- SCREENホールディングスと大阪大学が「レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡技術」による太陽電池評価システムを装置化、セルの瞬間的な発電状態を計測・可視化(2015/03/13)
- Trina Solarの国家重点研究室が、独テュフラインランドによる「出力測定不確かさ検証サービス証明書」を取得、太陽電池メーカーでは初とのこと(2015/02/14)
- 埼玉のPLAN社が「マイクロクラック検査代行サービス」を開始、モジュール製品の約1/5でマイクロクラックが発見されたケースも(2014/09/09)
- NPCが検査装置「エプティフ」を開発、設置済みのパネル・ストリングを短時間でEL・PL検査可能(2014/01/22)
- 山下電装が太陽電池セル性能評価用「可変型ロングパルスソーラーシミュレーター」を開発、パルス点灯方式で薄膜系・色素増感型などの測定も可能(2012/11/18)
- テュフ ラインランド ジャパンが太陽電池モジュールの複合加速劣化試験サービスを開始、光・温度・湿度の各ストレスを複合的に印加可能(2012/11/04)
- UL Japanが日本独自の認証マーク「UL-JP」を新設、結晶系・薄膜系モジュールの性能・安全を認証(2012/10/19)
- 佐賀県・産総研・JETが、太陽電池パネルの長期信頼性(20年以上)を保証する国際認証基準の設立を目指す(2012/10/12)
- SBエナジー社の実証施設で、時間経過による海外メーカー製パネルの性能低下(ただし契約上の下限は上回る)が確認されているとのこと(2012/10/10)
- 大前健一氏が「中国製ソーラーパネル」の性能低下の懸念を指摘するも、実験データの詳細は不明(2012/10/08)
2015年03月13日
SCREENホールディングスと大阪大学が「レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡技術」による太陽電池評価システムを装置化、セルの瞬間的な発電状態を計測・可視化
SCREENホールディングス(旧・大日本スクリーン印刷)社が2015年3月6日に、
- 結晶シリコン型セルの瞬間的な発電状態を計測・可視化できる太陽電池評価システムを、大阪大学との共同により装置化に成功した。
概要は下記の通り。
- 背景:
- 現在主流の結晶シリコン型太陽電池においては、発電時の様々なエネルギー損失の発生が、課題の一つになっている。
このため、発電状態の(瞬間的な)変化が、発電や損失に与える影響を検証できれば、発電効率の向上につながると考えられている。 - SCREENホールディングスと大阪大学は2011年10月に、「レーザーテラヘルツエミッション顕微鏡(LTEM)技術」により、太陽電池セルが発生する「テラヘルツ波」を、1兆分の1秒単位で計測・可視化することに成功。
その後も、実用化に向けて研究開発を進めていた。
- 現在主流の結晶シリコン型太陽電池においては、発電時の様々なエネルギー損失の発生が、課題の一つになっている。
- 装置の設置場所:福島再生可能エネルギー研究所(郡山市)
例えば電線に手を近づけて、そこに通っている電流が交流か直流かを(手の感覚により)判断することは(私の知る限り)不可能ですが、そのように電気は、その存在や動きを(通常の物体のように身体の感覚で)掴める機会が非常に少なく、それは太陽電池も例外では無いと思います。
その意味で今回開発された装置は、専門的な知識を抜きにしても非常に興味深いものです。
今回の装置はあくまで研究開発向けとみられますが、将来的にコストダウンや小型化が進むことで、より手軽に太陽電池の発電状態を目で見ることが可能になったら、一般人の太陽光発電に対する理解を大きく促進することにもつながるのではないでしょうか。
- [1]SCREENホールディングスと大阪大学 テラヘルツ技術を活用した太陽電池評価システムの装置化に成功(SCREENホールディングス)
- http://www.screen.co.jp/press/NR150306.html
2015年02月14日
Trina Solarの国家重点研究室が、独テュフラインランドによる「出力測定不確かさ検証サービス証明書」を取得、太陽電池メーカーでは初とのこと
Trina Solar社が2015年2月12日に、
- 自社の「国家重点研究室」が、独テュフラインランドによる「出力測定不確かさ検証サービス(UAS)証明書」を受けた。
概要は下記の通り。
- テュフラインランドによる検証期間:7ヶ月
- 証明書の意味と効果:
国家重点研究室で行われる太陽電池の出力測定について、- 測定プロセスでの手続き
- テスト機材
- 研究員の技能
これにより、この研究室で評価される全製品に、テュフラインランドの認証マークが付けられる。 - 顧客側のメリット:
太陽電池モジュールを調達する側にとっては、Trina社製品の出力評価に対する基準となり、- 性能に対する透明性のある情報提供
- モジュール出力測定の不確かさの最小化
またPVメーカーにとっては、- 測定精度の向上
- 測定誤差の減少
また[1]では、テュフラインランド中国の副社長の方(Robert Struwe氏)による
- 「当社の出力測定システムは簡易的な認定評価ではなく、むしろ向上や最適化の継続的なプロセスに対する評価です。」
今回の認証が、太陽電池市場においてどのような価値を持つものなのかは、一消費者に過ぎない私には判断しかねます。
ただ少なくとも、メーカーによる「継続的な」取り組み自体が評価されての認証、という点には、Trina社が製品の品質確保を相当に重視し、実際に注力を続けていることが推測されます。
日本市場では、海外ブランドの太陽電池モジュールはシェア3割に留まっており、顧客側での海外メーカー品に対する抵抗感の根強さが伺えますが、価格競争力で勝る中国メーカーが今回のような製品品質の向上、また第三者による認証の獲得を積み重ねていけば、あるときに潮目が急に変わる可能性もあるのでは・・・と危惧します。
- [1]トリナ・ソーラー 国家重点研究室 テュフラインランドより出力測定不確かさ検証サービス証明書を受領 太陽電池メーカーとして初認証(Trina Solar社)
- http://www.trinasolar.com/jp/about-us/newinfo_762.html
2014年09月09日
埼玉のPLAN社が「マイクロクラック検査代行サービス」を開始、モジュール製品の約1/5でマイクロクラックが発見されたケースも
埼玉県の「PLAN」社が2014年9月8日に、
- 太陽電地モジュールの購入・販売企業などを対象とする、モジュールの「マイクロクラック検査代行サービス」を開始した。
サービスの概要は下記の通り。
背景
- 「マイクロクラック」は、太陽電池セルの(肉眼では確認できない)微小なヒビのことであり、これが存在するモジュールでは、屋外使用での経年劣化でヒビが拡大し、
- セルの割れ
- 発電性能の低下
- 火災の発生
- 自社で行ったある海外メーカー製モジュールのマイクロクラック検査(2014年6月)では、製品の22.4%に、マイクロクラック発生による不良があることを確認した。
またこの検査以外に、別の海外メーカーの一部についても、不良品の混入が報告されている。 - マイクロクラックのある不良モジュールが混入する原因としては、
- 一部製品のみでの検査実施(全製品を検査していない)
- (マイクロクラックがあった場合でも)出力範囲内であることによる出荷
- 輸送時の取扱いの誤りによるマイクロクラック発生
サービスの内容
- 検査体制:
顧客が購入したモジュールをPLAN社が預かり、国内自社工場での専門スタッフによるEL検査で、不良品の選別を行う。
モジュールのメーカーは問わない。 - 費用:モジュールの出力1Wあたり4円(税別)〜
マイクロクラックは発電設備の稼動開始後数ヶ月程度で、カタツムリが這った跡のような「スネイルクラック」に進行しますが、現状でこれ(マイクロクラックからクラックへの成長)を止める手段は無い[3]とのことなので、顧客への出荷・設置前に不良品を極力排除しておくことは、発電設備の長期安定稼動とメンテナンスコスト低減のために、非常に重要な措置と考えられます。
国内の太陽光発電導入量が急速に増え、海外メーカー製モジュールの国内出荷量も約3割に達している中で、一メンテナンス企業による検査結果(検査総枚数などの詳細も不明)とはいえ、1/5以上のモジュールで不良品が発見されたケースがある、というのは強い驚きです。
ただ個人的には、それは(特定メーカーの落ち度というよりは)近年の急激な価格低下がもたらした副作用とも感じられるもので、コストダウンの圧力が強すぎると製品・サービスの品質が下がる方向に行く、ということは、顧客や消費者も念頭に置いておく必要があると考えます。
ともかく現状では、不良モジュール(マイクロクラックのある製品)が存在する可能性が低くない以上、第3者企業による試験サービスや検査装置の役割・重要性も、より増していくものと予想します。
- [1]一部の海外製輸入太陽電池モジュールに不良品混入 不良品を選別するマイクロクラック検査代行サービスを開始(サンケイビズ)
- http://www.sankeibiz.jp/business/news/140908/prl1409081038021-n1.htm
- [2]EL検査代行サービス(PLAN社)
- http://www.kamiwaza.jp/hp-module/el-module.html
- [3]PVeye誌 2014年5月号 18-19ページ「姿見せないリスク、マイクロクラック」
2014年01月22日
NPCが検査装置「エプティフ」を開発、設置済みのパネル・ストリングを短時間でEL・PL検査可能
NPC社が2014年1月20日に、
- 新開発した検査装置「エプティフ(EPTiF)」を用いての、太陽光発電メンテナンスサービスを開始した。
概要は下記の通り。
目的
- 主要事業の太陽電池製造装置で培ってきた技術・ノウハウを生かして、太陽光発電システムの適切な運転管理需要に対応する。
- 従来の事業領域(太陽電池モジュール工程)から、新たに太陽光発電システム全般に係る領域への事業展開を図る。
エプティフによるEL検査の原理
- 太陽電池パネルまたはストリングに、一定周期で信号を入力する。
- 信号が入力されたパネルまたはストリングを、ビデオ撮影する。
- 撮影動画の解析を行い、その結果を表示する。
エプティフの主な特徴
- 現場でのEL・PL検査が可能:
・独シュツットガルト大学が開発した検査技術
・NPC独自の画像解析・データベース管理ソフトウェア
を組み合わせており、暗室やレーザー光線が不要。
太陽光発電システムの設置現場で、エレクトロルミネッセンス検査・フォトルミネッセンス検査ができる。(パネルは設置したままで可) - 短時間で結果を表示:
動画解析では、約30秒で検査結果を表示できる。 - 判りやすい結果表示:
入力信号と同じ周期で発光している部分のみを、画像化する。(周期と異なる部分はノイズとみなし排除) - 天候に依らない:
曇りから晴天まで、ほぼ全ての日射条件で検査が行える。 - システム規模に依らない:
住宅用〜大規模設備まで、多様な太陽光発電システムを検査できる。 - ストリング全体の検査に対応:
パネル単体だけでなく、ストリング毎の検査も可能。 - 他ストリングからの電源調達:
電源が無い設置現場でも、検査対象以外のストリングの発電電力を、EL発光用の電源に使用できる。 - 屋内・屋外の双方に対応:
システム設置現場での検査だけでなく、
・設置前の受入検査
・竣工検査におけるモジュール検査
等にも利用できる。
受注見込み
- エプティフ:年間約15台
- メンテナンスサービス:初年に約30件(四国地域が中心)
高知県のシステム施工会社から、出荷前パネルの自社検査・設置後の検査用として、1台を受注済み。
パネル製造装置の大手メーカーが(製造過程ではなく)設置現場で使える検査装置を開発し、サービス提供も始めた、というのが非常に意外でしたが、それだけ現状では、設置済みシステムの検査を手軽・迅速に行える手段が乏しく、参入の余地が大きい、ということかもしれません。
今回の装置で行えるのはEL検査・PL検査ということで、セル自体以外(例えばバイパスダイオードやインターコネクタはんだ付け部)の異常も検出できるのかは判りませんが、少なくともセルの実体的な異常について、少ない手間・時間で発見可能になる、ということであれば、急増する太陽光発電設備の保守・メンテナンスのハードルを引き下げ、また検査の正確性・確実性を増す意味でも、安定稼動に寄与できるところは小さくないものと考えます。
また近年は太陽電池製造装置の需要が縮小しており、NPCも一昨年に人員削減などを実施。
結晶シリコンパネル用に限らず、製造装置需要の低迷は現在も続いている(例えばフェローテック、東京エレクトロン)だけに、今回の新しい事業が、NPCの経営安定化につながるものとなっていくのか、という点にも、注目したいところです。
- [1]屋外検査装置とサービス提供開始のお知らせ(NPC社)
- http://contents.xj-storage.jp/xcontents/62550/47c06a2d/da18/43e4/af0a/f0eb89dfa4cf/20140120093037212s.pdf
2012年11月18日
山下電装が太陽電池セル性能評価用「可変型ロングパルスソーラーシミュレーター」を開発、パルス点灯方式で薄膜系・色素増感型などの測定も可能
(ニュース記事)
・山下電装、新型太陽電池セル対応の性能評価用シミュレーター(朝日新聞)
http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201211160017.html
上記URL先ページによると、製品の概要は下記の通り。
・主な特徴・機能:
・セルの仕分け:
6インチの太陽電池セルに光を照射。
オプションの出力特性測定装置により、発電効率を評価して仕分けできる。
・光源の改良による測定対象の拡大:
光源のキセノンランプをパルス点灯方式に変更(従来は連続点灯)。
点灯時間は0.2〜1秒の間で調整可能で、
・薄膜系
・色素増感型
等の太陽電池セル(0.1秒のパルスでは測定不可)も測定できる。
・照度調整時の測定精度の確保:
照度調整(2段階または3段階)には、独自開発の減光方式を採用。
これにより、スペクトル分布をほぼ一定に保ったまま減光できる。
・製造コストの低減:
24時間稼働の生産ラインに導入した場合、
・待機電力の削減
・ランプ寿命の延長
が見込まれる。
・価格:約750万円(本体+電源のセット)
・想定販売先:
・太陽電池メーカーの製造ライン
・研究開発機関
・販売目標:年間10台
結晶シリコン型以外への対応能力を備えたシミュレーターの発売が、色素増感型太陽電池の製品化・市販化が近づいていることを受けての動き、だとすれば個人的には期待が高まるので、開発中の各メーカーからの製品発表に注目していきたいところです。
※参考サイト:
・[1]ソーラシミュレータ(セルテスター)(山下電装)
http://www.yamashitadenso.co.jp/product/product06.html
2012年11月04日
テュフ ラインランド ジャパンが太陽電池モジュールの複合加速劣化試験サービスを開始、光・温度・湿度の各ストレスを複合的に印加可能
・「太陽光発電評価センター(SEAC)」(横浜市)で、太陽電池モジュールの複合加速劣化試験サービスを開始した。
と発表していました。
(ニュース記事)
・テュフ ラインランド、自然環境を模擬した太陽電池モジュールの劣化試験サービスを開始
http://www.kankyo-business.jp/news/003624.php
(テュフ ラインランド ジャパンのサイト内ページ)
・テュフ ラインランド ジャパン、太陽電池モジュールの複合加速劣化試験サービスを開始 −自然環境を模擬した、光、温度、湿度の複合ストレス試験−
http://www.tuv.com/news/jp/japan/about_us_jp/press_2/news_1/newscontentjp_122816.jsp/pv20121101
上記URL先ページによると、サービスの概要は下記の通り。
・背景:
太陽電池モジュールの故障・劣化は、
・太陽光照射
・周辺温度
・湿度
等の様々な環境ストレスの組み合わせにより発生する。
現状では、これらのストレス個々を評価する試験方法はあるが、実際の自然環境を模擬した各ストレスの組み合わせによる複合加速劣化試験は、太陽電池に関するIEC規格では規定されていない。
・主な特徴:
本サービス向けのチャンバーでは、
・光ストレス印加(太陽光紫外部の3倍まで)
・様々なサイクル試験
・温度ストレス:-30〜90度
・湿度ストレス:最大85%Rh
を、顧客の要望に応じて任意に条件設定できる。
これにより、太陽電池モジュールに対して
・光
・温度
・湿度
の各ストレスを複合的に印加することが可能となっている。(日本では現在テュフ社のみとのこと))
・対応試験:
・太陽電池モジュールの充填材の劣化(剥離、黄変)などの評価
・アモルファスシリコン太陽電池の光劣化現象に対する加速劣化試験
に対応できる。
複雑・多様な自然の環境により近い状態で試験を行うというのは、過酷な設置環境に晒される太陽電池モジュールの信頼性を図る上で非常に合理的なことだと思われるので、今まで国内では無かったというのが意外ですが、それだけ現在は太陽光発電に対する関心が高まっており、長期運用における信頼性の確認に対するニーズも増大している、ということでしょうか。
※関連記事:
・「テュフ ラインランド ジャパン」が、横浜で薄膜太陽電池試験サービスを開始(2009/02/11)
・独「テュフラインランド」が、太陽電池モジュールの火災耐性試験の提供・認証サービスの拡大を図る(2010/04/06)
・テュフ ラインランド社が、過酷さを増した(試験シーケンス約9ヶ月)太陽電池モジュールの試験方法「長期連続試験」「長期連続試験プラス」を開発(2010/10/15)
・テュフ ラインランド ジャパンの太陽光発電評価センターが、太陽電池モジュールの規格試験を47日で完了することに成功(2011/10/08)
・テュフ ラインランド ジャパンが、太陽電池モジュールの信頼性保証体制に関する規格「JIS Q 8901」の認証サービスを開始(2012/07/13)
・テュフ ラインランド ジャパンが日本の2拠点で太陽電池パネル向けの「機械的偏荷重試験サービス」「塩水噴霧試験サービス」を開始、積雪や塩害に対応(2012/09/05)
2012年10月19日
UL Japanが日本独自の認証マーク「UL-JP」を新設、結晶系・薄膜系モジュールの性能・安全を認証
(ニュース記事)
・UL、製品の安全性と性能を担保する証明として 日本初の独自認証マーク(UL-JP)を発表 〜 太陽光発電モジュールの製品安全試験および性能試験から適用 〜 (産経関西)
http://www.sankei-kansai.com/press/post.php?basename=000000021.000004222.html
・PVモジュールの性能証明に「UL-JP」マーク(進建ハウジング)
http://www.s-housing.jp/archives/30274
(UL Japanのサイト内ページ)
・【プレスリリース】 UL、製品の安全性と性能を担保する証明として日本初の独自認証マーク(UL-JP)を発表
http://www.ul.com/japan/jpn/pages/newsroom/newsitem.jsp?cpath=%2Fjapan%2Fjpn%2Fcontent%2Fnewsroom%2Fnews%2Fgeneral%2Fdata%2Fpr_20121017142700.xml
上記URL先ページによると、認証マークの概要は下記の通り。
・背景:
・日本国内の太陽光発電市場では、
・海外のシステムメーカーの参入加速
・メガソーラーの導入の伸び
といった状況がある。
他方で国内の太陽光発電システムメーカーは、
・品質信頼性
・安全性
・価格
・導入後のサポート体制
等の国際競争力アップの必要に迫られている。
・UL社は
・北米
・中南米
・欧州
・アジア
の計46ヶ国に専門家を擁しており、PVシステムメーカーの海外進出支援サービスとしてGMA(グローバルマーケットアクセス)を提供している。
メーカーはこれを利用することで、製品の仕向地が複数国の場合でも「UL Japan」に試験・評価を依頼し、1つの製品サンプルを提出するだけで、各国の認証までをワンストップで行える。
(市場投入までの時間の大幅短縮・費用削減が実現される)
・適用の条件:
ULが既に提供している、住宅用太陽電池モジュールの
・安全試験
・性能試験
により(いずれもJIS規格に基づく)、適合性が証明されたモジュールに「UL-JP」マークを貼付する。
・適用製品・該当規格:
・結晶系太陽光発電モジュール:
・規格:
・製品安全:JIS C 8992-1/2 (IEC61730-1/2)
・製品性能:JIS C 8990 (IEC61215)
・認証有効期間:10年間
・薄膜系太陽光発電モジュール:
・規格:
・製品安全:JIS C 8992-1/2 (IEC61730-1/2)
・製品性能:JIS C 8991 (IEC61646)
・認証有効期間:10年間
・本認証に見込まれる役割・メリット:
・マークが貼付された太陽電池モジュールは、
・J-PECの「住宅用太陽光発電導入支援補助金」の対象であること
・固定価格買取制度向けのモジュールの安全性・性能を担保すること
を証明する。
・「地上設置の太陽電池モジュールの信頼性保証体制(設計製造および性能保証)の要求事項」(JIS Q 8901)の認証取得の前提条件として活用できる。
・モジュール購入時における、安心・信頼の指標となる。
ULの日本国内での太陽光発電機器向け試験所の過度開始は2年前(2010年)でしたが、今回独自の認証マークを新設できるほどに、日本市場でUL Japanがポジション・信頼性を獲得している、ということでしょうか。
UL Japanは既にGMAを提供しているだけに、今回の認証マーク設定では、国内・海外双方のモジュールメーカーにとって試験・認証の手間が軽減されることになり、また消費者側も製品品質を判断する新たな(分かりやすい)基準を得ることができるのでは、と考えるので、今後のしっかりした運用と周知の拡大に期待したいところです。
※関連記事:
・「UL Japan」の太陽光発電機器向け試験所が稼動開始、米「UL」の認証が国内で可能に(2010/09/10)
・UL JapanのPV試験所がCB試験所に認定、IECの全加盟国で通用するCBレポートの発行が可能に(2012/03/16)
・UL Japanが太陽電池モジュールの出力検査サービスを強化、固定価格買取制度の導入に備える(2012/05/12)
・UL Japanが地上設置する太陽電池モジュール向けに「JIS Q 8901」の適合性認証サービスを開始、設計製造・性能保証の信頼性保証体制を要求(2012/07/04)
2012年10月12日
佐賀県・産総研・JETが、太陽電池パネルの長期信頼性(20年以上)を保証する国際認証基準の設立を目指す
・産業技術総合研究所
・電気安全環境研究所(JET)
の3者が、太陽電池パネルの長期信頼性(20年以上)を保証する国際認証基準の設立に取り組んでいるとのことです。
(ニュース記事)
・太陽光パネル国際基準新設 県、産総研など(佐賀新聞)
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2307927.article.html
上記URL先ページによると、取り組みの概要は下記の通り。
・背景・目的:
・太陽電池パネルでは現在、20年以上の期間を保証する評価基準は無い。
・設備の発電能力は、固定買取制度による収益に直結する。
このため設置事業者において、長期保証に対するニーズが生まれている。
・国内製パネルは高品質だが、長期間を対象とする国際認証基準が存在しないため、低価格な海外製品との差別化が困難な状況になっている。
今回は、、新しい認証基準を作ることで、国内製品の競争力アップを目指す。
・現在の取り組み:
耐久テストのデータをまとめて、試験方法を確立する。
・市販パネルの耐久テスト:
・実施環境:
・急激な温度変化
・高温高湿
・実験場所:
・佐賀県工業技術センター
・JET(横浜市)
・不良パネルの分析、試験法の開発:
・実施場所:産総研九州センター(鳥栖市)
・今後の予定:
2014年度に、新たな試験方法の本格運用を開始する。
新しい国際認証基準を作ることで日本メーカーの国際競争力を高める、というのは個人的に盲点でしたが、製品自体の品質の裏づけがあるのであれば、正当な取り組みとして、メーカーだけでなく需要者側にとっても大きな恩恵をもたらすのでは、と考えます。
実際の運用はまだ先ですが、日本製と低価格な海外メーカー製で、20年以上の性能維持において具体的にどの程度の差があるものなのか、明確に示されるのを待ちたいところです。
※参考サイト:
・[1]太陽光発電における信頼性・品質試験方法に関する国際標準化(産総研)
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20120515/pr20120515.html#d
・[2]JET Report 2011年秋(3〜5pに、太陽電池パネルの長期試験についての記載あり)
http://www.jet.or.jp/common/data/publication/52.pdf
※関連記事:
・経産省が産総研つくばセンター・九州センターに、太陽電池モジュールの耐久性評価のための加速度試験設備を導入予定(2009/05/01)
・産総研九州センターに、太陽電池モジュールの発電量・耐久性の評価設備が開設、寿命30年以上のモジュールの開発を目指す(2010/12/16)
・佐賀県と産総研が、太陽光発電の共同研究などに関する連携協定を締結(2012/05/17)
2012年10月10日
SBエナジー社の実証施設で、時間経過による海外メーカー製パネルの性能低下(ただし契約上の下限は上回る)が確認されているとのこと
(ニュース記事)
・ソフトバンク、小学校で環境教育 新しいビジネス機会にらむ(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2905O_V01C12A0000000/
この中で、子会社「SBエナジー」による、北海道の帯広市・苫小牧市の実証施設における
・海外メーカー製の太陽電池パネルの性能は、最初のうちは良いが、徐々に低下してくる。
ただし、契約上の下限を割ることは無い。
との検証結果が紹介されています。
私のPCでは、SBエナジー社のサイトで発電実績データのページを閲覧できず、実際の状況は確認できていません。
ただ、北海道の実験プラントは稼動開始からまだ1年経過しておらず、その期間内で既に性能の低下が確認されているというのは、国内メーカー製品と海外製品の信頼性の差という点で、非常に重要な検証結果であり、詳細が非常に気になるところです。
※関連記事:
・ソフトバンクによる北海道・帯広競馬場内の太陽光発電実験プラントが完成、2012年1月からはメーカー毎のパネル発電量をウェブ上で公開予定(2011/12/16)
・ソフトバンクによる北海道・苫東地域の太陽光発電実験プラントが完成(2011/12/23)
・SBエナジーが北海道の太陽光発電実験施設のデータを公開開始、10社のパネルの発電量などをリアルタイムで確認可能(2012/02/06)
・ソフトバンク社による各メーカーの太陽電池パネルの発電データ公開の影響を解説している「日本経済新聞」の記事(2012/04/10)
2012年10月08日
大前健一氏が「中国製ソーラーパネル」の性能低下の懸念を指摘するも、実験データの詳細は不明
(ニュース記事)
・経年劣化激しい中国製ソーラーパネル 10年後に出力50%にも
http://www.news-postseven.com/archives/20121007_147076.html
この中で、中国製の「ソーラーパネル」について、
・「ある実験データによると、実は中国製のソーラーパネルは経年劣化が激しく、10年後には出力が50%くらいに低下するのではないかと懸念されている」
との記述がされています。
ただし記事内では、該当データの出所・概要は明示されていません。
大前氏が言及した実験データには非常に興味を引かれますが、ちょっとネットで検索した限りでは、該当データに関する情報を見つけることはできませんでした。
(今回は経年劣化の指摘ということで、Fraunhofer CSPが発表していた耐PID試験の結果とは別かと思われる)
一消費者として見ても、これはメーカーの信頼性に対する判断に関わることなので、根拠が明示されていのは残念です。
また、記事では日本メーカーの一つとして矢崎総業が挙げられていますが、同社は太陽熱利用機器をメインに扱われており[1]、大前氏は太陽電池パネルと太陽熱集熱パネルを同じものとして認識しているのでは、と疑わざるを得ません。
件の実験データが本当に太陽電池パネルのものなのか、というのも疑念が沸きますが、中国製パネルの耐久性の実情は、個人的にも非常に気になる点なので、今後いずれかの研究機関により、そのあたりの検証結果が公表されることを、期待したいところです。
※参考サイト:
・[1]太陽熱利用機器(矢崎総業)
http://www.yazaki-group.com/solarheat/