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2020年05月24日

鹿児島県で「鹿屋大崎ソーラーヒルズ太陽光発電所」(約100MW)が稼働開始、急斜面の多いゴルフ場計画跡地を、極力そのまま利用

1か月ほど前になってしまいますが、京セラ社などが2020年4月28日に、

  • 九州で「鹿屋大崎ソーラーヒルズ太陽光発電所」(100MW)を運転開始した。
と発表していました[1][2][3]。

概要は次の通り。


場所 鹿児島県の鹿屋市
背景・経緯
  • この発電所の事業用地は、30年以上前にゴルフ場の建設計画が中止された土地であり、地元では長く有効活用が望まれてきた。
  • 2014年1月
    • GF
    • 京セラ
    • 九電工
    • 東京センチュリー
    の4社が、太陽光発電事業の検討を開始。
    そして4社の共同出資で、同年5月に、本事業の事業主である「鹿屋大崎ソーラーヒルズ合同会社」を設立した。
  • この合同会社が、地元の自治体や関係者などの協力を得ながら、発電所の建設を進めてきた。
敷地面積 220ha[5]
太陽電池モジュールの容量 100MW
(京セラ製が約35万7000枚)
発電電力量の見込み 11万7000MWh/年
九州電力に売電する。
総投資額 400億
施工における特徴
  • 最小限の造成工事
    地形をそのまま利用する「環境調和型」の発電所を目指した。
  • 新工法を採用:
    • スパイダーマシン
    • 斜面地用架台
    を用い、急斜面などの地山なりに、太陽電池モジュールを設置した。
  • 工期の短縮
    月間10MWの急速システム施工。
    (※2017/4初めに着工、2019/11末に本体工事完了[5]。2020/3/10に稼働開始)
各企業の役割
  • 事業主体:鹿屋大崎ソーラーヒルズ合同会社
  • 設計・施工、維持管理:
    九電工とGFのジョイントベンチャー「鹿屋大崎ソーラーヒルズ建設工事共同企業体」
  • 太陽電池モジュールの供給:京セラ
  • ファイナンス:東京センチュリー
    地方銀行17行が参加するシンジケートローンを組成した。


建設場所はゴルフ場の計画跡地ということで、発電所の上空写真([1]〜[3])からは、なんとなくゴルフ場の雰囲気が感じられます。

また[5]の掲載写真では、斜面の勾配のきつさが伺え、このような起伏の険しい場所で100MWの太陽光発電所を無事に完成させたことには、やはり驚きます。

ただ「月間10MWの急速システム施工」であれば、100MWは10ヶ月で済む筈ですが、実際には着工〜本体工事完了まで約2年8ヶ月(=32ヶ月)かかっており、この大きな差の理由は気になります。

もっとも、ゴルフ場の建設計画中止から30年以上も経っていたとなれば、例えばその間に草木が相当に生い茂ったことは想像されます。

新たな造成は極力行わなかったとはいえ、長く手付かずだった土地ということで、システム施工に入る前の段階で、やはり相当な準備が必要だったのかもしれません。


この事業に関わった企業のうち、京セラ・東京センチュリー・九電工は、長崎県内で計画されている営農併設型の「宇久島メガソーラー事業」(480MW)にも携わっています。

そのためそちらのほうでも、環境と地域社会に配慮した「鹿屋大崎ソーラーヒルズ」での経験・ノウハウは、少なからず生かされるものと予想します。


※参照・参考資料:
[1]鹿児島県鹿屋市と大崎町にまたがる土地での環境調和型 九州最大級「鹿屋大崎ソーラーヒルズ太陽光発電所」の営業運転開始について(京セラ、2020/4/28)
https://www.kyocera.co.jp/news/2020/0405_deks.html
[2]同上(九電工、2020/4/28)
https://www.kyudenko.co.jp/press/b3af8c4795f4572637475fb9368fd6a3.pdf
[3]同上(東京センチュリーリース、2020/4/28)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8439/tdnet/1820231/00.pdf
[4]鹿屋大崎ソーラーヒルズ発電所 竣工式(株式会社GF、2020/5/13)
https://gfcorp.jp/slug_news/20200513-01/
[5]鹿屋大崎ソーラーヒルズ 工事完了!(同上、2019/11/30)
https://gfcorp.jp/slug_news/20191130-01/

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2020年05月23日

京セラ等が「宇久島メガソーラー事業」(480MW)に約500億円を出資、計画の事業性を確認し決定

1か月近く前になりますが、京セラ社などが2020年4月28日に、

  • 長崎県佐世保市宇久島における「営農併設型太陽光発電計画」への出資
を発表していました[1][2][4]。

概要は次の通り。


背景・経緯
  • この計画について
    • 京セラ
    • タイ国「SPCG Public Company Limited
    • 九電工
    • 東京センチュリー
    • 古河電気工業
    • 坪井工業
    の各社はこれまで、協力して事業性の検討を進めてきた。
    また2017年12月には、「宇久島みらいエネルギーホールディングス合同会社」を設立している。
  • 今回は各社において、この計画の事業性を確認できたことから、合同会社に出資することを決定した。
事業の名称 仮称「宇久島メガソーラー事業
発電能力 480MW
京セラ製の太陽電池モジュール約480MW分を設置する。
発電電力量 51.5万MWh/年の見込み
総投資額 2000億円程度の計画
※今回の発表[1][2][4]では、合同会社に500億を出資する旨が示された。
※工事金額は1400億円程度(九電工が受注)[3]。
出資企業 先述の6社など。
その他 宇久島と九州本土の間に、海底ケーブル(約64km)を敷設する。
これにより、発電電力を九州電力に売電することを想定している。
今後の予定
  • 2020年度:建設を開始
  • 20236月末:建設を完了[3]


改めて振り返ると、宇久島でのこの大規模事業は、元々は2013年にドイツの企業が発表したものでした。

しかしそれから5年後の2018年には、事業の権利が「宇久島みらいエネルギーホールディングス合同会社」に移転することが決定し、計画は仕切り直しに。

そして更に2年が経った今回、いよいよ正式に動き出すとのことで、ここに至るまでにずいぶん長くかかったものですが、国土が限られる日本国内において、約0.5GWという規模の太陽光発電事業を進めるには、相応の時間が必要だった、ということだと思われます。


タイ国SPCG社のプレスリリース[6]には、発電所のイメージ画像が載っていますが、そこからは自然を極力保ったまま、太陽電池モジュールを設置していく方針が感じられます。

完成・稼働開始はまだ先のことですが、この事業が地域と対立することなく調和し、長く電力供給の役割を果たしていくことを、強く期待するものです。


※参照・参考資料:
[1]長崎県佐世保市宇久島での太陽光発電事業に関する出資について(京セラ、2020/4/28)
https://www.kyocera.co.jp/news/2020/0404_kfje.html
[2]最大出力約480MWの営農併設型太陽光発電計画 長崎県佐世保市宇久島での太陽光発電事業に関する出資について(九電工、2020/4/28)
https://www.kyudenko.co.jp/press/685a4c5605b73ef3c193dd0f4790ae79.pdf
[3]大型太陽光発電所の建設工事受注に関するお知らせ(同上)
https://www.kyudenko.co.jp/press/65d613a3e68a502098c857daafe983e8.pdf
[4]長崎県佐世保市宇久島での太陽光発電事業に関する出資について(東京センチュリー、2020/4/28)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8439/tdnet/1820106/00.pdf
[5]長崎県佐世保市宇久島 太陽光発電事業計画(坪井工業)
http://www.tuboi.co.jp/other/ukushima.html
[6]SPCG社の2020/4/28発表のプレスリリースの、google翻訳結果
(※元ページは「https://spcg.co.th/en/newDetail/154/PRESS%20RELEASES」)
[7]SPCG社の2020/5/21発表のプレスリリースの、google翻訳結果
(※元ページは「https://spcg.co.th/en/newDetail/158/PRESS%20RELEASES」)

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2020年02月01日

JinkoSolar社が北海道釧路町の蓄電池併設メガソーラーに、92MWのハーフカットセル「Cheetah」モジュールを供給

JinkoSolar社が2020年1月8日に、

  • 北海道・釧路町での蓄電池併設型メガソーラー向けに、92MWの太陽電池モジュールを供給した。
と発表していました[1][2]。

発電所の概要は次の通り。


用地の面積 163ha(遊休地)
太陽電池モジュール ハーフカットセルの「Cheetah」シリーズ
蓄電池 リチウムイオン電池
(※容量は記述なし)
発電電力量 1億550万kWh/年の見込み。
運転開始時期 2020年初頭の予定。


昨年(2019年)11月にはJA Solar社が、標津海岸でのメガソーラー+蓄電池プロジェクトに32MWのモジュールを供給したと発表していました。

今回のJinkoSolar社の供給先も、北海道東部での蓄電池付き大規模発電所であり、これが偶然なのか、それともこの地域で大規模メガソーラーの建設が活発化しているのかは、判りません。

ただ[1]の文中には「this milestone project」とあるので、実地での設置・稼働環境の厳しさに挑むという点も、JA Solar社の先のケースと同じであるようです。

個人的にはいずれの発電所も、是非とも長期の安定稼動を実現してほしいところです。


※参照・参考資料:
[1]Jinkosolar Supplies 92MW Cheetah Modules for the Largest-scale Battery-equipped Solar Plant in Hokkaido(JinkoSolar社、2020/1/8)
https://www.jinkosolar.com/press_detail_1915.html?lan=en
[2]ジンコソーラー 日本北海道最大級蓄電池併設型メガソーラーに92 MW Cheetahモジュールを供給(同上、2020/1/7)
https://www.jinkosolar.com/press_detail_1901.html?lan=jp
[3]Cheetah Mono PERC HC(JinkoSolar社)
https://www.jinkosolar.com/product_484.html?lan=en
[4]釧路町(ウィキペディア)

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2019年09月12日

千葉県の「山倉水上メガソーラー太陽光発電所」で「台風15号」後に火災が発生、太陽電池パネルが吹き寄せられ折り重なった箇所から出火

千葉県市原市の「山倉水上メガソーラー太陽光発電所」で2019年9月9日に、火災が発生していたとのことです。

各種の報道・発表[1]〜[7]から、主な状況は次の通り。


  • 経緯:
    • 2019年9月9日の午後1時頃:火災が119番通報される。
      消防車7台が出動[1]。
    • 同日午後5時20分:消防の消火活動により鎮火した。[1]
  • 現場の状況:
    湖面に敷き詰められていた太陽電池パネルが、「台風15号」の強風により一方向に吹き寄せられたとみられ、その一部で
    • フロートごと水面からのめくれ
      ([1]にアップ、[4]に上空からの遠景の写真)
    • パネルの折り重なり([2][3]の写真)
    が生じていた。
    火災は、湖岸近くの太陽電池パネルが折り重なった部分で発生し、黒煙と炎が上がった。
  • 被害の規模:不明[1]
    延焼した太陽電池パネルの枚数は「数十枚以上」[3]、「少なくとも約50枚」[2]
    (※発電所全体のパネル数は約5万枚)


私が写真を最初に見たのは[4]の記事でしたが、「めくれ」や「皺」を含めて、湖面の太陽電池パネル群があたかも「薄い膜」のように見え、発電設備の規模の巨大さがひしひし感じらました。

そのような大規模設備(燃えたのはごく一部ですが)で、しかも(燃えやすい建物屋根などでなく)「水の上」の設備で起こった火災だけに、インパクトも強かったです。


火災の原因は不明ですが、[2]のアップ写真からはやはり(フロートではなく)太陽電池パネル自体がメインで燃えているようです。

そのため発火の原因としては、台風の強風による無理・急激な移動でケーブルが断線し、その状態でパネルが発電を継続したためにアーク(直流のため消え難い)が発生して、バックシートや封止材に引火した・・・ということだと推測します。


それにしても水上太陽光発電所の場合、浮かべたフロート(+太陽電池パネル)が風で流されないような措置(湖底や湖岸からのワイヤーによる係留)が施されている筈です。
(しかも今回の発電所の設計・施工などは、京セラが担当

それにも関わらず吹き寄せられてしまったというところに、台風15号の凄まじさが想定を超えたものであったことが伺えますが、それだけに今回の火災から得られる知見が、他の水上発電所の安全確保に生かされることを願います。


また、自然災害の多い日本国内で今回のような火災が実際に起こったことから、その備え・対策として、火災発生時に各パネル毎に出力を自動停止する機能(例えばTigo Energy社のソリューション)の普及も、いよいよ本格的に進める必要があるのではないでしょうか。

それが、太陽光発電に対する「制御不能」「怖い」というイメージを払拭するためにも、必要なことだと考えます。


最後に、昨年の北海道・胆振東部地震での停電を経験したものとして、現在千葉県で停電にあわれている方々が、無事に苦境を乗り越えられることを、祈っております。

このような事態において、はっきりと社会を支え得るだけのインフラに、太陽光発電をはじめとする再エネが、(電力系統などの課題解決も含めて)成長・発展していってほしいものです。


※参照・参考資料:
[1]水上メガソーラー焼ける 市原の山倉ダム(千葉日報、2019/9/10)
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/625796
[2]ダム水面の太陽光パネルが数十枚燃える 千葉・市原(朝日新聞、2019/9/9)
https://www.asahi.com/articles/ASM994V27M99UDCB01M.html
[3]鉄塔倒壊、パネルから火災も=「最強級」の爪痕深く−台風15号(時事ドットコム、2019/9/9)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019090900907&g=soc
[4]強風の影響か 千葉のメガソーラー発電所で火災(2019年9月9日)(BIGLOBEニュース)
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0909/abt_190909_5983522241.html
[5]令和元年台風第15号による被害・対応状況について(9月11日(水)6時30分時点)(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2019/09/20190911002/20190911002.html
[6]空撮:台風の影響か ダム水面上の太陽光パネルが火災 千葉・市原(YouTube、アカウント「毎日新聞」の投稿動画)
https://www.youtube.com/watch?v=jzvYnmuzYII
[7]電柱倒れパネル炎上も・・・首都圏襲った台風15号の爪痕(19/09/09)(YouTube、アカウント「ANNnewsCH」の投稿動画
https://www.youtube.com/watch?v=jzvYnmuzYII

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2018年06月07日

ネクストエナジー社が、リユース太陽電池のみを用いた「PV Next 駒ヶ根市太陽光発電所」を完成、5種類・計1202枚のモジュールを使用

ネクストエナジー・アンド・リソース社が2018年6月4日に、

  • リユース太陽電池モジュールだけを用いた自社太陽光発電所を建設した。
と発表していました[1]。

今回は、その概要をまとめてみました。


建設の背景 ネクストエナジー社は、2005年に太陽電池モジュールのリユース事業を開始し、数万枚超の検査・評価実績を蓄積。
独自の選定技術「REBORNテクノロジー」を有している。
また2015年からは、同技術によるリユースモジュールを利用し、自社太陽光発電所の建設にも取り組んでいる。
発電所の名称 PV Next 駒ヶ根市太陽光発電所
場所 長野県の駒ヶ根市内
※同市の所有する「伊南清掃センター」(可燃物焼却場)跡地。
敷地面積 6749.1m2
太陽電池モジュール
  • 設置枚数:1202
  • 種類:5種類
  • 設置容量:280.78kW
    ※パワコンの出力は254.28kW。
特徴
  • 全てリユースモジュールを利用
  • 地域に根差した設備を目指す:
    • 災害時用のオフグリッドシステム
    • 地域防犯用のソーラー外灯
    も設置。
    今後は、見学施設として環境教育への利用も進める。
  • 自主環境アセスメントを実施:
    周辺環境に配慮し、周囲に植樹を行った。
スケジュール
  • 2018/5/30:稼動開始
  • 同6/3:竣工式を実施


今回の太陽光発電所では何よりも、太陽電池モジュールが全てリユース品という点に驚きました。

「REBORN」テクノロジーの紹介ページ[2]を見ると、中古モジュール1枚1枚について

  • シリアルナンバーの付与
  • I-V出力測定、EL検査
  • トレーサビリティの確保
と、周到な再製品化の体制が、既に確立されていることが伺えます。

将来的に大量の使用済みモジュールの排出が予想される中で、破損したモジュールは仕方が無いとして、十分に構造・機能が保たれているモジュールについては、このように積極的に再利用する取組みが、どんどん進んでほしいものです。


※参照・参考資料:
[1]リユースモジュールを利用した自社太陽光発電所を建設(ネクストエナジー・アンド・リソース社、2018/6/4)
https://www.nextenergy.jp/info/2018/info20180604.php
[2]太陽電池モジュール リユース(同上)
https://www.nextenergy.jp/service/reuse.php

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2018年02月02日

京セラ社が「宇久島メガソーラー事業(仮称)」の検討に関する進捗を発表、事業の権利を新設の合同会社に移転し、計画を再始動

京セラ社が2018年1月24日に、

  • 計画中の「宇久島メガソーラー事業(仮称)」の、検討に関する進捗
を発表していました[1]。

その中から、主な情報を抜き出してみました。


建設予定地 長崎県佐世保市宇久島
(島面積2493万m2、人口約2000人)
発電能力 480MW
発電電力量(予測) 51.5万MWh
参加企業 検討中。下記の8社となる予定。
  • 九電工
  • 京セラ
  • タイ国「SPCG Public Company Limited」
  • 東京センチュリー
  • 古河電気工業
  • 坪井工業
  • みずほ銀行
  • 十八銀行
事業の権利 当初の独「Photovolt Development Partners」社から、「宇久島みらいエネルギーホールディングス合同会社」に移転することで合意した。
(※この合同会社は、事業者が新たに設立した、発電事業のSPC)
これに伴い本プロジェクトは、新たな計画として再始動する。
設備など
  • 太陽電池モジュール
    全て、京セラ製の多結晶シリコン型を使用する。(約165万枚)
  • 海底ケーブル
    宇久島と本土の間に敷設する海底ケーブル(約64km)により、九州電力に売電することを想定している。
  • 営農との両立
    一部の土地では、支柱の上に太陽光発電設備を設置することで、発電所内での営農を可能とする。
事業スキーム等
  • 島内の農地・耕作放棄地などを、土地管理会社が借り受け、この土地を「宇久島みらいエネルギー合同会社」に転貸する。
    (※同社は、先述の「宇久島みらいエネルギーHD」の子会社)
    そして同社が、借りた土地で太陽光発電所の建設・運営を行う。
    営農併設型で環境ビジネスを創出し、宇久島の安定的な営農の継続・拡大を支援し、島の発展に寄与する方針。
  • 今後は、自治体・地元関係者などと協力しつつ
    • 事業スキーム
    • 自然環境に配慮した設置場所、方法など
    の実現に向けた検討も進める。
総投資額 2000億円程度の計画
スケジュール
  • 2018年度内:着工予定


宇久島メガソーラーについては、これまで

とのスケジュール目標が示されていました。

しかし、日本国内でこれまでに類を見ない規模の事業計画であるためか、その後は九州電力から系統連系の承諾は受けたものの、事業の具体的な進展は伝わってきませんでした。

今回は事業者が新体制となったことで、再び実現に向けて動き出したと見受けられます。


事業の権利がPVDP社から移転することになった背景・経緯は不明ですが、運営の主体が海外企業から国内企業メインに変ることは、国民による心情的な受け入れやすさという点からも、プロジェクトの実現にはプラスに働くのでは、と考えます。

本プロジェクトについては発表当初から、地元の自然環境などへの影響に対する懸念[4]が出ていましたが、その懸念を払拭するだけの、豊かな内容で合理性のある事業となることを、強く願うものです。


※参照・参考資料:
[1]長崎県佐世保市宇久島での太陽光発電事業の検討に関する進捗(京セラ、2018/1/24)
http://www.kyocera.co.jp/news/2018/0109_gfyt.html
[2]Solar parks Japan(Photovolt Development Partners社)
https://pvdp.eu/projects/solar-parks-japan/
[3]SPCG Public Company Limited
http://www.spcg.co.th/index.php/en/home
[4]小さな島が「自然エネルギー」で埋め尽くされようとしています。(日本自然保護協会、2013/7/1)
http://www.nacsj.or.jp/diary2/2013/07/post-385.html

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2017年11月10日

北海道・八雲町で蓄電池併設のメガソーラー(約102.3MW+約27.0MWh)が計画、SBエナジーと三菱UFJリースが携わり、指定ルール下でプロジェクトファイナンスを組成

SBエナジー」と「三菱UFJリース」の2社が2017年11月1日に、

  • 北海道・八雲町に、蓄電池併設メガソーラー(約100MW)を建設する。
との計画を発表していました[1][2]。

ここでは、その発電所の概要をまとめてみました。


名称 ソフトバンク八雲ソーラーパーク
建設場所 北海道の八雲町内
敷地面積 132ha
※「太平洋汽船」社と「太平洋農場」社が保有する土地に建設する。
規模
  • 太陽光発電:約102.3MW
  • 蓄電池:約27.0MWhのリチウムイオン電池
スケジュール
  • 2018年4月:着工
  • 2020年度内:運転開始
事業者 「北海道八雲ソーラーパーク合同会社」
※2017/1/4設立。
※SBエナジーと三菱UFJリースが、50%づつ出資している。
その他
  • 蓄電設備は、北海道電力が2015年4月に公表した「太陽光発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件」に基づいて設置する。
  • 今回の事業では、「指定電気事業者制度」による出力制御無補償の条件下で、プロジェクトファイナンスを組成する。


北海道電力の「技術要件」[4]によると、出力変動緩和対策の基準は

  • 全ての時間において、発電所合成出力(太陽光発電+蓄電池)の変化速度を「発電所定格出力の1%以下/分」
なので、今回の発電所では、出力変動を約1MW以下/分に抑えることが、条件になるものと推測されます。

太陽光発電の出力規模に対して、蓄電池の容量がどの程度あればこの基準を満たせるのか、というのは、専門家でない私には見当が付きません。

その点で今回のプロジェクトにおいて、稼動後に約1年必要という技術検証(合成出力のサンプリングデータをチェックする)で良好な結果が得られれば、本プロジェクトの数値が一つの目安とできるのでは、と期待するものです。


また個人的に、指定ルール(2015/1開始)と蓄電池併設については、これまで(太陽光発電所事業において)コスト的に著しく不利な条件、というイメージしかありませんでした。

そのため今回の事業で、それらの条件下(プラス、FITでの買取価格引き下げが続く中)で「プロジェクトファイナンスを組成します」と明言されていることには、非常に驚きました。

この点については近年、太陽電池モジュールパワコン蓄電池の値下がりが著しく進んでいることが、不利な条件下での事業化を可能にしつつある、ということなのかもしれません。


振り返ると今年(2017年)に入ってから、北海道内では他にも

と、蓄電池併設のメガソーラー事業が相次いで立ち上げられています。

かつてのFIT導入直後の活気が消え去った、国内の太陽光発電市場において、これらのような蓄電池併設のメガソーラーが新しい動きとなり得るかどうかは、期待を持ちつつ注目していきたいと思います。


※参照・参考資料:
[1]北海道八雲町で国内最大規模の蓄電池併設型メガソーラー発電所を建設(SBエナジー、2017/11/1)
http://www.sbenergy.co.jp/ja/news/press/2017/1101_150000.html
[2]北海道八雲町で国内最大規模の 蓄電池併設型メガソーラー発電所を建設(三菱UFJリース、2017/11/1)
http://www.lf.mufg.jp/investors/library/pressrelease/2017110104.pdf
[3]国内最大の蓄電池併設型メガソーラー、北海道八雲町(日本経済新聞、2017/11/6)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO23143340W7A101C1000000
[4]太陽光発電設備および風力発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件について(北海道電力)
http://www.hepco.co.jp/energy/recyclable_energy/fixedprice_purchase/solar_wind_power_pv_tec.html
[5]プロジェクト・ファイナンス(ウィキペディア)

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2017年10月01日

京セラ等による京都府・宮津市での太陽光発電所(6ヶ所・計約5MW)は、地域の景観改善・観光資源化・「自立循環型経済社会構造」への貢献も期待

京セラ等が2017年9月26日に、

  • 同日に京都府の宮津市内で、太陽光発電所6ヶ所(計5MW)の竣工式を行った。
と発表していました[1]。

事業の概要は下記の通り。


<背景>

  • 遊休地の有効活用による、地域への貢献
    今回は宮津市と、同市内の由良地区・上宮津地区・栗田地区の地元自治会の協力を得て、事業化を実現した。
    特に由良地区においては、数十年に渡ってほぼ手付かずの遊休地があり、
    • 野生動物の近隣住宅地への出没
    等の、大きな課題を生じていた。
    今回の事業では、このような遊休地(耕作放棄地など)を太陽光発電に用いることで
    • 景観の改善
    • 観光資源としての活用
    等の、地域社会への貢献が期待される。
  • 宮津市の政策との合致
    宮津市は低炭素型社会の実現を目指しており、これまでに
    • 2007年度:「地域新エネルギービジョン」
    • 2010年度:「バイオマスタウン構想」
    を策定している。
    また「みやづビジョン2011」では、自立循環型経済社会構造への転換において、エネルギーを重要要素の一つに位置付けている。
    今回の太陽光発電所は、現在の同市の重点戦略(「宮津市まち ・ ひと ・ しごと創生総合戦略」)における、「エネルギーの地産地消」実現に向けた最初の取組みであり、同市主体で検討中の小売電気事業と両輪となる予定。

<発電所の概要>

事業者 宮津太陽光発電合同会社
※これは
  • 金下建設(地元の建設会社)
  • オムロンフィールドエンジニアリング
  • 京セラ
の3社が出資したSPC(特別目的会社)。
発電所(モジュール出力) 下記の6ヶ所(計4948kW)。
  • 「由良第一太陽光発電所」(1580kW)
  • 「由良北第一太陽光発電所」(333kW)
  • 「由良北第二太陽光発電所」(873kW)
  • 「由良北第三太陽光発電所」(333kW)
  • 「上宮津太陽光発電所」(1081kW)
  • 「宮津市上司太陽光発電所」(748kW)
稼働開始日
  • 「宮津市上司太陽光発電所」:2017/9/6
  • 他:2017/8/1
事業の担当
  • 金下建設:土地の整備
  • オムロンフィールドエンジニアリング:発電設備の設計 ・ 施工、事業期間中の保守管理
  • 京セラ:太陽電池モジュールと周辺機器の供給


今回の発表で特にユニークと感じたのは、太陽光発電所を建設・稼動すること自体が、地域の遊休地の管理や、景観の改善などに貢献し得る、とされていることです。

これまで国内各地での太陽光発電所の建設計画を巡っては、「地域の景観や自然環境の破壊につながる」との意見による

  • 地元住民による反対運動
  • 自治体による規制の制定
等の対立的な動きが、特に目立って伝わってきており(例えば静岡県・伊東市議会によるメガソーラー計画への反対表明)、私自身も「太陽光発電事業と地域の利益は相反する」というネガティブなイメージが強くなっていました。

そこに来て今回の発表は、「取り組み方によっては、太陽光発電事業が地域にはっきりメリットをもたらすことが可能」という主張とも感じられ、上記のような動向に一石を投じる狙いがあるのでは・・・と想像するものです。


実際に今回の事業においては、宮津市や自治会が協力したとのことであり、またSPCに地元の建設会社も出資していることから、事業者と地元が良好な関係を築いていることが推測されます。

観光名所「天橋立」を擁する宮津市における今回の太陽光発電事業が、実際に狙い通りのメリットを地元にもたらすことができれば、国内での太陽光発電事業の一つの理想となると考えるので、是非とも順調な運営を期待したいところです。


※参照資料:
[1]京都府宮津市に合計5MWの太陽光発電所を開設(京セラ、2017/9/26)
http://www.kyocera.co.jp/news/2017/0901_gppo.html
[2]京都府宮津市に合計5MWの太陽光発電所を開設 〜宮津市初のメガソーラー〜(オムロンフィールドエンジニアリング、2017/9/26)
http://www.omron-fe.co.jp/news/qo74ib000000b5a1.html
[3]会社概要(金下建設株式会社)
http://www.kaneshita.co.jp/info01.html
[4]みやづビジョン2011(宮津市)
http://www.city.miyazu.kyoto.jp/www/info/detail.jsp?id=1471
[5]宮津市(ウィキペディア)

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2017年07月10日

静岡県の伊東市議会が、市内でのメガソーラー計画(約50ha)に対し「断固として反対」を決議、自然破壊に対する地域の不安が払拭されず

静岡県・伊東市の議会が2017年7月4日に、

  • 市内の八幡野区で計画されている「伊豆高原メガソーラーパーク発電所(仮称、敷地面積約50ha)」に対し、断固として反対する。
等と決議したことを発表していました[1]。

ここでは、その中で挙げられている反対の理由を抜き出してみました。


土地の保水力低下 広大な森林・草地を伐採するため、保水力が低下し、
  • 土砂災害の発生リスクの上昇
  • 降雨時の泥水による川・海の汚染(漁業やダイビングスポットへのダメージ)
が懸念される。
地域の気候への影響 太陽電池パネルで覆われた土地については、
  • パネルからの反射光により、都会以上に温度が上昇し、ヒートアイランド化が進む。
と言われている。
動植物の生息環境への影響 森林・草地の開発によって、動物(猿、猪、鹿など)の人里への侵入(それによる農作物への被害など)が懸念される。
「伊豆半島ジオパーク」の認定への影響 建設予定地はジオサイトに近接しており、伊豆半島全体で目指している「伊豆半島ジオパーク」の世界認定に及ぼす影響が、懸念される。


この件について私は、事業者側・反対者(住民)側のどちらにも賛同するつもりはありません。

ただ反対運動のサイト[3]を良く見ていくと、地域の外から来ている事業者が、その地域に長く住んで深く馴染んでいる住民から、このような大規模事業への賛同を得ることは、極めて難しいことだと強く感じます。


これが例えば、既に開発済みであるゴルフ場の跡地などを利用するものであったり、或いはずっと小さい規模の事業計画であったなら、さほどの反対は無かったのかもしれません。

しかし今回の計画は、深い山の中で50haもの森林を新たに伐採して切り開くものです。

この規模だと、よほど建設予定地域の環境を熟知していて、開発により生じる影響・変化を精確に見切れない限り、事業者が十分な説得力を発揮して、地元住民の理解を得ることはできないのではないでしょうか。

そしてそれは、極めて困難なことだと考えます。


海外では、数十〜数百MW規模の太陽光発電所が多数あり(例えばFirst Solar社が関わるもの)、更に今では中東で1GW超のプロジェクトまで出現しています。

しかし日本国内の環境において、海外と同じような「規模の追求」を進めていくのは、非常に大きな無理が生じると考えざるを得ません。


最後に、今回の反対理由の一つに挙げられている、パネルの反射光による「深刻なヒートアイランド化」への懸念ですが、FITにより国内でメガソーラーが多数稼動している現在では、調査を行えば正確な実態が判明するのではないでしょうか。

これは個人的にも強く気になる点なので、何らかの形で調査が行われ、明確なデータや知見が示されることを、期待したいところです。


※参照資料:
[1]伊豆高原メガソーラーパーク発電所(仮称)建設計画等伊東市における太陽発電所建設に伴う開発行為に対する反対決議(伊東市)
http://www.city.ito.shizuoka.jp/gikai/html/(29.6)ketsugi-megasorahatsudensisetuhanntai.pdf
[2]伊東・大規模太陽光発電計画 市議会が反対決議可決(静岡新聞)
http://www.at-s.com/sp/news/article/politics/shizuoka/377013.html
[3]伊東メガソーラー建設の中止を求める会
http://ito-ms.chu.jp/
[4]伊豆半島ジオパーク(ウィキペディア)
[5]伊東市(同上)

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2017年07月07日

「Direct Wafer」採用の太陽光発電施設(500kW)が商業運転を開始、設備のエネルギーペイバック期間は1年未満まで短縮

米「1366 Technologies」社が2017年6月29日に、

  • 自社製「Direct Wafer」を用いた太陽光発電施設(日本国内、500kW)が、商業運転を開始した。
と発表していました[1]。

施設の概要は下記の通り。


場所 兵庫県内
発電容量 500kW
建設 日本のIHIの子会社「IHIプラント建設」が行った。
太陽電池モジュール
  • 中国のTier 1メーカーが製造し、IEC認証を受けている。
  • 「Direct Wafer」は12万枚以上(1366社のデモ施設で生産したもの)を使用した。
その他
  • 「Direct Wafer」の採用により、設備のエネルギーのペイバック期間は、1年未満まで短縮される。
  • 今回の発電所は、米国・ドイツ・日本の試験サイトにおける成功を、基盤としている。
  • 完成セレモニーは、IHI社と1366社が東京で行った。


今回の発電施設の着工は今年3月に発表されていましたが、完成時期も当初の予定通り(2017年2Q内)であり、新技術を導入しながら、建設自体は順調だったことが伺えます。


インゴットを作らずに、溶融シリコンから直接ウエハーを作る「Direct Wafer」では、

  • 製造に用いるエネルギー:従来方式から66%削減
  • 製造にかかるコスト:同・半減
とされています[2]。

いっぽう、通常の結晶シリコン型太陽電池のEPT(エネルギーペイバックタイム)は、2013年時点の情報[3]で「約2年(1.8年)」とのこと。

今回の施設のEPT(1年未満)には、「Direct Wafer」の製造エネルギーの少なさ(従来方式の1/3)が、最も大きく寄与していると考えられます。


建設コストについては、今回の発表では言及されていませんが、これは今回の太陽電池モジュールが正式な製品(量産品)ではないためでは、と推測します。

ウエハーの製造コストが従来方式の1/2となれば、「Direct Wafer」採用のモジュールが製品化された場合、低下が著しい太陽電池モジュールの価格を、更にどの程度引き下げ得るのか、というのは非常に興味を惹かれるところです。


ただし今回の発電施設については、非常に革新的な技術を用いているにも関わらず、IHI社のサイトに発表などが全く掲載されていないのが意外です。

これについてはモジュールと同様に、「Direct Wafer」を用いた商用の発電施設が、(実環境におけるセルの耐久性など)まだ実証試験的な段階と見られているためでは、と推測します。

「Direct Wafer」の本格的な実用化には、まだ年数がかかりそうですが、日本の地でその有効性が実証・確認されていくことを、強く期待するものです。


※参照資料:
[1]1366 Technologies and IHI Corporation Mark Completion of First Commercial Solar Installation to Feature Direct Wafer Products(1366 Technologies社、2017/6/29発表)
http://1366tech.com/2017/06/29/1366-technologies-ihi-corporation-mark-completion-first-commercial-solar-installation-feature-direct-wafer-products/
[2]Technology(同上)
http://1366tech.com/technology-2/
[3]太陽電池の製造に掛かった電力は何年で取り返せる? (スマートジャパン、2013/4/26の記事)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1304/26/news033_2.html
[4]産業用太陽光発電システム(IHIプラント建設)
https://www.ipc-ihi.co.jp/solar.html

※関連記事:

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