にして何らかの大きな動きが起こったものと推測します。

いっぽうでモジュール出荷量は、四半期ごとにほぼ順調に増加しており、大手中国メーカーの一社として高い競争力を維持・向上していることが感じられるものです。


出荷量(地域別)

※数値の単位はMWで、一部(著しく小さい場合)を除き、1MW未満を四捨五入しています。
またカッコ内は、合計出荷量に占める割合です。

中国アジア太平洋
(中国除く)
欧州米州その他
2014/1-3166(26.0%)337(52.8%)94(14.8%)26(4.1%)15(2.3%)
2014/4-6177(26.0%)321(47.1%)95(13.9%)76(11.2%)12(1.8%)
2014/10-12391(41.0%)355(37.3%)122(12.8%)42(4.4%)43(4.5%)
2015/1-3146(21.4%)368(53.9%)154(22.6%)6.8(1.0%)7.5(1.1%)
2015/4-6358(45.3%)252(31.9%)117(14.8%)4.7(0.6%)59(7.4%)

業績発表で記載されているのは各地域の割合(%)だけだったので、ここでは見通しを良くするべく、管理人が具体的な出荷量の数字(MW)に換算しました。

先述の通り2014年3Qは不明ですが、少なくとも同年4Qには中国向けが一気に伸びており、下半期に中国需要が急激に拡大したことが伺えます。

ただしその後、2015年に入ってからは出荷量は増えておらず、今後の(維持はともかくとして)成長の余地という点では、中国市場には思ったほど期待できない雰囲気もあるので、その点でもやはり、他の新興市場が重視されていることには納得が行きます。

ちなみに2015年1Qについては、春節(旧正月)[3]を含む期間であり、これが中国での需要減の季節的要因になっていると推測されます。

中国以外の「アジア太平洋」は、今回(2015年2Q)は以前より30%程度(100MW前後)も減少。

この地域では日本が主要市場だと思われますが、一メーカーでの出荷量減少とはいえ、4月に伸び幅が拡大した日本国内のPV導入量に、今後どう影響してくるのか、というのはちょっと気になるところです。

成長市場であるはずの米州向けは、今年に入り激減していますが、これはやはり、米国でのアンチダンピング税・相殺関税が大きく響いているものと推測します。

欧州向けは増減はあるものの、一定の規模(100MW前後)をキープしており、主要市場の一つとして存在感は失われていないことが伺えます。

今後についてはやはり、中国需要が好調なうちに、同市場への依存をどれだけ縮小できるか(=他の市場の開拓)が、最も重要な課題になるものと考えます。


※参照資料:
[1]JA Solar Announces Second Quarter 2015 Results(JA Solar社)
http://investors.jasolar.com/phoenix.zhtml?c=208005&p=irol-newsArticle&ID=2078667
[2]JA Solar Announces First Quarter 2015 Results(同上)
http://investors.jasolar.com/phoenix.zhtml?c=208005&p=irol-newsArticle&ID=2048979
[3]春節(ウィキペディア)

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2015年07月13日

マレーシア政府がTrina Solar社の工場について「適用」を拒否、自国が中国メーカー製モジュールの単なる「積み替え拠点」になることを懸念

Trina Solar社のマレーシア工場に関して、「Maleysian Reserve」紙が2015年7月6日の記事[4]で

  • マレーシア政府が適用を断った
と報じていました。

記事内に出てくる政府機関(SEDAとMida)のサイトでは、この件に関する情報は見当たりませんでしたが、記事はSEDASustainable Energy Development Authority、持続可能エネルギー開発庁)」の方(実名記載あり)へのインタビュー内容をメインに書かれており、信憑性が高いと思われます。

今回はこの記事から、主な内容を抜き出してまとめてみました。
(※ただし、管理人の読解能力不足による誤りが存在する可能性はあるので、正確な内容は元記事を読んで確認してください。)


  • 海外メーカーの誘致推進
    マレーシアは
    • 15年間の減税措置
    • 銀行借入の支援
    • 高評価な製造拠点(「Kulim Hi-Tech Park」など)
    といった措置により、中国・韓国・米国・日本の太陽電池メーカーの誘致に成功している。
  • 制裁措置の回避手段化への懸念
    ただし中国メーカーの一部は、欧州・米国による制裁措置(反ダンピング関税など)を回避する目的で、マレーシアを「積み替えハブ」として利用している。
    (マレーシア国内で最終製品の組み立てのみを行い、「Made in Malaysia」のスタンプを押す)
    これにより欧州・米国の制裁関税が、自国にも適用される恐れがある。
    またこのような活動は、マレーシア人の仕事の創出にもつながらない。
  • 海外メーカーへの再許可の条件
    マレーシア投資開発庁Malaysian Investment Development AuthorityMida)」は、米国の反ダンピング関税を逃れる目的でマレーシアに流入してきた海外企業のアプリケーションを凍結してきた。
    しかし今年に入り、
    • マレーシア国内で、太陽電池パネルの組み立てだけでなく、セルも生産すること
      (中国その他からの、セルの輸入は不可
    を条件に、再許可を出すことにした。
    これまでこの条件を満たした企業は、Jinko Solar社のみである。
    (※同社は今年6月に、Penangに生産施設を発足した。
     次の2ヶ月で、その生産能力は
    • セル:500MW/年
    • パネル:450MW/年
     に到達する予定。
     また地域労働者の雇用は、最大で1200名の見込み。)
    今回のTrina Solar社は、マレーシアでセルを製造する予定が無かった
  • 一部の中国メーカーの不正
    Midaが製造ライセンスを許可する条件の中には、
    • 株主資金が250万RM(リンギット)以上であること
    • 75人以上を雇用する約束
    がある。
    一部の中国企業は、このライセンスの免除を得て、(FIT制度に基づく)地元産モジュールによる政府ボーナスを申請した。
    しかし、Midaがその工場の一つを訪れたところ、
    • 実際には太陽電池パネルが生産されていない
      (中国から持ち込んだパネルにフレームを組み付け、刻印するだけ)
    • 全ての労働者が外国人(バングラデシュ人)であり、生産設備も無い。(全て手作業)
    との状況があった。
  • 制裁関税の対象化への懸念
    欧州委員会は今年5月に、太陽電池貿易の調査対象を、マレーシアと台湾に拡大した。
    (これは、中国メーカーによる上記2国からのセル・モジュール輸出に関して、米国のSolarWorld社が申し立てた苦情を受けてのもの)
    SEDAが協議した欧州委員会の使節は、
    • マレーシアが中国製モジュールの「導管」になる可能性がある。
      そのためマレーシアは自身を、欧州の貿易関税の適用対象になる危険性に晒している。
    との懸念を示していた。

ちなみにTrina Solar社は、この記事発表の翌日である7月7日に、

  • マレーシア現地のパートナー企業との協力(太陽電池モジュールのOEM調達、生産能力500MW)は継続中。
    更にこのパートナー企業は、Trina社へのモジュール出荷スケジュール通りに開始した。
と発表しています[5]が、政府から拒否された旨についての言及・説明は、全くありません。


私がこの件について最初に見た記事は、日本語サイトのもの[1]でしたが、情報元を辿ると[2]→[3]→[4]まで遡る羽目になりました。

各々の内容を見ると、まず[1]に書かれている、マレーシア政府が中国以外の進出済みメーカー(米Sunpower、日パナソニック等)に配慮した、ということは、[4]は愚か[2][3]にも全く記述がありません。

また、[1][2]では「工場建設が拒否された」と書かれていますが、[4]ではその表現は見当たらず。

情報は伝わるたびに勝手な断定が入りやすいこと、そしてその信頼性を確認することの大切さを、改めて感じるものであり、端くれブログの運営者である私としても、十二分に気をつけていかなければ、と痛感します。

それはさておき、まず記事[4]を取り上げておいて何ですが、Trina社の製造拠点について「適用を断った(turned down an application)」というのが具体的にどういう措置なのか、という非常に肝心な点が、この記事だけでは良く判りません。

Trina社の現地パートナー企業が、計画通りに生産活動を開始しているというのであれば、(現地企業が保有・運営するものとして)工場は完成済みであり、政府による海外企業向け優遇措置の「適用」は断られたものの、工場の稼動自体は禁止されていない、ということなのかもしれません。

もっともそうなると、現地企業からのOEM調達というのが、制度の抜け道を突いている可能性も疑われますが・・・

また記事からは、太陽電池産業を自国の経済発展につなげようというマレーシアの強い意志、また太陽電池生産拠点としての中国に対する強い対抗心も伺えます。

穿った見方をすれば、その対抗心が、今回のTrina社拠点の「適用を断った」一因となった可能性もありますが、一部企業が実際に不正(ルール破り)を行ったのであれば、同じ国の企業全てに強い疑いの目が向いても、仕方の無いことだとは思われます。

加えて今回の記事では、欧州委員会による中国メーカー製モジュールへの目が、厳しさを増していることも伺え、こうなると米国においても、中国メーカーによる「Made in Malaysia」のモジュールが、制裁関税の対象として検討されるのも、遠くないことだと想像されます。

いずれにせよ、中国の太陽電池メーカーに対する「向かい風」が今後も強さを増すことは、間違いないものと思われます。


※参照資料:
[1]トリナソーラー、関連部品供給は継続するもマレーシア国内に製造工場建設は白紙!(「MALAYSIA NEWS」の記事)
http://www.mys-news.asia/news_rBvyyZXeF.html
[2]Trina Solar’s Malaysian manufacturing plans were blocked by government, claim reports(「PVTECH」の記事)
http://www.pv-tech.org/news/trina_solars_malaysian_manufacturing_plans_were_apposed_claim_reports
[3]Malaysia reported to have rejected China’s Trina Solar plant application(「malaymail online」の記事)
http://www.themalaymailonline.com/money/article/malaysia-reported-to-have-rejected-chinas-trina-solar-plant-application
[4]M’sia says no to China firms in bid to protect solar industry(「Maleysian Reserve」の記事)
http://themalaysianreserve.com/new/story/m%E2%80%99sia-says-no-china-firms-bid-protect-solar-industry
[5]Trina Solar's Cooperation with its Malaysian Partner Remains on Schedule(Trina Solar社のプレスリリース)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2065113

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2015年06月08日

Yingli Solar社の2015年1Qは、モジュール出荷量の伸び(前年同期比19.6%増)が1Qの過去最高、粗利益率が低下も赤字の縮小は続く

Yingli Green EnergyYingli Solar)社が6月5日に、2015年第1四半期の業績を発表していました[1]。

概要は下記の通り。(※一部の数字は当ブログ管理人が計算)


業績

実績値前四半期(2014年4Q)比前年同期(2014年1Q)比
売上高4億6870万米ドル16%8%増
粗利益率全体14.12.7ポイント1.6ポイント
モジュール販売14.8
営業利益1070万ドルの赤字67%の縮小49%の縮小
純利益5860万ドルの赤字34%の縮小6%の縮小

モジュール出荷量

実績値前四半期(2014年4Q)比前年同期(2014年1Q)比
総出荷量754.2MW20%19.6%増
出荷先別自社の下流事業27.5MW63%

背景

  • 売上高の増減
    • 前四半期比での減少は、主にモジュール出荷量の減少による。
  • モジュール出荷量の増減
    • 前四半期比での減少:
      中国国内での、伝統的な季節的影響による。
      ただし一部は、日本と新興市場への出荷量増加により相殺された。
    • 前年同期比での増加:
      伸び幅は、1Qでは過去最大となった。
      これは
      日本
      新興市場(東南アジア、南アフリカ等)
      での需要に支えられた。
  • 粗利益率の低下
    前四半期比での低下は、
    • 生産設備の稼働率低下
    が主因。
  • 市場別の状況
    • 新興市場
      新興市場(※中・日・欧米以外の地域)向けの出荷量は、全出荷量の19%を占めた。(※前四半期は9%)
    • 日本
      出荷量は、前四半期比で100%超の伸びとなった。
    • 中国
      中国国内市場の成長は、前年同期より勢いがある。
    • 米国
      販売は横ばいだった。
      これは顧客が、輸入関税の引き下げ実施(今年下半期?)を期待し、買い控えたことによる。
    • 欧州
      自社製品に対する需要は、安定していた。
  • 下流事業
    安定したスピードで拡大を続けた。
    • 着工:計94MW
    • 接続済み128MW(※殆どが中国国内)
      2015年末には、計約400〜600MWに到達する見込み。
      またその約半分を、同年内に売却することを見込んでいる。

営業損失・純損失は縮小していますが、その幅は前四半期と2014年通期よりも、かなり小さくなっています。

中国市場の季節的な弱さがあったとはいえ、粗利益率の低下を含めて、(記載は有りませんが)やはり他メーカーと同じく、厳しい競争による販売価格低下は影響しているのではないでしょうか。

モジュールの地域別出荷量は、例によって明記されていないですが、日本向けが前四半期比で2倍以上になりながら、全体の出荷量は2割マイナスであることから、現状では中国国内市場の割合が非常に高いことが推測されます。

また自社の下流事業向けは、減少幅(63%マイナス)が全体のそれを大幅に上回っており、開発案件を継続的に安定して獲得・進行できるかどうかが、(他メーカーもそうですが)業績への寄与における大きな課題という気がします。

今年の残り期間で接続予定の数字(270〜470MWを追加)をみると、これまでと比べてかなりハイペースでの建設となりそうですが、ソリューション事業は利益率が高いと言われるだけに、発電施設の売却が上手く行って業績の黒字化につながるものとなるかは、注目したいところです。

最後に、米国で関税引き下げを期待しての買い控えが起こっている、というのは私は初耳であり、中国製モジュールに対するアンチダンピング関税や相殺関税の扱いがどうなるのか、という点も注視したいと思います。


※参照資料:
[1]Yingli Green Energy Reports First Quarter 2015 Results(Yingli Green Energy社)
http://ir.yinglisolar.com/phoenix.zhtml?c=213018&p=irol-newsArticle&ID=2056774

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2015年06月05日

JA Solar社の2015年1Qは、モジュール出荷量が前年同期比50%増加、ただ米州向けの割合は低下

今回は、JA Solar社の2015年第1四半期の業績(5月18日発表[1])を見てみました。

業績の概要は下記の通り。(※一部の数字は、当ブログ管理人が計算)


業績

実績値前四半期(2014年4Q)比前年同期(2014年1Q)比
売上高3億8870万米ドル32.8%5.6%増
粗利益率16.16ポイント増6ポイント
営業利益2410万ドル33%7%
純利益560万ドル79%59%

モジュール出荷量

実績値前四半期(2014年4Q)比前年同期(2014年1Q)比
総出荷量584.1MW33.6%50.5%増
地域別
の割合
※セル(97.4MW)
を含む。
中国21.4%19.6ポイント4.6ポイント
アジア太平洋
(中国除く)
53.9%16.6ポイント増1.1ポイント増
欧州22.6%9.8ポイント増7.8ポイント増
米州1.0%3.4ポイント3.1ポイント
その他1.1%3.4ポイント1.2ポイント

背景

  • モジュール出荷量の増減
    • 前四半期からの減少:季節的な弱さによる。
    • 前年同期比での増加:
      日本欧州での需要が強かったことによる。
  • 粗利益率の変化
    前四半期からのアップは、
    • 素材コストの低下
    • 日本市場での高い需要(販売価格が予想より高かった)
    による。

その他

  • マレーシアで新工場を計画
    新しいセル生産施設の設立に向けて取り組み中。
    (同国での生産拠点新設は、新興市場(インド、南米など)への展開において都合が良い)

4Q比でのモジュール出荷量・売上高の減少は、国内(中国)市場での販売費率が高い、中国メーカーに共通する状況(季節的理由)のようで、今回のJA Solarもそれに沿っています。

粗利益率については、前年同期比での減少幅がJinkoSolar(3.7ポイント減)Trina Solar(2.6ポイント減)より大きめ。

ただ自社の前年通期(15.6%)よりは向上しており、その点ではコストダウンは(他メーカーと同じく)現在も堅調に進んでいると推測されます。
(それ以上に、販売価格の低下が効いているとは思われますが・・・)

いっぽう、前四半期比アップの要因の一つである「素材価格の低下」については、詳細は書かれていませんが、JA Solar社の垂直統合サプライチェーンにシリコンインゴットは含まれておらず[2]、その外部調達コストが低下した可能性が高そうです。

その点ではやはり、ポリシリコンの長期調達契約を結んでしまっているシャープの不利さは否めないと感じます。

モジュール出荷量は、総量が1年前から5割増と大幅な伸びであり、(中国大手メーカーらしい)成長の強い勢いが感じられます。

その中で地域別では、中国国内向けが(季節的要因がある前四半期比だけでなく)前年同期比でも比率を落としており、販売地域の分散が進んでいることが伺えます。

ただし、現在好調であるはずの米国市場と、新興市場である南米を含む「米州」が明らかに低下しているのは、どのような事情があるのか気になるところです。

最後にマレーシアの生産拠点については、中国メーカーでは既にJinkoSolar(3月に稼動開始)とTrina Solarも開設済み。

もっと以前には、パナソニックが数年前に設置済み、また米First Solarも(2012年に閉鎖しましたが)かつて生産ラインを構えており、マレーシアが今後、太陽電池メーカーの生産拠点の一大集積地となっていくのかは、注目したいところです。


※参照資料:
[1]JA Solar Announces First Quarter 2015 Results(JA Solar社)
http://investors.jasolar.com/phoenix.zhtml?c=208005&p=irol-newsArticle&ID=2048979
[2]Overview(同上)
http://www.jasolar.com/webroot/company/

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2015年06月04日

Trina Solar社の2015年1Qはモジュール出荷量が1GW超、前四半期比での販売価格低下は生産コスト低減が上回る

Trina Solar社が5月21日に、2015年第1四半期の業績を発表していました[1]。

概要は下記の通り。(※一部の数字は当ブログ管理人が計算)


業績

実績値前四半期(2014年4Q)比前年同期(2014年1Q)比
売上高5億5810万米ドル20.8%25.5%増
粗利益率18.02.3ポイント増2.6ポイント
営業利益2920万ドルの黒字4.4%24%
純利益1570万ドルの黒字12.7%増41%

モジュール出荷量

実績値前四半期(2014年4Q)比前年同期(2014年1Q)比
総出荷量1026.2MW6.6%84%増
出荷先別外部顧客891.7MW17%67%増
自社下流事業134.5MW375%増465%増

背景

  • 売上高とモジュール出荷量の増減
    前四半期(2014年4Q)からの減少は、中国国内需要の季節的な減速が主因だった。
    ただし一部は、欧州・日本での需要増で相殺された。
    また前年同期(2014年1Q)比での伸びは、キー市場での需要増、特に
    • 中国
    • 日本
    • 米国
    での需要増加が、主要な原因だった。
  • 粗利益率の増減
    前四半期からのアップは、主に
    • Wあたりの製造コストの縮小(平均販売価格(ASP)の低下分を上回った)
    • 販売地域の比率の変化(ASPが相対的に高い、米国・日本・欧州への出荷量増)
    によりもたらされた。
    いっぽうで前年同期比での低下は、ASPの低下スピードが、自社での製造コスト引き下げより速かったことによる。
  • 下流事業
    第1四半期には、計55MWのプロジェクトが系統連系しており、これには。
    • 中国国内(5MWのDG(分散型))
    • 英国(49.99MW)
    が含まれる。

自社内の生産能力(2015年3月31日時点)

  • インゴット:約2.2GW
  • ウエハー:約1.7GW
  • セル:約3.2GW
  • モジュール:約4.0GW

「the strongest first quarter in our company's history」の通り、季節的な販売減がありながらも、モジュール出荷量は1GW超に到達したあたりは、流石に生産能力トップクラスのメーカーであり、また世界の太陽光発電市場自体が拡大を続けていることも伺えます。

粗利益は1年前(前年同期)からは低下したものの、直近の前四半期比では製造コストダウンの効果のほうが上回ったとのことで、それが今回たまたまだったのか、それとも既に持続的な状態になっているのか、というのは気になるところです。

もし「製造コストの引き下げスピード>販売価格の低下スピード」という状態が持続的に実現できれば、販売価格を引き下げつつ利益の維持が可能になり、他メーカーとの販売競争を明らかにリードすることになると思われるので、その点は今後の業績でも注目して見ていきたいと思います。

モジュール出荷量については、自社の下流事業向け(前四半期は全体の2.6%程度)が、今回は1割超(13%)に到達。

前四半期比約4.8倍・前年同期比約5.7倍という伸び率の大きさからも、手がける発電所プロジェクトの拡大が急激に進んでいることが推測されますが、それだけに他の明確な数字(売上高に占める割合、利益率など)が示されていないのは残念です。


※参照資料:
[1]Trina Solar Announces First quarter 2015 Results(Trina Solar社)
http://ir.trinasolar.com/phoenix.zhtml?c=206405&p=irol-newsArticle&ID=2052260

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2015年06月03日

JinkoSolar社の2015年1Qは、前年同期比で大幅な増収増益、マレーシア工場(モジュール年産能力500MW)も稼動開始

JinkoSolar社が5月28日に、2015年第1四半期の業績を発表していました[1]。

主な数字・状況は下記の通り。(※一部は当ブログ管理人が計算)


業績

実績値前四半期(2014年4Q)比前年同期(2014年1Q)比
売上高4億4350万米ドル7.5%36.5%増
粗利益率20.32.5ポイント3.7ポイント
営業利益3710万ドルの黒字2.8%13%増
純利益820万ドルの黒字79%437%増

モジュール出荷量

出荷先実績値前四半期比前年同期比
サードパーティ703.5MW5.8%35.8%増
自社の下流事業50.3MW85%

下流事業

実績値前四半期比前年同期比
売上高1650万米ドル26.9%増111.1%増
粗利益率42.8
プロジェクトの状態完了済み617MW
建設中370MW
(今回の業績発表時点)
発電電力量115.27GWh25.3%増149.1%増

背景

  • 売上高の増減
    前四半期比での減少は、
    • モジュール出荷量の減少(主に季節的なもの)
    • 平均販売価格(ASP)の若干の減少(人民元に対するユーロ安と円安による)
    が主な原因だった。
    いっぽう、前年同期比での増加は
    • モジュール出荷量の増加
    • 発電事業からの電力収入の増加
    が主因だった。
  • 粗利益率の低下
    前四半期比・前年同期比ともに、平均販売価格の漸減が、低下の主因となった。
  • 下流事業の増収
    自社保有の発電事業の
    • 容量
    が増えたことが、売上高増の主な原因だった。

地域別の展開状況

  • 米国、新興市場(チリ、ブラジル等):成長を継続した。
  • 日本、英国:市場シェアとモジュール出荷量を大きく伸ばした。
  • 中国
    次の四半期以降に、強い需要を期待している。
  • マレーシア工場が稼動開始
    2015年3月26日に稼動を開始した。
    年産能力は
    • セル:500MW
    • モジュール:450MW
    で、既にフル稼働が予約されている。

自社内の生産能力

2015年3月31日現在で、

  • ウエハー3.0GW
  • セル2.0GW
  • モジュール3.5GW

全体の業績とモジュール出荷量は、前四半期からは減少しているものの、1年間(前年同期)からは殆どが大きく伸びており、業績の成長が続いていることが伺えます。

ただし、その中で粗利益率は明らかに低下。

それが本当に為替レートの都合(人民元安)のみによるのか、それとも価格競争の過熱が響いてきたのか、というのは気になるところですが、この点については、中国の他メーカーの業績も見て確認していきたいと思います。

いっぽう下流事業では、売上高はまだ全体の4%未満に留まっているものの、粗利益率は40%超と、全体での数字(20.3%)の実に2倍以上に達していることに驚きました。

ただ、同事業向けのモジュール出荷量は、前四半期の1/6以下でしかなく、やはり大規模プロジェクトが(売電による収益源としてはともかく)モジュールの安定的な需要先になることは、難しいのかもしれません。

もう一つ、生産能力については、新工場が稼動開始したばかりのマレーシアで、更にセル・モジュール工場の新設を計画しているとのことで、市場シェア拡大への攻勢が伺えますが、同時に低価格競争が更にヒートアップし、メーカー側の負担が増していくことも懸念されます。

その点では、日本のパナソニックシャープのように真っ向勝負を避ける戦略は、合理性があると思われます。(成功するか否かは、また別ではありますが)


※参照資料:
[1]JinkoSolar Announces First Quarter 2015 Financial Results(JinkoSolar社)
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=234421&p=irol-newsArticle_print&ID=2053910

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