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2018年06月07日

ネクストエナジー社が、リユース太陽電池のみを用いた「PV Next 駒ヶ根市太陽光発電所」を完成、5種類・計1202枚のモジュールを使用

ネクストエナジー・アンド・リソース社が2018年6月4日に、

  • リユース太陽電池モジュールだけを用いた自社太陽光発電所を建設した。
と発表していました[1]。

今回は、その概要をまとめてみました。


建設の背景 ネクストエナジー社は、2005年に太陽電池モジュールのリユース事業を開始し、数万枚超の検査・評価実績を蓄積。
独自の選定技術「REBORNテクノロジー」を有している。
また2015年からは、同技術によるリユースモジュールを利用し、自社太陽光発電所の建設にも取り組んでいる。
発電所の名称 PV Next 駒ヶ根市太陽光発電所
場所 長野県の駒ヶ根市内
※同市の所有する「伊南清掃センター」(可燃物焼却場)跡地。
敷地面積 6749.1m2
太陽電池モジュール
  • 設置枚数:1202
  • 種類:5種類
  • 設置容量:280.78kW
    ※パワコンの出力は254.28kW。
特徴
  • 全てリユースモジュールを利用
  • 地域に根差した設備を目指す:
    • 災害時用のオフグリッドシステム
    • 地域防犯用のソーラー外灯
    も設置。
    今後は、見学施設として環境教育への利用も進める。
  • 自主環境アセスメントを実施:
    周辺環境に配慮し、周囲に植樹を行った。
スケジュール
  • 2018/5/30:稼動開始
  • 同6/3:竣工式を実施


今回の太陽光発電所では何よりも、太陽電池モジュールが全てリユース品という点に驚きました。

「REBORN」テクノロジーの紹介ページ[2]を見ると、中古モジュール1枚1枚について

  • シリアルナンバーの付与
  • I-V出力測定、EL検査
  • トレーサビリティの確保
と、周到な再製品化の体制が、既に確立されていることが伺えます。

将来的に大量の使用済みモジュールの排出が予想される中で、破損したモジュールは仕方が無いとして、十分に構造・機能が保たれているモジュールについては、このように積極的に再利用する取組みが、どんどん進んでほしいものです。


※参照・参考資料:
[1]リユースモジュールを利用した自社太陽光発電所を建設(ネクストエナジー・アンド・リソース社、2018/6/4)
https://www.nextenergy.jp/info/2018/info20180604.php
[2]太陽電池モジュール リユース(同上)
https://www.nextenergy.jp/service/reuse.php

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2018年02月02日

京セラ社が「宇久島メガソーラー事業(仮称)」の検討に関する進捗を発表、事業の権利を新設の合同会社に移転し、計画を再始動

京セラ社が2018年1月24日に、

  • 計画中の「宇久島メガソーラー事業(仮称)」の、検討に関する進捗
を発表していました[1]。

その中から、主な情報を抜き出してみました。


建設予定地 長崎県佐世保市宇久島
(島面積2493万m2、人口約2000人)
発電能力 480MW
発電電力量(予測) 51.5万MWh
参加企業 検討中。下記の8社となる予定。
  • 九電工
  • 京セラ
  • タイ国「SPCG Public Company Limited」
  • 東京センチュリー
  • 古河電気工業
  • 坪井工業
  • みずほ銀行
  • 十八銀行
事業の権利 当初の独「Photovolt Development Partners」社から、「宇久島みらいエネルギーホールディングス合同会社」に移転することで合意した。
(※この合同会社は、事業者が新たに設立した、発電事業のSPC)
これに伴い本プロジェクトは、新たな計画として再始動する。
設備など
  • 太陽電池モジュール
    全て、京セラ製の多結晶シリコン型を使用する。(約165万枚)
  • 海底ケーブル
    宇久島と本土の間に敷設する海底ケーブル(約64km)により、九州電力に売電することを想定している。
  • 営農との両立
    一部の土地では、支柱の上に太陽光発電設備を設置することで、発電所内での営農を可能とする。
事業スキーム等
  • 島内の農地・耕作放棄地などを、土地管理会社が借り受け、この土地を「宇久島みらいエネルギー合同会社」に転貸する。
    (※同社は、先述の「宇久島みらいエネルギーHD」の子会社)
    そして同社が、借りた土地で太陽光発電所の建設・運営を行う。
    営農併設型で環境ビジネスを創出し、宇久島の安定的な営農の継続・拡大を支援し、島の発展に寄与する方針。
  • 今後は、自治体・地元関係者などと協力しつつ
    • 事業スキーム
    • 自然環境に配慮した設置場所、方法など
    の実現に向けた検討も進める。
総投資額 2000億円程度の計画
スケジュール
  • 2018年度内:着工予定


宇久島メガソーラーについては、これまで

とのスケジュール目標が示されていました。

しかし、日本国内でこれまでに類を見ない規模の事業計画であるためか、その後は九州電力から系統連系の承諾は受けたものの、事業の具体的な進展は伝わってきませんでした。

今回は事業者が新体制となったことで、再び実現に向けて動き出したと見受けられます。


事業の権利がPVDP社から移転することになった背景・経緯は不明ですが、運営の主体が海外企業から国内企業メインに変ることは、国民による心情的な受け入れやすさという点からも、プロジェクトの実現にはプラスに働くのでは、と考えます。

本プロジェクトについては発表当初から、地元の自然環境などへの影響に対する懸念[4]が出ていましたが、その懸念を払拭するだけの、豊かな内容で合理性のある事業となることを、強く願うものです。


※参照・参考資料:
[1]長崎県佐世保市宇久島での太陽光発電事業の検討に関する進捗(京セラ、2018/1/24)
http://www.kyocera.co.jp/news/2018/0109_gfyt.html
[2]Solar parks Japan(Photovolt Development Partners社)
https://pvdp.eu/projects/solar-parks-japan/
[3]SPCG Public Company Limited
http://www.spcg.co.th/index.php/en/home
[4]小さな島が「自然エネルギー」で埋め尽くされようとしています。(日本自然保護協会、2013/7/1)
http://www.nacsj.or.jp/diary2/2013/07/post-385.html

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2017年11月10日

北海道・八雲町で蓄電池併設のメガソーラー(約102.3MW+約27.0MWh)が計画、SBエナジーと三菱UFJリースが携わり、指定ルール下でプロジェクトファイナンスを組成

SBエナジー」と「三菱UFJリース」の2社が2017年11月1日に、

  • 北海道・八雲町に、蓄電池併設メガソーラー(約100MW)を建設する。
との計画を発表していました[1][2]。

ここでは、その発電所の概要をまとめてみました。


名称 ソフトバンク八雲ソーラーパーク
建設場所 北海道の八雲町内
敷地面積 132ha
※「太平洋汽船」社と「太平洋農場」社が保有する土地に建設する。
規模
  • 太陽光発電:約102.3MW
  • 蓄電池:約27.0MWhのリチウムイオン電池
スケジュール
  • 2018年4月:着工
  • 2020年度内:運転開始
事業者 「北海道八雲ソーラーパーク合同会社」
※2017/1/4設立。
※SBエナジーと三菱UFJリースが、50%づつ出資している。
その他
  • 蓄電設備は、北海道電力が2015年4月に公表した「太陽光発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件」に基づいて設置する。
  • 今回の事業では、「指定電気事業者制度」による出力制御無補償の条件下で、プロジェクトファイナンスを組成する。


北海道電力の「技術要件」[4]によると、出力変動緩和対策の基準は

  • 全ての時間において、発電所合成出力(太陽光発電+蓄電池)の変化速度を「発電所定格出力の1%以下/分」
なので、今回の発電所では、出力変動を約1MW以下/分に抑えることが、条件になるものと推測されます。

太陽光発電の出力規模に対して、蓄電池の容量がどの程度あればこの基準を満たせるのか、というのは、専門家でない私には見当が付きません。

その点で今回のプロジェクトにおいて、稼動後に約1年必要という技術検証(合成出力のサンプリングデータをチェックする)で良好な結果が得られれば、本プロジェクトの数値が一つの目安とできるのでは、と期待するものです。


また個人的に、指定ルール(2015/1開始)と蓄電池併設については、これまで(太陽光発電所事業において)コスト的に著しく不利な条件、というイメージしかありませんでした。

そのため今回の事業で、それらの条件下(プラス、FITでの買取価格引き下げが続く中)で「プロジェクトファイナンスを組成します」と明言されていることには、非常に驚きました。

この点については近年、太陽電池モジュールパワコン蓄電池の値下がりが著しく進んでいることが、不利な条件下での事業化を可能にしつつある、ということなのかもしれません。


振り返ると今年(2017年)に入ってから、北海道内では他にも

と、蓄電池併設のメガソーラー事業が相次いで立ち上げられています。

かつてのFIT導入直後の活気が消え去った、国内の太陽光発電市場において、これらのような蓄電池併設のメガソーラーが新しい動きとなり得るかどうかは、期待を持ちつつ注目していきたいと思います。


※参照・参考資料:
[1]北海道八雲町で国内最大規模の蓄電池併設型メガソーラー発電所を建設(SBエナジー、2017/11/1)
http://www.sbenergy.co.jp/ja/news/press/2017/1101_150000.html
[2]北海道八雲町で国内最大規模の 蓄電池併設型メガソーラー発電所を建設(三菱UFJリース、2017/11/1)
http://www.lf.mufg.jp/investors/library/pressrelease/2017110104.pdf
[3]国内最大の蓄電池併設型メガソーラー、北海道八雲町(日本経済新聞、2017/11/6)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO23143340W7A101C1000000
[4]太陽光発電設備および風力発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件について(北海道電力)
http://www.hepco.co.jp/energy/recyclable_energy/fixedprice_purchase/solar_wind_power_pv_tec.html
[5]プロジェクト・ファイナンス(ウィキペディア)

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2017年10月01日

京セラ等による京都府・宮津市での太陽光発電所(6ヶ所・計約5MW)は、地域の景観改善・観光資源化・「自立循環型経済社会構造」への貢献も期待

京セラ等が2017年9月26日に、

  • 同日に京都府の宮津市内で、太陽光発電所6ヶ所(計5MW)の竣工式を行った。
と発表していました[1]。

事業の概要は下記の通り。


<背景>

  • 遊休地の有効活用による、地域への貢献
    今回は宮津市と、同市内の由良地区・上宮津地区・栗田地区の地元自治会の協力を得て、事業化を実現した。
    特に由良地区においては、数十年に渡ってほぼ手付かずの遊休地があり、
    • 野生動物の近隣住宅地への出没
    等の、大きな課題を生じていた。
    今回の事業では、このような遊休地(耕作放棄地など)を太陽光発電に用いることで
    • 景観の改善
    • 観光資源としての活用
    等の、地域社会への貢献が期待される。
  • 宮津市の政策との合致
    宮津市は低炭素型社会の実現を目指しており、これまでに
    • 2007年度:「地域新エネルギービジョン」
    • 2010年度:「バイオマスタウン構想」
    を策定している。
    また「みやづビジョン2011」では、自立循環型経済社会構造への転換において、エネルギーを重要要素の一つに位置付けている。
    今回の太陽光発電所は、現在の同市の重点戦略(「宮津市まち ・ ひと ・ しごと創生総合戦略」)における、「エネルギーの地産地消」実現に向けた最初の取組みであり、同市主体で検討中の小売電気事業と両輪となる予定。

<発電所の概要>

事業者 宮津太陽光発電合同会社
※これは
  • 金下建設(地元の建設会社)
  • オムロンフィールドエンジニアリング
  • 京セラ
の3社が出資したSPC(特別目的会社)。
発電所(モジュール出力) 下記の6ヶ所(計4948kW)。
  • 「由良第一太陽光発電所」(1580kW)
  • 「由良北第一太陽光発電所」(333kW)
  • 「由良北第二太陽光発電所」(873kW)
  • 「由良北第三太陽光発電所」(333kW)
  • 「上宮津太陽光発電所」(1081kW)
  • 「宮津市上司太陽光発電所」(748kW)
稼働開始日
  • 「宮津市上司太陽光発電所」:2017/9/6
  • 他:2017/8/1
事業の担当
  • 金下建設:土地の整備
  • オムロンフィールドエンジニアリング:発電設備の設計 ・ 施工、事業期間中の保守管理
  • 京セラ:太陽電池モジュールと周辺機器の供給


今回の発表で特にユニークと感じたのは、太陽光発電所を建設・稼動すること自体が、地域の遊休地の管理や、景観の改善などに貢献し得る、とされていることです。

これまで国内各地での太陽光発電所の建設計画を巡っては、「地域の景観や自然環境の破壊につながる」との意見による

  • 地元住民による反対運動
  • 自治体による規制の制定
等の対立的な動きが、特に目立って伝わってきており(例えば静岡県・伊東市議会によるメガソーラー計画への反対表明)、私自身も「太陽光発電事業と地域の利益は相反する」というネガティブなイメージが強くなっていました。

そこに来て今回の発表は、「取り組み方によっては、太陽光発電事業が地域にはっきりメリットをもたらすことが可能」という主張とも感じられ、上記のような動向に一石を投じる狙いがあるのでは・・・と想像するものです。


実際に今回の事業においては、宮津市や自治会が協力したとのことであり、またSPCに地元の建設会社も出資していることから、事業者と地元が良好な関係を築いていることが推測されます。

観光名所「天橋立」を擁する宮津市における今回の太陽光発電事業が、実際に狙い通りのメリットを地元にもたらすことができれば、国内での太陽光発電事業の一つの理想となると考えるので、是非とも順調な運営を期待したいところです。


※参照資料:
[1]京都府宮津市に合計5MWの太陽光発電所を開設(京セラ、2017/9/26)
http://www.kyocera.co.jp/news/2017/0901_gppo.html
[2]京都府宮津市に合計5MWの太陽光発電所を開設 〜宮津市初のメガソーラー〜(オムロンフィールドエンジニアリング、2017/9/26)
http://www.omron-fe.co.jp/news/qo74ib000000b5a1.html
[3]会社概要(金下建設株式会社)
http://www.kaneshita.co.jp/info01.html
[4]みやづビジョン2011(宮津市)
http://www.city.miyazu.kyoto.jp/www/info/detail.jsp?id=1471
[5]宮津市(ウィキペディア)

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2017年07月10日

静岡県の伊東市議会が、市内でのメガソーラー計画(約50ha)に対し「断固として反対」を決議、自然破壊に対する地域の不安が払拭されず

静岡県・伊東市の議会が2017年7月4日に、

  • 市内の八幡野区で計画されている「伊豆高原メガソーラーパーク発電所(仮称、敷地面積約50ha)」に対し、断固として反対する。
等と決議したことを発表していました[1]。

ここでは、その中で挙げられている反対の理由を抜き出してみました。


土地の保水力低下 広大な森林・草地を伐採するため、保水力が低下し、
  • 土砂災害の発生リスクの上昇
  • 降雨時の泥水による川・海の汚染(漁業やダイビングスポットへのダメージ)
が懸念される。
地域の気候への影響 太陽電池パネルで覆われた土地については、
  • パネルからの反射光により、都会以上に温度が上昇し、ヒートアイランド化が進む。
と言われている。
動植物の生息環境への影響 森林・草地の開発によって、動物(猿、猪、鹿など)の人里への侵入(それによる農作物への被害など)が懸念される。
「伊豆半島ジオパーク」の認定への影響 建設予定地はジオサイトに近接しており、伊豆半島全体で目指している「伊豆半島ジオパーク」の世界認定に及ぼす影響が、懸念される。


この件について私は、事業者側・反対者(住民)側のどちらにも賛同するつもりはありません。

ただ反対運動のサイト[3]を良く見ていくと、地域の外から来ている事業者が、その地域に長く住んで深く馴染んでいる住民から、このような大規模事業への賛同を得ることは、極めて難しいことだと強く感じます。


これが例えば、既に開発済みであるゴルフ場の跡地などを利用するものであったり、或いはずっと小さい規模の事業計画であったなら、さほどの反対は無かったのかもしれません。

しかし今回の計画は、深い山の中で50haもの森林を新たに伐採して切り開くものです。

この規模だと、よほど建設予定地域の環境を熟知していて、開発により生じる影響・変化を精確に見切れない限り、事業者が十分な説得力を発揮して、地元住民の理解を得ることはできないのではないでしょうか。

そしてそれは、極めて困難なことだと考えます。


海外では、数十〜数百MW規模の太陽光発電所が多数あり(例えばFirst Solar社が関わるもの)、更に今では中東で1GW超のプロジェクトまで出現しています。

しかし日本国内の環境において、海外と同じような「規模の追求」を進めていくのは、非常に大きな無理が生じると考えざるを得ません。


最後に、今回の反対理由の一つに挙げられている、パネルの反射光による「深刻なヒートアイランド化」への懸念ですが、FITにより国内でメガソーラーが多数稼動している現在では、調査を行えば正確な実態が判明するのではないでしょうか。

これは個人的にも強く気になる点なので、何らかの形で調査が行われ、明確なデータや知見が示されることを、期待したいところです。


※参照資料:
[1]伊豆高原メガソーラーパーク発電所(仮称)建設計画等伊東市における太陽発電所建設に伴う開発行為に対する反対決議(伊東市)
http://www.city.ito.shizuoka.jp/gikai/html/(29.6)ketsugi-megasorahatsudensisetuhanntai.pdf
[2]伊東・大規模太陽光発電計画 市議会が反対決議可決(静岡新聞)
http://www.at-s.com/sp/news/article/politics/shizuoka/377013.html
[3]伊東メガソーラー建設の中止を求める会
http://ito-ms.chu.jp/
[4]伊豆半島ジオパーク(ウィキペディア)
[5]伊東市(同上)

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2017年07月07日

「Direct Wafer」採用の太陽光発電施設(500kW)が商業運転を開始、設備のエネルギーペイバック期間は1年未満まで短縮

米「1366 Technologies」社が2017年6月29日に、

  • 自社製「Direct Wafer」を用いた太陽光発電施設(日本国内、500kW)が、商業運転を開始した。
と発表していました[1]。

施設の概要は下記の通り。


場所 兵庫県内
発電容量 500kW
建設 日本のIHIの子会社「IHIプラント建設」が行った。
太陽電池モジュール
  • 中国のTier 1メーカーが製造し、IEC認証を受けている。
  • 「Direct Wafer」は12万枚以上(1366社のデモ施設で生産したもの)を使用した。
その他
  • 「Direct Wafer」の採用により、設備のエネルギーのペイバック期間は、1年未満まで短縮される。
  • 今回の発電所は、米国・ドイツ・日本の試験サイトにおける成功を、基盤としている。
  • 完成セレモニーは、IHI社と1366社が東京で行った。


今回の発電施設の着工は今年3月に発表されていましたが、完成時期も当初の予定通り(2017年2Q内)であり、新技術を導入しながら、建設自体は順調だったことが伺えます。


インゴットを作らずに、溶融シリコンから直接ウエハーを作る「Direct Wafer」では、

  • 製造に用いるエネルギー:従来方式から66%削減
  • 製造にかかるコスト:同・半減
とされています[2]。

いっぽう、通常の結晶シリコン型太陽電池のEPT(エネルギーペイバックタイム)は、2013年時点の情報[3]で「約2年(1.8年)」とのこと。

今回の施設のEPT(1年未満)には、「Direct Wafer」の製造エネルギーの少なさ(従来方式の1/3)が、最も大きく寄与していると考えられます。


建設コストについては、今回の発表では言及されていませんが、これは今回の太陽電池モジュールが正式な製品(量産品)ではないためでは、と推測します。

ウエハーの製造コストが従来方式の1/2となれば、「Direct Wafer」採用のモジュールが製品化された場合、低下が著しい太陽電池モジュールの価格を、更にどの程度引き下げ得るのか、というのは非常に興味を惹かれるところです。


ただし今回の発電施設については、非常に革新的な技術を用いているにも関わらず、IHI社のサイトに発表などが全く掲載されていないのが意外です。

これについてはモジュールと同様に、「Direct Wafer」を用いた商用の発電施設が、(実環境におけるセルの耐久性など)まだ実証試験的な段階と見られているためでは、と推測します。

「Direct Wafer」の本格的な実用化には、まだ年数がかかりそうですが、日本の地でその有効性が実証・確認されていくことを、強く期待するものです。


※参照資料:
[1]1366 Technologies and IHI Corporation Mark Completion of First Commercial Solar Installation to Feature Direct Wafer Products(1366 Technologies社、2017/6/29発表)
http://1366tech.com/2017/06/29/1366-technologies-ihi-corporation-mark-completion-first-commercial-solar-installation-feature-direct-wafer-products/
[2]Technology(同上)
http://1366tech.com/technology-2/
[3]太陽電池の製造に掛かった電力は何年で取り返せる? (スマートジャパン、2013/4/26の記事)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1304/26/news033_2.html
[4]産業用太陽光発電システム(IHIプラント建設)
https://www.ipc-ihi.co.jp/solar.html

※関連記事:

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2017年07月04日

JinkoSolarが北海道・苫小牧の太陽光発電プロジェクト(38.4MWp+蓄電池10MWh)に太陽電池モジュールを供給、FIT売電額は40円/kWh

JinkoSolar社が2017年6月22日に、

  • 北海道・苫小牧での大規模太陽光発電プロジェクト(蓄電池併設)に、太陽電池モジュールを供給する。
と発表していました[1][2]。

ここでは事業に参加する他社の発表[3]〜[5]と合わせて、発電所に関する主な情報を抜き出してみました。


建設場所 北海道・苫小牧市の美沢
敷地面積 78ha
発電容量 38.4MWp
年間の発電電力量 3700万kWhと想定。
FITでの売電額 40円/kWh
その他の設備 10MWhの蓄電システムも設置する。(出力変動への対応用)
担当企業
  • 投資:
    • 独「Aquila Capital」
    • 「日本グリーン電力開発」
    など。
  • 太陽電池モジュール:JinkoSolar
    2017年7月〜11月に供給する。
  • リチウムイオン電池:LG化学
  • EPCや主要な電気品:富士電機
  • アセットマネジメント:「GI capital management」が担う。
スケジュール
  • 2016年10月:着工
  • 2018年8月:完工、系統連系の予定。


北海道では他に、韓国電力公社などによるメガソーラー(28MW+蓄電システム13MWh)が完成間近ですが、日照条件がそれほど有利とは思えない北海道で、大規模太陽光発電所+大容量蓄電池の組み合わせが相次いで報道・発表されたことには驚きます。
(もっとも各々のプロジェクト自体は、かなり前から動いていたようですが)


北海道での大規模太陽光発電と電力系統の関係を見返すと、用地の豊富さから、早くもFIT初年度(2012年度)にメガソーラー案件が集中し、翌2013年度の早々(2013年4月)には、経産省が対応策(「30日ルール」の緩和、変電所への蓄電池導入の検討)を発表するほどでした。

そして「指定ルール」が始まった2015年には、北海道電力は(当然のごとく)最初から適用対象の事業者となっており、特に早くから、蓄電池を併設する必要に迫られていた地域と言えそうです。


気になるのは経済的に成り立つのか、という点ですが、今回のプロジェクトの売電額は40円/kWhとのことで、税込であれば2013年度の認定分かと思われ、大規模出力の認定権利を、事業者が上手く取得したことが伺えます。

先述の韓国電力公社などによるプロジェクトもそうですが、条件の良い売電の権利を得たことが、大容量蓄電池の導入実現にもつながっているものと推測します。


また太陽電池モジュールの価格を見ると、JinkoSolar製品では1Wあたり60円を切っているケースが、日本国内で(インターネット検索でさえ)簡単に見つかります[7]。

これでは、日本メーカーのシェアが低下する(500kW以上の事業向けで40%台)のは、無理も無いと考えざるを得ません。


もう一点、FITを巡ってはこれまで、「事象者が先に有利な価格の認定を受けておき、モジュール等の価格が下がるまで待つケースが多い」との批判が多く見られましたが、今回のケース(40MW近くのプロジェクトに、約4年前の認定を適用)を見ると、その批判は(残念ながら)かなり当っていたと思わざるを得ません。


以上のように今回のプロジェクトは、国内の太陽光発電産業・市場で浮き彫りになっていた幾つかの重要な問題を、図らずも照らし出しているように感じられます。

とは言えプロジェクトの内容自体は、大規模かつ先進的な取組みであり、完成後は長期に渡って安定運用することで、北海道の電源の一部として有効に機能することを、心から願うものです。


※参照資料:
[1]JinkoSolar to Supply 38.4 MW of PV Modules to Solar Plant in Hokkaido(JinkoSolar社、2017/6/22発表)
https://jinkosolar.com/press_detail_1336.html
[2]ジンコソーラー、北海道の太陽光発電プロジェクトに38.4MWのモジュールを提供する(同上)
https://jinkosolar.com/press_detail_1339.html?lan=jp
[3]国内最大の蓄電池付きメガソーラーを苫小牧市に着工(日本グリーン電力開発、2016/10/5発表)
http://www.gpdj.jp/news/119
[4]大型メガソーラーの実物資産運用事業を本格化(GIキャピタル、2016/12/6発表)
http://www.gicamltd.com/news/470
[5]Aquila Capital completes divestment of second photovoltaic project in Japan(Aquila Capital、2017/4/11発表)
http://www.aquila-capital.de/en/company/press/presse-article/aquila-capital-schliet-erfolgreich-die-entwicklung-eines-weiteren-photovoltaik-projekts-in-japan-ab
[6]国内拠点(富士電機)
http://www.fujielectric.co.jp/about/corporate/organization/network.html
[7]googleショッピングで「ジンコソーラー」を検索した結果

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2017年06月17日

韓国電力公社などが北海道・千歳市でメガソーラー(28MW)を試運転開始、13MWhの蓄電システムも併設

「朝鮮日報」の記事[1](2017年6月16日付)で、

  • 韓国電力公社」等による、北海道・千歳市での太陽光発電所
について報じられていました[1]。

その中から、発電所に関する主な数字などを抜き出してみました。


設置場所 新千歳国際空港」の付近。
敷地面積 109万m2
発電容量 28MW
※太陽電池モジュールの枚数は12万3480枚。
その他の設備 容量13MWhESS(蓄電システム)も設置している。
総事業費 113億
出資比率
  • 韓国電力公社80%
  • 日本の「エネルギープロダクト」社:20%
韓国企業(LS産電など13社)からの資材の調達額は、計約50億円。
発電電力の用途 北海道電力に売電する。
(※売電の見込み額は、計約317億円)
スケジュール
  • 2016/4:着工
  • 2017/6/15:試運転(20日間実施)の開始を発表。
  • 7/5:商業運転を開始する予定。

また今回の設備は、韓国電力公社が「海外に建設した初の太陽光発電所」とのことです。



4年前(2013年)には、韓国電力公社の子会社[2]である「韓国中部発電」による、兵庫県でのメガソーラー計画(2ヶ所、計68MW)が報じられていました。

しかし当記事の作成時点で、日本のメガソーラー一覧[5]に、その兵庫県のプロジェクトは見当たらず、またネット検索でも「稼動している」という情報を見つけられませんでした。

そのことから、兵庫県の事業はまだ稼動には至っておらず(もしくは中止になった?)、そのために今回の北海道千歳市の事業が、韓国電力公社の「海外初」の太陽光発電所となったものと想像します。


その千歳市のプロジェクトでは、太陽光発電の28MWという規模もさることながら、かなりの規模のESS(蓄電システム)も備えていることには驚きました。

大雑把な計算として、太陽光発電の建設コストが1MWあたり3億円と仮定すると、28MW×3億円/MW=84億円。

総事業費113億円から、この84億円を引くと29億円であり、これがESSのコストと考えると、総事業費の実に約1/4を占めることになります。

ESSの導入によるコスト面での合理性がどうなのかが、非常に気になるところですが、このプロジェクトのFIT認定は2012年度(42円/kWh)と推測されることから、売電価格の条件の良さに助けられている面は、大きいのかもしれません。


とはいえ、日本国内での数十MW規模の太陽光発電所における、蓄電システムの併設は、私はこれまで見聞きした記憶がありません。

このプロジェクトでの資材・機器の調達は、大部分が韓国の企業からと思われますが、蓄電システムのコストが現在どの程度の水準になっているのかは、非常に興味を惹かれるところです。

今回のプロジェクトは、韓国電力公社による海外展開のモデルケースとしての意味合いもあるようですが、もし韓国メーカー製の蓄電システムの価格が、太陽光発電所に導入できる現実的な水準に達しているのであれば、今後も同様のプロジェクト(太陽光発電+蓄電システム)が展開されていくと考えられるので、今後の動向には注意を払っていきたいと思います。


※参照資料:
[1]韓電、北海道で太陽光発電所の試運転開始(朝鮮日報、2017/6/16付)
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2017061600606
[2]韓国電力公社(ウィキペディア)
[3]New Renewable Power - Activities(KEPCO)
http://home.kepco.co.kr/kepco/EN/B/htmlView/ENBBHP00302.do?menuCd=EN02020302
[4]太陽光発電システム(エネルギープロダクト社)
http://www.enepro.jp/solar.html
[5]共同事業(ウィキペディア「日本の太陽光発電所」内)

※関連記事:

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2017年05月25日

岡山県・美作市内で約257MWの「作東メガソーラープロジェクト」が建設開始、現時点で「国内最大級」

日揮」社が2017年5月12日に、

  • 岡山県内で計画されている国内最大級メガソーラー事業257MW)の、EPC役務を受注した。
と発表していました[1]。

今回は、発電事業者のサイト[2]やニュース記事[3][4]も含めて、この発電所に関する情報を抜き出してみました。


プロジェクトの名称 作東メガソーラープロジェクト
建設場所 岡山県の美作市内
発電容量 257.7MW
発電電力量 年間約29万MWhの予定
用地 山林やゴルフ場跡地など約410haを取得しており、うち236haを造成して太陽電池パネルを設置する。
太陽電池パネルの設置枚数 75万
スケジュール
  • 2015/3/16:FITの認定取得
  • 2017/4:建設開始
  • 20193Q:商業運転を開始する予定
その他 森林伐採により懸念される洪水・土砂災害への対策として、保水能力を高めるための調整池(21箇所、総容量27万1000m3)を設置する。


国内最大級のメガソーラーというと、個人的には長崎県・宇久島での計画(400MW超)が、非常に強烈なインパクトがありました。

ただ同プロジェクトは、2005年に九州電力から系統連系の承諾は受けている[5][6]ものの、海底ケーブルによる送電や農業との両立といった、これまでに無い課題を抱えているためなのか、着工したという情報はまだ確認していません。

そのため「稼働済み」または「建設中」のメガソーラーとしては、ニュース記事[3][4]に述べられている岡山県の「錦海塩田跡地」でのプロジェクト(約230MW)が、これまでの国内最大だったようです。


それを、今回の兵庫県・美作市でのプロジェクトが更新することとなりましたが、その岡山県と兵庫県はちょうど隣接しており、そして瀬戸内海に面しています。

また、瀬戸内海を挟んだ向かい・四国の徳島県では、日本製紙と三菱商事による210MWのメガソーラーが完成・稼動済み[8]。

これら200MW超のプロジェクト3件が、奇しくも近い場所に集まっていますが、これは偶然ではなく、日照条件の良さ+用地確保のしやすさ、という2つの条件を兼ね備えていたのが、瀬戸内海周辺だったということなのかもしれません。


もう一つ今回のプロジェクトは、単に「国内最大」というだけでなく、災害対策として「調整池」を多数設けるところがユニークです。

日本には多様な地形・環境があることから、大規模太陽光発電所の設置における周辺環境への配慮も、設置場所によって様々な独自性を持ってくると考えられるので、今後はその点にも関心を持って情報をチェックしていきたいと思います。


※参照資料:
[1]岡山で国内最大級のメガソーラー発電所建設プロジェクトを受注(日揮)
http://www.jgc.com/jp/DisplayHtml/view/193
[2]プロジェクト紹介(パシフィコ・エナジー社)
http://www.pacificoenergy.jp/project/
[3]美作に国内最大級のメガソーラー パシフィコ社建設 19年秋稼働へ(山陽新聞、2017/3/12付)
http://www.sanyonews.jp/article/500347
[4]国内最大・258MWのメガソーラー、日揮がEPCを受注(日経テクノロジーオンライン)
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/052007624/
[5]Ukujima Mega Solar Park(Photovolt Development Partners)
https://pvdp.eu/projects/ukujima/
[6]発電所(ウィキペディア「宇久島」内)
[7]宇久島メガソーラーの今後について(佐世保市)
https://www.city.sasebo.lg.jp/soumu/hishok/sicho_ikenn_575.html
[8]徳島県小松島市(日本製紙社有地)でメガソーラー稼働(日本製紙、2015/2/13発表)
http://www.nipponpapergroup.com/news/year/2015/news150213003022.html

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2016年06月01日

福島県南相馬市で約60MWのメガソーラー事業計画、住友商事・東芝などが関わる

住友商事など2016年5月下旬に、福島県・南相馬市における大規模メガソーラー事業の計画を発表していました[1]〜[3]。

事業の概要は次の通り。


  • 建設場所:南相馬市の右田・海老地区と真野地区
    市が所有する、東日本大震災の被災地(約110ha)に建設する。
  • 発電容量59.9MW
  • 発電電力の用途
    FITにより、小売電気事業者に供給する。
  • 総事業費:約220億
  • 企業の担当
    • 事業会社:ソーラーパワー南相馬・鹿島株式会社
    • 出資:住友商事
    • プロジェクトファイナンスの組成:みずほ銀行
    • EPC:東芝、大成建設
      ※大成建設は架台基礎向けの簡易斜杭基礎工法T-Root工法)を開発済みであり、工期短縮・コスト縮減を図る。
  • スケジュール
    • 2016年5月:着工
    • 2018年3月:商業運転開始の予定

最近は4月以降だけでも

と、10MW超のメガソーラーの着工や事業計画の発表が相次いでいますが、これまで大量に積み重なってきたFITの認定分の消化が、2016年に入って本格化しているということであれば、非常に好ましいことだと思います。

また昨年(2015年)の夏には、太陽光発電が供給予備率アップに寄与した可能性が見受けられたので、現在建設が進むこのような大規模発電所が完成・稼動することで、国内の電力需給に更に余裕を産み出せるか、という点も非常に楽しみです。

ただ、上記プロジェクトの事業費用(※明記があるもののみ)を見ると

  • 石川県での27MW:100億
  • 静岡県での計20MW:総額約79億
  • 北海道千歳での28MW:1130億ウォン(約109億円)
  • 今回の南相馬市での59.9MW:約220億

と、いずれもかつての目安だった1MWあたり3億円を、明らかに上回っています。

「T-Root工法」の開発のように、太陽光発電所の初期コストは、年月の経過(技術の進歩、製品価格の低下)とともに下がっていくものとばかり思っていたので、それに反して大規模事業での事業費用が下がっていない理由は、非常に気になるところです。


※参照資料:
[1]南相馬市における太陽光発電事業について(住友商事)
http://www.sumitomocorp.co.jp/news/detail/id=29341?tc=bx
[2]同上(東芝)
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2016_05/pr_j2001.htm
[3]同上(大成建設)
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2016/1439213825886.html
[4]簡易斜杭基礎『T-Root』を開発(同上)
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2015/1424245636098.html
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